(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の体内固定部は、圧潰されたときに翼部が折れ曲がって放射状に花弁のように広がることで、チューブの直径よりも大きい直径を有する部分(バンパー)を形成している。そして、このバンパーにより、瘻孔カテーテルを胃壁などの消化管壁内に固定するよう構成されている。特許文献1に記載のバンパーは、先端がフック形状に変化するキャッチという部材を用いて形成される。
【0006】
バンパーをたとえば胃内に留置する場合、キャッチという部材も一緒に胃内に留置されることになる。キャッチという部材が胃内に留置されると、その全体が胃液や栄養剤等に晒されることになる。そうすると、キャッチを形成している材料が劣化して、強度が低下することになる。キャッチの強度が低下すると、バンパーを形成しているカラー部の弾性に負け、バンパー形状が維持できなくなってしまう。そのような場合に、患者が瘻孔カテーテルを引き抜こうとすると、簡単に瘻孔カテーテルが抜けてしまうことがあった。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、瘻孔カテーテルに用いられ、体内固定部を形成する部材の保持の安定化を図るようにした留置補助具、及び、その留置補助具を備えた瘻孔カテーテルを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る留置補助具は、瘻孔カテーテルに形成される体内固定部の留置補助具であって、体内固定部に少なくとも一部が挿入される筒状本体部を有し、筒状本体部は、先端側に形成され、筒状本体部が挿入された体内固定部の軸方向の一端側を保持する先端側保持部と、先端側保持部よりも基端側に形成され、筒状本体部が挿入された体内固定部の軸方向の他端側を外周面で軸方向に移動可能に保持する基端側保持部と、を備え
、基端側保持部は、外径が体内固定部の内径よりも大きく、基端側保持部の外周面と体内固定部の内周面との間に生じる摩擦力により体内固定部を保持するものである。
【0009】
本発明に係る留置補助具は、先端側保持部が、径方向外側に向かって突出させた部分を少なくとも一つ備えているものである。
【0010】
本発明に係る留置補助具は、先端側保持部が、径方向外側に向かって拡径したつば状の第1拡径部と、第1拡径部の基端側に形成され、径方向内側に向かって第1拡径部よりも縮径した縮径部と、縮径部の基端側に形成され、径方向外側に向かって拡径した第2拡径部と、を有しているものである。
【0011】
本発明に係る留置補助具は、縮径部が、先端側保持部の外壁の少なくとも一部を径方向に突出させて形成した突起部を備えているものである。
【0012】
本発明に係る留置補助具は、第2拡径部は、第2拡径部の外周の少なくとも一部を先端方向に立設させて形成した突起部を備えているものである。
【0013】
本発明に係る留置補助具は、先端側保持部に対して、体内固定部の軸方向の一端側を外周側から締結する締結部を設けたものである。
【0014】
本発明に係る留置補助具は、基端側保持部の外周面の少なくとも一部を、先端側から基端側に向けてテーパー形状にしているものである。
【0015】
本発明に係る留置補助具は、基端側保持部の外周面の少なくとも一部に径方向外側に向かって拡径した拡径部を設け、その拡径部から基端側に向けてテーパー形状にしているものである。
【0016】
本発明に係る留置補助具は、先端側保持部と基端側保持部との間における流体が流通可能な貫通穴を壁面の少なくとも一部に形成したものである。
【0017】
本発明に係る留置補助具は、筒状本体部の内腔の径を、筒状本体部の内腔に挿入される伸展具の係合部の径に基づいて決定しているものである。
【0018】
本発明に係る留置補助具は、筒状本体部の内腔に内部突起を形成し、この内部突起によって、筒状本体部の内腔に挿入される伸展具の係合部が係止されるものである。
【0019】
本発明に係る瘻孔カテーテルは、上記の留置補助具と、チューブを備えたカテーテル部と、カテーテル部の遠位端側に形成され、消化管壁内に留置される体内固定部と、を有する瘻孔カテーテルにおいて、体内固定部は、チューブの先端部が留置補助具の先端側保持部に固定された状態で、チューブの先端側と基端側とを近づけることにより、チューブの一部が径方向外側に向かって延び、さらにこれと反対側に屈曲して径方向内側に向かって延びる形状に変形させ、チューブの変形位置から基端側でチューブを基端側保持部で保持することで形成しているものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る留置補助具は、先端側に形成され、筒状本体部が挿入された体内固定部の軸方向の一端側を保持する先端側保持部と、先端側保持部よりも基端側に形成され、筒状本体部が挿入された体内固定部の軸方向の他端側を外周面で軸方向に移動可能に保持する基端側保持部と、を備え
