特許第5769054号(P5769054)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5769054-太陽電池パネル設置用の石柱 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5769054
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】太陽電池パネル設置用の石柱
(51)【国際特許分類】
   E04H 13/00 20060101AFI20150806BHJP
【FI】
   E04H13/00 GETD
   E04H13/00 C
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-32535(P2011-32535)
(22)【出願日】2011年2月17日
(65)【公開番号】特開2012-172316(P2012-172316A)
(43)【公開日】2012年9月10日
【審査請求日】2014年1月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】511043459
【氏名又は名称】株式会社 次光
(74)【代理人】
【識別番号】240000039
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人 衞藤法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林田 広行
【審査官】 仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3143367(JP,U)
【文献】 特開平10−339056(JP,A)
【文献】 特開平8−333921(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 12/00−14/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池パネル固着用の傾斜面を有する頭部が、柱本体にジョイントを介して水平方向回動可能に取り付けられ太陽電池パネル設置用の石柱において、前記ジョイントが外筒及び内筒からなる二重筒構造で、且つ抜け止めが施されていることを特徴とする太陽電池パネル設置用の石柱。
【請求項2】
石柱本体の背面長手方向に配線用の溝条又は支柱本体の長手方向に貫通する配線用の筒孔を設けたことを特徴とする請求項1記載の太陽電池パネル設置用の石柱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、霊廟納骨室内の除湿装置の電源となる太陽電池パネルを設置する石柱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に霊廟の納骨室(「カロト」と呼ばれている)は地下又は半地下となっている。このため、納骨室内は結露等により湿度が高く、空気が淀み、雑菌の繁殖等により異臭が発生する。そこで従来は、カビや悪臭の発生を防止するために、納骨室と外部との通気孔を設けたり、除湿剤を設置する方法が採られている。
【0003】
納骨室の内部はその周囲を地中とコンクリート材や石材によって隔てられてはいるが、墓参者が墓石を洗浄したり水をかける風習がある。さらに、地下水や雨水の浸入により、納骨室内部が浸水し、骨壺内に水が溜まってしまうこともある。また、「芝台」や「拝石」の隙間などから侵入したゲジやヤスデなどの湿気を好む昆虫の棲み家となっていることが多く見られる。このような不衛生な環境下にある霊廟であっては、遺族など墓参する者の物故者に対する精神的な安堵感が得られないという問題もあった。
【0004】
そこで、納骨室を強制的に換気して除湿するべく、太陽電池あるいは商用電源から電力の供給を受けて駆動するファンユニットを備えた吸排気ダクト等を設置した納骨室を備えた墓所が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2及び特許文献3参照。)。本発明者もまた納骨室の換気を強制的且つ自動的に行い、除湿、除菌及び害虫駆除を行うようにした納骨室の換気方法を提案している(特許文献4参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−269170号公報
【特許文献2】特開平9−49347号公報
【特許文献3】特許第2631834号公報
【特許文献4】特開2007−284929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記したように太陽電池から電力を得る場合、太陽電池パネルは、霊廟の近傍に立設した支柱、とくに、外観意匠を鑑みると墓石と同質の石柱を墓石の近傍に設置して、その頂部に配置されるのが望ましい。しかしながら、季節による日照の変化、霊廟の設置方向あるいは周囲に雑木など遮蔽物があるような日当たりの劣悪な場所においては、換気装置を駆動するのに十分な電力が得られないという問題が発生する。本発明は、前記のような従来技術の課題に鑑み、霊廟の設置環境に応じて太陽電池パネルに充分な受光を行なわせることができる太陽電池パネル設置用の石柱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明の太陽電池パネル設置用の石柱は、太陽電池パネル固着用の傾斜面を有する頭部が、柱本体にジョイントを介して水平方向回動可能に取り付けられ太陽電池パネル設置用の石柱において、前記ジョイントが外筒及び内筒からなる二重筒構造で、且つ抜け止めが施されていることを第1の特徴とする。また、石柱本体の背面長手方向に配線用の溝条又は本体の長手方向に貫通する配線用の筒孔を設けたことを第2の特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、下記の優れた効果がある。
