(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
設計的視点による分類である機能分類と、調達・製造的視点による分類である工法・材料分類の2つの分類の組み合わせにより2次元的に設定された複数の複合部品分類の中から、新しく登録を行う部品に合致する複合部品分類の選択を受け付ける第1の受付手段と、
選択された複合部品分類に対して設定され各複合部品分類毎に異なる複数の属性情報、複合部品分類に関係なくどの部品に対しても共通に設定されている共通属性情報および部品品番を含む部品情報の入力を受け付ける第2の受付手段と、
前記第2の受付手段により受け付けられ、複合部品分類毎に異なる属性情報が設定された部品情報を格納する部品情報データベースと、
前記部品情報データベースに格納されている部品情報の中から、指定された条件に合致する部品情報を検索する検索手段と、
前記検索手段により検索された部品情報のリストを出力する出力手段と、
を有する部品管理システム。
設計的視点による分類である機能分類と、調達・製造的視点による分類である工法・材料分類の2つの分類の組み合わせにより2次元的に設定された複数の複合部品分類の中から、新しく登録を行う部品に合致する複合部品分類の選択を受け付ける第1の受付ステップと、
選択された複合部品分類に対して設定され各複合部品分類毎に異なる複数の属性情報、複合部品分類に関係なくどの部品に対しても共通に設定されている共通属性情報および部品品番を含む部品情報の入力を受け付ける第2の受付ステップと、
前記第2の受付ステップにより受け付けられ、複合部品分類毎に異なる属性情報が設定された部品情報を部品情報データベースに格納するステップと、
前記部品情報データベースに格納されている部品情報の中から、指定された条件に合致する部品情報を検索する検索ステップと、
前記検索ステップにおいて検索された部品情報のリストを出力する出力ステップとをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般的な従来の部品データでは、部品品番に対応させてその部品の名称や調達先の情報等を対応させて記憶しておき、必要な時には欲しい情報の条件を設定して検索することにより条件に合致した部品リストを得るものであった。
【0008】
そして、検索する部品を選択するための様々な条件を設定できるようにするためには、各部品毎に様々な属性情報を登録する必要がある。
【0009】
例えば、開発設計部門では、部品を機能毎に分類して、必要な機能を達成するための部品が既に存在するか等の情報を得ることができる部品データベースを希望する。
【0010】
これに対して、購買部等の調達部門、製造部門等は、部品の機能的な分類よりも、材料、加工法で分類した部品データベースを使用して、調達先の選定等を行うことができることを希望する。何故ならば、購買部等の調達部門では、板金部品であれば板金部品メーカーに発注し、樹脂部品であれば樹脂部品メーカーに発注するため、その部品がどのような機能を有するのかよりもどのような材料、加工法で作られるのかが必要になるからである。
【0011】
そのため、開発設計部門で必要となる部品データベースと、調達部門、製造部門等で必要な部品データベースとでは要求される仕様が異なり、別々のデータベースを構築して運用する場合もあった。
【0012】
しかし、部品単価を低減させて製品のコストを削減しようとした場合、開発設計部門の部品データベースと、調達部門、製造部門等の部品データベースが連携していないと、どの部品がどのような価格でどこから調達されているのかを開発設計部門では把握できないという課題が発生する。
【0013】
そのため、開発設計部門と調達部門、製造部門等とで共通に使用することができ、かつ必要な情報を得ることが可能なデータベースを構築しようとすると、各部品に登録するための属性項目の数が多くなってしまうという問題がある。
【0014】
また、既に部品品番が設定されている部品の中から希望する使用の部品を選択する場合や、似たような使用の部品を統合して部品単価を低減しようとする場合、部品品番毎にその部品の仕様が登録されていることが必要となる。
【0015】
