(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の好適な実施の形態を、遊技機としてスロットマシンを例に、図面に基づき説明する。
(スロットマシン10)
スロットマシン10は、
図1に示すように、正面側が開口する方形箱状の筐体11と、この筐体11の正面開口を開閉自在に設けられた前扉3を有している。前記筐体11の内部において、開口上部には、3個の回転リール40を有するリールユニット60が設置され、開口下部には、ホッパーユニット65と、電源ユニット5が設けられている。また、前記リールユニット60の上方には、スロットマシン10の全体の動作を制御するための制御装置20が配置されている。
【0016】
前記前扉3は、筐体11にヒンジ(図示せず)を介して水平方向に回動自在に取り付けられた板状の扉である。前扉3には、
図1に示すように、遊技者側に向かって臨む正面パネル12が設けられており、正面パネル12には、3個の回転リール40の図柄を視認可能な図柄表示窓13が形成されている。そして、この図柄表示窓13の下方であってスロットマシン10の高さ方向略中央部は、スロットマシン10を作動させるための操作手段が設けられたカウンター状の操作部3Aとなっている。操作手段としては、メダル投入口14、ベットスイッチ16、精算スイッチ17、スタートスイッチ30、ストップスイッチ50が設けられている。なお、操作手段として、スロットマシン10により行われる演出に関わる選択を行うことができる演出選択スイッチが設けられていてもよい。前扉3の下部には、ホッパーユニット65から払い出されたメダルを受ける下皿3Bが設けられている。また、メダル投入口14の下方であって前扉3の裏側には、投入メダルを検知しメダルを判別するためのメダルセレクター4が設けられている。
【0017】
前記リールユニット60は、筐体11の内部に収納される枠体に固定された3個のステッピングモータ(図示せず)と、各ステッピングモータの出力軸に固定された3個の回転リール40から構成されている。ここで、3個の回転リール40について、個々の回転リール40を特定して説明する場合には、正面視したときに左側に位置する回転リール40を左リール41と称し、中央に位置する回転リール40を中リール42と称し、右側に位置する回転リール40を右リール43と称するものとし、個々の回転リール40を特定しない場合には、単に回転リール40というものとする。
各回転リール40は、合成樹脂からなる回転ドラムと、この回転ドラムの周囲に貼付されるテープ状のリールテープとを備えている。このリールテープの表面には、
図3に示すように、「赤7」、「青7」、「リプレイ」、「スイカ」、「ベルa」、「ベルb」、「ベルc」、「BAR」、「チェリー」などの図柄が、1つの回転リール40につき21個ずつ、表示されている。なお、「ダミー」は、何の役にも対応付けられていない図柄である。ここで、回転リール40に表示されている1図柄分の領域を1コマと称し、1つの回転リール40はそれぞれ、21個の図柄に対応して等分割された21コマを有している。そして、各コマには、0から20までの図柄番号が付与されている。
図3において左端の数字は、各図柄を特定するための図柄番号を示すものである。
【0018】
そして、スロットマシン10を正面視したとき、図柄表示窓13からは、各回転リール40の図柄がそれぞれ3個ずつ、合計9個視認できるようになっている。
また、特に図示しないが、各回転リール40には、リールユニット60に設けられたインデックスセンサ60A(
図2参照)に検知される検知部としてのスタートインデックスが設けられている。スタートインデックスは、例えば回転ドラムの内側や回転ドラムとステッピングモータをつなぐスポークに設けられた突片とすることができる。
前記ホッパーユニット65は、
図1に示すように、筐体11の内部に設けられた払い出し装置であって、遊技の結果に基づいて、遊技者にメダルを払い出すためのものである。前記電源ユニット5は、スロットマシン10の主電源のON/OFFを行うためのものである。
【0019】
(制御装置20)
上記制御装置20は、図示しないが、CPUを中心に構成され、ROM、RAM、I/O等を備えている。ここでCPUは、1個に限定されず、二個以上のCPUで制御するようにしてもよい。また、CPU、ROM、RAM及びI/O等は一体化されてワンチップを構成してもよい。そして、CPUがROMに記憶されたプログラムを読み込むことで、
図2に示すように、メイン制御装置21及びサブ制御装置22を構成する。
ここで、メイン制御装置21の制御に基づくスロットマシン10の作動状態をメイン状態といい、サブ制御装置22の制御に基づくスロットマシン10の作動状態をサブ状態(演出状態)という。また、メイン状態とサブ状態とにより特定されるスロットマシン10の全体としての作動状態を遊技状態というものとする。
【0020】
そして、制御装置20の入力側には、
図2に示すように、メダルセンサ15、ベットスイッチ16、精算スイッチ17、スタートスイッチ30、ストップスイッチ50、インデックスセンサ60Aの各パーツが接続されている。
前記メダルセンサ15は、
図1に示すように、メダルセレクター4に内蔵された検知センサであって、投入された遊技メダルの通過を検知するものである。
前記ベットスイッチ16は、カウンター状の操作部3Aの上面左側に設けられたボタンスイッチであって、クレジットをメダル投入に代えるためのものである。ここで、クレジットとは、次ゲーム以降に使用するためのメダルをあらかじめ遊技機内部に貯留しておくことであり、スロットマシン10は、メダル投入口14から投入されたメダル、又は入賞により払い出されるメダルを、最大50枚まで、遊技機内部に電子的に貯留する扱いができるように形成されている。なお、メダル投入口14からメダルを投入すること又はベットスイッチ16を操作することを、以下ベット操作という。
【0021】
前記精算スイッチ17は、操作部3Aの上面左端に設けられたボタンスイッチであって、クレジットを払い戻すためのものである。
前記スタートスイッチ30は、操作部3Aの正面左側に設けられたレバー状のスイッチであって、回転リール40を回転開始させるためのものである。スタートスイッチ30の筐体内部側には、特に図示しないが、レバーの位置移動を検出する接触センサあるいは遮光センサが設けられており、センサの検出信号がスタートスイッチ30の操作信号として扱われるようになっている。
ストップスイッチ50は、操作部3Aの正面中央部に設けられた3個のボタンスイッチであって、回転中の回転リール40を停止させるためのものである。ここで、3個のストップスイッチ50について、個々のストップスイッチ50を特定して説明する場合には、正面視したときに左側に位置するストップスイッチ50を左停止スイッチ51と称し、中央に位置するストップスイッチ50を中停止スイッチ52と称し、右側に位置するストップスイッチ50を右停止スイッチ53と称するものとし、個々のストップスイッチ50を特定しない場合には、単にストップスイッチ50というものとする。3個のストップスイッチ50は、それぞれ、3個の回転リール40に対応して設けられている。具体的には、左リール41には左停止スイッチ51が対応し、中リール42には中停止スイッチ52が対応し、右リール43には右停止スイッチ53が対応している。各ストップスイッチ50の筐体内部側には、特に図示しないが、ボタンの位置移動を検出する接触センサあるいは遮光センサがそれぞれ設けられており、センサの検出信号が各ストップスイッチ50の操作信号として扱われるようになっている。そして、左停止スイッチ51の操作により左リール41を停止させることができ、中停止スイッチ52の操作により中リール42を停止させることができ、右停止スイッチ53の操作により右リール43を停止させることができる。
【0022】
前記インデックスセンサ60Aは、特に図示しないが、リールユニット60の枠体に設けられた検知部であって、回転リール40の回転を検知するためのものである。
一方、制御装置20の出力側には、
図2に示すように、リールユニット60、ホッパーユニット65、画像表示装置67、発光表示部68、スピーカ69の各パーツが接続されている。画像表示部67は、
図1に示すように、図柄表示窓13の上側に配置されており、液晶表示装置などを用いて入賞の報知その他の演出画像を表示するものである。発光表示部68は、LEDなどの発光体の点灯又は点滅により当選や入賞等を報知するためのものである。発光表示部68としては、
図1に示すように、図柄表示窓13の上部に位置するアーチランプ68aと、図柄表示窓13の側方に位置するサイドランプ68bと、正面パネル12のパネル面であって図柄表示窓13の下方に設けられた報知ランプ68cとが設けられている。スピーカ69は、下皿3Bの奥壁に設けられており、BGMや操作音等、所定の音声を出力するためのものである。
【0023】
(メイン制御装置21)
メイン制御装置21は、スタートスイッチ30及びストップスイッチ50の操作により、回転リール40の回転及び停止を制御する遊技制御手段である。そして、メイン制御装置21は、
図2に示すように、役抽選手段70、メイン状態移行制御手段80、リール制御手段90、遊技結果判定手段100、払出制御手段110の各手段として機能する。
(役抽選手段70)
