【実施例】
【0061】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0062】
(調製例1)
先ず、ZrとLaとYの各硝酸塩を用いて、共沈法で合成することにより、ZrO
2とLa
2O
3とY
2O
3を含有するジルコニア系担体(ZrO
2系担体:構成成分の質量比(ZrO
2:La
2O
3:Y
2O
3)が68:7:25、平均粒子径20nm、比表面積(BET)50m
2/g)を準備した。
【0063】
次に、前記ジルコニア系担体を硝酸パラジウムの水溶液中に添加し、分散させて分散液を得た後、加熱して溶媒(水)を蒸発せしめ、得られた固形分を120℃で5時間乾燥させた後、大気中、500℃の温度条件で1時間焼成し、前記ジルコニア系担体にパラジウムを担持した(パラジウム担持工程)。なお、このようなパラジウム担持工程においては、前記ジルコニア系担体100質量部に対してパラジウムの担持量が0.9質量部となるように、用いる担体の量や硝酸パラジウムの量を調整した。
【0064】
次いで、前述のようにしてパラジウムを担持した後の前記ジルコニア系担体を、硝酸鉄の水溶液中に添加し、分散させて分散液を得た後、加熱して溶媒(水)を蒸発せしめ、得られた固形分を120℃で5時間乾燥させた後、大気中、500℃の温度条件で1時間焼成し、前記ジルコニア系担体に鉄を担持した(鉄担持工程)。なお、このような鉄担持工程においては、前記ジルコニア系担体100質量部に対して鉄の担持量が0.52質量部となるように、用いる担体の量や硝酸鉄の量を調整した。
【0065】
このようにしてジルコニア系担体に対してパラジウム担持工程及び鉄担持工程を実施することにより、ジルコニア系担体100質量部に対してパラジウムと鉄をそれぞれ0.9質量部、0.52質量部の割合で担持した触媒(Pd(0.9)−Fe(0.52)/ZrO
2系担体[なお、各元素に関して括弧内の数値は担体100質量部に対する担持量(質量部)を示す。])を得た。触媒の組成を表1に示す。
【0066】
(調製例2〜5)
パラジウム担持工程において、ジルコニア系担体へのパラジウムの担持量がジルコニア系担体100質量部に対してそれぞれ0.9質量部から0.8質量部(調製例2)、0.7質量部(調製例3)、0.6質量部(調製例4)、0.5質量部(調製例5)、0.2質量部(調製例6)、1.0質量部(調製例7)となるように用いる担体の量や硝酸パラジウムの量を変更した以外は、調製例1で採用した方法と同様の方法を採用して、ジルコニア系担体に対してパラジウムと鉄を担持した触媒をそれぞれ調製した。各触媒の組成を表1に示す。
【0067】
(調製例8〜14)
パラジウム担持工程においてジルコニア系担体へのパラジウムの担持量がジルコニア系担体100質量部に対してそれぞれ0.9質量部から1.0質量部(調製例8)、0.9質量部(調製例9)、0.8質量部(調製例10)、0.7質量部(調製例11)、0.6質量部(調製例12)、0.5質量部(調製例13)、0.2質量部(調製例14)となるように用いる担体の量や硝酸パラジウムの量を変更し、且つ、鉄の担持工程を実施しなかった以外は、調製例1で採用した方法と同様の方法を採用して、ジルコニア系担体に対してパラジウムを担持した触媒をそれぞれ調製した。各触媒の組成を表1に示す。
【0068】
(調製例15)
パラジウム担持工程を実施しなかった以外は、調製例1で採用した方法と同様の方法を採用して、触媒(組成:Fe(0.52)/ZrO
2系担体)を調製した。触媒の組成を表1に示す。
【0069】
(調製例16)
調製例1において準備したジルコニア系担体をそのまま触媒とした。触媒の組成を表1に示す。
【0070】
(調製例17)
先ず、LaとAlの各硝酸塩を用いて、共沈法で合成することにより、ランタンで安定化させた活性アルミナ(La安定化γ−Al
2O
3:Laの含有量(金属換算):4質量%(なお、LaはLa
2O
3として含有)、平均粒子径10nm、比表面積(BET)100m