しかし、部品の種類毎にその部品の特性を表現する属性項目が異なる。例えば、モータ、ベアリングおよび樹脂部品では、その部品の特性を表現するための属性項目が全く異なる。そのため、各部品品番毎に必要な属性項目を登録できるようにした場合、部品品種が多くなると属性項目の数が膨大になってしまい現実的に使用することができなくなる。そのため、各部品の重量、寸法や発注先、材質程度の共通的な属性情報を登録することしかできないという制限があった。
【0016】
また、膨大な数の図面から属性項目を引き出して紐付ける作業をするためには各部品を分類しておくようにすることが考えられる。なぜなら部品を分類すればその分類種毎に登録する属性項目をあらかじめ決めておく事ができるため、図面に記載されている属性項目のうちどの属性情報を選択して登録するかを容易に判断することができるからである。しかしこの「分類」は、設計部門では「機能分類」で、調達・製造部門では「材料加工分類」で、それぞれ行われてきたためお互いの部門で共通に利用できなかった。
【0017】
このような事情により、調達部門、製造部門等と開発設計部門とで共通に使用することができ、各部品毎に必要な属性情報が登録可能な部品データベースを構築しようとしても、各部品毎に登録しなければならない属性項目の数が膨大になり現実的に使用可能な範囲を超えてしまい使い難い、または使うことができないものになってしまうという課題があった。
【0018】
本発明の目的は、開発設計部門と調達・製造部門(環境管理部門・品質部門・原価管理部門等)とで共通に使用することができ、かつ各部品毎に登録する必要がある属性項目の数を、全ての部品について同じ属性項目を設定する場合と比較して削減することが可能な部品管理システムおよびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
[部品管理システム]
請求項
1に係る本発明は、設計的視点による分類である機能分類と、調達・製造的視点による分類である工法・材料分類の2つの分類の組み合わせにより2次元的に設定された複数の複合部品分類の中から、新しく登録を行う部品に合致する複合部品分類の選択を受け付ける第1の受付手段と、
選択された複合部品分類に対して設定され各複合部品分類毎に異なる複数の属性情報、複合部品分類に関係なくどの部品に対しても共通に設定されている共通属性情報および部品品番を含む部品情報の入力を受け付ける第2の受付手段と、
前記第2の受付手段により受け付けられ、複合部品分類毎に異なる属性情報が設定された部品情報を格納する部品情報データベースと、
前記部品情報データベースに格納されている部品情報の中から、指定された条件に合致する部品情報を検索する検索手段と、
前記検索手段により検索された部品情報のリストを出力する出力手段とを有する部品管理システムである。
【0021】
[プログラム]
請求項
2に係る本発明は、設計的視点による分類である機能分類と、調達・製造的視点による分類である工法・材料分類の2つの分類の組み合わせにより2次元的に設定された複数の複合部品分類の中から、新しく登録を行う部品に合致する複合部品分類の選択を受け付ける第1の受付ステップと、
選択された複合部品分類に対して設定され各複合部品分類毎に異なる複数の属性情報、複合部品分類に関係なくどの部品に対しても共通に設定されている共通属性情報および部品品番を含む部品情報の入力を受け付ける第2の受付ステップと、
前記第2の受付ステップにより受け付けられ、複合部品分類毎に異なる属性情報が設定された部品情報を部品情報データベースに格納するステップと、
前記部品情報データベースに格納されている部品情報の中から、指定された条件に合致する部品情報を検索する検索ステップと、
前記検索ステップにおいて検索された部品情報のリストを出力する出力ステップとをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0023】
請求項
1に係る本発明によれば、開発設計部門と調達・製造部門とで共通に使用することができ、かつ各部品毎に登録する必要がある属性項目の数を、全ての部品について同じ属性項目を設定する場合と比較して削減することができる部品管理システムを提供することができる。
【0024】
請求項
