(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。実施形態では、生体インピーダンス測定装置の一種である体組成測定装置の例を説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態の体組成測定装置1の全体構成を説明する図である。
図1(a)は、体組成測定装置1の外観を示す斜視図である。
図1(b)は、体組成測定装置1の上面図である。
図1(c)は、体組成測定装置1の正面図である。
図2は、第1実施形態の体組成測定装置1のグリップ30、40及びグリップ受け部50、60を説明する図である。
図2(a)は、
図1(c)に示す体組成測定装置1のIIa−IIa断面図である。
図2(b)は、
図2(a)の右グリップ受け部50の拡大図を示す。
図2(c)は、
図1(c)に示す体組成測定装置1のIIb−IIb断面図である。
図2(d)は、
図2(c)の左グリップ受け部60の拡大図を示す。
図3は、第1実施形態の体組成測定装置1のブロック図である。
なお、各実施形態及び図面では、被験者が操作ボックス70に対向して位置した状態を基準に、左右方向X、奥行方向Y、鉛直方向Zとする。
【0010】
体組成測定装置1は、被験者の身体の2部位間の生体インピーダンスと、体重とを測定することによって、被験者の体脂肪率等の体組成を算出する測定装置である。
図1に示すように、体組成測定装置1は、体重測定部10、右足置き部11、左足置き部12、支柱20、右グリップ30、左グリップ40、右グリップ受け部50(右受け部)、左グリップ受け部60(左受け部)、操作ボックス70を備える。体組成測定装置1は、その左側X2から見た側面形状が、略L字型の形状をしている。
体重測定部10は、体組成測定装置1の下部に設けられた被験者の体重を測定する体重計である。体重測定部10は、操作ボックス70の制御部75(
図3参照)と電気的に接続され、測定した体重データを制御部75に出力する。体重測定部10は、被験者が右足置き部11及び左足置き部12に、それぞれ右足及び左足を乗せるようになっている。
【0011】
右足置き部11は、体重測定部10上面の右側X1に設けられ、被験者の右足を乗せる部分である。右足置き部11は、奥側Y1に電流を流す電流印加電極11aを備え、また、手前側Y2に電圧を測定する電圧測定電極11bを備える。これにより、被験者は、右足置き部11に右足を乗せると、右足が電流印加電極11aと電圧測定電極11bとに接触する。
左足置き部12は、体重測定部10上面の左側X2に設けられ、被験者の左足を乗せる部分である。左足置き部12は、右足置き部11と同様に、電流印加電極12a、電圧測定電極12bを備える。これにより、被験者は、左足置き部12に左足を乗せると、左足が電流印加電極12aと電圧測定電極12bとに接触する。
【0012】
図2に示すように、右グリップ30は、棒状の部材である。生体インピーダンス測定時には、被験者は、右グリップ30を右グリップ受け部50から持ち上げて、右手で把持(グリップ)する。なお、右グリップ30の各方向の説明は、その軸方向を鉛直方向Zにした状態を基準にする。
右グリップ30は、電流印加電極31a、電圧測定電極31b、右フック部32、右グリップ磁石32a、ケーブル33を備える。
電流印加電極31a、電圧測定電極31bは、被験者が右グリップ30を右手で把持した状態で、被験者の手のひらが接触する位置に配置されている。電流印加電極31aは、電流を印加する電極である。電圧測定電極31bは、電圧を測定する電極である。
【0013】
右フック部32は、右グリップ30の一端(上端)にフック状に形成された部分である。右フック部32は、側面形状が、ほぼ半円状の湾曲したような形状である。この湾曲形状の中心軸は、左右方向Xである。
右グリップ磁石32aは、永久磁石である。右グリップ磁石32aは、右フック部32のケース部材内部に収容されている。右グリップ磁石32aは、右フック部32の下側縁部に配置されている。これは、後述するように、右受け磁石51a又は左受け磁石61aとの間で、十分に磁力が作用するようにするためである。
右グリップ磁石32aは、N極が下側Z2に配置される。
ケーブル33は、電流印加電極31a及び電圧測定電極31bと、操作ボックス70の生体インピーダンス測定部73(
図3参照)とを接続する電気ケーブルである。ケーブル33は、右グリップ30の右フック部32とは反対側の他端(下端)に設けられている。
