(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5769181
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】電源制御部を備える表示装置及びその駆動方法
(51)【国際特許分類】
G09G 3/30 20060101AFI20150806BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20150806BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
G09G3/30 J
G09G3/20 642P
G09G3/20 612G
G09G3/20 680G
G09G3/20 621M
G09G3/20 670K
G09G3/20 670M
G09G3/20 670L
G09G3/20 670C
H05B33/14 A
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-187306(P2013-187306)
(22)【出願日】2013年9月10日
(65)【公開番号】特開2014-85667(P2014-85667A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2013年9月11日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0117809
(32)【優先日】2012年10月23日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】501426046
【氏名又は名称】エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100101199
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義教
(72)【発明者】
【氏名】キム, ヘリム
(72)【発明者】
【氏名】キム, ボムシク
(72)【発明者】
【氏名】ウ, キョンドン
【審査官】
西島 篤宏
(56)【参考文献】
【文献】
特表2009−508171(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0143655(US,A1)
【文献】
特開2007−248902(JP,A)
【文献】
特開平09−305145(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/30
G09G 3/20
H01L 51/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素領域を定義するための複数のゲートライン及び複数のゲート線と交差する複数のデータラインと、複数の画素領域に対応する複数の電源配線とを含み、映像を表示する発光ダイオードパネルであって、ゲートラインとデータラインに接続されたスイッチング薄膜トランジスタと、スイッチング薄膜トランジスタに接続された駆動薄膜トランジスタと、駆動薄膜トランジスタに接続された発光ダイオードとが、複数の画素領域のそれぞれに配置される発光ダイオードパネルと、
前記複数の電源配線に電源電圧を供給し、前記複数の電源配線に流れる複数の電流それぞれを検出し、その検出結果に基づいて前記複数の電源配線それぞれへの前記電源電圧の供給を制御する電源制御部と、
前記発光ダイオードパネルの前記複数のデータラインにデータ信号を供給する複数のデータ駆動部と、
を備え、
発光ダイオードが電源電圧を使用してデータ信号に基づいて発光し、
前記電源制御部が、
前記複数の電源配線に流れる前記複数の電流それぞれを検出する電流検出部であって、前記複数の電源配線に接続された複数の抵抗をそれぞれ含む電流検出部と、
複数の出力端子から前記複数の電源配線に出力される前記電源電圧の経路である複数の供給チャネルのうちから1つを選択するチャネル選択部であって、前記複数の抵抗のうち選択された1つの抵抗の一端を選択する第1のマルチプレクサと、前記複数の抵抗のうち前記選択された1つの抵抗の他端を選択する第2のマルチプレクサとを含むチャネル選択部と、
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記電源制御部は、
前記電源電圧の出力可否を決定する電源電圧制御部と、
前記電源電圧制御部の制御に従って前記複数の電源配線への前記電源電圧の供給をオン・オフするスイッチ部と、
前記電流検出部が検出した前記電流を基準電流と比較する比較部と、
を含み、
前記電源電圧制御部は、電流が前記基準電流より大きいとき、前記複数の電源配線に供給される電源電圧が選択的に遮断され、電流が前記基準電流以下であるとき、電源電圧が電源配線に持続的に供給されるように、前記スイッチ部を制御することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記スイッチ部は、電源電圧供給配線に接続される複数のトランジスタを含み、