役抽選手段70は、複数の図柄から構成される図柄組合せが対応付けられた所定の「役」について、当選したか否かを抽選により決定するものであり、図示しないが、役抽選テーブルと、判定手段とを備えている。そして、スタートスイッチ30の操作信号受信のタイミングで、図示しないカウント抽出手段が、図示しないループカウンタの数値を読み取り、判定手段がこの数値と役抽選テーブルとを比較して、当選の有無を判定するものである。
【0024】
役抽選テーブルは、前記ループカウンタがカウントする数値(例えば0〜65535)を全領域として各当選項目の当選領域を規定したものである。なお、役抽選テーブルの詳細については後述する。判定手段は、カウント抽出手段がピックアップしたカウントデータと、前記役抽選テーブルの当選判定領域データとを照合し、カウントデータが所定の当選領域に属する場合には当該当選領域に対応する当選を決定し、カウントデータがいずれの当選領域にも属さない場合には、「ハズレ」の決定をするものである。
ここで、スロットマシン10は、ストップスイッチ50の操作によって所定の当選役に対応する図柄組合せが有効ライン上に揃って表示される(以下、このことを入賞という)と、役に応じた利益が付与されるようになっている。なお、有効ラインとは、3個の回転リール40のそれぞれに表示されている図柄であって図柄表示窓13の上段、中段、下段に位置する各回転リール40につき1個ずつの図柄を繋いでできるライン(入賞ライン)のうち、入賞するために有効となる図柄組合せの並びを規定したラインである。入賞ラインは、規定数のメダルをベットすることにより有効ラインになる。ここで、規定数とは、1回の遊技を行うために賭けることができるメダル数である。本実施の形態においては、
図1に示すように、各回転リール40の中段に位置する図柄を繋いでできる中段ラインL1と、各回転リール40の下段に位置する図柄を繋いでできる下段ラインL2と、左リール41の上段に位置する図柄、中リール42の中段に位置する図柄、右リール43の下段に位置する図柄を繋いでできる右下がりラインL3とが入賞ラインとして設定されている。そして、本実施の形態では、1回の遊技につき、メダルを3枚ベットすることが可能となっており、3枚のメダルをベットすると、入賞ラインL1〜L3が有効になる。
【0025】
本実施の形態においては、前記役として、
図4に示すように、ボーナス役と、再遊技役と、小役とが設けられている。ボーナス役が入賞すると、次ゲームからボーナスゲームが開始される。再遊技役が入賞すると、再遊技が作動し、次ゲームにおいて、ベット操作を行うことなくスタートスイッチ30が操作可能となる。小役が入賞すると、所定枚数のメダルが払い出される。
前記ボーナス役としては、「赤7・赤7・赤7」の図柄組合せが対応付けられたBB(ビッグボーナス)と、「BAR・BAR・BAR」の図柄組合せが対応付けられたRB(レギュラーボーナス)が設けられている。また、再遊技役としては、「リプレイ・リプレイ・リプレイ」の図柄組合せが対応付けられたリプレイ1と、「リプレイ・リプレイ・ベル(ベルa又はベルb又はベルc)」の図柄組合せが対応付けられたリプレイ2と、「リプレイ・ベル(ベルa又はベルb又はベルc)・リプレイ」の図柄組合せが対応付けられたリプレイ3とが設けられている。そして、小役としては、入賞により9枚のメダルが払い出されるベル1〜ベル28までの28個のベル役と、入賞により5枚のメダルが払い出されるスイカ役と、入賞により4枚のメダルが払い出されるチェリー役が設けられている。スイカ役には「スイカ・スイカ・スイカ」の図柄組合せが対応付けられており、チェリー役には、「チェリー・ANY・ANY」(ANYは何の図柄でもよい)の図柄組合せが対応付けられている。
【0026】
前記した28個のベル役は、ベルa図柄、ベルb図柄、ベルc図柄(以下ベル図柄と総称する)の3種類の図柄の順列により構成される27個のベル役(ベル1〜ベル27)と、左リール41に対応する図柄がベルa図柄、ベルb図柄、ベルc図柄のいずれかであり、中リール42及び右リール43に対応する図柄が赤7図柄、青7図柄、チェリー図柄のいずれかとなるように構成された27個の図柄組合せが対応付けられたベル28とからなる。
前記ボーナス役が入賞すると、次ゲームからボーナスゲームが開始される。すなわち、BBが入賞した場合にはビッグボーナスゲーム(BBゲーム)が開始され、RBが入賞した場合にはレギュラーボーナスゲーム(RBゲーム)が開始される。RBゲームは、他の遊技期間に比べて小役の当選確率が高く設定された遊技期間であり、所定回数の入賞又は所定回数のゲーム消化により終了する。BBゲームは、RBゲームが連続して行われる遊技期間である。なお、RBゲームに移行した場合には投入メダルの規定数を1枚に変更するように形成してもよい。規定数を1枚にした場合には、ベットにより入賞ラインL1〜L3のいずれかが有効になるようにしてもよいし、異なるライン、例えば上段ラインのみが有効になるようにしてもよい。そして、BBゲームに移行すると、RBゲームが無条件で、すなわちRBゲームに移行させるための図柄(RB図柄)を揃えることなく開始され、1回のRBゲームが終了すると、再び無条件で次のRBゲームが開始される。そして、BBゲームは、払い出しメダルの総数があらかじめ定められた一定枚数を超えた場合に終了する。
【0027】
なお、BBゲーム中に、所定のRB図柄を揃えた場合にRBゲームが開始されるようにしてもよい。また、ボーナス役が入賞した場合に、所定枚数(例えば15枚)のメダルを払い出した後に、ボーナス状態に移行するようにしてもよい。また、BBゲーム、RBゲームの終了条件を、他の条件(例えばゲーム回数)としてもよい。
ここで、抽選の結果、いずれかの役が当選すると、当選に対応する当選フラグが成立する。当選役が小役の場合には小役フラグ(チェリーフラグ、ベルフラグなど)が、ボーナス役の場合にはボーナスフラグ(BBフラグ、RBフラグ)が、再遊技役の場合にはリプレイフラグ(リプレイ1フラグ、リプレイ2フラグなど)がそれぞれ成立する。小役フラグ及びリプレイフラグは当該遊技限りでリセットされるが、ボーナスフラグは、当該ボーナス役が入賞するまでリセットされない。すなわち、ボーナス役当選の場合には、当選の権利が次ゲーム以降に持ち越されるようになっている。また、ボーナスフラグが持ち越されている間(ボーナス内部中)は、ボーナス役の当選判定は行われない。また、本実施の形態では、以下に述べるように、役抽選テーブルには、複数の役が同時に当選となる重複当選領域が設けられており、カウント抽出手段が抽出したループカウンタのカウントデータが前記した重複当選領域に属する場合には、当該領域に含まれる役の全てについて、それぞれに対応する当選フラグを成立させることになる。
【0028】
(役抽選テーブル)
本実施の形態における役抽選テーブルの概念図を
図5に示す。ここで、
図5は、複数の役抽選テーブルに設定されている当選領域の有無を示したものであり、役抽選テーブルに左欄に示した当選領域が含まれている場合を丸印で表し、その当選領域が含まれていない場合には無印で表している。
役抽選テーブルとしては、
図5に示すように、通常状態において用いられる通常テーブルと、RT状態において用いられるRTテーブルと、ボーナス内部中状態において用いられる内部中テーブルと、ボーナス作動中状態において用いられるRBテーブルとが設けられている。
【0029】
ここで、通常状態とは、スロットマシン10の初期状態(工場出荷時又は設定変更後)のメイン状態をいうものである。RT状態とは、再遊技役の当選確率が通常状態とは異なるように設定されているメイン状態であり、いわゆるリプレイタイムと呼ばれるものである。ボーナス内部中状態とは、ボーナスフラグが持ち越されているメイン状態であり、ボーナス作動中状態とはボーナスゲームが行われるメイン状態である。
各役抽選テーブルには、当選の領域と、ハズレの領域とが設定されている。当選の領域としては、一の役に対応付けられた当選領域である単独当選領域の他に、複数種類の役に対応付けられた重複当選領域が設定されている。
図5において、「リプレイA」「スイカ」「チェリー」「BB」「RB」の当選領域は、それぞれ、リプレイ役、スイカ役、チェリー役、BB、RBの単独当選領域である。一方、「左ベル1」から「右ベル3」までの9個の当選領域は、それぞれ、複数のベル役の重複当選領域となっている。具体的には、
図4に示すベル1〜ベル27のうちのいずれかのベル役と、ベル28が同時に当選する当選領域である。また、「リプレイB」の当選領域は、リプレイ1及びリプレイ2の重複当選領域であり、「リプレイC」の当選領域は、リプレイ1及びリプレイ3の重複当選領域である。そして、「ベル」の当選領域は、ベル役全ての重複当選領域となっている。
【0030】
ここで、上記した「左ベル1」〜「右ベル3」の9個の重複当選領域に対しては、3個のストップスイッチ50に基づく3通りの操作順序(押し順)が、それぞれ割り当てられている。具体的には、「左ベル1」〜「左ベル3」の各当選領域に対しては、左停止スイッチ51を最初に操作する押し順(左第一停止)が、「中ベル1」〜「中ベル3」の各当選領域に対しては、中停止スイッチ52を最初に操作する押し順(中第一停止)が、「右ベル1」〜「右ベル3」の各当選領域に対しては、右停止スイッチ53を最初に操作する押し順(右第一停止)が、それぞれ割り当てられている。割り当てられている押し順が、各当選領域に対応する正解の押し順となる。以下、「左ベル1」から「右ベル3」までの9個の当選領域に含まれる当選領域を「押し順ベル」と総称するものとする。そして、いずれかの「押し順ベル」が当選した場合、正解の押し順で、ストップスイッチ50が操作(停止操作)されたか否かによって、ベル役が入賞し得るか否かが変化するようになっているが、これについては後述する。