2/g)からなるアルミナ系担体(Al
2O
3系担体)を準備した。
【0071】
次に、前記アルミナ系担体を硝酸パラジウムの水溶液中に添加し、分散させて分散液を得た後、加熱して溶媒(水)を蒸発せしめ、得られた固形分を120℃で5時間乾燥させた後、大気中、500℃の温度条件で1時間焼成し、前記アルミナ系担体にパラジウムを担持した(パラジウム担持工程)。なお、このようなパラジウム担持工程においては、前記アルミナ系担体100質量部に対してパラジウムの担持量が0.1質量部となるように、用いる担体の量や硝酸パラジウムの量を調整した。
【0072】
このようにしてアルミナ系担体に対してパラジウム担持工程を実施することにより、アルミナ系担体100質量部に対してパラジウムを0.1質量部の割合で担持した触媒(Pd(0.1)/Al
2O
3系担体)を得た。触媒の組成を表1に示す。
【0073】
(調製例18〜23)
アルミナ系担体へのパラジウムの担持量がアルミナ系担体100質量部に対してそれぞれ0.1質量部から0.2質量部(調製例18)、0.3質量部(調製例19)、0.4質量部(調製例20)、0.5質量部(調製例21)、0.8質量部(調製例22)、1.0質量部(調製例23)となるように用いる担体の量や硝酸パラジウムの量を変更した以外は、調製例17で採用した方法と同様の方法を採用して、アルミナ系担体に対してパラジウムを担持した触媒をそれぞれ調製した。各触媒の組成を表1に示す。
【0074】
(調製例24)
調製例17において準備したアルミナ系担体をそのまま触媒とした。触媒の組成を表1に示す。
【0075】
(調製例25)
先ず、CeとZrとLaとYの各硝酸塩を用いて、共沈法で合成することにより、CeO
2とZrO
2とLa
2O
3とY
2O
3を含有するセリア−ジルコニア系複合酸化物担体(i)(CeO
2−ZrO
2系担体(i):構成成分の質量比(CeO
2:ZrO
2:La
2O
3:Y
2O
3)が30:60:5:5、平均粒子径25nm、比表面積(BET)70m
2/g)を準備した。
【0076】
次に、前記セリア−ジルコニア系複合酸化物担体(i)を硝酸パラジウムの水溶液中に添加し、分散させて分散液を得た後、加熱して溶媒(水)を蒸発せしめ、得られた固形分を120℃で5時間乾燥させた後、大気中、500℃の温度条件で1時間焼成し、前記セリア−ジルコニア系複合酸化物担体(i)にパラジウムを担持した(パラジウム担持工程)。なお、このようなパラジウム担持工程においては、前記セリア−ジルコニア系複合酸化物担体(i)100質量部に対してパラジウムの担持量が0.5質量部となるように、用いる担体の量や硝酸パラジウムの量を調整した。
【0077】
このようにしてセリア−ジルコニア系複合酸化物担体(i)に対してパラジウム担持工程を実施することにより、セリア−ジルコニア系複合酸化物担体(i)100質量部に対してパラジウムを0.5質量部の割合で担持した触媒(Pd(0.5)/CeO
2−ZrO
2系担体(i))を得た。触媒の組成を表1に示す。
【0078】
(調製例26)
セリア−ジルコニア系複合酸化物担体(i)を準備し、セリア−ジルコニア系複合酸化物担体(i)へのパラジウムの担持量がセリア−ジルコニア系複合酸化物担体100質量部に対して1.0質量部となるように用いる担体の量や硝酸パラジウムの量を変更してパラジウム担持工程を実施した以外は、調製例25で採用した方法と同様の方法を採用して、セリア−ジルコニア系複合酸化物担体(i)に対してパラジウムを担持した。
【0079】
次いで、パラジウムを担持した後の前記セリア−ジルコニア系複合酸化物担体(i)を硝酸鉄の水溶液中に添加し、分散させて分散液を得た後、加熱して溶媒(水)を蒸発せしめ、得られた固形分を120℃で5時間乾燥させた後、大気中、500℃の温度条件で1時間焼成し、前記セリア−ジルコニア系複合酸化物担体(i)に鉄を担持した(鉄担持工程)。なお、このような鉄担持工程においては、前記セリア−ジルコニア系複合酸化物担体(i)100質量部に対して鉄の担持量が0.52質量部となるように、用いる担体の量や硝酸鉄の量を調整した。
