(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記各画素電極のエッジを覆うように前記パッシベーション膜上に形成された画素定義膜をさらに備え、前記画素定義膜は、前記画素電極に隣接した位置に第1開口を有する
ことを特徴とする請求項8に記載の有機発光表示装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、透過領域における透過率を向上させて透明にすると同時に、対向電極における電圧降下を減らせる有機発光表示装置を提供することである。
本発明が解決しようとする他の課題は、透過する光の散乱を抑制して透過イメージの歪曲現象が防止された透明な有機発光表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を達成するために、本発明は、基板と、前記基板の第1面上に形成された複数のTFTと、前記複数のTFTを覆うパッシベーション膜と、前記パッシベーション膜上に前記各TFTと電気的に連結されるように形成され、前記各TFTを覆えるように前記各TFTと重畳して配された複数の画素電極と、前記パッシベーション膜上に形成され、前記画素電極と電気的に分離され、導電性物質で備えられた第1導電部と、前記画素電極のエッジを覆うように、前記パッシベーション膜上に形成された画素定義膜と、透光可能に形成され、前記画素電極と対向し、前記第1導電部の少なくとも一部を覆う対向電極と、前記画素電極と対向電極との間に介され、発光層を備える有機膜と、導電性物質で備えられ、前記対向電極及び第1導電部とそれぞれ電気的に連結された第2導電部と、を備える有機発光表示装置を提供する。
【0009】
本発明の他の特徴によれば、前記第1導電部は、逆テーパ状に形成されうる。
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第1導電部の厚さは、対向電極の厚さより厚い。
本発明のさらに他の特徴によれば、前記画素定義膜は、前記画素電極に隣接した位置に第1開口を有しうる。
【0010】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第1開口には、前記対向電極が形成されなくともよい。
本発明のさらに他の特徴によれば、前記対向電極は、前記各画素電極に対向して複数個備えられうる。
【0011】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記対向電極は、相互隣接した少なくとも二つの画素電極にわたって位置できる。
本発明のさらに他の特徴によれば、前記画素定義膜は、前記第1導電部の少なくとも一部を露出する第2開口を有し、前記対向電極は、前記第2開口を覆える。
【0012】
本発明はまた、前述した課題を達成するために、透過領域と、前記透過領域を介して相互離隔された複数の画素領域とが区画された基板と、前記基板の第1面上に形成され、それぞれ少なくとも一つのTFTを備え、前記各画素領域内に位置する複数の画素回路部と、前記複数の画素回路部を覆い、前記透過領域及び画素領域にいずれも形成されたパッシベーション膜と、前記パッシベーション膜上に前記各画素回路部と電気的に連結されるように形成され、前記各画素領域内に位置し、前記各画素回路部を覆えるように前記各画素回路部と重畳して配された複数の画素電極と、前記画素電極と電気的に分離され、導電性物質で備えられた第1導電部と、透光可能に形成され、前記画素電極と対向し、前記第1導電部を覆う対向電極と、前記画素電極と対向電極との間に介されて発光層を備える有機膜と、導電性物質で備えられ、前記対向電極及び第1導電部とそれぞれ電気的に連結された第2導電部と、を備える有機発光表示装置を提供する。
【0013】
本発明の他の特徴によれば、前記第1導電部は、逆テーパ状に形成されうる。
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第1導電部の厚さは、対向電極の厚さより厚い。
本発明のさらに他の特徴によれば、前記画素定義膜は、前記画素電極に隣接した位置に第1開口を有しうる。
【0014】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第1開口には、前記対向電極が形成されないこともある。
本発明のさらに他の特徴によれば、前記対向電極は、前記各画素電極に対向して複数個備えられうる。
本発明のさらに他の特徴によれば、前記対向電極は、相互隣接した少なくとも二つの画素電極にわたって位置できる。
【0015】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第1導電部は、前記パッシベーション膜上に形成され、前記画素定義膜は、前記第1導電部の少なくとも一部を露出する第2開口を有し、前記対向電極は、前記第2開口を覆える。
