(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
室外に設置される凝縮器(3)の風上側に所定の厚みを有する保水材本体(31)を前記凝縮器(3)に近接して配置し、前記保水材本体(31)に水を流下させ、前記保水材本体(31)により前記水が気化する際の潜熱を利用して吸い込んだ空気を冷却し、この冷却された吸い込み空気にて前記凝縮器(3)を冷却させる凝縮器の補助冷却装置であって、
前記保水材本体(31)は、空気の吸い込み方向に複数層の保水材(30a)(30b)で構成されており、
前記保水材本体(31)の一方の保水材(30a)は、空気の吸い込み方向における垂直方向に所定の傾斜角度で上昇や下降する空気流通路(52)を上下方向及び左右方向に連続して多数有しており、
前記他方の保水材(30b)は、空気の吸い込み方向における垂直方向に所定の傾斜角度で下降または上昇する空気流通路(52)を上下方向及び左右方向に連続して多数有しており、
前記一方の保水材(30a)の空気流通路(52)の傾斜角度と、前記他方の保水材(30b)の空気流通路(52)の傾斜角度とは異なる傾斜角度とし、
前記保水材(30a)(30b)の両空気流通路(52)を介して空気を通過させて該空気を冷却するようにしていることを特徴とする凝縮器の補助冷却装置。
前記保水材本体(31)の保水材(30a)(30b)のうち、いずれかの保水材(30a)の空気流通路(52)のピッチを、他方の保水材(30b)の空気流通路(52)のピッチとは異ならせていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の凝縮器の補助冷却装置。
前記保水材本体(31)の両保水材(30a)(30b)の間に空間部(40)を設けていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の凝縮器の補助冷却装置。
前記保水材本体(31)の他方の保水材(30b)を構成している波板材(51)を、鉄、アルミニウム、銅などの熱伝導率の良い性質を持った部材で構成していることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の凝縮器の補助冷却装置。
前記波板材(51)を、紙材からなるベース基材(60)と、このベース基材(60)の片面又は両面に貼合されるシート状のアルミ材(61)とで構成していることを特徴とする請求項6に記載の凝縮器の補助冷却装置。
前記他方の保水材(30b)を構成している波板材(51)に、多数の穴(62)を穿孔していることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の凝縮器の補助冷却装置。
前記保水材本体(31)の保水材(30a)(30b)の空気流通路(52)の垂直方向や水平方向の傾斜角度は、約20°〜35°の範囲としていることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の凝縮器の補助冷却装置。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−213361号公報
【0004】
上記特許文献1に記載の補助冷却装置は、空調室外機の凝縮器の放熱フィンに、スプレーノズルにより細かい粒状または霧状の水をほぼ均一に散布するものであり、この散布した水の蒸発潜熱によって放熱フィンを冷却するものである。
【0005】
しかしながら、この特許文献1は、夏場の高温時に凝縮器の放熱フィンにノズルにより直接水道水を散水し、冷却効率を向上させるものの、運転を長期にわたって続ける間に放熱フィンの表面に水垢・スケール等が付着するために、空冷運転時の熱交換効率の低下や放熱フィンの腐食などが発生するという問題がある。特に、放熱フィンの腐食、経年劣化が著しく、5〜6年で放熱フィンあるいは凝縮器自体を交換する必要が生じ、結果として高価になるという問題があった。
【0006】
この問題を補う空冷式凝縮器の補助冷却装置としては、例えば、下記に示す特許文献2が挙げられる。
【0007】
【特許文献2】特開2004−3806号公報
【0008】
この特許文献2示す補助冷却装置は、凝縮器の放熱フィンの近傍にクーリングマットを放熱フィンから一定距離を離して設置し、このクーリングマットに冷却水を流下させて凝縮器の吸い込み空気を冷却させるようにしたものである。
しかしながら、この特許文献2に用いられているクーリングマットは、繊維状のものを用いているために、構造上冷却効率が低く、さらに目詰まりによる圧力損失が増大していく等の不具合がある。
【0009】
この特許文献2の不具合を解決するようにしたものとして、例えば、下記に示す特許文献3が挙げられる。
【0010】
【特許文献3】特開2009−236370号公報
【0011】
この特許文献3に記載されている補助冷却装置は、
図19に示すように、空冷式凝縮器80の吸い込み空気の上流側に充填材81が配置されたものであり、この充填材81は、吸い込み空気の方向に所定の厚みを有している。そして、充填材81に上方から水を流し、充填材81の下部から流れ出る水を回収容器82で回収している。