【0080】
このようにしてセリア−ジルコニア系複合酸化物担体(i)に対してパラジウム担持工程及び鉄担持工程を実施することにより、セリア−ジルコニア系複合酸化物担体(i)100質量部に対してパラジウムと鉄をそれぞれ1.0質量部、0.52質量部の割合で担持した触媒(Pd(1.0)−Fe(0.52)/CeO
2−ZrO
2系担体(i))
を得た。触媒の組成を表1に示す。
【0081】
(調製例27)
先ず、CeとZrとLaとPrの各硝酸塩を用いて、共沈法で合成することにより、CeO
2とZrO
2とLa
2O
3とPr
2O
3を含有するセリア−ジルコニア系複合酸化物担体(ii)(CeO
2−ZrO
2系担体(ii):構成成分の質量比(CeO
2:ZrO
2:La
2O
3:Pr
2O
3)が60:30:3:7、平均粒子径5nm、比表面積(BET)70m
2/g)を準備した。
【0082】
次に、前記セリア−ジルコニア系複合酸化物担体(ii)を硝酸パラジウムの水溶液中に添加し、分散させて分散液を得た後、加熱して溶媒(水)を蒸発せしめ、得られた固形分を120℃で5時間乾燥させた後、大気中、500℃の温度条件で1時間焼成し、前記セリア−ジルコニア系複合酸化物担体(ii)にパラジウムを担持した(パラジウム担持工程)。なお、このようなパラジウム担持工程においては、前記セリア−ジルコニア系複合酸化物担体(ii)100質量部に対してパラジウムの担持量が1.0質量部となるように、用いる担体の量や硝酸パラジウムの量を調整した。
【0083】
次いで、前述のようにしてパラジウムを担持した後の前記セリア−ジルコニア系複合酸化物担体(ii)を硝酸鉄の水溶液中に添加し、分散させて分散液を得た後、加熱して溶媒(水)を蒸発せしめ、得られた固形分を120℃で5時間乾燥させた後、大気中、500℃の温度条件で1時間焼成し、前記セリア−ジルコニア系複合酸化物担体(ii)に鉄を担持した(鉄担持工程)。なお、このような鉄担持工程においては、前記セリア−ジルコニア系複合酸化物担体(ii)100質量部に対して鉄の担持量が0.52質量部となるように、用いる担体の量や硝酸鉄の量を調整した。
【0084】
このようにしてセリア−ジルコニア系複合酸化物担体(ii)に対してパラジウム担持工程及び鉄担持工程を実施することにより、セリア−ジルコニア系複合酸化物担体(ii)100質量部に対してパラジウムと鉄をそれぞれ1.0質量部、0.52質量部の割合で担持した触媒(Pd(1.0)−Fe(0.52)/CeO
2−ZrO
2系担体(ii))
を得た。触媒の組成を表1に示す。
【0085】
(調製例28)
調製例23で採用した方法と同様にしてパラジウムを担持したアルミナ系担体(Pd(1.0)/Al
2O
3系担体)を準備し、そのパラジウムを担持したアルミナ系担体を硝酸鉄の水溶液中に添加し、分散させて分散液を得た後、加熱して溶媒(水)を蒸発せしめ、得られた固形分を120℃で5時間乾燥させた後、大気中、500℃の温度条件で1時間焼成し、前記アルミナ系担体に鉄を担持した(鉄担持工程)。なお、このような鉄担持工程においては、前記アルミナ系担体100質量部に対して鉄の担持量が0.52質量部となるように、用いる担体の量や硝酸鉄の量を調整した。このようにして、アルミナ系担体100質量部に対してパラジウムと鉄をそれぞれ1.0質量部、0.52質量部の割合で担持した触媒(Pd(1.0)−Fe(0.52)/Al
2O
3系担体)を得た。触媒の組成を表1に示す。
【0086】
【表1】
【0087】
(実施例1)
調製例1で得られた触媒(Pd(0.9)−Fe(0.52)/ZrO
2系担体)と、調製例17で得られた触媒(Pd(0.1)/Al
2O
3系担体)を、各担体の質量比([ZrO
2系担体]:[Al
2O
3系担体])が50:50となるようにして物理混合して、排ガス浄化用触媒を得た。
【0088】
(実施例2)
