特許第5769081号(P5769081)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5769081
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】サイドメンバ用バルクヘッド構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/20 20060101AFI20150806BHJP
【FI】
   B62D25/20 J
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-224826(P2011-224826)
(22)【出願日】2011年10月12日
(65)【公開番号】特開2013-82385(P2013-82385A)
(43)【公開日】2013年5月9日
【審査請求日】2014年6月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100114591
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 英文
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100154298
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100161001
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 篤司
(72)【発明者】
【氏名】望月 晋栄
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 孝幸
【審査官】 田合 弘幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−005969(JP,A)
【文献】 実開平01−087967(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/20
B62D 25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフロアを形成するフロアパネルの下面には、底部と車幅方向に対向する側壁部とを有する断面コ字形状のサイドメンバが配設され、前記フロアパネルの車幅方向外側端部には、前記車両のタイヤを覆うハウジングパネルが配設され、前記サイドメンバの前記底部の下面には、コイルスプリングを支持するスプリング用ブラケットが取付けられ、前記サイドメンバの断面コ字状の内側には、前記スプリング用ブラケットに対応する位置にバルクヘッドが接合されているサイドメンバ用バルクヘッド構造において、
前記バルクヘッドが、
前記サイドメンバと前記フロアパネルとの間で且つ前記サイドメンバの前記側壁部の間に延在する第1の板部材と、
該第1の板部材から前記サイドメンバの前記底部に向かって延在する2つの第2の板部材と
を備え、
前記第1の板部材が、
前記サイドメンバの車幅方向内側の側壁部と前記フロアパネルとの間に延在する第1のフランジと、
前記フロアパネルの前記車幅方向外側端部まで延在し、前記サイドメンバの車幅方向外側の側壁部及び前記ハウジングパネルと重なるように位置する第2のフランジと
を備え、
前記サイドメンバの前記車幅方向内側の側壁部の上端は、水平方向に延びる第1の側壁フランジを有し、
前記サイドメンバの前記車幅方向内側の側壁部の前記第1の側壁フランジと前記フロアパネルと前記第1のフランジとが接合されるとともに、前記サイドメンバの前記車幅方向外側の側壁部と前記ハウジングパネルと前記第2のフランジとが接合されており、前記第2の板部材のそれぞれが、前記サイドメンバの内側に接合されていることを特徴とするサイドメンバ用バルクヘッド構造。
【請求項2】
前記フロアパネルの車幅方向外側端部が、上方に屈曲した屈曲部を有し、前記フロアパネルの車幅方向外側端部が、前記屈曲部から上方に延びる平面状フランジを有し、
前記サイドメンバの前記車幅方向外側の側壁部が、前記平面状フランジに沿って上方に延在しており、前記第2のフランジが、前記平面状フランジに沿って上方に延在しており、
前記第2のフランジと前記サイドメンバの前記車幅方向外側の側壁部と前記ハウジングパネルとが、前記フロアパネルの前記平面状フランジの位置で接合されていることを特徴とする請求項1に記載のサイドメンバ用バルクヘッド構造。
