特許第5769433号(P5769433)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大王製紙株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5769433-ロールペーパータオル用ディスペンサー 図000002
  • 特許5769433-ロールペーパータオル用ディスペンサー 図000003
  • 特許5769433-ロールペーパータオル用ディスペンサー 図000004
  • 特許5769433-ロールペーパータオル用ディスペンサー 図000005
  • 特許5769433-ロールペーパータオル用ディスペンサー 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5769433
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】ロールペーパータオル用ディスペンサー
(51)【国際特許分類】
   A47K 10/34 20060101AFI20150806BHJP
【FI】
   A47K10/34 B
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-18968(P2011-18968)
(22)【出願日】2011年1月31日
(65)【公開番号】特開2012-157509(P2012-157509A)
(43)【公開日】2012年8月23日
【審査請求日】2014年1月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082647
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 義久
(72)【発明者】
【氏名】小沼 敦嗣
(72)【発明者】
【氏名】山本 正
【審査官】 藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−024378(JP,A)
【文献】 特開2005−000367(JP,A)
【文献】 特表2008−521549(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 10/34 − 10/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内部にロールペーパータオルを支持する支持機構と、このロールペーパータオルからペーパータオルを巻き出して排紙するための排紙手段と、検知範囲に被検知物が進入したときに検知範囲内の被検知物を検知する1又は複数のセンサーと、前記センサーによる被検知物の検知に応じて前記排紙手段を駆動させて所定長さのペーパータオルの排紙を行なわせる制御手段とを有し、
前記センサーが、ディスペンサーの下部かつ幅方向側部に、そのセンサーの検知範囲の中心軸が、ディスペンサーの幅方向の中心に向かうようにしてかつディスペンサーの背面側方向に向かうようにして、取り付けられ、その検知範囲が、正面視において、ディスペンサーの幅方向中央から下方5cmの位置から、幅方向に各5cm、下方に20cmの範囲を含む、ことを特徴とするロールペーパータオル用ディスペンサー。
【請求項2】
センサーをディスペンサーの前端から奥行き方向に15cm以内の部位に設けた請求項1記載のロールペーパータオル用ディスペンサー。
【請求項3】
センサーによる検知範囲が、ディスペンサーの前端から下方に垂下する仮想面及びディスペンサーの両側端から下方に垂下する仮想面で囲まれる範囲にある請求項1又は2に記載のロールペーパータオル用ディスペンサー。
【請求項4】
センサーが、高さ方向及び奥行き方向において、支持機構に支持されたロールペーパーを避ける位置に設けられている請求項1〜3の何れか1項に記載のロールペーパータオル用ディスペンサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状のペーパータオルをロール状に巻取ったロールペーパータオル用のディスペンサーに関し、特に、所定長さのペーパータオルを自動的に巻き出して排紙するロールペーパータオル用ディスペンサーに関する。
【背景技術】
【0002】
ロールペーパータオル用ディスペンサーは、筐体内部に回動自在に支持したロールペーパーからペーパータオルを巻き出し、筐体下部等に設けた排紙口から適宜必要な長さのペーパータオルを露出させて裁断可能にするものである。
【0003】