、基端側保持部の外径が体内固定部の内径よりも大きく、基端側保持部の外周面と体内固定部の内周面との間に生じる摩擦力により体内固定部を保持する筒状本体部を有しているので、形成された体内固定部の軸方向の他端側を基端側保持部で保持した状態において先端側保持部及び基端側保持部の外周面、つまり体内固定部の保持部分が胃液や栄養剤等に晒されることなく、体内固定部の一端側及び他端側の保持を安定的に維持することができる。このため、体内固定部を形成している材料の弾性等に依存することなく、体内固定部の形状を安定して維持することが可能になる。
【0021】
本発明に係る留置補助具は、先端側保持部が、径方向外側に向かって突出させた部分を少なくとも一つ備えているので、比較的簡易な構造で体内固定部の一端側を保持できる。
【0022】
本発明に係る留置補助具は、先端側保持部が、径方向外側に向かって拡径したつば状の第1拡径部と、第1拡径部の基端側に形成され、径方向内側に向かって第1拡径部よりも縮径した縮径部と、縮径部の基端側に形成され、径方向外側に向かって拡径した第2拡径部と、を有しているので、比較的簡易な構造で体内固定部の一端側を保持できる。
【0023】
本発明に係る留置補助具は、縮径部が、先端側保持部の外壁の少なくとも一部を径方向に突出させて形成した突起部を備えているので、比較的簡易な構造で体内固定部の一端側を保持できる。
【0024】
本発明に係る留置補助具は、第2拡径部は、第2拡径部の外周の少なくとも一部を先端方向に立設させて形成した突起部を備えているので、比較的簡易な構造で体内固定部の一端側を引っかけ保持することができる。
【0025】
本発明に係る留置補助具は、先端側保持部に対して、体内固定部の軸方向の一端側を外周側から締結する締結部を設けたので、更に強固に体内固定部の一端側を保持することが可能になる。
【0026】
本発明に係る留置補助具は、基端側保持部の外周面の少なくとも一部を、先端側から基端側に向けてテーパー形状にしているので、比較的簡易な構造で体内固定部の他端側を保持することができる。
【0027】
本発明に係る留置補助具は、基端側保持部の外周面の少なくとも一部に径方向外側に向かって拡径した拡径部を設け、その拡径部から基端側に向けてテーパー形状にしているので、更に強固に体内固定部の他端側を保持することができる。
【0028】
本発明に係る留置補助具は、先端側保持部と基端側保持部との間における流体が流通可能な貫通穴を壁面の少なくとも一部に形成したので、流体を安定的に、また多方向に供給することが可能になる。
【0029】
本発明に係る留置補助具は、筒状本体部の内腔の径を、筒状本体部の内腔に挿入される伸展具の係合部の径に基づいて決定しているので、留置補助具の内腔の構成を伸展具の構成に応じて簡素化することができる。また、簡素な構成でありながら、伸展具との係止をより強固なものとすることが可能になる。
【0030】
本発明に係る留置補助具は、筒状本体部の内腔に内部突起を形成し、この内部突起によって、筒状本体部の内腔に挿入される伸展具の係合部が係止されるので、留置補助具の内腔の構成を簡素化することができる。また、簡素な構成でありながら、伸展具との係止をより強固なものとすることが可能になる。
【0031】
本発明に係る瘻孔カテーテルは、上記の留置補助具と、チューブを備えたカテーテル部と、カテーテル部の遠位端側に形成され、消化管壁内に留置される体内固定部と、を有する瘻孔カテーテルにおいて、体内固定部は、チューブの先端部が留置補助具の先端側保持部に固定された状態で、チューブの先端側と基端側とを近づけることにより、チューブの一部が径方向外側に向かって延び、さらにこれと反対側に屈曲して径方向内側に向かって延びる形状に変形させ、チューブの変形位置から基端側でチューブを基端側保持部で保持することで形成しているので、体内固定部の形状を安定して維持することができる。したがって、体表側から瘻孔カテーテルが引っ張られた場合でも、体内固定部の形状が維持されるので、瘻孔から瘻孔カテーテルが抜けにくい。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、実施の形態に係る留置補助具60の構成例の一つを示す概略図である。
図17は、先端側保持部63の一例を示す説明図である。
図18は、先端側保持部63の別の一例を示す説明図である。
図1、
図17、
図18に基づいて、留置補助具60の構成について説明する。
図1(a)が留置補助具60の側面図を、
図1(b)が留置補助具60の断面図を、それぞれ示している。留置補助具60は、瘻孔カテーテルの先端側に形成されるいわゆるバンパー形状の体内固定部の形状を維持するのに寄与する機能を有するものである。なお、
図1を含め、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
【0034】
留置補助具60は、ステンレス、チタン等の金属、又は、ポリウレタン等の樹脂で構成され、内部に流体物を通過させるための内腔を有している。なお、留置補助具60の構成材料を特に限定するものではないが、胃内等に留置されるため、胃液や栄養剤等によって劣化しにくい生体適合性材料で構成するとよい。
【0035】
