【文献】
Current Opinion in Biotechnology,2002年,Vol.13, No.6,p.598-602
【文献】
Cell. Immunol., 2002, Vol.219, No.2, pp.92-97
【文献】
実験医学別冊 バイオマニュアルUPシリーズ タンパク質の分子間相互作用実験法,株式会社 羊土社,1996年,p.211−230
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1a-1】
図1a−1は各種の新しい抗体の重鎖可変領域領域の核酸配列を提供する。
【
図1a-2】
図1a−2は各種の新しい抗体の重鎖可変領域領域の核酸配列を提供する。
【
図1a-3】
図1a−3は各種の新しい抗体の重鎖可変領域領域の核酸配列を提供する。
【
図1a-4】
図1a−4は各種の新しい抗体の重鎖可変領域領域の核酸配列を提供する。
【
図1a-5】
図1a−5は各種の新しい抗体の重鎖可変領域領域の核酸配列を提供する。
【
図1b-1】
図1b−1は各種の新しい抗体の重鎖可変領域領域のアミノ酸配列を提供する。CDR領域であるHCDR1、HCDR2、およびHCDR3はN末端からC末端の方向に定義され、太字で示す。
【
図1b-2】
図1b−2は各種の新しい抗体の重鎖可変領域領域のアミノ酸配列を提供する。CDR領域であるHCDR1、HCDR2、およびHCDR3はN末端からC末端の方向に定義され、太字で示す。
【
図1b-3】
図1b−3は各種の新しい抗体の重鎖可変領域領域のアミノ酸配列を提供する。CDR領域であるHCDR1、HCDR2、およびHCDR3はN末端からC末端の方向に定義され、太字で示す。
【
図2a-1】
図2a−1は各種の新しい抗体の軽鎖可変領域領域の核酸配列を提供する提供する。
【
図2a-2】
図2a−2は各種の新しい抗体の軽鎖可変領域領域の核酸配列を提供する提供する。
【
図2a-3】
図2a−3は各種の新しい抗体の軽鎖可変領域領域の核酸配列を提供する提供する。
【
図2a-4】
図2a−4は各種の新しい抗体の軽鎖可変領域領域の核酸配列を提供する提供する。
【
図2a-5】
図2a−5は各種の新しい抗体の軽鎖可変領域領域の核酸配列を提供する提供する。
【
図2b-1】
図2b−1は各種の新しい抗体の軽鎖可変領域領域のアミノ酸配列を提供する。CDR領域であるLCDR1、LCDR2、およびLCDR3はN末端からC末端の方向に定義され、太字で示す。
【
図2b-2】
図2b−2は各種の新しい抗体の軽鎖可変領域領域のアミノ酸配列を提供する。CDR領域であるLCDR1、LCDR2、およびLCDR3はN末端からC末端の方向に定義され、太字で示す。
【
図2b-3】
図2b−3は各種の新しい抗体の軽鎖可変領域領域のアミノ酸配列を提供する。CDR領域であるLCDR1、LCDR2、およびLCDR3はN末端からC末端の方向に定義され、太字で示す。
【
図3】
図3はコンセンサスに基づくHuCAL
(R)抗体マスター遺伝子配列の重鎖可変領域のアミノ酸配列を提供する。CDR領域である、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3はN末端からC末端の方向に定義され、太字で示す(配列番号:41)。
【
図4】
図4はコンセンサスに基づくHuCAL
(R)抗体マスター遺伝子配列の軽鎖可変領域のアミノ酸配列を提供する。CDR領域である、LCDR1,LCDR2、およびLCDR3はN末端からC末端の方向に定義され、太字で示す(配列番号:42)。
【
図5】
図5はpMORPH
(R)X9_MOR03929_FH発現ベクター(配列番号:43)のDNA配列の例を提供する。
【
図6】
図6はGM−CSF受容体アルファ特異抗体MAB1006を用いるFACS解析によって決定される、GM−CSF受容体アルファの発現レベルを提供する。CHO−GMRa#11(実線)がCHO−K1(点線)との比較して示される。x軸はFL2チャネルで測定された相対蛍光値(RFL)を示し、y軸は細胞数を表す。
【0034】
発明の詳細な説明
本発明は、GM−CSFに特異的な、または高い親和性を持ち、一つ以上のほかの新しい特性を持つ新しい抗体の発見に基づく。好ましくは、本発明の一つの抗体は被験者に治療上の利益をもたらすことができる。ヒトのまたはヒト化してよい本発明の抗体を、本明細書でより十分に説明する多くの状況で使用できる。
【0035】
「ヒト」抗体または機能性ヒト抗体フラグメントを本明細書では、キメラ(例えば「ヒト化」ではない)ではなく、非ヒト種から(全体または一部分のいずれも)ではないものとして定義する。ヒト抗体または機能性抗体フラグメントはヒトから得られるか、あるいは合成ヒト抗体であってもよい。「合成ヒト抗体」は本明細書では全体または一部において、既知のヒト抗体配列の解析に基づく合成配列からコンピュータ内で得られた配列を持つ抗体として定義する。ヒト抗体配列またはそのフラグメントのコンピュータ内設計は、例えばヒト抗体または抗体フラグメント配列のデータベースを解析することによって、またそこから得られたデータを利用してポリペプチド配列を考案することにより達成できる。ヒト抗体または機能性抗体フラグメントの別の例は、ヒト由来の抗体配列のライブラリーから単離された核酸によってコードされたものである(すなわち、ヒトの天然ソースから採取された抗体に基づくライブラリー)。
【0036】
「ヒト化抗体」または機能性ヒト化抗体フラグメントは本明細書では、(i)抗体がヒト生殖細胞配列に基づく、非ヒトソース由来(例えば、異種免疫系を持つトランスジェニックマウス)のもの、(ii)可変領域が非ヒト由来から得られ、定常領域がヒト由来か
ら得られる、キメラのもの、または(iii)一つ以上の可変領域の骨格がヒト由来で一方、可変領域のCDRが非ヒト由来であり、定常領域(もしあれば)がヒト由来である、CDRグラフトとして定義される。
【0037】
結合特異性は絶対的なものではなく、相対的な特性であるため、本明細書では、抗体が「特異的に結合する」は、抗体(ここではGM−CSF)「に特異的である/に対して特異的な」または抗体を「特異的に認識する」ことになるのは、もしそのような抗体がそのような抗原と一つ以上の対照抗体を識別できる場合である。その最も一般的な形態において(そして定義された文献に言及されていない場合)、「特異的結合」は、例えば、以下の方法のうちの一つに従って決定されるような、目的の抗原と関係のない抗原を識別できるような抗体の能力を指す。そのような方法には、ウエスタンブロット法、ELISA法、RIA法、ECL法、IRMA法、およびペプチドスキャン法が含まれるがこれに限定されない。例えば、スタンダードELISAアッセイを用いてもよい。スコアリングは標準の発色法によって行われてもよい(例えば西洋わさびペルオキシダーゼ標識二次抗体と、過酸化水素を加えたテトラメチルベンジジン)。特定のウェル内での反応を、例えば450nmなどの光学的濃度によってスコアリングする。標準的なバックグラウンド(=陰性反応)は0.1ODであってもよく、標準的な陽性反応は1ODであってもよい。これは陽性と陰性の差が10倍以上でありうることを意味する。一般的に、単一の対照抗原ではなく、粉乳、BSA、トランスフェリン、または同様のものなど、約3〜5つの関連しない抗原結合特異性の測定を行う。
【0038】
しかし、「特異的結合」はまた、標的抗原と一つ以上の密接に関連する抗原を識別するような抗体の能力を指してもよく、例えばGM−CSFとIL3、IL5、IL−4、IL13、またはM−CSFの間の対照点として使用される。さらに、「特異的結合」はその標的抗原の異なる部位、例えばGM−CSFの異なる領域または部位を、または一つ以上の鍵となるアミノ酸残基またはGM−CSFのアミノ酸残基のヒト配列を識別するような抗体の能力に関連してよい。
【0039】
また、本明細書で用いるように、ここでの「免疫グロブリン」(Ig)はIgG、IgM、IgE、IgA、またはIgDのクラス(またはそれらのサブクラス)に属するタンパク質として定義され、従来より知られる全ての抗体とそれらの機能性フラグメントを含む。ここでの抗体/免疫グロブリンの「機能性フラグメント」は、抗原結合領域を持つ抗体/免疫グロブリンのフラグメント(例えばIgGの可変領域)として定義される。抗体の「抗原結合領域」は一般的に抗体の一つ以上の超可変領域、すなわちCDR1、CDR2、および/またはCDR3領域内に認められるが、可変領域の「フレームワーク」領域もまた、CDR領域に骨格を与えることなどによって抗原結合において重要な働きをする。好ましくは、「抗原結合領域」は、少なくともアミノ酸残基4番目から103番目の軽鎖可変領域(VL)と5番目から109番目の重鎖可変領域(VH)を含み、より好ましくは アミノ酸残基3番目から107番目のVLと4番目から111番目のVH、特に好ましいのは完全なVLとVHである(アミノ酸位置が1番目から109番目のVLと1番目から113番目のVHであり、WO 97/08320に従って番号を付けている)。本発明での使用のために好ましいクラスの免疫グロブリンはIgGである。本発明の「機能性フラグメント」は、一つの重鎖可変領域または一つの軽鎖可変領域などの、F(ab’)
2フラグメント、Fabフラグメント、scFv、または単一の免疫グロブリン可変領域または単一のドメイン抗体ポリペプチドを含む構造物のドメインを含む。F(ab’)
2またはFabは、C
HIとC
Lドメインの間に起こる分子間ジスルフィド結合を最小化する、または完全に除去するために作製されてよい。
【0040】
本発明の抗体は、コンピュータ内で設計され、合成的に作製された核酸によってコードされたアミノ酸配列に基づく組換え抗体ライブラリーから得てもよい。抗体配列のコンピ
ュータ内設計は、例えばヒトの配列のデータベースを解析することにより、またそこから得られたデータを利用してポリペプチド配列を考案することにより達成される。コンピュータ内で作成された配列を設計し得るための方法は、例えばKnappikら、J.Mol.Biol.(2000)296:57; Krebsら、J.Immunol.Methods.(2001)254:67;および米国特許番号第6,300,064号 Knappikらにおいて記述され、これらは参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0041】
本発明の抗体
本明細書を通して、以下の本発明の代表的な抗体に対して言及される。「antibody nos.」または「MOR」03684、04251、03929、04252、04287、04290、04302、04350、04354、04357、03682、04283、04297、および04342。MOR03684は、配列番号:1(DNA)/配列番号:11(タンパク質)に対応する重鎖可変領域領域と、配列番号:21(DNA)/配列番号:31(タンパク質)に対応する可変軽鎖領域を持つ抗体を表す。MOR04251は、配列番号:2(DNA)/配列番号:12(タンパク質)に対応する重鎖可変領域領域と、配列番号:22(DNA)/配列番号:32(タンパク質)に対応する可変軽鎖領域を持つ抗体を表す。MOR03929は、配列番号:3(DNA)/配列番号:13(タンパク質)に対応する重鎖可変領域領域と、配列番号:23(DNA)/配列番号:33(タンパク質)に対応する可変軽鎖領域を持つ抗体を表す。MOR04252は、配列番号:4(DNA)/配列番号:14(タンパク質)に対応する重鎖可変領域領域と、配列番号:24(DNA)/配列番号:34(タンパク質)に対応する可変軽鎖領域を持つ抗体を表す。