調製例2で得られた触媒(Pd(0.8)−Fe(0.52)/ZrO
2系担体)と、調製例18で得られた触媒(Pd(0.2)/Al
2O
3系担体)を、各担体の質量比([ZrO
2系担体]:[Al
2O
3系担体])が50:50となるようにして物理混合して、排ガス浄化用触媒を得た。
【0089】
(実施例3)
調製例3で得られた触媒(Pd(0.7)−Fe(0.52)/ZrO
2系担体)と、調製例19で得られた触媒(Pd(0.3)/Al
2O
3系担体)を、各担体の質量比([ZrO
2系担体]:[Al
2O
3系担体])が50:50となるようにして物理混合して、排ガス浄化用触媒を得た。
【0090】
(実施例4)
調製例4で得られた触媒(Pd(0.6)−Fe(0.52)/ZrO
2系担体)と、調製例20で得られた触媒(Pd(0.4)/Al
2O
3系担体)を、各担体の質量比([ZrO
2系担体]:[Al
2O
3系担体])が50:50となるようにして物理混合して、排ガス浄化用触媒を得た。
【0091】
(実施例5)
調製例5で得られた触媒(Pd(0.5)−Fe(0.52)/ZrO
2系担体)と、調製例21で得られた触媒(Pd(0.5)/Al
2O
3系担体)を、各担体の質量比([ZrO
2系担体]:[Al
2O
3系担体])が50:50となるようにして物理混合して、排ガス浄化用触媒を得た。
【0092】
(比較例1)
調製例8で得られた触媒(Pd(1.0)/ZrO
2系担体)と、調製例24で得られた触媒(Al
2O
3系担体のみ)を、各担体の質量比([ZrO
2系担体]:[Al
2O
3系担体])が50:50となるようにして物理混合して、排ガス浄化用触媒を得た。
【0093】
(比較例2)
調製例9で得られた触媒(Pd(0.9)/ZrO
2系担体)と、調製例17で得られた触媒(Pd(0.1)/Al
2O
3系担体)を、各担体の質量比([ZrO
2系担体]:[Al
2O
3系担体])が50:50となるようにして物理混合して、排ガス浄化用触媒を得た。
【0094】
(比較例3)
調製例10で得られた触媒(Pd(0.8)/ZrO
2系担体)と、調製例18で得られた触媒(Pd(0.2)/Al
2O
3系担体)を、各担体の質量比([ZrO
2系担体]:[Al
2O
3系担体])が50:50となるようにして物理混合して、排ガス浄化用触媒を得た。
【0095】
(比較例4)
調製例11で得られた触媒(Pd(0.7)/ZrO
2系担体)と、調製例19で得られた触媒(Pd(0.3)/Al
2O
3系担体)を、各担体の質量比([ZrO
2系担体]:[Al
2O
3系担体])が50:50となるようにして物理混合して、排ガス浄化用触媒を得た。
【0096】
(比較例5)
調製例12で得られた触媒(Pd(0.6)/ZrO
2系担体)と、調製例20で得られた触媒(Pd(0.4)/Al
2O
3系担体)を、各担体の質量比([ZrO
2系担体]:[Al
2O
3系担体])が50:50となるようにして物理混合して、排ガス浄化用触媒を得た。
【0097】
(比較例6)
調製例13で得られた触媒(Pd(0.5)/ZrO
2系担体)と、調製例21で得られた触媒(Pd(0.5)/Al
2O
3系担体)を、各担体の質量比([ZrO
2系担体]:[Al
2O
3系担体])が50:50となるようにして物理混合して、排ガス浄化用触媒を得た。
【0098】
(比較例7)
調製例14で得られた触媒(Pd(0.2)/ZrO
2系担体)と、調製例22で得られた触媒(Pd(0.8)/Al
2O
3系担体)を、各担体の質量比([ZrO
2系担体]:[Al
2O
3系担体])が50:50となるようにして物理混合して、排ガス浄化用触媒を得た。
【0099】
(比較例8)
調製例16で得られた触媒(ZrO
2系担体)と、調製例23で得られた触媒(Pd(1.0)/Al
2O
3系担体)を、各担体の質量比([ZrO
2系担体]:[Al
2O
3系担体])が50:50となるようにして物理混合して、排ガス浄化用触媒を得た。