【0031】
なお、押し順の設定は、上記した3通りを設定する場合に限られない。例えば、各当選領域に、3個のストップスイッチ50に基づく6通りの押し順(左→中→右、左→右→中、中→左→右、中→右→左、右→中→左、右→左→中)をそれぞれ割り当てることもできる。
さらに、「リプレイB」「リプレイC」の当選時には、ストップスイッチ50の押し順により、入賞する再遊技役が変化するようになっているが、この詳細については後述する。
さて、
図5では明記していないが、各役抽選テーブルにおける小役の、当選領域の全領域に対する割合(以下当選確率という)は、通常テーブル、RTテーブル及び内部中テーブルにおいては、同等に設定されている。RBテーブルでは、全ての小役の当選確率の合計が他のテーブルに比べて非常に高く、例えば約1/1.1に設定されている。ここで、「押し順リプレイ」のうち、「左ベル1」〜「左ベル3」の当選確率の合計は、「中ベル1」〜「中ベル3」の当選確率の合計、「右ベル1」〜「右ベル3」の当選確率の合計のいずれと比べても低く設定されているが、これについては後述する。また、「リプレイB」「リプレイC」の当選領域は通常テーブルにのみ設けられており、RBテーブルには再遊技役の当選領域は設けられていない。各役抽選テーブルにおける再遊技役の当選確率は、RTテーブルが最も高く、通常テーブル及び内部中テーブルはそれよりも低くなるように設定されている。例えば、RTテーブルでは、再遊技役の当選確率が約1/1.5に設定されており、通常テーブル及び内部中テーブルでは、再遊技役の当選確率が約1/7.3に設定されている。これにより、メイン状態がRT状態である遊技は、ベット操作なしで遊技を行える再遊技の回数が増えるとともに、小役の当選確率は変化しないので、手持ちのメダルの目減りが少なくなる。
【0032】
なお、上記した役抽選テーブルの構成や当選確率は一例であって、上記した態様や数値に限られるものではない。
(メイン状態移行制御手段80)
メイン状態移行制御手段80は、メイン状態を特定し、メイン状態の移行を制御するためのものであり、図示しないが、移行条件判定手段、状態記憶手段、遊技カウンタの各手段を備えている。
移行条件判定手段は、役抽選手段70の抽選結果、後述する遊技結果判定手段100の判定結果、及び以下に述べる遊技カウンタの計測値に基づいて、遊技状況が、メイン状態を移行させるための所定条件に該当するか否かを判定するためのものである。また、状態記憶手段は、前記移行条件判定手段の判定結果及び役抽選手段70の抽選結果に基づいて、現在のメイン状態を記憶するためのものである。遊技カウンタは、遊技に関する数値を計測するものである。具体的には、BB(RB)ゲーム中のゲーム回数、入賞回数、払出枚数などのカウントを行うものである。
【0033】
移行条件判定手段は、役抽選手段70の抽選結果に基づいてボーナス内部中状態への移行及びRT状態の終了を決定し、遊技結果判定手段100の判定結果に基づいて、ボーナス内部中状態の終了、ボーナス作動中状態への移行、RT状態への移行又は終了(通常状態への移行)を決定し、遊技カウンタの計測値に基づいて、ボーナス状態の終了などを決定する。そして、状態記憶手段が記憶している記憶内容に応じて、役抽選手段70が対応する役抽選テーブル71を選択し役抽選を行うことにより、通常状態、ボーナス内部中状態、ボーナス作動中状態、RT状態などの所定のメイン状態が発動するようになっている。また、移行条件判定手段は、遊技結果判定手段110の判定結果に基づいて、再遊技の作動を決定する。「再遊技の作動」とは、再遊技役の入賞を契機に、次ゲームをベット操作なしで行える状態とするために自動的にベットが行われた状態とするための自動ベット処理を行わせることである。
【0034】
メイン状態移行制御手段80の制御に基づくメイン状態の移行について、
図6のフローを参照しつつ説明する。本実施の形態では、上述したように、メイン状態として、通常状態、ボーナス内部中状態、ボーナス作動中状態及びRT状態を有している。
本実施の形態におけるスロットマシン10は、初期状態(工場出荷時)のメイン状態は、通常状態となっている。すなわち、役抽選手段70は、役抽選に用いる役抽選テーブルとして通常テーブル(
図5参照)を取得している。そして、通常状態中に、BB又はRBが当選した場合にはボーナス内部中状態に移行し、ボーナス内部中状態においてBB又はRBが入賞した場合には、ボーナス作動中状態に移行する。そして、払い出しメダル数が所定値を超えてBBゲームが終了し、あるいは所定回数の入賞又は所定回数のゲーム消化でRBゲームが終了することによりボーナス作動中状態が終了すると、通常状態に移行する。
【0035】
一方、通常状態中に特定の再遊技役(リプレイ2又はリプレイ3)が入賞した場合には、RT状態に移行する。また、RT状態中(以下RT中と省略する)に、BBが当選した場合にはボーナス内部中状態に移行し、いずれの役に対応付けられた図柄組合せにも該当しない特定のハズレの図柄組合せであるベルブランクが表示された場合には通常状態に移行するようになっている。ここで、通常状態中においては、所定条件の下で、後述するAT制御手段140の制御に基づき、「リプレイB」または「リプレイC」が当選した場合に、特定の再遊技役を入賞させるためのストップスイッチ50の押し順を報知(ナビ)するナビ演出(移行ナビ)が行われるとともに、RT中においては、「押し順ベル」が当選した場合に正解の押し順をナビするナビ演出(ベルナビ)が行われるようになっているが、これについては後述する。
【0036】
(リール制御手段90)
リール制御手段90は、スタートスイッチ30及びストップスイッチ50の操作信号に基づいて、回転リール40の回転及び停止を制御するためのものであり、
図2に示すように、回転制御手段91と、停止制御手段92とを少なくとも備えている。
(回転制御手段91)
回転制御手段91は、スタートスイッチ30の有効な操作信号を受信した場合に、リールユニット60のステッピングモータを駆動させて回転リール40を回転させるためのものである。具体的には、規定数のベットがされている状態でスタートスイッチ30の操作信号を入力した場合には、所定のウエイト時間(前ゲームのスタートスイッチ30の操作から4.1秒)が経過していることを条件に、各ステッピングモータに駆動信号を出力することにより、全ての回転リール40の回転を一斉に、あるいは所定の順番で開始させる。そして、全ての回転リール40の回転速度が所定の定常回転速度(例えば80rpm)に達すると、この定常回転速度で定速回転を行わせるものとなっている。
【0037】
(停止制御手段92)
停止制御手段92は、ストップスイッチ50の操作信号を受信した場合に、リールユニット60のステッピングモータの駆動を停止させるための停止信号を出力して、回転中の回転リール40を停止させる制御を行うものである。
また、停止制御手段92は、リールユニット60に設けられた回転リール40の回転を検知するためのインデックスセンサ(図示せず)の検知信号に基づき、現時点における回転リール40の回転角度を把握し、ストップスイッチ50が操作された時点での回転リール40の回転角度から、所定の有効ライン上に位置している図柄を特定することができるようになっている。そして、特定された図柄を基準として、この基準図柄から回転方向にあらかじめ定められた個数(最大スベリコマ数、例えば4コマ)移動したときの図柄までの範囲で、対応する回転リール40を停止させるように形成されている。換言すれば、停止制御手段92は、ストップスイッチ50が操作された時点から対応する回転リール40が停止するまでに、この回転リール40が回転する回転量があらかじめ定められたコマ数の範囲内となるように、ステッピングモータの駆動停止を制御するものである。具体的には、前記基準図柄をその位置に停止させてもよい場合にはそのまま回転リール40を停止させ、その位置に停止させてはいけない場合には、回転リール40が停止するまでの時間(停止信号を出力するまでの時間)を遅らせて、有効ライン上からその当選図柄を蹴飛ばして停止させる。また、最大スベリコマ数の範囲内に、当選図柄が含まれている場合には、回転リール40が停止するまでの時間を遅らせて、有効ライン上にその当選図柄を引き込んで停止させる。
【0038】
ここで、停止制御手段92は、複数の当選フラグが同時に成立している場合に、引き込み制御において、当選した複数の役のうちいずれの役を優先して引き込むかをあらかじめ設定している。例えば、異種役が同時当選している場合の引き込み優先順位を、再遊技役>小役>ボーナス役に設定している。具体的には、ボーナス役と小役が同時に当選している場合には小役の図柄を優先して引き込み、ボーナス役と再遊技役が同時に当選している場合には再遊技役の図柄を優先して引き込む。
次に、いずれかの「押し順ベル」が当選した場合の停止制御について詳述する。
ここで、本実施の形態では、