【0014】
なお、上記構成により、ケーブル33及び右グリップ磁石32aは、右グリップ30の一端、及び他端に配置される。このため、体組成測定装置1は、低電流、低電圧を用いる場合であっても、ケーブル33内の信号に対して、右グリップ磁石32aの磁気による影響を低減することができ、測定精度を向上させることができる。これは、左グリップ40についても同様である。
【0015】
図2に示すように、左グリップ40の各部材は、右グリップ30の各部材とほぼ同様な形態である。生体インピーダンス測定時には、被験者は、左グリップ40を左グリップ受け部60から持ち上げて、左手で把持(グリップ)する。
左グリップ40は、電流印加電極41a、電圧測定電極41b、左フック部42、左グリップ磁石42a、ケーブル43を備える。
電流印加電極41a、電圧測定電極41bは、被験者が左グリップ40を左手で把持した状態で、左手から電流を印加し、また、電圧を測定する。
左フック部42は、左グリップ40の一端(上端)に設けられており、半円状の湾曲したような部分である。
左グリップ磁石42aは、右グリップ30とは異なり、S極が下側Z2に配置される。
ケーブル43は、電流印加電極41a及び電圧測定電極41bと、操作ボックス70の生体インピーダンス測定部73(
図3参照)とを接続する。
【0016】
図1に示すように、右グリップ受け部50は、操作ボックス70の右側X1に設けられている。
図2(a)、
図2(b)に示すように、右グリップ受け部50は、右受け軸体部51、右受け磁石51a、右磁気センサ52(右磁気検出部)を備える。
右受け軸体部51は、右グリップ30の右フック部32を引っ掛ける軸体である。右受け軸体部51の軸方向は、左右方向Xである。右受け軸体部51の外径は、右フック部32の湾曲部内径と、ほぼ同じである。
このため、右グリップ受け部50は、右グリップ30の右フック部32を、右受け軸体部51に引っ掛けるようにして、右グリップ30を取り外し自在に配置することができる。
なお、右グリップ30を右受け軸体部51に引っ掛けた状態では、ケーブル33は、右グリップ30の下端から下側Z2に垂れた状態になる。このため、右グリップ30は、右グリップ受け部50に安定して配置される。
【0017】
右受け磁石51aは、永久磁石である。右受け磁石51aは、右受け軸体部51の内部に収容されている。右受け磁石51aは、軸状の部材であり、軸方向が左右方向Xになるように配置される。なお、右受け磁石51aを露出させて、右受け磁石51a自体が右受け軸体部51を形成するようにしてもよい。
右受け磁石51aは、S極が上側Z1に配置される。
右磁気センサ52は、磁気の大きさ、方向を検出する検出部である。右磁気センサ52は、検出信号を制御部75へ出力する。
【0018】
図1に示すように、左グリップ受け部60は、操作ボックス70の左側X2に設けられている。
図2(c)、
図2(d)に示すように、左グリップ受け部60は、左受け軸体部61、左受け磁石61a、左磁気センサ62(左磁気検出部)を備える。左グリップ受け部60の各部材は、右グリップ受け部50の各部材とほぼ同様な形態である。
左受け軸体部61は、左グリップ40を取り外し自在に配置する軸体である。
左受け磁石61aは、右受け磁石51aとは異なり、N極が上側Z1に配置される。
左磁気センサ62は、磁気検出部であり、検出信号を制御部75へ出力する。
【0019】
操作ボックス70は、被験者が体組成測定装置1を操作する部分である。操作ボックス70は、体重測定部10の奥側Y1に設けられた支柱20の上端に設けられている。
図3に示すように、操作ボックス70は、操作部71、表示部72、生体インピーダンス測定部73、記憶部74、制御部75を備える。
操作部71は、被験者が測定指示等の操作をする部分であり、複数のボタン等を備える。操作部71は、制御部75と接続され、操作情報を制御部75に出力する。
表示部72は、体重や体脂肪率等の測定結果、測定条件等を被験者に対して表示する表示装置である。表示部72は、例えば液晶モニタ等である。
【0020】