【0100】
(比較例9)
調製例7で得られた触媒(Pd(1.0)−Fe(0.52)/ZrO
2系担体)と、調製例24で得られた触媒(Al
2O
3系担体)を、各担体の質量比([ZrO
2系担体]:[Al
2O
3系担体])が50:50となるようにして物理混合して、排ガス浄化用触媒を得た。
【0101】
(比較例10)
調製例6で得られた触媒(Pd(0.2)−Fe(0.52)/ZrO
2系担体)と、調製例22で得られた触媒(Pd(0.8)/Al
2O
3系担体)を、各担体の質量比([ZrO
2系担体]:[Al
2O
3系担体])が50:50となるようにして物理混合して、排ガス浄化用触媒を得た。
【0102】
(比較例11)
調製例15で得られた触媒(Fe(0.52)/ZrO
2系担体)と、調製例23で得られた触媒(Pd(1.0)/Al
2O
3系担体)を、各担体の質量比([ZrO
2系担体]:[Al
2O
3系担体])が50:50となるようにして物理混合して、排ガス浄化用触媒を得た。
【0103】
実施例1〜5及び比較例1〜11で得られた排ガス浄化用触媒の特性を表2に示す。なお、実施例1〜5及び比較例1〜11で得られた全ての排ガス浄化用触媒において、排ガス浄化用触媒中のパラジウムの総量は、ZrO
2系担体とAl
2O
3系担体の総量100質量部に対して0.5質量部である。
【0104】
【表2】
【0105】
(実施例6)
調製例5で得られた触媒(Pd(0.5)−Fe(0.52)/ZrO
2系担体)と、調製例21で得られた触媒(Pd(0.5)/Al
2O
3系担体)と、調製例25で得られた触媒(Pd(0.5)/CeO
2−ZrO
2系担体(i))とを、各担体の質量比([ZrO
2系担体]:[Al
2O
3系担体]:[CeO
2−ZrO
2系担体(i)])が50:25:25となるようにして混合することにより排ガス浄化用触媒を製造した。触媒の特性を表3に示す。
【0106】
(比較例12)
調製例13で得られた触媒(Pd(0.5)/ZrO
2系担体)と、調製例21で得られた触媒(Pd(0.5)/Al
2O
3系担体)と、調製例25で得られた触媒(Pd(0.5)/CeO
2−ZrO
2系担体(i))とを、各担体の質量比([ZrO
2系担体]:[Al
2O
3系担体]:[CeO
2−ZrO
2系担体(i)])が50:25:25となるようにして混合することにより排ガス浄化用触媒を製造した。触媒の特性を表3に示す。
【0107】
【表3】
【0108】
(比較例13)
調製例26で得られた触媒(Pd(1.0)−Fe(0.52)/CeO
2−ZrO
2系担体(i))と、調製例24で得られた触媒(Al
2O
3系担体)とを用い、各担体の質量比([CeO
2−ZrO
2系担体(i)]:[Al
2O
3系担体])が50:50となるようにして混合することにより排ガス浄化用触媒を製造した。触媒の特性を表4に示す。
【0109】
(比較例14)
調製例27で得られた触媒(Pd(1.0)−Fe(0.52)/CeO
2−ZrO
2系担体(ii))と、調製例24で得られた触媒(Al
2O
3系担体)とを用い、各担体の質量比([CeO
2−ZrO
2系担体(ii)]:[Al
2O
3系担体])が50:50となるようにして混合することにより排ガス浄化用触媒を製造した。触媒の特性を表4に示す。
【0110】
【表4】
【0111】
(比較例15)
調製例23で得られた触媒(Pd(1.0)/Al
2O
3系担体)と、調製例24で得られた触媒(Al
2O
3系担体)とを用い、各担体の質量比([調製例23中のAl
2O
3系担体]:[調製例24中のAl
2O
3系担体])が50:50となるようにして混合することにより排ガス浄化用触媒を製造した。触媒の特性を表5に示す。
【0112】
(比較例16)
調製例28で得られた触媒(Pd(1.0)−Fe(0.52)/Al
2O
3系担体と、調製例24で得られた触媒(Al
2O
3系担体)とを用い、各担体の質量比([調製例28中のAl
