(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5769402
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】内燃機関の制御装置
(51)【国際特許分類】
F02M 25/08 20060101AFI20150806BHJP
F02D 41/02 20060101ALI20150806BHJP
F02D 45/00 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
F02M25/08 301H
F02D41/02 325J
F02D45/00 364N
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2010-266463(P2010-266463)
(22)【出願日】2010年11月30日
(65)【公開番号】特開2012-117415(P2012-117415A)
(43)【公開日】2012年6月21日
【審査請求日】2013年11月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(74)【代理人】
【識別番号】100148910
【弁理士】
【氏名又は名称】宮澤 岳志
(72)【発明者】
【氏名】高木 定夫
【審査官】
二之湯 正俊
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−014119(JP,A)
【文献】
特開平11−062731(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 25/08
F02D 41/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャニスタに吸着した蒸発燃料を吸気通路にパージする機能を有するものであって、パージ流量が目標パージ制御量となるようにパージ流量を制御し、所定の条件下でパージをカットし、パージカットからのパージ再開時に、徐々にパージ流量を増加させるパージ制御量の増加率をパージカット時間が短いほど大きくするものであり、
パージ流量がパージカット開始時におけるパージ流量に到達するまでは、パージ制御量の増加率をパージカット時間が短いほど大きくする制御を、パージ制御量が前回のパージカット開始時におけるパージ制御量に到達するまでとし、パージ制御量が前回のパージカット開始時のそれを超えた場合にはそれまでのパージ制御量の増加率以下の値としていることを特徴とする内燃機関の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸発燃料をキャニスタに蓄え、運転状態に応じて吸気系に放出して処理する内燃機関の制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料タンク中に発生する蒸発燃料はキャニスタに蓄えられ、運転状態に応じてこの蒸発燃料を吸気系に放出すなわちパージさせている。これにより蒸発燃料の大気放出を防止して、内燃機関のエミッション特性を改善している。このキャニスタには、例えば燃料カット時や過給時といったパージを行わないパージカット時にも燃料蒸気が捕捉される。そして、キャニスタに捕捉された燃料蒸気が一時的に想定以上に吸気系に放出されることによる空燃比の過リッチを回避すべく、徐々にパージ制御量を増加させることによって空燃比制御が間に合うようにするという技術が提案されている。またパージ量を多くするために、パージを再開する時のパージ制御量を前回のパージカットした時のパージ制御量から早急に再開するという制御も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、運転状態、例えば燃料カット時や過給時の割合が多くパージする頻度が少ないような場合はパージを十分な時間行うことができず、パージ量が十分に確保し得ないという事態が起こってしまう。
【0004】
他方特許文献1に記載された制御では、パージカットを行った時間が長かった場合では、パージ内の燃料蒸気の濃度が濃くなっている可能性があるため、早急にパージ制御量を大きくすると空燃比が過リッチとなるという不具合を招来する恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2789908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような不具合に着目したものであり、パージする頻度が少ないときであっても、必要なパージ流量を確保することができる内燃機関の制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0008】
すなわち本発明に係る内燃機関の制御装置は、キャニスタに吸着した蒸発燃料を吸気通路にパージする機能を有するものであって、パージ流量が目標パージ制御量となるようにパージ流量を制御し、所定の条件下でパージをカットし、パージカットからのパージ再開時に、徐々にパージ流量を増加させるパージ制御量の増加率をパージカット時間が短いほど大きくする
ものである。
【0009】