【0012】
この回収容器82に回収された水は、ポンプ83により給水管84を介して充填材81の上方まで汲み上げられ、この汲み上げられた水は、水供給容器85が備える複数の排水口を通って、充填材81の上方から内部に一様に流すようにしている。充填材81内で水を流下させて、凝縮器80の吸気によって充填材81内の水を蒸発させることで、気化熱の作用で吸気冷却を行なっている。
【0013】
図20は充填材81の要部拡大断面図を示し、この充填材81は波板を積層して接着し、所定の箇所から切断して形成したものであり、空気の流通方向に対して上昇と下降する空気流通路90、91が複数形成されている。
実線で示す空気流通路90は上昇し、該空気流通路90は上下方向に多数形成され、また、破線で示す空気流通路91は下降し、該空気流通路91は、空気流通路90に対して幅方向に隣接して形成されると共に、上下方向に多数形成されている。
【0014】
実線で示す矢印イは空気流通路90を流通する吸い込み空気を示し、破線で示す矢印ロは空気流通路91を流通する吸い込み空気を示している。そして、この特許文献3では、互い違いに傾斜した空気流通路90、91によって空気の乱流を促進し、吸気冷却性能を向上させる、としているが、空気の流入口と流出口との間は、単に上昇、下降の角度が一定としているために、空気の乱流を促進し難くなっている。
【0015】
そのため、充填材81の厚みを厚くする必要があり、コストアップになると共に、室外機の吸い込み面と建物の壁面との間の距離があまり無い場合には、充填材81にスムーズに空気が吸い込まれにくくなり、また、壁面と室外機との間の距離があまり無い場合には、充填材81を設置できないという問題がある。
【0016】
また、空気流通路90、91の傾斜角度が一定のために、室外機からの音が空気流通路90、91をそのまま通過するために、防音性に欠けるという問題もある。
【0017】
また、特許文献3に記載の充填材81の材料として、ポリエチレンテレフタレートと、ポリエチレンと、ガラス繊維で構成しているため、材料代が高くなり、また、材料自体は水を吸収しにくい為に、充填材81に水を十分に吸収できず、蒸発しにくい恐れもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は上述の問題点に鑑みて提供したものであって、少なくとも以下の目的を持った凝縮器の補助冷却装置を提供するものである。
(1)吸い込まれた空気の乱流を一層促進させ、効率良く気化させること。
(2)厚みを薄くして、コストを安価にすること。
(3)厚みを薄くすることで、室外機と壁面との距離があまり無い場合でも設置できるようにすること。
(4)防音性を高めること。
【課題を解決するための手段】
【0019】
そこで、本発明の請求項1に記載の凝縮器の補助冷却装置では、室外に設置される凝縮器3の風上側に所定の厚みを有する保水材本体31を前記凝縮器3に近接して配置し、前記保水材本体31に水を流下させ、前記保水材本体31により前記水が気化する際の潜熱を利用して吸い込んだ空気を冷却し、この冷却された吸い込み空気にて前記凝縮器3を冷却させる凝縮器の補助冷却装置であって、
前記保水材本体31は、空気の吸い込み方向に複数層の保水材30a、30bで構成されており、
前記保水材本体31の一方の保水材30aは、空気の吸い込み方向における垂直方向に所定の傾斜角度で上昇や下降する空気流通路52を上下方向及び左右方向に連続して多数有しており、
前記他方の保水材30bは、空気の吸い込み方向における垂直方向に所定の傾斜角度で下降または上昇する空気流通路52を上下方向及び左右方向に連続して多数有しており、
前記一方の保水材30aの空気流通路52の傾斜角度と、前記他方の保水材30bの空気流通路52の傾斜角度とは異なる傾斜角度とし、
前記保水材30a、30bの両空気流通路52を介して空気を通過させて該空気を冷却するようにしていることを特徴としている。
【0020】
請求項2に記載の凝縮器の補助冷却装置では、前記一方の保水材30aの空気流通路52と、前記他方の保水材30bの空気流通路52とは略対向して配置されており、
前記一方の保水材30aの空気流通路52の傾斜角度を下降または上昇する傾斜角度とし、前記他方の保水材30bの空気流通路52の傾斜角度を上昇または下降する傾斜角度としていることを特徴としている。
【0021】
請求項3に記載の凝縮器の補助冷却装置では、前記保水材本体31の保水材30a、30bのうち、いずれかの保水材30aの空気流通路52のピッチを、他方の保水材30bの空気流通路52のピッチとは異ならせていることを特徴としている。
【0022】
請求項4に記載の凝縮器の補助冷却装置では、前記保水材本体31の両保水材30a、30bの間に空間部40を設けていることを特徴としている。
【0023】
請求項5に記載の凝縮器の補助冷却装置では、前記保水材本体31の一方の保水材30aの空気流通路52は、空気の吸い込み方向における水平方向に所定の傾斜角度を有しており、