【0042】
MOR04287は、配列番号:5(DNA)/配列番号:15(タンパク質)に対応する重鎖可変領域領域と、配列番号:25(DNA)/配列番号:35(タンパク質)に対応する可変軽鎖領域を持つ抗体を表す。MOR04290は、配列番号:6(DNA)/配列番号:16(タンパク質)に対応する重鎖可変領域領域と、配列番号:26(DNA)/配列番号:36(タンパク質)に対応する可変軽鎖領域を持つ抗体を表す。MOR04302は、配列番号:7(DNA)/配列番号:17(タンパク質)に対応する重鎖可変領域領域と、配列番号:27(DNA)/配列番号:37(タンパク質)に対応する可変軽鎖領域を持つ抗体を表す。MOR04350は、配列番号:8(DNA)/配列番号:18(タンパク質)に対応する重鎖可変領域領域と、配列番号:28(DNA)/配列番号:38(タンパク質)に対応する可変軽鎖領域を持つ抗体を表す。MOR04354は、配列番号:9(DNA)/配列番号:19(タンパク質)に対応する重鎖可変領域領域と、配列番号:29(DNA)/配列番号:39(タンパク質)に対応する可変軽鎖領域を持つ抗体を表す。MOR04357は、配列番号:10または48(DNA)/配列番号:20(タンパク質)に対応する重鎖可変領域領域と、配列番号:30または57(DNA)/配列番号:40(タンパク質)に対応する可変軽鎖領域を持つ抗体を表す。MOR03682は、配列番号:44(DNA)/配列番号:49(タンパク質)に対応する重鎖可変領域領域と、配列番号:53(DNA)/配列番号:58(タンパク質)に対応する可変軽鎖領域を持つ抗体を表す。MOR04283は、配列番号:45(DNA)/配列番号:50(タンパク質)に対応する重鎖可変領域領域と、配列番号:54(DNA)/配列番号:59(タンパク質)に対応する可変軽鎖領域を持つ抗体を表す。MOR04297は、配列番号:46(DNA)/配列番号:51(タンパク質)に対応する重鎖可変領域領域と、配列番号:55(DNA)/配列番号:60(タンパク質)に対応する可変軽鎖領域を持つ抗体を表す。MOR04342は、配列番号:47(DNA)/配列番号:52(タンパク質)に対応する重鎖可変領域領域と、配列番号:56(DNA)/配列番号:61(タンパク質)に対応する可変軽鎖領域を持つ抗体を表す。
【0043】
一つの態様では、本発明は、GM−CSFに特異的に結合できる、またはGM−CSFに高い親和性を持つ抗原結合領域を持つ抗体を提供する。もし親和性測定が少なくとも100nM(Fabフラグメントの一価結合)の場合、抗体は抗原に対して「高親和性」を持つと言われている。発明の抗体または抗原結合領域は、好ましくはGM−CSFと約100nM未満、より好ましくは約60nM未満、さらにより好ましくは約30nM未満の親和性で結合できる。さらに好ましいのは、約10nM未満、より好ましくは約3nM未満でGM−CSFに結合する抗体である。例えば、GM−CSFに対する本発明の抗体の親和性は約10.0nMまたは1pM(Fabフラグメントの一価結合)であってもよい。
【0044】
表1は、表面プラズモン共鳴(Biacore)と溶液平衡滴定(SET)解析によって測定されるような、本発明の代表的な抗体の親和性の概要を提供する。
【0045】
【表1】
表1を参照すると、MOR03684、04251、03929、04252、04357、04290、04302、04350、および04354の親和性は、固定化した組換えGM−CSFにおける表面プラズモン共鳴(Biacore)によって測定された。MOR03684、04251、03929、04252、04357、04290、04302、04350、および04354のFab型は、約6420から7pMの一価性結合の範囲を示す。
【0046】
Fab型はまた液平衡滴定(SET)による親和性の測定にも使用された。表1の右側の欄は、この方法における約16000から0.4pMの間のMORの結合活性を示す。本発明の抗体は、好ましくはヒトおよび少なくとも一つのほかの種と交差反応する種であり、これは齧歯動物または非ヒト霊長類であってもよい。非ヒト霊長類はアカゲザルであってもよい。齧歯動物はラットであってもよい。少なくとも1種の齧歯動物と交差反応性を示す抗体は、同じ抗体を用いた複数の動物種における生体内試験を実施する目的のために、例えば既知の抗GM−CSF抗体を超えるより優れた柔軟性や利点を提供できる。
好ましくは、本発明の抗体はGM−CSFと結合できるだけでなく、ヒトGM−CSFとCHO−K1細胞に発現させたヒトGM−CSF受容体のアルファ鎖との結合を、少なくとも25%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、好ましくは少なくとも85%、最も好ましくは少なくとも100%の程度で阻害できる。好ましい実施形態では、本発明の抗体は、0.5μg/mlのヒトGM−CSFと2×10
5個のCHO−K1細胞に発現させたヒトGM−CSF受容体のアルファ鎖との結合を、少なくとも50%の程度で、CHO−K1細胞に発現させたヒトGM−CSF受容体アルファ鎖の濃度が、約2×10
5個のCHO−GMRa#11細胞に発現させたヒトGM−CSF受容体アルファ鎖の濃度と同様である条件下と、発明的な抗体の濃度が約5μg/mlである条件下で阻害できる。
【0047】
この点において、当業者は、規定レベルのGM−CSF受容体αを発現する様々な安定した細胞株を生成する目的で、GM−CSF受容体αをコードしている適切な発現ベクターにCHO−K1細胞の集団をトランスフェクションすることにより、約2×10
5個のCHO−GMRa#11細胞に発現させたものと同様の濃度にて、ヒトGM−CSF受容体αを発現するCHO−K1細胞を得られ、その後、安定した細胞株は実施例3Cにおいて本質的に記述されるようなプロトコールに従ってGM−CSF受容体α発現レベルを測定するために、FACS解析にて解析され、約2×10
5個のCHO−GMRa#11細胞に発現させたものと同様の濃度にてヒトGM−CSF受容体αを発現する細胞株は、そのようなトランスフェクト細胞の中央蛍光値(MFL)を実施例3Cにおいて説明されるMFL値と比較することによって特定される。本明細書で使用されているように、実施例3Cにおいて説明されるように、もしトランスフェクト細胞株のMFL値が2倍の係数より大きい程度で、CHO−GMRa#11細胞に対するMFL値から偏位しない場合、細胞株は約2×10
5個のCHO−GMRa#11細胞に発現させたものと「同様」の濃度にてGM−CSF受容体αを発現しているものと定義される。
【0048】
さらに、本発明の抗体は、対照抗体BVD2−21C11および/またはMAB215より低いIC
50値を持ち、好ましくは少なくとも5倍低いIC
50値、より好ましくは対照抗体BVD2−21C11および/またはMAB215より少なくとも10倍低いIC
50値、より好ましくは対照抗体BVD2−21C11および/またはMAB215より少なくとも15倍低いIC
50値、より好ましくは対照抗体BVD2−21C11および/またはMAB215の20倍低いIC
50値、より好ましくは対照抗体BVD2−21C11および/またはMAB215より30倍低いIC
50値、より好ましくは対照抗体BVD2−21C11および/またはMAB215より50倍低いIC
50値、より好ましくは対照抗体BVD2−21C11および/またはMAB215より100倍低いIC
50値、および最も好ましくは対照抗体BVD2−21 CI 1および/またはMAB215より120倍低いIC
50値を持つTF−1増殖アッセイにおいてヒトGM−CSFを中和できる。
【0049】
ペプチド変異体(variants)
本発明の抗体はここで開示された特定のペプチド配列に限らない。むしろ、ポリペプチドの変異体も含む。当該開示内容、従来技術および参考文献を参照して、熟練労働者はここで開示された機能的な抗体の変異体を準備、テストおよび活用できると同時に、前記変異体も本発明の範囲内であることを理解する。この文脈において、「GM−CSFとGM−CSF受容体のアルファ鎖との相互作用をブロックする能力」は、本発明の抗GM−CSF抗体で説明された機能的特性を意味する。
【0050】
変異体は、例えば、少なくとも1つの変更相補性決定領域(CDR)(超可変性)および/またはフレームワーク(FR)(可変性)、およびここに開示されたペプチド配列に対する領域/位置を有する抗体を含む。この概念をより良く示す為に、抗体構造の簡単な記述を続ける。
【0051】
抗体は、2種のペプチド鎖からなり、それぞれ1つ(軽鎖)または3つ(重鎖)の連続領域および可変領域(VL、VH)を含み、後者はそれぞれの場合において4つのFR領域と3つの空間CDRからなる。抗原結合部位は1つ以上のCDRから形成され、前記FR領域は前記CDRの構造的フレームワークを提供するとともに、抗原結合部位において重要な役割を持つ。CDRまたはFR領域における1つ以上のアミノ酸残基を変更することで、前記熟練労働者は日常的に、抗原に対してスクリーニング可能な変異性または多様性の抗体配列を新規かまたは改良された特性に関して、生成することが可能となる。
【0052】
表2a(VH)および2b(VL)は本発明の特定の抗体に対するCDRおよびFR領域を描写し、それぞれの所定位置でのアミノ酸と対応コンセンサスまたは「マスター遺伝子」配列とを比較している(米国特許番号第6,300,064号に開示)
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】
【表5】
もともとのHuCAL
(R) (完全ヒトモノクローナル抗体作製技術)マスター遺伝子は真正のN末端アミノ酸配列で構成されており、例えば、VLラムダ3は1および2の位置でアミノさん「SY」を、VH3は1の位置でアミノ酸「E」を含む。HuCAL GOLD
(R)ライブラリーを含むHuCAL
(R)抗原結合フラグメントライブラリーの構成中、最初の2種のアミノ酸はVLラムダ鎖で「DI」に変化し、その2種のアミノ酸はVH3鎖で「Q」に変化する。
【0057】
熟練労働者は表2aおよび2bのデータを利用し、本発明の範囲内でペプチド変異体を設計できる。変異体は、1つ以上のCDR領域内にあるアミノ酸を変えることで構成されることが好ましく、変異体は1つ以上の変更フレームワーク領域も有する。新規抗体を互いに比較したものを参照して、変更可能な候補残基には、MOR04251の例えば可変性軽鎖の残基27または51および例えば可変性重鎖の残基32または56を含むが、これらが互いに向かい合う変化の位置だからである。変更(alteration)もフレームワーク領域内で発生する。例えば、ペプチドFR領域は、生殖細胞系配列と比較して、残基内に異常が見られる場所で変更されるかもしれない。