このようなものであれば、パージカット時間が短いときはパージ再開時におけるキャニスタ内の状態がパージカット開始時と大きく変わっていないことからパージ制御量の増加率を大きくすることで早急にパージ制御量をパージカット開始時の状態として有効にパージを確保し得るとともに、パージカット時間が長かったときはパージガス濃度が濃くなっていることからパージ再開時に空燃比が過リッチとなってしまう不具合を有効に回避することができる。これにより、パージする頻度が少ないときであっても、必要なパージ流量を確保することができる。
【0010】
本発明は、パージ制御量の増加率をパージカット時間が短いほど大きくするようにする制御を、パージ制御量がパージカット開始時におけるパージ制御量に到達するまでと
制御を、パージ制御量が前回のパージカット開始時におけるパージ制御量に到達するまでとし、パージ制御量が前回のパージカット開始時のそれを超えた場合にはそれまでのパージ制御量の増加率以下の値とすることを特徴とする。このようにすれば、パージカット前に既に設定された、換言すれば設定された実績のあるパージ制御量まで早急にパージを増加させることになる。その結果、パージ制御量の増加率を大きくした場合であっても空燃比が過リッチとなるという不具合をより有効に回避することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、パージする頻度が少ないときであっても、必要なパージ流量を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係るエンジンの概略構成説明図。
【
図2】同実施形態の電子制御装置の概略構成説明図。
【
図3】同実施形態に係るパージ制御量を示す模式的な説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0014】
図1に構成を概略的に示した内燃機関であるエンジン100は、例えば3つのシリンダ1を有する三気筒のもので、各シリンダ1に吸入空気を供給するための吸気通路2と、排気ガスを排出するための排気通路3と、排気通路3上に配設されたタービン5及び吸気通路2上に配設されたコンプレッサ6を有するターボチャージャ4とを少なくとも具備してなるものである。前記吸気通路2には、エアクリーナ7、吸気絞り弁8、コンプレッサ6、インタークーラ9、及び電子制御式スロットルバルブ(以下、スロットルバルブ10と称する)を上流からこの順で配設している。また、本実施形態では、前記インタークーラ9の上流側の部位と下流側の部位とを連通するインタークーラバイパス通路11a、及びこのインタークーラバイパス通路11a中に設けてなるインタークーラバイパス弁11bを配設している。加えて本実施形態では、吸気絞り弁8より上流側の部位とスロットルバルブ10より下流側の部位との間を連通する新気バイパス通路12a、及びこの新気バイパス通路12a中に設けてなる新気バイパス弁12bを配設している。減速時においては、内部EGRを最小限にすべく後述する連続可変バルブタイミング機構(VVT29)を制御すると同時に、前記新気バイパス通路12aから新気を導入することにより、過剰のEGRによる失火を防止するようにしている。前記スロットルバルブ10は、図示しないアクセルペダルの操作量に応じて開閉する。
【0015】
本実施形態では、燃料タンク42内に発生した燃料蒸気はキャニスタ13に吸着され、エンジン100が始動された後にパージバキュームスイッチングバルブ14(パージVSV)を介して吸気通路2に導入されるように構成しているが、斯かるパージVSV14により燃料蒸気が吸気通路2に導入される態様については後に詳述する。
【0016】
前記各シリンダ1には、点火プラグ15及び燃料噴射弁16を配設している。前記燃料噴射弁16は、デリバリパイプ17を介して高圧燃料ポンプ18に接続している。また、前記シリンダ1には、燃料噴射弁16から燃料を噴射する際に旋回流を発生させるべく、吸気ポートにスワールコントロールバルブ(SCV)19a、19b、19cを設けている。
【0017】
前記排気通路3上には、タービン5、三元触媒20、及び図示しない排気マフラを上流からこの順で配設している。三元触媒20より上流側には、三元触媒20の上流側における空燃比または酸素濃度に応じた出力信号を電子制御装置(以下ECU33と称する)に出力する空燃比センサ21を設けている。一方、三元触媒20より下流側には、三元触媒20中の酸素濃度に応じた信号をECU33に出力するリアO
2センサ22を設けている。
【0018】
前記ターボチャージャ4は、この分野でよく知られたものを使用することができるもので、過給圧を制御するために、タービン5の上流と下流とを連通可能にする排気バイパス通路23aを備え、その排気バイパス通路23aを開閉するウェイストゲート弁23bを備えている。このウェイストゲート弁23bは、低速走行時にはより多くの排気ガスをタービン5に導くことにより、より多くの新気をシリンダ1内に過給するようにすべく閉じられ、中高速走行時には過過給によるノッキングの発生を防ぐべく開かれる。また、ターボチャージャ4のコンプレッサ6側においては、コンプレッサ6を迂回する過給圧迂回機構24が設けてある。この過給圧迂回機構24は、コンプレッサ6の上流と下流とを連通可能にする吸気バイパス通路24aと、その吸気バイパス通路24aを開閉する吸気バイパス弁たるABV24b(エアバイパスバルブ)とを備えている。減速時には、過給圧を下げるとともに、EGR率を下げて失火を防止するようにしている。
【0019】