生体インピーダンス測定部73は、制御部75から入力した測定指示に基づいて、右足置き部11、左足置き部12、右グリップ30及び左グリップ40の電流印加電極のうち指定された2つの電流印加電極間に特定の周波数の高周波電流を印加する。そして、生体インピーダンス測定部73は、右足置き部11、左足置き部12、右グリップ30及び左グリップ40の電圧測定電極のうち指定された2つの電圧測定電極間の電圧、すなわち、指定された被験者の身体の2部位間の生体インピーダンスに起因する電圧を測定し、その電圧測定結果を制御部75に出力する。
【0021】
記憶部74は、被験者の体重や体脂肪率等の体組成の測定データや、測定条件、測定履歴等を記録するメモリである。
制御部75は、体組成測定装置1の全体を統括制御する制御回路であり、例えばCPU等から構成される。制御部75は、操作ボックス70の各部と電気的に接続されている。
【0022】
次に、正配置、誤配置における磁石の作用について説明する。
ここで、正配置、誤配置とは、以下の配置状態をいう。
・正配置:右グリップ30を右グリップ受け部50に配置し、左グリップ40を左グリップ受け部60に配置した適正な配置状態。
・誤配置:右グリップ30を左グリップ受け部60に配置し、左グリップ40を右グリップ受け部50に配置した誤った配置状態、又は誤った配置状態に配置しようとした状態。
【0023】
(正配置の場合の磁力の作用)
被験者は、生体インピーダンスの測定後、把持している右グリップ30を、右グリップ受け部50に引っ掛けるようにして戻す。前述したように、右フック部32の右グリップ磁石32aは、下側Z2がN極であり、右受け磁石51aは、上側Z1がS極である。このため、両者は、引き合う。これにより、右グリップ30は、右グリップ受け部50に安定して配置される。
同様に、被験者は、左グリップ40を、左グリップ受け部60に戻す。左グリップ磁石42aは、下側Z2がS極であり、左受け磁石61aは、上側Z1がN極であるため、両者は、引き合う。これにより、左グリップ40は、左グリップ受け部60に安定して配置される。このように、正配置の場合、被験者は、各グリップ30、40を、違和感なく各グリップ受け部50、60に戻すことができる。
なお、各グリップ30、40は、正配置に戻された後にも、磁石の引き合う力が働くので、例えば運搬時等において、各グリップ受け部50、60からの脱落が抑制される。
【0024】
(誤配置の場合の磁力の作用)
被験者が、右グリップ30を左グリップ受け部60に戻した場合、右フック部32の右グリップ磁石32aは、下側Z2がN極であり、左受け磁石61aは、上側Z1がN極である。このため、両者には、反発力が発生する。これにより、右グリップ30は、左グリップ受け部60に配置できず、被験者は、誤配置を認識できる。
同様に、被験者が、左グリップ40を右グリップ受け部50に戻した場合、左グリップ磁石42aは、下側Z2がS極であり、右受け磁石51aは、上側Z1がS極であるため、両者には、反発力が発生する。これにより、左グリップ40は、右グリップ受け部50に配置することができず、被験者は、誤配置を認識できる。
これにより、体組成測定装置1は、誤配置の場合に、各グリップ30、40を正配置に戻すように、被験者に対して促すことができる。このため、体組成測定装置1は、その後の測定において、被験者が各グリップ30、40を左右取り違えて把持することに起因する誤測定を抑制することができる。
なお、各磁石は、正配置において、被験者が各グリップ30、40を各グリップ受け部50、60から容易に持ち上げることができる程度の引き合う力を発生する磁力を有し、かつ、誤配置において、被験者が誤配置を認識できる程度の反発力を発生する磁力を有する。また、各磁石は、正配置、誤配置において、上記引き合う力、反発力を発生できる程度に、近接するように配置されている。
【0025】
次に、正配置、誤配置の場合における制御部75の正誤判定処理について説明する。
(正配置の場合の処理)
右磁気センサ52は、右グリップ磁石32aの磁気の大きさ、方向を検出し、また、左磁気センサ62は、左グリップ磁石42aの磁気の大きさ、方向を検出する。この場合、制御部75は、各磁気センサ52、62の検出信号に基づいて、各グリップ30、40が正配置の状態であると判定する。制御部75は、表示部72を制御し、例えば「配正置」と表示して、被験者に対して、各グリップ30、40が適正に戻されたことを報知する。
【0026】
(誤配置の場合の処理)
