(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
所望の電力実効値(P)が大きいほど、スイッチング制御回路(50)は、制御信号のスイッチング周波数(f)を低くするとともに、電流調整手段(60)は、これに流れる電流(IC)を増大させることにより、第1の2次側巻線(SA)の両端の第1の電圧(VA)を増大させ、第1および第2のスイッチング素子(16,18)の導通損失を低減し、
所望の実効値(P)が小さいほど、前記スイッチング制御回路(50)は、制御信号のスイッチング周波数(f)を高くするとともに、前記電流調整手段(60)は、これに流れる電流(IC)を減少させることにより、前記第1の2次側巻線(SA)の両端の第1の電圧(VA)を減少させ、前記第1および第2のスイッチング素子(16,18)のスイッチング損失を低減することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の電源回路装置。
【背景技術】
【0002】
いわゆるIHクッキングヒータやIH炊飯器等の誘導加熱調理器は、誘導加熱コイルに高周波電流を流し、調理鍋の底板に渦電流を流してジュール熱を発生させることにより、調理鍋の底板を直接的に加熱するものである。これまでにも誘導加熱調理器の「火力(誘導加熱コイルに流れる高周波電流による電力実効値)」を制御するための数多くの手法が提案されている。たとえば特許文献1に記載の誘導加熱調理器においては、高周波電流を誘導加熱コイルに供給するインバータのスイッチング周波数を制御することにより、火力を調整する誘導加熱調理器が提案されている。
【0003】
たとえばハーフブリッジ式インバータは、互いに直列接続された一対のスイッチング素子を含み、これらのスイッチング素子の間の中間端子と接地電位との間に配設された加熱コイルおよび共振コンデンサに、所定のスイッチング周波数を有する高周波電流を供給するものである。このとき、各スイッチング素子がオン状態にあるオン期間を一定とし、オフ状態にあるオフ期間(デューティ比)を増減することにより、すなわちスイッチング周波数を制御することにより、加熱コイルに流れる高周波電流による電力実効値が制御され、調理鍋に生じるジュール熱(火力)が調整される。より具体的には、スイッチング周波数が高いほど、オン期間に対するオフ期間は長くなり、高周波電流による電力実効値は小さくなる(火力は弱くなる)。一方、スイッチング周波数が低いほど、オン期間に対するオフ期間は短くなり、高周波電流による電力実効値は大きくなる(火力は強くなる)。
【0004】
ところで、インバータに用いられるスイッチング素子において、通常、オフ状態からオン状態、およびオン状態からオフ状態に移行する際に過渡的な電流が流れ、スイッチングロス(スイッチング損失)が不可避的に発生する一方、オン状態にあるスイッチング素子に流れる電流量の二乗または導通抵抗に比例した導通ロス(導通損失)が生じる。
したがって、オン状態にあるオン期間を一定とし、スイッチング周波数を制御することにより、所望の火力(高周波電流による電力実効値)を実現するインバータにおいては、スイッチング周波数が高いほど、反復されるオンオフ回数が多くなるので、スイッチングロスが導通損失に比して実質的に増大し(スイッチングロスが支配的となり)、スイッチング周波数が低いほど、導通抵抗が大きくなるので、導通ロスがスイッチングロスに比して顕著となる(導通ロスが支配的となる)。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
以下、添付図面を参照して本願発明に係る誘導加熱調理器の電源回路装置の実施の形態を説明する。
図1は、実施の形態1の電源回路装置1の回路構成を示すブロック図である。電源回路装置1は、概略、破線で囲む電源供給部10およびトランス回路部30、ならびにスイッチング制御回路50および火力表示手段(電流調整手段)60とを有する。
【0012】
電源供給部10は、電源用整流回路(第1の整流回路)12と、一点鎖線で囲むインバータ14と、LCR誘導加熱部6とを有する。電源用整流回路12は、二相または三相の商用電源5からの交流電圧を直流電圧に整流するものである。インバータ14は、互いに直列接続された一対の(第1および第2の)電圧駆動型スイッチング素子16,18と、各スイッチング素子16,18を駆動する一対の(第1および第2の)駆動回路20,22とを有する。インバータ14は、各駆動回路20,22がスイッチング制御回路50からの制御信号を受けて各スイッチング素子16,18を駆動して、電源用整流回路12からの直流電圧から高周波電流を生成するものである。LCR誘導加熱部6は、各スイッチング素子16,18の間の中間端子9と基準電位(接地電位、GND