図3のリール図柄の配列に示すように、ベル1〜27役に対応する図柄組合せに含まれる図柄は、全ての回転リール40において、最大スベリコマ数の範囲内で有効ライン上に引き込み可能となるように配置されているわけではないので、ストップスイッチ50の操作のタイミングにより、それらの図柄組合せに含まれる図柄を有効ライン上に引き込める場合もあるし、引き込めない場合もある。一方、ベル28役に対応付けられている図柄組合せに含まれる図柄は、個々の図柄組合せについてみると、全ての回転リール40において、最大スベリコマ数の範囲内で有効ライン上に引き込み可能となるように配置されているものではないが、ベル28役が当選している場合には、ストップスイッチ50の操作のタイミングにかかわらず、ベル28役に対応付けられているいずれかの図柄組合せに含まれる図柄を、有効ライン上に引き込むことができるようになっている。
【0039】
停止制御手段92は、役抽選により、いずれかの「押し順ベル」が当選した場合には、ストップスイッチ50の操作態様に応じて、ベル役に対応する図柄組合せか、あるいはベルブランクを有効ライン上に停止表示させるように停止制御を行う。
具体的には、当選した「押し順ベル」に対して割り当てられている正解の押し順でストップスイッチ50が操作されると、ストップスイッチ50の操作のタイミングにかかわらず、中リール42及び右リール43において、ベル1〜27役に対応する図柄(ベルa図柄、ベルb図柄、ベルc図柄)に優先して、ベル28役に対応するいずれかの図柄(赤7図柄、青7図柄又はチェリー図柄)を有効ライン上に引き込んで、ベル28役を入賞させる。前記したように、この場合には、ベル28役が必ず入賞する。一方、その正解の押し順以外の押し順(不正解の押し順)でストップスイッチ50が操作された場合には、中リール42及び右リール43において、ストップスイッチ50の操作のタイミングが、ベル1〜27役のうちのいずれかのベル役に対応する図柄を有効ライン上に引き込み可能な場合には、当該図柄を有効ライン上に引き込んで、ベル役を入賞させることができる。しかし、ベル1〜27役のうちのベル役に対応する図柄のうちのいずれも有効ライン上に引き込むことができない場合には、ベルブランクを有効ライン上に停止表示させ、この場合には入賞はしない。
【0040】
このように、「押し順ベル」が当選した場合において、当該「押し順ベル」に設定された正解の押し順でストップスイッチ50が操作された場合には、必ずベル28役が入賞し、正解の押し順でストップスイッチ50が操作されなかった場合には、ベル28役は入賞せず、ベル1〜27役のうちのいずれかが入賞するか、あるいは何の役も入賞しないようになっている。
さらに、停止制御手段92は、「リプレイB」又は「リプレイC」が当選した場合には、ストップスイッチ50の押し順によって、入賞する再遊技役が変化するように停止制御を行う。具体的には、「リプレイB」の当選時において、左第一停止または中第一停止でストップスイッチ50が操作された場合には、右リール43において、ベル図柄に優先して、リプレイ図柄を有効ライン上に引き込んで、リプレイ1を入賞させる。一方、右第一停止でストップスイッチ50が操作された場合には、右リール43においてベル図柄を優先して有効ライン上に引き込んで、リプレイ2を入賞させる。また、「リプレイC」の当選時において、左第一停止又は右第一停止でストップスイッチ50が操作された場合には、中リール42において、ベル図柄に優先して、リプレイ図柄を有効ライン上に引き込んで、リプレイ1を入賞させる。一方、中第一停止でストップスイッチ50が操作された場合には、中リール42において、リプレイ図柄に優先して、ベル図柄を有効ライン上に引き込んで、リプレイ3を入賞させる。前述したように、通常状態中にリプレイ2又はリプレイ3が入賞すると、メイン状態がRT状態に移行するようになっている。
【0041】
停止制御手段92は、上記したような制御を、優先度に基づいて停止位置候補を特定するための優先度判定データと、基準図柄から図柄何コマ分回転させて回転リール40を停止させるかを役抽選の結果及びストップスイッチ50の操作タイミングに応じて各当選図柄ごとにテーブル上に規定した停止テーブルとに基づいて、行うようになっている。また、停止図柄の情報は所定の記憶部に記憶される。
(遊技結果判定手段100)
遊技結果判定手段100は、ストップスイッチ50の操作によって回転リール40が全て停止したときに、当該遊技の結果を判定するためのものである。
【0042】
具体的には、所定の記憶部に記憶されている停止図柄の情報に基づき、有効ライン上に揃った図柄組合せが、所定の役に対応するものか否かを判断し、所定の役に対応する図柄組合せが有効ライン上に表示されたと判断した場合には、その判定結果情報を、払出制御手段110及びメイン状態移行制御手段80に送信する。また、役に対応する図柄組合せではないが、メイン状態の移行契機となっている図柄組合せが表示されたと判断した場合には、その判定結果情報を、メイン状態移行制御手段80に送信する。判定結果情報を受信した払出制御手段110は、入賞メダルの払い出し処理を行い、メイン状態移行制御手段80は、ボーナス状態やRT状態への移行処理、あるいは再遊技の作動処理を行う。再遊技が作動すると、自動的に規定数のメダルが投入された扱い(自動ベット)とされる。具体的には、ベットスイッチ16の操作又はメダル投入によらず、図示しない所定のベット表示部にベット表示(掛け枚数の表示)がされて、その後のスタートスイッチ30の操作が可能となる。さらに、サブ制御装置22に所定の信号出力を行うことにより、液晶表示装置67や発光表示部68やスピーカ69により、入賞やボーナスゲームの開始に際して所定の演出が行われる。
【0043】
(払出制御手段110)
払出制御手段110は、遊技結果判定手段110の判定結果及び精算スイッチ17の操作に基づいて、ホッパーユニット65を作動させメダルを払い出させるものである。すなわち、遊技結果判定手段110が払い出し小役の入賞を判定した場合には、当該小役入賞に応じたメダルを払い出し、クレジットが1以上ある場合に精算スイッチ17が操作されたときには、クレジットとして貯留されているメダルを払い出すようになっている。
なお、入賞により払い出されるメダルをクレジットとして貯留するようしてもよい。
(サブ制御装置22)
サブ制御装置22は、メイン制御装置21からの出力信号を一方向的に入力して、演出を実行させるための演出制御手段である。そして、サブ制御装置22は、
図2に示すように、少なくとも、サブ状態移行制御手段130、AT制御手段140、ペナルティ制御手段150、及び演出実行制御手段160を備えている。
【0044】
ここで、メイン制御装置21からサブ制御装置22に出力される遊技制御情報としては、ベットスイッチ16、スタートスイッチ30、ストップスイッチ40などの操作スイッチの操作情報や、役抽選の抽選結果に関する情報(抽選結果情報)や、回転リール40の回転及び停止に関するリールユニット60の作動情報や、停止図柄の表示態様などの遊技結果に関する情報や、現在のメイン状態に関する情報がある。
(サブ状態移行制御手段130)
サブ状態移行制御手段130は、現在のサブ状態を記憶するとともに、所定条件に応じて、サブ状態の移行を制御するためのものである。
【0045】
サブ状態には、
図7に示すように、AT(アシストタイム)の実行が決定されている状態であるAT状態と、それ以外の状態である非AT状態がある。AT状態は、補助演出状態であって、AT制御手段140の制御に基づきストップスイッチ50の操作態様に関する報知が行われる所定期間である。AT状態には、ART準備状態と、ART状態が設けられ、非AT状態には、サブ通常状態と、ボーナス状態とが設けられている。ART(アシストリプレイタイム)状態は、補助演出としてのベルナビが行われるAT状態であって、メイン状態がRT状態の場合のサブ状態である。ART準備状態は、メイン状態が通常状態の場合のAT状態であって、ART状態への移行待ち状態である。ボーナス状態は、メイン状態がボーナス作動中である場合のサブ状態である。サブ通常状態は、上記のいずれにも該当しないサブ状態である。
【0046】
そして、サブ状態移行制御手段130は、遊技状態が上記した各サブ状態の条件に該当するか否かを判断して、それぞれのサブ状態を記憶する。サブ状態移行制御手段130の記憶に応じて、AT制御手段140の制御に基づく報知内容や演出実行制御手段160の制御に基づく演出内容が変化する。
(サブ状態の移行)
ここで、サブ状態移行制御手段130の制御に基づくサブ状態の移行の具体例を、
図7に基づき説明する。
前述したように、スロットマシン10は、初期状態(工場出荷時等)においては、メイン状態は通常状態であり、サブ状態もサブ通常状態となっている。そして、サブ通常状態中において、後述するART移行抽選に当選した場合、又は所定のゲーム数が消化された場合には、ART準備状態に移行させる。所定のゲーム数は、あらかじめ設定されたゲーム数(例えば1000ゲーム)、又は所定契機(例えばART終了時)に行われる設定ゲーム数抽選より決定されたゲーム数(設定ゲーム数)である。
【0047】
ART準備状態中(以下準備中という)においては、RT状態への移行契機役となっているリプレイ2又はリプレイ3(以下移行リプレイという)の当選時に移行ナビが行われ、ナビに従って停止操作された場合には、メイン状態がRT状態に移行する。準備中に移行リプレイが入賞した場合には、サブ状態移行制御手段130は、サブ状態をART状態に移行させる。なお、ペナルティ制御手段150の制御に基づきペナルティ状態となっている場合には、ART準備状態やART状態に移行させない場合があるが、それについては後述する。