2に係る本発明によれば、開発設計部門と調達・製造部門とで共通に使用することができ、かつ各部品毎に登録する必要がある属性項目の数を、全ての部品について同じ属性項目を設定する場合と比較して削減することができるプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
図1は本発明の一実施形態の部品管理システム10を含むシステム全体の構成を示す図である。
【0028】
本発明の一実施形態の部品管理システム10は、
図1に示されるように、ネットワーク30を介して端末装置21〜23と接続された構成となっている。ここで、端末装置21〜23は、それぞれ、開発設計部門、調達部門、製造部門に設置されている。なお、本実施形態では、説明を簡単にするために3台の端末装置21〜23のみが部品管理システム10に接続されているものとして説明を行うが、実際には多数の端末装置を部品管理システム10に接続することが可能である。
【0029】
また、部品管理システム10は、管理サーバ31と、部品情報データベース32とから構成されている。
【0030】
部品情報データベース32は、設計的視点による分類である機能分類と、調達・製造的視点による分類である工法・材料分類の2つの分類の組み合わせにより2次元的に設定された複数の複合部品分類毎に異なる属性情報、複合部品分類に関係なくどの部品に対しても共通に設定されている共通属性情報および部品品番を含む複数の部品情報を格納する。なお、この部品情報データベース32の詳細については後述する。
【0031】
次に、本実施形態の部品管理システム10における管理サーバ31のハードウェア構成を
図2に示す。
【0032】
管理サーバ31は、
図2に示されるように、CPU11、メモリ12、ハードディスクドライブ(HDD)等の記憶装置13、ユーザインタフェース(UI)装置14、ネットワーク30を介して部品情報データベース32、端末装置21〜23等の外部装置との間でデータの送信及び受信を行う通信インタフェース(IF)15を有する。これらの構成要素は、制御バス16を介して互いに接続されている。
【0033】
CPU11は、メモリ12または記憶装置13に格納された制御プログラムに基づいて所定の処理を実行して、管理サーバ31の動作を制御する。なお、本実施形態では、CPU11は、メモリ12または記憶装置13内に格納された制御プログラムを読み出して実行するものとして説明したが、当該プログラムをCD−ROM等の記憶媒体に格納してCPU11に提供することも可能である。
【0034】
図3は、上記の制御プログラムが実行されることにより実現される管理サーバ31の機能構成を示すブロック図である。
【0035】
本実施形態の管理サーバ31は、
図3に示されるように、情報受信部41と、部品検索部42と、部品リスト出力部43とを備えている。
【0036】
情報受信部41は、設計的視点による分類である機能分類と、調達・製造的視点による分類である工法・材料分類の2つの分類の組み合わせにより2次元的に設定された複数の複合部品分類の中から、新しく登録を行う部品に合致する複合部品分類の選択を受け付ける(第1の受付手段)。
【0037】
そして、情報受信部41は、選択された複合部品分類に対して設定され各複合部品分類毎に異なる複数の属性情報、複合部品分類に関係なくどの部品に対しても共通に設定されている共通属性情報および部品品番を含む部品情報の入力を受け付ける(第2の受付手段)。
【0038】
そして、部品情報データベース32は、情報受信部41により受け付けられ、複合部品分類毎に異なる属性情報が設定された部品情報を格納する。
【0039】
部品検索部42は、部品情報データベース32に格納されている部品情報の中から、情報受信部41を介して端末装置21〜23から指定された検索条件に合致する部品情報を検索する。
【0040】
部品リスト出力部43は、部品検索部42により検索された部品情報のリストを、端末装置21〜23のうち検索を指示した端末装置に対して出力する。
【0041】
次に、部品情報データベース32に格納される部品情報の構造について詳細に説明する。
【0042】
本実施形態の部品管理システム10における部品情報データベース32は、上記でも説明したように、設計的視点による分類である機能分類と、調達・製造的視点による分類である工法・材料分類の2つの分類の組み合わせにより2次元的に設定された複数の複合部品分類毎に異なる属性情報、複合部品分類に関係なくどの部品に対しても共通に設定されている共通属性情報および部品品番を含む複数の部品情報を格納する。