この種のペーパータオル用ディスペンサーは、化粧室の洗面台近傍、キッチン等の水回り近傍の壁面などに比較的狭い場所に設置されることが多く、設置場所の観点からコンパクトであることが望まれる。
【0004】
他方、ロールペーパータオル用ディスペンサーにおいては、例えば、下記特許文献1等に示されるように、使用者等をセンサーにより検知して、この検知信号に応じて筐体内部のロールペーパータオルを回転させ、排出口から自動的に適宜長のペーパータオルを排紙する自動排紙タイプのものが知られる(この種の自動排紙するロールペーパータオル用ディスペンサーは、オートディスペンサー、ハンズフリーディスペンサーなどとも称される)。
【0005】
この自動排紙タイプのディスペンサーは、予め設定した長さのペーパータオルのみが排紙口から露出されるため、使用者が手動でペーパータオルを過度に引き出すことがなく、内部に保持されたロールペーパータオルの持ちがよく、取り代え頻度が少なくてすむというメリットがあるが、自動排紙タイプのディスペンサーは、排紙のためのセンサー、ロールペーパーの駆動機構、電源回路等が筐体内部に納められるためコンパクト化が困難という問題がある。
【0006】
特に、従来の自動排紙タイプのディスペンサーでは、排紙機構を作動させるためのセンサーがディスペンサー下部であって幅方向の中央に設けられている。
【0007】
このようにセンサーを中央に設置する理由は、人には利き手があるが、一つのセンサーでかかる利き手に関わらず、右利き、左利きの人に対応すべく、検知範囲を左右対称となるようにしていたという理由がある。
【0008】
他方、中央部にセンサーが設けられている場合には、センサーによる検知が不十分となることがあった。この理由を図5に従来のディスペンサーX2の正面視を示して説明する。一般的にセンサーによる検知範囲は、センサー50から放射的に円錐状に広がる。
【0009】
この種のディスペンサーでは、人が近寄っただけで動作するなどの誤動作がないように、センサーの検知範囲をディスペンサーの下方投影範囲に限定するのが一般的である。そして、ディスペンサーは、ロールペーパーの形状、望まれる設置態様からして、幅方向に対して奥行き方向が短い。特にコンパクト化する場合には、この傾向が顕著となる。このような制約があるため、センサー50をディスペンサーX2の幅方向中央に設けた場合には、検知範囲を広げようとすると、すなわち図5においてθを大きくすると、ディスペンサーの下方投影範囲からはみ出しやすく(はみ出した範囲を図中Z3で示している)、誤動作しやすいものとなるか、ディスペンサー下面から遠い位置での検知が不十分となる。反対に、θを小さくするとディスペンサーの検知範囲が狭くなり、特にディスペンサーの下面に近い位置の検出範囲が十分なものではなくなる。
【0010】
より具体的に説明すると、この種のディスペンサーは、使用者がペーパーを掴みやすいように、一般に床面などの設置基準面Gから高さL1が100〜150cmとなるように設けられる。そして、このような設置態様のもと、ディスペンサーの使用者はペーパーの排紙をさせるべくセンサー50によって検知されるように通常は、ディスペンサーの正面に立ち、片手或いは両手をディスペンサー下方に手をかざす動作を行なう。
【0011】
出願人の調査によれば、この自動排紙のディスペンサーの一般的設置態様、使用態様のもとにおいて、被験者の多くが手をかざす位置は、ディスペンサーの下方であって、かつ正面視においてディスペンサーの幅方向中央から下方5cmの位置から、幅方向に各5cm、下方に20cmの範囲(符号Z1で示す範囲)であるが、加えて、両手をかざす場合には、かかる動作を行なう際に使用者がディスペンサーの正面に立つことが多いことから、ディスペンサーの幅方向の中央より左右方向にずれた位置(符号Z2の位置)に手をかざすことがある。また、片手で行なう場合には利き手側にオフセットされた位置(Z2の何れか一方)に手をかざすことがある。
【0012】
従来の中央にセンサー50を設けたディスペンサーX2では、このような使用者の動作に鑑みた十分な検知範囲Z1及びZ2をカバーすることが困難であった。
【0013】
他方、この種のディスペンサーは、電源を必要とし、その電源として家庭用電源を使用する場合もあるものの、多くは電池式であることが多い。一般的には、単一電池を4本内蔵する電池式である。このような電池式では、ディスペンサーの外観、重心、電池交換の必要性を考慮すると、電池の格納ソケットを筐体下部前面近傍に位置せしめるのが望ましい。しかし、従来ディスペンサーでは、この位置にセンサーがあるため他の場所に電池格納位置を確保する必要がありディスペンサーのコンパクト化を妨げる要因となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特表2008−521549