【0058】
新規抗体と対応コンセンサスまたは「マスター遺伝子」配列とを比較したものを参照して、変化可能な候補残基は、例えば、VLX3と比較したMOR04251の可変性軽鎖の残基27、50または90、およびVH3と比較したMOR04251の可変性重鎖の33、52または96を含む。代わりになるべきものとして、熟練労働者は本明細書で開示された前記アミノ酸配列とそのような抗体の同クラスの公知配列を比較し、例えば、Knappikらによって開示された手順(2000)とKnappikらに付与された米国特許番号第6,300,064号を利用することで、同じ分析ができる。
【0059】
さらに、MOR内の1つ以上のアミノ酸残基、好ましくは1つ以上のCDR内にあるアミノ酸残基を多様化させることで最適化する為の原点として1つのMORを利用し、そして改良特性を有する変異体に関して抗体変異体の結果として生じるコレクションをスクリーニングして、変異体を得てよい。特に、VLのCDR−3、VHのCDR−3、VLのCDR−1および/またはVHのCDR−2で1つ以上のアミノ酸残基の多様化が好ましい。トリヌクレオチド突然変異誘発法(TRIM)技術(Vimekasら、1994)を利用したDNA分子コレクションを合成することで、多様化が可能となる。
【0060】
保存アミノ酸変異体
ポリペプチド変異体は、本明細書で開示される全ての抗体ペプチド配列の分子構造を保存するよう構成される。各アミノ酸の特性を考慮にいれると、いくつかの合理的な代用は前記熟練労働者に認識される。アミノ酸の代用、すなわち「保存代用」が、例えば、極性、電荷、溶解度、疎水性、および/または関係する前記残基の両親媒性の特性における類似性を基本にして、製造される。
【0061】
例えば、(a)無極性(疎水性)アミノ酸は、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、およびメチオニンを含み、(b)中性極性アミノ酸は、グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、およびグルタミンを含み、(c)正荷電(基本)アミノ酸は、アルギニン、リシン、ヒスチジンを含み、(d)負荷電(酸性)アミノ酸は、アスパラギン酸およびグルタミン酸を含む。一般に、グループ(a)−(d)内で置換してよい。さらに、グリシンおよびプロリンは、α−ヘリックスを分裂させる能力に基づいて別のものと置換してよい。 同様に、アラニン、システイン、ロイシン、メチオニン、グルタミン酸、グルタミン、ヒスチジンおよびリシンなどの特定のアミノ酸は、α−ヘリックス内でより一般的に見られ、バリン、イソロイシン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファンおよびスレオニンはより一般的にβ−プリーテッドシート(pleated sheet)で、より一般的に見られる。グリシン、セリン、アスパラギン酸、アスパラギンおよびプロリンは一般的に間欠的に(in turns)見られる。いくつかの好ましい置換は、以下のグループ内で構成される:(i)SとT、(ii)PとGおよび(iii)A、V、LおよびI。周知の遺伝子コード、組換えDNAおよび合成DNA技術を考慮すると、熟練科学者は容易にDNAコードおよび保存アミノ酸変異体を構成できる。
【0062】
本明細書で使用される、2種のポリペプチド配列間の「配列同一性」は、配列間で同一のアミノ酸のパーセンテージを示す。「配列相同性」は、同一であるかまたは保存アミノ酸置換を表すアミノ酸パーセンテージを示す。本発明の好ましいポリペプチド配列は、CDR領域で少なくとも60%の配列同一性を有するが、さらに好ましいのは70%または80%であればさらに好ましく、90%であればそれよりさらに好ましく、95%であれば最良である。抗体もCDR領域で少なくとも80%の配列相同性を有することが好ましく、90%であればさらに好ましく、95%であれば最良である。
【0063】
本発明のDNA分子
本発明は本発明の抗体をコードするDNA分子にも関する。該配列は、
図1aおよび2aに示されるDNA分子を含むがこれに限らない。
【0064】
本発明のDNA分子は、本明細書で開示された前記配列に限らないが、変異体を含み、本発明におけるDNA変異体はハイブリダイゼーションの物理的特性を参照にして開示される。熟練労働者は、DNAを用いてその相補体を同定することができ、そしてDNAが二本鎖であるから、均等物または相同物を、核酸ハイブリダイゼーション技術を利用して識別するためにDNAが用いられることを認識する。ハイブリダイゼーションは、100%以下の相補性で起こり得ることも認識される。しかし、条件の適切な選択を考慮すれば、ハイブリタイゼーション技術は構造的関連性に基づくDNA配列と特定のDNAプローブを区別するために利用される。前記条件に関しての手引きとして、Sambrookら、1989年(Sambrook,J.,Fritsch,E.F.およびManiatis,T.(1989)分子クローン:実験室マニュアル,Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, USA)およびAusuberlら、1995年 (Ausuberl,F.M.,Brent,R.,Kingston,R.E.,Moore,D.D.,Sedman,J.G.,Smith,J.A.およびStruhl,K.編集(1995).分子生物学における現代のプロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)New York:John Wileyと息子達)を参照されたい。
【0065】
2種のポリヌクレオチド配列間の構造的類似性は、2種の配列を互いに交雑させる条件の「ストリンジェンシー」の機能性として発現される。ここで使用される用語「ストリンジェンシー」は、ハイブリダイゼーションを嫌う条件までの範囲を言及する。ストリンジェントな条件は、ハイブリダイゼーションを強く嫌い、最も構造的に相関する分子だけが当該する条件で互いに交雑する。逆に言えば、非ストリンジェントな条件は構造的相関性が低い分子のハイブリダイゼーションを好む。ハイブリダイゼーションストリンジェンシーは、よって、2種の核酸配列の構造的関係と直接相互に関係がある。以下の関係は、ハイブリダイゼーションと相関性の相互関係を示すのに有効である(T
mは二重核酸の融点である):
a.T
m=69.3+0.41(G+C)%
b.二重DNAのT
mは、不適当な塩基対の数が1%増加する度に1℃減少する。
c.(T
m)
μ2−(T
m)
μ1=18.5 log
10μ2/μl
μlおよびμ2は、2つの溶液のイオン強度である。
【0066】
ハイブリダイゼーションストリンジェンシーは、多くの要因の1つの機能で、全体的なDNA濃度、イオン強度、温度、プローブの大きさ、および水素結合を妨害する薬剤を含む。ハイブリダイゼーションを促進する要因には、高いDNA濃度、高いイオン強度、低い温度、長いプローブおよび水素結合を妨害する薬剤の不使用が含まれる。ハイブリダイゼーションは2段階にわたって行われる:「結合」過程と「洗浄」過程である。
【0067】
まず、結合過程において、プローブはハイブリダイゼーションを好む条件において的となるものに結合する。ストリンジェンシーは通常、温度調節によって、この段階で制御さ
れる。高ストリンジェンシーの場合、短い(<20 nt)オリゴヌクレオチドプローブが用いられない限り、温度は通常65℃から70℃の間である。典型的なハイブリダイゼーション溶液は、6X SSC、0.5% SDS、5X Denhardt溶液および非特異的担体DNA100μgを含む。Ausubelら、2.9節、別冊27(1994)参照。当然ながら、異なるところも多いが、機能性では同等であり、緩衝条件は周知である。相関性の程度が低い場所では、低温で設定される。低ストリンジェンシー結合温度は約25℃から40℃である。中ストリンジェンシーは少なくとも約40℃から65℃より低い。高ストリンジェンシーは少なくとも約65℃である。
【0068】
第二に、超過のプローブは洗浄により除去される。よりストリンジェントな条件が通用適用されるのは、この段階である。それゆえに、ハイブリダイゼーションを通して相関性を定めるのに最も重要なのはこの「洗浄」過程である。洗浄溶液は一般的に低い塩濃度を有する。1つの実験的中ストリンジェンシー溶液は2X SSCおよび0.1%のSDSを含む。高ストリンジェンシー溶液は、約0.2X SSC以下と等量(イオン強度において)を含み、好ましいストリンジェント溶液は約0.1X SSCを含む。異なるストリンジェンシーと関連する温度は、「結合」過程で説明した温度と同等である。洗浄溶液は一般的に洗浄過程中に何度も取り替え可能である。例えば、一般的な高ストリンジェンシー洗浄条件は、55℃で30分の洗浄を2回、および60℃で15分の洗浄を3回が含まれる。
【0069】
よって、本発明は、高ストリンジェンシー結合および洗浄の条件下で
図1aおよび2aで示された分子を交雑する核酸分子を含み、但し、該核酸は、本明細書で開示された特性を有する抗体または機能性フラグメントをコードする。好ましい分子(mRNAパースペクティブから)は、本明細書に明記されるDNA分子の1つと、少なくとも75%または80%(好ましくは85%、さらに好ましくは90%、95%が最良)の配列相同性または同一性を持つ。
【0070】
機能性同一変異体
本明細書に記載されるDNA分子の変異体はいくつかの異なる方法で構成されることが認識される。例えば、完全合成DNAとして構成されてよい。効果的に20から約150までのヌクレオチドのオリゴヌクレオチドを合成する方法は、多様にある。Ausubelら、2.11節、別冊21参照(1993)。部分的に一致するオリゴヌクレオチドは、Khoranaら、J.Mol.Biol.72:209−217(1971)の報告によれば、一応合成され、組み立てられる。Ausubelら、supra、8.2節も参照。合成DNAは、適切なベクターにクローンを促進するために遺伝子の5’および3’末端で作り変えられた適切な制限領域を伴って設計されることが望ましい。
【0071】
示されている通り、変異体を生成する方法は本明細書に開示されるDNAの1つから始まり、部位特異的突然変異誘発法を実施する。Ausubelら、supra、第8章、別冊37参照。典型的な方法には、対象となるDNAを一重鎖DNAバクテリフォージ媒体にクローン化する。一重鎖DNAは、単離し、望ましいヌクレオチド変更物(alterations)を含むオリゴヌクレオチドと交雑する。相補鎖は交雑し、二重鎖ファージは宿主に