【0016】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記各画素回路部と電気的に連結された複数の導電ラインをさらに含み、前記導電ラインのうち少なくとも一つは、前記各画素電極と重畳して配列されうる。
【0017】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記パッシベーション膜は、透明な物質で備えられうる。
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第1導電部は、前記基板と前記対向電極との間に介在されうる。
本発明のさらに他の特徴によれば、前記透過領域に対応する位置に透明な複数の絶縁膜が備えられうる。
【0018】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記絶縁膜のうち少なくとも一つは、前記透過領域のうち少なくとも一部に対応する位置に開口を備えうる。
本発明のさらに他の特徴によれば、前記画素電極は、反射電極でありうる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、外光に対する透過率を高めて透明な有機発光表示装置を具現すると同時に、対向電極の面抵抗を減少させて対向電極の電圧降下を減らせる。
また、透過する光の散乱を抑制して透過イメージの歪曲現象が防止された透明な有機発光表示装置が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付した図面を参照して、本発明の望ましい実施形態についてさらに詳細に説明する。
図1は、本発明の望ましい一実施形態による有機発光表示装置を示した断面図である。
図1を参照すれば、本発明の望ましい一実施形態による有機発光表示装置は、基板1の第1面11にディスプレイ部2が備えられる。
【0022】
このような有機発光表示装置で、外光は、基板1及びディスプレイ部2を透過して入射される。
そして、ディスプレイ部2は、後述するように、外光が透過可能に備えられたものであって、
図1に示したように、画像が具現される側に位置したユーザが基板1の下部外側のイメージを観察可能に備えられる。
【0023】
図2は、
図1の有機発光表示装置をさらに具体的に示した一実施形態であって、前記ディスプレイ部2は、基板1の第1面11に形成された有機発光部21と、この有機発光部21を密封する密封基板23とを備える。
前記密封基板23は、透明な部材で形成されて有機発光部21からの画像を具現させ、有機発光部21への外気及び水分の浸透を遮断する。
前記基板1と前記密封基板23とは、そのエッジが密封材24によって結合されて、前記基板1と密封基板23との間の空間25が密封される。後述するように、前記空間25には、吸湿剤や充填材が位置しうる。
【0024】
前記密封基板23の代りに、
図3に示したように、薄膜の密封フィルム26を有機発光部21上に形成することによって、有機発光部21を外気から保護できる。前記密封フィルム26は、酸化シリコンまたは窒化シリコンのような無機物からなる膜と、エポキシ、ポリイミドのような有機物からなる膜とが交互に成膜された構造になりうるが、必ずしもこれに限定されるものではなく、透明な薄膜上の密封構造ならば、いかなるものでも適用可能である。
【0025】
図4は、
図2または
図3の有機発光部21の概略的な構成を示す概略図であり、
図5は、
図4の画素回路部PCのさらに具体的な一例を示した概略図である。
図2ないし
図5に示したように、本発明の望ましい一実施形態によれば、前記有機発光部21は、外光が透過可能に備えられた透過領域TAと、この透過領域TAをはさんで相互離隔された複数の画素領域PAとに区画された基板1上に形成されたものである。
【0026】
図4に示したように、各画素領域PA内には、画素回路部PCが備えられており、スキャンラインS、データラインD及びVddラインVのような複数の導電ラインがこの画素回路部PCに電気的に連結される。図面に示していないが、前記画素回路部PCの構成によって、前記スキャンラインS、データラインD及びVddラインV以外にも、さらに多様な導電ラインが備えられている。
【0027】
図5に示したように、前記画素回路部PCは、スキャンラインSとデータラインDとに連結された第1薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor) TR1と、第1TFT TR1とVddラインVとに連結された第2TFT TR2と、第1TFT TR1と第2TFT TR2とに連結されたキャパシタCstとを備える。この時、第1TFT TR1は、スイッチングトランジスタとなり、第2TFT TR2は、駆動トランジスタとなる。前記第2TFT TR2は、画素電極221と電気的に連結されている。
