(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記管状の外側層を配置するステップは、前記管状の外側層を前記内側ライナーと前記ステアリングワイヤアセンブリを覆うように管状の外側層を押し出すステップを含む、請求項1に記載の方法。
前記管状の外側層を配置するステップは、前記管状の外側層を前記内側ライナーと前記ステアリングワイヤアセンブリを覆うように管状の外側層を押し出すステップを含む、請求項11に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
本発明は、一般的に、人体内において用いられるカテーテルに関する。より詳細には、本発明は、ステアブルカテーテルに向けられる。前記ステアブルカテーテルは、前記カテーテルの外側寸法全体を低減するためのフラットプルワイヤと、編組フラットワイヤで構成されたトルク転送層とを用い、かつ、より高い強度、可撓性および耐キンク性を提供するように構成される。
【0003】
カテーテルを用いた手術は、かつてない勢いで増加している。例えば、カテーテルは、少し例を挙げるだけでも、診断、治療およびアブレーション手術において用いられている。典型的には、カテーテルは、患者の血管系を通じて目標部位(例えば、患者の心臓内の部位)へと操作される。カテーテルは典型的には、アブレーション、診断などに用いられ得る1つ以上の電極を搬送する。
【0004】
多くの先行技術のカテーテルでは、プルワイヤとしてラウンドワイヤが用いてられており、これらのワイヤでは典型的には、プルワイヤおよび前記プルワイヤが内部を通過するルーメンが実質的に同一サイズとなるように前記ワイヤを直接カテーテル壁内に埋設するか、または、ラウンドワイヤを用いてプルワイヤルーメンを生成した後、より小型のワイヤをプルワイヤとして前記ルーメン内に配置する。これらの従来の技術および方法の場合、得られるカテーテルの外形は楕円形となる。楕円形カテーテルの一例については、米国特許第6,582,536号に開示および教示がある。本明細書中、同文献の内容を参考のため援用する。
【0005】
カテーテルの通る通路がより小型になってくるにつれ、外側寸法がより小さなカテーテルを使用する必要性が高まっている。そのため、断面がより小さなステアブルカテーテルの使用が必要とされている。
【0006】
診断または治療用カテーテルを患者内の目標位置へと配置する作業を容易にするために、前記カテーテルを別のカテーテルを通じて導入することができることが公知である。このような別のカテーテルは「ガイディングカテーテル」または「イントロデューサカテーテル」として一般的に公知であり、本明細書中、これらの用語を同義に用いる。一般的に言うと、イントロデューサカテーテルとは、高レベルの方向制御が可能な管であり、方向制御がほとんど不可能な他のカテーテルを患者身体の特定領域へと配置するために用いられる。
【0007】
心臓アブレーションの分野において、例えば、イントロデューサカテーテルを用いて患者の血管系内を通り抜けることで、アブレーション機器を患者の血管系内を通過させて配置し、不整脈を発生している心臓組織をアブレーションすることができる。イントロデューサカテーテルそのものを、ガイドワイヤを介して進行させてもよい。
【0008】
一般的に、イントロデューサカテーテルの外径は、イントロデューサカテーテル内を通過するアブレーション機器を収容できるくらいの大きさの内径(または「ボアサイズ」)を保持しつつ、血管を通りぬけることができるくらいに小さくなければならないことが知られている。さらに、患者体内の経路は長く蛇行していることが多いため、比較的長距離にわたって操舵力を伝達できなければならない。そのため、イントロデューサカテーテルの近位端に付与された力を介してイントロデューサカテーテルが患者血管系内を通過できるような十分な軸強度(「プッシャビリティ(pushability)」)をイントロデューサカテーテルに持たせることが望ましい。また、近位端に付与されたトルクを遠位端に伝達できること(「トルク性(torqueability)」)もイントロデューサカテーテルに望まれている。イントロデューサカテーテルの可撓性は、当該イントロデューサカテーテルが患者の血管系に実質的に適合しかつ当該血管系の捩れに耐えることを可能にするものでなければならない。当業者であれば、これらの多様な特性は互いに緊張関係にあるため、片方が向上すると他方に妥協を来すことになること、を認識するであろう。例えば、所与の外径を有するイントロデューサカテーテルのボアサイズを大きくするには、より肉薄の壁が必要となる。しかし、肉薄の壁のイントロデューサの場合、その近位端にトルクが付加されると、イントロデューサ自体が座屈する可能性が高くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
プッシャビリティ、トルク性、可撓性および耐キンク性を向上させるために、多くの現存のイントロデューサカテーテルの構造において、1つ以上の強化層が用いられている。例えば、Jaraczewskiらに付与された米国特許第4,817,613号(「Jaraczewski」)において開示されているガイディングカテーテルの場合、一対の編組トルク伝達層が可撓性管状部材と可撓性プラスチックケーシングとの間に設けられ、この可撓性プラスチックケーシングは、粘着性物質として付加された後、硬化される。しかし、Jaraczewskiは、可撓性を得ようとするとトルク性が或る程度犠牲になる点についても、教示している。さらに、トルク転送層の厚さに応じて壁厚さを増加することで、所与のボアサイズに合わせてイントロデューサカテーテルの外径を増加するかまたは所与の外径に合わせてボアサイズを低減することができる。
【0010】
多くの現存の大型ボアイントロデューサ(すなわち、ボアサイズが約6フレンチよりも大きいイントロデューサカテーテル)の場合、プッシャビリティ、トルク性、可撓性および耐キンク性間の適切なバランスをとるために、比較的高剛性の外側層が設けられており、この外側層に起因して、トルク性、耐キンク性、およびプッシャビリティのための可撓性に妥協が発生する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の実施形態によれば、カテーテルアセンブリは、可撓性材料で構成された内側ライナーおよびステアリング機構を有する外側層を含む。前記ステアリング機構は、少なくとも1つのフラットワイヤと、前記少なくとも1つのフラットワイヤそれぞれに対する対応するルーメンとを含み、前記対応するルーメンを通じて、前記フラットワイヤを移動させることができる。必要に応じて、前記カテーテルアセンブリは、外側層を包含する熱収縮材料層、中央ルーメン、および/または前記外側層内に含まれる編組ワイヤアセンブリを含み得る。前記カテーテルアセンブリの断面全体は、略円形であり得る。前記外側層は典型的には溶融加工ポリマーを含み、これにより、熱を用いて前記カテーテルアセンブリを積層することができる。
【0012】