結合する。結果生じた子孫はDNA配列を利用して確認できる望ましい突然変異体(mutant)を有する。さらに、子孫ファージが望ましい変異体(mutant)になる可能性を高める多様な方法がある。これらの方法は当該分野に従事する者にとって周知であり、このような変異体(mutants)を生成するキットは商業的に入手可能である。
【0072】
組換えDNA構築物と発現
本発明はさらに、本発明のヌクレオチド配列を1つ以上含む組換えDNA構築物を提供する。本発明の組換えDNA構築物は、プラスミド、ファージミド、ファージまたはウィ
ルスベクターなどのベクターとの関連で使用され、そこに本発明の抗体をコードするDNA分子を挿入する。
【0073】
コードされた遺伝子はSambrookら、1989年およびAusubelら、1989年に開示された技術によって生成されてよい。代わりになるべきものとして、DNA配列はシンセサイザーなどを利用して科学的に交雑されてよい。オリゴヌクレオチド合成(OLIGONUCLEOTIDE SYNTHESIS)(1984、Gait,編集、IRLプレス、オックスフォード)を参照、および開示内容はここで引用され援用される。本発明の組換え構築物は、コードされたDNAのRNAおよび/またはタンパク質生成物を発現することが可能な発現ベクターを含む。前記ベクターはさらに、読み取り枠(ORF)に接続されたプロモーターを含む調節配列からなってよい。前記ベクターはさらに、選択可能なマーカー配列からなってよい。特定の開始シグナルおよび細菌分泌シグナルが、挿入された遺伝子コード配列を効果的に翻訳するのに必要となるかもしれない。
【0074】
本発明はさらに、本発明のDNAを少なくとも1つ含む宿主細胞を提供する。前記宿主細胞は実質的に発現ベクターが可能であるどの細胞にもなり得る。例えば、哺乳類細胞などの高等真核宿主細胞、酵母細胞などの下等真核宿主細胞、または細菌細胞などの原核細胞である。前記組換え構築物の前記宿主細胞への導入は、リン酸カルシウム移入、DEAE、デキストラン媒介移入、エレクトロポレーションまたはファージ感染によって影響を受けることもある。
【0075】
細菌発現
細菌の使用に有効な発現ベクターは、望ましいタンパク質をコードした構造的DNA配列を適切な翻訳開始シグナルおよびターミネーションシグナルとともに、機能性プロモーターと作動可能なリーディングフェーズにおいて挿入することで構築される。前記ベクターは、1つ以上の表現型選択可能マーカーおよび複製オリジンからなり、前記ベクターを維持し、望ましくは、宿主内での増幅を提供する。形質転換に適した原核性の宿主は、大腸菌、枯草菌、ネズミチフス菌およびシュードモナス菌、ストレプトミセス菌およびブドウ球菌属内の多様種を含む。
【0076】
細菌のベクターは、例えば、バクテリオファージ、プラスミドであってよく、あるいはファージミドに基づいてよい。これらのベクターは、選択可能なマーカーおよび公知のクローンベクターpBR322(ATCC 37017)を有する商業的に入手可能なプラスミド由来の細菌の複製オリジンを含み得る。適切な宿主株の形質転換および宿主株の適切な細胞密度への成長の後、選択可能なプロモーターは適切な手段(例:温度変換または化学的誘発)によって脱抑圧/誘発され、細胞は付加期間培養される。細胞は一般的に遠心分離で培養され、物理的または科学的手段で分裂し、その結果生成された未加工の抽出物はさらなる精製のため保管される。
【0077】
細菌システムにおいて、発現ベクターの多くは、タンパク質を発現する用途をもとに都合よく選択してよい。例えば、抗体の生成またはペプチドライブラリーの選り分けのために大量のタンパク質が生成される場合、容易に精製される融合タンパク質生成物の高いレベルの発現を指示するベクターが望ましいかもしれない。
【0078】
療法
療法は、治療効果のある量の本発明に含まれる抗体を、治療を必要とする対象に投与することを含む。ここでの「治療効果のある」量は、GM−CSFと、対象物の治療部位における受容体との間の相互作用を、一用量または複用量摂生に従って、単体でまたは他の製剤との組み合わせで、効果的にブロックするに十分な量と定義され、副作用を緩和しながらも、当該量は毒性学的に許容し得る。対象物は、ヒトまたはヒト以外の動物(例えば、ラットまたはアカゲザル)でよい。
【0079】
本発明の抗体は公知の製剤と併用されるかもしれず、いくつかの場合においては、その抗体自体が修正されるかもしれない。例えば、抗体は効力をさらに高める為に、抗毒素または放射性同意元素に共役される。
【0080】
発明の抗体は、GM−CSFは望まれずに発現または発見された多様な状況において、治療または診断ツールとして使用される。本発明の抗体を利用した治療に特に適する疾患および状態は、関節リウマチ、多発性硬化症、クローン病、乾癬、喘息、アトピー性皮膚炎またはショックなどの炎症性疾患である。
【0081】
前述の疾患を治療するには、本発明に従った医薬組成物が1つ以上の生理的に許容し得る担体または賦形剤を使用した従来の方法で処方される。本発明の抗体は、治療される疾患の種類によって多岐にわたる適切な手段を用いて投与される。可能性のある投与経路は、非経口的(筋肉の、静脈内の、動脈内の、腹膜内の、または皮下の)、肺内および鼻腔内、そして部位免疫抑制治療を望む場合、病巣内投与が含まれる。さらに、本発明の抗体は抗体の用量を減らし脈に注入して投与してもよい。投薬が急性か慢性かによるが、注射により与えられた投薬が好ましいが、静脈または皮下注射が最も好ましい。投与される量は、臨床的症状、個人の体重、その他薬剤の服用があるかなどの要因に左右される。熟練労働者は、投薬経路が治療される疾患または症状によって異なることを理解する。
【0082】
新規ポリペプチドの治療効果量を本発明に従い決定するには、特に患者の体質、投薬経路および地用される疾患の特質に大きく左右される。一般的な手引きは、例えば調和化に関する国際会議(the International Conference on Harmonisation)の出版物またはREMINGSTONの薬剤学(REMINGTON'S PHARMACEUTICAL SCIENCES)27章および28
章、484〜528ページ(第18版、Alfonso R.Gennaro,編集、Easton,Pa.;Mack Pub.Co.,1990)に掲載されている。詳細には、治療効果量の決定には、製剤の毒性および効力等の要因にも左右される。毒性は当該技術および前述参照で公知の方法を用いて決定される。効力は、下記の例で解説される方法に関連した同じ手引きを利用して決定される。
【0083】
診断方法
GM−CSFは、リンパ球、単球、内皮細胞、繊維芽細胞およびいくつかの悪性細胞を含む多様な細胞によって発現するため、本発明の非GM−CSF抗体は患者の異なる組織内でGM−CSFの蓄積部位を投影または視覚化するために適用される。これに関し、放射線同位元素、アフィニティーラベル(ビオチン、アビジンなど)、蛍光ラベル、常磁性原子などの使用により、抗体は検知可能となり分類される。分類手順は当該技術においては公知である。画像診断における抗体の臨床的使用は、Grossman, H. B.,Urol.Clin.North Amer.13:465−474(1986)),
Unger,E.C.ら、Invest.Radiol.20:693−700(1985)),および、Khaw,B.A.ら、Science 209:295−297(1980)) により見直される。
検知可能で分類された抗体の病巣の検知は、例えば炎症部位から予測可能である。1つの実施態様において、組織または血液のサンプルを採取し、検知可能で分類された抗体内で前記サンプルを培養する実験が行われる。好ましい実施態様は、当該技術が、磁気画像、蛍光関節撮影法など非侵襲性の方法で実施される。そのような診断テストは、GM−CSFの存在または欠如が関連指標である疾患治療の結果を監視することで適用される。本発明は、ここで説明されている生体外での診断において、非GM−CSF抗体の使用も考慮に入れる。
【0084】
治療および診断のための組成物
本発明の抗体は、薬剤学的に有効な組成物を準備する公知の方法に従い処方され、本発明の抗体(機能性フラグメントを含む)は薬剤学的に許容し得る担体との組み合わせで結合される。適切な媒体およびそれらの製剤は、例えばREMINGSTONの薬剤学(REMINGTON'S PHARMACEUTICAL SCIENCES)(第18版、Alfonso R.Gennaro,編集、Easton,Pa.:Mack Pub.Co.,1990)で解説されている。効果的な投与に最適で薬剤学的に許容し得る組成物を形成するために、当該組成物は、適切な担体と共に、本発明の1つ以上の抗体の効果的な用量を含む。
【0085】
活性化合物を制御放出するために、製剤が適切に処方される。制御放出準備は非GM−CSF抗体を合成または吸収するためにポリマーを使用して実施される。制御放出は、放出を制御するために、適切な高分子(例えば、ポリエステル、ポリアミノ酸、ポリビニル、ピロリドン、エチレン酢酸ビニル、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、プロタミン、硫酸塩)、高分子の濃縮および結合方法を選択することで実施される。制御放出製剤による運動期間を制御する別の方法には、非GM−CSF抗体を、ポリエステル、ポリアミノ酸、ヒドロゲル、ポリマー(乳酸)、エチレン酢酸ビニル共重合体などの重合体に、結合する。代わりになるべきものとして、これらの製剤を重合体粒子に結合する以外に、例えばコアセルベーション技術または界面重合によって、例えばヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチンマイクロカプセルおよびポリマーメタクリル酸メチルマイクロカプセルをそれぞれ、またはコロイド状薬物送達システムにおいては例えば、リポソーム、アルブミン微小球、マイクロエマルジョン、ナノ粒子およびナノカプセルまたはマクロエマルジョンによって、製剤を準備されたマイクロカプセルに閉じ込めることも可能である。このような技術はRemingstonの薬剤学(Remington's Pharmaceutical Sciences)(1980)に開示されている。
【0086】
上記化合物は例えばボーラス注入法または持続注入などの注射によって非経口的投与用に処方される。注入(injection)用の製剤は、アンプル、または複数回の投与のためのコンテナに防腐剤を加えた剤形で提供される。上記組成物は、油性または水生媒体の懸濁剤、液剤または乳濁液の形で構成されてよく、そして、懸濁剤、分解防止剤および/または分散剤などの処方されうる製剤を含んでよい。代わりになるべきものとして、活性成分は、例えば無菌で発熱源のない水などの適切な媒体と構成されるために使用前は、パウダー状になっていてよい。
【0087】
望ましくは、前記組成物はパックまたはディスペンサー装置で提供され、活性成分を有する1つ以上の剤形を含む。パックには、例えば、ブリスターパックなどの金属またはプラスチックのホイルが含まれてもよい。パックまたはディスペンサー装置は、投与に関する説明とともに使用される。