図5で、第1TFT TR1と第2TFT TR2とは、P型に示されているが、必ずしもこれに限定されず、少なくとも一つがN型に形成されることもある。前記のようなTFT及びキャパシタの数は、必ずしも図示された実施形態に限定されず、画素回路部PCによって、2以上のTFT、1以上のキャパシタと組合わせられうる。
【0028】
図4及び
図5によれば、スキャンラインSは、画素電極221と重畳して画素電極221を横切るように配され、データラインD及びVddラインVは、画素電極221の横を過ぎるように配される。しかし、本発明は、必ずしもこれに限定されず、スキャンラインS、データラインD及びVddラインVを含む複数の導電ラインのうち少なくとも一本が前記画素電極221と重畳されるように配置させることができ、場合によっては、スキャンラインS、データラインD及びVddラインVを含む複数の導電ラインをいずれも画素電極221に隣接して配置させることができる。
【0029】
前記各画素領域PAは、各サブピクセルで発光がなされる領域となるが、このように、発光がなされる領域内に画素回路部PCが位置するため、ユーザは、透過領域TAを通じて外部が見られる。すなわち、この透過領域TAに透過率を阻害する最も大きい要素のうち一つである画素回路部PCの導電パターンが位置しないため、透過領域TAの透過率は、さらに高まる。
【0030】
このように、本発明は、画像が具現される領域を、画素領域PAと透過領域TAとに分け、ディスプレイ全体透過率を落とす要素のうち一つである導電パターンのほとんどを画素領域PAに配置することによって、透過領域TAの透過率を高め、画像が具現される領域全体(
図2または
図3の有機発光部21)の透過率を、従来の透明表示装置に比べてして向上させることができる。
【0031】
本発明はまた、前述した画素領域PAと透過領域TAとの分離によって、透過領域TAを通じて外部を観察する時に、外光が画素回路部PC内の素子のパターンと関連して散乱することによって発生する外部イメージ歪曲現象を防止できる。
【0032】
たとえ、画素領域PAと画素領域PAとの間の透過領域TAにも、スキャンラインS、データラインD及びVddラインVを含む導電ラインが横切るように配されているとしても、この導電ラインは、非常に薄く形成されるため、これは、ユーザの精密な観察によってのみ発見され、有機発光部21の全体透過度には、影響を及ぼさず、特に、透明ディスプレイの具現には、全く問題がない。また、ユーザが前記画素領域PAに覆われた領域分ほど外部イメージが見られないとしても、ディスプレイ領域全体から見た時に、前記画素領域PAは、あたかも透明ガラスの表面に複数の点が規則的に配列されているようなものであるので、ユーザの外部イメージ観察には、大きい無理がなくなる。
【0033】
このような画素領域PAと透過領域TAとの全体面積に比べて透過領域TAの面積の比率が5%ないし90%の範囲に属するように、画素領域PAと透過領域TAとが形成される。
【0034】
画素領域PAと透過領域TAとの全体面積に比べた透過領域TAの面積の比率が5%より小さければ、
図1で、ディスプレイ部2がスイッチオフ状態である時、ディスプレイ部2を透過できる光が少ないので、ユーザが反対側に位置した事物またはイメージが見難い。すなわち、ディスプレイ部2が透明であると言えなくなる。透過領域TAの面積が、画素領域PAと透過領域TAとの全体面積に比べて5%ほどであるとしても、画素領域PAが全体透過領域TAに対してアイランド状に存在し、画素領域PA内に可能な限りすべての導電パターンが配されていて、太陽光の散乱度を最低化させるので、ユーザは、透明ディスプレイとして認識可能になる。そして、後述するように、画素回路部PCに備えられるTFTを酸化物半導体のように、透明TFTで形成し、有機発光素子も、透明素子で形成する場合には、透明ディスプレイとしての認識がさらに大きくなりうる。
【0035】
画素領域PAと透過領域TAとの全体面積対比の透明領域TAの面積の比率が90%より大きければ、ディスプレイ部2の画素集積度が過度に低下して、画素領域PAでの発光を通じて安定した画像が具現し難い。すなわち、画素領域PAの面積が小さくなるほど、画像を具現するためには、後述する有機膜223から発光する光の輝度が高まらねばならない。このように、有機発光素子を高輝度状態で作動させれば、寿命が急に低下する問題点が生じる。また、一つの画素領域PAのサイズを適正に維持しつつ、透明領域TAの面積比率を90%より大きくすれば、画素領域PAの数が減少して解像度が低下する問題点が生じる。
【0036】
前記画素領域PAと透過領域TAとの全体面積対比の透過領域TAの面積の比率は、20%ないし70%の範囲に属させることが望ましい。
20%未満では、前記画素領域PAの面積対比の透過領域TAの面積が小さいので、ユーザが、透過領域TAを通じて外部イメージを明確に観察するのに限界がある。70%を超える場合、画素領域PA内に配する画素回路部PCの設計に多くの制約が伴う。
【0037】
