(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。
図1〜
図7は本発明をパチンコ機に採用した第1の実施例を例示している。
図1において、1は遊技機本体で、矩形状の外枠2と、この外枠2の前側に開閉自在に枢着された前枠3とを備えている。前枠3は左端側の上下一対のヒンジ4を介して外枠2に着脱及び開閉自在に装着されている。
【0013】
前枠3の上部側には遊技盤5が例えば前側から着脱自在に装着されると共に、遊技盤5の前側にガラス扉6が、ガラス扉6の下側に隣接して前面開閉板7が夫々配置されている。ガラス扉6、前面開閉板7はヒンジ4と同一側のヒンジ(図示省略)により前枠3に開閉自在に枢支されている。前面開閉板7には、その前側に、発射手段8に供給するための遊技球を貯留する貯留皿9、発射手段8を作動させるための発射ハンドル10等が設けられている。
【0014】
遊技盤5の前側には、発射手段8により発射された遊技球を案内するガイドレール11が略環状に装着されると共に、そのガイドレール11内の遊技領域12には、液晶表示部13を備えた液晶表示手段14の他、普通図柄始動手段15、特別図柄始動手段16、大入賞手段17、普通入賞手段18等の各種遊技部品が装着されている。
【0015】
遊技盤5の裏面側には、
図2に示すように、液晶表示手段14等の遊技部品を後側から覆う裏カバー19が装着され、この裏カバー19の背面側に、主基板20が格納された主基板ケース21、演出基板22が格納された演出基板ケース23、液晶基板24が格納された液晶基板ケース25等が着脱自在に装着されている。
【0016】
前枠3の裏側には、前側から装着された遊技盤5の裏側を開閉自在に覆う開閉カバー31が着脱自在に装着されると共に、その上部側に遊技球タンク32とタンクレール33とが、左右方向一端側、例えばヒンジ4側に払い出し手段34と払い出し通路35とが夫々装着されており、遊技球が大入賞手段17等に入賞したとき、又は図外の自動球貸し機から球貸し指令があったときに、遊技球タンク32内の遊技球をタンクレール33を経て払い出し手段34により払い出し、その遊技球を払い出し通路35を経て貯留皿9に案内するようになっている。
【0017】
前枠3の裏側下部には基板装着台36が着脱自在に装着されており、この基板装着台36の背面側に、電源基板39が格納された電源基板ケース40、払い出し基板41が格納された払い出し基板ケース42が夫々着脱自在に装着されている。
【0018】
以下、払い出し基板41及び払い出し基板ケース42を例にその詳細を説明する。払い出し基板ケース42は、例えば前後に偏平な略矩形状の箱形で、
図3〜
図5に示すように、ケース本体43及びケース蓋体44と、例えば左右方向一端側でケース本体43とケース蓋体44とを係脱、開閉自在に結合するヒンジ手段45と、例えば左右方向他端側でケース本体43とケース蓋体44とを閉鎖状態で封止可能な封止手段46とを備え、その内部に払い出し基板41が格納されている。
【0019】
ケース本体43は外周に沿って突設された外周枠47を一体に備え、その三辺の外周枠47上に払い出し基板41が当接されて位置決め突起49、固定ネジ50等によりケース本体43に着脱自在に固定されている。ケース蓋体44は払い出し基板41に当接又は近接する段部51を有し、その段部51にコネクタ孔52が形成されている。そして、このケース蓋体44はケース本体43の外周に嵌合してヒンジ手段45、封止手段46等によりケース本体43に係脱、開閉自在に結合されている。なお、ケース本体43、ケース蓋体44を備えた払い出し基板ケース42には種々の形状、構造のものがあり、その何れを採用してもよい。
【0020】
払い出し基板41は製造直後の状態では
図6に示すように略矩形状であって、その配線パターン(図示省略)が印刷されると共に、表側の中央部にCPU,ROM,RAM等の各種電子部品54が配置され、また外縁部近傍に複数のコネクタ55が装着された基板主体部56と、この基板主体部56に切断部57,58を介して連接された識別標識表示部59,60とを備えている。
【0021】
払い出し基板41は払い出し基板ケース42に組み込む際に、何れかの切断部57,58を切断して何れかの識別標識表示部59,60を除去する。従って、仮に識別標識表示部60を除去した場合には、
