(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上水又は熱媒体を加熱する燃焼装置に備えられ、主に燃焼ガスの潜熱を回収する際に発生するドレンを外部に排出するドレン排出系統の一部を形成する貯留部を有し、当該貯留部は常時一定水位まで液体で満たされており、貯留部の水位が所定の水位未満となれば、強制的に供給された上水が通過する給水口を備えた中和装置であって、
給水口を通過した上水が通過する有底空間を有し、当該有底空間には、吐出部が設けられ、有底空間に導入された上水は、当該吐出部を介して貯留部に吐出され、
貯留部は、一部又は全部の領域に中和剤が充填され、導入されたドレンによって、水位が一定水位となった際に、ドレンを下流側に排出し、
給水口は、有底空間の底面より高位置に設けられると共に、前記一定水位の状態の水面を基準に、一定範囲以上離れた領域に配されており、当該有底空間の吐出部は、前記一定水位の状態の水位よりも高位置にあることを特徴とする中和装置。
前記有底空間の上水の流れ方向下流側には、上水の流れ方向下流側に向けて下り勾配の傾斜部が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の中和装置。
燃料を燃焼する燃焼部と、燃焼部で生成される燃焼ガスの主に顕熱を回収する一次熱交換器と、当該燃焼ガスの主に潜熱を回収する二次熱交換器と、当該二次熱交換器で発生したドレンを外部に排出するドレン排出系統と、当該ドレン排出系統の一部を形成する請求項1〜7のいずれかに記載の中和装置を備えていることを特徴とする燃焼装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、特許文献1の中和装置は、突発的に、何らかの原因で容器が傾いたり、燃焼に伴って生じる振動によって振動した場合に、容器内のドレン流路(以下、ドレン側流路ともいう)と補助給水管(以下、給水側流路ともいう)とが連結される関係(クロスコネクション)になってしまう可能性があった。
この理由としては、特許文献1における中和装置は、貯留されたドレンの水面の直上方向であって、その水面から所定値以上離れた位置に、単に間隔を空けて、給水部が設けられた構成とされていることが挙げられる。すなわち、特許文献1では、給水側流路とドレン側流路との間に、空間という間隔を設けたに過ぎなかったため、容器の傾きや、振動による水位の変化によって、給水側流路とドレン側流路とが連結し易い構成となっていた。
【0010】
また、中和剤は、液体に浸っている時間に応じて消耗する量が増加するため、一般的には、出来る限り多くの中和剤を容器内に確保しておくことが好ましい。そのため、この種の中和装置は、給水側流路とドレン側流路との間に形成された空間にも中和剤が存在する場合があり、この場合は、容器の傾きや、振動によって中和剤自体も移動して水位の変動をより大きくするため、さらにクロスコネクションの関係を回避することが困難となる場合があった。
【0011】
そこで、本発明では、従来技術の問題点に鑑み、容器内に出来る限り多くの中和剤を充填した場合であっても、突発的な容器の傾きや振動によって、ドレン側の流路と給水側の流路が、クロスコネクションの関係にならない中和装置、並びに、燃焼装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、上水又は熱媒体を加熱する燃焼装置に備えられ、主に燃焼ガスの潜熱を回収する際に発生するドレンを外部に排出するドレン排出系統の一部を形成する貯留部を有し、当該貯留部は常時一定水位まで液体で満たされており、貯留部の水位が所定の水位未満となれば、強制的に供給された上水が通過する給水口を備えた中和装置であって、給水口を通過した上水が通過する有底空間を有し、当該有底空間には、吐出部が設けられ、有底空間に導入された上水は、当該吐出部を介して貯留部に吐出され、貯留部は、一部又は全部の領域に中和剤が充填され、導入されたドレンによって、水位が一定水位となった際に、ドレンを下流側に排出し、給水口は、有底空間の底面より高位置に設けられると共に、前記一定水位の状態の水面を基準に、一定範囲以上離れた領域に配されており、当該有底空間の吐出部は、前記一定水位の状態の水位よりも高位置にあることを特徴とする中和装置である。
なお、「一定範囲以上離れた領域」とは、クロスコネクションを回避するために、水道法で規定された条件で、上水流路と雑水流路との最低限離すべき距離である。また、「液体」とは、ドレンのみ、又は、上水とドレンの混合水を意味している。
【0013】
本発明の中和装置は、基本構成として、貯留部における水封を確実に形成可能にする給水口を備えており、その給水口と、貯留部に貯留されるドレンとが、貯留部の傾きや振動等の影響によって、容易に連結状態(クロスコネクション)となり得ない構成とされている。すなわち、本発明では、有底空間が設けられ、給水口を通過した上水が、その有底空間の吐出部を介して、貯留部に吐出される。より具体的には、給水口は、有底空間の底面よりも高位置に配されると共に、貯留部における一定水位の状態の水面から一定範囲以上離れた領域に配され、さらに有底空間の吐出部が当該一定水位の状態の水面よりも高位置に配された構成とされている。これにより、上水が流れる給水部と、ドレンの水面とは、有底空間によって、確実に隔てられた状態となる。そのため、貯留部の水位が一定水位の状態の中、何らかの原因で、突発的に、容器の傾きや振動が発生して、ドレンの水面が多少上下に波打つ状態となったとしても、本発明では、有底空間に対する、そのドレンの浸水が制限されるため、給水口とドレンの水面が連結状態となる、所謂クロスコネクションの関係になる可能性が殆どない。
また、この作用効果は、中和剤を、ドレンの一定水位を超える程度に貯留部に充填した場合も同様であり、この場合に、貯留部におけるドレンの水面が大幅に上下変化するようなことがあったとしても、クロスコネクションの関係になることを防止できる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、前記有底空間は、貯留部の直上位置から逸脱した位置に配されていることを特徴とする請求項1に記載の中和装置である。
【0015】
