【実施例】
【0019】
図1は、高速道路1の上り線2と下り線3との間に隙間4がある状態を示した概略平面図であり、前記隙間4はその幅の間隔が平行ではなく、幅の間隔が広くなっている箇所や狭くなっている箇所がある。
【0020】
そして、前記隙間4を塞ぎ、高速道路が拡張工事される。この際、本発明のクレーン装置14、すなわち架設作業装置が使用されるものとなる。
【0021】
図1、
図2、
図3などを参照して本発明による架設作業装置の構成につき説明する。
【0022】
図2、
図3において符号5は、高速道路1の上り線2及び下り線3の幅方向両側端部から立ち上げられ、構築されている側壁を示す。
【0023】
そして、例えば、この上り線2と下り線3との隣り合う側壁5、5の上面が走行路とされ、該走行路上に一対の走行軌道6、6が設置されるものとなる。
【0024】
該一対の走行軌道6、6上には長手方向両端側に車輪7、7を備えた一対の走行サドル8、8が移動可能に設置されており、またこの一対の走行サドル8、8上には、該走行サドル8より短尺に形成された、一対の連結桁9、9が載置されている。すなわちこれは、走行サドル8の長さが、前記連結桁9の長さより長尺に形成されることが好ましいことを意味する。装置の安定性を図るためである。
【0025】
そして、前記走行サドル8と連結桁9とは、たとえば前記走行サドル8の長手方向略中央位置と前記連結桁9の長手方向略央位置で、走行サドル8と連結桁9とが水平回動が自在にできるように回動連結部材10により連結されている(
図1参照)。
【0026】
また、前記一対の連結桁9、9は、
図4から理解されるように、一対のクレーン主桁11、11と連結されて略長方形状に枠組みされ、クレーン架台12のベース部を構成する架台ベース13が形成される。
この架台ベース13は前述のごとく略長方形状に枠組みされるが、その枠組みは強固な連結となっており、該略長方形状をなす架台ベース13の外形が変形することはない。従って当然、一対の連結桁が連結されている一対のクレーン主桁11、11の連結部間の長さ、すなわち長手方向長さが変化することもない。
【0027】
そして、このことは、幅の間隔が平行ではなく、幅の間隔が広くなっている箇所や狭くなっている箇所がある隙間4上をその長手方向に向かい、後述するクレーン装置14などの荷揚げ具が走行する際、一対のクレーン主桁11、11間で構成されるクレーン幅員長さが変化せず、不変とされていることを意味する。そのため後述するが隙間4の幅の狭い箇所を走行する際には、
図1に示す様に、架台ベース12が徐々に斜めになって走行するよう構成しているのである。
【0028】
しかして、この様に構成されたクレーン架台12上に、たとえばクレーン装置14などの荷揚げ具が設置されるものとなる。
【0029】
なお、
図2から理解されるように、クレーン装置14の下部には、一対のクレーン主桁11、11上においてその長手方向へ移動し、走行できるよう車輪26、26が設けられており、これにより、クレーン装置14は前記隙間4の幅方向へも移動走行できるよう構成されている。
【0030】
ところで、
図3及び
図4に示す様に、一対の連結桁9、9にはその各々に少なくとも2基以上の補助梁装置15が設けられている。該補助梁装置15は、
連結桁9から外側へ張り出す様一端側を回動可能にして取り付けられた補助支持梁16と、前記外側に張り出した補助支持梁16をその状態で保持固定する固定部材17とを備えて構成されている。
【0031】
ここで、
図1を参照して、本発明による架設作業装置の動きを概略的に説明すると、一対の走行軌道6、6上に本発明の架設作業装置を構成する一対の走行サドル8,8が載置され、一対の走行軌道8、8上を本発明の架設作業装置が移動して作業が行えるように設置されている。
【0032】
しかして、
図1では一対の走行軌道6、6の間が架設作業装置の長さより狭くなっているため、前記架設作業装置は走行軌道6、6に対し斜めになった状態においても移動できるよう構成してある。
【0033】
すなわち、一対の走行軌道6、6上を一対の走行サドル8、8は通常は平行に走行するものとなるが、一対の連結桁9、9は前記走行サドル8、8の長手方向中央位置で回動連結部材10により前記一対の走行サドル8、8と水平回動可能に連結されているため、前記回動連結部材10を回転軸にして架設作業装置自体が斜めになりながら一対の走行軌道6、6上を移動するものとなる。
【0034】
しかし、その際、架設作業装置があまりに斜めになりすぎると、一対の走行軌道6、6上を安定走行できないものとなる。
【0035】
すなわち、
図6から理解されるように、あまりに斜めに傾きすぎると、一対の連結桁9、9と一対のクレーン主桁11、11とによって略長方形状に枠組みされたクレーン架台12が安定的に一対の走行軌道6、6上に載置されなくなってしまうものとなる。長方形状に枠組みされたクレーン架台12の対向する2つの隅角部18、18が走行軌道6、6上から外れてしまい、走行安定性が極端に低下してしまうからである。