必要に応じて、前記フラットワイヤまたは複数のフラットワイヤは、予備成形管(preformed tube)内に収容されてもよく、前記予備成形管内において、前記フラットワイヤは移動してもよい。前記フラットワイヤは、矩形断面を有していてもよく、典型的にはその寸法は約X×約3Xであり、前記予備成形管の断面は、長円形、円形または楕円形であってもよい。すなわち、前記予備成形管の断面形状は、前記予備成形管内に配置された前記フラットワイヤの断面と異なる形状であってもよい。前記フラットワイヤは滑性物質でコーティングされていてもよく、これにより前記フラットワイヤはそのルーメン内でスライドすることができ、あるいは、前記フラットワイヤを必要に応じて平滑面で製造することで、前記フラットワイヤとそのルーメンとの間の摩擦を低減することもできる。
【0013】
前記編組ワイヤアセンブリは、前記カテーテルアセンブリのベースから前記カテーテルアセンブリの遠位端へと延びていてもよく、編組密度は、前記ベースにおける第1の編組密度から前記遠位端におけるより低い編組密度へと推移していてもよい。例えば、編組密度は、前記ベースにおいて約50PPIでありかつ前記遠位端において約10PPIであってもよい。あるいは、前記遠位端における編組密度は、前記ベースにおける編組密度の約20%以上約35%以下であってもよい。
【0014】
また、カテーテルを製造する方法も開示される。前記方法は、マンドレルを提供するステップと、ライニング材料を前記マンドレル上に配置して内側ライナーを形成するステップと、少なくとも1つの平坦形状ワイヤを提供するステップと、可撓性ライナーを前記少なくとも1つの平坦形状ワイヤそれぞれの上に配置して、少なくとも1つの平坦ルーメンを生成するステップと、編組ワイヤアセンブリを前記内側ライナーおよび前記少なくとも1つの平坦ルーメン上に配置するステップと、前記編組ワイヤアセンブリを溶融加工ポリマーで被覆するステップと、前記ポリマーの温度をその融点よりも高くするために十分な熱を前記溶融加工ポリマーに付与するステップと、前記アセンブリを冷却するステップと、前記マンドレルを除去することでカテーテルを形成するステップとを含む。典型的には、前記カテーテルは、外径が約12F未満である略円形の外形を備えた断面を有するように、製造される。必要に応じて、前記溶融加工ポリマーは、シュリンクラップ管材(shrink wrap tubing)で被覆されていてもよく、これにより、前記編組ワイヤアセンブリを通じた前記ポリマーの流動を促進する。前記シュリンクラップ管材は、製造後に所定位置に配置してもよいし、あるいは、前記製造プロセスの一部として除去してもよい。前記溶融加工ポリマーは典型的には、ナイロン、Pebaxおよび他の熱可塑性エラストマーから選択される。必要に応じて、溶融加工ポリマーのさらなる層を前記平坦ルーメンおよび前記内側ライナー上に配置してもよい。典型的には、前記フラットワイヤおよび前記フラットワイヤ上に配置される前記可撓性ライナーは、それぞれ異なる断面形状を有する。
【0015】
また、ステアブルイントロデューサカテーテルの製造方法も開示される。前記方法は、マンドレルを提供するステップと、前記マンドレルをライニング材料と共に積層して内側ライナーを形成するステップと、少なくとも1つの平坦形状ワイヤを提供するステップと、前記内側ライナーおよび前記少なくとも1つの平坦形状ワイヤを溶融加工ポリマーで被覆するステップと、前記ポリマーの温度をその融点よりも高くするために十分な熱を前記溶融加工ポリマーに付与するステップと、前記アセンブリを冷却するステップと、前記マンドレルを除去することでステアブルイントロデューサカテーテルを形成するステップを含む。必要に応じて、可撓性管を前記少なくとも1つの平坦形状ワイヤそれぞれの上に配置して、前記ワイヤそれぞれに対して少なくとも1つの対応するルーメンを生成し、さらに、前記溶融加工ポリマーがシュリンクラップ管材層で被覆されていてもよい。前記編組ワイヤアセンブリは、前記ベースにおける第1の数から、先端におけるより低い数へと推移する編組密度によって特徴付けられていてもよい。編組密度は、前記ベースにおける約50PPIから前記遠位端において約10PPIの間で変動していてもよい。
【0016】
本発明の別の局面によれば、心臓外科手術のためのカテーテルまたはイントロデューサカテーテルは、管状内側ライナー、トルク転送層または強化層を含む。前記強化層は、前記内側ライナーの少なくともを一部を包囲し、前記トルク転送層は、ワイヤメッシュとして編組された少なくとも2つのフラットワイヤと、前記トルク転送層上に形成された外側シースとを含む。前記フラットワイヤは、略矩形の断面を有し、幅が少なくとも約0.007インチであり、深さが少なくとも約0.003インチである。前記管状内側ライナーは、少なくとも約6フレンチのルーメン直径を有する。特定の実施形態において、前記カテーテルはイントロデューサカテーテルである。前記管状内側ライナーはポリマーであり、前記外側シースは溶融加工ポリマーを含む。前記イントロデューサカテーテルの幅対厚さの比は、約2:1〜約5:1(2:1および5:1を含む)であってもよい。前記トルク転送層は、約5PPI以上約100PPI以下の編組密度を有し、かつ、ワンオーバー、ワンアンダーパターン、またはツーオーバー、ツーアンダーパターンに編組されていてもよい。前記外側シースは、異なる硬度特性を有する複数のセグメントを含み、前記セグメントは共にリフロー接合される。
【0017】
本発明のカテーテルアセンブリはまた、前記少なくとも2つのフラットワイヤが固定されるプルリングも含む。前記プルリングは、前記少なくとも2つのフラットワイヤそれぞれに対する溝部を有する直円柱であってもよい。典型的には、2つのフラットワイヤがあり、前記プルリングは2つの溝部を有し、前記2つの溝部は、前記プルリングの対向する側部上に間隔を空けて配置され、前記フラットワイヤはそれぞれ、レーザー溶接によって前記溝部内に固定される。前記プルリングは、少なくとも2つのフローホールをさらに含んでいてもよく、これにより、溶融加工時において、前記溶融加工ポリマーが前記フローホール内を流動した後冷却されて硬質となるため、前記外側層は前記プルリングに接着される。
【0018】
本発明のカテーテルアセンブリは、少なくとも3つのセグメントで構成されたシャフトも含んでいてもよく、各セグメントは、異なる硬度特性を有する。例えば、第1のシャフトセグメントはナイロン製であってもよく、第2のセグメントは第1のPebax(商標)製であってもよく、第3のセグメントは、第2のPebax製であってもよい。前記第2のPebaxは、前記ナイロンおよび前記第1のPebax双方よりも高い可撓性を有する。さらなるセグメントを用いて前記シャフトが形成され得、前記シャフトはそれぞれ、より高いかまたはより低い剛性を有し得る。
【0019】
また、少なくとも1つの矩形溝部および少なくとも1つのフラットプルワイヤを有するプルリングを含むカテーテル用プルリングアセンブリも開示される。前記少なくとも1つのフラットプルワイヤはそれぞれ、前記プルリングの前記少なくとも1つの矩形溝部に固定される。典型的には、前記プルリングアセンブリは、少なくとも2つの溝部と、前記溝部中に固定された少なくとも2つのフラットプルワイヤとを含む。必要に応じて、前記プルリングは、積層時に溶融加工ポリマーが流動し得るフローホールを含み得る。
【0020】
本発明のさらに別の実施形態によれば、プルリングアセンブリは、少なくとも2つの矩形溝部および少なくとも2つのプルワイヤを有するプルリングを含む。前記少なくとも2つのプルワイヤはそれぞれ、前記プルリングの前記矩形溝部に固定される。必要に応じて、前記プルリングは、積層時に溶融加工ポリマーが流動し得るフローホールを含み得る。