【請求項3】
前記第1の板部材が、前記フロアパネルの前記下面に沿って前記フロアパネルに重なるように延在しており、前記第1の板部材と前記フロアパネルとが接合されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のサイドメンバ用バルクヘッド構造。
【請求項4】
前記サイドメンバの前記車幅方向外側の側壁部と前記ハウジングパネルと前記第2のフランジと前記フロアパネルの前記車幅方向外側端部とが4枚合わせて接合されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載のサイドメンバ用バルクヘッド構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイドメンバにおけるバルクヘッド構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両のフロアを形成するフロアパネルには、車両前後方向に延びるサイドメンバが配設され、このサイドメンバには、コイルスプリングを支持するスプリング用ブラケットが取付けられている。特許文献1には、車両後部のリヤサイドメンバにスプリングシート(スプリング用ブラケット)を取付けた構造が開示されている。
【0003】
スプリング用ブラケットは、車両用サスペンションを構成するコイルスプリングから大きな荷重を受けるため、サイドメンバには荷重を吸収する構造が必要となる。そのため、従来より、サイドメンバのスプリング用ブラケットに対応する位置にバルクヘッド(補強部材)を配置する構造が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−56926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図7は、従来のリヤサイドメンバにおけるバルクヘッド構造を示した車幅方向断面図である。
図7に示すように、車両後部のリヤフロアパネル91には、車両前後方向に延びる断面U字状のリヤサイドメンバ92が配設されている。また、リヤフロアパネル91の車幅方向外側端部には、タイヤハウジングパネル93が配設されている。そして、リヤサイドメンバ92の外側には、コイルスプリング(図示せず)を支持するスプリング用ブラケット94が取付けられ、リヤサイドメンバ92の内側には、スプリング用ブラケット94に対応する位置にバルクヘッド(補強部材)95が配置されている。
【0006】
図7の従来のバルクヘッド構造において、バルクヘッド95は、リヤサイドメンバ92の底部92aや側壁部92bに沿って延びるフランジ(図示せず)を備え、バルクヘッド95は、リヤサイドメンバ92の底部92aや側壁部92bのみと接合されていた。
【0007】
このような従来のバルクヘッド構造では、バルクヘッド95が、リヤサイドメンバ92の底部92aや側壁部92bにしか接合されていないので、バルクヘッド95で受けた荷重がサイドメンバ92以外の部材に分散されず、効率良く荷重を吸収することができなかった。特に、バルクヘッド95が接合されていない箇所(リヤサイドメンバ92とリヤフロアパネル91との連結箇所やタイヤハウジングパネル93)は剛性が低いため、荷重がリヤサイドメンバ92を介してそれらの箇所に集中すると変形するおそれがある。
【0008】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、スプリング用ブラケットにかかる荷重を効率良く吸収し、サイドメンバ及びフロアパネルの変形を抑えることができるサイドメンバ用バルクヘッド構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記従来技術の有する課題を解決するために、本発明によれば、車両のフロアを形成するフロアパネルの下面には、底部と車幅方向に対向する側壁部とを有する断面コ字形状のサイドメンバが配設され、前記フロアパネルの車幅方向外側端部には、前記車両のタイヤを覆うハウジングパネルが配設され、前記サイドメンバの前記底部の下面には、コイルスプリングを支持するスプリング用ブラケットが取付けられ、前記サイドメンバの断面コ字形状の内側には、前記スプリング用ブラケットに対応する位置にバルクヘッドが接合されているサイドメンバ用バルクヘッド構造において、前記バルクヘッドが、前記サイドメンバと前記フロアパネルとの間で且つ前記サイドメンバの前記側壁部の間に延在する第1の板部材と、該第1の板部材から前記サイドメンバの前記底部に向かって延在する2つの第2の板部材とを備え、前記第1の板部材が、前記サイドメンバの車幅方向内側の側壁部と前記フロアパネルとの間に延在する第1のフランジと、前記フロアパネルの前記車幅方向外側端部まで延在し、前記サイドメンバの車幅方向外側の側壁部及び前記ハウジングパネルと重なるように位置する第2のフランジとを備え、前記サイドメンバの前記車幅方向内側の側壁部の上端は、水平方向に延びる第1の側壁フランジを有し、前記サイドメンバの前記車幅方向内側の側壁部の前記第1の側壁フランジと前記フロアパネルと前記第1のフランジとが接合されるとともに、前記サイドメンバの前記車幅方向外側の側壁部と前記ハウジングパネルと前記第2のフランジとが接合されており、前記第2の板部材のそれぞれが、前記サイドメンバの内側に接合されている。
【0010】
また、本発明の別の実施態様によれば、前記フロアパネルの車幅方向外側端部が、上方に屈曲した屈曲部を有し、前記フロアパネルの車幅方向外側端部が、前記屈曲部から上方に延びる平面状フランジを有し、前記サイドメンバの前記車幅方向外側の側壁部が、前記平面状フランジに沿って上方に延在しており、前記第2のフランジが、前記平面状フランジに沿って上方に延在しており、前記第2のフランジと前記サイドメンバの前記車幅方向外側の側壁部と前記ハウジングパネルとが、前記フロアパネルの前記平面状フランジの位置で接合されている。
【0011】
また、本発明の別の実施態様によれば、前記第1の板部材が、前記フロアパネルの前記下面に沿って前記フロアパネルに重なるように延在しており、前記第1の板部材と前記フロアパネルとが接合されている。
【0012】
また、本発明の別の実施態様によれば、前記サイドメンバの前記車幅方向外側の側壁部と前記ハウジングパネルと前記第2のフランジと前記フロアパネルの前記車幅方向外側端部とが4枚合わせて接合されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るサイドメンバ用バルクヘッド構造によれば、車両のフロアを形成するフロアパネルの下面には、底部と車幅方向に対向する側壁部とを有する断面コ字形状のサイドメンバが配設され、前記フロアパネルの車幅方向外側端部には、前記車両のタイヤを覆うハウジングパネルが配設され、前記サイドメンバの前記底部の下面には、コイルスプリングを支持するスプリング用ブラケットが取付けられ、前記サイドメンバの断面コ字形状の内側には、前記スプリング用ブラケットに対応する位置にバルクヘッドが接合されているサイドメンバ用バルクヘッド構造において、前記バルクヘッドが、前記サイドメンバと前記フロアパネルとの間で且つ前記サイドメンバの前記側壁部の間に延在する第1の板部材と、該第1の板部材から前記サイドメンバの前記底部に向かって延在する2つの第2の板部材とを備え、前記第1の板部材が、前記サイドメンバの車幅方向内側の側壁部と前記フロアパネルとの間に延在する第1のフランジと、前記フロアパネルの前記車幅方向外側端部まで延在し、前記サイドメンバの車幅方向外側の側壁部及び前記ハウジングパネルと重なるように位置する第2のフランジとを備え、前記サイドメンバの前記車幅方向内側の側壁部の上端は、水平方向に延びる第1の側壁フランジを有し、前記サイドメンバの前記車幅方向内側の側壁部の前記第1の側壁フランジと前記フロアパネルと前記第1のフランジとが接合されるとともに、前記サイドメンバの前記車幅方向外側の側壁部と前記ハウジングパネルと前記第2のフランジとが接合されており、前記第2の板部材のそれぞれが、前記サイドメンバの内側に接合されている。
本発明によれば、バルクヘッドが、サイドメンバだけでなく、フロアパネルやハウジングパネルにも直接接合されているので、スプリング用ブラケットに荷重がかかった際に、サイドメンバに伝わった荷重がバルクヘッドを介してフロアパネルやハウジングパネルにも分散して伝わるようになり、スプリング用ブラケットにかかる荷重を効率良く吸収することができる。また、従来においてバルクヘッドが接合されていなかった箇所(サイドメンバとフロアパネルとの連結箇所やハウジングパネル)にバルクヘッドを延在させて接合しているので、フロアパネルやハウジングパネルの剛性が向上し、スプリング用ブラケットに荷重がかかった際の変形を防ぐことができる。
