(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5769421
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】羅漢果抽出物及びスクラロースを含有する低カロリー飲料組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 2/00 20060101AFI20150806BHJP
A23L 2/02 20060101ALI20150806BHJP
A23L 2/38 20060101ALI20150806BHJP
A23L 1/304 20060101ALI20150806BHJP
A23L 1/30 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
A23L2/00 G
A23L2/02 Z
A23L2/38 B
A23L1/304
A23L1/30 B
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2010-535816(P2010-535816)
(86)(22)【出願日】2009年10月28日
(86)【国際出願番号】JP2009068508
(87)【国際公開番号】WO2010050510
(87)【国際公開日】20100506
【審査請求日】2012年8月23日
(31)【優先権主張番号】特願2008-276625(P2008-276625)
(32)【優先日】2008年10月28日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2008-292538(P2008-292538)
(32)【優先日】2008年11月14日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000206956
【氏名又は名称】大塚製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高市 晶久
【審査官】
鳥居 敬司
(56)【参考文献】
【文献】
特表2004−520072(JP,A)
【文献】
国際公開第2007/061858(WO,A1)
【文献】
特開2000−004852(JP,A)
【文献】
特開昭52−041273(JP,A)
【文献】
特開2006−340612(JP,A)
【文献】
特表平08−508638(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0098867(US,A1)
【文献】
特開平05−276904(JP,A)
【文献】
特開2005−110649(JP,A)
【文献】
特開平10−248501(JP,A)
【文献】
清涼飲料水(バイタロンX)の容器の写真
【文献】
伊藤汎編, 食品と甘味料, 2008, 初版, 株式会社光琳発行, p.258-261
【文献】
食品と容器, 2003, Vol.44, No.11, p.620-624
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/00−2/84
A23L 1/00−1/48
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
WPIDS/WPIX(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
21〜23mEq/lのナトリウムイオン、4.5〜6mEq/lのカリウムイオン、0.5〜1mEq/lのマグネシウムイオン、1〜2mEq/lのカルシウムイオン、16.5〜22mEq/lの塩化物イオン、有機酸イオン、8〜16mg/lの羅漢果抽出物(乾燥重量換算)、及び18〜24mg/lのスクラロースを含む、低カロリー飲料組成物。
【請求項2】
有機酸イオンが、クエン酸、乳酸、L-グルタミン酸、コハク酸、アスパラギン酸、アルギン酸、リンゴ酸、グルコン酸、及びフマル酸から成る群から選択される1種以上の有機酸の塩に起因する、請求項1記載の低カロリー飲料組成物。
【請求項3】
有機酸の塩が、飲料組成物1000ml当たり、1000〜2000mgの割合で配合されている、請求項1又は2に記載の低カロリー飲料組成物。
【請求項4】
21〜23mEq/lのナトリウムイオン、4.5〜6mEq/lのカリウムイオン、0.5〜1mEq/lのマグネシウムイオン、1〜2mEq/lのカルシウムイオン、16.5〜22mEq/lの塩化物イオン、有機酸イオン、6〜16mg/lの羅漢果抽出物(乾燥重量換算)、及び18〜24mg/lのスクラロースを含むように、無機電解質、有機酸、羅漢果抽出物、及びスクラロースを水に配合することを特徴とする、低カロリー飲料組成物の製造方法。
【請求項5】