前記複数のトランジスタと前記複数の出力端子との間に前記複数の抵抗が接続され、
前記第1のマルチプレクサは前記複数のトランジスタと前記複数の抵抗との間にある複数の第1ノードのうちから1つを選択し、前記第2のマルチプレクサは前記複数の抵抗と前記複数の出力端子との間にある複数の第2ノードのうちから1つを選択し、
前記比較部は、前記複数の第1ノードのうち、前記選択した抵抗の一端にある選択された1つのノードの第1電圧と、前記複数の第2ノードのうち、前記選択された抵抗の他端にある選択された1つのノードの第2電圧とを比較する比較器を含むことを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記比較部は、
前記第1電圧と前記第2電圧の差が基準電圧以下である場合、前記電流が前記基準電流以下であると判断し、
前記第1電圧と前記第2電圧の差が前記基準電圧より大きい場合は、前記電流が前記基準電流より大きいと判断することを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記発光ダイオードパネルは、前記複数の画素領域及び前記複数の電源配線を含む表示領域と、前記表示領域を囲む非表示領域とを含み、
前記非表示領域には、前記電源制御部及び前記複数の電源配線に接続される複数の第1電源リンク配線が形成されることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記複数の電源配線のうちの2つ以上が、前記複数の第1電源リンク配線のうちの2つ以上に接続されることを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記複数のデータ駆動部は、それぞれ前記データ信号を生成する駆動集積回路と、前記駆動集積回路が装着される延性印刷回路とを含み、
前記延性印刷回路には、前記電源制御部及び前記複数の第1電源リンク配線に接続される複数の第2電源リンク配線が形成されることを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項8】
前記複数のデータ駆動部は、前記電源制御部が装着されるデータ印刷回路基板を更に含み、
前記データ印刷回路基板には、前記電源制御部及び前記複数の第2電源リンク配線に接続される複数の第3電源リンク配線が形成されることを特徴とする請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
電源制御部が発光ダイオードパネルの複数の電源配線に複数の出力端子から出力される電源電圧を供給し、複数のデータ駆動部が複数の発光ダイオードパネルの複数のデータラインにデータ信号を供給して映像を表示する段階であって、発光ダイオードパネルが複数の画素領域を定義するための複数のゲートライン及び複数のゲートラインと交差する複数のデータラインと、複数の画素領域に対応する複数の電源配線とを含み、ゲートラインとデータラインに接続されたスイッチング薄膜トランジスタと、スイッチング薄膜トランジスタに接続された駆動薄膜トランジスタと、駆動薄膜トランジスタに接続された発光ダイオードとが、複数の画素領域のそれぞれに配置される、映像を表示する段階と、
前記電源制御部が前記複数の電源配線に流れる複数の電流それぞれを検出し、その複数の電流それぞれが過電流であるか否かを判断する段階と、
前記電流が前記過電流である場合、前記電源制御部が前記複数の電源配線それぞれに供給される前記電源電圧を選択的に遮断する段階と、
を含み、
前記発光ダイオードが前記電源電圧を使用してデータ信号に基づいて発光し、
前記電源制御部が、
前記複数の電源配線に流れる前記複数の電流それぞれを検出する電流検出部であって、前記複数の電源配線に接続された複数の抵抗をそれぞれ含む電流検出部と、
複数の出力端子から前記複数の電源配線に出力される前記電源電圧の経路である複数の供給チャネルのうちから1つを選択するチャネル選択部であって、前記複数の抵抗のうち選択された1つの抵抗の一端を選択する第1のマルチプレクサと、前記複数の抵抗のうち前記選択された1つの抵抗の他端を選択する第2のマルチプレクサとを含むチャネル選択部と、
を備えることを特徴とする表示装置の駆動方法。
【請求項10】
前記電流が前記過電流でない場合、前記電源制御部が前記電源電圧を前記複数の電源配線に持続的に供給する段階を更に含むことを特徴とする請求項9に記載の表示装置の駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関するものであって、特に電源電圧を制御する電源制御部を備える表示装置及びその駆動方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フラットパネル表示装置(flat panel display:FPD)の一つである有機発光ダイオード(organic light emitting diode:OLED)表示装置は、高輝度及び低動作電圧の特性を有する。
【0003】
そして、自ら発光する自己発光型であるため、コントラスト比が高く、超薄型ディスプレイの具現化が可能であり、応答時間が数マイクロ秒(μs)程度で動画像を具現化しやすい。また、視野角に制限がなく、低温下においても安定的であり、直流5Vないし15Vの低電圧で駆動するため、駆動回路の製作及び設計が容易である。
【0004】
また、有機発光ダイオード表示装置の製造工程は、蒸着(deposition)及びカプセル化(encapsulation)が全てであると言えるため、製造工程が非常に単純である。
【0005】
ところが、有機発光ダイオード表示装置は、発光ダイオードに電流を供給して光を放出させる電流駆動方式であるため、統合電源配線を介して各画素領域に様々な大容量の電源を供給しなければならない。
【0006】
かかる有機発光ダイオード表示装置の統合電源配線について図面を参照して説明する。
【0007】
図1は、従来の有機発光ダイオード表示装置の一例を示す図面である。
【0008】
図1に示すように、従来の一例に係る有機発光ダイオード表示装置10は、映像を表示する発光ダイオードパネル20と、発光ダイオードパネル20に接続され、それぞれゲート信号及びデータ信号を供給する複数のゲート駆動部(不図示)及び複数のデータ駆動部30と、複数のゲート駆動部に複数のゲート制御信号を供給し、複数のデータ駆動部30に複数のデータ制御信号及び映像信号を供給するタイミング制御部50とを備える。
【0009】
発光ダイオードパネル20は、複数の画素領域Pで構成される表示領域DAと、表示領域DAを囲む非表示領域NDAとを含む。表示領域DAには、複数の画素領域Pに第1電源を供給するための複数の第1電源配線22が形成される。また、非表示領域NDAには、複数の第1電源配線22に接続され、外部から供給される第1電源を複数の第1電源配線22に伝達する第1統合電源配線24が形成される。
【0010】
図面に示していないが、表示領域DAには、複数の画素領域Pに第2電源を供給するための複数の第2電源配線が形成される。また、非表示領域NDAには、複数の第2電源配線に接続され、外部から供給される第2電源を複数の第2電源配線に伝達する第2統合電源配線26が形成される。
【0011】
複数のデータ駆動部30は、複数の駆動集積回路(driving integrated circuit:DIC)32と、複数の延性印刷回路(flexible printed circuit:FPC)34と、データ印刷回路基板(printed circuit board:PCB)36とを含む。複数の駆動集積回路32と複数の延性印刷回路34は、それぞれテープキャリアパッケージ(TCP)のように、フィルムの上部に集積回路を装着したチップオンフィルム(COF)の形態で形成され、印刷回路基板36と発光ダイオードパネル20とを接続させる。
【0012】
延性印刷回路34の両端部には、外部から第1電源が供給される第1電源供給線40が形成され、第1電源供給線40は、第1統合電源配線24に接続される。
【0013】
そして、発光ダイオードパネル20には、フィルムオングラス(FOG)のような補助駆動部38が接続されるが、補助駆動部38には第2電源供給線42が形成され、第2電源供給線42は、第2統合電源配線26に接続される。
【0014】
タイミング制御部50は、TVシステムまたはグラフィックカードのような外部システムから印加された映像信号及び複数のタイミング信号を用いて、複数のゲート制御信号、複数のデータ制御信号及び再配列された映像信号を生成する。
【0015】
図2は、従来の有機発光ダイオード表示装置の他の一例を示す図面である。
【0016】
図2に示すように、他の一例に係る従来の有機発光ダイオード表示装置110は、映像を表示する発光ダイオードパネル120と、発光ダイオードパネル120に接続され、それぞれゲート信号及びデータ信号を供給する複数のゲート駆動部(不図示)及び複数のデータ駆動部130と、複数のゲート駆動部に複数のゲート制御信号を供給し、複数のデータ駆動部130に複数のデータ制御信号及び映像信号を供給するタイミング制御部150とを備える。
【0017】
発光ダイオードパネル120は、複数の画素領域Pで構成される表示領域DAと、表示領域DAを囲む非表示領域NDAとを含む。表示領域DAには、複数の画素領域Pに第1及び第2電源をそれぞれ供給するための複数の第1電源配線122及び複数の第2電源配線(不図示)が形成される。また、非表示領域NDAには、複数の第1電源配線122に接続され、外部から供給される第1電源を複数の第1電源配線122に伝達する第1統合電源配線124及び複数の第2電源配線に接続され、外部から供給される第2電源を複数の第2電源配線に伝達する第2統合電源配線126が形成される。
【0018】
複数のデータ駆動部130は、複数の駆動集積回路132と、複数の延性印刷回路134と、データ印刷回路基板136とを含む。複数の駆動集積回路132と複数の延性印刷回路134は、それぞれテープキャリアパッケージ(TCP)のように、フィルムの上部に集積回路を装着したチップオンフィルム(COF)の形態で形成され、印刷回路基板136と発光ダイオードパネル120とを接続させる。