かかる構成によれば、有底空間が貯留部の直上位置から逸脱した位置にあるため、貯留部における突発的な水面の変化の影響を受けにくい。すなわち、貯留部におけるドレンの水面が、貯留部の天面に到達するほど大きく波打ったり、傾いたとしても、突発的なものであれば、その水面変化はその水面の直上領域に及ぶに止まる。そのため、本発明によれば、貯留部の直上位置から逸脱した有底空間の領域までドレンが浸水する可能性は殆どない。
【0016】
請求項3に記載の発明は、前記有底空間の底面は、貯留部の一定水位の状態の水面よりも高位置にあることを特徴とする請求項1又は2に記載の中和装置である。
【0017】
かかる構成によれば、有底空間の底面が貯留部の一定水位の状態の水面よりも高位置にあるため、多少の水位の上昇があっても、クロスコネクションを防止できる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、前記有底空間は、隔壁が設けられ、当該隔壁に吐出部が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の中和装置である。
【0019】
かかる構成によれば、有底空間に導入された上水は、隔壁に設けられた吐出部を介して貯留部に吐出されるため、貯留部に貯留されたドレンが有底空間内に浸水し難い。すなわち、本発明では、貯留部側でドレンの水面が突発的に大幅に変化して、その水面が有底空間の底面を大きく超えることがあったとしても、隔壁によって、有底空間への浸水を防ぐことができるため、クロスコネクションの可能性を限りなく低いものとすることができる。
【0020】
請求項5に記載の発明は、前記吐出部は、スリット状であり、粒形状の中和剤が侵入できない程度の大きさであることを特徴とする請求項4に記載の中和装置である。
【0021】
かかる構成によれば、粒形状の中和剤が貯留部に多量に充填された場合であっても、中和剤が有底空間内に侵入することがない。これにより、本発明では、中和剤が有底空間内に溜まって、クロスコネクションを引き起こしてしまうというおそれがない。
【0022】
請求項6に記載の発明は、前記有底空間の上水の流れ方向下流側には、上水の流れ方向下流側に向けて下り勾配の傾斜部が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の中和装置である。
【0023】
かかる構成によれば、有底空間に導入された上水は、傾斜部によって、貯留部側に導かれて確実に吐出されるため、有底空間内に導入された上水が残留することがない。また、貯留部のドレンが有底空間内に浸水したとしても、そのドレンは、傾斜部によって、再び貯留部に導かれるため、有底空間内にドレンが滞留することもない。
【0024】
本発明の中和装置は、前記有底空間は、平面視形状がほぼ円形状であることが望ましい。(請求項7)
【0025】
請求項8に記載の発明は、燃料を燃焼する燃焼部と、燃焼部で生成される燃焼ガスの主に顕熱を回収する一次熱交換器と、当該燃焼ガスの主に潜熱を回収する二次熱交換器と、当該二次熱交換器で発生したドレンを外部に排出するドレン排出系統と、当該ドレン排出系統の一部を形成する請求項1〜7のいずれかに記載の中和装置を備えていることを特徴とする燃焼装置である。
【0026】
本発明の燃焼装置は、中和装置において、貯留部と隔てられるように設けられた有底空間が設けられているため、何らかの原因で、突発的に、ドレンの水面が上下に波打つ状態となったとしても、有底空間によって、給水口とドレンの水面が連結状態となる、クロスコネクションの関係になることを防止することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の中和装置、並びに、燃焼装置では、ドレンが貯留される貯留部と隔てるように有底空間を設け、その有底空間内に上水を導入する構成としたため、貯留部におけるドレンの水面が変動した場合であっても、給水側流路とドレン側流路がクロスコネクションの関係になることがない。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本発明の実施形態に係る燃焼装置1、並びに、中和装置11について説明する。
本実施形態の中和装置11は、灯油等の液体燃料を噴霧又は気化させて下方に向けて燃焼させる所謂逆燃式の燃焼部2を備え、その燃焼部2で生成される燃焼ガスの潜熱までも回収可能な潜熱回収型の燃焼装置1に好適である。
【0030】
まず、燃焼装置1について説明する。
燃焼装置1は、
図1に示すように、筺体3のほぼ中央に燃焼ケース5が配置され、その燃焼ケース5に燃焼部2と、一次熱交換器20と、二次熱交換器25とが内蔵されている。具体的には、燃焼ケース5は、バーナ側ケース5aと、高さ方向(上下方向)に長いほぼ直方体状の縦長ケース5bと、幅方向(左右方向)に長い横長ケース5cとが内部で連通するように連結されて形成されたもので、バーナ側ケース5aに燃焼部2が配され、縦長ケース5bに一次熱交換器20が配され、横長ケース5cに二次熱交換器25が配されている。
また、燃焼装置1の筺体3の左側には、燃焼ガスを外部に排気する排気筒10が配されている。具体的には、その排気筒10は、燃焼装置1の筺体3の内外に渡るように配置されると共に、横長ケース5cの上部左側に接続された配置である。
【0031】
すなわち、燃焼部2で燃焼ガスが生成されると、その燃焼ガスは、まず、下方に向けて進行し、一次熱交換器20を通過して、二次熱交換器25に流入する。そして、二次熱交換器25に流入した燃焼ガスは、燃焼ガスの流れ方向を下方向から上方向に方向変換し、排気筒10を通過して、外部に排気される。
なお、本実施形態の燃焼装置1は、図示しない送風機を有し、その送風機によって、燃焼に必要な空気が供給され、さらに燃焼部2で生成された燃焼ガスを下方に向けて流している。
【0032】
また、一次熱交換器20と二次熱交換器25は、それぞれ燃焼ガスと熱交換する上水が流れる図示しない受熱管を有し、それらの受熱管と、図示しない入水側配管及び出湯側配管とが、燃焼装置の筺体3内で一連した流路を形成している。具体的には、上水の流れ方向上流側から、入水側配管、二次熱交換器25、一次熱交換器20、出湯側配管の順に直列的に接続されている。すなわち、燃焼装置1では、入水側配管を通過した上水は、二次熱交換器25を流れた後、一次熱交換器20内を流れることによって、順次熱交換され、その後、出湯側配管を介して給湯先に向けて供給される。