【0021】
本発明の技術的優位性は、カテーテルの断面全体を低減することができる点である。
【0022】
本発明の別の技術的優位性は、より高い可撓性を享受するフラットプルワイヤを用いたステアブルカテーテルを提供できる点である。
【0023】
本発明のさらに別の技術的優位性は、カテーテルのより高い可撓性および制御を可能にする、改良された編組ワイヤアセンブリを利用し得る点である。
【0024】
本発明のさらなる技術的優位性は、改良されたステアブルカテーテルの製造方法が提供される点である。
【0025】
本発明のさらに別の技術的優位性は、より高い可撓性および制御を有するカテーテルシャフトが利用可能となる点である。
【0026】
本発明のさらなる技術的優位性は、向上した操舵性を備えたより低い輪郭外径を有するイントロデューサの製造方法が提供される点である。
【0027】
本発明の上記および他の局面、特徴、詳細、有用性および利点は、以下の説明および請求項を読み、添付図面を参照すれば、明らかになる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、多様な向上した技術を用いることにより、外側寸法全体を最小化させる、改良されたステアブルカテーテルを提供する。1つの技術では、前記ステアブルカテーテル用プルワイヤとしてフラットワイヤを用いる。
【0031】
本発明の目的のため、「フラットワイヤ」または「フラットプルワイヤ」とは、2本の直交軸に沿って測定した場合に断面が略平坦である点によって特徴付けられるワイヤのことを指す。フラットワイヤは典型的には、矩形断面を有する。例えば、前記矩形断面は、およそ0.004インチ×0.012インチであり得る。前記断面は、完全な矩形でなくてもよい。例えば、本発明が企図するのは、前記フラットワイヤ断面が概して平坦である場合、前記断面が長円形であり得ることである。例えば、ワイヤが1方向においてXとして測定されかつ前記第1の方向に概して直交する第2の方向において少なくとも3Xとして測定される断面を有する場合、前記ワイヤはフラットワイヤとして適切に特徴付けられ得る。断面が略I型形状であるワイヤも、当該ワイヤの高さが概してその最大幅よりも実質的により高い場合、フラットワイヤであり得る。当業者であれば、フラットワイヤは、本出願の教示内容全体の文脈において定義され得ることを理解するであろう。
【0032】
フラットワイヤをプルワイヤとして用いた場合、特定方向におけるたわみに対してより高い抵抗が得られるという、さらなる恩恵も得られる。ラウンドワイヤの形状は、任意の特定の方向におけるたわみに抵抗する傾向を持たない一方、フラットワイヤの形状は、第1の軸上のたわみに抵抗する傾向を持ち、さらに、前記第1の軸に対して直交する第2の軸上のたわみを許すような傾向を持つ。従って、円形ではないプルワイヤを用いることにより、別の方向のたわみに対して1方向におけるたわみを許しかつ促進するような傾向をカテーテルに持たせることができる。
【0033】
前記カテーテルの外径は、改良された編組ワイヤアセンブリにより、遠位先端において最小化もされ得る。詳細には、近位端から遠位先端へと変化する可変編組密度によって特徴付けられる編組を用いることができる。好適には、前記編組は、前記カテーテルの近位端における密度よりも先端における密度の方が小さくなっている。近位端よりも先端においてより編組密度を高くする方が適している用途もあれば、カテーテル中間部分よりも両端において編組密度を高くする方が適している用途もある。
【0034】
図1は、本発明の一実施形態によるカテーテルアセンブリ110の斜視図である。カテーテルアセンブリ110は、近位部位110および遠位部位190を有するカテーテルまたはイントロデューサカテーテル100を含む。カテーテル100は、ハンドルアセンブリ106に動作可能に接続され得る。ハンドルアセンブリ106は、手術時の前記イントロデューサのガイディングまたはステアリングを支援する。カテーテルアセンブリ110は、ハブ108をさらに含む。ハブ108は、カテーテルアセンブリ、流体または当業者に公知の任意の他の機器の挿入または送達のために、ハンドルアセンブリ106内の内側ルーメン(図示せず)に動作可能に接続される。必要に応じて、カテーテルアセンブリ110は、ハブ108に動作可能に接続されたバルブ112をさらに含む。
【0035】
図2は、詳細を示すために切り取られた、本発明の好適な実施形態によるカテーテルの斜視図を示す。
【0036】
本発明の一実施形態によるカテーテル100の基本的製造方法について、
図2、
図3、
図4、
図6、
図7および
図8を参照して説明する。カテーテルコンポーネントは組み立てられるため、これらのカテーテルコンポーネントをカテーテルアセンブリと総称する。
【0037】
図6に示すように、マンドレル10は好適には円形断面を有しかつ好適には長さが約6インチ以上約4フィート以下である。マンドレル10は、カテーテルアセンブリ200のコンポーネントであり、カテーテル100の製造時においてその第1のコンポーネントとなり得る。マンドレル10は、遠位端および近位端を有する。内側ライナー20が、マンドレル10上に配置される。内側ライナー20は、一端(例えば、遠位端)において結び目が付けられ得、その後マンドレル10上へと送られる。
【0038】
好適には、内側ライナー20は、押出ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)管材(tubing)(例えば、市販されているテフロン(登録商標)銘柄の管材)である。内側ライナー20は、他の溶融加工ポリマー(例えば、非限定的に例を挙げると、エッチング処理したポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルブロックアミド、ナイロンおよび他の熱可塑性エラストマーがある)でも構成され得る。このようなエラストマーとして、Arkema,Inc.によって製造されているPebax(登録商標)がある。多様なデュロメーターのPebax(例えば、非限定的に例を挙げると、Pebax30D〜Pebax70D)が用いられ得る。好適な実施形態において、内側ライナー20は、外側層60(外側層60については、以下にさらに説明する)よりも溶解温度が高い材料で構成され、これにより、内側ライナー20は、外側層60の溶融加工に耐える。
【0039】
フラットワイヤ30は、内側ライナー20に沿って長手方向に配置される。フラットワイヤ30は好適にはステンレス鋼製であり、好適には約0.002インチ×約0.016インチであり、より好適には約0.004インチ×約0.012インチである。一実施形態において、フラットワイヤ30の少なくとも一部を別の予備成形管40内に収容した後、内側ライナー20に沿って配置して、平坦ルーメン42を形成する。予備成形管40は、フラットワイヤ30の断面と同一形状でなくてもよいが、円形、長円形、矩形、または別の同様の形状でよい。好適には、予備成形管40の断面は、フラットワイヤ30の断面と同一形状であり、これにより、予備成形管40内におけるフラットワイヤ30の動きを促進する。予備成形管40は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルブロックアミド、ナイロン、他の熱可塑性エラストマーまたは別の物質で形成され得る。好適には、予備成形管40は融点が外側層60(外側層60については、以下にさらに説明する)よりも高く、これにより、外側層60に対して溶融加工が行われている際に、予備成形管40は溶融しない。