ART状態中(以下ART中という)においては、所定回数のATゲームが保証されており、後述する上乗せ抽選で当選した場合にはさらに所定回数のゲーム数が上乗せされる。そして、設定された回数のゲームが終了した場合には、ART状態を終了させてサブ通常状態に移行させる。また、ART中にベルブランクが表示されてART状態が終了した場合は、ATゲーム数が残っていてもサブ状態をサブ通常状態に移行させる。
【0048】
サブ通常状態においてボーナスが入賞した場合には、サブ状態移行制御手段130は、サブ状態をボーナス状態に移行させる。また、ART準備状態、ART状態においてボーナスが入賞した場合には、サブ状態をボーナス状態に移行させるとともに、ボーナス終了後にART準備状態に移行させる。
(AT制御手段140)
AT制御手段140は、メイン制御装置21から出力される役抽選の結果や遊技結果に関する情報等に基づき、ATの開始及び終了を制御するものである。
そして、AT制御手段140は、特に図示しないが、設定ゲーム数抽選手段、実行ゲーム数カウンタ、AT抽選手段、ATカウンタ及び報知実行手段を備えている。
【0049】
設定ゲーム数抽選手段は、ARTの終了時に、次にART準備状態に移行するまでのゲーム数を、抽選により決定するためのものである。実行ゲーム数カウンタは、ART終了後のサブ通常状態中の実行ゲーム数をカウントするものである。実行ゲーム数カウンタは、ゲーム数のカウント中にボーナス役が当選した場合には、ゲーム数のカウントを中断する。また、後述するペナルティが実行される場合にも、ゲーム数のカウントを中断する。
AT抽選手段は、ATに関する抽選を行うものである。本実施の形態においては、ART移行抽選と、上乗せ抽選を行う。ART移行抽選は、ART状態への移行の有無を決定する抽選であり、サブ通常状態中の所定契機、例えばチェリー役やボーナスなど特定役の当選時に行われる。上乗せ抽選は、ART準備状態や、ART中における例えばチェリー役やスイカ役などの特定役の当選時に、ATゲーム数の上乗せの有無及び上乗せゲーム数を決定する抽選である。上乗せゲーム数は、例えば1〜100ゲームの中から抽選により決定する。上乗せ抽選に当選すると、当選に係るゲーム数がATカウンタに加算される。
【0050】
ATカウンタは、ART状態のゲーム数(ATゲーム数)をカウントするものである。具体的には、ART移行抽選に当選しあるいは設定ゲーム数が消化されてARTの実行が決定されると、最低限保証されているATゲーム数、例えば40ゲームを所定の記憶部に記憶するとともに、ART状態への移行後、ゲーム開始ごとに、記憶値を1ずつ減算する。そして、ゲーム消化によって記憶値が0になると、ART状態が終了する。ART状態が終了すると、ベルナビが行われなくなり、ベルブランクが表示されることにより、メイン状態はRT状態から通常状態に戻る。また、ATカウンタは、ART中にベルブランクが表示された場合には、記憶値を初期化(0クリア)する。すなわち、ATゲーム数が残っていてもメイン状態がRT状態から通常状態に転落した場合には、ART状態が終了するようになっている。また、ART中にボーナスが入賞した場合には、ATカウンタはカウント値を初期化しないが、ART状態は終了する。なお、未消化のATゲーム数は、次回ARTに持ち越される。ATカウンタがゲーム数を有している場合において上乗せ抽選に当選した場合には、抽選に基づくゲーム数がATカウンタに加算される。ATカウンタは、ART中でないときにはゲーム数の減算を行わない。
【0051】
報知実行手段は、演出実行制御手段160によるナビ演出の実行を管理するためのものである。具体的には、準備中には、RT状態への移行ナビを行わせ、ART中には、ベルナビを行わせるように形成されている。
移行ナビは、準備中において、「リプレイB」が当選した場合に、リプレイ2を入賞させるための押し順(右第一停止)を報知し、「リプレイC」が当選した場合に、リプレイ3を入賞させるための押し順(中第一停止)を報知するものである。ナビに従って停止操作された場合には、リプレイ2又はリプレイ3(移行リプレイ)が必ず入賞して、メイン状態がRT状態に移行するとともに、ARTが開始される。ナビに従わなかった場合には、リプレイ1役が必ず入賞するが、メイン状態は変化せず、サブ状態も変わらない。なお、報知実行手段は、サブ通常状態では、移行リプレイを含む「リプレイB」や「リプレイC」が当選しても、移行ナビを行わせないので、メイン状態がRT状態に移行することはない。なお、ナビが行われないのに中第一停止又は右第一停止で停止操作された結果、いずれかの移行リプレイが入賞してメイン状態がRT状態に移行しても、サブ状態はART状態には移行しない。かかる場合には、ベルナビが行われないので、やがてベルブランクが表示されてメイン状態は通常状態に戻る。
【0052】
ベルナビは、ART中において、「押し順ベル」が当選した場合に正解の押し順を報知する補助演出である。前述したように、正解の押し順で停止操作された場合には、ベル役(ベル28)が必ず入賞し、不正解の押し順で停止操作された場合には、いずれかのベル役が入賞するか、ベルブランクが表示される。ART中は、ナビに従って停止操作することによりベル役を必ず入賞させることができるので、サブ通常状態よりも多くの利益を獲得することが可能となる。なお、既述したが、左第一停止が正解の押し順に設定されている「押し順ベル」(左ベル1〜左ベル3)の当選確率(合算値)は、他の押し順が正解の押し順に設定されている「押し順ベル」の当選確率よりも低く設定されている。これは、ART中の出玉を高く維持するために「押し順ベル」全体の当選確率を高く設定するとともに、押し順を不均等に振り分けて通常状態における出玉を押さえるための対処である。これにより、普通は左第一停止で停止操作すると思われる通常状態よりも、左第一停止以外の操作順が許可されるART中の有利度が高くなるのである。このため、遊技進行が適正に行われるように、通常状態において左第一停止(標準操作態様)以外の操作順(変則操作態様)で停止操作すること(いわゆる変則押し)を禁じる(以下に述べるペナルティが課せられる)こととしている。
【0053】
なお、ART中にベルブランクが表示された場合において、ATカウンタがゲーム数を有している場合には、ゲーム数を初期化しないでAT状態を維持し、移行リプレイの当選時に移行ナビを行うようにしてもよい。移行リプレイが入賞するまでの間、ゲーム数の減算は行わないようにしてもよい。
(ペナルティ制御手段150)
ペナルティ制御手段150は、ATに関するペナルティを管理するためのものであり、図示しないペナルティ判定手段と、ペナルティカウンタとを備えている。
ペナルティ判定手段は、遊技結果が、あらかじめ定められたペナルティ実行条件に該当しているか否かを判定するものである。
【0054】
本実施の形態では、ペナルティ判定手段は、サブ状態がART状態でないときに、ストップスイッチ50の操作順として許可されている操作順(左第一停止)が遵守されなかった場合(変則押しがされた場合)において、当該ゲームで「押し順ベル」に含まれるいずれかのベル役が入賞した場合に、ペナルティに該当していると判断する。例えば、右第一停止が対応付けられた「右ベル1」に右第一停止で停止操作して正解役であるベル28役が入賞した場合のみならず、左第一停止が対応付けられた「左ベル1」の当選時に中第一停止で停止操作して不正解役であるベル1〜27役のいずれかが入賞した場合にも、ペナルティと判断される。ペナルティ判定手段がペナルティ実行条件に該当していると判断した場合には、ペナルティカウンタに所定のペナルティゲーム数(例えば10ゲーム)が設定される。
【0055】
なお、ペナルティ実行条件としては、抽選結果が「押し順ベル」の当選のゲームで変則押しが行われかつベル役が入賞した場合のみに限られず、遊技の結果、表示させてはいけないはずの特定の図柄組合せが表示された場合、あるいは、表示させるべきであるはず特定の図柄組合せが表示されなかった場合に、ペナルティが課せられるようにしてもよい。例えば、AT状態でないときに移行リプレイが入賞した場合にはペナルティが課せられるようにしてもよい。また、「押し順ベル」の当選時に変則押しが行われた場合に、入賞の有無に関わらずペナルティが課せられるようにしてもよい。あるいは、「押し順リプレイ」を含む押し順の設定された抽選結果の発生時に変則押しが行われた場合に、入賞の有無に関わらずペナルティが課せられるようにしてもよい。要は、変則押しに基づいて、ペナルティが課せられるようになっていればよい。
【0056】
ペナルティカウンタは、ペナルティゲーム数をカウントするものであり、ペナルティゲーム数を記憶する所定の記憶部を備えている。そして、ペナルティゲーム数が1以上記憶されている場合に、ゲーム開始ごとに、記憶値を1ずつ減算する。ペナルティカウンタがペナルティゲーム数を有している状態を、ペナルティ状態(又はペナルティ中)というものとする。また、ペナルティカウンタは、記憶値が1以上あるときに、ボーナス役が入賞した場合、及びARTの開始が確定した場合(RT状態への移行リプレイが入賞した場合)には、記憶値をクリアする。ペナルティカウンタがペナルティゲーム数を有しているときにペナルティ実行条件に該当した場合は、記憶値に所定値(設定されるペナルティゲーム数)を再設定(上書き)してもよいし、記憶値に所定値を加算してもよい。
【0057】