【0019】
延性印刷回路134の両端部には、外部から第1電源が供給される第1外部電源線140及び外部から第2電源が供給される第2外部電源線142が形成される。第1及び第2外部電源線140、142は、それぞれ第1及び第2統合電源配線124、126に接続される。
【0020】
タイミング制御部150は、TVシステムまたはグラフィックカードのような外部システムから印加された映像信号及び複数のタイミング信号を用いて、複数のゲート制御信号、複数のデータ制御信号及び再配列された映像信号を生成する。
【0021】
かかる従来の有機発光ダイオード表示装置10、110において、第1及び第2電源は、それぞれ電源電圧VDD及び基底電圧VSSである。有機発光ダイオード表示装置10、110を長時間駆動した場合、発光ダイオードパネル20、120内の複数の第1電源配線22、122が他の配線と電気的に短絡(electric shortage)したり、または発光ダイオード自体が電気的に短絡したりすることがある。その結果、複数の第1電源配線22、122に過度な電流が流れ、焼損する可能性がある。
【0022】
また、一つの第1統合電源配線24、124及び一つの第2統合電源配線26、126を介して発光ダイオードパネル20、120の全画素領域Pに第1及び第2電源を供給するため、第1統合電源配線24、124及び第2統合電源配線26、126のそれぞれには過度な電流が流れる。その結果、第1統合電源配線24、124または第2統合電源配線26、126が焼損、または他の配線と電気的に短絡(electric shortage)することもある。更に、このような第1統合電源配線24、124及び第2統合電源配線26、126の不良は、第1電源配線22、122及び第2電源配線に拡散する恐れがある。
【0023】
特に、大面積表示装置の場合、更に多くの駆動電流を必要とするため、かかる不良が更に大きな問題となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
本発明は、かかる問題を解決するためになされたものであって、複数の電源配線に供給される電源電流をそれぞれ検出し、その検出結果に基づいて電源電圧を複数の電源配線毎に制御することで、複数の電源配線毎に電気的短絡または焼損のような不良を防止できる電源制御部を備える表示装置及びその駆動方法を提供することを目的とする。
【0025】
また、本発明は、複数の電源配線に供給される電源電流をそれぞれ検出し、その検出結果に基づいて電源電圧を複数の電源配線毎に制御する電源制御部を構成することで、製造費用が節減され、制御段階が簡略化された電源制御部を備える表示装置及びその駆動方法を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上述のような課題を解決するために、本発明は、複数の画素領域に対応する複数の電源配線を含み、映像を表示する表示パネルと;前記複数の電源配線に電源電圧を供給し、前記複数の電源配線に流れる電流を検出し、その検出結果に基づいて前記電源電圧の供給を制御する電源制御部と;前記表示パネルにデータ信号を供給する複数のデータ駆動部とを備える表示装置を提供する。
【0027】
そして、前記電源制御部は、前記電源電圧の出力可否を決定する電源電圧制御部と;前記電源電圧制御部の制御に従って前記複数の電源配線への前記電源電圧の供給をオン・オフするスイッチ部と;前記複数の電源配線に流れる前記電流を検出する電流検出部と;複数の出力端子に出力される前記電源電圧の経路である複数の供給チャネルのうちから1つを選択するチャネル選択部と;前記電流検出部が検出した前記電流を基準電流と比較する比較部とを含み、前記電源電圧制御部は、前記比較部の比較結果に基づいて前記スイッチ部を制御することができる。
【0028】
また、前記スイッチ部は、電源電圧供給配線に並列に接続される複数のトランジスタを含み、前記電流検出部は、前記複数のトランジスタと前記複数の出力端子との間にそれぞれ接続される複数の抵抗を含む。そして、前記チャネル選択部は、前記複数の抵抗の一端にある複数の第1ノードのうちから1つを選択する第1マルチプレクサ(MUX1)と、前記複数の抵抗の他端にある複数の第2ノードのうちから1つを選択する第2マルチプレクサ(MUX2)とを含み、前記比較部は、前記複数の第1ノードのうちから選択された1つの第1電圧と前記複数の第2ノードのうちから選択された1つの第2電圧とを比較する比較器を含むことができる。
【0029】
そして、前記比較部は、前記第1電圧と前記第2電圧の差が基準電圧以下である場合、前記電流が前記基準電流以下であると判断し、前記第1電圧と前記第2電圧の差が前記基準電圧より大きい場合は、前記電流が前記基準電流より大きいと判断することができる。
【0030】