【0043】
このように部品情報データベース32に格納されている部品情報において、複合部品分類毎に異なる属性情報が設定されている理由を説明する。
【0044】
先ず、製品を開発設計して販売する一般的な企業における各部門間の連携の様子の概略を
図4に示す。
【0045】
いわゆるメーカーと呼ばれる企業における製品の企画、開発、設計、調達、製造、販売、保守等の各部門には、業務を実行する際の流れにより分類すると大きく分けて2つの軸が存在する。そのうちの1つは、企画、開発設計、生産準備、生産技術等の部門によるエンジニアリング軸であり、もう1つは、調達・購買、製造、出荷、販売、販売計画、生産計画、保守等の部門によるサプライチェーン軸である。
【0046】
そして、これらの各部門は、部品管理を行う際に部品を分類したい分類方法が異なっている。
【0047】
具体的には、企画、開発設計、生産準備、生産技術等のエンジニアリング軸の部門では、設計的視点による分類である機能分類により部品を管理する必要がある。また、調達・購買、製造、出荷、販売、販売計画、生産計画、保守等の部門のサプライチェーン軸の部門では、調達・製造的視点による分類である工法・材料分類により部品を管理する必要がある。
【0048】
そのため、本実施形態の部品管理システム10では、部品情報は、設計的視点による分類である機能分類と、調達・製造的視点による分類である工法・材料分類の2つの分類の組み合わせにより2次元的なマトリクス状に設定された複数の複合部品分類毎に異なる属性情報が設定できるようになっている。
【0049】
次に、この複合部品分類の具体例を
図5を参照して説明する。
【0050】
図5に示した具体例では、設計的視点(開発・設計部門的視点)による分類である機能分類として、ベアリング、ギヤ・歯車、カバー・シュート、フレームという分類が示されている。また、
図5に示した具体例では、調達製造的視点(調達部門・製造部門的視点)による分類である工法・材料分類として、金属切削・研削部品、板金・プレス部品、粉末冶金部品、樹脂射出成型部品、樹脂ブロー成型部品という分類が示されている。
【0051】
そして、複合部品分類として、上記の機能分類、工法・材料分類の2つの分類を2次元的(2軸的)に組み合わせて、ボールベアリング、切削フレーム、プレスギヤ、板金カバー、板金フレーム等の分類が示されている。
【0052】
例えば、「ボールベアリング」という複合部品分類は、「ベアリング」という機能分類と、「金属切削・研削部品」という工法・材料分類の2つの分類の両方に含まれる部品分類である。
【0053】
そして、本実施形態の部品管理システム10では、このような「ボールベアリング」、「切削フレーム」、「プレスギヤ」等の複合部品分類毎に、異なる属性項目が登録可能になっている。
【0054】
そのため、新規の部品の部品情報を部品情報データベース32に登録しようとする場合、部品の登録をしようとするユーザ(使用者)は、この複数の複合部品分類の中から1つの複合部品分類を選択する。
【0055】
例えば、「成型カバー」という複合部品分類が選択された場合、部品情報を登録するための登録フレーム枠として
図6に示すような登録フレーム枠が表示される。
【0056】
この
図6に示される登録フレーム枠では、選択された複合部品分類が「成型カバー」であるため、機能分類として「カバー」、工法・材料分類として「樹脂(射出成型)」という分類名が既に登録済みとなっている。
【0057】
そして、この
図6に示された「成型カバー」という複合部品分類の登録フレーム枠では、属性項目として「最大板厚」、「投影面積」、「成形圧力」、「成形型締め力」という項目が設定されている。
【0058】
そのため、ユーザは、
図7に示すように、この登録フレーム枠に対して、部品品番、部品名、メーカー情報、重量、XYZ(縦、横、高さ)寸法、最大板厚、投影面積、成形圧力、成形型締め力等の属性情報を順次入力して、部品情報として登録することができる。
【0059】
また、
図5に示した複合部品分類において「板金カバー」が選択された場合に表示される登録フレーム枠の一例を
図8に示す。
【0060】
この