A)との間に接続された加熱コイル7と、これに直列に接続された共振コンデンサ8とを有し、インバータ14から供給される高周波電流により、高周波磁場を形成し、調理鍋の底板に渦電流を流してジュール熱を発生させることにより、調理鍋を加熱するものである。
【0013】
インバータ14のスイッチング素子16,18は、オン状態にあるオン期間を一定とし、スイッチング周波数fを制御することにより、加熱コイル7に流れる高周波電流による電力実効値P(以下、便宜上「火力」という。)、すなわち調理鍋に生じるジュール熱量が制御されるように構成されている。
図2は、火力Pとスイッチング周波数fとの関係を示すグラフである。スイッチング制御回路50は、ユーザにより設定または所望される火力Pに応じたスイッチング周波数fを選択して、駆動回路20,22を制御するものである。具体的には、スイッチング制御回路50は、火力を強くするためにはスイッチング周波数fを低くし、火力を弱くするためにはスイッチング周波数fを高くすることにより、LCR誘導加熱部6の火力Pを調整するものである。
【0014】
図3は、スイッチング周波数fとスイッチングロス(実線)との関係、およびスイッチング周波数fと導通ロス(破線)との関係を示すグラフである。背景技術の欄で上記説明したとおり、スイッチング周波数fが高いほど、スイッチングロスが導通損失に比して実質的に増大し、スイッチング周波数fが低いほど、導通ロスがスイッチングロスに比して支配的となる。
【0015】
なお、上述の電源供給部10の回路構成は、これに限定されるものではなく、フルブリッジ式インバータを採用したものであってもよく、当業者に知られた任意の型式を有するものを用いることができるので、さらに詳細な説明を省略する。
【0016】
次に、本願発明に係るトランス回路部30について説明する。トランス回路部30は、商用電源5からの交流電圧(
図4(a))を直流電圧(
図4(b))に整流するトランス用整流回路(第2の整流回路)32と、トランス40と、トランス用整流回路32からの直流電圧を断続的に遮断して(
図4(c))トランス40の1次側巻線に供給するトランス制御回路34とを有する。すなわち、トランス制御回路34は、
図4(c)に示す直流電圧が印加される間隔τを調整することにより、トランス40への入力エネルギを制御することができる。
【0017】
トランス回路部30を構成するトランス40は、
図1に示すように、1次側巻線P
1と、3つの2次側巻線S
A,S
B,S
Cとを有する。2次側巻線S
A,S
B,S
Cはそれぞれ、整流ダイオード38A,38B,38Cに直列に、平滑コンデンサ39A,39B,39Cに並列に接続され、直流に平滑された電圧V
A,V
B,V
Cを供給する。
【0018】
実施の形態1に係るトランス40の2次側巻線S
A(第1の2次側巻線)は、詳細後述するが、インバータ14のスイッチング素子16,18のオン電圧(電圧V
A)を与えるものである。
【0019】
またトランス40の2次側巻線S
Bは、シリーズレギュレータ等の定電圧生成回路37を介して、スイッチング制御回路50(
図1)に駆動電圧(電圧V
B)を供給するものである。
【0020】
トランス40の2次側巻線S
C(第2の2次側巻線)は、火力Pに応じて点灯数が増減するLEDランプアレイのような火力表示手段60(
図1)、または火力Pに応じて単に電流値が増減する電流調整手段の駆動電圧(電圧V
C)を与えるものである。
また本願発明によれば、2次側巻線S
Cはフィードバック回路36に接続され、フィードバック回路36は、火力表示手段または電流調整手段60に印加される駆動電圧(電圧V
C)が一定の値に維持されるように、トランス制御回路34を制御するように構成されている。
【0021】
図5を参照しながら、トランス40の具体的な構成について説明する。
図5は実施の形態1に係る例示的なトランス40の断面図である。
図5のトランス40は、いわゆるコイルボビン式変圧器として構成され、コア42を中心として同軸上に第1の1次側巻線P
1a、2次側巻線S
A,S
B,S
C、および第2の1次側巻線P
1bが順次捲回されている。第1のおよび第2の1次側巻線P