また、前記発光ダイオードパネルは、前記複数の画素領域及び前記複数の電源配線を含む表示領域と、前記表示領域を囲む非表示領域とを含み、前記非表示領域には、前記電源制御部及び前記複数の電源配線に接続される複数の第1電源リンク配線が形成されることができる。
【0031】
そして、前記複数の電源配線のうちの2つ以上が、前記複数の第1電源リンク配線のそれぞれに接続されることができる。
【0032】
また、前記複数のデータ駆動部は、それぞれ前記データ信号を生成する駆動集積回路と、前記駆動集積回路が装着される延性印刷回路とを含み、前記延性印刷回路には、前記電源制御部及び前記複数の第1電源リンク配線に接続される複数の第2電源リンク配線が形成されることができる。
【0033】
そして、前記複数のデータ駆動部は、前記電源制御部が装着されるデータ印刷回路基板を更に含み、前記データ印刷回路基板には、前記電源制御部及び前記第2電源リンク配線に接続される複数の第3電源リンク配線が形成されることができる。
【0034】
一方、本発明は、電源制御部が発光ダイオードパネルの複数の電源配線に複数の出力端子から出力される電源電圧を供給し、複数のデータ駆動部が複数の画素領域にデータ信号を供給して映像を表示する段階と;前記電源制御部が前記複数の電源配線に流れる電流を検出し、その電流が過電流であるか否かを判断する段階と;前記電流が前記過電流である場合、前記電源制御部が前記複数の電源配線に供給される前記電源電圧を選択的に遮断する段階とを含む表示装置の駆動方法を提供する。
【0035】
そして、前記表示装置の駆動方法は、前記電流が前記過電流でない場合、前記電源制御部が前記電源電圧を前記複数の電源配線に持続的に供給する段階を更に含むことができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明は、複数の電源配線に供給される電源電流をそれぞれ検出し、その検出結果に基づいて電源電圧を複数の電源配線毎に制御することで、複数の電源配線毎に電気的短絡または焼損のような不良を防止できる効果を有する。
【0037】
また、本発明は、複数の電源配線に供給される電源電流をそれぞれ検出し、その検出結果に基づいて電源電圧を複数の電源配線毎に制御する電源制御部を構成することで、製造費用を節減すると共に制御段階を簡略化できる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】従来の有機発光ダイオード表示装置の一例を示す図面である。
【
図2】従来の有機発光ダイオード表示装置の他の一例を示す図面である。
【
図3】本発明の実施形態に係る有機発光ダイオード表示装置を示す図面である。
【
図4】本発明の実施形態に係る有機発光ダイオード表示装置の電源制御部のブロック図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る有機発光ダイオード表示装置の電源制御部の回路図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る有機発光ダイオード表示装置の駆動方法を示すフロー図である。
【
図7】本発明の他の実施形態に係る有機発光ダイオード表示装置を示す図面である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、図面を参照して本発明に係る電源制御部を備える表示装置及びその駆動方法について説明する。この説明においては、その一例として有機発光ダイオード表示装置を挙げて説明する。
【0040】
図3は、本発明の実施形態に係る有機発光ダイオード表示装置を示す図面である。
【0041】
図3に示すように、本発明の実施形態に係る有機発光ダイオード表示装置210は、映像を表示する発光ダイオードパネル220と、発光ダイオードパネル220に接続され、それぞれゲート信号及びデータ信号を供給する複数のゲート駆動部(不図示)及び複数のデータ駆動部230と、発光ダイオードパネル220に接続され、電源電圧を供給する電源制御部250と、複数のゲート駆動部に複数のゲート制御信号を供給し、複数のデータ駆動部230に複数のデータ制御信号及び映像信号を供給するタイミング制御部260とを備える。
【0042】
発光ダイオードパネル220は、複数の画素領域Pで構成される表示領域DAと、表示領域DAを囲む非表示領域NDAとを有する第1及び第2基板(不図示)を含む。第1基板の表示領域DAには、複数の画素領域Pに電源電圧VDDを供給するための複数の電源配線222が、第1方向(垂直方向)に形成される。また、第1基板の非表示領域NDAには、複数の電源配線222に接続され、電源電圧VDDを複数の電源配線222に伝達する複数の第1電源リンク配線224が形成される。
【0043】
図面に示していないが、第1基板の表示領域DAには、互いに交差して複数の画素領域Pを定義する複数のゲート配線及びデータ配線が形成される。複数の画素領域Pのそれぞれには、ゲート配線及びデータ配線に接続されるスイッチング薄膜トランジスタと、スイッチング薄膜トランジスタに接続される駆動薄膜トランジスタ及びストレージキャパシタと、駆動薄膜トランジスタに接続され、電源電圧VDDを用いて発光する発光ダイオードとが形成される。