【0040】
別の実施形態において、フラットワイヤ30は滑性材料(例えば、シリコーン、テフロン(登録商標)、シロキサン、および他の滑性材料(図示せず))で被覆され得、その後配置される。あるいは、フラットワイヤ30を滑性層でコーティングして、滑り性を促進してもよい。また、フラットワイヤ30を平滑面で製造して、滑り性を促進してもよいことが企図される。フラットワイヤ30の構成材料としてはステンレス鋼が好適な材料であるが、他の材料(例えば、非限定的に例を挙げると、従来の円形プルワイヤに用いられる材料)を用いてもよい。
【0041】
1つよりも多くのフラットワイヤ30も用いられ得る。このような場合、このようなフラットワイヤ30の各々は、その可撓性管40内に収容され得、これにより、別個の平坦ルーメン42を形成する。好適には、一対のフラットワイヤ30が用いられ、これらのフラットワイヤ30は、内側ライナー20の外周周囲において約180度間隔を空けて配置される。
【0042】
その後、内側ライナー20、フラットワイヤ30、および平坦ルーメン42を形成する予備成形管40上に外側層60を配置する。外側層60は、単一のまたは複数の切片からなる管材で構成され得、前記切片は、相互に突き合わせてもよいし、あるいは相互に重ねられてもよい。好適には、外側層60は、押出ポリテトラフルオロエチレン管材(例えば、市販されているテフロン(登録商標)ブランドの管材)である。外側層60は、他の溶融加工ポリマー(例えば、非限定的に例を挙げると、エッチング処理したポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルブロックアミド、ナイロンおよび他の熱可塑性エラストマー)で構成され得る。このようなエラストマーとして、Arkema,Inc.によって製造されているPebax(登録商標)がある。多様なデュロメーターのPebax(例えば、非限定的に例を挙げると、Pebax30D〜Pebax70D)が用いられ得る。外側層60はまた、1つよりも多い層(例えば、2つ以上の溶融加工ポリマー管)を含み得る。
【0043】
必要に応じて、編組ワイヤアセンブリ50を内側ライナー20および任意のフラットワイヤ30上に配置した後、外側層60が付加され得る。編組ワイヤアセンブリ50は、ステンレス鋼ワイヤ(例えば、0.003インチの高張力ステンレス鋼ワイヤ)で形成され得る。編組ワイヤアセンブリ50は、標準的な編組パターンおよび密度(例えば、インチあたり約45以上約60以下のピック/インチ(picks per inch)密度(「PPI」)において、約16本のワイヤ)で形成され得る。あるいは、可変編組密度によって特徴付けられる編組を用いてもよい。例えば、編組ワイヤアセンブリ50は、カテーテル100の近位端110において第1の編組密度によって特徴付けられ得、その後、編組ワイヤアセンブリ50がカテーテル100の遠位端190へと近づくにつれ、1つ以上の異なる編組密度へと推移する。遠位端190の編組密度は、近位端110における編組密度よりもより大きいかまたはより小さくなり得る。特定の例において、前記ベース(すなわち、近位端110)における編組密度は約50PPIであり、遠位端190における編組密度は約10PPIである。別の実施形態において、遠位端190における編組密度は、ベース/近位端110における編組密度の約20%以上約35%以下である。
【0044】
編組ワイヤアセンブリ50は、ディスポーザブルコア上に別個に形成され得る。編組ワイヤアセンブリ50の1つ以上の部位は、熱強化され冷却された後、当業者に公知の方法を通じてカテーテルアセンブリ200内に設けられ得る。熱強化の作用により、ワイヤ上への応力の解放が支援され得、半径方向力の低減が支援され得る。
【0045】
図6は、カテーテルアセンブリ200の断面を示す。カテーテルアセンブリ200は、2つのフラットワイヤ30と、編組ワイヤードアセンブリ50とを有する。編組ワイヤードアセンブリ50が外側層60によって包囲された後、加熱による材料積層が行われる。1つの好適な実施形態において、
図6に示すように、熱収縮層70が外側層60の上側に配置される。熱収縮70は好適には、フッ素重合体またはポリオレフィン材料である。
【0046】
図7は、積層プロセス後のカテーテルアセンブリ200を示す。カテーテルアセンブリ200は、
図7に示すように、外側層60を含む材料が流動し、その外周周囲において再分布するまでカテーテルアセンブリ200を加熱することにより、積層され得る。熱収縮70は、外側層60よりも高い溶解温度を有し、前記溶融処理時において、熱収縮70はその管状形状を保持し、液化した外側層60の材料を編組ワイヤアセンブリ50(存在する場合)内へと強制的に送り、フラットワイヤ30および内側ライナー20と接触させる。その後、カテーテルアセンブリ200が冷却され得る。
図7において、マンドレル10は依然所定位置にある。
【0047】
マンドレル10はカテーテルアセンブリ200から除去され得、その結果、
図4に示すようにルーメン80が残される。
図4は、積層プロセスのための熱付加の後に、本発明の方法に従って作製されたカテーテル100を示す。必要に応じて、マンドレル10を除去した後も、熱収縮70を
図7に示すように外側層60の周囲においてもよい。
【0048】
熱収縮70が除去されると、外側層60は、カテーテル100の最外層となる。その結果、略円形のカテーテル100がプルワイヤ30と共に形成される。プルワイヤ30は、
図3および
図4に示すように外側層材料内に埋設される。
図3は、
図2に示すようなプルリング90の点においてとられた断面図であり、
図4は、プルリング90に対して近位である点においてとられた断面図である。
図8は、構造の特定の詳細を示すために切り取られたカテーテルアセンブリ200の斜視図である。
【0049】
カテーテルアセンブリ200は、別の技術を用いて製造してもよい。一実施形態において、外側層60は、外側層60をカテーテルアセンブリ200の上方に押し出すことにより、形成され得る。別の実施形態において、カテーテルアセンブリ200は、熱と、カテーテル100の最終形状を画定するためのモールドを有するプレスとの組み合わせを用いることにより、形成され得る。
【0050】
本発明の方法を用いて形成されたカテーテル100は、さまざまなサイズおよび多様な用途を有し得る。例えば、カテーテル100は、心房細動症例および心房頻拍症例において用いられ得る。特定の心臓用途に関連して、本明細書中説明される改良策を用いて製造されたカテーテル100は好適には、約12F未満の外径であり、より好適には約10F未満の外径である。ステアブルイントロデューサとしての用途の場合、カテーテルサイズを約1IF未満の外径にすると好適であり得る。以下に説明するように、特に前記トルク転送層が編組フラットワイヤで構成される場合、より大型のカテーテルサイズが実現可能である。
【0051】