右磁気センサ52は、左グリップ磁石42aの磁気の大きさ、方向を検出し、また、左磁気センサ62は、右グリップ磁石32aの磁気の大きさ、方向を検出する。この場合、制御部75は、各磁気センサ52、62の検出信号に基づいて、各グリップ30、40が誤配置の状態であると判定する。制御部75は、表示部72を制御し、例えば「誤配置」と表示して、各グリップ30、40が誤配置であることを報知する。これにより、被験者は、誤配置であることを、より確実に認識することができる。
なお、誤配置の報知は、ブザー(音声出力部)の音声出力や、光源(発光部)の発光等によるものでもよい。
【0027】
次に、体組成測定装置1の測定動作について説明する。
体組成測定装置1は、以下の順序で測定動作を行なう。
(1)被験者が操作部71を操作して、体重測定部10上に乗ると、制御部75は、体重測定部10を制御して、被験者の体重を測定する。制御部75は、体重測定結果を表示部72に表示する。
(2)被験者が操作部71を操作して、体組成測定に必要な基本情報(身長、性別等)を入力すると、制御部75は、これらの情報の入力を受け付ける。
(3)被験者が左右のグリップ30、40を把持したら、制御部75は、生体インピーダンス測定部73を制御して、被験者の生体インピーダンスを測定する。
【0028】
(4)制御部75は、体重測定結果、基本情報、生体インピーダンス測定結果に基づいて、被験者の各部位の体脂肪率等の体組成を演算する。
なお、被験者は、生体インピーダンス測定後に、左右のグリップ30、40を各グリップ受け部50、60に戻す。この場合、被験者は、前述したように、磁力の作用によって、正配置、誤配置を認識することができる。また、制御部75は、各磁気センサ52、62の検出信号に基づいて、前述したように、正誤判定処理を行う。
(5)制御部75は、体組成の測定結果を表示部72に表示する。そして、制御部75は、基本情報、測定結果等を記憶部74に記憶し、一連の測定を終了する。
【0029】
以上説明したように、本実施形態の体組成測定装置1は、磁石による反発力を利用してグリップ30、40の誤配置を抑制することができ、これらの取り違えに起因する誤測定を抑制することができる。また、制御部75が、誤配置を報知するので、誤配置の抑制効果を向上させることができる。さらに、体組成測定装置1は、各フック部32、42を各受け軸体部51、61に引っ掛けるような形態であるので、簡易な構成である。
【0030】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
なお、以下の説明及び図面において、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾(下2桁)に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
図4は、第2実施形態の体組成測定装置101の構成を説明する図である。
図4(a)は、第2実施形態の体組成測定装置101の外観の斜視図である。
図4(b)は、第2実施形態の右グリップ130及び右グリップ受け部150の詳細を示す図である。
図4(c)は、第2実施形態の左グリップ140及び左グリップ受け部160の詳細を示す図である。
図4(a)に示すように、第2実施形態の体組成測定装置101は、右グリップ130及び左グリップ140を配置するための形態が、第1実施形態とは相違する。
【0031】
右グリップ130は、電流印加電極131a、電圧測定電極131b、右グリップ軸体部132、右グリップ磁石132a、ケーブル133を備える。なお、右グリップ130の各方向の説明は、その軸方向を鉛直方向Zにした状態を基準にする。
図4(b)に示すように、右グリップ軸体部132は、右グリップ130の一端(下端)に設けられた円柱状の軸体である。右グリップ軸体部132は、その中心軸が鉛直方向Zであり、右グリップ130本体と同軸上に配置される。右グリップ軸体部132の直径は、右グリップ130のうち各電極131a、131bが設けられた部分の直径よりも細い。
【0032】
右グリップ磁石132aは、永久磁石である。右グリップ磁石132aは、右グリップ軸体部132に収容されている。右グリップ磁石132aは、円筒形状であり、円筒の軸方向が鉛直方向Zである。なお、右グリップ磁石132aを露出させて、右グリップ磁石132a自体が右グリップ軸体部132を形成するようにしてもよい。
右グリップ磁石132aは、径方向外側に、N極が配置される。
ケーブル133は、右グリップ軸体部132の端部(下端)に設けられている。
【0033】