【0044】
複数のデータ駆動部230は、複数の駆動集積回路(driving integrated circuit:DIC)232と、複数の延性印刷回路(flexible printed circuit:FPC)234と、データ印刷回路基板(printed circuit board:PCB)236とを含む。複数の駆動集積回路232及び複数の延性印刷回路234は、それぞれテープキャリアパッケージ(TCP)のように、フィルムの上部に集積回路を装着したチップオンフィルム(COF)の形態で形成され、印刷回路基板236と発光ダイオードパネル220とを接続させることができる。
【0045】
そして、複数の延性印刷回路234のそれぞれの両端部には、複数の第1電源リンク配線224にそれぞれ接続され、電源電圧VDDを複数の第1電源リンク配線224に伝達する複数の第2電源リンク配線240が形成される。
【0046】
複数の電源制御部250は、それぞれ集積回路(integrated circuit:IC)の形態で形成され、データ印刷回路基板236に装着されることができる。電源電圧VDDを生成して出力する場合において、複数の電源制御部250は、発光ダイオードパネル220の複数の電源配線222に流れる電流を検出し、その検出結果に基づいて電源電圧VDDの出力を制御する。
【0047】
そのため、複数の電源制御部250のそれぞれは、電源電圧VDDを出力する複数の出力端子252を含む。そして、データ印刷回路基板236には、複数の出力端子252及び複数の第2電源リンク配線240にそれぞれ接続され、複数の電源制御部250のそれぞれの電源電圧VDDを複数の第2電源リンク配線240に伝達する複数の第3電源リンク配線242が形成される。
【0048】
その結果、複数の電源制御部250から出力される電源電圧VDDは、互いに1:1:1の対応関係で接続される第1ないし第3電源リンク224、240、242を介して複数の電源配線222に伝達され、複数の画素領域Pのそれぞれの発光ダイオードに供給される。
【0049】
図3の実施形態においては、複数の第2電源リンク配線240が複数の延性印刷回路234のそれぞれの両端部に形成されることを例に挙げたが、他の実施形態においては、複数の第2電源リンク配線240が複数の駆動集積回路232のそれぞれの複数の出力端子(不図示)と交互に配置するように形成されても良い。
【0050】
タイミング制御部260は、TVシステムまたはグラフィックカードのような外部システムから伝達された映像信号と、データイネーブル(DE)信号、水平同期(horizontal synchronization:HSY)信号、垂直同期(vertical synchronization:VSY)信号、及びクロック(CLK)信号のような複数のタイミング信号とを用いて、複数のゲート制御信号、複数のデータ制御信号及び再配列された映像信号を生成し、複数のゲート駆動部及び複数のデータ駆動部230に伝達する。
【0051】
次に、電源配線222への電源電圧VDD供給を制御する電源制御部250の構成について図面を参照して説明する。
【0052】
図4は、本発明の実施形態に係る有機発光ダイオード表示装置の電源制御部のブロック図であり、
図5は、本発明の実施形態に係る有機発光ダイオード表示装置の電源制御部の回路図である。
【0053】
図4及び
図5に示すように、本発明の実施形態に係る有機発光ダイオード表示装置の複数の電源制御部250のそれぞれは、電源電圧制御部270と、スイッチ部272と、電流検出部274と、チャネル選択部276と、比較部278とを含む。
【0054】
電源電圧制御部270は、比較部278の比較結果に基づいてスイッチ部272を制御し、電源電圧VDDの出力可否を決定する。
【0055】
スイッチ部272は、電源電圧制御部270の制御に従って電源電圧VDDの供給をオン・オフさせる。例えば、スイッチ部272は、電源電圧VDD供給配線に並列に接続される複数のトランジスタTで構成される。
【0056】
電流検出部274は、複数の第1ないし第3電源リンク配線224、240、242のそれぞれに流れる電流を検出する。例えば、電流検出部274は、複数のトランジスタTと複数の出力端子252との間にそれぞれ接続される複数の抵抗Rで構成される。
【0057】
複数の抵抗Rは、例えば、約0.01オームの精密抵抗であっても良い。
【0058】
更に、複数のトランジスタTと複数の抵抗Rとの間には、複数の第1ノードN1が形成され、複数の抵抗Rと複数の出力端子252との間には、第2ノードN2が形成される。
【0059】
チャネル選択部276は、複数の電源配線222に対応する複数の出力端子252に出力される電源電圧VDDの経路である複数の供給チャネルのうちの1つを、順次にまたは選択信号によって選択する。例えば、チャネル選択部276は、複数の第1ノードN1のうちから1つを選択する第1マルチプレクサ(MUX1)と、複数の第2ノードのうちから1つを選択する第2マルチプレクサ(MUX2)とで構成される。