別の実施形態において、多様なデュロメーター硬度(例えば、Shoreデュロメーター硬度スケールを用いて測定されたもの)の材料を利用できるよう、カテーテル100の構造が改変され得る。例えば、カテーテル100の近位端110はナイロン11のような材料で構成され得、カテーテル100の残り部分は1つ以上のPebax材料で構成され得る。好適には、カテーテル100シャフトが遠位端190に近づくにつれ、デュロメーター硬度レベルは低減する。例えば、その後、ナイロンベースは、以下のPebaxセグメント(すなわち、70D Pebax、60D Pebax、55D Pebax、40D Pebax、35D Pebax、30D Pebax)のうちの1つ以上によって追随され得る。カテーテル100はまた、前記したPebax材料(例えば、共押出によって作製された70D/60D Pebaxブレンドまたは共押出によって作製された40D/35D Pebaxブレンド)のうちの1つ以上のブレンドも用い得る。好適には、可変デュロメーターの1つ以上のセグメントと共に作製されたカテーテル100を製造時に共にリフローさせる。前記セグメントの長さは変化し得る。カテーテル100の近位端110は好適には最長セグメントであり、より遠位のセグメントは好適には、約0.25インチ以上約6インチ以下の間で変化し得、より好適には約0.25インチ以上約3インチ以下の間で変化し得る。好適には、前記セグメントの硬度レベルおよび前記セグメントの長さは、特定の用途に合わせて調節され得、好適には、前記遠位先端セグメントは、全てのセグメントのうち最低のデュロメーターを有し得る。前記セグメントは、特定の用途に合わせた安定性およびトルク送達を最適化するように、選択され得る。
【0052】
図5は、本発明の別の実施形態を示す。この実施形態において、外側層60は、複数のセグメント61、62、63および64で構成される。これらのセグメントはそれぞれ、異なる材料特性(例えば、硬度、剛性、または引張強度)を有する。好適な実施形態において、セグメント61は最高硬度を有し、セグメント62、63および64は、セグメント61よりも可撓性が高く、セグメント63および64は、セグメント61および62よりも可撓性が高く、最後に、セグメント64は、セグメント61、62および63の各々よりも可撓性が高い。セグメント数およびセグメントの相対的長さは、変化し得る。
【0053】
さらに別の実施形態において、改変された編組ワイヤアセンブリ50が、内側ライナー20と外側層60との間に挿入される。編組ワイヤアセンブリ50は、推移する編組密度を持つように設計され得、この編組密度は、1つの編組密度から開始して、より低い編組密度へと推移する。一実施形態において、編組は、約50PPI以上約60PPI以下の編組密度から開始し得、より好適には約50〜約55PPIの編組密度から開始し得、その後、先端において約5PPI以上約20PPI以下の編組密度に推移し、より好適には約5PPI以上約15PPI以下の編組密度に推移する。編組密度はゆっくりと推移してもよいし、あるいは、1つ以上のセグメントを用いて変化し得る。例えば、編組密度が約30PPI以上約45PPI以下である中間ゾーンがあり得る。編組ワイヤアセンブリ50の編組密度の変動を用いて、所望の用途に応じて、カテーテル100の可撓性を増加または低減することができる。
【0054】
別の実施形態において、プルリング90を用いて、操舵性を提供する。
図9および
図10は、プルリング90の好適な実施形態を示す。プルリング90は、概して円形帯であり、断面形状(これは、前記帯の円形に対する接線に対して直交方向において測定される)が略矩形である。前記矩形断面を
図10中により明確に示す。プルリング90の外側寸法は好適には、製造すべきカテーテル100の用途に基づいて、決定される。一実施形態において、プルリング90の直径は約0.10インチである。
【0055】
プルリング90は好適には、少なくとも1つの溝部91を有する。溝部91は、フラットプルワイヤ30を収容するように構成される。フラットプルワイヤ30は、プルリング90およびフラットプルワイヤ30の材料に対して適した任意の技術により、溝部91内に固定され得る。受容可能な技術を非限定的に挙げると、レーザー溶接および/または他の溶接および結合技術がある。
【0056】
別の実施形態において、プルリング90は、
図9および
図10に示すような1つ以上のフローホール95を含み得る。溶融プロセスにおいて、外側層60の材料が溶融し、フローホール95を通じて流動する。冷却されると、外側層60の材料はプルリング90に結合して、プルリング90とカテーテルアセンブリ200の残りのコンポーネントとの間の接着を向上させ、これによりカテーテル100の性能を向上させる。フローホール95を円形形状で示しているが、他の形状を用いてもよい。一実施形態において、プルリング90は、2つの0.025インチのフローホール95を含む。これらのフローホール95は、プルリング90の外周周囲において約180度空けて配置される。フローホール95のサイズおよび形状は、内側ライナー20および/または外側層60の形成に用いられる材料に基づいて、調節され得る。
【0057】
別の実施形態において、プルリング90は、ノンフラットプルワイヤと共に用いられる。この実施形態のプルリング90は好適には円形帯であり、断面形状(これは、前記帯の円に対する接線に対して直交方向において測定される)は略矩形である。好適には、プルリング90は、少なくとも1つの溝部を有する。前記溝部は、ノンフラットプルワイヤ(例えば、ラウンドワイヤ)を収容するように構成される。好適には、前記ノンフラットプルワイヤの先端をテーパー付けして、プルリング90との接合を促進する。前記ノンフラットプルワイヤは、プルリング90およびプルワイヤの材料に対して適した任意の技術により、前記溝部内に固定され得る。受容可能な技術を非限定的に挙げると、レーザー溶接および/または他の溶接および結合技術がある。好適には、前記ノンフラットプルワイヤは、予備成形管内に配置される。前記予備成形管の断面は前記プルワイヤの断面と同一形状でなくてもよく、円形、長円形、矩形、または別の類似の形状であってもよい。好適には、前記予備成形管の断面を前記プルワイヤの断面形状と異なるようにして、前記予備成形管内での前記プルワイヤの動きを促進する。前記予備成形管は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルブロックアミド、ナイロン、他の熱可塑性エラストマーまたは別の物質で形成され得る。好適には、前記予備成形管の融点を外側層60よりも高くすることで、外側層60に対する溶融加工が行われた際に前記予備成形管が溶融しないようにする。別の実施形態において、前記プルワイヤは、滑性材料(例えば、シリコーンおよび他の滑性材料)で被覆された後、配置され得る。あるいは、前記プルワイヤを滑性層でコーティングして滑り性を促進してもよく、また、前記プルワイヤを平滑面と共に製造して滑り性を促進することも企図される。前記プルワイヤの構成材料としてはステンレス鋼が好適な材料であるが、他の材料(例えば、非限定的に例を挙げると、従来のプルワイヤにおいて用いられる材料)を用いてもよい。
【0058】
プルリング90は典型的にはカテーテル100の遠位端190の近隣において用いられるが、カテーテル100に沿った任意の位置にプルリング90を配置してもよいことが予期される。さらに、1つよりも多いプルリング90を同一カテーテル100内において用いてもよい。カテーテル100の一実施形態において、2つの別個のプルリング90が用いられ得、これらのプルリング90はそれぞれ、自身に接続された固有のフラットプルワイヤ30を有する。
