特許第5769657号(P5769657)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5769657
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】シート処理装置及びシート搬送方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 37/04 20060101AFI20150806BHJP
   B65H 29/52 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
   B65H37/04 Z
   B65H29/52
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-86314(P2012-86314)
(22)【出願日】2012年4月5日
(65)【公開番号】特開2013-1569(P2013-1569A)
(43)【公開日】2013年1月7日
【審査請求日】2014年2月21日
(31)【優先権主張番号】61/499,160
(32)【優先日】2011年6月20日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/499,163
(32)【優先日】2011年6月20日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/425,977
(32)【優先日】2012年3月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000235
【氏名又は名称】特許業務法人 天城国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水谷 企久夫
(72)【発明者】
【氏名】曽我 直史
【審査官】 藤井 眞吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−069785(JP,A)
【文献】 特開2008−308334(JP,A)
【文献】 特開平07−186098(JP,A)
【文献】 特開平10−330025(JP,A)
【文献】 特開2010−018438(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/00, 5/04, 5/08− 5/20,
5/24− 5/38,29/52,37/00−37/06,
41/00,45/00−47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを穿孔するパンチヘッドを有するパンチユニットと、
前記パンチユニットをシート搬送方向に沿う回動方向に回動させる駆動ユニットと、
前記パンチユニットのシート搬送方向下流、かつ、前記パンチユニットが配置される側に配置され、搬送される前記シートを案内する第1の部材と、
前記第1の部材に対向配置され、前記第1の部材とともにシートが案内される搬送路を形成する第2の部材と、
前記パンチユニットと前記第1の部材との間に配置され、前記第1の部材と前記パンチユニットとの間隙における、前記第1の部材側への前記シートの動きを規制するシート規制部材と、を備え、
前記シート規制部材は、一端が前記第1の部材に設置され、他端がシート搬送方向上流に向かって延び、前記第1の部材が配置される側の前記シートの厚さ方向へ湾曲し、前記パンチユニットの前記第1の部材側の側面と当接し、この側面に沿って湾曲する、
シート処理装置。
【請求項2】
シートを穿孔するパンチヘッドを有するパンチユニットと、
前記パンチユニットをシート搬送方向に沿う回動方向に回動させる駆動ユニットと、
前記パンチユニットのシート搬送方向下流、かつ、前記パンチユニットが配置される側に配置され、搬送される前記シートを案内する第1の部材と、
前記第1の部材に対向配置され、前記第1の部材とともにシートが案内される搬送路を形成する第2の部材と、
前記パンチユニットと前記第1の部材との間に配置され、前記第1の部材と前記パンチユニットとの間隙における、前記第1の部材側への前記シートの動きを規制するシート規制部材と、を備え、
前記間隙は、前記パンチユニットの回動によって変化し、
前記シート規制部材は、一端が前記第1の部材に設置され、他端がシート搬送方向上流に向かって延び、前記パンチユニットに当接した状態で前記間隙を塞ぐように変位する、
シート処理装置。
【請求項3】
シートを穿孔するパンチヘッドを有するパンチユニットと、
前記パンチユニットをシート搬送方向に沿う回動方向に回動させる駆動ユニットと、