【特許文献2】特開平09−215628
【特許文献3】特開2006−068345
【特許文献4】特開2007−222372
【特許文献5】特開2002−102105
【特許文献6】特開2010−068972
【特許文献7】特開2007−190292
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
そこで、本発明の主たる課題は、自動排紙タイプのロールペーパータオル用ディスペンサーにおいて、センサー位置を改良し、より一層のコンパクト化と確実な動作を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
筐体内部にロールペーパータオルを支持する支持機構と、このロールペーパータオルからペーパータオルを巻き出して排紙するための排紙手段と、検知範囲に被検知物が進入したときに検知範囲内の被検知物を検知する1又は複数のセンサーと、前記センサーによる被検知物の検知に応じて前記排紙手段を駆動させて所定長さのペーパータオルの排紙を行なわせる制御手段とを有し、
前記センサーが、ディスペンサーの下部かつ幅方向側部に、そのセンサーの検知範囲の中心軸が、ディスペンサーの幅方向の中心に向かうようにしてかつディスペンサーの背面側方向に向かうようにして、取り付けられ、その検知範囲が、正面視において、ディスペンサーの幅方向中央から下方5cmの位置から、幅方向に各5cm、下方に20cmの範囲を含む、ことを特徴とするロールペーパータオル用ディスペンサー。
【0017】
<請求項2記載の発明>
センサーをディスペンサーの前端から奥行き方向に15cm以内の部位に設けた請求項1記載のロールペーパータオル用ディスペンサー。
【0018】
<請求項3記載の発明>
センサーによる検知範囲が、ディスペンサーの前端から下方に垂下する仮想面及びディスペンサーの両側端から下方に垂下する仮想面で囲まれる範囲にある請求項1又は2に記載のロールペーパータオル用ディスペンサー。
【0019】
<請求項4記載の発明>
センサーが、高さ方向及び奥行き方向において、支持機構に支持されたロールペーパーを避ける位置に設けられている請求項1〜3の何れか1項に記載のロールペーパータオル用ディスペンサー。
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【発明の効果】
【0024】
以上の本発明によれば、自動タイプのペーパータオルディスペンサーにおいて、より一層のコンパクト化、検知範囲の広範囲化を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明のロールペーパータオル用ディスペンサーの正面図である。
図2】本発明のロールペーパータオル用ディスペンサーの側面図である。
図3】本発明のロールペーパータオル用ディスペンサーの支持機構及び排紙機構を説明するための図である。
図4】本発明のロールペーパータオル用ディスペンサーのセンサーによる検知範囲を説明するための図である。
図5】従来のディスペンサーのロールペーパータオル用ディスペンサーを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次いで、本発明の実施の形態を図1〜5を参照しながら以下に詳述する。
本形態の自動排紙タイプのロールペーパー用ディスペンサーX1(以下、単にディスペンサーX1ともいう)は、手や顔などの肌の清拭や食材のドリップや水分等の拭き取りに用いられる長尺帯状のペーパータオル20を紙管に巻き付けてロール状としたロールペーパータオル用のディスペンサーX1である。
【0027】
本形態のディスペンサーX1は、その素材が例えばABS樹脂等の合成樹脂、或いは金属素材である筐体1の内部に、ロールペーパータオル(以下、単にロールペーパーともいう)2を回動自在に支持する支持機構と、ロールペーパー2から巻き出されたロールペーパータオルの自由先端部分であるペーパータオル20をニップした状態で回転する排紙ローラ4と、検知範囲内の被検知物を検知するセンサー5と、前記センサー5による被検知物の検知に応じて前記排紙手段を駆動させて所定長さのペーパータオルの排紙を行なわせる制御手段と、前記排紙ローラ4を駆動させるモーターなどの電力駆動原とが配置されており、前記センサー5による被検知物(例えば、使用者の手)を検知して、電力駆動原が作動し、もって排紙ローラ4が駆動され、前記筐体1の下部に配置された排紙口6から、適宜長さのペーパータオル20を筐体1外に自動的に露出させる。