【0036】
従って、本発明では上記の状況を解消すべく、
図1から理解されるように、一対の連結桁9、9の長手方向両端側に、該連結桁9、9から外側へ張り出し、前記走行サドル8、8上に延出し、該走行サドル8、8上面に接する補助支持梁16を備えた補助梁装置15、15を取り付けたのである。
【0037】
ここで、補助梁装置15の構成につき
図4を参照して説明すると、該補助梁装置15は、補助支持梁16と該補助支持梁16を固定する固定部材17とを有して構成されている。そして、補助支持梁16はその一端が連結桁9の端部で軸支されており、該軸支部19を支点にして連結桁9の外側に張り出せるよう回動可能に構成されている。
【0038】
そして、外側に張り出した補助支持梁16は
図1及び
図4に示すように、走行サドル8上に延出し、該走行サドル8上面に接するよう構成されている。
【0039】
なお、補助支持梁16が回動して外側に張り出したとき、該補助支持梁16が張り出した状態を保持して揺動しないよう、固定部材17によって強固に固定されるものとなる。
【0040】
従って、
図1に示すように、たとえ本発明の架設作業装置が一対の走行軌道6、6上で斜めに傾いて走行したとしても、前記補助支持梁16が走行サドル8上面に位置しており、もって少なくとも3カ所(
図1で示すA,B,C)で走行サドル8上に支持されるものとなる。そのため、決して本発明の架設作業装置が走行不安定状態を来すことがない。
【0041】
ところで、
図1に示すように架設作業装置を斜めに傾かせて一対の走行軌道6、6上を安定的に走行させるには、それぞれの走行軌道6、6上を走行移動する車輪7の移動スピード(回転スピード)をコントロールしなければならない。
【0042】
図1を参照して説明すると、X位置の場合とY位置の場合では、下り線側にある走行サドル8の位置はより先に移動していかねばならない。架設作業装置を、より斜めにしなくてはならないからである。そのため、下り線側に位置する走行サドル8の車輪7の移動スピード(回転スピード)は上り線側に位置する走行サドル8の車輪7の移動スピードより、そのスピードを上げておく必要がある。
【0043】
なお、上り線側に位置する走行サドル8の車輪7の移動スピードを下り線側に位置する走行サドル8の車輪7の移動スピードより遅くすることによって、X位置とY位置の場合での架設作業装置の傾きを取得してもかまわない。
【0044】
さらにZ位置では、下り線側に位置する走行サドル8の車輪7の移動スピード(回転スピード)を上り線側に位置する走行サドル8の車輪7の移動スピードより早めなくてはならない。
【0045】
ここで、前記した上り線側に位置する走行サドル8の車輪7の移動スピードと下り線側に位置する走行サドル8の車輪7の移動スピードに関する制御は、例えば
図7に示す制御盤22の制御によって行われる。
【0046】
一例を挙げると架設作業装置の必要傾き角度を走行中において連続的に検出し、検出した値を基にそれぞれの走行軌道6、6上を走行する車輪7の移動スピード(回転スピード)を算出している。例えば、
図4から理解されるように、歩廊24上に発電機23や制御盤22を設置し、前記制御盤22によりそれぞれの車輪7の移動スピード(回転スピード)が、検出された架設作業装置の必要傾き角度から算出されるがごとき構成が採用される。
【0047】
図7を参照して説明すると、制御盤22には、装置の傾き検出部27、車輪の回転スピード演算部28、車輪モータ制御部29などが設けられており、装置の傾き検出部27によりその傾きが検出されると、その情報(傾き検出値)が車輪回転スピード演算部28へ送出される。
車輪回転スピード演算部28では前記の検出値に基づいて前記走行サドル8の両端側に取り付けられている車輪7のそれぞれの移動スピード(回転スピード)を算出する。
【0048】
そして算出された車輪7の移動スピード(回転スピード)が車輪モータ制御部29へ送出される。
車輪モータ制御部29では送出されたそれぞれの車輪7の移動スピード(回転スピード)に基づき車輪7、7を制御することになる。
【0049】
さらに、
図2、
図3から理解されるように、本装置には脱輪防止装置20が車輪7の両側から走行軌道6に向かって設けられ、これにより各車輪7が脱輪しないよう考慮され、もって本装置の安全性が企図されている。また、
図3から理解されるように、車輪7の前方側にはガイドローラ30が設けられており、例えば前記走行軌道6がいわゆる直線的軌道から斜行、すなわちカーブする軌道に変化する際、走行軌道6の側面にローラが当たって車輪7の進行方向付けを誘導できるよう構成してある。
【0050】
また、前記歩廊24が架台ベース13の両脇に設けられ、該歩廊24が作業スペースとして確保されている。ここで、符号25は手摺りであり、符号21は警報ライトを示す(
図3参照)。