【0014】
また、本発明に係るサイドメンバ用バルクヘッド構造によれば、前記フロアパネルの車幅方向外側端部が、上方に屈曲した屈曲部を有し、前記フロアパネルの車幅方向外側端部が、前記屈曲部から上方に延びる平面状フランジを有し、前記サイドメンバの前記車幅方向外側の側壁部が、前記平面状フランジに沿って上方に延在しており、前記第2のフランジが、前記平面状フランジに沿って上方に延在しており、前記第2のフランジと前記サイドメンバの前記車幅方向外側の側壁部と前記ハウジングパネルとが、前記フロアパネルの前記平面状フランジの位置で接合されている。本発明によれば、スプリング用ブラケットから受けた上方向の荷重が、上方向に延びる第2のフランジ及びサイドメンバの車幅方向外側の側壁部を介してハウジングパネルに伝わるようになる。すなわち、第2のフランジ及びサイドメンバの車幅方向外側の側壁部が、スプリング用ブラケットから受ける荷重の方向と同じ方向に延びているので、荷重の上下方向の成分がそのままハウジングパネルに伝わることになり、荷重の分散効果及び吸収効果をより高めることができる。
【0015】
また、本発明に係るサイドメンバ用バルクヘッド構造によれば、前記第1の板部材が、前記フロアパネルの前記下面に沿って前記フロアパネルに重なるように延在しており、前記第1の板部材と前記フロアパネルとが接合されている。本発明によれば、バルクヘッドの第1の板部材がフロアパネルと面接合しているので、バルクヘッドが受けた荷重をフロアパネルの面で受けることができ、荷重の吸収効果をより高めることができる。さらに、フロアパネル自体の剛性も向上し、荷重がかかった際の変形を防ぐことができる。
【0016】
また、本発明に係るサイドメンバ用バルクヘッド構造によれば、前記サイドメンバの前記車幅方向外側の側壁部と前記ハウジングパネルと前記第2のフランジと前記フロアパネルの前記車幅方向外側端部とが4枚合わせて接合されているので、フロアパネルの車幅方向外側端部の剛性をより高めることができる。これにより、荷重がかかった際の変形をより効果的に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る車両後部を下方から見た斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る車両後部を下方から見た拡大斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係るリヤサイドメンバのバルクヘッド構造を上方から見た斜視図であり、リヤフロアパネルを省略した図である。
図4】本発明の実施形態に係るリヤサイドメンバのバルクヘッド構造を上方から見た拡大斜視図である。
図5図4のA−A線断面図である。
図6図4のB−B線断面図である。
図7】従来のリヤサイドメンバ用バルクヘッド構造の車幅方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態に係るサイドメンバ用バルクヘッド構造を、図面を参照しながら説明する。以下では、一例として、車両後部のリヤサイドメンバのバルクヘッド構造について説明する。
【0019】
図1及び図2に示すように、車両1の後部には、車両1の後部のフロアを形成するリヤフロアパネル2が配設されている。図1図2、及び図3に示すように、リヤフロアパネル2の車幅方向外側端部には、後部タイヤ(図示せず)の上方及び側部を覆うタイヤハウジングパネル3が配設されている。
【0020】
図1及び図2に示すように、リヤフロアパネル2の下側には、車両前後方向に沿って延びる一対のリヤサイドメンバ4が配設されている。また、図1に示すように、リヤフロアパネル2の下側には、スペアタイヤハウス5に対して車両前側の位置においてクロスメンバ6が配設されている。クロスメンバ6は、車幅方向に沿って延在しており、クロスメンバ6の車幅方向の両端部6a,6bは、一対のリヤサイドメンバ4に連結されている。
【0021】
次に、車両後部の各部材について詳細に説明する。
図6に示すように、リヤフロアパネル2の車幅方向外側端部には、上方に屈曲した屈曲部2aが設けられている。そして、リヤフロアパネル2の車幅方向外側端部には、屈曲部2aから上方に延びる平面状フランジ21が設けられている。また、図6に示すように、タイヤハウジングパネル3は、このリヤフロアパネル2の屈曲部2aの外側の位置まで延在している。