2O
3系担体]:[調製例24中のAl
2O
3系担体])が50:50となるようにして混合することにより排ガス浄化用触媒を製造した。触媒の特性を表5に示す。
【0113】
【表5】
【0114】
[実施例1〜6及び比較例1〜16で得られた排ガス浄化用触媒の特性評価]
〈耐久試験〉
実施例1〜6及び比較例1〜16で得られた排ガス浄化用触媒をそれぞれ用いて、以下のようにして耐久試験を行った。すなわち、各触媒2.5gに対して、1000℃の温度条件下においてガス流量が0.5L/分となるようにして、H
2(5容量%)とH
2O(3容量%)とN
2(残部)とからなるリッチガスと、O
2(5容量%)とH
2O(3容量%)とN
2(残部)とからなるリーンガスとを、リッチガスを1分間供給した後にリーンガスを9分間供給するようにして、交互に切り替えながら供給し、各触媒にリッチガス及びリーンガスを交互に5時間供給し続けた。
【0115】
〈NO浄化活性の測定試験〉
上記耐久試験を実施した後の1〜6及び比較例1〜16で得られた排ガス浄化用触媒をそれぞれ1g用い、以下のようにしてNO(窒素酸化物)の20%浄化温度を測定した。すなわち、先ず、測定装置としてベスト測器社製の商品名「CATA−5000−SP」を用い、該測定装置に触媒を1gを設置した。そして、前記触媒を1gに対して、O
2(0.43容量%)、NO(0.12容量%)、CO(1.12容量%)、C
3H
6(0.17容量%C(炭素原子換算による容量%))、H
2O(10容量%)、CO
2(10容量%)、SO
2(20ppm)及びN
2(残部)からなるガスを、10L/分の流量で90℃(初期温度)から20℃/分の昇温速度で昇温しながら接触させて、触媒に接触した後のガス(出ガス)中のNOの濃度を測定し、触媒に接触する前のガス中のNOの量を基準として、NOが20%浄化された温度(NO20%浄化温度)を求めた。各触媒のNO20%浄化温度を表6に示す。なお、実施例1〜6と比較例1〜11で得られた排ガス浄化用触媒のNO20%浄化温度と、排ガス浄化用触媒中のパラジウムの全量に対するジルコニア系担体に担持されたパラジウムの量(割合)との関係を示すグラフを
図1に示す。
【0116】
【表6】
【0117】
表6及び
図1に示す結果からも明らかなように、ジルコニア系担体に担持されているパラジウムの量が、排ガス浄化用触媒中のパラジウムの全量に対して20質量%である比較例10で得られた排ガス浄化用触媒においてはNO浄化性能が必ずしも十分なものとはならないことが確認された。また、ジルコニア系担体に担持されているパラジウムの量が、排ガス浄化用触媒中のパラジウムの全量に対して100質量%である比較例9で得られた排ガス浄化用触媒においてもNO浄化性能が必ずしも十分なものとはならないことが確認された。このような結果や
図1に示すグラフから、ジルコニア系担体に担持されているパラジウムの量が排ガス浄化用触媒中のパラジウムの全量に対して30質量%以上95質量%以下の範囲となっている実施例1〜5で得られた排ガス浄化用触媒においては、十分に高度なNO浄化性能が得られることが分かった。
【0118】
また、表6及び
図1に示す結果からも明らかなように、鉄を担持せずにパラジウムのみを担持したジルコニア系担体からなる触媒と、アルミナ系担体にパラジウムを担持した触媒とを組み合わせた比較例2〜7で得られた排ガス浄化用触媒においてはいずれもNO浄化性能が必ずしも十分なものとはならなかった。また、表6及び