前記画素領域PAには、画素回路部PCと電気的に連結された画素電極221が備えられ、前記画素回路部PCは、前記画素電極221に覆われるように前記画素電極221と重畳される。そして、前述したスキャンラインS、データラインD及びVddラインVを含む導電ラインのうち少なくとも一本が、いずれもこの画素電極221を過ぎるように配されうる。もちろん、これらの導電ラインは、画素回路部PCに比べて、透過率を阻害する比率が低いため、設計条件によっては、いずれも画素電極221に隣接して配置させうる。
【0038】
本発明の望ましい一実施形態によれば、前記画素電極221は、画素領域PAの面積と同一かまたはこれより若干ほど小さくすることが望ましい。したがって、ユーザが見る時、画素電極221によって前述した画素回路部PCが覆われた状態となる。これにより、ユーザは、透過領域TAを通じては導電ラインの一部のみを見られて、前述したように、ディスプレイ全体透過率が向上し、透過領域TAを通じて外部イメージがよく見られる。
本発明は、前記透過領域TAでの外光透過率をさらに高めるために、前記透過領域TAの少なくとも一部に対応する位置の絶縁膜に開口229を形成する。これについての詳細な説明は、後述する。
【0039】
図6は、前記有機発光部21をさらに詳細に説明するための一実施形態を示した平面図であって、
図5に示した画素回路部PCを具現したものである。そして、
図7は、
図6のA−Aによる一例の断面図であり、
図8は、
図6のB−Bによる一例の断面図である。
図6及び
図7による本発明の望ましい一実施形態によれば、前記基板1の第1面11上にバッファ膜211が形成され、このバッファ膜211上に、第1TFT TR1、キャパシタCst及び第2TFT TR2が形成される。
【0040】
まず、前記バッファ膜211上には、第1半導体活性層212a及び第2半導体活性層212bが形成される。
前記バッファ膜211は、不純元素の浸透を防止し、表面を平坦化する役割を行うものであって、このような役割を行える多様な物質で形成されうる。一例として、前記バッファ膜211は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化チタンまたは窒化チタンなどの無機物;ポリイミド、ポリエステル、アクリルなどの有機物;またはこれらの積層物で形成されうる。前記バッファ膜211は、必須構成要素ではなく、必要に応じては、備えられないこともある。
【0041】
前記第1半導体活性層212a及び第2半導体活性層212bは、多結晶シリコンで形成されうるが、必ずしもこれに限定されず、酸化物半導体で形成されうる。例えば、G−I−Z−O層〔(In
2O
3)
a(Ga
2O
3)
b(ZnO)
c層 〕(a、b、cは、それぞれa≧0、b≧0、c>0の条件を満足させる実数)でありうる。このように、第1半導体活性層212a及び第2半導体活性層212bを酸化物半導体で形成する場合には、透光度がさらに高まりうる。
【0042】
前記第1半導体活性層212a及び第2半導体活性層212bを覆うように、ゲート絶縁膜213がバッファ膜211上に形成され、ゲート絶縁膜213上に、第1ゲート電極214a及び第2ゲート電極214bが形成される。
【0043】
第1ゲート電極214a及び第2ゲート電極214bを覆うように、ゲート絶縁膜213上に層間絶縁膜215が形成され、この層間絶縁膜215上に、第1ソース電極216aと第1ドレイン電極217a、及び第2ソース電極216bと第2ドレイン電極217bが形成され、それぞれ第1半導体活性層212a及び第2半導体活性層212bとコンタクトホールを通じてコンタクトされる。
【0044】
図7に示したように、前記スキャンラインSは、第1ゲート電極214a及び第2ゲート電極214bの形成と同時に形成されうる。そして、データラインDは、第1ソース電極216aと同時に第1ソース電極216aと連結されて形成され、VddラインVは、第2ソース電極216bと同時に第2ソース電極216bと連結されて形成されうる。
【0045】
キャパシタCstは、第1ゲート電極214a及び第2ゲート電極214bの形成と同時に下部電極220aと、第1ドレイン電極217aと同時に上部電極220bが形成される。
【0046】
前記のような第1TFT TR1、キャパシタCst及び第2TFT TR2の構造は、必ずしもこれに限定されず、多様な形態のTFT及びキャパシタの構造が適用可能である。例えば、前記第1TFT TR1及び第2TFT TR2は、トップゲート構造で形成されたものであるが、第1ゲート電極214a及び第2ゲート電極214bが、それぞれ第1半導体活性層212a及び第2半導体活性層212bの下部に配されたボトムゲート構造で形成されることもある。もちろん、これ以外にも適用可能なすべてのTFTの構造が適用されうる。
【0047】
このような第1TFT TR1、キャパシタCst及び第2TFT TR2を覆うように、パッシベーション膜218が形成される。前記パッシベーション膜218は、上面が平坦化された単一または複数層の絶縁膜となりうる。このパッシベーション膜218は、無機物及び/または有機物で形成されうる。