図4(c)に示すように、左グリップ140は、電流印加電極141a、電圧測定電極141b、左グリップ軸体部142、左グリップ磁石142a、ケーブル143を備える。左グリップ140の各部材は、右グリップ130の各部材とほぼ同様な形態である。
左グリップ軸体部142は、左グリップ140の一端(下端)に設けられている。
左グリップ磁石142aは、径方向外側に、右グリップ磁石132aとは異なりS極が配置される。
ケーブル143は、左グリップ軸体部142の端部(下端)に設けられている。
【0034】
図4(a)に示すように、右グリップ受け部150は、略円筒状に形成された部分である。右グリップ受け部150の中心軸の方向は、鉛直方向Zである。
右グリップ受け部150は、右孔部151、右受け磁石151a、右スリット151b、右磁気センサ152を備える。
図4(b)に示すように、右孔部151は、右グリップ受け部150の内周面により形成される貫通孔である。右孔部151の直径は、右グリップ軸体部132の直径よりも若干大きく、かつ、右グリップ130のうち各電極131a、131bが設けられた部分の直径よりも小さい。
これにより、右グリップ受け部150は、右グリップ軸体部132を右孔部151に挿入するようにして、右グリップ130を取り外し自在に配置することができる。また、右グリップ130の各電極131a、131bが設けられた部分が、右孔部151内部まで挿入されることがない。このため、被験者が右グリップ130をする場合に把持しやすく、各電極が右手の手のひらに接触しやすい。
【0035】
右受け磁石151aは、永久磁石である。右受け磁石151aは、右グリップ受け部150に収容されている。右受け磁石151aは、略円筒状の部材であり、軸方向が鉛直方向Zである。なお、右受け磁石151aは、右孔部151の内面に露出するように配置にしてもよい。
右受け磁石151aは、径方向内側にS極が配置される。
右スリット151bは、右グリップ受け部150の手前側Y2に設けられたスリットである。右スリット151bの幅dは、ケーブル133の太さよりも若干大きい。このため、右グリップ軸体部132を右孔部151に挿入する場合に、右スリット151bは、右グリップ130のケーブル133を、右孔部151に通過させることができる。
【0036】
図4(c)に示すように、左グリップ受け部160は、左孔部161、左受け磁石161a、左スリット161b、左磁気センサ162を備える。左グリップ受け部160の各部材は、右グリップ受け部150の各部材とほぼ同様な形態である。
左グリップ受け部160は、左グリップ140を取り外し自在に配置する。また、左グリップ受け部160は、被験者が左グリップ140を把持する場合に、左手の手のひらが各電極を把持しやすくなるように、左グリップ140を配置する。
左受け磁石161aは、径方向内側に、右受け磁石151aとは異なりN極が配置される。
左スリット161bは、左グリップ軸体部142を左孔部161に挿入する場合に、左グリップ140のケーブル143を左孔部161に通過させる。
【0037】
次に、正配置、誤配置における磁石の作用について説明する。
(正配置の場合の磁力の作用)
被験者は、生体インピーダンスの測定後、把持している右グリップ130を、右グリップ受け部150の右孔部151に挿入するようにして戻す。右グリップ磁石132aは、径方向外側がN極であり、右受け磁石151aは、径方向内側がS極である。このため、両者は、引き合う。
同様に、被験者は、左グリップ140を、左グリップ受け部160に戻す。左グリップ磁石142aは、径方向外側がS極であり、左受け磁石161aは、径方向内側がN極であるため、両者は、引き合う。
これにより、各グリップ130、140は、各グリップ受け部150、160に安定して配置される。
【0038】
(誤配置の場合の磁力の作用)
被験者が右グリップ130を、左グリップ受け部160に戻した場合、右グリップ磁石132aは、径方向外側がN極であり、左受け磁石161aは、径方向内側がN極である。このため、両者には、反発力が発生する。これにより、被験者は、右グリップ130を左グリップ受け部160に配置することができず、右グリップ130の誤配置を認識できる。
同様に、被験者が左グリップ140を、右グリップ受け部150に戻した場合、左グリップ磁石142aは、径方向外側がS極であり、右受け磁石151aは、径方向内側がS極であるため、両者には、反発力が発生する。これにより、被験者は、左グリップ140を右グリップ受け部150に配置することができず、左グリップ140の誤配置を認識できる。