前記他方の保水材30bの空気流通路52は、空気の吸い込み方向における水平方向に所定の傾斜角度を有しており、
前記一方の保水材30aの空気流通路52の水平方向の傾斜角度と、前記他方の保水材30bの空気流通路52の水平方向の傾斜角度とは異ならせていることを特徴としている。
【0024】
請求項6に記載の凝縮器の補助冷却装置では、前記保水材本体31の他方の保水材30bを構成している波板材を、鉄、アルミニウム、銅などの熱伝導率の良い性質を持った部材で構成していることを特徴としている。
【0025】
請求項7に記載の凝縮器の補助冷却装置では、前記波板材を、紙材からなるベース基材60と、このベース基材60の片面又は両面に貼合されるシート状のアルミ材61とで構成していることを特徴としている。
【0026】
請求項8に記載の凝縮器の補助冷却装置では、前記他方の保水材30bを構成している波板材に、多数の穴62を穿孔していることを特徴としている。
【0027】
請求項9に記載の凝縮器の補助冷却装置では、前記保水材本体31の保水材30a、30bの空気流通路52の垂直方向や水平方向の傾斜角度は、約20°〜35°の範囲としていることを特徴としている。
【0028】
請求項10に記載の凝縮器の補助冷却装置では、前記保水材本体31は、2層の保水材30a、30bで構成し、前記保水材30a、30bの下面を内側に上昇して傾斜する傾斜面32とし、
断面を略コ字型にした排水樋25の底部の上面に前記保水材30a、30bを配置し、
前記保水材30a、30bから流下した水を前記排水樋25を介して排水するようにしていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0029】
本発明の請求項1に記載の凝縮器の補助冷却装置によれば、外気の吸い込み方向の途中で空気流通路52の傾斜角度を変えていることで、空気の流れが不規則となり、空気の乱流を一層促進させて、水を効率的に気化させることができ、空気を一層冷却させることができる。そのため、保水材本体31内において空気流通路52の傾斜角度が変わらない特許文献3の場合と比べて、保水材本体31の空気の吸い込み方向の寸法、つまり、保水材本体31の厚みを厚くする必要がなく、保水材本体31の厚みを薄くすることができる。したがって、室外機1と建物の壁面との距離があまり無い場合でも補助冷却装置10を設置することが可能となる。また、保水材本体31の厚みを薄くすることができるので、保水材本体31のコストを安価にすることができる。
また、両保水材30a、30bで構成される保水材本体31は、途中で空気流通路52の傾斜角度を変えていることで、室外機1側からの音が空気流通路52内で乱反射される形となり、そのため、防音性を高めることができる。
このように、補助冷却装置10の保水材本体31にて冷却された空気により凝縮器3の温度上昇を防止して、凝縮器3の効率を上げることができる。
【0030】
請求項2に記載の凝縮器の補助冷却装置によれば、一方の保水材30aの空気流通路52と、他方の保水材30bの空気流通路52とは略対向して配置されており、前記一方の保水材30aの空気流通路52の傾斜角度を下降または上昇する傾斜角度とし、前記他方の保水材30bの空気流通路52の傾斜角度を上昇または下降する傾斜角度としているので、吸い込まれた空気は、一方の保水材30aの空気流通路52から他方の保水材30bの空気流通路52に流れた時に大きく傾斜角度が変化し、そのため、空気の流れが不規則となり、空気の乱流を一層促進させて、水を効率的に気化させることができ、空気を一層冷却させることができる。また、この請求項2においても請求項1と同様の効果を奏する。
【0031】
請求項3に記載の凝縮器の補助冷却装置によれば、保水材本体31の保水材30a、30bのうち、いずれかの保水材30aの空気流通路52のピッチを、他方の保水材30bの空気流通路52のピッチとは異ならせていることで、吸い込まれた空気は、一方の保水材30aの空気流通路52から他方の保水材30bの空気流通路52に流れた時に空気の流れが不規則となり、空気の乱流を一層促進させて、水を効率的に気化させることができ、空気を一層冷却させることができる。また、この請求項3においても請求項1と同様の効果を奏する。
【0032】
請求項4に記載の凝縮器の補助冷却装置によれば、保水材本体31の両保水材30a、30bの間に空間部40を設けていることで、一方の保水材30aの空気流通路52に吸い込まれた空気は、空間部40に流れた際に空気の流れが不規則となり、空気の流れを一層促進させ、さらに、空間部40から他方の保水材30bの空気流通路52に吸い込まれた際に、空気の流れが不規則となり、空気の流れを一層促進させ、これにより、保水材本体31での水を効率的に気化させることができ、空気を一層冷却させることができる。このように、前記空間部40により空気の乱流を一層促進させることができ、この請求項4においても請求項1と同様の効果を奏する。
【0033】