有機酸イオンが、クエン酸、乳酸、L-グルタミン酸、コハク酸、アスパラギン酸、アルギン酸、リンゴ酸、グルコン酸、及びフマル酸から成る群から選択される1種以上の有機酸の塩に起因する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
有機酸の塩を、飲料組成物1000ml当たり、1000〜2000mgの割合で配合することを含む、請求項4又は5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低カロリー飲料組成物に関する。より詳細には、本発明は、無機電解質に起因する苦味や渋み等の好ましくない味を、高甘味度甘味料であるスクラロースと羅漢果抽出物とを配合させることによって解消した、すっきりとした甘味を呈する低カロリー飲料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
スポーツ等により発汗して失われた水分及び電解質を補給する為の飲料組成物として低カロリースポーツドリンクが知られている。これらの低カロリー飲料組成物は、発汗により失われるNa
+、K
+、Mg
2+、Ca
2+等の陽イオン及びCl
−やリン酸イオン等の陰イオンを補給する為に、無機電解質や有機酸を含有している。しかし、失われた陽イオン及び/又は陰イオンを補給するために必要な量の無機電解質を飲料に配合した場合、苦味、塩味、渋味等の好ましくない味を生じ、また飲んだ後の後味が悪いという問題がある。
【0003】
このような無機電解質を含有する飲料の好ましくない呈味を緩和するために、従来各種の甘味料が添加されている。このような甘味料としては、美味しさの観点からショ糖が最も好まれるが、その添加量が多くなると、カロリーの増大が問題となる。そこで、ショ糖に代えてスクラロース、アスパルテーム、アセスルファムカリウム等の高甘味度甘味料の使用も検討されていた。しかし、これらの甘味料は、ショ糖に比べて甘味の質が劣る。また、例えば、アスパルテームは酸性飲料中では不安定であり、3ヶ月程で甘味が低下してしまうという問題もある。このような理由から、高甘味度甘味料を使用しても依然として無機電解質による好ましくない呈味を十分に解消した飲料組成物は開発されていなかった。
【0004】
天然由来の高甘味度甘味料の1つとして羅漢果抽出物が知られている。羅漢果は、学名「グロスベノリ・スウイングル(Grosvenori Swingle)」という中国の広西省桂林地区周辺で生育するウリ科の多年生植物の実である。羅漢果抽出物の甘味成分は、「モグロシド」という配糖体であり、ショ糖と比較して約300倍以上の甘味を有する。羅漢果抽出物には、高い甘味度に加え、抗酸化作用、抗動脈硬化作用、発癌抑制作用、抗アレルギー作用、及び抗糖尿病作用があることが報告されている(非特許文献1)。近年、この羅漢果抽出物を配合した飲料が提案されている(特許文献1−3)。
【0005】
しかしながら、無機電解質の苦味、塩味、渋味などの好ましくない呈味を高甘味度甘味料を配合することによって十分に解消した低カロリー飲料組成物は従来開発されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−4852号公報
【特許文献2】特開2008−148号公報
【特許文献3】WO2006/005011
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Foods Food Ingredients J.Jpn.,Vol.210,No.3,p.244−254,2005
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、無機電解質を含有する飲料が有する苦味、塩味、及び渋味を解消した、すっきりとした甘味を有する低カロリー飲料組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる現状に鑑みて、本発明者らは、日夜検討を重ねた結果、苦味、塩味、及び渋みといった好ましくない味を呈する無機電解質及び有機酸を含有する飲料に、羅漢果抽出物及びスクラロースを組み合わせて配合することによって、驚くべきことに、無機電解質に起因する好ましくない呈味が飛躍的に改善されることを見出した。さらに、本発明者らは、無機電解質及び有機酸と羅漢果抽出物とを組み合わせることによって、羅漢果抽出物による抗酸化作用、抗動脈硬化作用、発癌抑制作用、抗アレルギー作用、及び抗糖尿病作用を損なうことなく、カロリーを低く抑えた飲料を提供することができることを見出した。更に、上記成分の組合せを含む飲料は、経時的にも安定で、長期間の保存にも耐え得ることも見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0010】
即ち、本発明は、以下の低カロリー飲料組成物を提供するものである。
項1. 無機電解質、有機酸、羅漢果抽出物、及びスクラロースを含有する低カロリー飲料組成物。
項2. 無機電解質がアルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩である、項1に記載の低カロリー飲料組成物。