【0028】
『筐体の構造例』
前記筐体1は、前面開放のケース本体10と、ケース本体10の前面開放部分を被覆する蓋体11とで構成され、その下部に前記支持機構に支持されたロールペーパー2から巻き出されたペーパータオル20を筐体外部に露出させる排紙口6を有する。
【0029】
ケース本体10は、天板部12と底板部13と背板部14とこの背板部14の両側縁若しくは両側縁部から手前に延在する左右一対の本体側板部17,17とで構成され、前記背板部14を介して壁面等に設置される。
【0030】
図示の蓋体11は、上部がケース本体10の天板部12と一連となるような湾曲面部分を有する前板部16と、この前板部16と直角をなして奥側(背板側)に延在する左右一対の蓋体側板部15,15とを有し、ケース本体10の正面側開放部分を被覆すように配置され、前記ケース本体10とともに箱型の筺体1を構成する。
【0031】
また、図示の蓋体11は、ケース本体10に対してハッチ式に取付けられ、引き下げることにより、ケース本体10を前面開放状態にし、筺体内部の支持機構や排紙ローラ4等の内部機構を露出させ、ロールペーパー2の交換を可能とする。
【0032】
このようなハッチ式にするにあたっては、蝶番機構18をケース本体10の底板部13の正面側縁と蓋体11の前板部16の下縁に設けるようにすればよい。ケース本体10の天板部12の正面側縁と蓋体11の前板部16の背面側上縁に蝶番機構18を設けて前面を跳ね上げるようにするハッチ式としてもよい。さらには、各本体側板部の上部或いは下部に一対の係止凸部(図示しない)を設け、各蓋体側板部の上部或いは下部に前記係止凸部に対応する一対の係止嵌合孔(図示しない)を設けて、これらを嵌め込むようにして、ケース本体10と蓋体11とを連結するようにしてもよい。この場合、係止凸部と係止嵌合孔とは対をなせばよく、そのどちらがケース本体側であるかは問わない。
【0033】
他方、筐体下部の排紙口6は、ケース本体10の底板部13に形成することができ、図示例では、ケース本体10の底板部13の正面側が天板部12側に向かって傾斜され、その傾斜部分に幅方向細長の排紙口6が形成され、使用者におけるペーパータオルの取り出しを容易なものとしている。
【0034】
また、図示例では、排紙口6から露出されたペーパータオルの切り取りを容易にすべく、排紙口6に一部かかるようにカッター刃61が取付けられている。図示例ではカッター刃は、鋸刃とされている。なお、このカッター刃は、金属或いは硬質可塑性樹脂などにより形成することができる。また、ロールぺーパーを構成する長尺のペーパータオルに長手方向の適当間隔に裁断を容易にするための裁断用ミシン目線などを設ければ、かかるカッター刃は不要とすることができる。
【0035】
『支持機構例』
筐体1内に収納される支持機構は、既知の構成を採ることができる。図示の形態では、前記背板部14の両側板近傍からそれぞれ前板側(壁面取付け時における手前側)に向かって所定長さ延出する一対の腕部31,31を有し、その腕部31,31の先端に支持部32,32が取付けられている。なお、図示例に限らず腕部31,31は、側板部17から水平方向に突出するように延出している態様であってもよいし、天板部12から垂下するような態様であってもよいし、底板部13から天板部12に向かって起立するものであってもよい。腕部31,31は、本発明の効果を妨げない範囲で支持部32を所定位置に位置せしめるものであれば、その具体的な態様は限定されない。
【0036】
図示の支持部32,32は、通常状態において筐体内側部において水平方向内側に向かって突出しており、この前記支持部32,32が前記通常状態に付勢された状態でその基端部を軸として奥側に向かって倒れるように構成されている。
【0037】
前記一対の支持部32,32の先端32t,32t間は、ロールペーパー7の紙管21の長さ(幅)未満の距離とされ、その先端32t,32t部分が奥側に倒れたときに支持部の先端32t,32t間がロールペーパー2の幅よりも広くその間隔が開く。ロールペーパー取付け時には、手前から奥に向かって支持部32,32間にロールペーパー2を挿入し、さらに倒れた支持部32の先端32tが紙管内に位置するまで奥側へ押し込む。支持部先端32t,32tが紙管内に到着すると支持部32,32が通常状態位置への付勢によって戻り、支持部先端32t,32tが紙管21内に位置してロールペーパー2が支持機構により支持される。
【0038】