図3に示すように基板主体部56の外周にその識別標識表示部60に対応する形状の切断済み縁61が設けられている。
【0022】
識別標識表示部59,60は基板主体部56の一辺、例えば下辺の左右両端部に切断部57,58を介して連接され、その切断部57,58を切断することにより、任意の識別標識表示部59,60を基板主体部56と一体に残しながら個別に除去可能である。
【0023】
各識別標識表示部59,60は基板主体部56の配線パターン等の邪魔にならないように基板主体部56の隅部側に配置されており、その隅部を挟んで隣り合う二辺に跨がって斜め方向に設けられた略直線状の切断部57,58により基板主体部56と区画されている。なお、切断部57,58、識別標識表示部59,60は略対象に設けられている。
【0024】
各識別標識表示部59,60には、「製造業者の名称」を示す製造業者識別標識63,64と、「基板の型式を特定するための番号、記号その他の符号」を示す型式識別標識65,66とが印刷等により付されている。例えば、一方の識別標識表示部59には製造業者がA社であることを示す「A社」の製造業者識別標識63と、その払い出し基板41の型式番号を示す「123」の型式識別標識65とが付されており、他方の識別標識表示部60には製造業者がB社であることを示す「B社」の製造業者識別標識64と、その払い出し基板41の型式番号を示す「456」の型式識別標識66とが付されている。なお、この場合はA社、B社を対象とする払い出し基板41であるため、製造業者識別標識63,64、型式識別標識65,66が共に異なっている。
【0025】
切断部57,58は基板主体部56と識別標識表示部59,60とを屈曲させる等により、基板主体部56から識別標識表示部59,60を容易に分離できるものであればよく、例えば
図7(a)に示すミシン目67、又は
図7(b)に示すV字状等の切断溝68により構成されている。なお、切断溝68の場合には、表裏に対応するようにその両面に設けることが望ましいが、少なくとも一方側に設ければよい。また切断部57,58は他の構成のものを採用してもよい。
【0026】
なお、払い出し基板41は、基板主体部56の外周側の適当箇所、例えば識別標識表示部59,60と反対の一辺に設けられた位置決め孔69と、この位置決め孔69から離れた位置に設けられた複数の取り付け孔70とを有し、その位置決め孔69にケース本体43の位置決め突起49が嵌合され、取り付け孔70にケース本体43側の取り付け部に螺合する固定ネジ50が挿通されている。
【0027】
取り付け孔70は基板主体部56と識別標識表示部59,60とに設けられている。例えば、切断部57,58側の基板主体部56にはその切断部57,58の近傍に、また識別標識表示部59,60には切断部57,58から離れた隅部に夫々取り付け孔70が設けられている。
【0028】
この実施例の場合には、次のような利点がある。例えばOEM等に際しては、A社製のパチンコ機とB社製のパチンコ機とに共通の払い出し基板41を使用する場合には、予め
図6に示すような構成の払い出し基板41を製作しておく。
【0029】
即ち、払い出し基板41の製作に当たっては、基板主体部56の一辺の両側に二つの識別標識表示部59,60が切断部57,58を介して連接された払い出し基板41を製作する。勿論、二つの識別標識表示部59,60には製造業者であるA社用、B社用等に関する所定の識別標識63〜66が付されている。
【0030】
このようにA社用、B社用の識別標識表示部59,60を切断部57,58を介して一体に備えた払い出し基板41を製作することによって、この払い出し基板41をA社用、B社用の何れにも兼用することができ、払い出し基板41の共通化をより促進することができる。
【0031】
そして、払い出し基板ケース42内に組み込む前に、払い出し基板41がA社用であるかB社用であるかに応じて不要な識別標識表示部59,60を除去し、必要な識別標識表示部59,60を残し、その状態で払い出し基板41を払い出し基板ケース42内に収納する。
【0032】
例えばA社用の払い出し基板ユニットを組み立てる場合には、B社用の識別標識表示部60が不要であるので、