前記パンチユニットのシート搬送方向下流、かつ、前記パンチユニットが配置される側に配置され、搬送される前記シートを案内する第1の部材と、
前記第1の部材に対向配置され、前記第1の部材とともにシートが案内される搬送路を形成する第2の部材と、
前記パンチユニットと前記第1の部材との間に配置され、前記第1の部材と前記パンチユニットとの間隙における、前記第1の部材側への前記シートの動きを規制するシート規制部材と、を備え、
前記シート規制部材は、
湾曲形状をなすガイド部と、
前記パンチユニットの方向に前記ガイド部を付勢する弾性部材と、を有し、
前記ガイド部は、前記パンチユニットの動きに合わせて変位する、
シート処理装置。
【請求項4】
前記シート規制部材は、可撓性部材により形成される、
請求項1乃至のいずれか一つに記載のシート処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、シート処理装置及びシート搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コピー機などの画像形成装置はシートにパンチを施すパンチ装置を後処理装置との間に備える場合がある。
【0003】
このパンチ装置は、画像形成装置から搬送されるシートのスキュー、すなわち横ずれに応じてパンチ機構を変位させる。このパンチ機構の変位によって、スキューが生じたシートに対しても適切な場所にパンチを施すことが可能となる。
【0004】
ところで、パンチ機構を変位させるには変位のためのスペースが必要となる。シートにカールが生じている場合には、シートの先端がこのスペースに入り込み、折れが生じることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−29619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、折れが生じにくいシート処理装置及びシート搬送方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一実施形態は、シートを穿孔するパンチヘッドを有するパンチユニットと、パンチユニットをシート搬送方向に沿う回動方向に回動させる駆動ユニットと、パンチユニットのシート搬送方向下流、かつ、パンチユニットが配置される側に配置され、搬送されるシートを案内する第1の部材と、第1の部材に対向配置され、第1の部材とともにシートが案内される搬送路を形成する第2の部材と、パンチユニットと第1の部材との間に配置され、第1の部材とパンチユニットとの間隙における、第1の部材側へのシートの動きを規制するシート規制部材と、を備え、シート規制部材は、一端が第1の部材に設置され、他端がシート搬送方向上流に向かって延び、第1の部材が配置される側のシートの厚さ方向へ湾曲し、パンチユニットの第1の部材側の側面と当接し、この側面に沿って湾曲するシート処理装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】画像形成装置の構成を表す図である。
図2】第1の実施形態におけるパンチ装置の要部を示す斜視図である。
図3】第1の実施形態におけるパンチ装置の要部を示す平面図である。
図4A】パンチユニットが離れた場合の後方規制部材の付近の側面断面図である。
図4B】パンチユニットが接近した場合の後方規制部材の付近の側面断面図である。
図5】第2の実施形態におけるパンチ装置の要部を示す斜視図である。
図6】第2の実施形態におけるパンチ装置の要部を示す平面図である。
図7A】パンチユニットが離れた場合の前方規制部材の付近の側面断面図である。
図7B】パンチユニットが接近した場合の前方規制部材の付近の側面断面図である。
図8】第3の実施形態におけるパンチ装置の要部を示す斜視図である。
図9】第3の実施形態におけるパンチ装置の要部を示す平面図である。
図10A】パンチユニットが離れた場合の可動規制部材の付近の側面断面図である。
図10B】パンチユニットが後方ガイドに接近した場合の可動規制部材の付近の側面断面図である。
図11】パンチユニットがホームポジションにある場合を示す図である。
図12】パンチユニットが回動した状態を示す図である。
図13】画像形成装置及びパンチ装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態にかかるシート処理装置及びシート搬送方法について、図面を用いて詳細に説明する。ここで、画像形成装置はコピー機、MFP(Multifunction Peripheral:多機能周辺装置)、プリンタを含む。
【0010】