請求項5に記載の凝縮器の補助冷却装置によれば、保水材本体31の一方の保水材30aの空気流通路52は、空気の吸い込み方向における水平方向に所定の傾斜角度を有しており、前記他方の保水材30bの空気流通路52は、空気の吸い込み方向における水平方向に所定の傾斜角度を有しており、前記一方の保水材30aの空気流通路52の水平方向の傾斜角度と、前記他方の保水材30bの空気流通路52の水平方向の傾斜角度とは異ならせていることで、吸い込まれた空気は、水平方向、垂直方向へと空気の流れが一層不規則となり、空気の乱流を一層促進させることができる。また、この請求項5においても、請求項1と同様の効果を奏する。
【0034】
請求項6に記載の凝縮器の補助冷却装置によれば、前記保水材本体31の他方の保水材30bを構成している波板材を、鉄、アルミニウム、銅などの熱伝導率の良い性質を持った部材で構成しているものであり、熱伝導率の高い素材で構成した保水材30bを、保水材30aの風下側に配置し、保水材30aの波板材51に水を流下させ、熱伝導率の高い波板材51は、冷却された温度により素材全体(波板材51全体)の温度を下げ、また、波板材51の波形形状により冷却面積を広くすることで、伝導率の悪い通過空気の温度を効率良く下げることができる。
【0035】
請求項7に記載の凝縮器の補助冷却装置によれば、前記波板材を、紙材からなるベース基材60と、このベース基材60の片面又は両面に貼合されるシート状のアルミ材61とで構成していることで、材料自体は安価であるので、波板材51のコストを安価にすることができ、また、波板材51の構成部材は、紙材からなるベース基材60と、シート状のアルミ材61であるので、波板材51を軽量化することができる。
【0036】
請求項8に記載の凝縮器の補助冷却装置によれば、前記他方の保水材30bを構成している波板材に、多数の穴62を穿孔しているので、穴62を介して水が流下し、そのため、波板材51は効率良く冷却されて、波板材51全体の温度を下げ、波板材51に穴62をあけない場合と比べて、伝導率の悪い通過空気の温度を一層効率良く下げることができる。
【0037】
請求項9に記載の凝縮器の補助冷却装置によれば、保水材本体31の保水材30a、30bの空気流通路52の垂直方向や水平方向の傾斜角度は、約20°〜35°の範囲としているので、空気が吸い込まれる際に圧力損失が生じずに、スムーズに吸い込まれて空気の乱流を促進させることができる。
【0038】
請求項10に記載の凝縮器の補助冷却装置によれば、保水材本体31は、2層の保水材30a、30bで構成し、前記保水材30a、30bの下面を内側に上昇して傾斜する傾斜面32とし、断面を略コ字型にした排水樋25の底部の上面に前記保水材30a、30bを配置し、前記保水材30a、30bから流下した水を前記排水樋25を介して排水するようにしているので、保水材本体31と排水樋25との間に空間を無くすことができ、補助冷却装置10の上下方向の寸法を短くでき、小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本発明の実施の形態における室外機と補助冷却装置の概略構成図である。
【
図2】本発明の実施の形態における保水材本体を正面から見た概略図である。
【
図3】本発明の実施の形態における冷凍サイクルを示す図である。
【
図4】本発明の実施の形態における保水材を製作する場合の説明図である。
【
図5】本発明の実施の形態における保水材を製作する場合の説明図である。
【
図6】本発明の実施の形態における保水材を製作する場合の説明図である。
【
図7】本発明の実施の形態における保水材を製作する場合の説明図である。
【
図8】本発明の実施の形態における保水材の溝の傾斜角度を示す要部拡大断面図である。
【
図9】本発明の実施の形態における保水材本体の要部拡大断面図である。
【
図10】本発明の実施の形態における一方の保水材の溝の傾斜角度を異ならせた場合の要部拡大断面図である。
【
図11】本発明の実施の形態における一方の保水材の溝の傾斜角度を異ならせた場合の要部拡大断面図である。
【
図12】本発明の実施の形態における一方の保水材の溝のピッチを異ならせた場合の要部拡大断面図である。
【
図13】本発明の実施の形態における両保水材の間に空間部を設けた場合の要部拡大断面図である。
【
図14】本発明の実施の形態における熱伝導率の高い素材を用いた場合の波板材の説明図である。
【
図15】本発明の実施の形態における熱伝導率の高い素材を用いた場合の波板材に多数の穴を穿孔した場合の説明図である。
【
図16】本発明の実施の形態における保水材本体の平面図である。
【
図17】本発明の実施の形態における保水材の水平方向における溝の傾斜角度を持たせた場合の平面図である。
【
図18】本発明の実施の形態における保水材の水平方向における溝の傾斜角度を異ならせた場合の平面図である。
【
図19】従来例の室外機と補助冷却装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は室外機1の吸い込み空気の上流側に補助冷却装置10を設置した場合の概略構成図を示しており、また、
図2は
図1のA方向から見た概略正面図を示している。
室外機1は、周知の構成であるため、詳細