なお、ペナルティカウンタを、ゲーム開始ごとに、記憶値を1ずつ加算するように形成してもよい。この場合には、ペナルティ判定手段がペナルティ実行条件に該当していると判断した場合に、ペナルティ状態である旨を記憶するペナルティフラグをセットし、ペナルティカウンタの記憶値が所定値に達した場合にペナルティフラグをリセットする。また、記憶値が所定値に達する前にボーナス役が入賞した場合、及びARTの開始が確定した場合には、ペナルティカウンタは記憶値をクリアし、ペナルティフラグをリセットする。ペナルティカウンタの記憶値が所定値に達する前にペナルティ実行条件に該当した場合は、ペナルティフラグをリセットしないで記憶値を初期値(0)に再設定してもよいし、カウントの終了値に所定値を加算、あるいは記憶値から所定値を減算してもよい。
【0058】
ペナルティ制御手段150は、ペナルティ状態である場合、すなわちペナルティカウンタがペナルティゲーム数を有している場合(記憶値が1以上の場合)、あるいはペナルティフラグがセットされている場合には、遊技者に一定の不利益を付与する。
例えば、サブ通常状態において変則押しが行われた場合には、ART準備状態に移行するまでの設定ゲーム数のカウントを停止させて、ARTの開始を遅延させるペナルティを実行する。また、ART移行抽選の契機に該当(特定役が当選)してもAT抽選を行わないペナルティを実行してもよい。あるいは、設定ゲーム数のカウントを停止するとともにAT抽選を行わないペナルティを実行してもよい。また、ART準備状態においてナビが行われていないのに変則押しが行われた場合には、上乗せ抽選の抽選契機に該当しても上乗せ抽選を行わないペナルティや、移行リプレイの当選時に移行ナビを行わせないペナルティを実行することができる。
【0059】
(演出実行制御手段160)
演出実行制御手段160は、画像表示部67や発光表示部68やスピーカ69等の演出装置の作動を制御するためのものである。具体的には、ROMに記憶されている演出データをもとに、各演出装置にデータやコマンドを出力して演出を実行させるものであり、
図2に示すように、演出抽選手段161と、演出抽選テーブル162と、抽選テーブル決定手段163と、演出作動制御手段164と、を少なくとも備えている。
(演出抽選手段161)
演出抽選手段161は、演出の有無及び内容を決定するための演出抽選を行うものである。
【0060】
演出抽選は、ゲーム中の所定契機、例えばスタートスイッチ30の操作を契機に、遊技状態(役抽選の結果等のメイン制御に関する情報やサブ状態)に応じて、以下に述べる演出抽選テーブル162を用いて行われる。
具体的には、演出抽選手段161は、役抽選と同様に、図示しない演出用の乱数発生手段が発生した乱数値(ループカウンタのカウント値)を所定のタイミングで抽出し、抽出した乱数値と演出抽選テーブルとを対比して、演出の有無及び演出の種類を決定する。
(演出抽選テーブル162)
演出抽選テーブル162は、演出用の乱数発生手段の発生する乱数値を全領域として、所定の演出データに対応する領域を定めたものである。
【0061】
ここで、ROMに記憶されている演出データとしては、画像表示部67としての液晶表示装置に所定の動画や静止画を表示させるための画像データ、発光表示部68を所定の態様で点灯点滅させるための発光パターンデータ、スピーカ69から所定の音声を出力させるための音声データなどが設けられている。また、これらのデータに基づき実行される演出パターンのデータとして、少なくとも、ナビ演出を行わせる場合に用いられるナビ演出データと、ナビ演出を行わない場合に用いられる通常演出データとが設けられている。この他にも、ART中にナビ演出と同時に行われる演出の演出データや、ボーナス状態中に用いられる特別演出データや、その他の報知(例えば変則押しに対する警告)に係るデータなどが設けられているが、詳細な説明は省略する。
【0062】
ナビ演出データは、押し順が設定された当選領域の当選時に押し順を報知する、いわゆる押し順ナビに係る演出データである。具体的には、画像表示部67に、停止操作すべきストップスイッチ50の位置を左、中、右などの文字で表示させたり、スピーカ69から音声により指示したり、ストップスイッチ50のボタンの内部に設けた発光体の発光色を変化させて、最初に操作すべきストップスイッチ50を指示したりするものである。
通常演出データには、1回のゲーム毎に行われる単独演出に係る演出データと、複数回のゲームにわたり連続して実行される連続演出に係る演出データが含まれる。単独演出に係る演出データとしては、役抽選の結果に応じて、ボーナス役が当選した場合の演出データ、「押し順ベル」が当選した場合の演出データ、特定役が当選した場合の演出データ、役抽選の結果が不当選の場合の演出データ、などの抽選結果報知演出に係る演出データが設けられている。抽選結果報知演出には、例えば、ランプ68を所定の色彩で点灯させたり、画像表示部67に当選役に関する画像を表示させたりするものが含まれる。具体例を挙げると、報知ランプ68cの発光色や画像表示部67の画面に表示される画像の色が、当選役を表す色彩(ベルなら黄色、スイカなら緑)となっているようなものである。また、これらの抽選結果報知演出は、連続演出の実行中に平行して行われるものであってもよい。例えば、画像表示部67で複数ゲームにわたるストーリー演出を表示しつつ、報知ランプ68cを点灯させたり、ストーリー演出の場面の一部に当選役に関する画像を重ねて表示させたりすることができる。
【0063】
さて、本実施の形態においては、サブ通常状態中及びART準備状態中(非ART中)において、スタートスイッチ30の操作を契機に行われる抽選結果報知演出として、「押し順ベル」の当選を示唆する演出A(第1の演出)と、「押し順ベル」の当選を示唆するものでない演出B、演出C、演出D及び演出E(第2の演出)が少なくとも設けられている。具体的には、例えば、演出Aは、報知ランプ68cを黄色で発光させる演出とすることができ、演出Bは、報知ランプ68cを白色で発光させる演出とすることができる。また、演出Cは、報知ランプ68cを緑色で発光させる演出とすることができ、演出Dは、報知ランプ68cを赤色で発光させる演出とすることができる。また、演出Eは、報知ランプ68cを赤色で発光させるとともにアーチランプ68aを点滅させる演出とすることができる。
【0064】
なお、演出Bは、「押し順ベル」以外の何らかの役の当選を示唆するものであり、演出Cは「スイカ」の当選を示唆するものであり、演出Dは、「チェリー」の当選を示唆するものである。演出Eはボーナス(「BB」「RB」)の当選を示唆するものである。ただし、各演出は、示唆する抽選結果に応じて必ず実行されるとは限らない。また、各演出の態様は一例であって、発光表示部68を用いたものに限られず、画像表示部67の表示による演出であってもよいし、スピーカ69からの音声出力による演出であってもよいし、それらを組み合わせた演出であってもよい。
演出抽選テーブル162の一例を、
図8に示す。
図8は、非ART中にスタートスイッチ30の操作を契機に行われる抽選結果報知演出を決定するための演出抽選テーブル162の概念図である。そしてこの演出抽選テーブル162としては、テーブル1〜テーブル4が設けられている。テーブル1は、演出A、演出C、演出D、演出E及び演出なしが抽選対象となっており、演出Aの領域が2/3、演出Cの領域が1/15、演出Dの領域が1/15、演出Eの領域が1/15、演出なしの領域が2/15の割合で設定されている。テーブル2は、演出B、演出C、演出D、演出E及び演出なしが抽選対象となっており、演出Bの領域が2/3、演出Cの領域が1/15、演出Dの領域が1/15、演出Eの領域が1/15、演出なしの領域が2/15の割合で設定されている。テーブル3は、演出C、演出D、演出Eが抽選対象となっており、演出Eの領域が2/3、演出Cの領域が1/6、演出Dの領域が1/6の割合で設定されている。テーブル4は、演出Bと演出なしが抽選対象となっており、演出Bの領域が1/5、演出なしの領域が4/5の割合で設定されている。
【0065】
なお、演出抽選テーブル168としては、上記した非ART中にスタートスイッチ30の操作を契機に行われる抽選結果報知演出を決定するための抽選テーブルだけでなく、図示しないが、ART状態やボーナス状態において実行される演出を決定するための演出抽選テーブル168や、連続演出の内容を決定するための演出抽選テーブル168などが設けられている。
(抽選テーブル決定手段163)
抽選テーブル決定手段163は、前記演出抽選手段161が演出抽選において用いる演出抽選テーブル162を、遊技状態に応じて決定するためのものである。
【0066】
すなわち、抽選テーブル決定手段163は、スタートスイッチ30の操作時における遊技状態に応じて、複数の演出抽選テーブル162の中から、一の演出抽選テーブル162を選択する。そして、演出抽選手段161は、抽選テーブル決定手段163により選択された演出抽選テーブル162を参照して、演出抽選を行う。
ここで、非ART中における抽選結果報知演出に関する抽選テーブル決定手段163の制御について説明する。抽選テーブル決定手段163は、非ART中に、役抽選の結果、「押し順ベル」が当選した場合において、当選した「押し順ベル」に割り当てられているストップスイッチ50の押し順が、左第一停止である場合、すなわち、「左ベル1〜」「左ベル3」のうちのいずれかが当選した場合には、