【0088】
本発明はさらに、本発明に限ることなく説明する以下の実施例を参照して理解される。
【0089】
実施例
実施例1:HuCAL GOLD
(R)ライブラリーからのヒトGM−CSF特異性抗体
の生成
A.ファージの増殖および精製
HuCAL GOLD
(R)ライブラリーは、クロラムフェニコールを34μg/mlお
よびブドウ糖1%を含む2xYT培地内で増殖させた(2xYT−CG)。0.5のOD
600における(振動を与えずに37℃で30分、250rpmで振動させ37℃で30分)補助ファージ感染(VCSM13)後、細胞を遠沈し(4120g、5分、4℃)2
xYT/34μg/ml、クロラムフェニコール/50μg/ml、カナマイシン/0.25mM IPTG、そして22℃で一晩増殖させた。ファージは、上清からPEG沈殿させ、PBS/20%グリセロールに再懸濁し、−80℃で保管した。パニングラウンド感におけるファージの増殖は、以下のように実施された:対数中期段階の大腸菌TG1細胞は、溶離したファージを感染させ、ブドウ糖1%とクロラムフェニコール34μg/mlを追加したLB寒天で培養した。30℃で一晩培養した後、コロニーを破片にし、0.5のOD
600nmになるまで2xYT−CGを接種するために使用し、前述のとおり補助ファージが加えられた。
【0090】
B.HuCAL GOLD
(R)とパニング
ヒトGM−CSFを認識する抗体の選択には、いくつかのパニング戦略が適用された。概要は、HuCAL GOLD
(R)抗体−ファージを異なるVHマスター遺伝子を含む3つのプールに分割した。これらのプールは個々に、a)3ラウンドの固相支持体としてニュートラアビジン社のコーティングされた96ウェルプレートに直接コーティングされたビオチン化ヒトGM−CSFタンパク質(ミネソタ州ミネアポリス、R&D Systems社製造)上の固相パニングまたはb)3ラウンドのためにDynabeads(Dynal,ノルウェー オスロー)をコーティングしたストレプトアビジン上に捕獲されたビオチン化ヒトGM−CSFタンパク質上の溶液パニングに供した。
【0091】
詳細には、不動となったビオチン化GM−CSFをパニングするため、ニュートラビジン社のプレートのウエルを300μl PBSで洗浄した。抗原はPBSで3μg/ml (200nM)で薄め、そして各ウェルあたり0.1mlを室温で2時間でコーティングした。300μl PBSで2回の洗浄ステップの後、ウェルは1対1で薄められた2x Chemiblocker(ケミコ・インターナショナル社 カリフォルニア州、テメキュア)を含むブロッキングバッファーとインキュベートされた。
【0092】
選択の後、100μlのHuCAL GOLD
(R)ファージは、0.4μl 25%
Tween20室温で30分を含むブロッキングブッファー100μlに予め吸収させた。ブロックされたファージは、室温で30分ニュートラビジン社プレートのウェルにl00μ1アリコートに移した。このステップは前吸収のために2度繰り返された。
コーティングされ、ブロックされたニュートラアビジン社のマイクロタイタープレートの洗浄(2x 300μ1 PBS)の後、予め吸収された0.1mlのファージをコーティングされたウェルに加え、室温で1.5時間インキュベートして静かに振動させた。このインキュベートに続いて、PBS/0.05% Tween20での室温における10回の洗浄後、が実施された。
【0093】
バウンドファージはウエルあたり10 mM Tris pH 8.0中の20mM DTTを120μl加えることで溶離された。溶離液は取り除かれ、14 mlの大腸菌TGIに加えられOD
600nm of 0.6−0.8に増殖させた。ウェルはさらに200μl PBSで洗浄され、この溶液もTG1細胞に加えられた。大腸菌のファージ感染は振動せずに37℃で45分行った。追加で、0.6−0.8のOD
600nm に成長した200μlの細胞を、振動なしで37℃で45分間かけて選択ウェルに加えた。このTG−I細胞は、第一溶離ステップからのファージを含む14mlの培養液に加えられる。5000rpmで10分間の遠心分離の後、細菌性のペレットはそれぞれ500μ1 2xYT培地に再懸濁され、2xYT−CG寒天プレート上で培養され、30℃で一晩インキュベートされた。コロニーは、その後、プレートから除去され、ファージは前述の通り増殖および精製された。
【0094】
選択の第二および第三ラウンドは選択の第一ラウンドと同じ方法で実施されたが、ファージ結合後の洗浄条件がよりストリンジェントになるのが唯一の違いであった。さらに、選択の第三ラウンドでは、ファージは、ストレプトアビジンでコーティングされたビーズ(Dynabeads M−280; Dynal)上に追加の前吸着ステップを施される。エッペンドルフ型チューブは、Chemiblocker溶液で室温で30分のインキュベーションによりブロックされた。各ファージプール0.3mlは0.05% Tween20を含む2xChemiblocker溶液を1:1になるように混合され、ブロックされたエッペンドルフ型チューブ内で室温1時間インキュベートされ、50μ1のDynabeads M−280が吸着作用の為30分加えられた。ビーズは磁気装置(Dynal MPC−E)を使って取り除かれた。ファージ150μlの一部はニュートラアビジン社のプレートに第一および第二ラウンド同様移動された(上記参照)。
【0095】
ビオチン化GM−CSを利用した溶液パニングでは、以下のプロトコルが適用された。1.5mlのエッペンドルフ型チューブは、一晩かけて4℃でPBSと1:1で薄められた1.5mlの2xChemiblockerでブロックされた。磁性ビーズ(Dyna−beads M−280;Dynal)でコーティングされた200μlのストレプトアビジンは、200μlのPBSで洗浄され200μl lxChemiblockerに再懸濁された(1x PBSで薄められた)。ビーズのブロッキングは、前ブロックチューブ内において4℃で一晩実施された。各パニング条件において500μlのPBSで薄められたファージは、500μl 2xChemiblocker/0.1% Tweenと1時間室温で混合される(回転装置)。ファージの吸着は2度実施される:50μlのブロックされたストレプトアビジン磁性ビーズはブロックされたファージに加えられ、回転装置内室温で30分間インキュベートされた。磁気装置(Dynal MPC−E)を通してビーズの分離が終わると、ファージの上清(−1ml)は新しくブロックされたチューブに移動し、吸着が30分間50μlのブロックされたビーズ上で繰り返された。その後、200nMのビオチン化hGM−CSFが、新たにブロックされた1.5mlのチューブ内でブロックされたファージに加えられ、回転装置内において室温1時間でインキュベートされた。ブロックされたストレプトアビジン磁性ビーズは各パニングファージプールに加えられ、回転装置内において室温10分インキュベートされた。ビオチン化GM−CSFに結合し、それによって磁性ビーズに流通停止したファージは、磁性粒子分離器(Dynal MPC−E)で集められた。ビーズは、回転装置を利用したPBS/0.05%Tweenで7x洗浄され、PBSで3度洗浄された。Dynabeadsからのファージの溶離は、300μlの10mM Tris/HCI中20mM DTT pH8を各チューブに10分間加えることで実施された。Dynabeadsは磁性粒子分離器によって分離され、上清は0.6−0.8のOD
600nmに繁殖する大腸菌TG−1培養14m1に加えられた。
【0096】
5000rpmで10分間遠心分離が終わると、細菌性のペレットは500μl 2xYT 培地で再懸濁され、2xYT−CG 寒天プレートの上で培養され、一晩30℃でインキュベートされた。コロニーはその後プレートから除去され、ファージは上記の通り増殖および精製された。
【0097】
ビオチン化GM−CSF上の溶液パニングの第一および第二ラウンドは、洗浄過程のストリンジェンシーが高まること以外は、第一ラウンドのプロトコルに従って実施された。C. 選択されたFabフラグメントのサブクローニングと水溶性Fabフラグメントの 発現
選択されたHuCAL GOLD
(R)ファージの挿入物をコードするFabは発現ベクターpMORPH
(R)X9_Fab_FH(
図5)にサブクローン化され、水溶性Fabの急速発現を促進した。選択されたクローンのDNAはXbalおよびEcoRIにより消化し、それによりFabコーディング挿入物(ompA−VLCLおよびphoA−Fd)を切除し、XbaI/EcoRIにより消化したベクターpMORPH
(R)X9_F
ab_FHにクローン化した。これらのベクター内で発現するFabは、検知および精製のため2つのC−末端タグ(それぞれFLAG
TMおよび6xHis)を有した。
【0098】
D.大腸菌内のHuCAL GOLD
(R) Fab抗体のミクロ発現
pMORPH
(R)X9_Fab_FHにサブクローニングされた後に獲得された単体コロ
ニーは、各ウェル100μl 2xTY/Cm/1% Glu培地を有するウェルに植え付けるために使用されて37℃で一晩成育させた。TG−1大腸菌培養の5μlは100μl 2xTY/Cm/0.1% Glu培地/ウェルを有する無菌性の96−ウェルマイクロタイタープレートに移した。マイクロタイタープレートは、培養物が0.5のOD
600nmでわずかに混濁(2〜4時間)するまで、マイクロプレートシェイカーでこれらの発現プレートに、各ウェル20μl 2xYT/Cm/3mM IPTGが加えられ(濃縮終了0.5mM IPTG)、気体透過性テープで密封され、400rpmの振動で一晩30℃に設定されインキュベートされた。
【0099】
全体細胞溶解物の生成(BEL抽出物)
発現プレートの個々のウェルに、40μ1 BEL buffer(2xBBS/EDTA:24.7g/l ホウ酸, 18.7g NaCl/l,1.49g EDTA/l, pH8)が加えられたが、2.5mg/mlのリゾチームが含まれ、マイクロタイタープレートシェーカで22℃1時間(400 rpm)に設定されインキュベートされた。BEL抽出物は、ELISAまたはBioVeris M−series
(R) 38
4 アナライザー(実施例2参照)による結合分析に利用された。
【0100】
E.大腸菌のHuCAL(R) GOLD Fab抗体の発現と精製
TG−1 細胞内で、pMORPH(R)X9_Fab_FHによりコードされたFabフ
ラグメントの発現は、34μg/mlのクロラムフェニコールで補完された2xYT 培地の1 1と培養するシェーカーフラスコ内で実施した。0.5mM IPTGの導入後、細胞は1.6時間22℃で増殖させた。細胞ペレットの全体細胞抽出物は、フレンチプレスまたはニッケル/ニトリオトリ酢酸クロマトグラフィーによって単離されたFabフラグメントによって調合された(キアゲン、ヒルデン、ドイツ)。濃縮は、紫外線光度法によって決定された(Krebsら、2001)。
【0101】
実施例2:hGM−CSF特異性抗体の識別