【0059】
本発明の複数の実施形態についてある程度詳細に説明してきたが、当業者であれば、本発明の精神または範囲から逸脱することなく、前記開示された実施形態に対して多数の改変を行うことができるであろう。例えば、プルリング90は、ステンレス鋼または他の材料(例えば、非限定的に例を挙げると、従来のプルリングアセンブリの形成に用いられる材料)で構成され得る。さらに、編組ワイヤアセンブリ50は、ステンレス鋼または他の材料(例えば、従来の編組ワイヤアセンブリの形成に用いられる材料)で構成され得る。
【0060】
編組フラットワイヤを用いたトルク転送層
【0061】
本発明は、カテーテルおよび大型ボアイントロデューサカテーテルのための編組フラットワイヤを用いたトルク転送層をさらに提供する。説明目的のため、本発明の実施形態について、フラットワイヤによりガイドされるかまたはステアブルなイントロデューサカテーテルと関連して説明する。しかし、当業者によって理解されるように、上記した特徴は任意の数のカテーテルまたはイントロデューサカテーテルにおいて採用することができることが企図される。前記大型ボアイントロデューサカテーテルは、コンポーネントの組み合わせを含み、リフロープロセスまたは押し出しプロセスによって製造され、その結果、心臓血管系のナビゲーションに十分なサイズの外径に対して所望の向上した特性としてプッシャビリティ、トルク性および可撓性を保持しつつ、内径が少なくとも約6フレンチであるイントロデューサカテーテルを可能にするという、驚くべき恩恵を提供する。
【0062】
図11は、本発明の一実施形態によるイントロデューサカテーテル1200の断面図を示す。イントロデューサカテーテル1200は、管状ポリマー内側ライナー1202と、トルク転送層1204と、溶融加工ポリマーを含む外側シース1206と、熱収縮層1208とを含む。前記イントロデューサがステアブルイントロデューサである場合、イントロデューサカテーテル1200は、イントロデューサカテーテル1200の長さに沿って長手方向に配置された少なくとも1つのフラットワイヤ1210をさらに含む。本発明の目的のため、「フラットワイヤ」とは、2つの直交軸に沿って測定したときに略平坦な断面によって特徴付けられるワイヤのことを指す。フラットワイヤは典型的には矩形断面を有するが、前記断面は完全な矩形でなくてもよい。例えば、本発明は、前記フラットワイヤの断面全体が概して平坦である場合、前記断面を長円形にしてもよいことを企図する。本明細書中この用語が用いられる場合、ワイヤが1方向においてxとして測定され、かつ前記第1の方向に対して概して直交する第2の方向において少なくとも2xとして測定される断面を有する場合、当該ワイヤはフラットワイヤとして適切に特徴付けられ得る。断面が略I型形状であるワイヤも、フラットワイヤであり得る(ただし、その高さが概してその最大幅よりも実質的により大きい場合)。当業者であれば、本出願の教示内容全体の文脈においてフラットワイヤを画定することができることを理解するであろう。
【0063】
少なくとも1つのフラットワイヤ1210は、別のポリマー管状部材1212内にさらに収容され得る。ポリマー管状部材1212は、フラットワイヤ1210を収容するルーメン1214を形成する。この実施形態によるイントロデューサカテーテルは、リフロー接合プロセスによって製造され、この場合、以下により詳細に説明するように、コンポーネントはマンドレルを介して個別に送られる。
【0064】
内側ライナー1202は好適には、ポリマー材料(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)またはエッチングされたPTFE)である。内側ライナー1202は、他の溶融加工ポリマー(例えば、非限定的に例を挙げると、ポリエーテルブロックアミド、ナイロンおよび他の熱可塑性エラストマー)で構成してもよい。このようなエラストマーとして、Arkema,Inc.によって製造されているPebax(登録商標)がある。多様なデュロメーターのPebax(例えば、非限定的に例を挙げると、Pebax30D〜Pebax70D)が用いられ得る。好適な実施形態において、内側ライナー1202は、溶解温度が外側シース1206よりも高い材料で構成され、これにより、内側ライナー1202は、外側シース1206に対する溶融加工に耐える。
【0065】
内側ライナー1202は、自身を貫通するルーメン1216を画定する。ルーメン1216の直径1218は好適には少なくとも約6フレンチであり、より好適には少なくとも約7フレンチであり、最も好適には約10フレンチ以上約24フレンチ以下である。しかし、本発明のいくつかの実施形態において、ルーメン1216の直径1218を約32フレンチ以上まで(例えば、約7フレンチ以上約32フレンチ以下)にしてもよいことが企図される。
【0066】
トルク転送層1204は好適には、内側ライナー1202と熱収縮層1208との間に配置され、より好適には外側シース1206と内側ライナー1202との間に配置される。イントロデューサが例えば少なくとも1つの長手方向ワイヤ1210を用いたステアブルイントロデューサである場合、トルク転送層1204は、内側層1202と外側シース1206との間または外側シース1206と熱収縮層1208との間に配置され得る。トルク転送層1204は、ステンレス鋼(304または316)ワイヤまたは当業者に公知の他の受容可能な材料で構成され得る。
【0067】
トルク転送層1204は好適には、編組ワイヤアセンブリで形成される。前記編組ワイヤアセンブリは、フラットワイヤ(好適には、例えば、高張力ステンレス鋼ワイヤ等のステンレス鋼ワイヤ)を含む。トルク転送層1204は、任意の数の既知の編組パターン(例えば、ワンオーバーワン(少なくとも2つのワイヤを含む)またはツーオーバーツー(少なくとも4本のワイヤを含む)クロスオーバーパターン)において、形成され得る。前記編組フラットワイヤの厚さは典型的には、少なくとも約0.0005インチであり、幅は少なくとも約0.005インチである。より大型のサイズの例を挙げると、0.001インチ ×0.005インチおよび0.002インチ ×0.006インチがある。ルーメン直径が少なくとも約6フレンチである場合、編組フラットワイヤは厚さが少なくとも約0.003インチであり幅が少なくとも約0.007インチであり、これはこれまでは前記トルク転送層のためのワイヤメッシュの形成において用いられていなかったが、ノンフラットワイヤおよびより小型のフラットワイヤと比較してより高いプッシャビリティ、トルク性、可撓性および耐キンク性において驚くべき良好な結果を示している。一般的に、個々のワイヤの幅対厚さの比は少なくとも約2:1(例えば、2:1〜5:1(2:1および5:1を含む))である。厚さが約0.004インチであり幅が約0.012インチであるフラットワイヤおよび厚さが約0.004インチであり幅が約0.020インチであるフラットワイヤも編組され、その結果、優れた性能のトルク転送層が成功裏に形成された。
【0068】