図1(a)に示すように、留置補助具60は、体内固定部が形成される部材(たとえば、瘻孔カテーテルを形成するチューブやそのチューブの先端に取り付けられ、変形可能な樹脂材料で少なくとも一部が筒状に形成された部材等、以下体内固定部形成部材と称する)の内径よりも大きな外径を有し、体内固定部の形成側に少なくとも一部が挿入される筒状本体部60Aを有している。この筒状本体部60Aは、先端側保持部63と、基端側保持部64と、中間部66と、で構成されている。なお、「先端」とは、体内への挿入側をいい、
図1における図面下側を示す。「基端」とは先端の反対側をいい、
図1における図面上側を示す。
【0036】
先端側保持部63は、筒状本体部60Aの先端側に形成され、接着や係止によって体内固定部形成部材の先端部を保持する機能を有している。基端側保持部64は、筒状本体部60Aの先端側保持部63よりも基端側に形成され、外周面で体内固定部形成部材を軸方向に移動可能に保持する機能を有している。中間部66は、先端側保持部63と基端側保持部64とを接続する位置に形成されている。
【0037】
先端側保持部63は、径方向外側に向かって拡径し、体内固定部形成部材の先端部が当接するつば状の第1拡径部63aと、第1拡径部63aの基端側に形成され、径方向内側に向かって第1拡径部63aよりも縮径した縮径部63bと、縮径部63bの基端側に形成され、径方向外側に向かって拡径した第2拡径部63cと、を有している。このようにすれば、留置補助具60を複雑な形状にすることなく、体内固定部形成部材の先端部を容易に保持することが可能になる。
【0038】
第1拡径部63aは、先端に向かって緩やかに縮径する形状を有し、挿入/抜去時や留置時に第1拡径部63aによって瘻孔や消化管壁を傷つけにくいように構成されている。この第1拡径部63aは、体内固定部形成部材の先端部から突出した位置に配置される。なお、先端側保持部63と体内固定部形成部材とは摩擦力により係止されているが両者をより強固に保持するように、たとえば接着剤を用いて接着するとよい。
【0039】
縮径部63bは、少なくとも一部が体内固定部形成部材の先端部の内壁と当接し、その先端部を保持固定するのに寄与している。縮径部63bは、たとえば先端側保持部63の外周に周状に形成した溝等で形成することができる。
【0040】
第2拡径部63cは、基端に向かって緩やかに縮径する形状を有し、形成された体内固定部の形状安定化を補助する機能を有している。この第2拡径部63cは、体内固定部形成部材の内腔内における体内固定部の先端側形成部に配置される。
【0041】
なお、先端側保持部63の形状を
図1に示すものに限定するものではない。すなわち、先端側保持部63は、体内固定部形成部材の先端部を保持する機能を有していればどのような形状でも採用することができる。たとえば、
図17(a)に示すように、突出部63fを先端側保持部63の少なくとも一部に形成してもよい。この突出部63fは、チューブ10の先端部10Aの少なくとも一部を引っかけることができるようにしたものである。突出部63fは、先端側保持部63の外壁の少なくとも一部を径方向に突出させて形成するとよい。また、突出部63fを、
図17(b)に示すような先端側保持部63の全周に亘って形成してもよく、
図17(c)に示すような先端側保持部63の一部に形成してもよい。
【0042】
さらに例を挙げれば、先端側保持部63を、
図18(a)に示すように径の異なる複数の段部を重ね、先端から基端に向かって段階的に拡径するような形状にしてもよい。あるいは、先端側保持部63を、
図18(b)に示すように径の異なる複数の段部を重ね、先端から基端に向かって段階的に縮径するような形状にしてもよい。
図18に示すような形状で先端側保持部63を形成する場合であっても、段部の少なくとも一部を径方向外側に向かって突出したものとしておき、
図17に示した突出部63fと同様に機能させるようにする。
【0043】
基端側保持部64は、体内固定部形成部材が軸方向に移動可能に、体内固定部形成部材の内周面を保持する。ここで、軸方向に移動可能に保持されるとは、基端側保持部64が、体内固定部形成部材の状態、すなわち伸展状態か伸展状態が解除された状態かによって、体内固定部形成部材の内周面の異なる位置と保持されることを意味する。ただし、基端側保持部64は、体内固定部形成部材が伸展された状態、つまり体内固定部が形成されていない状態においては、体内固定部形成部材の内面を保持していてもよいが、必ずしも体内固定部形成部材の内面を必ずしも保持していなくてもよい。一方、基端側保持部64は、体内固定部形成部材が圧縮された状態、つまり体内固定部が形成された状態においては、体内固定部形成部材の内面を保持していなければならない。本実施の形態では、基端側保持部64の外径は体内固定部形成部材の内径よりも大きく構成されている状態を示しており、基端側保持部64と体内固定部形成部材の内周面との間に生じる摩擦力により、体内固定部形成部材の内周面が基端側保持部64に保持されている。
【0044】
中間部66は、留置補助具60における先端側保持部63と基端側保持部64とを接続している部分であり、体内固定部が形成された際に、体内固定部形成部材が接触しない位置に相当している。そこで、中間部66に流体が流通可能な貫通穴67を留置補助具60の壁面の一部に貫通するように形成しておけば、栄養剤等の流通性が向上することになる。この貫通穴67は、