【0033】
また、燃焼ケース5であって、横長ケース5cの内部には、二次熱交換器25の潜熱回収時に発生するドレンを回収する回収部(図示しない)が設けられ、当該回収部から燃焼装置1の下部側に向けてドレンを流すドレン排出系統7が接続されている。すなわち、このドレン排出系統7は、横長ケース5cよりも筺体3の下方側に位置するもので、中和装置11と、図示しない回収部と中和装置11とを繋ぐドレン導入側配管37と、中和装置11で中和されたドレンを外部に導くドレン外部排出配管38とによって構成されている。
また、本実施形態の中和装置11は、中和装置11内に水封を確実に形成するべく、給水源から供給される上水が通過する中和器給水管9が接続されている。
【0034】
続いて、特徴的構成を備えた中和装置11について詳細に説明する。
なお、以下の説明においては、上下左右の位置関係については、特に断りのない限り、
図1に示す通常の設置状態を基準として説明する。
本実施形態の中和装置11は、前記したように、装置内に水封を確実に形成するべく、中和器給水管9が接続されており、所定の条件が満足すると、給水源から供給された上水が中和器給水管9を介して導入される構成とされている。
具体的には、中和装置11は、
図2に示すように、外観がほぼ「L」字型の容器であり、ドレン導入側配管37を通過したドレンが一時的に貯留される貯留部15と、中和器給水管9を流れた上水が通過する有底空間16とを有する本体部12と、その本体部12の上部に着脱可能に設けられた蓋部13とを備えた構成とされている。
【0035】
蓋部13は、
図3に示すように、平面視形状がほぼ「L」字型の天面壁40と、その天面壁40の縁端を囲繞するようにほぼ直交する方向、具体的には、天面壁40に対して垂直下方に向けて立設した側面壁41と、本体部12の上部が嵌り込む嵌合溝49(
図4)とを有する構成である。
【0036】
天面壁40には、給水部33と、ドレン導入側接続部35と、4つの電極挿通孔45〜48が設けられている。
給水部33は、中和器給水管9を通過した上水を本体部12の有底空間16に導入するべく、天面壁40の厚み方向に貫通した配管継ぎ手部である。具体的には、給水部33は、
図3に示すように、天面壁40の「L」の張り出し長さが短い側の領域(以下、短領域という)42であって、
図4に示すように、側面壁41の立設側において、短領域42のほぼ中央に給水口29が位置するように配されている。なお、本実施形態では、給水部33に対して、ほぼ水平方向(天面壁40に沿う方向)に延びた補助継ぎ手43が装着されている。そして、その補助継ぎ手43は、内径が、中和器給水管9(
図1)の外径とほぼ同一のサイズに設定されている。すなわち、中和器給水管9は、補助継ぎ手43の内径側に沿って挿着されて接続される。
【0037】
ドレン導入側接続部35は、
図3に示すように、短領域42と天面壁40の「L」の張り出し長さが長い側の領域(以下、長領域という)44の双方の基端側に位置する領域(以下、基端領域という)50に位置し、ドレン導入側配管37(
図1)を通過したドレンを、本体部12の貯留部15に導入するべく、天面壁40の厚み方向に貫通した配管継ぎ手部である。そして、ドレン導入側接続部35は、外径が、ドレン導入側配管37の内径とほぼ同一あるいは若干大きいサイズに設定されている。すなわち、ドレン導入側配管37は、ドレン導入側接続部35の外径側に沿って、嵌め込むようにして接続される。
【0038】
4つの電極挿通孔45〜48は、
図3に示すように、長領域44側であって長領域44と基端領域50の境界近傍に位置し、天面壁40の厚み方向に貫通した孔で、後述する電極55〜58を挿通できる程度の大きさに設定されている。
【0039】
ここで、電極挿通孔45〜48に挿通される4つの電極55〜58について説明する。
本実施形態の電極55〜58は、貯留部15内の水位を検出するための公知の水位検出手段である。具体的には、電極55はグランド電極であり、その他の電極56〜58は、それぞれ、オーバーフロー電極、給水制御電極、異常燃焼検知電極である。すなわち、この水位検出手段は、貯留部15内において、グランド電極55と、その他の電極56〜58のいずれかがドレン内に浸かった状態となれば、グランド電極55とその他の電極との間で通電状態となり、貯留部15内の水位がいかなるものであるかを判断することができるものである。
なお、オーバーフロー電極56は、貯留部15内のドレンの水位の異常上昇を検出するもので、給水制御電極57は、ドレン排出系統7内の燃焼ガスの流通を阻止可能な水位が維持できているか否かを検出するもので、異常燃焼検知電極58は、貯留部15内の水位が異常に大きく低下して、ドレン排出系統7内の燃焼ガスの流通を阻止できない水位であることを検出するものである。
以上が、本実施形態で採用された電極55〜58の説明である。
【0040】
嵌合溝49は、天面壁40の下面側、つまり側面壁41が立設する側に設けられており、
図4に示すように、外側嵌合溝49aと、内側嵌合溝49bとで構成されている。外側嵌合溝49aは、側面壁41とその側面壁41に沿って配された外側溝形成壁61とによって形成された溝で、内側嵌合溝49bは、側面壁41から離反した位置であって後述する貯留部15のドレン導入室21の一部に沿って配された1対の内側溝形成壁62で形成された溝である。
なお、本実施形態では、蓋部13は、嵌合溝49に図示しないパッキンを嵌め込み、その状態で本体部12に取り付ける構成とされている。
【0041】
一方、本体部12は、
図3、5に示すように、上部側が開放された外観がほぼ「L」字型の容器であり、底面壁51とその底面壁51を囲繞するように立設された側面壁52とで容器の外郭が形成されている。そして、本体部12の容器の内部には、貯留部15と有底空間16が設けられている(
図7)。
なお、以下においても、短領域42、長領域44、基端領域50は、上記同様の位置として説明する(
図7)。
【0042】
まず、本体部12の底面壁51について説明する。
底面壁51は、
図2、5に示すように、高さ方向の位置が異なる3つの底面壁51a、51b、51cで構成されている。すなわち、底面壁51は、