また、本実施形態では、エアクリーナ7を介して吸気通路2に流入する新気に排気ガスを混合するためのEGR装置25を、吸気通路2と排気通路3との間に連通させて設けている。すなわち、EGR装置25は、吸気通路2と排気通路3とが選択的に連通される排気ガス再循環管路(以下、EGR管路26と称する)と、そのEGR管路26に設けられてEGR管路26を通過するか、または再循環させる排気ガス(EGRガス)の量を制御する排気ガス再循環制御弁(以下、EGR弁27と称する)と、このEGR弁27の上流に設けられEGRガスを水冷するEGRクーラ28とを備えて構成される。EGR管路26は、排気通路3の三元触媒20より下流の部位と、吸気通路2の吸気絞り弁8より下流でコンプレッサ6より上流の部位とを連通する。EGR弁27は、ECU33により制御されている。さらに本実施形態では、連続可変バルブタイミング機構(以下、VVT29と称する)を具備する。このVVT29は、図示しないクランクシャフトの回転に対して排気弁を常に一定のタイミングで開閉させつつ、吸気弁のバルブタイミングを変化させて、排気弁のバルブタイミングと吸気弁のバルブタイミングとの相対位相差を所定角度範囲内で自在に変化させることができる。VVT29の制御は、ECU33により行う。また本実施形態では、エンジン100のクランクケース内のクランク室及びシリンダヘッドカバー内のカム室で発生するブローバイガスを吸気通路2に送り出すためのブローバイガス還流装置30も備えている。このブローバイガス還流装置30は、PCV通路31と、ブローバイ通路32とを要素とする。具体的には、ブローバイ通路32の一端を、吸気通路2におけるコンプレッサ6の上流側、より正確には吸気絞り弁8の上流側の所定箇所に接続している。
【0020】
そして本実施形態では上述した通り、燃料タンク42内に発生した燃料蒸気はキャニスタ13に吸着され、エンジン100が始動された後にパージVSV14を介して吸気通路2に導入されるように構成している。具体的には、キャニスタ13は活性炭13aの両側にそれぞれ燃料蒸気室13bと大気室13cとを有している。燃料蒸気室13bは一方では燃料タンク42に連結され、他方では吸気通路2側に連結される。燃料タンク42内で発生した燃料蒸気はキャニスタ13内に送り込まれて活性炭13aに吸着される。パージVSV14が開弁するとキャニスタ13に吸気負圧が導かれる。斯かる吸気負圧によって空気が大気室13cから活性炭13a内を通って吸気通路2側に送り込まれる。空気が活性炭13a内を通過する際に活性炭13aに吸着されている燃料蒸気が活性炭13aから脱離され、斯くして燃料蒸気を含んだ空気、即ちベーパが吸気通路2側にパージされる。このようにして、燃料タンク42内の燃料蒸気は大気に放出されることなく吸気通路2側に導かれる。
【0021】
ECU33は、
図2に概略的に示すように、CPU33a、RAM33b、ROM33c、フラッシュメモリ33d、I/Oインタフェース33e等を包有するマイクロコンピュータシステムである。I/Oインタフェース33eには、空気流量を検出するためのエアフローメータ34から出力される空気流量信号a、車速を検出する車速センサ35から出力される車速信号b、エンジン回転数を検出する回転数センサ36から出力される回転数信号c、スロットルバルブ開度を検出するスロットルポジションセンサ37から出力されるスロットル開度信号d、吸気通路2内の吸気圧(過給圧)を検出する圧力センサ38から出力される吸気圧信号e、吸気通路2内の吸気温を検出する吸気温センサ39から出力される吸気温信号f、冷却水温を検出する水温センサ40から出力される水温信号g、燃圧を検出する燃圧センサ41から出力される燃圧信号h、空燃比センサ21から出力される空燃比信号i、リアO
2センサ22から出力される電圧信号j等が入力される。また、I/Oインタフェース33eからは、燃料噴射弁16に対して燃料噴射信号p、点火プラグ15(のイグニッションコイル)に対して点火信号q、VVT29(のオイルコントロールバルブ)に対して開閉タイミング信号r、そして上述したパージVSV14に対してエバポパージデューティ信号s等を出力する。
【0022】
各種制御用のプログラムは、ROM33c又はフラッシュメモリ33dに格納されており、そのプログラムがRAM33bに読み込まれCPU33aによって解読される。CPU33aは、エンジン100の運転制御に必要な各種信号a、b、c、d、e、f、g、h、i、jをI/Oインタフェース33eを介して取得し、それら信号が示す情報に基づいて吸入空気量や要求燃料噴射量、点火時期、開閉弁時期、EGR弁25bの開度等を演算する。そして、演算結果に対応した各種制御信号p、q、r、sをI/Oインタフェース33eを介して印加する。
【0023】
しかして本実施形態では、ECU33は、所定の条件下でパージをカットし、パージカットからのパージ再開時に、徐々にパージ流量を増加させるパージ制御量の増加率θをパージカット時間Δtが短いほど大きくするものとしている。
【0024】
続いて、燃料カット時のパージ制御量の制御について
図3を参照して説明する。
【0025】
パージ実行条件OKフラグxprgigの値並びにパージ実行フラグxprgの値が1となる場合にパージが実行される。そして運転中において燃料カット時、或いは過給時では、パージ実行条件OKフラグxprgigの値並びにパージ実行フラグxprgの値が0となる。斯かる場合ECU33はI/Oインタフェース33eを介してエバポパージデューティ信号sを印加することによりパージVSV14を閉じることでパージカットを行う。