図1に示すように、全周に亘って複数形成しておくとよい。
【0045】
図1(b)に示すように、留置補助具60の内周面には、径方向内側に向かって突出する内部突起65を設けるとよい。内部突起65は、後述する伸展具の先端部と係合する機能を有する。なお、ここでは、内部突起65が形成されている状態を例に示しているが、留置補助具60に挿入される伸展具の先端部によって係止できるのであれば必ずしも設けなくてもよい。
【0046】
以上のように構成された留置補助具60を用いれば、体内固定部形成部材は、先端部が先端側保持部63で、体内固定部の形成位置よりも基端側が基端側保持部64で、それぞれ保持されることになる。したがって、留置補助具60は、動きが激しく、内容物(流動食や栄養剤等を含む)や体液に晒される消化管壁内においても、形成された体内固定部の軸方向の他端側を基端側保持部64で保持した状態において先端側保持部63及び基端側保持部64の外周面が内容物や体液に晒されることがない。そのため、体内固定部の形状がより保たれやすくなり、瘻孔カテーテルの留置状態を良好に保つことができ、自己抜去等の意図しない抜去を抑制することができる。
【0047】
また、留置補助具60が体内固定部形成部材に挿入されると、留置補助具60の外周面が体内固定部形成部材の内腔に密着することになる。このため、留置補助具60と体内固定部形成部材との間に胃液や栄養液が入りにくくなり、留置補助具60と体内固定部形成部材との接触面の劣化を抑制することができる。また、留置補助具60が栄養剤等によって滑って外れてしまう等のトラブルが起きにくくなる。その結果、留置補助具60と体内固定部形成部材との密着状態が安定的に保たれ、体内固定部の形状が維持されることになる。
【0048】
図2は、実施の形態に係る留置補助具60を用いた瘻孔カテーテル1の要部模式図である。
図3は、実施の形態に係る瘻孔カテーテル1の体内固定部Bを伸展させる動作を断面で示す模式図である。
図4は、瘻孔カテーテル1の斜視図である。
図5は、瘻孔カテーテル1の側面図である。
図6は、瘻孔カテーテル1の平面図である。
図7は、瘻孔カテーテル1の底面図である。
図8は、瘻孔カテーテル1の伸展状態を示す側面模式図である。
図9は、
図8のA−A矢視断面模式図である。
図10は、瘻孔カテーテル1の挿入/抜去動作を説明する図である。
図11は、瘻孔カテーテル1の留置状態を説明する図である。
図2〜
図11に基づいて、留置補助具60を用いた瘻孔カテーテル1について詳しく説明する。
【0049】
図10に示すように、瘻孔カテーテル1は、患者の腹壁71と消化管壁72とを貫通するように形成された瘻孔73に装着されるものである。この瘻孔カテーテル1は、
図2に示すように、カテーテル部Aと体内固定部Bとを備えている。カテーテル部Aは、瘻孔73に挿入され、栄養剤等の流体を通過させる機能を有する。体内固定部Bは、瘻孔カテーテル1が患者の瘻孔73に留置されたときに胃壁等の消化管壁72内に位置し、瘻孔カテーテル1が患者の瘻孔73から抜けるのを抑制する機能を有する。そして、瘻孔カテーテル1は、上述した留置補助具60を備えている。なお、ここでは、体内固定部形成部材としてチューブを用いた場合を例に挙げて説明する。
【0050】
なお、以降の説明において、「近位」とは、瘻孔73に設置された状態における瘻孔カテーテル1のカテーテル部Aの端部側をいい、
図2における図面上側を示す。また、「遠位」とは近位の反対側をいい、
図2における図面下側を示す。
【0051】
瘻孔カテーテル1は、チューブ10を備えている。チューブ10は、例えばポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂材料で構成され、内部に栄養剤等の流体物を通過させるための内腔を有している。チューブ10の材料を上記材料に限定するものではないが、熱賦形が可能であり、熱賦形後においても可撓性を有する材料を用いる。
【0052】
図8及び
図9に示すように、チューブ10には、チューブ内外を連通する複数のスリット11が軸方向に沿って設けられている。本実施の形態では、スリット11の本数が3本である場合を例に示している。スリット11の長さは、特に限定するものではなく、体内固定部Bの形状や大きさ等に応じて決定すればよい。スリット11は、チューブの軸方向に平行に設けることができるが、軸方向に対して斜めに設けてもよい。また、本実施の形態では、3本の各スリット11は、チューブ10の周壁をほぼ三等分する位置に設けられている。
【0053】
このスリット11によりチューブ10の周壁が複数に分割され、分割されたことによりそれぞれ3つのベルト12が形成されている。各ベルト12はその上端部及び下端部においてチューブの周壁として一つにつながった状態である。そして、ベルト12の遠位端側と近位端側とを軸方向に近づけるようにして、チューブ10の遠位端が近位端側に向かって押されると、ベルト12がその弾性により曲がり、
図2、
図3に示すような翼部13が形成される。
【0054】