図6に示すように、高さ方向の位置が低いものから、貯留部15の底面の大半を形成する貯留部底面壁51aと、貯留部15の底部の残部を形成する排出底面壁51cと、有底空間16の底面を形成する有底空間底面壁51bとを有する。換言すれば、
図7に示すように、長領域44及び基端領域50の底面を、貯留部底面壁51aと排出底面壁51cが形成し、短領域42の底面を、最も高さ方向の位置が高い有底空間底面壁51bが形成している。
【0043】
続いて、本体部12の側面壁52について説明する。
側面壁52は、便宜上、貯留部15側(長領域44及び基端領域50)と、有底空間16側(短領域42)に大別して説明する。
貯留部15側の側面壁52は、
図8に示すように、貯留部底面壁51a及び排出底面壁51cをほぼ長方形状に取り巻くように配された部分で、本体部12の「L」字の外側に位置する外基側面壁52a及び外長基側面壁52bと、「L」の内側に位置する内長側面壁52dと、外基側面壁52aと内長側面壁52dとを繋ぐと共に有底空間16の下方に位置する有底下側面壁52eと、外長基側面壁52bと内長側面壁52dとを繋ぐ長端側面壁52fとで構成されている。すなわち、貯留部15側の側面壁52は、外基側面壁52aが長端側面壁52fと対面した関係であり、外長基側面壁52bが内長側面壁52d及び有底下側面壁52eと対面した関係とされている。
【0044】
有底空間16側の側面壁52は、
図9に示すように、有底空間底面壁51bをほぼ「コ」の字型状に取り巻くように配された部分で、本体部12の「L」字の外側に位置する外短側面壁52cと、本体部12の「L」字の内側に位置する内短側面壁52gと、外短側面壁52cと内短側面壁52gとを繋ぐ短端側面壁52hとで構成されている。すなわち、有底空間16側の側面壁52は、有底下側面壁52eよりも上側に位置すると共に、外短側面壁52cと内短側面壁52gが対面した関係であり、さらにその両者の間に短端側面壁52hが配された関係とされている。したがって、有底空間16は、短端側面壁52hに対向する側面壁が欠落した構成であり、当該欠落部側を介して、貯留部15と連通した関係とされている。
【0045】
次に、本体部12の貯留部15について説明する。
貯留部15は、
図3、7、10に示すように、ドレンを一時的に貯留して中和するラビリンス構造を有した貯留空間であり、底面壁51に対してほぼ直交する方向、具体的には、貯留部15は、貯留部底面壁51aに対して垂直上方に向けて立設した主仕切壁17及び補助仕切壁18によって、複数の部屋に分割されている。すなわち、貯留部15は、主仕切壁17及び補助仕切壁18によって、ドレン導入室21と、第一中和室22と、第二中和室23とに分割された構成である。
なお、本実施形態においては、主仕切壁17と補助仕切壁18は、相対的に高さが異なる構成とされており、主仕切壁17の方が、補助仕切壁18より頂部が高く設定されている。具体的には、
図3、11に示すように、主仕切壁17は、本体部12の側面壁52とほぼ同一の高さとされており、補助仕切壁18は、その主仕切壁17の高さよりも若干低く設定されている。
【0046】
ドレン導入室21は、蓋部13を本体部12に取り付けた状態において、ドレン導入側接続部35及び電極挿通孔45〜48の直下に位置する部屋であり、貯留部15に導入されたドレンが、最初に入る空間である。具体的には、ドレン導入室21は、
図7、8に示すように、外基側面壁52aと直交する方向に延伸した第一主仕切壁17aと、外長基側面壁52bと直交する方向に延伸した第二主仕切壁17bと、外基側面壁52aと、外長基側面壁52bとで囲まれた、平面視形状がほぼ長方形の部屋である。換言すれば、ドレン導入室21は、外長基側面壁52bに沿って延びた第一主仕切壁17aと、長領域44側において外基側面壁52aに沿って延びた第二主仕切壁17bと、本体部12の側面壁52の一部とで囲まれた、本体部12の隅に位置する空間である。
【0047】
第一中和室22は、ドレン導入室21を通過したドレンが、最初に中和される部屋であり、ドレン導入室21と、第一主仕切壁17aを隔てて隣接した空間である。具体的には、第一中和室22は、
図7、8に示すように、ドレンの流れ方向上流側が、ドレン導入室21に隣接しており、第一主仕切壁17aと、外基側面壁52aと、有底下側面壁52eと、第一補助仕切壁18aとで囲まれた、平面視形状がほぼ長方形の部屋である。換言すれば、第一中和室22は、ドレン導入室21と、後述する有底空間16との間に位置する空間である。なお、第一中和室22には、所定量の中和剤が充填されており、本実施形態では、中和剤として、最小粒径が6mmの炭酸カルシウムが採用されている。
【0048】
そして、第一中和室22とドレン導入室21とは、
図10、11に示すように、第一主仕切壁17aの高さ方向下部側に設けられた、ドレンを下流側に流すための開口(以下、ドレン上流側開口という)30によって連通している。すなわち、ドレン導入室21に導入されたドレンは、第一主仕切壁17aの下部側に設けられた2つのドレン上流側開口30から第一中和室22に流入する。なお、このドレン上流側開口30は、
図10、11に示すように、開口下縁が直線状で、開口上縁が波形状の開口形状であり、開口幅方向に長く伸びた長孔である。
【0049】
さらに、本実施形態では、ドレン上流側開口30と連通した縦長スリット59が設けられている。この縦長スリット59は、ドレン上流側開口30のほぼ中央に位置し、当該位置の開口下縁から底面壁51に向けて垂直下方に伸びた開口である。そして、縦長スリット59は、ドレン上流側開口30よりも底面壁51側に存在する液体(主にドレン)のみを下流側に流すべく、スリット幅が粒形状の中和剤と比較すると、極めて小さい大きさに設定されている。換言すれば、縦長スリット59は、燃焼ガスで運ばれる「すす」やゴミ等が通過し得ない大きさの開口である。なお、この縦長スリット59に替えて、当該縦長スリット59よりも大きめの開口を設け、濾紙状の不純物通過阻止手段を設けても構わない。
また、第一中和室22の底面壁51には、メンテナンス等の際に、ドレンを人為的に抜き取る水抜き栓63が設けられている。この水抜き栓63は、第一中和室22における底面壁51の部材厚方向に貫通した孔であり、通常時には、閉塞栓によって閉塞されている。
【0050】