【0060】
比較部278は、電流検出部274の電流を基準電流と比較する。例えば、比較部278は、複数の第1ノードN1のうちの1つの第1電圧V1と複数の第2ノードN2のうちの1つの第2電圧V2を受信してその大きさを比較し、その比較結果を出力する比較器(comparator)COMで構成される。
【0061】
このような電源制御部250の動作について簡単に説明する。
【0062】
まず、複数の出力端子252に電源電圧VDDが出力され、発光ダイオードパネル(
図3の220)の複数の電源配線222に電気的短絡または焼損といった不良が発生していない正常状態である場合、複数の抵抗Rには基準電流値以下の電流が流れる。その結果、複数の抵抗Rによる電圧降下も基準降下量以下となる。
【0063】
即ち、第1及び第2電圧V1、V2の差(V2−V1)は、基準降下量に対応する基準電圧値以下となり、比較器COMは、比較結果として基準電圧値以下の電圧差に対応する正常状態の信号を電源電圧制御部270に伝達する。そして、電源電圧制御部270は、正常状態の信号によって複数のトランジスタTを、全てターンオンするように制御する。
【0064】
従って、正常状態においては、発光ダイオードパネル220の複数の電源配線222に電源電圧VDDが持続的に供給される。
【0065】
一方、複数の出力端子252に電源電圧VDDが出力され、発光ダイオードパネル(
図3の220)の複数の電源配線222に電気的短絡または焼損といった不良が発生した非正常状態である場合、複数の抵抗Rには基準電流値より大きい過電流が流れる。その結果、複数の抵抗Rによる電圧降下も基準降下量より大きくなる。
【0066】
即ち、第1及び第2電圧V1、V2の差(V2−V1)は、基準降下量に対応する基準電圧値より大きくなり、比較器COMは、比較結果として基準電圧値より大きい電圧差に対応する非正常状態の信号を電源電圧制御部270に伝達する。
【0067】
第1及び第2マルチプレクサ(MUX1、MUX2)によって、複数の供給チャネルに対応する複数の抵抗Rのうちから選択された1つに流れる過電流が検出されるため、比較器COMは、複数の供給チャネルのうちから非正常状態の供給チャネルを判別し、その非正常状態の供給チャネルに対する情報を含む非正常状態の信号を、電源電圧制御部270に伝達することができる。
【0068】
また、電源電圧制御部270は、非正常状態の信号によって複数のトランジスタTのうちから、非正常状態の供給チャネルに対応するトランジスタTを、選択的にターンオフするように制御する。
【0069】
従って、非正常状態においては、発光ダイオードパネル220の複数の電源配線222のうち、過電流が流れる電源配線222へは電源電圧VDDが遮断され、正常電流が流れる電源配線222には電源電圧VDDが持続的に供給される。
【0070】
例えば、第1出力端子252a、第2出力端子252b、第3出力端子252c、第4出力端子(不図示)及び第5出力端子(不図示)に出力される電流値が、それぞれ10mA、25mA、15mA、15mA、35mAの場合、平均出力電流値は20mAであって、基準電流値の22mA未満という正常範囲に入る。しかし、第2出力端子252b及び第5出力端子(不図示)の電流は、基準電流より大きい過電流であるため、該当電源配線222に短絡または焼損のような不良が発生したものとして考えることができる。
【0071】
この場合、電源電圧制御部270は、第2及び第5トランジスタTをターンオフさせて第2出力端子252b及び第5出力端子(不図示)に出力される電源電圧VDDを遮断し、第1、第3及び第4トランジスタTをターンオンさせて第1出力端子252a、第3出力端子252c、及び第4出力端子(不図示)に出力される電源電圧VDDは持続的に供給する。
【0072】
このような電源制御部を含む有機発光ダイオード表示装置の駆動方法について図面を参照して説明する。
【0073】
図6は、本発明の実施形態に係る有機発光ダイオード表示装置の駆動方法を示すフロー図である。
図3ないし
図5を共に参照して説明する。
【0074】
図6に示すように、複数の電源制御部250のそれぞれの全出力端子252に電源電圧VDDが出力され、その電源電圧VDDは、発光ダイオードパネル220の複数の電源配線222に供給される(st110)。そして、発光ダイオードパネル220の複数の画素領域Pは、電源電圧VDDとゲート信号及びデータ信号を用いて映像を表示する(st120)。
【0075】
その後、複数の電源制御部250のそれぞれは、複数の電源配線222に流れる電流を検出し、その電流が過電流であるか否かを判断する(st130)。
【0076】
選択された電源配線222の電流が過電流である場合、複数の電源制御部250のそれぞれは、該当出力端子252から出力される電源電圧VDDを遮断し、残り出力端子252には電源電圧VDDを出力する(st140)。その結果、発光ダイオードパネル220には、部分的に映像が表示される。
【0077】