図2に示すように、チューブ10は、3つの翼部13を備えている。翼部13は、チューブ10の近位端側から径方向外側に向かって延び、さらにこれと反対方向に屈曲する屈曲部16を有し、この屈曲部16に連続して径方向内側に向かって延びる形状を有している。なお、翼部13の形状を特に限定するものではなく、チューブ等の体内固定部形成部材の有する弾性によって変形可能な形状であればよい。なお、屈曲部16は、断面が略U字形状となるような弧を描くように屈曲しているが、これに限定するものではなく、鋭角に屈曲してもよい。
【0055】
図8に示す状態のチューブ10の遠位端を、近位端側に近づけるようにして押し、ベルト12を径方向外側に向かって屈曲させることで、翼部13を形成する。そうすると、
図2〜
図7に示すような形状の体内固定部Bが形成されるので、この状態で熱賦形することにより、瘻孔カテーテル1が作製されている。ここでは、チューブ10の熱賦形によって体内固定部Bの形状が決定されている場合を例に説明するが、これに限定するものではない。すなわち、留置補助具60を用いれば、留置補助具60によって体内固定部Bの形状を保持することが可能になるので、体内固定部Bの形状を熱賦形によって予め決定しておく必要はない。
【0056】
チューブ10は、熱賦形後においても可撓性を有する材料で構成されている。したがって、チューブ10の遠位端15を、近位端14側から軸方向に離すことで、チューブ10は、ほぼまっすぐに伸びた伸展状態となる(
図8参照)。そして、この伸展状態を解除すると、再び
図2に示すよう翼部13が形成された状態となる。なお、上記したように、熱賦形していないチューブ10を使用していれば、伸展状態を解除しても、翼部13が形成された状態には戻らない。この場合は、後述する伸展具50を用いて留置補助具60を手前側に引き寄せて翼部13を形成し、基端側保持部64で体内固定部Bの軸方向の他端側を保持することで、体内固定部Bが形成されることになる。
【0057】
留置補助具60は、上述したように、チューブ10の一部が弾性変形することで形成される体内固定部Bの形状の安定化に寄与するものである。すなわち、留置補助具60の先端側保持部63が接着や係止によってチューブ10の先端部10A(先端面10a及び先端部内周面10b)を保持し、留置補助具60の基端側保持部64が外周面で翼部13の開始端P(
図3参照)よりも近位端側の内周面を保持する。これにより、先端側保持部63と基端側保持部64とが、チューブ10の近位端と遠位端とが近づくことにより形成される翼部13の状態を維持させるようになっている。
【0058】
したがって、チューブ10は、先端部10Aが先端側保持部63で、体内固定部Bの形成位置よりも基端側が基端側保持部64で、それぞれ保持されるようになっている。したがって、動きが激しく内容物や体液に晒される消化管壁72内においても、体内固定部Bの形状がより保たれやすくなる。このため、瘻孔カテーテル1の留置状態を良好に保つことができ、自己抜去等の意図しない抜去を抑制することができる。
【0059】
また、留置補助具60がチューブ10に挿入されると、留置補助具60の外周面がチューブ10の内腔に密着することになる。このため、留置補助具60とチューブ10との間に胃液や栄養液が入りにくくなり、留置補助具60とチューブ10との接触面の劣化を抑制することができる。また、留置補助具60が栄養剤等によって滑って外れてしまう等のトラブルが起きにくくなる。その結果、留置補助具60とチューブ10との密着状態が安定的に保たれ、体内固定部Bの形状が維持されることになる。
【0060】
次に、このように構成された瘻孔カテーテル1の瘻孔73への留置動作について説明する。まず、瘻孔カテーテル1の体内固定部Bを伸展させ、この体内固定部Bを胃壁や腸壁等の消化管壁72内に挿入するために用いる伸展具50について説明する。
【0061】
図10に示すように、伸展具50は、先端側に設けられた係合部51と、係合部51とは反対側の端部に設けられた操作部52と、操作部52と係合部51との間に設けられた軸部53とを有する。係合部51及び軸部53は、チューブ10の内腔に挿入可能に構成されている。特に、係合部51は、留置補助具60の内腔に挿入可能になっている。操作部52は、例えば合成樹脂や金属で構成されており、術者が指をかけることができるような形状を有している。
【0062】
係合部51は、留置補助具60の内腔に形成されている内部突起65の内径と同じか、それよりも大きな径となるよう構成されている。また係合部51の軸方向の長さは、留置補助具60の内腔に形成されている内部突起65の長さに応じて決定すればよい。なお、内部突起65が形成されていない留置補助具60を用いる場合、留置補助具60の内腔自体で係合部51と係止するようにしてもよい。この場合、係合部51は、留置補助具60の内径よりも大きな径となるように構成するとよい。
【0063】
このように構成された係合部51を、伸展させた状態のチューブ10の内腔内に位置させる。留置補助具60の内腔には内部突起65が設けられているので、伸展具50の係合部51は内部突起65に係止される。このようにすると、係合部51の外面と内部突起65の内周面とが密着し、係合部51の外面とチューブ10の内周面とに生じる摩擦力により、チューブ10の伸展状態が保持される。なお、ここで説明した伸展具50の構成は伸展具としての一例であり、その形状や瘻孔カテーテル1を伸展させるための構造を限定するものではない。