第二中和室23は、第一中和室22で中和されたドレンを、さらに中和して下流側のドレン外部排出配管38に排出する部屋であり、第一中和室22と同様の中和剤が所定量充填されている。そして、第二中和室23は、第一中和室22と第一補助仕切壁18aを隔てて隣接すると共に、ドレン導入室21と第二主仕切壁17bを隔てて隣接した空間である。具体的には、第二中和室23は、
図7、8に示すように、ドレンの流れ方向上流側が、第一中和室22に隣接しており、第一補助仕切壁18aと、第二主仕切壁17bと、外長基側面壁52bと、長端側面壁52fと、内長側面壁52dとで囲まれた、平面視形状がほぼ長方形、且つ、第一中和室22の平面視形状よりも大きい部屋である。換言すれば、第二中和室23は、本体部12の長領域44の大半を占めた空間である。
【0051】
そして、第二中和室23と第一中和室22とは、第一補助仕切壁18aの高さ方向上方側で連通している。すなわち、第一補助仕切壁18aは、前記したように、頂部が側面壁52や主仕切壁17よりも低い位置に設定されているため、本体部12に蓋部13を取り付けた状態において、第一補助仕切壁18aの頂部と蓋部13との間に隙間が形成される構成である。さらに、本実施形態では、
図10、11に示すように、第一補助仕切壁18aの頂部を、下方に向けて方形状に切り欠いた切欠き部31が設けられているため、当該切欠き部31及び頂部より上の隙間で連通している。したがって、第一中和室22に導入されたドレンは、主に第一補助仕切壁18aの上部側に設けられた切欠き部31から第二中和室23に流入する。
【0052】
また、本実施形態では、この切欠き部31に対して、網状部材70が取り付けられている。この網状部材70は、第一中和室22から第二中和室23、あるいは、第二中和室23から第一中和室22へ中和剤が流れ込むことを防止する中和剤侵入防止手段であり、中和剤の粒径より小さい網の目のものが採用されている。すなわち、網状部材70の網の目の1つの最大開口幅が、6mm未満、好ましくは5〜4mm未満のものである。
【0053】
また、第二中和室23内部は、2つの補助仕切壁18b、18cによって、3つの空間に分割され、ドレンが蛇行して下流に流れる流路構造とされている。具体的には、第二補助仕切壁18bと第三補助仕切壁18cは、いずれも外長基側面壁52bと内長側面壁52dを繋ぐ方向(以下、空間分割方向という)に配されて、第二中和室23内を、
図7、11に示すように、一次空間65、二次空間66、三次空間67に分割すると共に、各空間65〜67の境目に開口、スリットあるいは切欠きを設けて水の流れを確保している。
【0054】
より詳細に説明すると、一次空間65は、第二中和室23における最上流に位置する空間である。すなわち、一次空間65は、第二補助仕切壁18bを、第一補助仕切壁18a及び第二主仕切壁17bに対して、一定の距離離反した位置で壁面同士が対面するように配されて形成されている。そして、一次空間65は、第二補助仕切壁18bの空間分割方向端部側と外長基側面壁52bとの間に隙間(以下、壁面沿いスリットという)32を設け、その壁面沿いスリット32から隣接する二次空間66に対してドレンを流出する。
【0055】
また、本実施形態では、第二補助仕切壁18bの空間分割方向中途の位置に、頂部をほぼ方形状に切り欠いた臨時用切欠き部68を有し、壁面沿いスリット32に詰まり等が生じた場合に、臨時的に、その臨時用切欠き部68からドレンを下流側に通過させる構成とされている。
【0056】
二次空間66は、第二中和室23における中盤の空間である。すなわち、二次空間66は、
図7に示すように、第三補助仕切壁18cを、第二補助仕切壁18bに対して、一定の距離離反した位置で壁面同士が対面するように設けて形成されている。なお、二次空間66は、一次空間65よりも、平面視した開口面積が大きく設定されており、容積量が増大された構成である。そして、二次空間66は、第三補助仕切壁18cの下部側であって、空間分割方向中途の位置に、正面視形状がほぼ方形状のドレン下流側開口34を設け、そのドレン下流側開口34から隣接する三次空間67に対してドレンを流出する。
【0057】
また、本実施形態では、第三補助仕切壁18cの空間分割方向中途の位置に、第二補助仕切壁18bに設けられたものと同様の臨時用切欠き部68が設けられている。
【0058】
三次空間67は、第二中和室23における最下流に位置する空間である。すなわち、三次空間67は、第三補助仕切壁18cと長端側面壁52fとで挟まれた空間である。そして、三次空間67は、貯留部底面壁51aよりも高位置に配された排出底面壁51cに、厚み方向に貫通したドレン排出部36を設け、そのドレン排出部36を介して、ドレン外部排出配管38側にドレンを排出する。
【0059】
なお、本実施形態では、ドレン排出部36に中和剤が侵入しないように、ドレン排出部36を囲繞した孔囲繞壁53が設けられている。この孔囲繞壁53は、排出底面壁51cから垂直上方に立設した壁である。そして、この孔囲繞壁53は、ドレン排出部36の囲繞方向端部側と長端側面壁52fとの間に隙間を形成し、その隙間からドレンをドレン排出部36に導いている。すなわち、孔囲繞壁53は、ドレンの流路を確保しつつ、ドレン排出部36への中和剤の侵入を阻止する異物侵入阻止手段である。
【0060】
また、第二中和室23の底面壁51であって、第三補助仕切壁18cを跨ぐ位置には、第一中和室22に設けられたものと同様の水抜き栓63が設けられている。換言すれば、第二中和室23に設けられた水抜き栓63は、二次空間66及び三次空間67に跨るような配置とされている。
【0061】
また、第二中和室23は、一次空間65から三次空間67に渡って、高さ方向中途の位置から底面壁51に向けて、開口面積が徐々に減縮する構成とされている。具体的には、第二中和室23は、
図10、12に示すように、第二中和室23を構成するいずれかの側面壁52が、ドレン下流側開口34の上縁の位置と排出底面壁51cの位置との間の位置sから、下方に向かって、本体部12の内側方向に傾斜した形状とされている。より詳細には、内長側面壁52dは、ドレン下流側開口34の上縁より若干上方の位置から下方に向けて傾斜した形状で、長端側面壁52fは、排出底面壁51cとほぼ同一の位置から下方に向けて傾斜した形状である。
【0062】