【0048】
前記パッシベーション膜218上には、
図6及び
図7に示したように、第1TFT TR1、キャパシタCst及び第2TFT TR2を覆うように画素電極221が形成され、この画素電極221は、パッシベーション膜218に形成されたビアホールによって第2TFT TR2の第2ドレイン電極217bに連結される。前記各画素電極221は、
図6に示したように、各画素ごとに相互独立したアイランド状に形成される。
【0049】
前記パッシベーション膜218上には、前記画素電極221のエッジを覆うように画素定義膜219が形成され、画素電極221上には、有機膜223と対向電極222とが順次に積層される。前記対向電極222は、全体画素領域PAと透過領域TAとにわたって形成される。
【0050】
前記有機膜223は、低分子または高分子有機膜が使われうる。低分子有機膜を使用する場合、ホール注入層(HIL:Hole Injection Layer)、ホール輸送層(HTL:Hole Transport Layer)、発光層(EML:Emission Layer)、電子輸送層(ETL:Electron Transport Layer)、及び電子注入層(EIL:Electron Injection Layer)が単一または複合の構造で積層されて形成され、使用可能な有機材料も、銅フタロシアニン(CuPc)、N,N−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N'−ジフェニル−ベンジジン(NPB)、トリス−8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3)を始めとして多様に適用可能である。これらの低分子有機膜は、真空蒸着の方法で形成されうる。この時、前記発光層は、赤、緑、青色の画素ごとに独立して形成され、ホール注入層、ホール輸送層、電子輸送層、及び電子注入層は、共通層であって、赤、緑、青色の画素に共通に適用されうる。したがって、
図7に示したように、これらの共通層は、対向電極222のように、全体画素領域PA及び透過領域TAを覆うように形成されうる。
【0051】
前記画素電極221は、アノード電極の機能を行い、前記対向電極222は、カソード電極の機能を行えるが、もちろん、これらの画素電極221と対向電極222との極性は、相互逆になってもよい。
【0052】
前記画素電極221は、各画素ごとに画素領域PAに対応する大きさに形成される。実際、画素定義膜219によって覆われる領域を除外した領域は、画素領域PAと一致するか、またはこれより若干ほど小さい領域となる。そして、前記対向電極222は、有機発光部全体のすべての画素を覆うように、共通電極で形成されうる。
【0053】
本発明の一実施形態によれば、前記画素電極221は、反射電極となってもよく、前記対向電極222は、透明電極となってもよい。したがって、前記有機発光部21は、対向電極222の方向に画像を具現する前面発光型となる。
【0054】
このために、前記画素電極221は、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca及びこれらの化合物で形成された反射膜と、仕事関数が高いITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、ZnO、またはIn
2O
3で備えられうる。そして、前記対向電極222は、仕事関数が小さい金属、すなわち、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca、またはこれらの合金で形成されうる。前記対向電極222は、透過率が高いように、100Åないし300Åの厚さの薄膜で形成することが望ましい。前記対向電極224上には、別途の透明保護膜がさらに備えられうる。
【0055】
このように、画素電極221が反射型電極で備えられる場合、その下部に配された画素回路部は、画素電極221によって覆われた状態となり、これにより、
図7に示したように、対向電極222の上部外側で、ユーザは、画素電極221の下部の第1TFT TR1、キャパシタCst及び第2TFT TR2の各パターンを観察できなくなる。
【0056】
また、このように、画素電極221が反射電極で備えられることによって、発光した光が観察者側にのみ発散されるので、観察者の反対方向に消失される光量を減らせる。また、前述したように、画素電極221がその下部の画素回路の多様なパターンを覆う役割を行うので、観察者がさらに鮮明な透過イメージが見られる。
【0057】
しかし、本発明は、必ずしもこれに限定されず、前記画素電極221も、透明電極で備えられうる。この場合、前述した反射膜なしに、仕事関数が高いITO、IZO、ZnO、またはIn
2O