項3. 無機電解質が、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、及び塩化物イオンを供給できる電解質である、項1に記載の低カロリー飲料組成物。
項4. 無機電解質が、飲料組成物1000ml当たり、無機陽イオンと無機陰イオンが総量で30〜80mEqとなるように含まれている、項1に記載の低カロリー飲料組成物。
項5. 有機酸が、クエン酸、乳酸、L-グルタミン酸、コハク酸、アスパラギン酸、アルギン酸、リンゴ酸、グルコン酸、及びフマル酸から成る群から選択される1種以上である、項1記載の低カロリー飲料組成物。
項6. 有機酸が、飲料組成物1000ml当たり、1000〜2000mgの割合で含まれている、項1に記載の低カロリー飲料組成物。
項7. 羅漢果抽出物が、飲料組成物1000ml当たり、乾燥重量で5〜30mgの割合で含まれている、項1に記載の低カロリー飲料組成物。
項8. スクラロースが、飲料組成物1000ml当たり、乾燥重量で16〜26mgの割合で含まれている、項1に記載の低カロリー飲料組成物。
項9. スクラロース100重量部当たり、羅漢果抽出物が乾燥重量換算で50〜80重量部の比率で含まれる、項1に記載の低カロリー飲料組成物。
項10. 陰イオン無機電解質と陽イオン無機電解質が総量で55〜59mEq/l、有機酸が1000〜2000mg/l、羅漢果抽出物(乾燥重量換算)が8〜16mg/l、及びスクラロースは18〜24mg/lの割合で含まれる、項1に記載の低カロリー飲料組成物。
項11. ナトリウムイオンが21〜23mEq/l、カリウムイオンが4.5〜6mEq/l、マグネシウムイオンが0.5〜1mEq/l、カルシウムイオンが1〜2mEq/l、塩化物イオンが16.5〜22mEq/l、羅漢果抽出物(乾燥重量換算)が6〜16mg/l、スクラロースが18〜24mg/lの割合で含まれる、項1に記載の低カロリー飲料組成物。
項12. 無機電解質、有機酸、羅漢果抽出物、及びスクラロースを水に配合することを特徴とする、低カロリー飲料組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、羅漢果抽出物が有する抗酸化作用、抗動脈硬化作用、発癌抑制作用、抗アレルギー作用、及び抗糖尿病作用を損なうことなく、無機電解質が有する渋味、塩味、苦味といった好ましくない味を解消した、すっきりとした飲み易い甘味を有する低カロリー飲料組成物が提供される。
【0012】
また、本発明の飲料は、長期間保存しても、羅漢果抽出物を安定に保持でき、その結果、優れた呈味や風味自体も維持させることができるので、流通や保存の段階で、呈味の悪化を招くことなく、実用性の観点からも優れている。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の低カロリー飲料組成物に配合される無機電解質は、発汗により失われる無機電解質陽イオン及び陰イオンを補給するための成分である。無機電解質陽イオンとしては、例えば、Na
+、K
+、Mg
2+、Ca
2+を挙げることができ、無機電解質陰イオンとしては、例えば、Cl
−やリン酸イオンを挙げることができる。よって、無機電解質としては、水溶液中に前記のような無機電解質陽イオン及び/又は無機電解質陰イオンを遊離した状態で存在させることができる、食品衛生上問題のない物質であれば特に制限なく使用することができる。
【0014】
具体的な無機電解質としては、例えば、ナトリウム及びカリウム等のアルカリ金属の無機塩、並びにマグネシウム及びカルシウム等のアルカリ土類金属の無機塩が挙げられる。無機塩としては、例えば、塩化物塩やリン酸塩が挙げられる。より具体的な無機電解質としては、例えば、NaCl、KCl、MgCl
2、MgCO
3、CaCl
2、CaSO
4、Na
2SO
4、K
3PO
4、Ca
3[PO
4]
2、K
2HPO
4、KH
2PO
4、CaHPO
4等を例示することができる。
【0015】
これらは、単独で使用してもよく、数種類を組み合せて使用してもよい。好ましくは、アルカリ金属陽イオンとアルカリ土類金属陽イオンの双方を飲料中に供給することができるように、2種以上の無機電解質を組み合わせて使用することがよい。無機電解質は、無機電解質陽イオンと共に無機電解質陰イオンとしての塩素イオン、リン酸イオンなども補給できるように、その組合せを考慮して適当な塩の形態で配合することが好ましい。例えば、ナトリウムイオンとカリウムイオンとマグネシウムイオンと塩化物イオンの組合せ、又はナトリウム塩とカリウムイオンとカルシウムイオンと塩化物イオンの組合せ;好ましくは、ナトリウムイオンとカリウムイオンとマグネシウムイオンとカルシウムイオンと塩化物イオンの組合せを供給できるように、本発明に使用される無機電解質を設定することが望ましい。
【0016】