【0022】
図3図4、及び図6に示すように、リヤサイドメンバ4は、底部41と、底部41の車幅方向両端部から上方に延びる2つの側壁部42,43とを備えている。したがって、図6に示すように、リヤサイドメンバ4の車幅方向断面は、上方が開口したU字状(コ字状断面)になっている。
【0023】
図6に示すように、車幅方向内側の側壁部42の上端部42aには、車幅方向内側に向かって延びる第1の側壁フランジ44が設けられている。一方、車幅方向外側の側壁部43の上端部43aには、リヤフロアパネル2の平面状フランジ21に沿って上方に延びる第2の側壁フランジ45が設けられている。図6に示すように、第2の側壁フランジ45は、リヤフロアパネル2の平面状フランジ21とタイヤハウジングパネル3との間に位置している。
【0024】
図2ないし図6に示すように、リヤサイドメンバ4の底部41の下面には、コイルスプリング(図示せず)を支持するスプリング用ブラケット7が取付けられている。そして、図3ないし図6に示すように、リヤサイドメンバ4の断面U字状の内側には、スプリング用ブラケット7に対応する位置にバルクヘッド(補強部材)8が配置されている。
【0025】
図4に示すように、バルクヘッド8は、第1の板部材81と、第1の板部材81から延びる2つの第2の板部材82,83とを備えている。図6に示すように、第1の板部材81は、リヤサイドメンバ4とリヤフロアパネル2との間で且つリヤサイドメンバ4の側壁部42,43の間に延在している。図4に示すように、第2の板部材82,83は、第1の板部材81の車両前後方向両端部からリヤサイドメンバ4の底部41まで延在している。このような構成から、図5に示すように、バルクヘッド8の車両前後方向断面は、逆U字形状になっている。
【0026】
図6に示すように、バルクヘッド8の第1の板部材81は、リヤフロアパネル2の下面に沿ってリヤフロアパネル2に重なるように延在している。そして、図4ないし図6に示すように、第1の板部材81は、車幅方向内側端部から車幅方向内側に延びる第1のフランジ81aと、車幅方向外側端部からリヤフロアパネル2の平面状フランジ21に沿って上方に延びる第2のフランジ81bとを有している。
【0027】
図5及び図6に示すように、第1の板部材81の第1のフランジ81aは、リヤサイドメンバ4の側壁部42の第1の側壁フランジ44とリヤフロアパネル2との間に配置されている。また、図6に示すように、第1の板部材81の第2のフランジ81bは、リヤフロアパネル2の平面状フランジ21とリヤサイドメンバ4の側壁部43の第2の側壁フランジ45との間に配置されている。図6に示すように、リヤフロアパネル2の車幅方向外側端部2aにおいては、平面状フランジ21、第1の板部材81の第2のフランジ81b、リヤサイドメンバ4の側壁部43の第2の側壁フランジ45、及びタイヤハウジングパネル3が当該順で重なっている。
【0028】
図4に示すように、バルクヘッド8の各第2の板部材82,83は、リヤサイドメンバ4の側壁部42,43の間に延在するように設けられている。第2の板部材82,83の幅は、リヤサイドメンバ4の側壁部42,43の間の間隔と略一致している。したがって、第2の板部材82,83の車幅方向両端部が、リヤサイドメンバ4の各側壁部42,43に沿うようになっている。
【0029】
図4及び図5に示すように、バルクヘッド8の車両前後方向前側の第2の板部材82は、2つの第1の側部フランジ82a,82bと、第1の底部フランジ82cとを備えている。第1の側部フランジ82a,82bは、第2の板部材82の車幅方向両端部からリヤサイドメンバ4の各側壁部42,43に沿って車両前側に延在している。第1の底部フランジ82cは、第2の板部材82の下端部からリヤサイドメンバ4の底部41に沿って車両前側に延在している。
【0030】
また、図4及び図5に示すように、バルクヘッド8の車両前後方向後側の第2の板部材83は、2つの第2の側部フランジ83a,83bと、第2の底部フランジと83cを備えている。第2の側部フランジ83a,83bは、第2の板部材83の車幅方向両端部からリヤサイドメンバ4の各側壁部42,43に沿って車両後側に延在している。第2の底部フランジ83cは、第2の板部材83の下端部からリヤサイドメンバ4の底部41に沿って車両後側に延在している。
【0031】
次に、本実施形態に係るサイドメンバ用バルクヘッド構造におけるバルクヘッド8の接合構造について説明する。