3で備えられれば十分である。このように、画素電極221が透明である場合、ユーザが、対向電極222の上部外側から画素電極221の下部の第1TFT TR1、キャパシタCst及び第2TFT TR2の各パターンが見られる。しかし、前記画素電極221が透明であるとしても、光の透過率は、100%となることができないので、透過される光に損失が発生し、前記導電パターンも、画素電極221の領域内に配されるので、画素電極221によって外光の透過率がさらに落ちるので、これらの導電パターンに直接外光が入射される時に比べて、外光との干渉効果が落ちる恐れがある。したがって、これらの導電パターンに直接外光が入射される時に比べて、外部イメージの歪曲現象を減らせる。
【0058】
前記バッファ膜211、ゲート絶縁膜213、層間絶縁膜215、パッシベーション膜218及び画素定義膜219は、いずれも透明な絶縁体で形成することが望ましい。この時、前記基板1は、前記絶縁膜の有する全体的な透過率より低いか、または同じ透過率を有する。
【0059】
一方、本発明において、透過領域TAの透光率をさらに高め、透過領域TAで多層の透明な絶縁膜による光干渉現象、及びこれによる色純度低下と色変化とを防止するために、前記透過領域TAに対応する少なくとも一部領域で、絶縁膜のうち少なくとも一部の絶縁膜に開口229を形成する。
【0060】
本発明において、透過領域TAの外光透過率を高めるためには、透過領域TAの面積を増やすか、または透過領域TAに形成される材料の透過率を高めねばならない。しかし、透過領域TAの面積を増やすのは、画素回路部PCの設計に対する制限によって限界があるので、結局、透過領域TAに形成される材料の透過率を高めねばならない。しかし、材料自体の透過率を高めるのは、材料開発の困難さによって限界がある。
このため、本発明は、透過領域TAに対応する少なくとも一部領域で、絶縁膜のうち少なくとも一部の絶縁膜に開口229を形成する。
【0061】
図7に示したように、前記開口229は、画素回路部PCを覆うパッシベーション膜218上の画素定義膜219に第1開口225を備える。この第1開口225を通じてパッシベーション膜218を露出させた。
【0062】
このような開口229は、
図6に示したように、透過領域TAのほとんどの面積に形成されることによって、透過用ウィンドウの機能を行う。開口229は、複数個形成されて、各画素領域PAに隣接して一つずつ配されうる。したがって、ユーザは、この透過窓である開口229を通じて基板1の下側のイメージが観察できる。
【0063】
図7で、開口229は、前記画素定義膜219に形成された第1開口225のみで構成されたが、本発明は、必ずしもこれに限定されず、パッシベーション膜218、層間絶縁膜215、ゲート絶縁膜213及びバッファ膜211のうち少なくとも一つに、前記第1開口225と連結された開口をさらに形成し、開口229での透光率をさらに高めうる。前記開口229は、スキャンラインS、データラインD及びVddラインVに抵触しない範囲内で、可能な限り広く形成されることが望ましい。
【0064】
一方、
図8に示したように、前記画素電極221と隣接する導電性物質として、パッシベーション膜218上に形成された第1導電部271が配される。工程上の便宜のために、前記第1導電部271は、前記画素電極221と同じ物質で形成されうるが、必ずしもこれに限定されず、画素電極221を形成する複数の層のうちいずれか一つの層と同一工程でこれらを形成する物質で形成されうる。それ以外にも、スキャンラインSまたはデータラインDと同一工程でこれらを形成する物質で形成されうる。
【0065】
前記第1導電部271は、後述するように、対向電極222と電気的に連結されて対向電極222の電圧降下を防止する目的で形成されるものであって、
図6に示したように、一つの開口229と一つの画素電極221とを取り囲むメッシュ(mesh)状に形成されうる。
【0066】
この時、前記第1導電部271は、
図8に示したように、逆テーパ状に形成される。そして、前記画素定義膜219は、前記第1導電部271を露出させるように、第2開口273を有する。また、前記第1導電部271は、対向電極222の厚さより厚く形成する。
【0067】
これにより、有機膜223と対向電極222とが蒸着される時、第1導電部271及び第2開口273を覆うが、逆テーパ状である第1導電部271でその連結が切れる。特に、対向電極222は、200Åほどと薄く形成するため、対向電極222と第1導電部271とが電気的に連結されなくなる。
【0068】
このために、本発明は、対向電極222上に第2導電部272を導電性物質で形成し、第2導電部272を対向電極222及び第1導電部271とそれぞれ電気的に連結させることによって、対向電極222と第1導電部271とを電気的に連結させる。
前記第2導電部272は、導電性材料で形成されうるが、ITO、IZO、ZnO、またはIn
2O
3などの透明導電材や、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca、及びこれらの化合物で形成された金属材を使用できる。