な説明は省略するが、室外機1のケース2の一方には凝縮器3が配置され、ケース2の上部には冷却ファン4が設けられている。なお、本実施形態では冷却ファン4をケース2の上部に設けているが、凝縮器3に対向した位置に冷却ファン4が設けられている場合もある。
【0041】
補助冷却装置10は、詳しくは後述する気化式空気冷却装置11と、この気化式空気冷却装置11から排水管12を介して排水される水を回収する水回収装置13と、この水回収装置13に貯溜している水をポンプ14を介して前記気化式空気冷却装置11側に送る給水管15と、この給水管15からの水を気化式空気冷却装置11の上面に給水する給水装置16等で構成されている。
【0042】
なお、
図1では給水管15を室外機1より右方に描いているが、実際の施工は室外機1の左方で、気化式空気冷却装置11の側面に配管されるようになっている。しかし、補助冷却装置10の気化式空気冷却装置11は、凝縮器3の吸い込み空気の上流側に該室外機1に近接して配置されるが、他の水回収装置13や給水管15は任意の箇所に配置、施工される。
【0043】
気化式空気冷却装置11は、
図2に示すように、凝縮器3の大きさとほぼ同じか、若干大きめの大きさとしており、気化式空気冷却装置11にて凝縮器3の空気の吸い込み面を覆う大きさである。
【0044】
図3は、周知な冷凍サイクルを示し、冷凍サイクルは、凝縮器3、圧縮器5、室内に設置される室内機内の蒸発器6、膨張弁7等で構成されており、それぞれ冷媒管8にて接続されている。
冷房運転時では、圧縮器5で冷媒管8内の冷媒が圧縮されて、冷媒は高温ガスになり、凝縮器3内を冷却ファン4にて気化する際の水の潜熱にて一定の温度に下げられ冷媒ガスは液化する。膨張弁7にて冷媒の圧力は急激に下げられ、冷媒ガスの潜熱で冷たくなり、蒸発器6で部屋の温度を熱交換を行ない、室内機から冷風が部屋内に送られて冷房が行なわれる。
【0045】
本実施形態では、水回収装置13内の水をポンプ14、給水管15を介して気化式空気冷却装置11へ循環させ、気化式空気冷却装置11内では水が気化する際の潜熱を利用して気化式空気冷却装置11内で吸気された空気の温度を低下させ、この低下させた空気にて凝縮器3を冷却させるものである。
気化式空気冷却装置11内を流下した水は排水管12を介して水回収装置13に回収される。
【0046】
水回収装置13へは、水道水等の補給水が補給水管20から供給されるようになっており、補給水管20にはフロート弁21が介装されている。このフロート弁21は、液面に浮かぶフロート22が液面の高さに応じて上下方向に移動することにより開閉する弁である。
水回収装置13の液面が所定の高さ以下になると、フロート22が下降してフロート弁21が開いて補給水管20から水が供給される。また、補給水が供給されていって液面が所定の高さ以上になると、フロート22が上昇してフロート弁21が閉じられ、補給水管20からの水の供給が停止される。
【0047】
気化式空気冷却装置11へ水回収装置13からの水を循環させて給水する給水装置16は、気化式空気冷却装置11の幅方向と略同じ長さとし、例えばパイプに複数の穴を穿孔しておき、これらの穴から水を気化式空気冷却装置11の上面に滴下ないし散水するものである。
【0048】
なお、
図2に示すように気化式空気冷却装置11の下部には排水樋25が設けられており、この排水樋25の端部に排水管12が接続されて、気化式空気冷却装置11から流下した水は水回収装置13へ回収されるようになっている。
【0049】
次に、本発明の要旨である気化式空気冷却装置11の構成について説明する。本実施形態での気化式空気冷却装置11は、
図1に示すように、外気の吸い込み方向に2つの保水材30にて2層構造としている。なお、この保水材30は、一般に通称クーリングパッド( Cooling Pad )と呼ばれ、木材のチップを加工した紙質と、ポリエチレンと、ガラス繊維で構成され従来より市販されている。また、このクーリングパッドは、主に畜舎並びに園芸用施設の温度を下げるために用いられるものであり、日本では、無窓畜舎、施設園芸用温室で広く使用されているものである。
【0050】
図4〜
図7は保水材30の作り方を示しており、保水材30の構造を理解し易いように、この保水材30の構造について説明する。
図4において、波形形状をした波板材51を多層に積層して形成するものであり、それぞれの波板材51は、強固に加工された紙で出来ている。なお、波板材51の波形形状で形成されて連続して形成される溝52が、空気の流通路となる。
上下の波板材51を吸気方向に対して互い違いに任意の角度、例えば、30°前後に組み合わせ、上の波板材51の波の下側の頂点と、下の波板材51の波の上側の頂点と
が交差する点、つまり、
図5に示す黒丸(●)の部分を接着剤にて接着し、上下の波板材51を接着固定する。
【0051】
このようにして波板材51を多数積層したのが
図6に示す保水材本体55であり、この保水材本体55を図中矢印のイ方向にカッター等にて切断することで、任意の厚みの保水材片56を得る。そして、