本実施形態のシート処理装置は、シートを穿孔するパンチヘッドを有するパンチユニットと、パンチユニットをシート搬送方向に沿う回動方向に回動させる駆動ユニットと、パンチユニットのシート搬送方向下流、かつ、パンチユニットが配置される側に配置され、搬送される前記シートを案内する第1の部材と、第1の部材に対向配置され、第1の部材とともにシートが案内される搬送路を形成する第2の部材と、パンチユニットと第1の部材との間に配置され、第1の部材とパンチユニットとの間隙における、第1の部材側への前記シートの動きを規制するシート規制部材と、を備える。
【0011】
(シート処理装置の構成)
図1は、本実施形態の画像形成装置1の構成を表す図である。図1に示すように、画像形成装置1は、自動原稿送り装置11と、画像読取部12と、画像形成部13と、給紙ユニット15と、シート搬送機構18と、制御部19と、を含む。
【0012】
自動原稿送り装置11は、画像形成装置1の本体上部に開閉可能に設置される。自動原稿送り装置11は、原稿を一枚ずつ給紙トレイから取り出し、画像読取部12の原稿読取位置へ搬送する。画像読取部12は自動原稿送り装置11によって搬送される原稿の画像を読み取る。画像読取部12は、自動原稿送り装置11が上方に回動された場合、ユーザが載置台の上に置いた原稿を読み取っても良い。
【0013】
画像読取部12は、原稿に露光する露光ランプと第1の反射ミラーを備えるキャリッジと、このキャリッジの動きに合わせて動く複数の第2の反射ミラーと、レンズブロックと、画像読取センサのCCD(Charge Coupled Device)と、を備える。
【0014】
キャリッジは原稿読取部に静止して、あるいは原稿台の下を往復移動して、原稿が反射した露光ランプの光を第1の反射ミラーに反射させる。複数の第2の反射ミラーは第1の反射ミラーの反射光をレンズブロックに反射させる。レンズブロックはこの反射光の倍率を変更し、CCDに出力する。CCDは入射光を電気信号に変換して画像信号として画像形成部13に出力する。
【0015】
画像形成部13は、斜めに搬送されたシートの幅方向の辺がシート搬送方向に平行になるようにシートの向きを補正するレジストローラ13Aを備える。
【0016】
画像形成装置1は、レジストローラ13Aによって向きが補正されたシートに画像形成部13によって画像形成する。
【0017】
画像形成部13の画像形成方法は問わない。画像形成部13の画像形成方法は、例えば、電子式、インクジェット式などの方式から選択することができる。
【0018】
電子式の場合、画像形成部13は、イエローY、マゼンダM、シアンC、及びブラックKごとに、レーザー照射ユニット13Dと、静電潜像担持体である感光体ドラム13Bと、現像材供給ユニット13Cと、転写部14と、を備える。
【0019】
レーザー照射ユニット13Dは画像信号に基づいて感光体ドラム13Bにレーザー光を照射し、感光体ドラム13B上に静電潜像を形成する。現像材供給ユニット13Cは現像材を感光体ドラム13Bに供給し、静電潜像から現像材像を形成する。
【0020】
給紙ユニット15は、給紙カセットから一枚ずつシートを取り出してシート搬送機構18に引き渡す。シート搬送機構18はシートを転写部14に搬送する。
【0021】
転写部14は、転写ベルト14Bと、転写ローラ14Aと、を備える。像担持体としての転写ベルト14Bは、感光体ドラム13Bからの現像材像の転写を受けて担持する。転写ローラ14Aは電圧を印加して転写ベルトの現像材像を搬送されてきたシートに転写する。
【0022】
画像形成装置1は、転写部14のシート搬送方向下流に定着装置14Cを備える。定着装置14Cは、現像材像を加熱及び加圧してシートに定着させる。
【0023】
インクジェット式の場合、画像形成部13はシートにインクを吹き付けるヘッドを備える。
【0024】
ヘッドは、極性の異なるピエゾ素子が長手方向に貼り付けられ、この貼り付けられたピエゾ素子の組が櫛の歯状に並べられるインク供給室と、インク吐出孔を有し、インク供給室を覆うカバーを備える。画像形成部13はこのヘッドに電圧を交互に印加することによりインク供給室を変形させ、インクの吸引とインク吐出孔からの吐出を繰り返す。吐出されたインクはシートに付着し、画像形成がなされる。
【0025】
シート処理装置4は画像形成装置1の画像形成されたシートを排出するためのシート排出部16Aに隣接して設置される。シート処理装置4は、後処理装置2とパンチ装置3を備える。
【0026】
後処理装置2は、シートを搬送するシート搬送機構23と、シートを所定枚数蓄積してステイプルするステイプルユニット22と、シートを所定枚数蓄積してステイプルし、中折りする中折りユニット24と、を備える。
【0027】
パンチ装置3は画像形成装置1から受け取ったシートにパンチを施すパンチユニット31を備える。パンチ装置3はシートにパンチを施し、又はパンチせずに後続する後処理装置2にシートを引き渡す。