図8に示した例では、選択された複合部品分類が「板金カバー」であるため、機能分類として「カバー」、工法・材料分類として「板金・プレス」という分類名が既に登録済みとなっている。
【0061】
そして、この
図8に示された「板金カバー」という複合部品分類の登録フレーム枠では、属性項目として「板厚」、「展開寸法」、「プレストン数」、「型種類(単/順送)」、「ステージ数」、「穴数」という項目が設定されている。
【0062】
また、
図5に示した複合部品分類において「プレスギヤ」が選択された場合に表示される登録フレーム枠の一例を
図9に示す。
【0063】
この
図9に示した例では、選択された複合部品分類が「プレスギヤ」であるため、機能分類として「ギヤ」、工法・材料分類として「板金・プレス」という分類名が既に登録済みとなっている。
【0064】
そして、この
図9に示された「プレスギヤ」という複合部品分類の登録フレーム枠では、属性項目として「段数」、「歯数」、「外形φ」、「内径φ」、「歯幅」、「歯形誤差」という項目が設定されている。
【0065】
そして、このように複合部品分類毎に異なる属性情報が登録された部品情報の一例を
図10に示す。
【0066】
図10を参照すると分かるように、機能分類が同じでも工法・材料分類が異なれば違う属性項目が設定される場合もあり、また、工法・材料分類が同じでも機能分類が異なれば違う属性項目が設定される場合もある。
【0067】
例えば、機能分類が「カバー」であっても、工法・材料分類が「樹脂(射出成型)」であるか「板金・プレス」であるかにより部品情報の属性項目が異なっている(
図6、
図8参照)。また、例えば、工法・材料分類が「板金・プレス」であっても、機能分類が「カバー」であるか「ギヤ」であるかにより部品情報の属性項目が異なっている(
図8、
図9参照)。
【0068】
なお、「ソレノイド」、「ファンモータ」、「その企業に特殊な機能部材」等のように工法・材料分類が存在しない又は分類できない部品については、機能分類毎に異なる属性情報が登録可能になっている。
【0069】
例えば、シャフトを持った3層ロールの場合は紙送りロールとして登録し、シャフト、ゴムの属性情報を登録する。これは「紙送りロール」が金属シャフトとゴムロールという組合せと製作方法が10年〜20年という時間的スパンで安定的に固定されている事が明瞭であるからである。
【0070】
また、金属シャフトに成形樹脂ロールを組み合わせて使用するような場合はそれぞれ独立した末端部品として登録する。
【0071】
さらに、金属シャフトに成形樹脂ロールを一体成形する場合等、特殊な場合は材料分類を複数持たせることで対応させることも可能である。
【0072】
例えば、金属シャフト周囲にEPDMゴム(エチレン・プロピレン・ジエン・ゴム)を接着固定しその表層にウレタン樹脂を積層したような材料では、このロールが帯電ロールといった従来から認知されている特定の機能部材であれば複合分類のカテゴリではなくその機能名称で一つの分類として登録する。そして、機能が認知されておらず特定できないような部品であれば、ゴムロールといった複合分類にあてはめ、属性としてシャフト材料、積層する2種の有機材料を登録する方法も可能である。工法・材料分類で単にゴムではなく、単層ゴムと積層ゴムなどに分類しておけば、積層ゴムロールなどの分類に登録できる。これらの場合どの分類方法でも、分類につく属性は材料種が複数になる分多くはなるが、単にロールなどといった一般的機能分類の属性数に比べればはるかに低減することができ、必要な属性情報を図面などから抽出する困難さは大幅に軽減される。
【0073】
本実施形態の部品管理システム10では、管理しようとする数多くの部品を、設計的視点による分類である機能分類と、調達・製造的視点による分類である工法・材料分類の2つの分類の組み合わせにより2次元的に設定された複合部品分類により分類している。そのため、開発設計部門と調達・製造部門(環境管理部門・品質部門・原価管理部門等)の両方の部門において共通して本実施形態の部品管理システム10を使用することができ、全社的に統一した部品管理を行うことが可能となる。
【0074】
また、本実施形態の部品管理システム10では、この複合部品分類毎に異なる部品情報を各部品に登録することができるようにしているため、部品毎に登録することが必要な属性項目の数を現実的に利用可能な数に抑えつつ、各部品の様々な仕様等を部品情報に登録することが可能となる。