【0032】
図6に示すように、バルクヘッド8の第1の板部材81の第1のフランジ81aとリヤサイドメンバ4の側壁部42の第1の側壁フランジ44とリヤフロアパネル2との3枚が、溶接Wにより接合されている。
また、バルクヘッド8の第1の板部材81の第2のフランジ81bとリヤサイドメンバ4の側壁部43の第2の側壁フランジ45とタイヤハウジングパネル3との3枚が、リヤフロアパネル2の平面状フランジ21の位置において溶接Wにより接合されている。ここで、本実施形態において、図4に示すように、リヤフロアパネル2の平面状フランジ21には、切欠部21aが設けられており、リヤフロアパネル2の平面状フランジ21は、第1の板部材81の第2のフランジ81bとリヤサイドメンバ4の側壁部43の第2の側壁フランジ45とタイヤハウジングパネル3の3枚とは接合されないようになっている。
【0033】
図4に示すように、バルクヘッド8の第2の板部材82の各第1の側部フランジ82a,82bは、リヤサイドメンバ4の各側壁部42,43に溶接W,Wにより接合されている。また、第2の板部材82の第1の底部フランジ82cは、リヤサイドメンバ4の底部41に溶接Wにより接合されている。
また、図4に示すように、バルクヘッド8の第2の板部材83の各第2の側部フランジ83a,83bは、リヤサイドメンバ4の各側壁部42,43に溶接W,Wにより接合されている。また、第2の板部材83の第2の底部フランジ83cは、リヤサイドメンバ4の底部41に溶接Wにより接合されている。
さらに、図6に示すように、バルクヘッド8の第1の板部材81とリヤフロアパネル2とが溶接Wにより接合されている。
【0034】
このように本実施形態に係るサイドメンバ用バルクヘッド構造によれば、バルクヘッド8が、リヤサイドメンバ4とリヤフロアパネル2との間で且つリヤサイドメンバ4の側壁部42,43の間に延在する第1の板部材81と、第1の板部材81からリヤサイドメンバ4の底部41まで延在する2つの第2の板部材82,83とを備え、第1の板部材81が、リヤサイドメンバ4の車幅方向内側の側壁部42の第1の側壁フランジ44とリヤフロアパネル2との間に延在する第1のフランジ81aと、リヤフロアパネル2の車幅方向外側端部2aまで延在し、リヤサイドメンバ4の車幅方向外側の側壁部43の第2の側壁フランジ45及びタイヤハウジングパネル3と重なるように位置する第2のフランジ81bとを備え、側壁部42の第1の側壁フランジ44とリヤフロアパネル2と第1のフランジ81aとが接合されるとともに、側壁部43の第2の側壁フランジ45とタイヤハウジングパネル3と第2のフランジ81bとが接合されており、第2の板部材82,83のそれぞれが、リヤサイドメンバ4の内側に接合されている。
本実施形態によれば、バルクヘッド8が、リヤサイドメンバ4だけでなく、リヤフロアパネル2やタイヤハウジングパネル3にも直接接合されているので、スプリング用ブラケット7に荷重がかかった際に、リヤサイドメンバ4に伝わった荷重がバルクヘッド8を介してリヤフロアパネル2やタイヤハウジングパネル3にも分散して伝わるようになり、スプリング用ブラケット7にかかる荷重を効率良く吸収することができる。また、従来においてバルクヘッドが接合されていなかった箇所(リヤサイドメンバ4とリヤフロアパネル2との連結箇所やタイヤハウジングパネル3)にバルクヘッド8を延在させて接合しているので、スプリング用ブラケット7の位置におけるリヤフロアパネル2やタイヤハウジングパネル3の剛性が向上し、スプリング用ブラケット7に荷重がかかった際の変形を防ぐことができる。
【0035】
また、本実施形態に係るサイドメンバ用バルクヘッド構造によれば、リヤフロアパネル2の車幅方向外側端部が、上方に屈曲した屈曲部2aを有し、リヤフロアパネル2の車幅方向外側端部が、屈曲部2aから上方に延びる平面状フランジ21を有し、リヤサイドメンバ4の車幅方向外側の側壁部43の第2の側壁フランジ45が、平面状フランジ21に沿って上方に延在しており、第2のフランジ81bが、平面状フランジ21に沿って上方に延在しており、第2のフランジ81bとリヤサイドメンバ4の側壁部43の第2の側壁フランジ45とタイヤハウジングパネル3との3枚が、リヤフロアパネル2の平面状フランジ21の位置において接合されている。