【0069】
第2導電部272は、前記第2開口273を覆うように形成されうるが、
図6に示したように、各画素電極221に隣接した位置に形成して、開口229での透過率の低下に妨害要因として作用しないようにする。
【0070】
一方、前記第1導電部271は、
図8に示したように、必ずしもパッシベーション膜218上に形成されねばならないものではなく、データラインDと重畳されなければ、層間絶縁膜215上に形成することもでき、スキャンラインSと重畳されなければ、ゲート絶縁膜213上にも形成できる。もちろん、バッファ膜211上にも形成できる。
【0071】
このように、第2導電部272によって第1導電部271と対向電極222とが電気的に連結されることによって、対向電極222を薄膜に形成した場合にも、対向電極222の電圧降下を防止できる。
【0072】
図9は、本発明の他の一実施形態を概略的に示した図面であって、対向電極222が各画素電極221に対応するように複数個備えられたものである。すなわち、各対向電極222が画素電極221と対向した位置にアイランド状に形成されている。この場合、各対向電極222は、第1導電部271と第2導電部272とによって電気的に連結されている。そして、第1導電部271は、すべての画素にわたって相互連結されるように備えられ、外部電源に連結される。したがって、各対向電極222は、第1導電部271によって共通電源を印加される。
【0073】
このような構造の場合、対向電極222が透過領域TAの開口229を覆わないため、透過領域TA、特に、開口229での透過率がさらに向上して、有機発光部の透過率全体が高まりうる。
【0074】
また、
図10に示したように、対向電極222を相互隣接した画素にわたって形成されるように、ライン状に形成できる。この場合にも、前述したように、対向電極222は、第1導電部271によって共通電源を印加される。このような実施形態の場合、
図9による実施形態より、対向電極222の形成がさらに容易である。
【0075】
一方、前記第2導電部272の場合にも、
図9及び
図10に示したように、各画素電極221に隣接した領域にのみパターニングされるように形成することもでき、
図11及び
図12に示したように、開口229と重畳されない範囲で開口229に隣接した領域にまで長く形成されることもできる。この場合、第2導電部272の面積が広くなるため、対向電極222の電圧降下の防止効果がさらに優れている。
【0076】
また、透過率の改善及び工程上の便宜のために、
図13に示したように、複数の画素別に一つの第2導電部272を形成することもできる。
図面に示していないが、第2導電部272が第1導電部271とコンタクトされる第2開口273の位置も、
図9ないし
図13の実施形態のように、画素電極221に隣接した位置に限定されず、透過窓である開口229の横空間を活用することもできる。この場合、画素領域PAでの輝度を最大限維持できる。
【0077】
図14は、本発明の望ましいさらに他の一実施形態を示したものであって、第1画素電極221a、第2画素電極221b及び第3画素電極221cに対応するように、一つの開口229を形成させたものである。すなわち、第1画素電極221a、第2画素電極221b及び第3画素電極221cが、それぞれ赤色、緑色及び青色を具現する画素電極である場合、前記開口229の一辺が、これらの赤色、緑色及び青色の画素電極にわたるように形成されるものであって、
図9ないし
図13の実施形態の三つの開口229を合わせた形態となる。
【0078】
第1データラインD1ないし第3データラインD3は、それぞれ第1画素電極221aないし第3画素電極221cに電気的に連結される。そして、第1VddラインV1は、第1画素電極221a及び第2画素電極221bに電気的に連結され、第2VddラインV2は、第3画素電極221cに電気的に連結される。
【0079】
このような構造の場合、複数のサブピクセルに対して一つの大きい開口229を備えているので、透過率をさらに高め、光散乱によるイメージ歪曲効果も、さらに減らせる。
この場合にも、第1導電部271が第1画素電極221aまたは第3画素電極221cに隣接して配され、第2開口273及び第2導電部272も、第1画素電極221aまたは第3画素電極221cに隣接して配されることによって、開口229での透過率低下を最大限防止できる。
図14による実施形態の場合にも、
図9ないし
図13の実施形態の限定事項が、いずれも適用されうる。
【0080】
本発明は、添付した図面に示された一実施形態を参照して説明されたが、これは、例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これから多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるということが分かるであろう。したがって、本発明の真の保護範囲は、特許請求の範囲によって決定されねばならない。