【0028】
(シート規制部材)
(第1の実施形態)
図2は、第1の実施形態におけるパンチ装置3の要部を示す斜視図である。図3は、第1の実施形態におけるパンチ装置3の要部を示す平面図である。
【0029】
図2及び図3に示すように、パンチ装置3は、パンチユニット31と、パンチユニット31を移動させ、用紙の横ずれに対しての穿孔位置を調整する横レジスト部303と、用紙のスキューに対しての穿孔位置を調整する回動レジスト部304とを有する。
【0030】
パンチユニット31は、シートを穿孔する複数のパンチヘッド301Aと、パンチヘッド301Aが設けられる穿孔部310と、パンチヘッド301Aを駆動する駆動部305を有する。
【0031】
穿孔部310は、パンチヘッド301Aを支持する支持部310Aと、パンチ処理時のパンチヘッド301Aの刃先を受ける穴を有する受部310Bと、を有する。
【0032】
また、穿孔部310の支持部310Aと受部310Bには、それぞれシートの搬送をガイドするガイド311A、311Bが取り付けられる。
【0033】
穿孔部310は、ガイド311A、311Bを間に介して対向配置される発光部、受光部を有し、発光部と受光部の間を用紙が通過することで用紙を検知する横端センサ308を有する。
【0034】
駆動部305は、例えばDCモータである昇降駆動部305Aと、昇降駆動部305Aの動力をパンチヘッド301Aへ伝達するギア305Bおよびスライドリンク301備える。スライドリンク301は、支持部310A内に不図示のカムを有する。
【0035】
本実施形態では、昇降駆動部305Aの動力がギア305Bを介してスライドリンク301へ伝えられると、スライドリンク301は矢印X3に示す方向にスライドする。カムはスライドリンク301のスライド運動の動力をパンチヘッド301Aの上下運動に変換する。駆動部305は、パンチヘッド301Aを降下させてシートを穿孔する。
【0036】
駆動部305は、穿孔部310とともに一体に移動可能である。
【0037】
横レジスト部303は、穿孔部310のシート搬送方向に直交するシートの幅方向(以下、横方向という。)のずれに対しての穿孔位置を調整する。
【0038】
横レジスト部303は、穿孔部310の一端に取り付けられた横架部材312と、ピニオン歯車303Bと、ステッピングモータである横レジスト駆動部303Aを有する。
【0039】
横架部材312はラックを有し、このラックと噛合するピニオン歯車303Bを介して横レジスト駆動部303Aの動力が横架部材312へ伝えられる。横架部材312は、横方向に長い貫通孔である横レジスト挿通孔302Dを有し、この横レジスト挿通孔302Dには、パンチユニット31のフレームに固定される横レジストピン302Eが挿通される。
【0040】
また、横レジスト部303は、横レジストアクチュエータ302Bと、穿孔部310の横方向のホームポジションを検知する横レジストセンサ302Cと、を備える。
【0041】
横レジスト駆動部303Aが駆動すると、横レジスト挿通孔302Dの長さの範囲内において、矢印X1に示す横方向にスライドリンク301と受部310Bとが連動して変位する。
【0042】
回動レジスト部304は、ステッピングモータである回動レジスト駆動部304Aと、回動レジスト駆動部304Aの動力を伝達する歯車である回動レジスト歯車304Bと、回動レジスト歯車304Bの最終減速ギア304B1に設けられる回動バー304B3及び受部310Bの矢印X2に示す回動方向の位置を示す回動レジストアクチュエータ304B4と、受部310Bの長手方向に長い貫通孔である回動レジスト挿通孔302Aと、受部310Bの回動方向のホームポジションを検知する回動レジストセンサ304Cと、を備える。
【0043】
回動バー304B3にはピン304B5が設けられる。ピン304B5は回動レジスト挿通孔302Aに挿通される。
【0044】
回動レジスト駆動部304Aが駆動すると、回動レジスト挿通孔302Aの長さの範囲内において、矢印X2に示すシート搬送方向に沿う回動方向にスライドリンク301と受部310Bとが連動して変位する。
【0045】
パンチユニット31は、搬送されるシートPの横端を検知する複数の横端センサ308と、シートの通過を検知する通過センサ309と、シートの搬送方向に直交する幅方向にわたって受部310Bに2か所配置される第1のスキューセンサ307A及び第2のスキューセンサ307Bを有するスキュー検知部307と、シートPの進入を検知する進入検知センサ314と、を備える。
【0046】
パンチユニット31のシート搬送方向下流にはローラ306と、ローラ306を駆動させるローラ駆動部306Aと、が配置される。
【0047】