【0039】
(磁気センサに基づく正誤判定処理)
各磁気センサ152、162に基づく正誤判定処理は、第1実施形態と同様である。
すなわち、被験者がグリップをグリップ受け部に戻した場合に、各磁気センサ152、162が各グリップ磁石132a、142aの磁気の大きさ、方向を検出する。そして、制御部(
図3に示す制御部75参照)が、これらの検出信号に基づいて、正配置、誤配置を判定し、被験者に対して、正配置、誤配置を報知する。
【0040】
以上説明したように、本実施形態の体組成測定装置101は、各グリップ130、140を各グリップ受け部150、160に挿入する簡易な構成により、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0041】
また、本実施形態では、誤配置の場合、各グリップ130、140は、磁石の反発力により各グリップ受け部150、160から押し戻される。この場合、ケーブルがグリップ受け部150、160の上側縁部に引っ掛かるので、各グリップ130、140の落下抑止効果を期待できる。
さらに、各グリップ受け部150、160の中心軸を傾けて、各グリップ130、140が奥側Y1に移動しながら上側Z1に押し戻されるようにすれば、ケーブルがスリットを通過することがない。この場合には、上記落下抑止効果の向上を期待できる。
【0042】
なお、各ケーブル133、143は、シールド線を用いている。このため、各ケーブル133、143は、各磁石132a、142aからの磁気の影響を軽減できる。これにより、体組成測定装置101は、十分な測定精度を得ることができる。また、各ケーブル133、143は、シールド線(例えば銅線が編み込まれたもの)であるので、十分な引っ張り強度を有する。このため、各ケーブル133、143は、誤配置によってグリップが落下する場合でも、断線等の損傷を抑制できる。
【0043】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図5は、第3実施形態の体組成測定装置201の構成を説明する図である。
図5(a)は、第3実施形態の体組成測定装置201の外観の斜視図である。
図5(b)は、第3実施形態の右グリップ230及び右グリップ受け部250の詳細を示す図である。
図5(c)は、第3実施形態の左グリップ240及び左グリップ受け部260の詳細を示す図である。
図5(a)に示すように、第3実施形態の体組成測定装置201は、右グリップ230及び左グリップ240を配置するための形態が、第1実施形態と相違する。
【0044】
図5(b)に示すように、右グリップ230は、電流印加電極231a、電圧測定電極231b、右グリップ磁石232aを備える。なお、右グリップ230及び左グリップ240の各方向の説明は、その軸方向を奥行方向Yにした状態を基準にする。
右グリップ磁石232aは、永久磁石である。右グリップ磁石232aは、右グリップ230のケース内部に収容されている。右グリップ磁石232aは、右グリップ230が右グリップ受け部250に載置された状態で、右グリップ受け部250の右溝部251と接触する位置に設けられる。なお、右グリップ磁石232aは、右グリップ230のケースから露出していてもよい。
右グリップ磁石232aは、N極が下側Z2に配置される。
【0045】
図5(c)に示すように、左グリップ240は、電流印加電極241a、電圧測定電極241b、左グリップ磁石242aを備える。左グリップ240の各部材は、右グリップ230と各部材とほぼ同様な形態である。
左グリップ磁石242aは、右グリップ磁石232aとは異なり、S極が下側Z2に配置される。
【0046】
図5(b)に示すように、右グリップ受け部250は、右溝部251、右受け磁石251a、右磁気センサ252を備える。
右溝部251は、右グリップ受け部250の右側X1端部を、下側Z2に窪ませて形成されている。右溝部251の底面は、ほぼ水平面(XY平面)である。右溝部251の外形は、右グリップ230よりも若干大きい。
これにより、右グリップ受け部250は、右グリップ230を右溝部251の底面に載置することにより、右グリップ230を取り外し自在に配置することができる。
右受け磁石251aは、永久磁石である。右受け磁石251aは、右溝部251の底部に収容されている。なお、右受け磁石251aは、右溝部251の底部に露出させてもよい。