【0026】
ここで、本実施形態で行っている空燃比フィードバック制御は、パージ導入時に空燃比がリッチとなるとECU33はI/Oインタフェース33eを介して燃料噴射信号pを印加することにより燃料噴射量を減じるようにしている。加えて、パージ導入時の空燃比が所定値よりもリッチとなり制御が間に合わなくなると、パージの導入量を一時的に減じるよう設定されている。すなわちパージ導入時には一時的に過度の燃料蒸気が導入されないようにする必要がある。また本実施形態ではパージ流量は、パージVSV14の弁開度のみならず、圧力センサ38から出力される吸気圧信号eに基づいた吸気圧をも勘案して推算される。これは、キャニスタ13から吸気通路2へ導く吸気負圧の高低によってパージが吸気通路2側に送り込まれる量が変化するからである。なお本実施形態では、パージガス内の燃料蒸気の量が一定以上であると空燃比フィードバック制御の応答性が失われる可能性が高くなるため、パージ供給量の最大値を予め所定の値に設定している。
【0027】
そして同図に示すように、燃料カット等が終了する等により、パージ実行条件OKフラグxprgigの値並びにパージ実行フラグxprgの値が再び1となると、パージを再開する。
【0028】
パージが再開されると、パージカットした時間Δtに応じて決定されたパージ制御量の増加率θに基づいて徐々にパージ量が増量されていく。すなわち、パージカットした時間が最も短いΔtaとした場合、図示の通りパージ制御量の増加率θは最も大きいθaとする。これはキャニスタ13に吸着されている燃料蒸気の量は比較的少ないと予想されるため、パージ制御量の増加率θを大きくしても空燃比がリッチとなり難いからである。一方パージカットした時間が最も長いΔtcとした場合には、キャニスタ13に吸着されている燃料蒸気の量は比較的多いと予想されるため、パージ制御量の増加率をθaよりも低い値であるθcとして、空燃比が過リッチとなることを有効に回避している。また本実施形態では、パージカットした時間Δtが上記ΔtaとΔtcとの中間であるΔtbであった場合には勿論、パージ制御量の増加率もθaとθcとの中間に設定している。これらパージカットした時間Δtの長短に伴うパージ制御量の増加率θの変化は、段階的なものであっても、無段階なものであっても良い。
【0029】
しかる後、上記パージ再開により、パージ流量がパージカット時の量に到達すると、パージ制御量の増加率θは、パージカットした時間ΔtがΔta、Δtb又はΔtcの何れであった場合でも、所定のパージ制御量の増加率であるθdとなるようにしている。なお同図では一例として、前記所定のパージ制御量の増加率θdを、θcと同じ増加率としている場合を図示している。これにより、特にパージカットした時間ΔtがΔta又はΔtbである場合には、パージカット時から過度に蒸発燃料が吸気通路側2に導入されることによる空燃比の過リッチ化を有効に回避している。
【0030】
以上のような構成とすることにより、本実施形態では、パージカットからのパージ再開時に、徐々にパージ流量を増加させるパージ制御量の増加率θをパージカット時間Δtが短いほど大きくするようにしているので、パージカット時間Δtが短いときはパージ再開時におけるキャニスタ13内の状態がパージカット開始時と大きく変わっていないことからパージ制御量の増加率θを大きくすることで早急にパージ制御量をパージカット開始時の状態として有効にパージを確保し得るとともに、パージカット時間Δtが長かったときはパージガス濃度すなわちパージ内の蒸発燃料の量が濃くなっていることからパージ再開時に空燃比が過リッチとなってしまう不具合を有効に回避することができる。これにより、パージする頻度が少ないときであっても、空燃比が過度にリッチとなることを回避しつつ必要なパージ流量を確保し得る。
【0031】
また本実施形態では、パージ制御量の増加率θをパージカット時間Δtが短いほど大きくする制御を、パージ制御量が前回のパージカット開始時におけるパージ制御量に到達するまでとし、パージ制御量が前回のパージカット開始時のそれを超えた場合にはそれまでのパージ制御量の増加率θa、θb及びθc以下の値、詳細にはθcに等しい値であるθdとしている。これにより、パージ制御量の増加率θを大きくしパージカット前に既に設定されたパージ制御量まで早急にパージを増加させた後に空燃比が過リッチとなるという不具合を有効に回避している。
【0032】
以上、本発明の実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0033】
例えば、上記実施形態では過給機すなわちターボチャージャを備えたエンジンに本発明を適用する態様を開示したが、勿論、ターボチャージャを備えていないエンジンとしたものであってもよい。また空燃比制御の具体的な態様やパージ制御量の具体的な推定方法は上記実施形態のものに限定されることはなく、既存のものを含め、種々の態様のものを適用することができる。
【0034】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、蒸発燃料をキャニスタに蓄え、運転状態に応じて吸気系に放出して処理する内燃機関の制御装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0036】
100…内燃機関(エンジン)
13…キャニスタ
2…吸気通路