図7に示すように、縦方向、横方向の矢印ロ、ハに示すようにカッター等にて切断することで、任意の大きさの保水材30を形成することができる。
本発明で用いる保水材30は、任意の厚みや大きさを容易に製作することができ、また、波板材51を上下に積層する際に、波板材51を任意の角度で傾斜して積層することで、外気の吸気方向に対する波板材51の各溝52の傾斜角度も任意に形成することができる。また、
図4に示すように、溝52の幅寸法Lや高さ寸法Hを任意に製作することができる。
【0052】
図8は上記のようにして製作された保水材30の要部拡大断面図を示し、保水材30の右方に凝縮器3が位置し、左方から矢印に示すように空気が保水材30の溝52(以後、この溝を「空気流通路」と称する。)を通過する。
この実線で示している空気流通路52は例えば、30°の傾きで上昇し、この実線で示されている空気流通路52と幅方向で隣接し、破線で示している空気流通路52は、例えば、30°の傾きで下降している構成となっている。これらの空気流通路52が保水材30の上下方向及び左右方向に連続して形成されている。
【0053】
なお、
図8に示す単体の保水材30は、従来例の
図20に示すものと同じ構成であるが、本実施形態では保水材30の材料を紙材としているのが異なっている。また、本実施形態では、
図8に示す保水材30を空気の吸い込み方向に2つ(2層)配置するものである。もちろん、保水材30を3層、4層配置するようにしても良い。
【0054】
この保水材30に給水装置16からの水が滴下され、保水材30自体に水が吸水されて湿潤状態となり、同時に保水材30の表面、つまり各空気流通路52の表裏の面を水が流下していき、保水材30に吸収されなかった水は保水材30の表面を伝って水回収装置13へと流れて回収される。
【0055】
図9は、2枚の保水材30(30a、30b)を外気の吸い込み方向に配置した場合を示しており、2枚の保水材30a、30bは当接して配置している。
図9に示す両保水材30a、30bの空気流通路52の傾斜角度は略30°のものを用いている場合を示している。ここで、2枚の保水材30a、30bで保水材本体31と称する。
【0056】
また、保水材30から流下した水を受ける排水樋25は、断面を略コ字型に形成すると共に、底部の中央部に長手方向に沿って断面を略半円状にした排水溝26を一体に形成している。その排水溝26の端部に
図2に示すように排水管12が接続されいる。
【0057】
さらに、本実施形態では、保水材30の底面は水平面ではなく、両保水材30a、30bの当接面側に上向く傾斜面32としており、両保水材30a、30bを当接すると断面が略三角形状の空所33が形成される。
そして、両保水材30a、30bの下端縁が排水樋25の隅部に位置決めされて、両保水材30a、30bは排水樋25にて支持される。なお、保水材30の全体は枠体(図示せず)にて支持固定されるようになっている。
【0058】
上記空所33が形成されることで、保水材30a、30bの下面を保形させるべく、該保水材30a、30bの下面に断面を略く字型として金網34を配設している。
【0059】
このように、両保水材30a、30bの下面を傾斜させてカットした傾斜面32を形成し、保水材30a、30bの下端縁を排水樋25の隅部に位置決めし、空所33へ水を流下させて、排水樋25の排水溝26を介して排水するようにしている。
保水材30a、30bの下面に傾斜面32を形成せずに、下面を水平にした場合では、保水材30a、30bの下面から空間を介して排水樋25を配設する必要がある。かかる場合は、その空間の寸法だけ縦方向の寸法が大きくなるという問題が生じる。
【0060】
しかし、本実施形態では、保水材本体31の保水材30a、30bの下端縁を排水樋25の底部に当接していることで、保水材本体31と排水樋25との間に空間を無くすことができ、その分、補助冷却装置10の上下方向の寸法を短くでき、より小型化を図ることができる。
【0061】
図9の断面部分においては、外気の吸い込み側の保水材30aの空気流通路52は傾斜が下降する方向であり、排気側の保水材30bの空気流通路52は傾斜が上昇する方向としているが、保水材30の左右方向(図面上では前後方向)に隣接する空気流通路52は図示しているのとは逆の傾斜となっている。
また、
図9では両保水材30a、30bの空気流通路52の開口面を一致させているが、実際には、両保水材30a、30bを当接した状態では、上下、左右方向にずれが生じている。
【0062】
保水材30aの空気流通路52に吸い込まれた空気は、吸水性の良い紙材からなる保水材30aは水が湿潤状態となっていて、水が気化する際の水の潜熱により空気が冷却される。また、保水材30aからの冷却された空気が保水材30bの空気流通路52に吸い込まれる際には空気流通路52の傾斜角度が上昇または下降の方向へと傾斜角度として60°の変化が起こり、この部分で空気の乱流を一層促進させることができる。
つまり、吸い込まれた空気は、一方の保水材30aの空気流通路52から他方の保水材30bの空気流通路52に流れた時に大きく傾斜角度が変化し、そのため、空気の流れが不規則となり、空気の乱流を一層促進させて、水を効率的に気化させることができ、空気を一層冷却させることができる。