本実施形態によれば、スプリング用ブラケット7から受けた上方向の荷重が、上方向に延びる第2のフランジ81b及びリヤサイドメンバ4の車幅方向外側の側壁部43を介してタイヤハウジングパネル3に伝わるようになる。すなわち、第2のフランジ81b及びリヤサイドメンバ4の側壁部43の第2の側壁フランジ45が、スプリング用ブラケット7から受ける荷重の方向と同じ方向に延びているので、荷重の上下方向の成分がそのままタイヤハウジングパネル3に伝わることになり、荷重の分散効果及び吸収効果をより高めることができる。
【0036】
また、本実施形態に係るサイドメンバ用バルクヘッド構造によれば、第1の板部材81が、リヤフロアパネル2の下面に沿ってリヤフロアパネル2に重なるように延在しており、第1の板部材81とリヤフロアパネル2とが接合されている。
本実施形態によれば、バルクヘッド8の第1の板部材81がリヤフロアパネル2と面接合しているので、バルクヘッド8が受けた荷重をリヤフロアパネル2の面で受けることができ、荷重の吸収効果をより高めることができる。さらに、スプリング用ブラケット7の位置におけるリヤフロアパネル2自体の剛性も向上し、荷重がかかった際の変形を防ぐことができる。
【0037】
また、本実施形態に係るサイドメンバ用バルクヘッド構造によれば、バルクヘッド8は、第1の板部材81と、第1の板部材81から延びる2つの第2の板部材82,83とを備える逆U字形状になっており、バルクヘッド8は、スプリング用ブラケット7の中心を前後にまたぐように配置され、バルクヘッド8の第2の板部材82の各第1の側部フランジ82a,82bが、リヤサイドメンバ4の各側壁部42,43に接合され、第2の板部材82の第1の底部フランジ82cが、リヤサイドメンバ4の底部41に接合され、バルクヘッド8の第2の板部材83の各第2の側部フランジ83a,83bが、リヤサイドメンバ4の各側壁部42,43に接合され、第2の板部材83の第2の底部フランジ83cが、リヤサイドメンバ4の底部41に接合されている。
本実施形態によれば、バルクヘッド8をスプリング用ブラケット7の中心を前後にまたぐような逆U字形状にして、リヤサイドメンバ4の底部41及び側壁部42,43の両方に接合しているので、スプリング用ブラケット7から受けた荷重をリヤサイドメンバ4の底部41及び側壁部42,43の両方を介してバルクヘッド8で受けて、この受けた荷重をリヤフロアパネル2やタイヤハウジングパネル3に伝えて、荷重を分散させることができる。したがって、より効率的に荷重を分散及び吸収することができる。
【0038】
以上、本発明の実施の形態につき述べたが、本発明は既述の実施形態に限定されるものでなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。
【0039】
上述の実施形態では、リヤフロアパネル2の車幅方向外側端部にある平面状フランジ21に切欠部21aを設けることによって、第1の板部材81の第2のフランジ81bとリヤサイドメンバ4の側壁部43の第2の側壁フランジ45とタイヤハウジングパネル3との3枚が接合されるようになっている。しかしながら、リヤフロアパネル2の平面状フランジ21に切欠部を設けず、リヤフロアパネル2の平面状フランジ21を含めて4枚で接合してもよい。この構成によれば、リヤフロアパネル2の車幅方向外側端部の剛性をより高めることができる。これにより、荷重がかかった際の変形をより効果的に防ぐことができる。
【0040】
上述の実施形態では、車体後部のリヤサイドメンバ4におけるバルクヘッド構造を記載しているが、これに限定されない。本発明は、例えば、フロントサイドメンバにおけるバルクヘッド構造にも適用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 車両
2 リヤフロアパネル
3 タイヤハウジングパネル
4 リヤサイドメンバ
41 リヤサイドメンバの底部
42,43 リヤサイドメンバの側壁部
5 スペアタイヤハウス
6 クロスメンバ
7 スプリング用ブラケット
8 バルクヘッド
81 第1の板部材
81a 第1の板部材の第1のフランジ
81b 第1の板部材の第2のフランジ
82,83 第2の板部材
82a,82b 第2の板部材の第1の側部フランジ
82c 第2の板部材の第1の底部フランジ
83a,83b 第2の板部材の第2の側部フランジ
83c 第2の板部材の第2の底部フランジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7