図8に示すテーブル1を選択する。これにより、非ART中の「左ベル1〜」「左ベル3」の当選時には、「押し順ベル」の当選を示唆する演出Aが2/3の確率で実行されることとなる。また、当選した「押し順ベル」に割り当てられているストップスイッチ50の押し順が、左第一停止以外である場合、すなわち、「中ベル1」〜「右ベル3」のうちのいずれかが当選した場合には、
図8に示すテーブル2を選択する。これにより、非ART中の「中ベル1」〜「右ベル3」の当選時には、「押し順ベル」の当選を示唆する演出Aは行われず、「押し順ベル」以外の当選を示唆する演出B〜Eが実行されることとなる。
【0067】
ただし、上記した「左ベル1〜」「左ベル3」のうちのいずれかが当選した場合であっても、ペナルティ中である場合には、テーブル2を選択する。これにより、ペナルティ中に「押し順ベル」が当選した場合には、「押し順ベル」の当選を示唆する演出Aが一切実行されないこととなる。
なお、抽選テーブル決定手段163は、非ART中に、「押し順ベル」以外の小役や再遊技役が当選した場合にはテーブル2を選択する。これにより、非ART中の「リプレイA」〜「リプレイC」、「チェリー」、「スイカ」の当選時には、何らかの役の当選を示唆する演出Bが2/3の確率で実行される。また、ボーナス役が当選した場合にはテーブル3を選択する。これにより、ボーナス役の当選時には、ボーナス役を示唆する演出Eが2/3の確率で実行される。また、役抽選の結果がハズレの場合には、テーブル4を選択する。これにより、役抽選の結果がハズレの場合には、何らかの役の当選を示唆する演出Bが1/5の確率で実行されることとなる。
【0068】
このように、非ART中において、「押し順ベル」のうち、非ART中に入賞してもペナルティの対象とならない抽選対象、具体的には、「左ベル1〜」「左ベル3」(以下非ペナルティ対象択役という)が当選した場合には、「押し順ベル」の当選を示唆する演出が実行され得るが、非ART中に入賞するとペナルティの対象となる抽選対象、具体的には「中ベル1」〜「右ベル3」(以下ペナルティ対象択役という)が当選した場合には「押し順ベル」の当選を示唆する演出が実行されない。ペナルティ対象択役の当選時に実行され得る演出は、押し順が割り当てられていない役の当選時にも実行され得るので、ペナルティ対象択役の当選を演出から察知することができなくなる。さらに、ペナルティ中は、非ペナルティ対象択役が当選した場合でも、「押し順ベル」の当選を示唆する演出が実行されない。すなわち、ペナルティ中は、非ペナルティ対象択役の当選を演出から察知することができなくなる。
【0069】
なお、抽選テーブル決定手段163は、ART中において、「押し順ベル」以外の役が当選した場合には、当該役の当選を示唆する演出の領域が規定された演出抽選テーブル162を選択する。ART中に実行される所定の役の当選を示唆する演出は、上記した演出B〜Eと同等であってもよいし異なっていてもよい。また、当該演出の実行される割合は、ART中と非ART中で異なっていてもよいし同等であってもよい。ちなみに、ART中に「押し順ベル」が当選した場合にはベルナビが行われるので、「押し順ベル」の当選を示唆する演出を実行しなくてもよいが、ベルナビとは別に、「押し順ベル」の当選を示唆する演出を実行するようにしてもよい。
【0070】
(スロットマシン10の作動)
次に、上記構成を有するスロットマシン10の、メイン制御装置21の制御に基づく遊技作動の概略を、
図9のフローに基づき説明する。
図9は、1回のゲームの流れを示す。
まず、
図9に示すステップ100において、規定数のメダルがベットされたか否かが判断される。ベットには、メダルの投入、ベットスイッチ16の操作の他、再遊技の作動による自動ベットも含まれる。規定数のメダルがベットされない場合にはステップ100に戻り、規定数のメダルが投入された場合には、次のステップ101に進む。
ステップ101において、スタートスイッチ30がONとなったか否かが判断される。スタートスイッチ30がONにならない場合には、ステップ101に戻り、スタートスイッチ30がONとなった場合には、次のステップ102に進む。
【0071】
ステップ102において、役抽選手段70により役抽選処理が行われる。そして、次のステップ103に進む。
ステップ103において、回転リール40の回転開始処理が行われる。そして、次のステップ104に進む。
ステップ104において、いずれかのストップスイッチ50がONとなったか否かが判断される。ストップスイッチ50がONとならない場合には、ステップ104に戻り、いずれかのストップスイッチ50がONとなった場合には、次のステップ105に進む。
ステップ105において、回転リール40の回転停止処理が行われる。そして、次のステップ106に進む。
【0072】
ステップ106において、全ての回転リール40が停止したか、すなわち3個の回転リール40に対応するストップスイッチ50の操作が行われたか否かが判定される。全ての回転リール40が停止していない場合にはステップ104に戻り、全ての回転リール40が停止した場合には、次のステップ107に進む。
ステップ107において、遊技結果判定処理が行われる。そして、次のステップ108に進み、遊技結果に応じた処理が行われる。すなわち、所定の小役が入賞した場合には入賞に基づくメダルの払い出し処理が行われ、再遊技役が入賞した場合には再遊技の作動処理やRT状態への移行処理が行われ、ボーナス役が入賞した場合にはボーナス作動中への移行処理が行われ、あるいはボーナスの終了条件に該当した場合には通常状態への移行処理が行われる。そして、1回のゲームが終了する。所定の役は入賞しないものの、メイン状態の移行契機となる図柄組合せ(ベルブランク)が表示された場合には、メイン状態の移行処理が行われる。何の役も入賞せず、かつメイン状態の移行契機となる図柄組合せも表示されない場合には、そのまま1回のゲームが終了する。
【0073】
次に、サブ制御装置22の制御に基づく演出決定処理ついて、
図10のフローに基づき説明する。なお、
図10は、スタートスイッチ30の操作に基づく抽選結果報知演出の決定処理を示すものである。また、役抽選の結果やメイン状態は、メイン制御装置21から遊技の進行に応じて出力される情報信号の入力に基づき判断される。
まず、
図10のステップ200において、役抽選の結果、ペナルティ対象択役が当選したか否かが判断される。ペナルティ対象択役が当選していない場合には、次のステップ201に進み、非ペナルティ対象択役が当選したか否かが判断される。非ペナルティ対象択役が当選した場合には、次のステップ202に進む。
【0074】
ステップ202において、ペナルティ中か否かが判断される。ペナルティ中でない場合には、次のステップ203において、「押し順ベル」の当選を示唆する演出を含むテーブル1が選択される。そして、ステップ206に進む。一方、ペナルティ中である場合には、ステップ204に進む。
前記ステップ200において、ペナルティ対象択役が当選したと判断された場合にも、ステップ204進む。
ステップ204おいて、「押し順ベル」の当選を示唆する演出を含まないテーブル2が選択される。そして、ステップ206に進む。
【0075】
前記ステップ201において、非ペナルティ対象択役が当選していないと判断された場合には、ステップ205に進み、所定のテーブルが選択される。具体的には、小役や再遊技役が当選した場合にはテーブル2を選択し、ボーナス役が当選した場合にはテーブル3を選択し、ハズレの場合にはテーブル4を選択する。そして、ステップ206に進む。
ステップ206において、演出抽選処理が行われ、次のステップ207において、演出抽選の結果が「なし」であるか否かが判断される。演出なしの場合にはそのまま処理を終了し、演出なしでない場合、すなわち所定の演出が当選した場合には、次のステップ208において、当選した演出の演出データが取得される。そして、演出決定処理を終了する。
【0076】
この後、取得された演出データに基づいて、演出が実行されることとなる。
なお、本実施の形態では、演出抽選テーブル162に演出なしの領域を設け、演出の有無と演出の種類の抽選を同時に行うものとしていたが、演出の有無を決定する演出抽選テーブル162と、演出の種類を決定する演出抽選テーブル162を別々に設け、演出の有無を決定する抽選と、演出の種類を決定する抽選とを別個に行うようにしてもよい。この場合、演出の無しの確率が異なる複数の演出抽選テーブル162を設け、役抽選の結果に応じてテーブルを使い分け、役抽選の結果に応じて演出の有無が異なるようにしてもよい。
(まとめ)
以上のように、本実施の形態では、ART状態でないときにおいて、変則押しによって「押し順ベル」が入賞した場合にペナルティを設定することとしたうえで、ART状態でないときにおいて、スタートスイッチ30の操作を契機に行われる演出のうち、ペナルティ対象択役が当選した場合には「押し順ベル」の当選を示唆する演出を行わせず、非ペナルティ対象択役が当選した場合には「押し順ベル」の当選を示唆する演出を行わせるようにした。これにより、「押し順ベル」についての当選報知を実行しつつ、ペナルティ対象択役の当選を察知困難にし、ペナルティ対象択役の当選時を狙って変則押しをして不当に正解役を入賞させる攻略性を排除することができる。
【0077】