図1に示す結果からも明らかなように、アルミナ系担体にのみパラジウムを担持している比較例8及び比較例11で得られた排ガス浄化用触媒においては、耐久試験後におけるNO浄化性能が必ずしも十分なものとはならないことも分かった。更に、パラジウムのみを担持したジルコニア系担体からなる触媒とアルミナ系担体のみからなる触媒とを組み合わせた比較例1で得られた排ガス浄化用触媒と、鉄とパラジウムとを担持したジルコニア系担体からなる触媒とアルミナ系担体のみからなる触媒とを組み合わせた比較例9で得られた排ガス浄化用触媒とを比較すると、ジルコニア系担体にパラジウムとともに鉄を担持することにより、耐久試験後の触媒活性が向上することが分かった。また、このような結果と、実施例1〜5で得られた排ガス浄化用触媒と比較例2〜6で得られた排ガス浄化用触媒のNO浄化性能の結果を併せ鑑みると、ジルコニア系担体に触媒中の全パラジウムを担持している場合に鉄を更に担持して得られる効果(比較例9において比較例1と比較して達成されている効果)と比較して、パラジウム及び鉄(Pd−Fe)と、パラジウム(Pd)とを分離してジルコニア系担体とアルミナ系担体とに所定の割合で担持した場合(実施例1〜5)においては、耐熱試験後におけるNO浄化性能が飛躍的に向上することが分かり、これにより十分に高度なNO浄化性能が得られることが分かった。
【0119】
以上のような結果から、ジルコニア系担体に鉄とパラジウムとを担持した触媒と、アルミナ系担体にパラジウムを担持した触媒とを組み合わせて用い、且つ、ジルコニア系担体に担持されているパラジウムの量が排ガス浄化用触媒中のパラジウムの全量に対して30質量%以上95質量%以下の範囲となっている場合(実施例1〜5)には、Pd−Fe活性点とPd活性点を異なる担体に分離担持した効果が十分に得られ、これにより1000℃、5時間の耐久試験後の触媒のNO浄化性能が十分に高度なものとなることが確認された。
【0120】
また、表6に示す結果からも明らかなように、実施例6と比較例12で得られた排ガス浄化用触媒は、相違点がジルコニア系担体への鉄の担持の有無のみにあることを併せ勘案すれば、ジルコニア系担体に鉄とパラジウムとを担持した触媒を用いた場合(実施例6)に、セリア−ジルコニア系複合酸化物担体にパラジウムを担持した触媒を組み合わせて利用した場合においても、1000℃、5時間の耐久試験後の触媒のNO浄化性能が十分に高度なものとなることが確認された。このように、実施例6で得られた排ガス浄化用触媒のNO浄化活性の測定試験の結果から、ジルコニア系担体に鉄とパラジウムとを担持した触媒と、アルミナ系担体にパラジウムを担持した触媒と、セリア−ジルコニア系複合酸化物担体にパラジウムを担持した触媒とを組み合わせて利用した場合においても、Pd−Fe活性点とPd活性点を異なる担体に分離担持した効果が十分に得られ、耐久試験後においてもNO浄化性能が十分に高度なものとなることが確認された。
【0121】
さらに、表6に示す結果からも明らかなように、セリア−ジルコニア系担体にパラジウムと鉄を担持した触媒を用いた比較例13〜14で得られた排ガス浄化用触媒においてはNO浄化性能が必ずしも十分なものとならないことが明らかとなった。また、表6に示す結果からも明らかなように、アルミナ系担体上に鉄とパラジウムを担持した触媒を利用した場合(比較例16)と、アルミナ系担体上にパラジウムのみを担持した触媒を利用した場合(比較例15)とを対比すれば、アルミナ系担体上にパラジウムと鉄を担持したとしてもPd−Fe活性点が必ずしも十分な効果を発揮しないことが分かった。このような結果は、耐久試験中に高温によって鉄とアルミナとが固相反応を起してPdとFeとの相互作用が十分に得られず、Pd−Fe活性点が十分に機能しなかったことに起因するものと本発明者らは推察する。
【0122】
以上のような結果から、第一触媒として「ジルコニア系担体に鉄とパラジウムとを担持した触媒」を用い、第二触媒として「アルミナ系担体にパラジウムを担持した触媒、又は、アルミナ系担体及びセリア−ジルコニア系複合酸化物担体の混合担体にパラジウムを担持した触媒」を用い、第一触媒と第二触媒とを組み合わせて、第一触媒中のジルコニア系担体に担持されているパラジウムの量が排ガス浄化用触媒中のパラジウムの全量に対して30質量%以上95質量%以下の範囲とした場合に、Pd−Fe活性点とPd活性点を異なる担体に分離担持した効果が十分に得られ、1000℃、5時間の耐久試験後の触媒のNO浄化性能が十分に高度なものとなることが確認された。