hGM−CSF特異性のFabをコードするクローンを識別するために、上述のパニング法によって選択された個々の大腸菌クローンのBEL抽出物を、ELISAまたはBio Veris(Bio Veris M−series
(R)384Analyzer)に
よって分析した。
【0102】
A.酵素結合免疫吸着測定(ELISA)法
ヒト組換えビオチン化GM−CSF(R&D Systems)を、PBS中1.5μg/mlで、室温で2時間ニュートラアビジン社マイクロタイタープレートにコーティングした。
【0103】
抗原のコーティング後、室温で1時間1%BSAを有するPBS/0.05%Tween(PBS−T)でウェルをブロックした。PBS−TBEL−抽出物でウェルを洗浄した後、精製したHu−CAL
(R)Fabまたは対照IgGをPBSで希釈し、ウェルに追
加し、また室温で1時間インキュベートした。一次抗体を検出するために、以下の二次抗体、アルカリホスファターゼ(AP)−共役アフィニティー精製F(ab')
2フラグメ
ント、ヤギ抗ヒトIgG、ヤギ抗マウスIgGまたはヤギ抗ラットIgG(Jackson Immuno Research)を適用した。AP−共役を検出するために、製造業者による取扱説明書に従って、AttoPhos(Roche)などの蛍光発生基質を使用した。全てのインキュベーションのステップの間に、マイクロタイタープレートのウェルをPBS−Tで3度、また二次抗体による最終インキュベーションの後で3度洗浄した。TECANSpectrafluorプレートリーダーで蛍光を測定した。
【0104】
B.溶解物でのGM−CSF結合Fabを検出するための電気化学発光(BioVeris)ベースの結合分析
大腸菌溶解物(BEL抽出物)でのGM−CSF結合Fab抗体を検出するためのELISA実験に代わり、BioVerisM−SERIES(R)384AnalyzerBioVeris,Europe社、ウイットニー、オックスフォードシャー、英国)で結合を分析した。
【0105】
この目的を達成するために、BioVerisスクリーニング用に、アッセイバッファー(PBS/0,05%Tween20/0.5%BSA)で、少なくとも1:50および最大で1:1000にBEL抽出物を希釈した。0.1μg/mlの濃度で、ビオチン化GM−CSF(R&D Systems)をストレプトアビジンコーティングされた磁性ビーズ、Dynabeads(Dynal)に結合した。96のウェルまたは384ウェルプレートにつき、Dynabead原液の1:25希釈の25または15μlを使用した。ビオチン化GM−CSFに加える前に、ビーズを室温で30分間シェーカーでアッセイバッファーにより3度洗浄した。その後ビーズをアッセイバッファーにより3度洗浄し、未使用のアッセイバッファーで最終的に再懸濁した。BV−tag
TM(BioVeris Europe社、ウイットニー、オックスフォードシャー、英国)を使用して、抗ヒト(Fab)'
2(Dianova社)をルテニウム標識化した。使用直前に、6μ
g/mlの濃度でこの二次抗体をGM−CSF結合ビーズに加えた。Fab抗体を含む大腸菌発現培養の希釈BEL抽出物(上記参照)の100μlまたは60μlを96のウェルまたは384ウェルプレートに満たし、各々、GM−CSF結合ビーズとともに抗Fab−BV−tag
TM二次抗体混合の25または15μlをそれぞれのウェルに加え、室温で2時間プレート振動装置でインキュベートした。Bio Veris M−SERIES
(R)384Analyzerでプレートを分析した。
【0106】
配列分析の後で、十分強力な結合を示す、七十四(74)のユニーククローンを同定した(シグナル:ELISAで10:1またはBio−Verisで50:1より大きな雑音比)。機能性アッセイで、これらのクローンを発現、精製および検査した。
【0107】
C.選択した抗hGM−CSF Fabの分子特異性および種交差反応性の決定
以下の検体、ラットおよびマウスGM−CSF、ヒトIL−3、ヒトIL−4、ヒトIL−5、ヒトIL−13、ヒトM−CSF(全て英国、ロンドン、ペプロテック社から)に対して抗hGM−CSF抗体の交差反応性を決定した。
【0108】
表面プラズモン共鳴(Biacore3000、ウプサラ、スウエーデン)によって設定された捕獲でこれを実行した。
【0109】
標準EDC−NHSアミンカップリング化学反応を使用して、CM5chips(Biacore,スウェーデン)を、5000−6000RU抗F(ab)
2(Dianova社,AffinipureF(ab)
2フラグメントヤギ抗ヒトIgG、F(ab)
2フラグメント特異的)、80μg/m1の10mM緩衝酢酸溶液、4つ全てのフローセルでpH4によってコーティングした。フローセル2〜4で、特異なGM−CSF Fab(5μl/mlの流速で500nM Fabフラグメントの20μ1、300−400RU)を捕獲した。特異性Fabの捕獲後、緩衝剤を注入し、抗Fab/Fab相互作用の解離を決定した。以下のサイクルでは、特異のシグナルを決定するために、検体の増殖因子を15から2000nMまでの濃度範囲で注入した(20μl、流速20μ1/分)。その後、得た緩衝剤センソグラムを特異性のものから手作業にて差し引いた。それぞれの
サイクルの後で、100mM HCI(5μl)によってフローセルを発生させた。
MOR03684およびMOR03682を含む7つのHuCAL(R)抗hGM−CSF抗体を検査し、ヒトGM−CSFに対して特異的として、他のサイトカインまたはマウスもしくはラットGM−CSFのいずれとも結合しなかった。対照的に、Fab MOR03929は、ラットGM−CSFに対して著しい交差反応性を示した。
【0110】
実施例3:GM−CSFとGM−CSF受容体アルファ間の相互作用を抑制する抗ヒトGM−CSF Fab候補の識別
HuCAL GOLD
(R)ライブラリーから選択された74の異なるhGM−CSF特異的抗体の、hGM−CSFとその受容体との間の相互作用を抑制するための効力を検査した。相互作用は、(i)一方はGM−CSF依存性TF−1細胞株(Kitamuraら、1989)を使用した増殖アッセイであり、また(ii)他方は、GM−CSF受容体のアルファ鎖を発現する組換え型CHO細胞株によるFACS分析である、2つの方法で検査した。TF−1増殖アッセイでは、アルファ鎖およびベータ鎖から成る内因性のGM−CSF受容体を有するGM−CSFの相互作用をブロックするための抗GM−CSF抗体の能力を分析し、細胞増殖の減少をもたらした。FACSアッセイでは、GM−CSF受容体のGM−CSFとアルファ鎖との間の相互作用の特異的抑制を決定した。
【0111】
A.アカゲザルおよびヒトGM−CSFのクローニングおよび発現
アカゲザルGM−CSF完全長cDNA(GenBank受入番号:AY007376)を遺伝子合成(geneART GmbH、レーゲンスブルク、ドイツ)によって合成し、pCR−Script−Ampベクター(Stratagene,ラホーヤ、カルフォルニア州、米国)にクローン化した。次に、cDNAを真核性の発現ベクターpcDNA3.1(+)(Invitrogen,ペイズリー、英国)にクローン化してpcDNA−macGM−CSFを得た。Qiagen(ヒルデン、ドイツ)からのRNeasyキットを使用して、l×10e7TF−1細胞から単離させたRNAからRT−PCR技法によってヒトGM−CSFのcDNA(Genbank受入番号NP000749)をクローン化した。ランダムな六量体(Gibco)を使用してSuperscriptIIキットによって逆転写を実行し、続いてPCRによるGM−CSFcDNAの増幅を実行した。得たPCR生成物を発現ベクターpcDNA3.1(+)にクローン化してpcDNA−huGM−CSFを得た。
【0112】
HEK293細胞は、リポフェクトアミン(Stratagene,ラホーヤ、米国)を使用してそれぞれこれらの発現ベクターにより一時的に核酸を入れた。分泌する組換え型マカクまたはヒトGM−CSFを含む培地をトランスフェクションの4日後に採取した。
【0113】
B.ヒトまたはサルGM−CSFを使用して抗体−hGM−CSF FabによるTF−1細胞のGM−CSF従属増殖の阻害
プロバイダーの手順(DSMZ,ブラウシュバイク、ヂオイツ; DSMZ No.AC
C 334)によると、TF−1(Kitamuraら、1989)細胞は、増殖した。TF−1細胞は、RPMI1640培地(10%FCS)で二度洗浄され、その後、96穴平底マルチウェル培養皿のウェルあたり50μlに2×10
5細胞/mlの濃度で播種された。0.5ng/mlのヒト組換えGM−CS(”Leucomax”、ESSEX Pharma,ミュンヘン)およびHuCAL(R)Fab抗体(RPMI1640培
地内で200ng/ml〜200μg/mlに希釈、10%FCS)を30分混合し、GM−CSFの最終濃度が0.25ng/mlになるように、混合の50μlをTF−1細胞に加えた。最大細胞増殖(0%阻害)は、0.25ng/mlのGM−CSFの最終濃度で、抗体の追加なしで、TF−1細胞をインキュベートしながら測定された。TF−1増殖の100%阻害は、そのアッセイからGM−CSFを除外し、RPMI1640培地
(10%FCS)内にのみ、細胞を保持することにより測定された。その後、TF1細胞は、加湿室内で、5%のCO
2を使用して、37℃で72時間、インキュベートされた。製造者の推奨により、細胞活力は、MTTまたはXTT試薬(Roche,マンハイム、ドイツ)を加えることにより、測定された。全体の19のFabは、TF−1増殖の有意な阻害を示すことが確認された。結合MOR03682、MOR03684およびMOR03929は、2μMの濃度で、50%より大きいTF1細胞増殖の一貫した阻害を示した。これらの最適化されていないFabの阻害活性は、最大阻害度を達成できなかったため、IC
50の投与量を決定するには十分強力ではなかった。相対的に、単クローン抗体BVD2−21 C1I(BD Biosciences Pharmingen; Cat#554503)およびMAB215(R&D Systems; Cat#MAB215)は、TF−1増殖を最大阻害できた。
【0114】
さらに、MOR03682およびMOR03684と天然ヒトGM−CSFの結合は、TF−1増殖アッセイにおいて、分析された。精製した組換えヒトGM−CSFをTF−1細胞に追加する代わりに、天然ヒトGM−CSFを培地に分泌する5637細胞の上清(DSMZ No.ACC 35)が使用された。5637上清の異なる希釈を備える組換えヒトGM−CSFの効果を比較する用量反応曲線から、培地が5ng/ml以下の天然ヒトGM−CSFを含むことを決定した。抗体ヒトGM−CSFのFab MOR03682またはMOR03684で5637上清の前培養により、細胞の生存率が組換えヒトGM−CSFを使用する実験と比較して軽減するように、天然ヒトGM−CSFとTF−1細胞との結合は、ブロックした。従って、MOR03684およびMOR03682は、天然ヒトGM−CSFに結合する。Fab MOR03929は、本アッセイにおいて分析されなかった。さらに、サルGM−CSFへの交叉反応がTF−1増殖アッセイにおいて分析された。精製したヒトGM−CSFをTF−1細胞に追加する代わりに、組換えサルGM−CSFを培地に分泌するトランスフェクトHEK293細胞の上清が使用された。