【0075】
さらに、従来設計部門として必要であった分類により作成され設計部門で活用されてきた部品構成表の分類と、調達や製造部門毎にそれぞれの部門用に分類し構築・活用してきた部品構成表の分類を、複合分類によって少ない修正で結合することが可能であるため、部門毎に構築してきた部品構成表という部門資産を全社資産として継続して有効活用できるというメリットもある。
【0076】
例えば、複合部品分類毎に異なる属性項目を設定せずに、単に属性項目を増やした場合の比較例を
図11に示す。
【0077】
この
図11に示した比較例では、部品の種類に関係なく登録可能な属性項目を増やした場合が示されている。そして、この
図11に示した例では、その部品に必要が無い属性項目まで設定されていることによりこの部品についてはどの属性項目を利用して属性情報を登録すれば良いのかが分かり難く利用者が利用し難いものとなっているのが分かる。
【0078】
具体的には、
図11に示した例では、部品として「樹脂のカバー」を登録する際の例が示されていて、属性項目として「最大板厚」、「投影面積」、「成形圧力」、「成形型締め力」という項目に属性情報を登録する場合の例が示され手いるが、利用者はどの属性項目に属性情報を登録すべきなのかが分かり難いものとなっている。
【0079】
これに対して、本実施形態の部品管理システム10は、複合部品分類として、「成型カバー」という分類を選択するだけで、
図6に示すような登録フレーム枠が用意されることにより、利用者は、どの属性項目に属性情報を登録すべきなのかを容易に把握することができる。
【0080】
そして、本実施形態の部品管理システム10によれば、各部門間が単独で部品管理をすることなく全部門で共通した部品管理ができるようになり、全社的に統一した部品データベースを構築することが可能となる。そのため、本実施形態の部品管理システム10を利用することにより、製品のコスト削減を効果的に推進して、総原価低減に貢献することができる。
【0081】
具体的には、本実施形態の部品管理システム10を利用することにより、1つの部品に複数の部品番号が設定されるような一部品多部品品番の発生を防止することにより適正な部品価格の実現が可能となる。
【0082】
また、本実施形態の部品管理システム10によれば、部品の仕様と単価の比較が容易になることにより、通常より価格設定が高い部品を見つけることが可能となり、適正な部品価格の実現が容易になる。
【0083】
また、本実施形態の部品管理システム10によれば、仕様が近い部品を容易に把握することができるようになり、部品の標準化を図って部品種類を削減したり、類似属性の部品比較を行ってコスト的に有利な部品選択を行うことができるようになる。
【0084】
さらに、本実施形態の部品管理システム10を用いることにより、どのような部品をどのような仕入れ先からどれだけ購入しているのかを知ることが可能になり、購買実績、調達状況の把握が容易に把握可能になる。
【0085】
なお、本実施形態では説明していないが、部品部面の図面データを管理する図面管理システムと本実施形態の部品管理システム10とを連携させるようにすることも可能である。このように、図面管理システムと部品管理システム10とを連携させることにより、図面データから属性情報を直接入力可能としたり、検索した部品の図面データを利用者が容易に閲覧できるようになる。
【課題】開発設計部門と調達・製造部門とで共通に使用することができ、かつ各部品毎に登録する必要がある属性項目の数を、全ての部品について同じ属性項目を設定する場合と比較して削減する。
【解決手段】情報受信部41は、設計的視点による分類である機能分類と、調達・製造的視点による分類である工法・材料分類の2つの分類の組み合わせにより2次元的に設定された複数の複合部品分類の中から、新しく登録を行う部品に合致する複合部品分類の選択を受け付ける。そして、情報受信部41は、選択された複合部品分類に対して設定され各複合部品分類毎に異なる複数の属性情報、複合部品分類に関係なくどの部品に対しても共通に設定されている共通属性情報および部品品番を含む部品情報の入力を受け付ける。部品情報データベース32は、情報受信部41により受け付けられた部品情報を格納する。