なお、支持機構としては、支持部32,32が前記通常状態に付勢された状態でその基端部を軸として先端32t,32tが円弧軌道を描きつつ上方に跳ね上げ可能に構成されているものも例示できる。
【0039】
『排紙機構』
他方、本発明のディスペンサーX1は、既知の排紙機構が採用できる。図示の形態では、前記ロールペーパー2を支持機構に取付けたときの軸心と平行な軸心を有する棒状の回転軸41の外周の適宜の位置にゴムロール部42が設けられた排紙ローラと、これと対となるニップ手段43とが支持機構の下方(底板側)に設けられており、これら排紙ローラとニップ手段により前記ロールペーパー2から巻き出されたペーパータオル20とを挟持するように構成され、前記排紙ローラ4が回転軸41を介して駆動源により回転する。
【0040】
すなわち、排紙ローラ4とニップロール43とがペーパータオル20をニップした状態にて前記モーター手段等によって回転軸41が回転されることで、ペーパータオル20を排紙口6から露出させられるように構成されている。
【0041】
なお、排紙ローラ及びニップローラの両端支持部は図示を省略している。かかる両端支持部は公知の支持機構を採用できる。前記ニップ手段43としては、前記ゴムロール部41と対になるニップロール或いは、排紙ローラ4に前記ペーパータオルを押し当てるように筐体の前板等に取付けた押えバネなどの押え手段が例示できる(この形態は、図示はしない)。
【0042】
また、モーター手段の軸と前記回転軸とが同軸である必要はなく、ギア、無端ベルト、プーリーなどの既知に機構を適宜介在させて前記回転軸41を回転させてもよい。前記モーター手段の駆動及び停止は、後述するセンサーにより検知された信号に応じて行なわれる。
【0043】
『センサー及び制御手段』
本発明にかかるセンサー5は、センサー5を頂点として円錐状に検知範囲5Sが所定の放射角で広がるものであり、かかるセンサー5自体は、既知のものから適宜選択して採用することができる。また、センサー5の仕組みについても限定されない。具体例としては、赤外線を照射する照射部と照射部から照射された赤外線によって構成されるセンサー検知範囲に被検知物が進入したことを検知する受信部とを有するIRセンサーが例示できる。
【0044】
かかるセンサー5を後述する位置に設け、当該センサー5の検知範囲5Sに使用者の手等の被検知物が進入されたときに、前記センサー5がこれを検知し、この検知信号を制御手段に送信し、制御手段を介して前記排紙機構のモーター手段等の排出ローラ4の駆動原を所定時間駆動させる。これにより駆動原の駆動時間に応じた前記排紙ローラ4の回転分だけ、排紙口6からペーパータオル20が露出させる。センサー5で検知した検知信号に応じてモーター手段等の駆動原の駆動を制御する制御手段は、特に限定されるものではなく、適宜の電気回路により構成できる。
【0045】
『センサーの取付け位置』
本発明のディスペンサーX1では、上記センサー5の取付け位置が、筐体1の下部であって筐体1の幅方向側部に位置されている。このように筐体側部に設けることで、後述するセンサー検知範囲5Sを好適に形成することができ、ディスペンサーX1の小型化と、使用者の動作に鑑みた検知範囲5Sとを可能とする。しかも意図しない物の検知を行なわないこととする検知範囲5Sとすることができる。ここで、より好ましくは、前記センサーは、筐体側部から少なくとも1cm以上離間した位置(図中、符号L3で示す)、筐体1の幅方向中央Cから側面側に1〜15cm以内(図中、符号L2で示す)の範囲であって、かつディスペンサーX1の前端から奥行き方向(背面側方向)に15cm以内(図中、符号L4で示す)の部位、特に5〜15cmの範囲に設け、その上で、特にセンサー5を設けた筐体側部と反対の筐体側部に向かうようにセンサーを方向付け、センサー5からの検知範囲5Sの中心軸がディスペンサーの幅方向の中心かつ下方に向かうようにして取り付ける。かかる取り付け態様においては、前記中心軸は、筐体内部に位置されているロールペーパー2の軸心方向と平行をなすようにしてもよいし、ディスペンサーの背面側方向に向かうように取り付けてもよい。また、ディスペンサーの前面側方向に向かうようにしてもよい。但し、前記中心軸は、筐体内部に位置されているロールペーパー2の軸心方向と平行をなすようにするか、ディスペンサーの背面側方向に向かうようにしたほうが、検知範囲がディスペンサーの前面よりも前方に位置しがたくなり、誤動作がし難くなる。
【0046】
上記のセンサー5の取付け位置とすることにより、センサー5の検知範囲5Sを使用者の動作に鑑みた好適な範囲Z1及びZ2とすることができるようになる。
【0047】