続いて、本体部12の有底空間16について説明する。
有底空間16は、給水源から供給される上水が通過する部屋であり、
図3、5、7に示すように、外基側面壁52aと内長側面壁52dが交差する位置において、貯留部15から張り出すように配された空間である。具体的には、有底空間16は、貯留部15の第一中和室22と隣接した位置であると共に、その第一中和室22を挟んで、ドレン導入室21と対向する位置に配されている。そして、有底空間16は、貯留部15との境界近傍に、有底空間底面壁51bに対して垂直上方に向けて立設した、平面視形状が円弧状の隔壁19が設けられて、有底空間16と貯留部15との境界が決定されている。すなわち、有底空間16は、外短側面壁52cと、内短側面壁52gと、短端側面壁52hと、隔壁19とで囲まれたほぼ円形状の空間である。
【0063】
また、隔壁19は、頂部から下方に向けて切り欠いた湯水吐出用のスリット部(以下、湯水用スリットという)27が設けられており、当該湯水用スリット部27を介して、上水が貯留部15側に吐出する構成である。この湯水用スリット部27は、
図13に示すように、複数(本実施形態では5つ)のスリット39を有し、各スリット39が、隔壁19の中央側で群を形成した中央スリット群27aと、その中央スリット群27aから外側(隔壁19の円弧方向端部側)に離反した位置の外側スリット27bとを形成してなるものである。具体的には、本実施形態では、中央スリット群27aは、3つのスリット39で形成されており、各スリット39同士の間隔oが密(スリット39の開口幅程度)にされている。そして、外側スリット27bは、1つのスリット39で形成されており、中央スリット群27aに対して、円弧方向であって、中央スリット群27aの各スリット39同士の間隔oよりも広い間隔pで離反した配置とされている。
【0064】
また、有底空間16の有底空間底面壁51bには、
図14に示すように、上水の流れ方向下流側に向かって下り勾配のスロープ部(傾斜部)54が設けられている。このスロープ部54は、
図7に示すように、ほぼ全体が隔壁19の内側に収まるサイズに設定されている。さらに、スロープ部54は、上水の流れ方向下流側端部が、隔壁19のスリット部27の開口下端縁よりも若干下方に位置する構成である。すなわち、有底空間16においては、隔壁19の下方側の一部は、スロープ部54との間で段差を形成しており、上水の堰として機能する。したがって、有底空間16を通過する上水は、スロープ部54に流れ込んで、スロープ部54の下流側端部に達すると、隔壁19のスリット部27の下端部を乗り越えるようにして貯留部15側に吐出される。
【0065】
次に、中和装置11における各部分における位置関係と、中和剤の状態について説明する。
中和装置11は、本体部12の上部開放端側に蓋部13が装着されている。すなわち、蓋部13の嵌合溝49に、本体部12の開放端が嵌合し、本体部12の開放側の面が蓋部13によって閉塞されている。より具体的には、本体部12の側面壁52が蓋部13の外側嵌合溝49aに嵌合し、本体部12の第一主仕切壁17aと第二主仕切壁17bが蓋部13の内側嵌合溝49bに嵌合する。そしてこれにより、中和装置11は、
図11に示すように、側面壁52沿いと、ドレン導入室21沿いがシールされた状態となる。
【0066】
また、この状態において、蓋部13に設けられたドレン導入側接続部35及び電極挿通孔45〜48は、
図3に示すように、ドレン導入室21の直上に位置し、蓋部13における給水部33は、有底空間16の直上に位置する。特に、給水部33は、有底空間16の内部側において、有底空間底面壁51bのほぼ真ん中に位置し、有底空間16を形成する側面壁52、底面壁51、隔壁19に対して、それぞれ一定距離(本実施形態では25mm)以上離された配置とされている。
そして、電極挿通孔45〜48には、各電極55〜58が挿着されている。
【0067】
貯留部15の内部では、一部の領域に所定量の中和剤が充填されている。具体的には、中和剤は、貯留部15の第一中和室22及び第二中和室23に充填されており、
図15に示すように、第一中和室22の中和剤の嵩が、第二中和室23の中和剤の嵩よりも高くなるように配分されている。このとき、第一中和室22及び第二中和室23に充填された中和剤の上部側は、第一補助仕切壁18aの切欠き部31まで到達しているが、網状部材70によって、中和剤の他室への移動が阻止されている。また、第一中和室22においては、充填された中和剤の上部側が、有底空間16まで到達しているが、隔壁19によって、有底空間16内への侵入が阻止されている。
【0068】
次に、本実施形態の燃焼装置1の動作について説明する。
本実施形態の燃焼装置1は、中和装置11内に形成される水封を維持するべく、中和装置11に給水する中和器給水機能が備えられている。すなわち、貯留部15は、配置された電極55〜58によって、水位が監視されている。そして、それらの電極55〜58(特に給水制御電極57)によって、貯留部15における水位が所定値以上であることが確認されなければ、中和器給水機能が働いて、貯留部15に強制的に上水が給水される。すなわち、燃焼装置1の設置直後においては、当然ながら、貯留部15にドレンが存在しないため、中和器給水機能が働き、貯留部15内の水位が所定値に達するまで給水される。
【0069】
中和器給水機能による貯留部15への給水は、電極55〜58の信号に基づいて、給水源から上水が供給され、中和器給水管9及び給水部33を介して、有底空間16内に導入される。すなわち、上水は、有底空間16の有底空間底面壁51bの直上から流入し、スリット部27を介して、貯留部15に吐出する。
【0070】
貯留部15に供給された上水は、
図16(a)に示すように、まず第一中和室22に導入される。そして、上水の供給が継続されて、第一中和室22内において水位を増すと、その水位が第一主仕切壁17aのドレン上流側開口30に達する。その後、ドレン導入室21が第一中和室22と同一の水位に達するまでは、さらに上水が継続的に導入されても、第一中和室22の水位は増すことはなく、
図16(b)に示すように、ドレン導入室21側に流出する。そして、ドレン導入室21の水位が第一中和室22の水位に達すると、第一中和室22とドレン導入室21の水位は、ほぼ平衡に増していく。
【0071】
その後、さらに上水の供給が継続されると、