本発明の飲料組成物に配合される有機酸としては、飲料の用途で通常使用される有機酸であれば特に制限なく使用することができる。具体的には、クエン酸、乳酸、L−グルタミン酸、コハク酸、アスパラギン酸、アルギン酸、リンゴ酸、グルコン酸、フマル酸等を挙げることができる。これらの中でも、クエン酸及びグルコン酸は、カロリー飲料組成物の呈味をより一層向上できるので、本発明において好適に使用される。有機酸は、遊離酸の形態で使用してもよく、上記アルカリ金属又はアルカリ土類金属との塩の形態で使用してもよい。有機酸とアルカリ金属との塩の形態で飲料に配合することにより、有機酸と無機電解質陽イオンとを同時に飲料に供給することが可能である。このような有機酸塩としては、例えば、クエン酸ナトリウム、クエン酸カルシウム、乳酸ナトリウム、乳酸カルシウム、コハク酸ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、L−グルタミン酸ナトリウム、アスパラギン酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、グルコン酸カルシウム等を挙げることができる。
【0017】
本発明の飲料組成物は、含有させる電解質イオン及び有機酸の濃度及び種類に応じて、配合する電解質及び有機酸の量及び種類を適宜選択すればよい。
【0018】
本発明の飲料組成物に配合される羅漢果抽出物は、ウリ科の多年生植物の果実から抽出される公知の甘味料である。羅漢果抽出物は、市場において商業的に入手可能であり、それらを特に制限なく使用することができる。また、羅漢果抽出物は、羅漢果の果実から常法に従って製造することもできる。例えば、羅漢果抽出物は、水やエタノール等の溶媒を用いて羅漢果の果実から抽出して得ることができる。抽出に際して予め、羅漢果の果実の洗浄、破砕、粉砕、細切、脱脂、発酵等を必要に応じて組み合わせて行うこともできる。また抽出後は、ろ過、濃縮、乾燥等の処理をして粉末状の羅漢果抽出物を得ることもできる。
【0019】
羅漢果抽出物には、通常、モグロシドV、モグロシドIV、11−オキソ−モグロシドV、及びシアメノシドIといった甘味成分である配糖体が含まれる。
【0020】
本発明の飲料組成物に配合されるスクラロースは、砂糖の約600倍の甘味を呈する甘味料(4,1',6'-トリクロロ-4,1’,6’‐トリデオキシガラクトスクロース)である。スクラロースは、商業的に入手可能であり、それらを本発明の飲料組成物に配合することができる。
【0021】
無機電解質は、発汗によって失われる無機電解質陽イオン及び陰イオンを補給するために必要な量を適宜飲料組成物に配合することが出来る。無機電解質は、無機陽イオンと無機陰イオンが総量で、飲料組成物1000ml当たり、好ましくは10〜80mEq程度、より好ましくは40〜60mEq程度となるように配合される。より具体的には、無機陽イオンが、飲料組成物1000ml当たり好ましくは10〜40mEq程度、より好ましくは20〜30mEq程度であり、無機陰イオンが、飲料組成物1000ml当たり好ましくは10〜40mEq程度、より好ましくは20〜30mEq程度となるように配合される。
【0022】
有機酸は、甘味とのバランスを考慮して、後味を良くするために適当な量が配合される。一実施形態において、有機酸成分は、好ましくは飲料組成物1000ml当たり乾燥重量で1000〜2000mg、より好ましくは1200〜1800mgの割合で配合される。
【0023】
羅漢果抽出物の配合量は、無機電解質による苦味、渋味、塩味、及び好ましくない後味を低減することができる限り特に制限されず、飲料に求められる甘味に応じて適宜決定することができる。羅漢果抽出物は、飲料組成物1000ml当たり、乾燥重量で、好ましくは5〜30mg、より好ましくは6〜25mg配合する。
【0024】
スクラロースは、飲料の甘味及び羅漢果抽出物の配合量を考慮して適宜決定することが出来る。好ましくは、スクラロースは、飲料組成物1000ml当たり、16〜26mg、より好ましくは18〜22mg配合される。
【0025】
また、羅漢果抽出物とスクラロースの比率については、特に制限されるものではないが、より飲み易い甘味を有し、且つより良好な呈味を有する低カロリー飲料組成物を提供するためには、スクラロース100重量部当たり、羅漢果抽出物(乾燥重量換算)が50〜80重量部、好ましくは60〜75重量部を充足していることが望ましい。
【0026】
無機電解質、有機酸、羅漢果抽出物、及びスクラロースを上記の配合割合を満たす範囲で配合する限り、低カロリーで且つすっきりとした甘味を呈する飲料組成物を調製することができるが、一実施形態においては、以下の組成を満たすことによって、より飲み易い甘味を有する低カロリー飲料組成物とすることができる。そのような組成とは、具体的には、無機電解質(陰イオンと陽イオンの総量)55〜59mEq/l、有機酸1000〜2000mg/l、羅漢果抽出物(乾燥重量換算)6〜16mg/l、及びスクラロース18〜24mg/l;
好ましくは、無機電解質陽イオン26〜30mEq/l、無機電解質陰イオン26〜30mEq/l、羅漢果抽出物(乾燥重量換算)10〜14mg/l、スクラロース18〜24mg/l;