(1)太陽電池パネルの受光面の向きを自由に設定できるので、石柱本体の設置方向に特段の配慮を要しない。
(2)太陽電池パネルの受光面の向きに配慮を要しないので、既設の霊廟にも簡便に取り付けることができる。
(3)石柱の背面長手方向に配線用の長溝又は本体の長手方向に貫通する配線用の長筒孔を設けたので、美観を損ねることがなく、また、修理や交換の際の作業性も良くなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る太陽電池パネル設置用の石柱を設置した状態の霊廟を示す正面図である。
図2】本発明に係る石柱本体の斜視図である。
図3】ジョイントの分解斜視図である。
図4】溝条への送電コードの配線方法を示す斜視図である。
図5】換気装置を取り付けた霊廟の一例を示す斜視図である。
図6図5の霊廟の正面図である。
図7】換気装置ユニットの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づいて説明する。
【実施例】
【0011】
本発明の太陽電池パネル設置用の石柱6が付設される霊廟は、例えば、図5乃至図6に示すように、地下から一体的に中空箱型形状に画成された納骨室5と、該納骨室5の上に載置された墓碑1とから構成されている。ここで、納骨室5の左右の壁には外部と連通する吸気口5a並びに排気口5bがそれぞれ穿設される。そして、吸気口5aには害虫忌避剤収容タンク3が、排気口5bには排気装置2が取付けられる。
【0012】
図6乃至図7に示すように、排気装置2の円筒形の通気ダクト2bの内部には防水を施されたファン2cが取り付けられている。ファン2cにはモーター2dが連結されており、納骨室5の外部地上部の適宜位置に据え付けられ石柱6に取り付けた太陽電池パネル9に送電コード7でもって電気的に接続され、太陽電池パネル9から供給される電力によって回動する。通気ダクト2bは納骨室5の壁に穿設された排気孔5bに挿通され、フードカバー2aが金網2eを介して嵌合して取り付けられており、納骨室5外部と通気可能に設けられている。ここで、排気装置2は太陽電池パネル9が発電しない雨天時及び夜間を除いて常時駆動し、納骨室5内の湿気や悪臭を帯びた空気を外部に排出する。
【0013】
ここで、害虫忌避剤としては、ヒバオイル、ヒノキオイル、ラベンダーオイル等の殺菌性の高い液体が用いられる。これらはそれぞれ単体で用いても良いし、望ましくはこれらを幾種か適宜混合することで、害虫の忌避効果のみならず芳香も得られる。そして、害虫忌避剤収容タンク3と吸気口5aとをフレックスダクト3a等で連通し、排気装置2を駆動させると、その引圧により害虫忌避剤8が納骨室5内に蒸散される。排気装置2が駆動している間は常に納骨室5内に害虫忌避剤が蒸散された状態となる。尚、害虫忌避剤収容タンク3は、墓碑1と同材質の石製のカバー4あるいは一体的に設けた収納ボックスにより通常は隠蔽する。
【0014】
以上のような構成によって、太陽電池パネル9から送電されて排気装置2が作動し、納骨室5内を換気する。すなわち、霊廟の地上部分に、太陽電池パネル9に電気的に接続されたモーター2dによって駆動される排気装置2を備え、霊廟の地上あるいは半地下部分にある納骨室5の室内空間を通風可能にする。そして、太陽電池パネル9を石材で作った石柱6の頂部に太陽に向けて装着すれば太陽光の収集効率を高められばかりでなく、墓地の景観を壊すこともない。
【0015】
図1乃至図3に示すように、本発明に係る太陽電池パネル設置用の石柱6は、太陽電池パネル9固着用の傾斜面6dを有する頭部6aが、柱本体6bの頂部に金属製のジョイント8を介して水平方向に回動自在に取り付けられる。ジョイント8は、下端鍔部8gを備えた外筒8a及び中間鍔部8fを備えた内筒8bからなる二重筒構造で、外筒8aの内側面に設けられた突起8cを、内筒8bの上端縁の切欠き8dから挿入して、内筒8bの外周溝条8eに嵌め込むことで抜け止めが施されると共に、外筒8aと内筒8bは全周方向において自由に摺動可能である。そして、このジョイント8の外筒8aを石柱6の頭部6aの底面に設けられたジョイント嵌合孔6eに、ジョイント8の内筒8bの中間鍔部8fの下部8hを石柱本体6bの頂面に設けられたジョイント嵌合孔6cに嵌め込むことで、頭部6aと石柱本体6bとを連結すると共に、頭部6aが石柱本体6bに対して自由に回動して任意に位置決めできる。すなわち、石柱本体6bの立設方向に制限されることなく、太陽光パネル9の受光面を自由な方向に向けて設定できる。また、ジョイント8に抜け止めが施されていることにより、頭部6aの不測の位置ズレや落下を防止できる。





【0016】
また、太陽電池パネル9の送電コード7は、石柱6の頭部6a、石柱本体6bのいずれにおいても、その背面長手方向(縦方向)に配線用の溝条6d、または、これらを貫通する配線用の筒孔を6e設け、図4に示すように、配線後に発泡スチロール等の可撓性のあるパッキング10で押圧固定し、さらに外表面に養生テープ11を貼付して被覆固定する。このように配線すれば、送電コード7の劣化防止は無論のこと、石柱6の美観を損ねることもなく、また、修理、交換に際しての作業性も良くなる。とくに、無垢材を使用する場合において、その効果は顕著である。
【符号の説明】
【0017】
1 墓碑
2 排気装置
2a フードカバー
2b 通気ダクト
2c ファン
2d モーター
2e 金網
3 害虫忌避剤収容タンク
3a ダクト
4 カバー
5 納骨室
5a 吸気口
5b 排気口
6 石柱
6a 石柱の頭部
6b 石柱本体
6c ジョイント嵌合孔
6d 溝条
6e 筒孔
6f 傾斜面
7 送電コード
8 ジョイント
8a 外筒
8b 内筒
8c 外筒の突起
8d 内筒の切欠き
8e 内筒の外周溝条
8f 内筒の中間鍔部
8g 外筒の下端鍔部
8h 内筒の下部
9 太陽電池パネル
10 可撓性パッキング
11 養生テープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7