選択された電源配線222の電流が過電流でない場合、複数の電源制御部250のそれぞれは、全出力端子252に電源電圧VDDが持続的に出力されるようにする。その結果、発光ダイオードパネル220には、持続的に映像が表示される。
【0078】
以上のように、本発明の実施形態に係る有機発光ダイオード表示装置においては、簡単な構成を有する電源制御部250を用いて、発光ダイオード表示パネル220の複数の電源配線222における短絡または焼損のような不良を防止できるため、製造費用を節減することができる。
【0079】
また、電源制御部250を用いて、複数の電源配線222の過電流を個別的に検出できるため、短絡または焼損のような不良を防止すると共に映像を部分的に表示しながら不良部分を容易に把握することができる。
【0080】
更に、タイミング制御部260などを用いず、電源制御部250のみを用いて電源電圧VDDを供給すると共に過電流が発生した電源配線222への電源電圧VDDの供給を遮断することで、駆動部の負担を軽減させることができる。
【0081】
図3においては、複数の第1電源リンク配線224のそれぞれが1つの電源配線222に接続される構成を例に挙げたが、他の実施形態においては、複数の第1電源リンク配線224のそれぞれが2つ以上の電源配線222に接続されても良い。これについて図面を参照して説明する。
【0082】
図7は、本発明の他の実施形態に係る有機発光ダイオード表示装置を示す図面である。
図3と同一部分については、その説明を省略する。
【0083】
図7に示すように、本発明の他の実施形態に係る有機発光ダイオード表示装置310は、映像を表示する発光ダイオードパネル320と、発光ダイオードパネル320に接続され、それぞれゲート信号及びデータ信号を供給する複数のゲート駆動部(不図示)及び複数のデータ駆動部330と、発光ダイオードパネル320に接続され、電源電圧を供給する電源制御部350とを備える。
【0084】
発光ダイオードパネル320の第1基板の表示領域には、複数の画素領域Pに電源電圧VDDを供給するための複数の電源配線322が、第1方向(垂直方向)に形成される。また、第1基板の非表示領域には、複数の電源配線322に接続され、電源電圧VDDを複数の電源配線322に伝達する複数の第1電源リンク配線324が形成される。
【0085】
複数の第1電源リンク配線324のそれぞれは、3つの電源配線322に接続される。
【0086】
複数のデータ駆動部330は、複数の駆動集積回路332と、複数の延性印刷回路334と、データ印刷回路基板336とを含む。複数の延性印刷回路334のそれぞれの両端部には、複数の第1電源リンク配線324にそれぞれ接続され、電源電圧VDDを複数の第1電源リンク配線324に伝達する複数の第2電源リンク配線340が形成される。
【0087】
そして、発光ダイオードパネル320の複数の電源配線322に流れる電流を検出し、その検出結果に基づいて電源電圧VDDの出力を制御する複数の電源制御部350のそれぞれは、電源電圧VDDを出力する複数の出力端子352を含む。そして、印刷回路基板336には、複数の出力端子352及び複数の第2電源リンク配線340にそれぞれ接続され、複数の電源制御部350のそれぞれの電源電圧VDDを複数の第2電源リンク配線340に伝達する複数の第3電源リンク配線342が形成される。
【0088】
その結果、複数の電源制御部350から出力される電源電圧VDDは、互いに1:1:1の対応関係で接続される第1ないし第3電源リンク324、340、342を介して複数の電源配線322に伝達され、複数の画素領域Pのそれぞれの発光ダイオードに供給される。
【0089】
このように、1つの第1電源リンク配線324に3つの電源配線322を接続させる場合、第1ないし第3電源リンク配線324、340、342のそれぞれの個数及び電源制御部350の出力端子352の個数を減少させることができる。特に、第2電源リンク配線340の個数を減少させることで、その形成領域が延性印刷回路334内に制限される第2電源リンク配線340の設計自由度を改善することができる。更に、出力端子352の個数を減少させることで、集積回路の形態で構成される電源制御部350の原価を節減することができる。
【0090】
本発明の実施形態においては、有機発光ダイオード表示装置を例に挙げて説明したが、他の実施形態においては、電源制御部を液晶表示装置に適用しても良い。
【0091】
即ち、映像を表示する液晶パネルと、液晶パネルにゲート信号及びデータ信号を供給するゲート駆動部及びデータ駆動部で構成される液晶表示装置において、電源制御部をデータ駆動部に形成し、液晶パネルに印加される電源電圧を制御するようにすることができる。
【0092】
なお、上記においては、本発明の望ましい実施形態を参照して説明したが、後述する特許請求の範囲に記載された本発明の精神と領域を逸脱しない範囲内で、本発明を種々に修正及び変更できることは、当該技術分野に熟練した者にとって自明である。
【符号の説明】
【0093】
210、310…有機発光ダイオード表示装置、220、320…発光ダイオードパネル、230、330…データ駆動部、250、350…電源制御部