1a,P
1bは、互いに直列に接続され、2次側巻線S
A,S
B,S
Cとは電気的に絶縁され、磁気的に結合するように形成されている。すなわち分割された1次側巻線P
1a,P
1bは、2次側巻線S
A,S
B,S
Cを挟持することにより、トランス40の1次側巻線から生じる磁界エネルギを2次側巻線に効率よく伝え、磁界漏洩によるエネルギ損失を低減しようとするものである。
【0022】
トランス制御回路34は、トランス用整流回路32で整流された直流電圧を所定の時間間隔τで断続的に1次側巻線P
1a,P
1bに供給するものであり、フィードバック回路36は、その時間間隔τを調整して、2次側巻線S
Cの電圧V
Cが一定の値に維持されるようにトランス用整流回路32を制御するものである。トランス制御回路34は、たとえば電圧V
Cが所定の基準設定値よりも小さいときに1次側巻線P
1a,P
1bに電圧を印加する時間τを増大させ、基準設定値よりも大きいときに1次側巻線P
1a,P
1bに電圧を印加する時間τを低減させることにより、直流電圧V
Cが一定値となるように制御される。
【0023】
図6は、火力表示手段または電流調整手段60に流れる電流I
Cと、トランス40の2次側巻線S
A(第1の2次側巻線)の電圧V
Aおよび2次側巻線S
C(第2の2次側巻線)の電圧V
Cとの関係を示すグラフである。
図6において、2次側巻線S
Cの電圧V
Cは一定の値に維持されるが、駆動電圧V
Cが印加される火力表示手段または電流調整手段60の電流値が増大するとき、これに流れる電流I
C(図示せず)および出力エネルギが増大し、これに伴い、1次側巻線P
1への入力エネルギも増大するため、2次側巻線S
Aの両端の電圧V
Aは電流I
Cと共に増大する。
【0024】
図6における電圧V
Aの傾きは、2次側巻線S
A,S
Cの結合が悪いときに、より大きくなる。2次側巻線S
A,S
Cの結合は2次側巻線S
A,S
Cの位置関係によって決まり、巻線間の距離が遠いほど悪くなる。
図5で説明したように、2次側巻線S
A,S
Cは、別の2次側巻線S
Bを挟んで捲回されるため、2次側巻線間の距離S
A,S
Cが遠い。すなわち本願発明に係るトランス40は、2次側巻線S
A,S
Cの結合が悪くなるように構成されているため、
図6に示すように、2次側巻線S
Aの両端の電圧V
Aは、電流I
Cと共に増大する。
【0025】
本願発明に係るトランス40は、2次側巻線S
Aと2次側巻線S
Cの間に、スイッチング制御回路50に駆動電圧V
Bを供給する別の2次側巻線S
Bを捲回して、2次側巻線S
Aと2次側巻線S
Cを互いに離間させ、意図的に2次側巻線S
A,S
Cの結合が悪くなるように設計して、2次側巻線S
Aの両端の電圧V
Aが電流I
Cと共に増大するように構成されている(
図6)。換言すると、本願発明に係るトランス40は、2次側巻線S
A,S
Cの間の磁気的な結合関係を阻害する結合阻害手段(2次側巻線S
B)を設けることにより、2次側巻線S
Aの電圧V
Aが電流I
Cに伴い増大するように構成されている。結合阻害手段は、2次側巻線S
A,S
Cの間に捲回された2次側巻線S
Bであってもよいし、単なるスペーサ部材(図示せず)であってもよい。
【0026】
上記説明したように、火力表示手段または電流調整手段60は火力Pに応じて単に電流値が増減するものであり、スイッチング周波数fと火力Pとの間には
図2のグラフで示すような関係があるので、スイッチング周波数fと2次側巻線S
A,S
Cの電圧V
A,V
Cとの間には
図7に示すような関係が成り立つ。さらに換言すると、火力Pが一定であるとき、電圧V
Cと1次側巻線P
1からの入力エネルギとが一定であるので、2次側巻線S
Aの出力エネルギも一定となり、2次側巻線S
Cに流れる電流I
Aは、
図8に示すように、電圧V
Aの変動に応じて増減する。
【0027】
図9を参照しながら、実施の形態1に係るインバータ14の具体的な構成について説明する。
図9は、インバータ14を構成する第1および第2の駆動回路20,22を示すブロック図である。第1の駆動回路20は、トランス40の2次側巻線S
A(第1の2次側巻線)からの電圧V
Aに直列接続されたブートストラップダイオード23および充電抵抗24を介して、互いに並列接続されたブートストラップコンデンサ25と、駆動回路用スイッチ(以下、単に「スイッチ」という。)26A,26Bとを有する。また第1の駆動回路20は、抵抗を介してスイッチ26A,26Bの中間端子に接続された制御端子(ゲート端子)を有する第1のスイッチング素子16を有する。