図16(c)に示すように、第一中和室22とドレン導入室21の水位が、給水制御電極57の下端部に達する。そして、この水位になった時点で、給水制御電極57に通電が生じ、燃焼動作を実行し得る状態となる(以下、このときの水位を燃焼可能水位という)。すなわち、貯留部15が、燃焼可能水位となった時点で、給水が停止される。
【0072】
なお、このときの第一中和室22における水位は、主仕切壁17aのドレン上流側開口30よりも十分高位置であり、第一補助仕切壁18aの切欠き部31よりも低位置である。換言すれば、燃焼可能水位は、ドレン導入側配管37を通過し、ドレン導入側接続部35からドレン導入室21に流入された燃焼ガスが、それより下流側に流通し得ない水位である。
【0073】
このようにして、本実施形態の燃焼装置1あるいは中和装置11の設置直後においては、中和器給水機能によって、十分な水位を確保するための中和装置11への給水初期動作が実行される。
以下、中和装置11への給水初期動作後における、燃焼装置1の動作として説明する。
【0074】
燃焼装置1は、例えば、カラン等が開かれて給湯の要求があると、図示しない入水配管に上水が流れ、入水配管の中途に設けられた図示しない流量センサが流量を検知することにより、燃焼部2が燃焼動作を開始する。そして、その燃焼動作に伴って発生した燃焼ガスは、燃焼ケース5を下方に向けて流れる。そして、その燃焼ガスは、一次熱交換器20が配置された領域に流入し、さらに下流の二次熱交換器25が配置された領域に導入される。そして、二次熱交換器25で熱交換された燃焼ガスは、排気筒10から外部に排気される。
【0075】
一方、図示しない入水配管を介して外部から供給されてきた上水は、最初に、二次熱交換器25に導入される。二次熱交換器25に導入された上水は、主に燃焼ガスに含まれた潜熱を回収し、これにより加熱される。これに伴い、燃焼ガス中に含まれている水蒸気が凝縮し、二次熱交換器25の表面等にドレンが発生する。
【0076】
二次熱交換器25で加熱された上水が流出すると、一次熱交換器20の上流側から導入される。一次熱交換器20に導入された上水は、燃焼ガスとさらに熱交換して加熱される。すなわち、一次熱交換器20では、燃焼ガス中の主に顕熱を回収し、これにより加熱される。このようにして、一次熱交換器20において加熱された上水は、一次熱交換器20の下流側から流出し、給湯先となるカランや浴槽等に向けて供給される。
【0077】
そして、上記したように、燃焼装置1では、二次熱交換器25における熱交換に伴ってドレンが発生する。ここで発生したドレンは、二次熱交換器25の図示しない回収部に集まり、ドレン排出系統7を通じて外部に排水される。
【0078】
具体的に説明すると、前記回収部に回収されたドレンは、ドレン導入側配管37を通過して、ドレン導入側接続部35から中和装置11に導入される。すなわち、二次熱交換器25で発生したドレンは、ドレン導入側接続部35を介して、貯留部15のドレン導入室21に流入する。また、これと同時又は別のタイミングに、ドレン導入室21に燃焼ガスが流入する。
【0079】
そして、ドレン導入室21に流入したドレンは、ドレン上流側開口30から第一中和室22に流出する。そして、このドレンは、第一中和室22内に充填された中和剤と反応して中和が行われる。一方、ドレン導入室21に流入した燃焼ガスは、給水初期動作により形成された水封により、第一中和室22側に流出することはない。
【0080】
その後、継続的に燃焼動作が行われ、貯留部15にさらなるドレンの導入があれば、ドレン導入室21及び第一中和室22の水位が平衡に増していく。そして、
図17(a)に示すように、第一補助仕切壁18aの切欠き部31に達すると、ドレンはその第一補助仕切壁18aを乗り越えて、第二中和室23側に流出する。第二中和室23に流入したドレンは、第二補助仕切壁18bの壁面沿いスリット32を迂回して、一次空間65から二次空間66に流れて、一定水位まで貯留される。そして、その水位が第三補助仕切壁18cのドレン下流側開口34に達すれば、ドレンが三次空間67に流出する。その後、さらなるドレンの導入が続けば、第二中和室23全体の水位が平衡に増して、その水位が排出底面壁51cに到達し、ドレン排出部36を介して、ドレン外部排出配管38から外部に排出される。
【0081】
このように、燃焼動作が開始されて、ドレンが正常に外部に排出されている状態においては、貯留部15の水位は常に一定に維持された状態となる(以下、正常水位という)。すなわち、
図18に示すように、ドレン導入室21及び第一中和室22では、第一補助切欠部31の下端部の高さと同等の水位(上流側正常水位)が維持され、第二中和室23では、排出底面壁51cの高さと同等の水位(下流側正常水位)が維持される。
【0082】
そして、この正常水位は、上水が通過する有底空間16の位置よりも低位置とされている。具体的には、上流側正常水位は、下流側正常水位よりも高位置にあり、有底空間16の有底空間底面壁51bよりも低位置にある。換言すれば、上流側正常水位は、燃焼可能水位よりも高位置であり、有底空間16のスロープ部54の下端部よりも低位置にある。
なお、給湯初期動作の後であっても、何らかの影響を受けて、電極55〜48によって、貯留部15内の水位が十分な水位ではないと確認された場合においては、給水初期動作と同様の制御が実行される。
【0083】
以上のように、本実施形態では、貯留部15におけるドレンの正常水位よりも高位置に、底面壁51を有した有底空間16を設け、その有底空間16を貯留部15に対して水平方向に張り出す位置、つまりドレンの水面の直上から逸脱する位置に配したため、突発的に、中和装置11が傾いたり、振動するようなことがあっても、ドレンが有底空間16側に浸水する可能性が低い。すなわち、突発的に中和装置11が傾いたり、振動するような場合は、通常、水面が単に上下に波打つだけであることが多く、水面より高位置であって、さらに水平方向に離れた位置において、その波の影響が及ぶ可能性は殆どない。したがって、本実施形態によれば、貯留部15におけるドレン側流路と、有底空間16内の中央上部に位置する給水流路たる給水部33とが、連結状態(クロスコネクション)となることがない。
【0084】