さらに、ペナルティ中においては、非ペナルティ対象択役が当選した場合にも、「押し順ベル」の当選を示唆する演出を行わせないようして、非ペナルティ対象択役の当選を察知できないようにした。これにより、非ペナルティ対象択役の当選時のみ変則押しをしないことで、ペナルティ行為に該当しない標準操作態様で入賞させてメダルを確保しつつ変則押しでもメダルを獲得し、ペナルティの上書きや再設定を極力回避しつつ獲得利益を増大させるという攻略性を排除することができる。
なお、本実施の形態では、「押し順ベル」のうち、正解の押し順として変則押しが割り当てられている抽選結果の発生する確率が、正解の押し順として左第一停止が割り当てられている抽選結果の発生する確率よりも高い(押し順が変則押しに偏っている)設定となっていたが、押し順が変則押しに偏っていない場合であっても、上記したような処理を行うことにより、ペナルティ中において非ペナルティ対象択役の当選を察知することが困難となることで、上記と同様の効果を得られるものとなる。
【0078】
(変形例1)
上記した実施の形態では、正解の押し順で停止操作をすると所定の役(ベル28役)が必ず入賞し、不正解の押し順で停止操作をすると所定の役と同等のメダルが払い出される他の役(他のベル役)が入賞する場合があるという設定となっていたが、ATの態様はそのような設定であるものに限られない。例えば、正解の押し順で停止操作をすると所定の役が必ず(あるいは操作タイミングに応じて)入賞するが、不正解の押し順で停止操作すると所定の役よりも払い出し枚数の少ない他の役が入賞し得る(あるいは必ず入賞する)設定となっている場合であっても、本発明を利用できる。また、正解の押し順で停止操作をすると所定の役に対応付けられた図柄組合せが複数の有効ライン上に揃って所定の役が重複入賞し得る(あるいは必ず入賞する)が、不正解の押し順で停止操作をすると所定の役に対応付けられた図柄組合せが単独の有効ライン上に揃って所定の役が単独入賞し得る(あるいは必ず入賞する)ような設定となっている場合であっても、本発明を利用可能である。
【0079】
また、上記した実施の形態においては、ATは、ストップスイッチ50の操作態様として押し順を報知するものとなっていたが、ストップスイッチ50の操作タイミングを合わせて目押しすべき指標図柄(当選役に対応付けられた図柄組合せに含まれる図柄)を報知するものであってもよい。例えば、ストップスイッチ50を正解の押し順で停止操作し、かつ目押しをしないと正解役の当選図柄を有効ライン上に引き込めないようになっている場合には、正解の押し順と、目押しすべき図柄の種類や色を報知するような設定とすることができる。
(変形例2)
上記した実施の形態では、ART準備状態におけるペナルティ中は移行リプレイの入賞を判断せず、結果としてART状態に移行しないように形成した例を記載しているが、ペナルティ中であっても移行リプレイが入賞した場合にはART状態に移行させるように形成したうえで、ART中にペナルティゲーム数が残っている間は所定のペナルティ、例えばベルナビを行わないペナルティを実行するようにしてもよい。
【0080】
また、上記した実施の形態では、ボーナス状態に移行した場合にはペナルティカウンタがクリアされ、ボーナス中にはペナルティが行われないように形成されていたが、ペナルティ状態でボーナスが入賞した場合にはボーナス中にペナルティが行われるように形成することもできる。ボーナス中のペナルティとしては、例えば、ボーナス中の特定役当選時に上乗せ抽選やART移行抽選が行われる設定となっている場合に、ペナルティゲーム数が残っている間はそれらの抽選を行わない不利益を付与することができる。
また、上記した実施の形態では、ボーナス作動中においては、「押し順ベル」が抽選されないように形成されていたため(
図5参照)、ボーナス中の変則押しにはペナルティが課せられないようになっていた。しかし、ボーナスの仕様によっては、ボーナス中の変則押しをペナルティとすることもできる。例えば、ボーナス作動中にも、正解の押し順が変則押しに偏っている「押し順ベル」の抽選を行うとともに、AT状態からボーナス状態に移行した場合には「押し順ベル」のナビを行い、非AT状態からボーナス状態に移行した場合には「押し順ベル」のナビを行わない(左第一停止が推奨される)ように形成して、AT状態からボーナス状態に移行した場合の出玉を多くするような設定とすることが考えられる。このような場合には、非AT状態から移行したボーナス中の変則押しをペナルティの扱いとすることができる。ボーナス中の変則押しで設定されたペナルティでは、上記したような所定の抽選契機に該当しても上乗せ抽選やART移行抽選を行わない不利益や、ボーナス終了後のゲームで実行ゲーム数カウンタを更新しない不利益を付与することができる。ただ、ボーナス終了で遊技をやめてしまうことも考えられるので、次の遊技者に不利益が及ばないよう、例えばボーナス中の特別演出を行わないなどの、当該ボーナスの期間中に実行されるペナルティを設定することが好ましい。
【0081】
(他の実施の形態1)
上記した実施の形態では、正解の押し順として標準操作態様(左第一停止)が設定されている「押し順ベル」を備えている場合の例であったが、本発明は、正解の押し順として変則操作態様のみが設定されている仕様にも適用可能である。例えば、「押し順ベル」の正解の操作態様として、左第一停止又は左→中→右の順序で停止操作する押し順(順押し)以外が割り当てられている場合である。このような場合には、非ART中のスタートスイッチ30の操作を契機に実行され得る演出として、ペナルティ対象択役を含む所定の役の当選を示唆する演出と、当選を示唆しない演出(ハズレを示唆する演出)とを設ける。そして、ペナルティ対象択役の当選時には、当選を示唆する演出を実行せずに当選を示唆しない演出を所定の確率で実行し、「押し順ベル」以外の、押し順が割り当てられていない役(ペナルティ非対象役)の当選時には、当選を示唆しない演出を実行せずに当選を示唆する演出を所定の確率で実行する。そしてさらに、ペナルティ中においては、ペナルティ非対象役の当選時でも、当選を示唆する演出を実行せずに当選を示唆しない演出を所定の確率で実行することより、ペナルティ中にペナルティ非対象役の当選を察知することが困難になる。このよう形成した場合でも、ペナルティ行為に該当しない標準操作態様で入賞させてメダルを確保しつつ変則押しでもメダルを獲得し、ペナルティの上書きや再設定を極力回避しつつペナルティ中の獲得利益を増大させるという攻略性を排除することができる。
【0082】
(他の実施の形態2)
上記した実施の形態では、スタートスイッチ30の操作を契機に行われる演出について、ペナルティ対象択役が当選した場合には「押し順ベル」の当選を示唆しない演出を実行可能であり、非ペナルティ対象択役が当選した場合には「押し順ベル」の当選を示唆する演出を実行可能となっていたが、ペナルティ対象択役と非ペナルティ対象択役を打ち分けられる間に行われる演出が「押し順ベル」の当選を示唆しないあるいはするものであればよい。上記した実施の形態では、押し順の設定が、左第一停止、中第一停止、右第一停止のいずれかであるために、ペナルティ対象択役の当選時において、スタートスイッチ30の操作から最初の停止操作が行われるまでの間に、「押し順ベル」の当選を示唆しない演出を実行させることで、「押し順ベル」を入賞させるために変則押しをするかしないかの判断を困難にすることができた。しかし、3個のストップスイッチ50に基づく6通りの押し順を設定した場合には、スタートスイッチ30の操作から最初の停止操作が行われるまでの間の演出が「押し順ベル」の当選を示唆しない演出であっても、最初の停止操作の後に行われる演出が、「押し順ベル」の当選を示唆する演出であれば、左停止スイッチ51を最初に操作した後、二番目に中停止スイッチ52を操作する(変則押しをしない)か、右停止スイッチ53を操作する(変則押しをする)かの判断基準を与えてしまうことになる。したがって、このような場合には、少なくとも、スタートスイッチ30の操作から二番目の停止操作が行われるまでの間の演出について、「押し順ベル」の当選を示唆しないものとすればよい。
【0083】
翻って、ペナルティ対象択役と非ペナルティ対象択役を打ち分けられる間に行われる演出が「押し順ベル」の当選を示唆しないものであれば、その後の演出で「押し順ベル」の当選を示唆しても構わないこととなる。例えば、スタートスイッチ30の操作を契機に演出を行う場合、スタートスイッチ30の操作から最初の停止操作までの間、あるいはスタートスイッチ30の操作から二番目の停止操作までの間は、ペナルティ対象択役が当選している場合も非ペナルティ対象択役が当選している場合も「押し順ベル」の当選を示唆しない演出を行い、最初の停止操作の後、あるいは二番目の停止操作の後には、ペナルティ対象択役が当選している場合と非ペナルティ対象択役が当選している場合とで、「押し順ベル」の当選を示唆するか否かが異なるような演出を行わせてもよいものである。
【0084】
本発明は、スロットマシン以外の遊技機にも応用できる。例えば、遊技媒体として遊技球(パチンコ球)を用いてスロットマシンと同様の遊技を行わせるパロット遊技機に応用できる。また、所定の操作手段の操作に基づいて遊技が進行する遊技機にも応用できる。
さらに、本発明は、上述した実施の形態及び変形例に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲における変形および改良なども含む。そして、本発明は、矛盾が生じない範囲で、上述した実施の形態又は変形例に記載されている構成要件を適宜組み合わせ、または組み替えて構成することもできるものである。