右受け磁石251aは、S極が上側Z1に配置される。
【0047】
図5(c)に示すように、左グリップ受け部260は、左溝部261、左受け磁石261a、左磁気センサ262を備える。左グリップ受け部260の各部材は、右グリップ受け部250の各部材の形態とほぼ同様な形態である。
左グリップ受け部260は、左グリップ240を取り外し自在に配置する。
左受け磁石261aは、右受け磁石251aとは異なり、N極が上側Z1に配置される。
【0048】
次に、正配置、誤配置における磁石の作用について説明する。
(正配置の場合の磁力の作用)
右グリップ磁石232aは、下側Z2がN極であり、右受け磁石251aは、上側Z1がS極である。このため、両者は、引き合う。同様に、左グリップ磁石242aは、下側Z2がS極であり、左受け磁石261aは、上側Z1がN極であるため、両者は、引き合う。
これにより、各グリップ230、240は、各グリップ受け部250、260に安定して配置される。
【0049】
(誤配置の場合の磁力の作用)
右グリップ磁石232aは、下側Z2がN極であり、左受け磁石261aは、上側Z1がN極である。このため、両者には、反発力が発生する。同様に、左グリップ磁石242aは、下側Z2がS極であり、右受け磁石251aは、上側Z1がS極であるため、両者には、反発力が発生する。
これにより、右グリップ230は、左グリップ受け部260に配置することができず、また、左グリップ240は、右グリップ受け部250に配置することができない。このため、被験者は、誤配置を認識できる。
【0050】
(磁気センサに基づく正誤判定処理)
各磁気センサ252、262に基づく正誤判定処理は、第1実施形態と同様である。
すなわち、被験者がグリップをグリップ受け部に戻した場合に、各磁気センサ252、262が各グリップ磁石232a、242aの磁気の大きさ、方向を検出する。そして、制御部(
図3に示す制御部75参照)が、これらの検出信号に基づいて、正配置、誤配置を判定し、被験者に対して、正配置、誤配置を報知する。
【0051】
以上説明したように、本実施形態の体組成測定装置201には、各グリップ230、240を各グリップ受け部250、260に載置する簡易な構成により、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0052】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、後述する変形形態のように種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載したものに限定されない。なお、前述した実施形態及び後述する変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0053】
(変形形態)
(1)各実施形態の磁極の配置は、逆向きにしてもよい。すなわち、右グリップ磁石は右受け磁石に引き合う方向にS極が配置され、右受け磁石は右グリップ磁石に引き合う方向にN極が配置され、左グリップ磁石は左受け磁石に引き合う方向にN極が配置され、左受け磁石は左グリップ磁石に引き合う方向にS極が配置されていてもよい。
【0054】
(2)第1実施形態において、各磁気センサは、各グリップ受け部に設けられた例を示したが、これに限定されない。例えば、磁気センサをグリップに設け、グリップがグリップ受け部に配置された場合に、グリップ受け部の磁石の磁気を検出するようにしてもよい。
【0055】
(3)各実施形態において、各グリップ磁石は、永久磁石である例を説明したが、これに限定されない。例えば、各グリップ磁石を電磁石で構成することも可能である。この場合、電磁石は、磁気の発生を制御できるので、例えば、測定時には、磁気の発生を停止すれば、測定精度の向上を期待できる。
【0056】
(4)各実施形態において、各グリップ及び操作ボックス間は、ケーブルを利用して通信する例を説明したが、これに限定されない。例えば、これら間は、無線を利用して通信してもよい。
【0057】
(5)各実施形態において、生体インピーダンス測定装置のうちの一種である体組成測定装置を例として説明したが、これに限定されない。生体インピーダンス測定装置は、体組成測定装置以外でも生体インピーダンスを測定する態様の装置であれば、適用可能である。