パンチユニット31がパンチを行う場合、シート処理装置4は、検知したスキューの方向と程度に基づいて回動レジスト駆動部304Aを駆動させ、回動バー304B3及び受部310Bをシートの幅方向に平行となるように変位させる。
【0048】
シート処理装置4は、シートPのサイズに応じた横端センサ308を選択する。シート処理装置4は、シートPが搬送されてきた場合、横レジスト駆動部303Aを駆動させてシートの横端を横端センサ308の出力により検知するまで受部310Bを変位させる。
【0049】
シート処理装置4は、横端を検知した位置からシートPによって定まる長さに基づいて、受部310Bをシートの中心方向に変位させる。
【0050】
シート処理装置4は、昇降駆動部305Aを駆動させてパンチを施す。
【0051】
ローラ306は穿孔後のシートを後処理装置3に引き渡す。
【0052】
シート処理装置4はさらにパンチ装置3が有するパンチユニット31のシート搬送方向下流かつ、パンチユニット31が配置される側に、シート搬送路を形成してシートの動きを規制し、シートを後処理装置2に引き渡す後方ガイド313を備える。
【0053】
後方ガイド313は、第1の部材としてシートの上方向の動きを規制する上方ガイド313Aと、第2の部材としてシートの下方向の動きを規制する下方ガイド313Bと、を備える。
【0054】
シート処理装置4はさらに、パンチユニット31と後方ガイド313との間隙のシートの動きを規制するシート規制部材を備える。
【0055】
シート規制部材は、シートがパンチユニット31と後方ガイド313との間隙に入ろうとする動きを妨げるように規制する。すなわち、シート規制部材は、シートの第1の部材側への動き、或いはパンチユニット31側への動きを妨げるように規制する。シート規制部材は、シートがシート搬送路からそれてめくれる動きを妨げるように規制する。
【0056】
シート規制部材は、シートの動きを規制してシートを後方ガイド313に案内する。
【0057】
本実施形態においては、シート処理装置4はシート規制部材として、上方ガイド313Aに、パンチユニット31の方向に延び、上方すなわち第1の部材である上方ガイド313Aが配置される側のシートの厚さ方向に湾曲する可撓性部材により形成される後方規制部材320Aを備える。
【0058】
後方規制部材320Aの幅はシート搬送路の幅以下の長さである。後方規制部材320Aのシート搬送方向の長さはパンチユニット31に接触する長さ以上であることが望ましいが、シートがパンチユニット31と後方ガイド313との間隙に入ろうとする動き、例えばシートの上方への動きを妨げるように規制できればこの長さより短くてもよい。
【0059】
図4Aは、パンチユニット31が離れた場合の後方規制部材320Aの付近の側面断面図である。
【0060】
図4Aに示すように、後方規制部材320Aは、上方ガイド313Aのシート搬送路側の面のローラ306及びローラ306に従動して回転する従動ローラ306Bに干渉しない位置に一端が取り付けられる。
【0061】
後方規制部材320Aの他端はパンチユニット31の方向に延び、上方すなわち第1の部材である上方ガイド313Aが配置される側のシートの厚さ方向に湾曲する。後方規制部材320Aのこの他端はパンチユニット31より上方すなわち第1の部材である上方ガイド313Aが配置される側のシートの厚さ方向に延びていることが望ましい。
【0062】
シートは矢印Pに示す方向から搬送される。シートが上方にカールして、パンチユニット31と後方ガイド313との間隙に入ろうとしてもシートの先端は後方規制部材320Aに規制され、後方ガイド313のシート搬送路に導かれる。
【0063】
図4Bは、パンチユニット31が接近した場合の後方規制部材320Aの付近の側面断面図である。
【0064】
図4Bに示すように、後方規制部材320Aは、可撓性部材により形成されるためパンチユニット31が接近してもパンチユニット31によって上方すなわち第1の部材である上方ガイド313Aが配置される側のシートの厚さ方向に湾曲され、パンチユニット31の動作を妨げない。
【0065】
以上述べたように、本実施形態のシート処理装置4は、シート規制部材として、後方規制部材320Aを備える。
【0066】
従って、本実施形態のシート処理装置4はシートに折れが生じることを抑制することができる。
【0067】
また、上記実施の形態では、後方規制部材320Aは、一端が後方ガイド313に取り付けられ、他端がパンチユニット31の側面と当接し、この側面に沿って湾曲するものを示すが、規制部材は、上記形態に限定されない。例えば、規制部材の一端をパンチユニット31のシート搬送方向上流側に取り付け、他端をさらにシート搬送方向上流のスキュー検知部307の側面と当接してもよい。すなわち、規制部材は、パンチユニット31とスキュー検知部307の間において、シート先端の動きを規制しても良い。