【0115】
TF−1細胞は、上清を含むサルGM−CSFの存在において増殖されたが、非トランスフェクトHEK293細胞の存在において増殖されなかった。HEK−293培地の異なる希釈を備える組換えヒトGM−CSFの効果を比較する用量反応曲線から、トランスフェクト細胞の培地が2μg/ml以下のサルGM−CSFを含むことを決定した。抗体ヒトGM−CSFのFab MOR03682またはMOR03684でサルGM−CSF上清の前培養により、細胞の生存率が有意に軽減するように、サルGM−CSFとTF−1細胞との結合は、ブロックした。
【0116】
従って、MOR03682およびMOR03684は、サルGM−CSFで交差反応する。Fab MOR03929は、本アッセイにおいて分析されなかった。
C.抗体−hGM−CSF Fabによる、GM−CSF受容体アルファへのGM−CSF結合のブロック
GM−CSF受容体アルファ鎖を発現した細胞面へのGM−CSF結合を分析するために、cDNAが発現ベクターにクローン化され、CHO−K1細胞(DSMZ ACC 110)に安定に導入された。
【0117】
GM−CSF受容体のアルファ鎖に発現する安定したCHO−K1細胞株のクローン化ヒトGM−CSF受容体アルファ鎖のcDNA(Genbank受入番号M64445)は、Qiagen(ヒルデン、ドイツ)からのRNeasyキットを使用して、lx10e7 TF−1細胞から単離したRNAからRT−PCR技術によりクローン化された。逆転写は、ランダムヘキサマープライマー(Gibco)を使用して、SuperscriptIIキットとともに、実施された。その後、GM−CSF−受容体アルファ鎖cDNAは、以下のプライマーを使用して増幅された。
【0118】
5’:N−GCRa−plusSS:TTCTCTGGATCCGCCACCATGCTTCTCCTGGTGACAAGCC
および
3’:C−flGCRa:ACCCTCCAATTGTCAGGTAATTTCCTTCACGGTCである。
【0119】
PCR反応は、EcoRIおよびBamHI(New England BioLabs)で消化された1250bp以下の製品を生じた。発現ベクターpcDNA3.1(+)(インビトロジェン、ペイズリー、UK)は、同一の酵素で消化された。消化ベクターおよびPCR製品の精製後、フラグメントは、E.coli DH1OB細胞へのエレクトロポレーションにより、結紮および形質転換された。適切なクローンは、プラスミドDNAおよびシークエンシングの前処理後、識別された。適切なクローン(pcDNA3.1(+)−GM−CSFRアルファ)は、完全ヒトGM−CSF受容体アルファcDNAを含んだ。
【0120】
プロバイダーの手順(DSZM、ブラウンシュバイク、ドイツ;DSMZ No.ACC 110)によると、CHO−K1細胞は、増殖した。
【0121】
トランスフェクション細胞は、6ウェル培養皿内で80%の密集度に増殖し、10μlのリポフェクトアミン2000試薬(インビトロジェン)と混合した5μg DNAのpcDNA3.1(+)−GM−CSFRアルファでインキュベートした。48時間後、細胞に1mg/mlのG418(Gibco)を与え、さらに24時間後、培地は、当該の含有する2mg/mlのG418で置換された。2週間後、単一細胞は、96穴平底マルチウェル培養皿のウェルに播種された。単一クローンは、成長し、それぞれのクローンの5×10
5細胞は、1μg/mlの濃度で一次抗体としてマウスIgG MAB 1006(ケミコン・インターナショナル社、テメキュラ、CA)、および1:200の希釈で二次抗体として(R−PE−AffiniPure(Fab’)
2ヤギ−抗−マウス−IgG (Dianova社)を使用するFACS分析によりGM−CSFR−アルファ発現のために分析された。これらの工程の間、細胞はFACSバッファ(PBS、3%FCS)内で洗浄される一方、一次および二次抗体は、1時間連続的に細胞を使用してインキュベートされた。染色した細胞の蛍光は、FACSCaliburシステム(Becton Dickinson)を使用し、FL2チャネル内で定量化された。
クローンの間で、解析されたクローンCHO−GMRa#11が、蛍光強度の最高の中央値を示した。157の蛍光中央値(MFL値)が、CHO−GMRa#11(
図6)に対して測定された。
【0122】
CHO−GMRa#11上に発現したGM−CSF受容体アルファへのGM−CSF結合のFACS分析:
細胞に加える前に、室温で30分間、FACSバッファ(PBS/3%FBS/NaN
3 0.05%)内で、増加する濃度(0.1から100μg/ml)で抗体をビオチン化されたGM−CSF(0.5μg/ml)とともにコインキュベートした。
すべての染色は、ウェルあたり1−5×10
5細胞で96穴丸底マルチウェル培養皿(Nalge Nunc)内に実施された。2×10E5 CHO−GMRa#11細胞は、FACSバッファを含有する50μlの抗体/GM−CSF内に取り、1時間4℃でインキュベートされた。その後、細胞は、150μlのFACSバッファ/ウェルで1度洗浄され、FACSバッファ内で1:400に希釈したl00μ1のフィコエリトリンのラベル化されたストレプトアビジン(BD Biosciences Pharmingen)内に取った。4℃で1時間インキュベートした後、細胞は、FACSバッファで2度洗浄され、100μlのFACSバッファ内で再懸濁され、ビオチン結合GM−CSFは、FACScalibur(Becton Dickinson)内で、細胞のFL2蛍光強度を介して測定された。IC
50値は、非線形回帰曲線に適用するGraphPad Prism v3.03ソフトウェアを使用して、取得した用量反応曲線から測定された。Fab 抗体MOR03682、MOR03684およびMOR03929は、GM−CSF受容体アルファを発現した細胞面へのGM−CSF結合の有意な抑制を示した。
【0123】
実施例4:CDRカセットの段階的交換による選択されたFabの親和性成熟
A.Fabライブラリーおよびパニングの親和性成熟の発生
抗−GM−CSF Fabフラグメントの親和性および阻害活性を増加するために、クローンMOR03682、MOR03684およびMOR03929は、親和性成熟を受けた。この点について、CDR領域は、トリヌクレオチド定方向突然変異誘発(Virnekasら、1994;Nagyら、2002)を使用して、カセット式変異誘発により最適化された。配列分析は、分析された3つの親クローンのCDRの間で配列相同性を示さなかった。表2aおよび2bは、親クローンMOR03682、MOR03684およびMOR03929に対して、6つのCDRペプチド配列を提供する。
Fab最適化として使用されたプロトコルを以下に簡潔に説明する。発現ベクターpMORPH(R)X9Fab_FHからのFabフラグメントは、ファージミドベクターにクローンされた(US 6,753,136)。その後、2つの異なる方法は、親Fabの親和性および有効性を最適化するために適用された。
【0124】
まずは、1つのファージ抗体Fabライブラリーが各親のL−CDR3が単一のラムダ軽鎖CDR3配列のレパートリーにより置換され、生成される。二次ライブラリーにおいて、H−CDR2領域は、単一の重鎖CDR2配列のレパートリーにより置換される。親和性成熟ライブラリーは、E.coli TOP10F’(インビトロジェン)へ多様性クローンを形質転換することにより生成された。ファージは、実施例1Aに記載されたように前処理された。MOR03929由来のL−CDR3およびH−CDR2ライブラリーが選択手順の間別々に保持されたが、MOR03684およびMOR03682の双方のL−CDR3ライブラリーは、プールされ、MOR03684およびMOR03682由来の双方のH−CDR2ライブラリーは、プールされた。
【0125】
パニングは、実施例1Bに記載されているように、元来、3期間のためのソリューションにビオチンGM−CSFを実施し、さらに厳しい選択状況に適用した。
【0126】
B.溶解物において改良したGM−CSF結合Fabを検出するための電気化学発光(BioVeris)ベースの結合分析
大腸菌溶解物(BEL抽出物)におけるGM−CSF結合Fab抗体を検出するために、基本的に実施例2Bに説明したBio VerisM−384SERIES(R)Workstation(Bio Veris Europe社、ウィットニー、オックスフォードシャー、英国)で結合を分析した。最も高いECL値を有するFabを精製して、溶解平衡滴定による親和性測定(SET;Haenelら、2005)および表面プラズモン共鳴(Biacore)を行った(実施例4D参照)。
【0127】
C.改良したVH(H−CDR2)による改良したVL(L−CDR3)のX−クローニング
さらなる親和性の改良のために、同じ親クローンに由来した成熟Fabからの単独で最適化されたH−CDR2およびL−CDR3を、この組み合わせがさらなる親和性を得る結果となる確率が高いので、組み合わせた(Yangら、1995;Schierら、1996;Chenら、1999)。改良した親和性を有するFabが、H−CDR2およびL−CDR3ライブラリーの両方から識別されるので、X−クローニングと呼ばれるこの手順を、親クローンMOR03929に由来した結合剤に適用した。軽鎖全体(XbaI/SphIフラグメント)をL−CDR3−最適化ドナークローンからH−CDR2−最適化受容体クローンに移転することによりこれを達成した。
【0128】
【表6】
得られた4つのFabについて、それぞれのH−CDR2改良したベクター骨格への正しいVLの移転を固めるようVLおよびVHの配列を決定した。表2aおよび表2bは、表3に記載したMOR03929および3682の全ての誘導体のVHおよびVLタンパク質配列を示す。
【0129】
D.溶解平衡滴定(SET)および表面プラズモン共鳴(Biacore)を使用したピコモル親和性の決定
K
Dの決定のために、Fabの単量体比(分析的SECによって分析された少なくとも90%の単量体含有量;Superdex75、Amersham Pharmacia)を使用した。
【0130】
溶液およびデータ評価における電気化学発光(ECL)ベースの親和性の決定は、基本的にHaenelら、2005が説明しているように実行した。溶液中ヒトGM−CSF(Leu−comax)の異なる濃度(段階的な5
n希釈)によってFabの一定量を平衡化した。するedto磁性ビーズ(M−280ストレプトアビジン,Dynal)およびBV−tag
TM(Bio Veris Europe社、ウィットニー、オックスフォードシャー、英国)標識抗ヒト(Fab)’