【0063】
すなわち、外気の吸い込み方向の途中(本実施形態では約半分の位置)で空気流通路52の傾斜角度を変えていることで、空気の流れが不規則となり、空気の乱流を一層促進させて、水を効率的に気化させることができ、空気を一層冷却させることができる。
そのため、気化式空気冷却装置11内において空気流通路52の傾斜角度が変わらない特許文献3の場合と比べて、保水材本体31の空気の吸い込み方向の寸法、つまり、保水材本体31の厚みを厚くする必要がなく、保水材本体31の厚みを薄くすることができる。したがって、室外機1と建物の壁面との距離があまり無い場合でも本発明の補助冷却装置10を設置することが可能となる。また、保水材本体31の厚みを薄くすることができるので、保水材本体31のコストを安価にすることができる。特に、保水材本体31を紙材で構成しているので、特に安価で保水材本体31を製作することができる。
【0064】
また、両保水材30a、30bで構成される保水材本体31は、途中で空気流通路52の傾斜角度を変えていることで、室外機1側からの音が空気流通路52内で乱反射される形となり、そのため、防音性を高めることができる。
【0065】
このように、補助冷却装置10の保水材本体31にて冷却された空気により凝縮器3の温度上昇を防止して、凝縮器3の効率を上げることができる。また、補助冷却装置10を循環する水は、保水材本体31で蒸発した分だけ補給するものであり、水回収装置13で水位が低下した場合にフロート弁21の作用により、蒸発した分の水量のみ補給される。そのため、ランニングコストも低く抑えることができる。
【0066】
図10は、一方の保水材30aの空気流通路52の傾斜角度は
図9の場合と同じ約30°とし、他方の保水材30bの空気流通路52の傾斜角度を約20°または25°とした場合を示している。この
図10では保水材30aの空気流通路52の傾斜角度を上昇させ、保水材30bの空気流通路52の傾斜角度を下降させた場合である。
この実施形態でも、吸い込んだ空気は保水材本体31の途中で不規則に変化して空気の乱流を一層促進させ、
図9の場合と同様の効果を奏する。
【0067】
図11は、一方の保水材30aの空気流通路52の傾斜角度を約30°とし、他方の保水材30bの空気流通路52の傾斜角度を約35°とした場合である。かかる場合、保水材本体31の途中での空気流通路52の傾斜角度の変化は少ないものの、両保水材30a、30bの当接している空気流通路52の開口面が上下、左右方向にずれているために、全体としては、保水材本体31の途中での空気の乱流は促進される。
この実施形態でも、吸い込んだ空気は保水材本体31の途中で不規則に変化して空気の乱流を一層促進させ、
図9の場合と同様の効果を奏する。
【0068】
図12は、一方の保水材30aの空気流通路52のピッチを、他方の保水材30bの空気流通路52のピッチより大きくしたものである。かかる場合でも、吸い込んだ空気は保水材本体31の途中で不規則に変化して空気の乱流を一層促進させ、
図9の場合と同様の効果を奏する。
すなわち、保水材本体31の保水材30a、30bのうち、いずれかの保水材30aの空気流通路52のピッチを、他方の保水材30bの空気流通路52のピッチとは異ならせていることで、吸い込まれた空気は、一方の保水材30aの空気流通路52から他方の保水材30bの空気流通路52に流れた時に空気の流れが不規則となり、空気の乱流を一層促進させて、水を効率的に気化させることができ、空気を一層冷却させることができる。
【0069】
ここで、一方の保水材30aの空気流通路52のピッチ、つまり空気流通路52の幅を例えば、10mmとし、他方の保水材30bの空気流通路52のピッチ、つまり空気流通路52の幅を例えば5mmとしている。空気流通路52のピッチの寸法は特に限定されるものではなく、適宜設定することができる。
【0070】
図13は、両保水材30a、30bの間に空間部40を設けた場合を示している。一方の保水材30aの空気流通路52に吸い込まれた空気は、空間部40に流れた際に空気の流れが不規則となり、空気の流れを一層促進させ、さらに、空間部40から他方の保水材30bの空気流通路52に吸い込まれた際に、空気の流れが不規則となり、空気の流れを一層促進させ、これにより、保水材本体31での水を効率的に気化させることができ、空気を一層冷却させることができる。
このように、前記空間部40により空気の乱流を一層促進させることができ、先の実施形態と同様の効果を奏する。
【0071】
ところで、上記各実施形態においては、保水材本体31の他方の保水材30bを構成している多数の波板材51に通称クーリングパッドを構成している部材を用いていたが、これに限られるものではない。
例えば、保水材30bを構成している波板材51を、鉄、アルミニウム、銅などの熱伝導率の良い性質を持った部材で構成するようにしても良い。すなわち、保水材本体31の一方の保水材30aを潜熱冷却器として作用せしめ、他方の保水材30bを顕熱冷却器として作用せしめるようにしたものである。