図6に二点鎖線で示すように切断部58を切断して基板主体部56から識別標識表示部60を除去する。これによってB社用の識別標識表示部60があった部分には、
図3に示すように切断部58を切断した切断済み縁61が残るだけであって、A社用の識別標識表示部59が切断部57を介して基板主体部56に一体に連接されたA社専用の払い出し基板41となる。
【0033】
従って、B社用の識別標識表示部60を除去することによって、当初A社用、B社用の共通部品であった払い出し基板41がこの時点からA社用の専用部品となるので、組み立ての段階でA社用、B社用を選択することが可能であり、例えば何等かの事情でA社のパチンコ機の製造数が多くなり、B社のパチンコ機の製造数が少なくなるような場合にも、基板主体部56と識別標識表示部59,60を備えた専用形態の払い出し基板41であるにも拘わらず、その払い出し基板41を製造数量の多少に応じて自在に転用することができ、また払い出し基板41の無駄を解消することができる。
【0034】
また払い出し基板41には基板主体部56と一方の識別標識表示部59との間に切断部57があり、他方には切断済み縁61があるが、その切断部57、切断済み縁61の近傍で基板主体部56を固定ネジ50によりケース本体43に固定し、識別標識表示部59,60の隅部を固定ネジ50によりケース本体43に固定しているので、ケース本体43に対して払い出し基板41を確実に固定することができる。
【0035】
図8は本発明の第2の実施例を例示する。この実施例では、識別標識表示部59,60に表示された製造業者識別標識63,64に対応して複数種類の払い出し基板ケース42が準備されている。各払い出し基板ケース42には、払い出し基板41を取り付けるケース本体43側に、その払い出し基板41が除去された識別標識表示部59,60に対応して払い出し基板ケース42のケース本体43側に突出部71が設けられている。
【0036】
この突出部71は除去された識別標識表示部60に対応する形状になっているが、その除去された識別標識表示部60に対応する範囲内に、払い出し基板41の取り付け面よりも突出する突出部71があれば十分である。なお、突出部71は払い出し基板41の切断済み縁61の外側近傍に設ければよい。
【0037】
この場合には、払い出し基板ケース42は突出部71の位置の違いによってA社用とB社用との二種類があり、それに収納される払い出し基板41は一種類であり、それを第1の実施例と同様に使い分ける。
【0038】
例えばA社用の払い出し基板ユニットを製作する場合には、A社用の払い出し基板ケース42を使用し、その払い出し基板ケース42に、B社用の識別標識表示部60が除去されてA社用の専用基板となった払い出し基板41を収納する。
【0039】
このようにすれば、A社用の払い出し基板ユニットの製作に際して、誤ってA社用の識別標識表示部59を切断してB社用の払い出し基板41とした後、そのB社用の払い出し基板41をA社用の払い出し基板ケース42のケース本体43上にセットしても、突出部71が邪魔になって正規の取り付け位置に収まらないので、その払い出し基板41をケース本体43に固定できない。
【0040】
従って、この段階で払い出し基板ケース42と払い出し基板41との組み合わせの間違いを発見でき、共通の払い出し基板41を使用しているにも拘わらず、払い出し基板ケース42と払い出し基板41との組み合わせ違いを未然に防止することができると共に、払い出し基板ケース42を開けてその都度内部の払い出し基板41を確認する必要もない。
【0041】
図9は本発明の第3の実施例を例示する。この実施例では、共通基板である払い出し基板41には、その対角線方向の両側に切断部57,58を介して識別標識表示部59,60が設けられている。なお、各切断部57,58は、対角線方向の両側の隅部を挟む二辺に跨がって斜め方向に形成され、互いに略平行になっている。この場合にも、例えば切断部58を切断して識別標識表示部60を除去すれば、切断済み縁61ができる。
【0042】
このように各識別標識表示部59,60は、基板主体部56に配置される配線パターン、電子部品54、コネクタ55等の配置によっては払い出し基板41の対角線方向の両側に設けることも可能であり、この場合にも第1、第2の実施例と同様に実施することができる。