編組密度は一般的には、インチあたりのピクセル(「PPI」)で測定され、典型的には約5PPI以上100PPI以下であり、フラットワイヤのサイズおよびカテーテルのサイズに依存する。厚さが少なくとも約0.003インチであり幅が約0.007インチであるフラットワイヤおよび内側ルーメンが少なくとも約6フレンチであるカテーテルの場合、PPIは好適には約10PPI以上約90PPI以下であり、より好適には約10〜約55である。例えば、厚さが約0.003インチであり幅が約0.007インチであるフラットワイヤのPPIは好適には、内側ルーメンが少なくとも6フレンチである場合、約20〜約90であり、より好適には約35PPI以上約55PPI以下であり、内側ルーメンが少なくとも約10フレンチである場合、最も好適には約35〜約45である。厚さが約0.004インチであり幅が約0.012インチであるフラットワイヤのPPIは好適には約15〜約70であり、内側ルーメンが少なくとも約6フレンチである場合、より好適には約15〜約22である。厚さが約0.004インチであり幅が約0.020インチであるフラットワイヤのPPIは好適には約5PPI以上約50PPI以下であり、内側ルーメンが少なくとも約6フレンチである場合、より好適には約10PPI以上約20PPI以下であり、内側ルーメンが少なくとも約16フレンチである場合、最も好適には約10PPI以上約20PPI以下である。
【0069】
あるいは、トルク転送層1204は、イントロデューサカテーテル1200の長さに沿った可変編組密度構造を利用し得る。例えば、前記トルク転送層は、イントロデューサカテーテル1200の近位端における第1の編組密度がトルク転送層1204がイントロデューサカテーテル1200の遠位端に近づくにつれて1つ以上の編組密度へと推移することにより、特徴付けられ得る。前記遠位端の編組密度は、前記近位端における編組密度よりもより大きくされるかまたはより小さくされ得る。特定の例において、前記近位端における編組密度は約50PPIであり、前記遠位端における編組密度は約10PPIである。別の実施形態において、前記遠位端における編組密度は、前記近位端における編組密度の約20%以上35%以下である。
【0070】
トルク転送層1204は、ディスポーザブルコア上で別個で形成された後、内側ライナー1202周囲においてスリップされ得る。1つ以上の部位からなるトルク転送層1204が熱強化および冷却された後、当業者に公知の方法を通じて、イントロデューサ本体1200内に設けられ得る。熱強化の作用により、ワイヤ上の応力の解放が支援され得、半径方向力の低減が支援され得る。また、トルク転送層1204は内側ライナー1202上に直接編組され得ることも企図される。
【0071】
特に好適なトルク転送層1204は、内側ルーメンが6フレンチ以上10フレンチ以下の場合、35PPIにおいて0.003インチ×0.007インチの304ステンレス鋼ワイヤを含む。別の好適なトルク転送層1204は、内側ルーメンが12フレンチである場合、22PPIにおいて0.004インチ×0.012インチの304ステンレス鋼ワイヤを含む。さらに別の好適なトルク転送層1204は、内側ルーメンが16フレンチである場合、13PPIにおいて0.004インチ×0.020インチの304ステンレス鋼ワイヤを含む。これらの特に好適なトルク転送層は、市販の水平型編組機器を市販のマンドレルを用いて225rpmに設定すれば、製造され得る。他の適切なトルク転送層1204の製造方法は、当業者にとって明らかであろう。
【0072】
外側シース1206は好適には、押出PebaxまたはPTFE管材である。外側シース1206の溶融加工ポリマーは、前記トルク転送層中のワイヤメッシュの複数の空洞を占有する。外側シース1206は、他の溶融加工ポリマー(例えば、非限定的に例を挙げると、エッチングされたPTFE、ポリエーテルブロックアミド、ナイロンおよび他の熱可塑性エラストマー)で可変デュロメーターで構成してもよい。外側シース1206は、1つよりも多くの層(例えば、2つ以上の溶融加工ポリマー管)も含み得る。あるいは、
図15に示すように、外側シース306は、可変セグメント322、324、326、328および330を含み得る。これらの可変セグメントは、硬度および/またはイントロデューサ300の長さに沿った材料において異なり、共にリフロー接合される。これは、異なる材料からなる環状リングをイントロデューサ300の長さに沿って積層または配置することにより、達成され得る。このようにしてシースの構成を変更することで、イントロデューサ300に沿った多様な点において可撓性、トルク性、およびプッシャビリティを調節できるというさらなる恩恵が得られる。
【0073】
イントロデューサが(
図11に示すような)ステアブルイントロデューサである実施形態において、少なくとも1つのフラットワイヤ1210が提供される。フラットワイヤ1210は好適には、前記イントロデューサの長さの略全体に沿って延びる。フラットワイヤ1210は好適にはステンレス鋼を含み、好適には約0.002インチ×約0.016インチであり、より好適には約0.004インチ×約0.012インチまたは0.016インチである。フラットワイヤは、幅対厚さの比が少なくとも約2:1となるように、選択され得る。一実施形態において、前記フラットワイヤの少なくとも一部を予備成形管1212内に収容した後、内側ライナー1202に沿って配置して、平坦ルーメン1214を形成する。予備成形管1212の断面は前記フラットワイヤの断面と同一形状でなくてもよく、円形、長円形、矩形、または別の同様の形状であってもよい。好適には、予備成形管1212の断面をフラットワイヤ1210の断面と異なる形状にし、これにより、前記予備成形管における前記フラットワイヤの動きを促進する。前記予備成形管は、PTFE、エッチングされたPTFE、ポリエーテルブロックアミド(例えばPebax)、ナイロン、他の熱可塑性エラストマー、または任意の他の当業者に公知の材料で形成され得る。好適には、予備成形管1212の融点を外側シース1206よりも高くすることで、イントロデューサカテーテル1200に対して溶融加工が行われた際に、予備成形管1212が溶融しないようにする。別の実施形態において、フラットワイヤ1210は、滑性材料(図示せず)(例えば、シリコーンおよび他の滑性材料)で被覆された後、配置され得る。あるいは、フラットワイヤ1210を滑性層でコーティングして滑り性を促進してもよく、また、フラットワイヤ1210を平滑面とともに製造して滑り性を促進することも企図される。フラットワイヤ1210の構成材料としてはステンレス鋼が好適であるが、他の材料(例えば、非限定的に例を挙げると、従来の円形プルワイヤにおいて用いられる材料)を用いてもよい。1つよりも多くのフラットワイヤ1210を用いてもよく、そのような場合、それぞれのフラットワイヤ1210は、その固有の可撓性管1212内に収容され得る。好適には、
図11に示すように、180度空けて配置された一対のフラットワイヤ1210が用いられる。フラットワイヤ1210は好適には、少なくとも1つのステアリングリングに接続される。前記少なくとも1つのステアリングリングは典型的には、イントロデューサの遠位端の近隣に配置される(例えば、
図2においてステアリングリング90に接続されている同様のフラットワイヤ30を参照)。その後、フラットワイヤ1210の近位端をステアリング機構(図示せず)に動作可能に接続することで、使用時のイントロデューサカテーテル1200の操作またはステアリングを可能とする。
【0074】
本発明の一実施形態による基本的製造方法について、
図12〜
図18を参照して説明する。前記多様なコンポーネントが組み立てられるため、これらのイントロデューサコンポーネントをイントロデューサと総称する。