【0064】
次に、
図3(a)〜
図3(c)を参照して、瘻孔カテーテル1の伸展動作を説明する。なお、
図3では、先端側保持部63とチューブ10との保持部分、及び、基端側保持部64とチューブ10との保持部分を太線で強調して図示している。なお、
図3では、チューブ10の伸展状態において基端側保持部64がチューブ10の内周面に当接されている状態を例に示しているが、これに限定するものではなく、スリット11の設置部分における長さによっては、チューブ10の伸展状態において基端側保持部64がチューブ10の内周面に当接されている必要はない。つまり、基端側保持部64は体内固定部Bが形成された際にチューブ10の内周面を保持できればよいのである。
【0065】
図3(a)に示すように、瘻孔カテーテル1のチューブ10には翼部13が形成された状態であるものとする。このような状態で、伸展具50をチューブ10及び留置補助具60の内腔に挿入する。伸展具50は、留置補助具60の内周面と着脱可能に固定される係合部51を有している。ここでは、留置補助具60に設けられた内部突起65の内周面と、係合部51の外周面との間に生じる摩擦力により、両者が固定される構成となっている。すなわち、伸展具50を留置補助具60内の適当な位置まで挿入すると、係合部51と留置補助具60の内部突起65との間に摩擦力が働き、留置補助具60内における伸展具50の進行が停止される。
【0066】
この状態で伸展具50がさらに押し込まれることにより、基端側保持部64におけるチューブ10内周面との摩擦力を超える力が加えられると、両者の固定はいったん解除される。そうすると、
図3(b)に示すように、伸展具50の係合部51と係合された留置補助具60は、伸展具50に伴って遠位端側に進む。そして、この留置補助具60と先端側保持部63により固定されたチューブ10の先端部10Aもまた遠位端側に進むこととなる。このようにして、伸展具50を押し込むことで、チューブ10の翼部13が伸び、
図3(c)のような状態となる。このような動作を実現するため、係合部51と留置補助具60の内部突起65との間に生じる摩擦力は、基端側保持部64とチューブ10内周面との間に生じる摩擦力よりも大きくなるよう構成されている。このようにすることで、瘻孔カテーテル1は伸展状態となり、瘻孔73への挿入/抜去が可能となる。
【0067】
このように、本実施の形態によれば、チューブ10内に挿入される留置補助具60を備えた。この留置補助具60は、チューブ10のスリット11の近位端側端部よりも近位端側におけるチューブ10の内周面に軸方向に移動可能にチューブ10を保持する基端側保持部64を備え、チューブ10のスリット11の遠位端側端部よりも遠位端側におけるチューブ10を保持する先端側保持部63を備えている。翼部13が形成された状態で、基端側保持部64と先端側保持部63がチューブ10と保持されることで、翼部13の形状を維持することができる。このため、動きが激しく内容物や体液に晒される消化管壁72内においても、体内固定部Bの形状がより保たれやすくなる。したがって、瘻孔カテーテル1の留置状態を良好に保つことができ、自己抜去等の意図しない抜去を抑制することができる。
【0068】
なお、留置補助具60と伸展具50との着脱可能な固定構造は、上記した係合部51と内部突起65による摩擦力を利用したものに限定されず、瘻孔カテーテル1の翼部13を伸展させるべく伸展具50を押し込んだときに伸展具50と留置補助具60とを固定可能であって、留置補助具60によって体内固定部Bとして機能する形状を形成した後に、両者が離れる構成であればよい。例えば、留置補助具60の内周面と伸展具50の先端近傍の外周面に互いに螺合するネジを設けてもよい。
【0069】
次に、このように構成された瘻孔カテーテル1の瘻孔73への留置動作について説明する。
図10に示すように、伸展具50により伸展された状態の瘻孔カテーテル1を、腹壁71と消化管壁72とに形成された瘻孔73に挿入する。瘻孔カテーテル1の径は、最大でも留置補助具60が挿入されている状態のチューブ10の径と同じであり、瘻孔73を通過する際の抵抗が低い。このため、瘻孔73を傷つけるリスクが少ない。
【0070】
そして、適度な挿入深度となったところで、カテーテル部Aが抜けないように腹壁71側に押さえつつ、術者が伸展具50を手前側に引っ張る。係合部51と内部突起65との摩擦力を超える力で引っ張ることで、係合部51と留置補助具60との密着状態が解除され、伸展具50がチューブ10内から引き抜かれる。瘻孔カテーテル1は、熱賦形されているため、伸展具50が引き抜かれて伸展状態が解除されると、
図11に示すように体内固定部Bが形成された状態になる。伸展具50を引き抜くだけで、伸展状態の瘻孔カテーテル1を体内固定部Bが形成された状態にすることができ、手技が簡便である。
【0071】