【0068】
(第2の実施形態)
図5は、第2の実施形態におけるパンチ装置3の要部を示す斜視図である。図6は、第2の実施形態におけるパンチ装置3の要部を示す平面図である。
【0069】
シート規制部材以外の構成は第1の実施形態の構成と同様である。
【0070】
図5及び図6に示すように、本実施形態においては、シート処理装置4はシート規制部材として、パンチユニット31のシート搬送方向後端部に、上方ガイド313Aと下方ガイド313Bとの間に延び、上方すなわち第1の部材である上方ガイド313Aが配置される側のシートの厚さ方向に湾曲する可撓性部材により形成される前方規制部材320Bを備える。
【0071】
前方規制部材320Bの幅はシート搬送路の幅以下の長さである。前方規制部材320Bのシート搬送方向の長さは上方ガイド313Aと下方ガイド313Bとの間隙に達する長さ以上であり、ローラ306に干渉しない長さであることが望ましいが、シートがパンチユニット31と後方ガイド313との間隙に入ろうとする動き、例えばシートの上方への動きを妨げるように規制できればこの長さより短くてもよい。
【0072】
図7Aは、パンチユニット31が離れた場合の前方規制部材320Bの付近の側面断面図である。
【0073】
図7Aに示すように、前方規制部材320Bは、パンチユニット31のシート搬送方向後端に一端が取り付けられ、他端は上方ガイド313Aと下方ガイド313Bとの間隙の方向に延びる。
【0074】
シートは矢印Pに示す方向から搬送される。シートが上方にカールして、パンチユニット31と後方ガイド313との間隙に入ろうとしてもシートの先端は前方規制部材320Bに規制され、さらに上方ガイド313Aによって規制されるため、後方ガイド313のシート搬送路に導かれる。
【0075】
図7Bは、パンチユニット31が接近した場合の前方規制部材320Bの付近の側面断面図である。
【0076】
図7Bに示すように、前方規制部材320Bは、可撓性部材により形成されるためパンチユニット31が後方ガイド313に接近しても上方ガイド313Aによって上方ガイド313Aと下方ガイド313Bとの間隙に導かれ、パンチユニット31の動作を妨げない。
【0077】
以上述べたように、本実施形態のシート処理装置4は、シート規制部材として、前方規制部材320Bを備える。
【0078】
従って、本実施形態のシート処理装置4はシートに折れが生じることを抑制することができる。
【0079】
(第3の実施形態)
図8は、第3の実施形態におけるパンチ装置3の要部を示す斜視図である。図9は、第3の実施形態におけるパンチ装置3の要部を示す平面図である。
【0080】
シート規制部材以外の構成は第1の実施形態の構成と同様である。
【0081】
図8及び図9に示すように、本実施形態においては、シート処理装置4はシート規制部材として、パンチユニット31と後方ガイド313との間に設置され、パンチユニット31の動きに合わせて変位する可動規制部材320Cを備える。
【0082】
可動規制部材320Cの幅はシート搬送路の幅以下の長さである。可動規制部材320Cの材質は容易に変形しない部材により形成されることが望ましいが、可撓性部材を含んでいてもよい。
【0083】
可動規制部材320Cは、下端にシートを上方ガイド313Aと下方ガイド313Bとの間隙に案内するガイド部320C1を有する。
【0084】
可動規制部材320Cは、上端に、ピン321Aを有する取付アーム321を備える。
【0085】
ピン321Aは上方ガイド313Aの上端に設けられる第1の溝部313A1及び第2の溝部313A2に挿通される。
【0086】
第1の溝部の幅は、ピン321Aの外径とほぼ同じである。第2の溝部の幅は、第1の溝部の幅より広い。
【0087】
可動規制部材320Cは、長手方向の両端部に可動規制部材320Cをパンチユニット31の方向に付勢するスプリングなどの弾性部材320C2を備える。弾性部材320C2はパンチ装置3のフレーム322に係止される。
【0088】
図10Aは、パンチユニット31が離れた場合の可動規制部材320Cの付近の側面断面図である。
【0089】
図10Aに示すように、ガイド部320C1は、弾性部材320C2によりパンチユニット31方向に付勢され、パンチユニット31に接触する。
【0090】
シートは矢印Pに示す方向から搬送される。シートが上方にカールして、パンチユニット31と後方ガイド313との間隙に入ろうとしてもシートの先端はガイド部320C1に規制され、さらに上方ガイド313Aによって規制されるため、後方ガイド313のシート搬送路に導かれる。
【0091】