図12〜
図18に示すように、マンドレル300が提供される。マンドレル300は好適には断面が円形であり、好適には長さが約6インチ以上約4フィート以下である。
図12に示すように、マンドレル300は、遠位端350および近位端352を有する。
図13に示すように、内側ライナー302がマンドレル300上に設けられる。内側ライナー302はマンドレル300上へと送られた後、一端320または両端において結び目が付けられる。
【0075】
図14中に示すように、その後、トルク転送層304を内側ライナー302上に配置する。ステアブルイントロデューサカテーテルの場合、その後、フラットワイヤアセンブリ(図示せず)がトルク転送層304上に配置され得る。あるいは、前記フラットワイヤアセンブリを外側シース306上に配置してもよい。別のシース層(図示せず)が、前記フラットワイヤアセンブリ上にさらに配置され得る。前記トルク転送層は、カテーテルの遠位端の近位位置において終端する。
【0076】
次に、
図15に示すように、外側シース306をトルク転送層304上に配置する。外側シース306は、単一のまたは複数の切片からなる管材で構成され得、前記切片は、相互に突き合わせてもよいし、あるいは相互に重ねられてもよい。シース材料の複数のセグメントまたは層は、任意の長さおよび/または硬度(デュロメーター)とすることができ、これにより、設計柔軟性が得られる。
図15は、複数のセグメント322、324、326、328および330を示す。この実施形態において、外側シース306の近位端330は、材料(例えば、ナイロン)で構成され得、前記イントロデューサの残り部分は、1つ以上のPebax材料で構成され得る。前記多様なセグメントの長さは可変であり得るが、好適には、外側シース306がその遠位端に近づくにつれてデュロメーター硬度レベルを低減させるとよい。例えば、その後、ナイロンベースが以下のPebaxセグメント(すなわち、70DPebax、60DPebax、55DPebax、40DPebax、35DPebax、30DPebax)のうちの1つ以上によって追随され得る。イントロデューサシャフトは、前記したPebax材料の1つ以上のブレンド(例えば、共押出によって得られる70D/60DPebaxブレンドまたは共押出によって得られる40D/35DPebaxブレンド)を用いてもよい。好適には、この実施形態による外側シース306の多様なコンポーネントを製造時に共にリフローさせる。前記シャフトの近位端は好適には最長セグメントであり、より遠位のセグメントは好適には約0.25インチ以上6インチ以下の範囲で可変であり得、より好適には約0.25インチ以上約3インチ以下の範囲で可変であり得る。好適には、前記セグメントの硬度レベルおよび前記セグメントの長さは特定の用途に合わせて調節され得、好適には前記遠位端は、全てのセグメントのうち最低のデュロメーターレベルを持ち得る。前記シャフトセグメントは、当業者によって理解されるように、特定の用途に合わせて、可撓性、トルク性、およびプッシャビリティを向上させるように選択され得る。あるいは、前記カテーテルは、肉薄の内側ジャケットまたは層(例えば、PTFE層)をマンドレル(例えば、ステンレス鋼マンドレル)上に配置するか、または、肉薄の内側ジャケットまたは層(例えば、Pebax層)を押し出しマンドレル(例えば、アセタールマンドレル)上に押し出して前記内側層上にトルク転送層を形成し、外側ジャケットまたはシース(例えば、Pebaxジャケット)を前記トルク転送層上に押し出すことにより、形成され得る。
【0077】
最後に、熱収縮層308を前記組み立てられたイントロデューサアセンブリ上に配置した後、リフロー積層を行う。熱収縮層308は好適には、フッ素重合体またはポリオレフィン材料(例えば、FEP)または当業者によって理解されるような他の適切な材料である。
【0078】
前記多様なコンポーネントを組み立てた後、イントロデューサアセンブリ300に対してリフロー積層プロセスを行う。
図11は、このリフロープロセス後の前記イントロデューサアセンブリの断面図を示す。イントロデューサアセンブリ1200は、外側シース1206を含む材料が外周周囲において流動および再分布するまで前記アセンブリを加熱することにより、積層され得る。好適には、熱収縮層1208は、外側シース1206よりも高い溶融温度を有し、溶融処理において、熱収縮層1208はその管状形状を保持し、液化シース層材料1206をトルク転送層1204内に強制的に送り、フラットワイヤ1210/予備成形管1212(存在する場合)および内側ライナー1202と接触させる。その後、イントロデューサアセンブリ1200が冷却され得る。前記マンドレルは好適には、前記冷却プロセスにおいて所定位置に放置しておくとよい。なぜならば、前記マンドレルにより、前記イントロデューサアセンブリが少なくとも約6フレンチのその内側ルーメンを保持することが支援されるからである。熱収縮層1208は、イントロデューサアセンブリ1200上に放置してもよいし、あるいは必要に応じて除去してもよい。熱収縮層1208を除去した場合、外側シース1206は、イントロデューサカテーテル1200の外側層となる。
【0079】
さらに、
図16〜
図18に示すように、本発明は、医療手術において用いられる先端アセンブリ(例えば、無傷先端)を含めること(例えば、使用時の先端位置においてX線不透過性材料を含むこと)を企図する。例えば、
図16〜
図18は、イントロデューサカテーテル700の断面を示す。イントロデューサカテーテル700は、先端アセンブリ732または734を受容するように構成された遠位部位730を有する。双方の例において、先端732または734は、使用時に先端732または734に配置されるリング736(例えば、X線不透過性マーカー)を含む。さらに、
図18は、先端アセンブリ734をさらに含む。先端アセンブリ734は、複数のポートホール738と共に構成される。ポートホール738は、例えば洗浄用液体の送達のために設けられる。前記先端アセンブリは、アブレーション電極(図示せず)と共にさらに構成され得る。前記アブレーション電極は、心臓アブレーション手術において用いられる電源(図示せず)に動作可能に接続される。
【0080】
上記において本発明のいくつかの実施形態について、ある程度の特定性で上述したが、当業者であれば、本発明の精神または範囲から逸脱することなく、前記開示された実施形態に対して多数の変更を行うことができる。全ての方向に関する言及(例えば、上側、下側、上方、下方、左、右、左方向、右方向、上、下、上方、下方、垂直、水平、時計回りおよび反時計回り)はひとえに読者による本発明の理解を支援するという識別目的のためのものであり、特に、本発明の位置、方向または利用に関して限定するものではない。接合に関する言及(例えば、取り付けられた、結合された、接続された等)については、広く解釈されるべきであり、接続要素間の中間部材および要素間の相対的移動を含んでいてもよい。このように、接合について言及される場合、2つの要素が直接接続されかつ相互に固定関係にあることを必ずしも意味しない。上記説明中に含まれるかまたは添付図面中に示される全事項は、ひとえに例示的なものであり、限定的なものではないと解釈されるべきであることが意図される。添付の特許請求の範囲に定義されるような発明の精神から逸脱することなく、詳細または構造における変更を行ってもよい。