【0028】
一方、第2の駆動回路22は、トランス40の2次側巻線S
Aからの電圧V
Aに直接的に接続された駆動回路用スイッチ28A,28Bと、その中間端子に抵抗を介して接続された制御端子(ゲート端子)を有する第2のスイッチング素子18とを有する。第1および第2のスイッチング素子16,18の間の中間端子9は、加熱コイル7(LCR誘導加熱部6、
図1)に接続されている。また電圧V
Aに対する基準電位GND
Aは、この中間端子9を介して、第2のスイッチング素子28Bの基準電位(MOSFETの場合にはソース端子、IGBTの場合にはエミッタ端子)に接続されている。
【0029】
実施の形態1に係るインバータ14の動作において、電圧駆動型の第1および第2のスイッチング素子16,18を交互にオンオフさせることにより、加熱コイル7に高周波電流を供給することができる。また第1のスイッチング素子16をオンさせるためには、スイッチ26Aをオンさせるとともに、スイッチ26Bをオフさせることにより、第1のスイッチング素子16の制御端子(ゲート端子)と中間端子9との間を導通させる。このとき、第1のスイッチング素子16の制御端子(ゲート端子)と中間端子9(ソース端子またはエミッタ端子)との間には、ブートストラップコンデンサ25の両端と同等の電圧V
Aが印加されるが、制御端子と中間端子9との間の寄生の静電容量Qを充電する必要がある。なお2次側巻線S
Aに流れる電流I
Aは、寄生の静電容量Qとスイッチング周波数fとの積に比例する(I
A∝Q×f)。
【0030】
ここで火力P(スイッチング周波数f)、2次側巻線S
Aの電圧V
Aおよびこれに流れる電流I
A、ならびにスイッチング素子16,18のスイッチングロス(スイッチング損失)および導通ロス(導通損失)の関係について考える。上述のように、火力Pが小さい(スイッチング周波数fが高い)ほど、第1および第2のスイッチング素子16,18において、オフ状態/オン状態の移行の際に過渡的電流が流れることにより生じるスイッチングロスが、電流I
Aの二乗またはスイッチング素子16,18の導通抵抗に比例する導通ロスに比して実質的に大きくなる。すなわち火力Pが小さいときには、スイッチングロスが支配的となり、火力Pが大きいときには、導通ロスが支配的となる。
一般的に電圧駆動型スイッチング素子は、制御端子と中間端子との間に印加される電圧が高いほど導通ロスが低くなり、電圧が低いほどスイッチングロスが低くなる特徴を有し、スイッチングロスが支配的な場合には、制御端子と中間端子との間に印加される電圧を低くし、導通ロスが支配的な場合には、制御端子と中間端子との間に印加される電圧を高くすることが必要となる。
【0031】
そこで本願発明に係る誘導加熱調理器の電源回路装置1は、より支配的となるエネルギ損失を低減するために、第2の2次側巻線S
Cの電圧V
Cを一定の値に維持するとともに、2次側巻線S
A,S
Cの間の磁気的な結合関係を阻害する結合阻害手段(たとえば2次側巻線S
A,S
Cの間に設けた2次側巻線S
Bまたはスペーサ)が設けられている。すなわち本願発明によれば、火力Pが小さい場合には、第1の2次側巻線S
Aの両端の電圧V
Aが小さくなるように火力表示手段または電流調整手段60によりI
Cを調整し(
図7)、スイッチング周波数fが高いため電流I
Aが大きくなり(
図8)、比較的により大きいスイッチングロスを低減できる。これに加え、本願発明によれば、火力Pが大きい場合には、2次側巻線S
Aの電圧V
Aが大きくなるように火力表示手段または電流調整手段60によりI
Cを調整し(
図7)、また、スイッチング周波数fが低いため電流I
Aが小さくなり(
図8)、相対的に顕著となる導通ロスを実質的に抑制することができる。
【0032】
換言すると、本願発明に係る電源回路装置1は、極めて簡便で安価な構成を有するトランス回路部30を有することにより、火力Pまたはスイッチング周波数fの増減に伴い、より実質的なエネルギ損失の原因となるスイッチングロスまたは導通ロスを効率的に低減する。なおトランス40の2次側巻線S
Bの両端の電圧V
Bは、第1の2次側巻線の電圧V
Aと同様、火力Pまたは電流調整手段60の電流値に依存して増減するが、定電圧生成回路(
図1)37に接続されているので、スイッチング制御回路50に印加される電圧V
Dは火力Pに依存しない。
【0033】
実施の形態2.