なお、上述したように、熱賦形されていないチューブ10を用いた場合には、留置補助具60が係合されている状態の伸展具50を手前側に引っ張り、留置補助具60の基端側保持部64の外周面で体内固定部Bの軸方向の他端側を保持させ、留置補助具60によって体内固定部Bとして機能する形状にした後、伸展具50と留置補助具60との密着状態を解除して伸展具50を引き抜けばよい。この場合でも、操作としては伸展具50を引き抜くだけであるので、簡便な手技で体内固定部Bが形成された状態にすることができる。
【0072】
瘻孔73に留置されたカテーテルのカテーテル部Aの近位端は、体外に露出した状態である。この露出したカテーテル部の近位端に、任意の体外固定部を接続する。体外固定部としては、ボタン型のカテーテルのようにチューブの端部に固定されたタイプ、あるいはチューブ型のカテーテルのようにチューブに体外固定部を脱着可能に取り付けるタイプがあるがいずれであってもよい。また、体外固定部との接続構造も任意のものを用いることができる。
【0073】
図11に示すように、体内固定部Bが形成された状態となり消化管壁内に留置された瘻孔カテーテル1は、翼部13の上面(近位端側の面)が消化管壁に接触する。
図6に示すように、翼部13の中心部(すなわち、チューブ10の外周面近傍)には、チューブ10の翼部13でほぼ円形の面Sが形成される。この面Sが、消化管壁72の瘻孔73の周囲に当接する。面Sで消化管壁72に接触するので、消化管壁72に対する侵襲が少ない。また、翼部13を、消化管壁72に対して丸みを帯びた形状としておけば、消化管壁72に対する当たりがやわらかく、消化管壁72への侵襲を更に低減できる。
【0074】
また、例えば腹壁71側から瘻孔カテーテル1が引っ張られた場合、翼部13の上面が消化管壁72に押し当てられ、放射状に広がった状態のチューブ10の翼部13には、閉じようとする方向に力が働く。すなわち、チューブ10の翼部13は、屈曲部16が径方向内側に移動して翼部13の外径が小さくなろうとする。しかし、留置補助具60により体内固定部Bの形状が維持され、自己抜去等の意図しない瘻孔カテーテル1の抜去を抑制することができる。
【0075】
なお、留置状態の瘻孔カテーテル1を瘻孔73から抜去する際には、挿入時と同様の手技により瘻孔カテーテル1の体内固定部を伸展させた状態にして引き抜けばよい。
【0076】
このように、本実施の形態によれば、劣化しにくい材料で構成された留置補助具60を用いて、消化管壁72内におけるチューブ等の体内固定部形成部材との保持状態が解除されにくく、その結果、体内固定部Bの形状を長期間、安定的に維持することが可能になる。そのため、体内固定部Bが変形してしまうことによる消化管壁への侵襲をより低減できる。したがって、体内固定部Bの形状を長期間、安定的に維持することができ、自己抜去等の意図しない抜去を抑制することもできる。
【0077】
また、瘻孔カテーテル1は、伸展状態においてその外径はチューブ10の外径(第1拡径部63aで若干大きくなっている外径)である。このため、一般的な合成樹脂製の消化管壁内において拡径するよう構成されたバンパーと比較して、伸展時における外径が小さい。したがって、挿入/抜去時における瘻孔に対する抵抗が少なく、瘻孔73を傷つけるリスクを低減できる。また、瘻孔カテーテル1は、チューブ10と留置補助具60という2つの部材で構成されており、部品点数が少ない。このため、製造コストの増加を抑制できる。さらに、瘻孔カテーテル1は、遠位端側と近位端側とを引き離すことで容易に伸展状態となるので、挿入/抜去時の手技が容易であり、術者の負担を軽減できる。
【0078】
なお、上記実施の形態で述べた構成のほか、以下のような応用も可能である。スリット11の数は、上記説明ではチューブ10に3本としたが、2本以上の任意の数とすることができる。また、スリット11は、それぞれ、チューブ10の周壁を径方向に三等分する位置に設けた例を示したが、三等分ではない位置に設けてもよい。上記説明では、チューブ10にベルト12を形成するためにスリット11を設けた例を示した。このスリットは、チューブ10に細い隙間を形成するものであるが、このようなスリットではなく、切れ目を設けてもよい。
【0079】
ここで、留置補助具60の別の構成例について説明する。
図12は、留置補助具60の別の構成例を示す概略断面図である。
図13は、留置補助具60の更に別の構成例を示す概略図である。
図14は、留置補助具60の更に別の構成例を示す概略図である。
図15は、留置補助具60の更に別の構成例を示す概略断面図である。
図16は、留置補助具60の更に別の構成例を示す概略断面図である。なお、
図13(a)が留置補助具60の概略断面図を、
図13(b)がチューブ10の先端部10Aの構成例を示す概略図を、それぞれ示している。また、
図14(a)が留置補助具60の概略断面図を、
図14(b)がチューブ10の先端部10Aの構成例を示す概略図を、
図14(c)が留置補助具60の平面図を、それぞれ示している。
【0080】
留置補助具60は、上述したように、チューブ10の翼部13の形状、つまり体内固定部Bの形状を維持するのに寄与する機能を有するものである。留置補助具60の一つの構成例について
図1に基づいて説明したが、留置補助具60の構成をそれだけに限定するものではない。そこで、留置補助具60の別の構成例について説明する。