図10Bは、パンチユニット31が後方ガイド313に接近した場合の可動規制部材320Cの付近の側面断面図である。
【0092】
図10Bに示すように、可動規制部材320Cのガイド部320C1は、パンチユニット31が後方ガイド313に接近した場合に後方ガイド313と干渉しない形状をなしている。
【0093】
従って、パンチユニット31が変位してもガイド部320C1はパンチユニット31に追従して変位し、パンチユニット31の動作を妨げることはない。
【0094】
図11は、パンチユニット31がホームポジションにある場合を示す図である。図12は、パンチユニット31が回動した状態を示す図である。
【0095】
図11及び図12に示すように、ガイド部320C1はパンチユニット31の動きに従って変位する。
【0096】
以上述べたように、本実施形態のシート処理装置4は、シート規制部材として、可動規制部材320Cを備える。
【0097】
従って、本実施形態のシート処理装置4はシートに折れが生じることを抑制することができる。
【0098】
(全体構成)
図13は、画像形成装置1及びパンチ装置3の構成を示すブロック図である。図13に示すように、画像形成装置1は、画像形成装置1全体を統括制御する制御部19であるMFP制御部201と、記憶装置であるROM,RAM202Aと、画像処理を行う画像処理部204と、を備える。
【0099】
MFP制御部201は画像形成系統の各部を制御するプリント制御部205と、画像読み込み系統の各部を制御するスキャン制御部209と、駆動部を制御する駆動コントローラ212と、に接続する。
【0100】
電子式の場合、プリント制御部205は、感光体ドラム13Bに静電潜像を形成するプリントエンジン206と、現像材像を形成するプロセスユニット207と、を制御する。
【0101】
スキャン制御部209は、CCD211を駆動させるCCD駆動回路210を制御する。CCD211からの信号は画像形成部13に出力される。
【0102】
MFP制御部201、プリント制御部205、並びにスキャン制御部209は演算装置であるCPUを含む。
【0103】
MFP制御部201は、パンチ装置3を制御するメイン制御部801に接続する。
【0104】
メイン制御部801は、スライドリンク301のホームポジションを検知するパンチヘッドホームポジションセンサ802と、横レジストセンサ302Cと、回動レジストセンサ304Cと、第1のスキューセンサ307Aと、第2のスキューセンサ307Bと、横端センサ308と、通過センサ309と、進入検知センサ314と、に接続し、各センサの出力を入力する。
【0105】
メイン制御部801は、横レジスト駆動部303Aと、回動レジスト駆動部304Aと、昇降駆動部305Aと、に接続し、これらの駆動部の動作を制御する。
【0106】
なお、メインCPU801はパンチユニット31の動作のみならず、後処理装置2の動作を制御する。
【0107】
また、後処理装置3の制御部がメイン制御部801としてパンチユニット31の動作を制御するように構成することもできる。
【0108】
また、パンチユニット31のメイン制御部801は、進入検知センサ314と第1のスキューセンサ307A又は第2のスキューセンサ307Bの出力とからシートの進入速度を検知する。
【0109】
メイン制御部801は、第1のスキューセンサ307A及び第2のスキューセンサ307Bの出力からスキューの方向及び程度を検知する。
【0110】
すなわち、パンチユニット31の制御部は、第1のスキューセンサ307Aより第2のスキューセンサ307Bのほうが先に検知された場合、シートは奥側にスキューしており、第1のスキューセンサ307Aより第2のスキューセンサ307Bのほうが後に検知された場合、シートは手前側にスキューしており、第1のスキューセンサ307Aと第2のスキューセンサ307Bとが同時にONした場合にはスキューがないと判定する。
【0111】
また、パンチユニット31の制御部は、スキューがある場合、第1のスキューセンサ307Aと第2のスキューセンサ307BとがONとなる時間の差によりスキューの程度を検知する。
【0112】
(効果)
以上述べたように、シート処理装置4は、パンチユニット31と後方ガイド313との間隙のシートの動きを規制するシート規制部材を備える。
【0113】
従って、本実施形態のシート処理装置4はシートに折れが生じることを抑制することができる。
【0114】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0115】
31:パンチユニット
320A:後方規制部材
320B:前方規制部材
320C:可動規制部材
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13