図10〜
図12を参照しながら、本願発明に係る誘導加熱調理器の電源回路装置の実施の形態2について以下詳細に説明する。実施の形態2の電源回路装置2は、インバータ14の回路構成およびトランス40の構成部品が異なる点を除き、実施の形態1の電源回路装置1と同様の構成を有するので、重複する点については説明を省略する。
【0034】
図10は、実施の形態2の電源回路装置2の回路構成を示すブロック図である。実施の形態2の電源回路装置2は、トランス40が1次側巻線P
1と、4つの2次側巻線S
A1,S
A2,S
B,S
Cとを有し、実施の形態1の電源回路装置1に比して(第3の)2次側巻線S
A2が追加されている。また実施の形態2の電源回路装置2において、インバータ14のスイッチング素子16,18は、2次側巻線S
A1,S
A2からの直流に平滑された電圧V
A1,V
A2が印加されている。
【0035】
図11は実施の形態2に係るトランス40の断面図である。
図11に示すトランス40は、同様にコイルボビン式変圧器として構成され、コア42を中心として同軸上に第1の1次側巻線P
1a、2次側巻線S
A1,S
A2,S
B,S
C、および第2の1次側巻線P
1bが順次捲回されている。第1のおよび第2の1次側巻線P
1a,P
1bは互いに直列に接続され、2次側巻線S
A1,S
A2,S
B,S
Cとは電気的に絶縁され、磁気的に結合するように形成されている。
【0036】
実施の形態2に係るトランス40は、実施の形態1と同様、2次側巻線S
A1,S
A2と2次側巻線S
Cの間に、結合阻害手段として、スイッチング制御回路50に駆動電圧V
Bを供給する別の2次側巻線S
Bを捲回して(またはスペーサ部材を設けて)、2次側巻線S
A1,S
A2と2次側巻線S
Cを互いに離間させ、意図的に2次側巻線S
A1,S
A2と2次側巻線S
Cの結合関係が一致しないようにして、2次側巻線S
A1,S
A2の両端の電圧V
A1,V
A2が電流I
Cと共に増大するように構成されている。
【0037】
図12は実施の形態2に係るインバータ14を構成する第1および第2の駆動回路20,22を示すブロック図である。実施の形態2の第1の駆動回路20は、トランス40の2次側巻線S
A1(第1の2次側巻線)に直接的に接続されており、実施の形態1で説明したブートストラップダイオードおよびブートストラップコンデンサを有さない。第2の駆動回路22も同様にトランス40の2次側巻線S
A2(第1の2次側巻線)に直接的に接続されている。
【0038】
実施の形態2の電源回路装置2は、トランス40の2次側巻線を追加する必要があるが、第1の駆動回路20の回路構成を簡略化することができ、実施の形態1と同様の効果を実現することができる。すなわち、実施の形態2の電源回路装置2は、極めて簡便で安価な構成を有するトランス回路部30を有することにより、火力Pまたはスイッチング周波数fの増減に伴い、より実質的なエネルギ損失の原因となるスイッチングロスまたは導通ロスを効率的に低減することができる。