【0043】
図10は本発明の第4の実施例を例示する。この実施例では、矩形状の払い出し基板41の短辺側に識別標識表示部59,60が並べて配置されている。各識別標識表示部59,60は直線状に設けられた切断部57,58を介して基板主体部56と区画され、両識別標識表示部59,60は切断部72を介して区画されている。
【0044】
このように払い出し基板41の一端側に複数の識別標識表示部59,60を並べて設けた場合にも、各切断部57,58,72を適宜切断することによって、任意の1の識別標識表示部59,60を残して他の識別標識表示部59,60を除去できるので、各実施例と同様に実施することができる。
【0045】
図11は本発明の第5の実施例を例示する。この実施例では、同一の製造業者内において、同一の配線パターン、電子部品54、コネクタ55を備えて同一の制御機能を有する払い出し基板41を型式番号を変えて、異なるパチンコ機に共通に使用する場合を例示する。
【0046】
識別標識表示部59,60を除去する前の払い出し基板41は、基板主体部56の一辺の両端側に二つの識別標識表示部59,60が切断部57,58を介して設けられている。各識別標識表示部59,60には、同一の製造業者を示す「A社」の製造業者識別標識63,64が付され、またその一方には型式番号を示す「001」の型式識別標識65が、他方にはそれとは異なる型式番号を示す「002」の型式識別標識66が夫々付されている。従って、この場合には識別標識表示部59,60に付される製造業者識別標識63,64、型式識別標識65,66の内、製造業者識別標識63,64が同じで、型式識別標識65,66が異なっている。
【0047】
このようにしておけば、同一の製造業者において、同じ制御機能を有す基板主体部56を備えた払い出し基板41を使用しながら、機種毎にその払い出し基板41の型式番号を変えて、複数種類のパチンコ機を製造する場合には、その識別標識表示部59,60の何れか一方を切断すればよい。
【0048】
従って、第1〜4の実施例では、A社とB社との異なる製造業者を前提にして、最終的に専用形態を取りながらも一種類の払い出し基板41をA社用とB社用に共通に使用できる場合を例示しているが、異なる製造業者相互での払い出し基板41の共通化の他、同一の製造業者内において、複数種類の機種相互での払い出し基板41の共通化を図る場合にも同様に実施することができる。
【0049】
以上、本発明の各実施例について詳述したが、本発明はこの各実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、各実施例では払い出し基板41について詳述しているが、主基板、その他の基板においても同様に実施可能であることは云うまでもない。
【0050】
また各実施例では、基板主体部56に対して二つの識別標識表示部59,60を設ける場合を例示しているが、識別標識表示部59,60は三つ以上でもよい。また識別標識表示部59,60に表示される識別標識は、各実施例では製造業者識別標識63,64と型式識別標識65,66とに分けて例示しているが、製造業者の名称と基板の型式番号とをまとめて一つの識別標識を構成してもよい。勿論、その製造業者は異なってもよいし、同じでもよい。要するに識別標識表示部59,60に付される識別標識は、製造業者及び型式を示すものであって、製造業者識別標識63,64は型式識別標識65,66とを別々に表示するかまとめて表示するかを問わず、全体として異なる標識であればよい。
【0051】
払い出し基板41を収納する払い出し基板ケース42(収納ケース)の構成は、ケース本体43、ケース蓋体44を備えたものが一般的があるが、これ以外の構造のものでもよい。またケース本体43、ケース蓋体44を備えた払い出し基板ケース42を使用する場合、払い出し基板41はケース蓋体44側に固定してもよい。更に識別標識は文字が適当であるが、その一部又は全部を記号化又は符号化して付することも可能である。
【0052】
また実施例では本発明をパチンコ機に適用した例を示したが、アレンジボール機、スロットマシン等の各種遊技機において同様に実施可能であることは言うまでもない。