【0072】
本実施形態における保水材本体31の保水材30aは、保水性が高い素材(
図4に示す波板材51)を用いて、波板材51で保水した水の潜熱で吸い込まれた空気の温度を下げることを目的としているが、飽和水蒸気圧になると、水は気化、蒸発しなくなる。
そこで、本実施形態では、保水材本体31の他方の保水材30bの波板材51の材料を熱伝導率の高い素材、例えば、鉄、アルミニウム、銅、あるいは紙材からなるベース基材の片面又は両面にシート状のアルミ材を貼合した素材を用いたものであり、かかる熱伝導率の高い素材からなる波板材51にて保水材30bを構成するようにしている。
【0073】
この熱伝導率の高い素材で構成した保水材30bを、保水材30aの風下側に配置し、保水材30aの波板材51に水を流下させ、熱伝導率の高い波板材51は、冷却された温度により素材全体(波板材51全体)の温度を下げ、また、波板材51の波形形状により冷却面積を広くすることで、伝導率の悪い通過空気の温度を効率良く下げることができる。
【0074】
図14は、熱伝導率の高い素材の波板材51の一例を示している。この波板材51は形状自体は
図4に示すのと同じであるが、素材を変えたものであり、紙材からなるベース基材60と、このベース基材60の両面にシート状のアルミ材61を貼合して形成したものである。
かかる場合には、材料自体は安価であるので、波板材51のコストを安価にすることができ、また、波板材51の構成部材は、紙材からなるベース基材60と、シート状のアルミ材61であるので、波板材51を軽量化することができる。
なお、
図14では、ベース基材60の両面にアルミ材61を貼合した場合を示しているが、ベース基材60の一方の面にだけアルミ材61を貼合するようにしても良い。
【0075】
また、
図15は、上記の熱伝導率の高い素材で構成した波板材51に多数の穴62を穿孔したものである。この波板材51に穴62を多数穿孔していることで、穴62を介して水が流下し、そのため、波板材51は効率良く冷却されて、波板材51全体の温度を下げ、波板材51に穴62をあけない場合と比べて、伝導率の悪い通過空気の温度を一層効率良く下げることができる。
【0076】
図9〜
図13において、保水材30の空気流通路52の傾斜角度を20°、25°、30°、35°等種々のものを用いていたが、これらの傾斜角度を有する空気流通路52を組み合わせて保水材本体31を構成することができるのはもちろんである。また、左右の保水材30の空気流通路52の傾斜角度を種々組み合わせて保水材本体31を構成するようにしても良い。
また、
図9〜
図12に示す実施形態において、
図13に示す空間部40を設けて保水材本体31を構成するようにしても良い。
【0077】
ところで、上記各実施形態においては、保水材本体31の保水材30a、30bの空気流通路52の傾斜角度を垂直方向で規定していたが、水平方向において組み合わせることができる。
図16は保水材本体31の平面図を示し、上記各実施形態における保水材本体31の保水材30a、30bの空気流通路52を示している。図中下側から外気が吸い込まれるものであり、保水材30a、30bの空気流通路52は外気の吸い込み方向と同じ方向である。
【0078】
図17では、一方の保水材30aの空気流通路52の水平方向に所定の角度で傾斜させ、他方の保水材30bの空気流通路52の水平方向における傾斜角度を保水材30aの空気流通路52の傾斜角度より小さくした場合である。
図18は、一方の保水材30aの水平方向における傾斜角度を左方へ傾けさせ、他方の保水材30bの水平方向における傾斜角度を右方へ傾けさせたものである。
【0079】
保水材30a、30bの空気流通路52の水平方向における左右の傾斜角度は、約20°〜約35°の範囲で任意に設定でき、これらを組み合わせることで、吸い込んだ空気を乱流させるのに一層促進させることができる。
このように、保水材30a、30bの空気流通路52の傾斜角度を水平方向、垂直方向に種々組み合わせることで、水平方向、垂直方向へと空気の流れが一層不規則となり、空気の乱流を一層促進させることができる。
【0080】
ここで、保水材30a、30bの空気流通路52の水平方向、垂直方向の傾斜角度を約20°〜35°としているが、傾斜角度を20°以下とした場合は、空気の乱流が起こりにくく、また、傾斜角度を35°以上とした場合は、圧力損失が大きくなって空気の吸い込みが悪くなるからである。したがって、保水材30a、30bの空気流通路52の水平方向、垂直方向の傾斜角度は約20°〜35°とするのが好適例である。
このように、保水材本体31の保水材30a、30bの空気流通路52の垂直方向や水平方向の傾斜角度は、約20°〜35°の範囲としているので、空気が吸い込まれる際に圧力損失が生じずに、スムーズに吸い込まれて空気の乱流を促進させることができる。
【0081】
なお、上記各実施形態において、保水材本体31の構成を2枚の保水材30a、30bとして説明したが、空気流通路52の水平方向、垂直方向の傾斜角度が異なる3枚あるいは4枚の保水材30で構成するようにしても良い。