また、本実施形態では、有底空間16の上水の流れ方向下流側に、スリット部27を備えた隔壁19を設けたため、貯留部15側に、有底空間16が位置する高さまで中和剤を充填したとしても、スリット部27からの給水を可能にしつつ、隔壁19による中和剤の有底空間16内への侵入を防止することができる。したがって、本実施形態によれば、有底空間16から上水を吐出させる機能を確保しつつ、できるだけ多くの中和剤を第一中和室22に充填することができる。
さらに、本実施形態では、第一補助仕切壁18aの切欠き部31に網状部材70を取り付けたため、切欠き部31に到達するほどの中和剤が第一中和室22に充填された場合であっても、中和剤が第二中和室23側に侵入することを阻止することができる。
【0085】
また、本実施形態では、有底空間16にスロープ部54を設け、スロープ部54で上水の流速を増加して貯留部15に吐出させる構成としたため、有底空間16内で滞留する上水を減少させることができる。さらに、万一、有底空間16内に侵入したドレンがあったとしても、スロープ部54によって、貯留部15側に戻すことができるため、有底空間16内で滞留するドレンをなくすことができる。
【0086】
また、本実施形態は、ドレン上流側開口30と連通した縦長スリット59を設けて、ドレン上流側開口30よりも下方に存在するドレンを下流側に流すことができる構成としたため、例えば、燃焼装置1を長期間使用しないような場合に、ドレン導入室21側のドレンをほぼ完全に排出することが可能となる。これにより、本実施形態では、貯留部15内で、ドレンが凍結してしまうことを、予め防止することができる。
【0087】
ここで、壁掛け型の燃焼装置1は、取り付け強度等の観点から、できるだけ軽量化を図りたいという要望がある。そこで、比較的重量物である中和剤の量に注目した。
ところで、本実施形態では、第二中和室23は、第一中和室22よりもドレンの流れ方向下流側であるため、酸性度が弱められたドレンが流れ込んでくる。また、一般的に、中和剤は液体に浸かっている場合、経時的に消耗することが知られている。
そこで、本実施形態では、第二中和室23におけるドレンに浸り得る中和剤を減量するべく、第二中和室23の内部を、底面壁51方向(高さ方向下方)に向けて開口面積が減縮する構造とした。これにより、第二中和室23に充填される中和剤は、所定の高さを基準に、高さ方向下方に向かうほど量が少なく、高さ方向上方は量が一定となり、従来の総量に比べると、減縮させることが可能である。すなわち、本実施形態では、第二中和室23において、ドレンが浸かり得る部分を下方に向かって縮小される構造にすると共に、ドレンが浸かり得ない部分を縮小されない構造にすることで、中和剤の総量が従来に比べて減縮させることが可能となる上、ドレンを適度に中和しつつ、待機させるべき中和剤を十分に確保することができる。
【0088】
上記実施形態では、有底空間16を貯留部15のドレンの水面から逸脱した位置に配した構成を示したが、本発明はこれに限定されず、有底空間を貯留部のドレンの水面の直上に配置した構成であっても構わない。
【0089】
上記実施形態では、貯留部15の正常水位が、有底空間16の底面壁51よりも低位置となる構成を示したが、本発明はこれに限定されず、貯留部の正常水位が、有底空間の底面壁よりも高位置となる構成であっても構わない。すなわち、
図19に示すように、各スリット72の下端縁と、隔壁71の下端部とに落差があれば、その落差分の範囲内であれば、正常水位が有底空間の底面壁51bよりも高位置であっても、ドレンが有底空間内に浸水するおそれがない。ただし、この構成にすれば、上水の滞留部ができる可能性があるため、上記実施形態の方が好ましい。
【0090】
上記実施形態では、有底空間16に設けた隔壁19に、上水の通水孔としてスリット状の孔が形成された構成を示したが、本発明はこれに限定されず、隔壁に、円形や方形、あるいは多角形状の孔を複数あるいは1つ形成した構成であっても構わない。要するに、隔壁の通水孔は、上水の通水を可能にすると共に、中和剤の有底空間側への侵入を防止できればいかなる形状のものであっても構わない。
【0091】
上記実施形態では、主仕切壁17や補助仕切壁18にドレンの通過口として、主に方形状の開口やスリットあるいは切欠きを設けた構成を示したが、本発明ではこれに限定されず、曲線を含んだ形状や、多角形状のものであっても構わない。なお、第一主仕切壁17aに関しては、歪な形状のものを示したが、方形状であったり、多角形状のものであっても構わない。
【0092】
上記実施形態では、平面視形状がほぼ円形状の有底空間16を備えた構成を示したが、本発明はこれに限定されず、平面視形状が方形や多角形、あるいは曲線を含んだ形状等であっても構わない。
【0093】
また、上記実施形態では、液体燃料を使用する逆燃式の燃焼装置1に中和装置11を適用した構成を示したが、本発明はこれに限定されず、ガス燃料を使用する一般的な燃焼装置に適用した構成であっても構わない。
【0094】
また、上記実施形態では、貯留部15の一部の領域に中和剤を充填した構成を示したが、本発明はこれに限定されず、貯留部15の全ての領域に中和剤を充填した構成を示しても構わない。
【0095】
上記実施形態では、第一中和室22と第二中和室23において、中和剤の充填配分を変化させた構成を示したが、本発明はこれに限定されず、中和剤の充填配分を変化させない構成であっても構わない。
【0096】
上記実施形態では、第一補助仕切壁18aの切欠き部31に網状部材70を取り付けた構成を示したが、本発明はこれに限定されず、切欠き部31に替えて、第一補助仕切壁18a自体に中和剤が通過し得ない形状の開口を設けた構成としても構わない。
また、第一補助仕切壁18aに、網状部材70を取り付けたり、中和剤が通過し得ない開口を設けることなく、単に切欠き部31を備えた構成であっても構わない。
【0097】
上記実施形態では、有底空間底面壁51bの直上に給水口29を配した構成を示したが、本発明はこれに限定されず、有底空間16を形成する側面壁52に位置するように給水口29を設けた構成であっても構わない。要するに、給水口29は、有底空間底面壁51bよりも高位置に設けた構成であればよい。
【0098】
上記実施形態では、第一主仕切壁17aに縦長スリット59を設けた構成を示したが、本発明はこれに限定されず、設けない構成であっても構わない。