また、前記センサー5が、筐体内部において支持部に支持されたロールペーパー2と高さ方向及び奥行き方向に避ける位置、すなわち筐体内部において支持部に支持されたロールペーパー2と高さ方向及び奥行き方向において重ならない位置に設けられているのが望ましい。コンパクト化を達成しやすくなる。
【0048】
また、自動排紙のディスペンサーX1では、従来技術の欄でも説明したとおり、電源として電池を使用することがある。本発明のディスペンサーX1では、センサー5を筐体側部に位置せしめたため、筐体中央部に電池格納場所を確保することができる。そして、電池はディスペンサーX1を構成する部品のなかでも重量のある部品であるため、筐体1の中央部に電池を納めることが可能となるとディスペンサーの重心が安定する。また、電池交換もし易い位置である。さらに、支持されたロールペーパーの下部においてディスペンサーの幅方向に沿って電池を直列に置くこともできるようになり、この場合、ディスペンサーの厚さ(奥行き方向の長さ)を薄くでき、コンパクト化を図ることができる。
【0049】
『センサーの検知範囲』
本発明のディスペンサーX1のセンサー5の検知範囲5Sは、少なくともディスペンサーX1(筐体1)の幅方向中央から下方5cmの位置から、幅方向に各5cm、下方に20cmの範囲Z1を含むようにするのが望ましく、この範囲を十分にカバーできる。そして、上記のとおりセンサー5の検知範囲5Sはセンサー5を中心として放射的に円錐状となるが、本発明のセンサー5の位置では、中央部にセンサーを設けた場合と比較して、ディスペンサー下部の上記好適な範囲までの距離がセンサーから遠くなるため円錐状の裾の広がった部分で広くカバーできるようになり、もって十分な検知範囲を確保することができる。また、検知範囲5Sが狭くなるセンサー近傍は筐体側部という使用者が手をかざし難い位置になるため検知が不十分になることがない。さらに、かかる範囲Z1からディスペンサーの幅方向の左右方向にオフセットした位置(符号Z2の位置)も従来ディスペンサーよりもカバーし易くなる。
【0050】
ここで、上記範囲を十分なものとならしめるには、ディスペンサーX1の大きさを考慮して、センサー5からの検知範囲の放射角θを30〜90°、さらにセンサーの中心軸A1(検知範囲が円錐状となる場合にはその垂軸)とディスペンサーX1の幅方向中央を通る基準床面への垂面A2との正面視における交点Pが前記センサー5から100〜200mmの距離L5にあるように調整する。
【0051】
なお、センサー5による検知範囲5Sが、ディスペンサーX1の前端から下方に垂下する仮想面及びディスペンサーの両側端から下方に垂下する仮想面で囲まれる範囲にあるのが望ましい。例えば、仮想面を超えて更に下方に垂下した場合、足等の部分にてセンサーが反応し、シートが繰り出されることもありうる。すなわち、ディスペンサーX1の下方投影範囲を超えないようにするのが望ましい。かかる範囲を超えると誤動作の原因となることがある。本発明では、かかる範囲に納めるに既知の方法によりセンサー出力を適宜調整することにより簡易に達成することができる。
【0052】
ここで、本発明のディスペンサーではセンサー5は一つに限らない、複数あってもよい。例えば、ディスペンサーの側部左右にそれぞれ設けてもよい。一つだけ設けるのであれば、使用者の利き手側に設けるのがよい。例えば使用者の多くが右利きであれば、ディスペンサーに向かって右側に設けるのが望ましい。また、この場合両者の検知範囲は重ならないようにすることができる。
【0053】
以上の本発明にかかる自動排紙のディスペンサーでは、センサーをディスペンサーの所定の位置に設けたことにより、検知範囲を広くでき、しかもディスペンサーのコンパクト化を達成することができる。
【符号の説明】
【0054】
X1,X2…ロールペーパータオル用ディスペンサー、1…筐体、2…ロールペーパータオル、20…ペーパータオル、4…排紙ローラ、5…センサー、5S…検知範囲、6…排紙口、10…ケース本体、11…蓋体、12…天板部、13…底板部、14…背板部、15…本体側板部、16…前板部、17…蓋体側板部、18…蝶番機構、61…カッター刃、31…腕部、32…支持部、32t…支持部先端、21…紙管、41…回転軸、42…ゴムロール部、43…ニップ手段(ニップローラ)、Z1…好ましい検知範囲、P…交点、L1…基準床面からディスペンサー下面までの距離、L2…ディスペンサーの幅方向中央からセンサーの取り付け位置までの距離、L3…ディスペンサーの幅方向側面からセンサーの取り付け位置までの距離、L4…ディスペンサーの前面からセンサー取り付け位置までの距離、L5…センサーから交点Pまでの距離。
図1
図2
図3
図4
図5