図12〜
図14では、留置補助具60の先端側保持部63の構成例を示している。
図15及び
図16では、留置補助具60の基端側保持部64の構成例を示している。
【0081】
図12に示す留置補助具60は、
図1で示した構成に加え、更に別部材の締結部61を備えている。この締結部61は、チューブ10の先端部10Aの保持をより強固にするために、先端側保持部63に対してチューブ10を外周側から締結するように設けられるようになっている。この締結部61は、たとえばO−リングなどで構成するとよい。
【0082】
図13に示す留置補助具60は、
図1で示した構成に加え、更に縮径部63bに形成された第1突起部63dを備えている。この第1突起部63dは、チューブ10の先端部10Aの少なくとも一部を引っかけることができるようにしたものである。第1突起部63dは、先端側保持部63の外壁、つまり縮径部63bの外壁の一部を径方向に突出させて形成するとよい。すなわち、第1突起部63dは、
図17に示す突出部63fと同様の機能を有している。ただし、第1突起部63dを突出部63fと併用してもよい。このような第1突起部63dを形成する場合、チューブ10の先端部10Aにスリット11とは別の穴部(
図13(b)に示す穴部10B)を形成し、穴部10Bに第1突起部63dを引っかけるようにするとよい。なお、スリット11を第1突起部63dに引っかけるようにしてもよい。
【0083】
図14に示す留置補助具60は、
図1で示した構成に加え、更に第2拡径部63cに形成された第2突起部63eを備えている。この第2突起部63eは、チューブ10の先端部10Aの少なくとも一部を引っかけることができるようにしたものである。第2突起部63eは、第2拡径部63cの外周の少なくとも一部をチューブ10の先端方向に立設させて形成されている。このような第2突起部63eを形成する場合、チューブ10に形成されているスリット11を第2突起部63eに引っかけるようにするとよい(
図14(c)参照)。なお、
図13(b)に示したような穴部10Bに第2突起部63eを引っかけるようにしてもよい。
【0084】
なお、第1突起部63d、第2突起部63eの形成個数を特に限定するものではなく、チューブ10に形成されているスリット11や穴部10Bの形成個数に対応させた個数で形成するとよい。また、第1突起部63dを第2突起部63eのような形状にしたり、第2突起部63eを第1突起部63dのような形状にしたりしてもよい。
【0085】
図15に示す留置補助具60は、
図1で示した構成に加え、更に基端側保持部64が先端側から基端側に向けて徐々に縮径させたテーパー形状に形成されている。基端側保持部64をテーパー形状にすることで、チューブ10への挿入性を向上できるとともに、チューブ10の内周面を嵌め込み摩擦で保持できることになる。
【0086】
図16に示す留置補助具60は、
図1で示した構成に加え、更に基端側保持部64の外周面の少なくとも一部に拡径部64aを設け、その拡径部64aから基端側に向けて徐々に縮径させたテーパー形状を備えている。このようにすることで、
図15に示した基端側保持部64のテーパー形状のテーパー角度よりも大きなテーパー角度を有するテーパー形状を形成することができ、チューブ10の内周面を嵌め込み摩擦で更に強固に保持できることになる。拡径部64aの径を特に限定するものではないが、たとえば先端側保持部63の第1拡径部63aと同程度にするとよい。
【0087】
以上のように、留置補助具60の先端側保持部63がチューブ10の先端部10Aを保持し、基端側保持部64の外周面が翼部13の開始端Pよりも基端側の内周面と当接し、保持する。これにより、先端側保持部63と基端側保持部64とが、チューブ10の近位端(先端側)と遠位端(基端側)とが近づくことにより形成される翼部13の状態を維持させるようになっている。
【0088】
よって、
図1、
図12〜
図16に示したような構成の留置補助具60を用いれば、たとえばチューブ10は、先端部10Aが先端側保持部63で、体内固定部Bの形成位置よりも基端側が基端側保持部64で、それぞれ保持されることになる。したがって、留置補助具60は、動きが激しく、内容物や体液に晒される消化管壁72内においても、形成された体内固定部の軸方向の他端側を基端側保持部64で保持した状態において先端側保持部63及び基端側保持部64の外周面が内容物や体液に晒されることがない。そのため、体内固定部Bの形状がより保たれやすくなり、瘻孔カテーテル1の留置状態を良好に保つことができ、自己抜去等の意図しない抜去を抑制することができる。
【0089】
また、留置補助具60がチューブ10に挿入されると、留置補助具60の外周面がチューブ10の内腔に密着することになる。このため、留置補助具60とチューブ10との間に胃液や栄養液が入りにくくなり、留置補助具60とチューブ10との接触面の劣化を抑制することができる。また、留置補助具60が栄養剤等によって滑って外れてしまう等のトラブルが起きにくくなる。その結果、留置補助具60とチューブ10との密着状態が安定的に保たれ、体内固定部Bの形状が維持されることになる。