更に好ましくは、ナトリウムイオン21〜23mEq/l、カリウムイオン4.5〜6mEq/l、マグネシウムイオン0.5〜1mEq/l、カルシウムイオン1〜2mEq/l、塩化物イオン16.5〜22mEq/l、羅漢果抽出物(乾燥重量換算)6〜16mg/l、スクラロース18〜24mg/l
が例示される。
【0027】
本発明の飲料組成物は、上記羅漢果抽出物を配合することにより、ショ糖等の糖分の使用量を少なくすることができるため、当該飲料組成物に含まれるカロリーを大幅に低減することができる。本発明の飲料組成物は、100ml当たり、好ましくは、11kcal以下であり、より好ましくは10kcal以下である。
【0028】
本発明の飲料組成物は、上記の各成分の他に、カロリーを低く維持し、無機電解質、有機酸、羅漢果抽出物、及びスクラロースの組合せによって緩和された渋味や苦味などを維持する限り、飲料組成物に通常添加される各種の成分を特に制限なく添加することができる。他の成分としては、例えば、果汁(グレープフルーツ、リンゴ、オレンジ、レモン、パイナップル、バナナ、ナシ等の果汁)ビタミン類(例えば、ビタミンA、ビタミンB2、ビタミンB6、パントテン酸、ニコチン酸、ビタミンC等)、香料(バニリン、リナロール、天然香料等)、安定化剤、各種アミノ酸、食物繊維(グアーガム、ポリデキストロース、難消化デキストリン、ペクチン、セルロース等)、糖類(グルコース、フルクトース等の単糖類、蔗糖(白糖を含む)、マルトース、乳糖などの二糖類、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖等のオリゴ糖類等)、糖アルコール(エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール等)を例示することができる。
【0029】
本発明の低カロリー飲料組成物は、飲料用に適した水に、上記の無機電解質、有機酸、羅漢果抽出物、及びスクラロース、並びに、必要に応じて他の甘味料やビタミン類などを添加して調合し製造することができる。各成分の調合後、本発明の飲料組成物は、必要に応じて、脱気、殺菌を行い、冷却して、容器に充填される。
【0030】
本発明の低カロリー飲料組成物は、すっきりとした甘味で飲み易く、発汗で失う各種の無機電解質を供給することができるため、風呂上りや運動後に摂取する清涼飲料やスポーツドリンクに適している。また、本発明の低カロリー飲料組成物は、炭酸飲料のさわやかな喉越しを供給するために炭酸飲料とすることもできる。また、本発明の飲料組成物は、抗酸化作用、抗動脈硬化作用、発癌抑制作用、抗アレルギー作用、及び抗糖尿病作用を損なうものではないため、一般食品の他に、病者用、機能性、又は特定保健用食品としても有用である。
【実施例】
【0031】
以下、本発明を実施例に基づいて、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下に示す実施例では、羅漢果抽出物については、入手元はDAMIN国際グループ 長興実業株式会社、製造元はDAMIN社(中国、アモイ)、製品番号はFD羅漢果濃縮パウダーJFL-038を使用した。
【0032】
実施例:官能評価
下記の表1に記載の各成分を水1000mlに配合して、飲料を作製した。
【0033】
【表1】
【0034】
作成した実施例1〜3並びに比較例1に飲料を10名のパネラーに試飲して貰い、下記の表2に示す評価基準に従って、苦味、渋味、塩味、後味について評価し、飲料としての飲み易さや美味しさに関する総合評価を得た。評価結果を表3に示す。
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】
表3に示される結果から明らかなように、本発明の低カロリー組成物に相当する実施例1〜3の飲料は、無機電解質と羅漢果抽出物及びスクラロースとを含有することにより、無機電解質に固有の苦味、渋味、塩味といった好ましくない味が飛躍的に改善されることが分かる。この結果から、本発明の飲料組成物は、無機電解質、有機酸、羅漢果抽出物、及びスクラロースとを組み合わせることによって、すっきりとした甘味を有する従来にない呈味を有する飲料組成物であることが示された。
【0038】
実施例:安定性評価
下記の表4に記載の各成分を水1000mlに配合して、飲料(実施例4)を作製した。作製した飲料を、50℃遮光条件、37℃遮光条件、25℃遮光条件、室温遮光条件、4℃遮光条件、及び室温日光照射条件で、それぞれ保存を行い、保存前後での羅漢果抽出物の残存率(保存前の羅漢果抽出物の量を100%として算出)を測定した。
【0039】
【表4】
【0040】
得られた結果を表5に示す。この結果から、本発明の飲料組成物は、羅漢果抽出物を長期間安定に保持することができることが確認され、飲料を市場に提供する際の輸送や保存に十分耐えうる安定性を備えていることが確認された。
【0041】
【表5】