2(Dianova社)に結合したビオチン化ヒトGM−CSF(R&DSystems)を加え、15〜30分インキュベートした。続いて、結合していないFabの濃度を、M−SERIES(R)384analyzer(Bio Veris Europe社)を使用して、ECL検出を経て定量化したFriguetら、1985に従い、検出の間、固相への著しい平衡移動を回避するために用心した。
【0131】
上述のアッセイ条件を使用して、Fabの親和性を決定し、表4に示した。
標準EDC−NHSアミン結合反応を利用して、10mM Na−酢酸塩pH4.5で、〜100RU組換えヒトGM−CSF(Peprotech)の密度でコーティングされたF1チップ(Biacore、スウェーデン)上で動力SPR分析をさらに実行した。基準のフローセルでそれぞれの量のHASを固定した。PBS(136mM NaCI,2.7mM KCI,10mM Na
2HPO
4,1.76mM KH
2PO
4 pH7.4)+0.005%Tween20を泳動用緩衝剤として使用した。6.3〜200nMの濃度シリーズにおいて20μl/分の流速でFabを適用した。会合相を60sに、
解離相を120s(親)または最大600s(親和性最適化)に設定した。長期にわたって解離相を監視するために、基本的にDrakeら、(2004)に従って以下の条件を使用した。200nMの単一濃度でFabを適用し、流速を100pl/分に、解離相を6000〜18.000sに設定した。これらのアッセイ条件下で決定した基準から外れた率に基づき、Fabの親和性を決定し、表4に示した。
【0132】
【表7】
E.溶解平衡滴定(SET)を使用してラットGM−CSFに対する親和性の決定
ヒトGM−CSFの代わりに溶液中の検体としてラットGM−CSF(Peprotech)を使用して、基本的に実施例4Dに説明したようにラットGM−CSFに対する親和性の決定を行った。Haenelら(2005)に従って親和性を計算した。このアッセイでは、ラットGM−CSFに対するFab MOR04357の親和性はK
D=1.0nMであると決定した。
【0133】
実施例5:GM−CSFとGM−CSF受容体アルファ鎖との間の相互作用を抑制する最適化抗ヒトGM−CSF Fabの特性決定
A.GM−CSF受容体アルファ結合アッセイ
0.5μg/ml(35nM)のビオチン化GM−CSFを使用して、GM−CSF受容体結合アッセイを上述のように実行した(実施例3C)。CHO−GMRa#11細胞(0%抑制)に対するGM−CSFの最大結合を、抗体を加えることなく、0.5μg/mlのビオチン化GM−CSFの最終GM−CSF濃度で細胞をインキュベートすることにより測定した。GM−CSF結合の100%抑制を、アッセイからGM−CSFを除外することにより測定した。非線形回帰曲線適合を適用したGraph Pad Prism v3.03ソフトウェアを使用して得た用量反応曲線からIC
50値を決定した。
改良した親和性を有するFab、親Fabおよび単クローン性対照IgGを分析した。表5は、これらのアッセイから得たIC
50値を要約している。5μg/mlの抗体濃度で得た%抑制もまた、表5に示している。
【0134】
【表8】
このアッセイは、親和性成熟およびX−クローニングから得たFabは、GM−CSFがGM−CSF受容体アルファ鎖へ結合するのを防止し、それによりそれらの親Fabのブロック機構を保持することを定性的に示している。アッセイは、FACSにおける重要なシグナルを得るために、35nM(0.5μg/ml)ビオチン化GM−CSFの濃度で実行することが必要である。したがって、17.5nM Fab(または8.75nM IgG)は、理論上50%のGM−CSFをブロックする必要があり、したがって、IC
50値を決定するための制限を設定している。
【0135】
B.ヒトGM−CSFを使用した抗hGM−CSF FabによるTF−1GM−CSF依存増殖の抑制
実施例3Bに説明したようにTF−1増殖アッセイを実行した。単クローン性対照IgGと同様に、改良した親和性を有するFabおよび親Fabを分析した。非線形回帰曲線適合を適用したGraph Pad Prism v3.03ソフトウェアを使用して得た用量反応曲線からIC
50値を決定した。表6は、これらのアッセイから得たIC
50値を要約している。
表6:TF−1増殖アッセイにおける抗hGM−CSF Fabおよび対照IgGのIC
50値
【0136】
【表9】
別のセットの実験では、親Fab MOR03682、その親和性成熟誘導体MOR04283、MOR04297およびx−クローン化変異MOR04342のTF−1増殖アッセイにおけるIC
50値を決定した。表7は、これらのアッセイで得たIC
50値を要約している。
【0137】
表7:TF−1増殖アッセイにおける抗hGM−CSF FabのIC
50値
【0138】
【表10】
これらの実験は、親和性成熟およびX−クローニング後、IC
50値において得た多くの改良を例証した。例えば、MOR04357、MOR04350、MOR04354は、それらの親MOR03929と比較して>2000倍改良されたIC
50値を示し、BVD2−21C11およびMab215の効力を越えた。
【0139】
実施例6:ヒトIgG1型へのMOR04357の変換
A.哺乳類の発現系における発現のためのFab DNA配列の遺伝子最適化
哺乳類遺伝子発現のためのMOR04357のVHおよびVLのDNAを最適化するために(例えば、コドン使用頻度の変更、GC含有量など)、Geneart(ドイツ、レーゲンスブルク)で遺伝子合成をして、pPCR−Scriptvectorsにクローン化し055906pPCR−Scriptおよび055907pPCR−Scripを得る、最適化VHおよびVLDNA配列などを定義するのに、Geneart(ドイツ、レーゲンスブルク)によるGene Optimizer
TMソフトウェアを利用した。配列番号:48は、それぞれのVH配列を示すが、配列番号:57はそれぞれのVL配列を示す。
【0140】
B.ヒトIgG1型およびIgGI発現に変化するFab MOR04357のクローニング
全長免疫グロブリン(Ig)を発現するために、遺伝子最適化重鎖(VH)および軽鎖(VL)の可変領域フラグメントをpPCR−Scriptベクター(実施例5a)からサブクローン化して、ヒトIgGIのためにpMORPH(R)2hIgベクターシリーズに変化させた。MOR04357のコドン最適化VHを、NheIlBIpI温浸を経て055906pPCR−Scriptから単離し、同じ制限酵素によりpMorph2_h_IgGlfマスターベクターカットに挿入した。このベクターはすでにヒトガンマ1定常領域を含んでいた。得られた発現核外遺伝子をpMorph2_h_IgGlfMOR04357_coと命名した。MOR04357のコドン最適化VLを、NhellHpaT温浸を経て055907pPCR−Scriptから単離し、同じ制限酵素によりpMorph2_h_Iglambda2マスターベクターカットに挿入した。このベクターはすでにヒトラムダ定常領域を含んでいた。得られた発現核外遺伝子をpM2_h_Iglambda2_MOR04357_coと命名した。
【0141】
C.一時的発現およびヒトIgGの精製
等モル量のIgG重鎖および軽鎖発現ベクターDNAにより、真核性のHKB11細胞に核酸を入れた。トランスフェクションの3日から7日後に細胞培養浮遊物を採取した。浮遊物のpHを8.0に調節および除菌後、溶液を標準タンパク質A親和性クロマトグラフィー(rProteinA FFまたはMabSelect SURE,GE Healthcare)にかけた。緩衝剤交換を1xDulbcecco'sPBS(pH7,2,インビトロジェン社)に実行し、試料を除菌した(0,2μm)。MOR04357IgGIを1xDulbcecco'sPBS(pH6,5,インビトロジェン社)に対して透析した。変性させている間に、SDS−PAGEでの条件を軽減して、またはAgilentBioAnalyzerを使用して、SE−HPLCによる自然な状態で、IgGの純度を分析した。
【0142】
D.溶解平衡滴定(SET)を使用してピコモル親和性を決定
K
Dの決定のために、IgGIの単量体比(分析的SECによって分析された少なくとも90%の単量体含有量;Superdex75、AmershamPharmacia)を使用した。溶液およびデータ評価における電気化学発光(ECL)ベースの親和性の決定は、基本的にHaenelら、2005が説明しているように、また実施例4Bに説明しているように実行した。ヒト組換えGM−CSFに対するMOR04357IgGIのK
D値は、1.1pMであると決定した。
【0143】
E.溶解平衡滴定(SET)を使用して、ラットGM−CSFに対する親和性の決定
ヒトGM−CSFの代わりに溶液中の検体としてラットGM−CSF(Peprotech)を使用して、基本的に実施例4Dに説明したようにラットGM−CSFに対する親和性の決定を行った。Haenelら(2005)に従って親和性を計算した。ラット組換え型GM−CSFに対するMOR04357IgGIのK
D値は130pMであると決定した。
【0144】
実施例7:最適化抗ヒトGM−CSF Fabから誘導されるMOR04357IgG1の特徴付け
A.ヒトおよびアカゲザルGM−CSFを使用して、抗hGM−CSF IgGによるTF−1のGM−CSF依存増殖の抑制
実施例3Bに説明しているように、TF−1増殖アッセイを実行した。IgG1型でMOR04357を分析し、対照として単クローン性対照IgGを分析した。非線形回帰曲線適合を適用したGraph Pad Prism v3.03ソフトウェアを使用して得た用量反応曲線からIC
50値を決定した。表8は、これらのアッセイから得たIC
50値を要約している。まず第一に、0.25ng/mlの濃度で組換え型ヒトGM−CSFを大腸菌に生成し、第二に、組換えヒトGM−CSFを含み、pcDNA−huGM−CSFにより一時的に核酸を入れられたHEK293から浮遊物を培養し(実施例3A参照)、第三に、組換え型アカゲザル(アカゲザル)GM−CSFを含み、pcDNA−macGM−CSFにより一時的に核酸を入れられたHEK293細胞から浮遊物を培養する(実施例3A参照)。TF−1増殖アッセイについては、TF−1細胞が0.25ng/mlの確定濃度の大腸菌で生成した精製された組換えヒトGM−CSFで得られる増殖と比べて類似した増殖を示すような希釈で、それぞれのGM−CSFのソースとしてHEK293培養浮遊物を使用した。
【0145】
表8:TF−1増殖アッセイにおけるMOR04357IgGおよび対照IgGのIC
50値
【0146】
【表11】
この実験は、FabからIgGI型へ変換した後に保存される場合に、親和性成熟およびX−クローニング後、IC
50値において得た多くの改良を例証した。IgG1 MOR04357は、Fab MOR03929と比較して>2000倍改良されたIC
50値を示し、BVD2−21C11およびMab215の効力を越えた。