(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電力増幅器システム(PAS3、PAS4)の電力増幅器(PA1、PA2)を使用することによりキャリア信号(CS3、CS4)を増幅する方法であって、該電力増幅器(PA1、PA2)が電源(SMPS1、SMPS2)の電源電圧(PASV1、PASV2)を供給され、該方法が、
クリッピング閾値に従って該キャリア信号(CS3、CS4)へ該電力増幅器システム(PAS3、PAS4)の入力信号(DS、AS2)をクリッピングするステップ(M1/1)と、
該電力増幅器システム(PAS3、PAS4)の該入力信号(DS、AS2)の平均信号電力に関する値に該電源電圧(PASV1、PASV2)の値を適応させるステップ(M1/4、M2/5)とを含み、該電源電圧(PASV1)の値を適応させるステップ(M1/4)が下り勾配の絶対値より大きい上り勾配の値で実行され、及び、
該電力増幅器(PA1、PA2)によって該キャリア信号(CS3、CS4)を増幅するステップ(M1/5)を含み、
該クリッピング閾値が該平均信号電力に依存する、方法。
電力増幅器システム(PAS3)の電力増幅器(PA1)を使用することによりキャリア信号(CS3)を増幅する方法を実施するコンピュータ実行可能命令を備えるコンピュータ・プログラムであって、該方法が、
− クリッピング閾値に従って該キャリア信号(CS3)へ該電力増幅器システム(PAS3)の入力信号(DS)をクリッピングするステップ(M1/1)と、
− 該電力増幅器システム(PAS3)の該入力信号(DS)の平均信号電力に関する値に該電力増幅器(PA1)の電源電圧(PASV1)の値を適応させるステップ(M1/4)とを含み、該電源電圧(PASV1)の値を適応させるステップ(M1/4)が下り勾配の絶対値より大きい上り勾配の値で実行され、及び
− 該電力増幅器(PA1)によって該キャリア信号(CS3)を増幅するステップ(M1/5)を含み、
該クリッピング閾値が該平均信号電力に依存する、コンピュータ・プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本発明の第1の実施形態の第1の適用形態による電力増幅器システムPAS1のブロック図を示す。
【0027】
電力増幅器システムPAS1は、LTEシステム(LTE=ロング・ターム・エボリューション)、WiMAX(WiMAX=ワールドワイド・インターオペラビリティ・フォー・マイクロウェーブ・アクセス)、またはWLANシステム(WLAN=無線ローカル・エリア・ネットワーク)などの無線通信システムのネットワーク要素の送信部に含まれてよい。
【0028】
ネットワーク要素は、例えば基地局である。ネットワーク要素のための他の代替物は、アクセス・ポイント、携帯電話、PDA(PDA=携帯情報端末)、ノートブックなどである。
【0029】
一代替実施形態では、電力増幅器システムPAS1は、ADSL(ADSL=非対称デジタル加入者回線)などの固定アクセス通信システムのトランシーバに含まれてよい。
【0030】
他の代替実施形態では、電力増幅器システムPAS1は、ハイファイ・システムなどのオーディオ・システムまたはビデオ・システムに含まれてよい。
【0031】
一般に、本発明の第1の実施形態による電力増幅器システムPAS1は、電磁信号の増幅が必要とされるいかなる用途においても使用されることが可能である。
【0032】
デジタル・ベースバンド・ボードBB1は、同相信号部Iおよび直交信号部Qを備える複素デジタル入力信号DSを生成する。
【0033】
一代替形態では、デジタル・ベースバンド・ボードBB1は、単一の実部を備える実デジタル入力信号を生成することができる。
【0034】
電力増幅器システムPAS1は、アナログRFフロント・エンド(RF=無線周波数)RFFE1およびデジタル・ベースバンド・ボードBB1の一部分を備える。
【0035】
一代替形態では、電力増幅器システムPAS1は、別のデジタル・ベースバンド・ボードおよびアナログRFフロント・エンドRFFE1を備えてよい。
【0036】
デジタル・ベースバンド・ボードBB1の一部分は、FPGA(FPGA=フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)、CPLD(CPLD=コンプレックス・プログラマブル・ロジック・デバイス)、ASIC(ASIC=特定用途向け集積回路)、またはDSP(DSP=デジタル信号プロセッサ)などの適応ユニットADUを備えてよい。
【0037】
RFフロント・エンドRFFE1は、2つのDAC(DAC=デジタル−トゥ−アナログコンバータ)DAC1、DAC2、変調およびアップコンバージョン・モジュールMU1、局部発振器LO1、電源SMPS1、および電力増幅器PA1を備えてよい。
【0038】
一代替形態では、DAC、DAC1、DAC2の位置は、RFフロント・エンドRFFE1からベースバンド・ボードBB1に移される。
【0039】
デジタル入力信号DSは、OFDM(OFDM=直交周波数分割多重)、CDMA(CDMA=符号分割多元接続)、WCDMA(WCDMA=広帯域CDMA)、またはマルチキャリアGSM(GSM=グローバル移動体通信システム)などの伝送方式の信号である。
【0040】
一代替形態では、デジタル入力信号は、オーディオ・システムまたはビデオ・システムのオーディオ信号またはビデオ信号を表す。
【0041】
デジタル入力信号DSの直交信号部Qの信号経路は、第1のDAC、DAC1の入力インターフェースに接続され、同相信号部Iの信号経路は、第2のDAC、DAC2の入力インターフェースに接続される。さらに、両方の信号経路は、適応ユニットADUの入力インターフェースに接続される。
【0042】
一代替形態では、実信号の単一の信号経路は、単一のDAC、および単一の入力インターフェースを備える適応ユニットに接続される。
【0043】
アナログ信号AS1の同相信号部Iおよび直交信号部Qのための2つのDAC、DAC1、DAC2の出力インターフェースは、変調およびアップコンバージョン・モジュールMUの入力インターフェースに接続される。
【0044】
局部発振器LO1は、変調およびアップコンバージョン・モジュールMUの別の入力インターフェースに接続される。
【0045】
キャリア信号CS1のための変調およびアップコンバージョン・モジュールMUの出力インターフェースは、電力増幅器PA1の信号入力インターフェースPASIGIN1に接続される。
【0046】
適応ユニットADUは、電源SMPS1の電源電圧PASV1の値を適応させるために電源SMPS1において使用されるデジタル入力信号DSの平均信号電力に関する値MSPL1を計算する。
【0047】
適応ユニットADUの出力インターフェースは、電源SMPS1の制御ポートCP1に接続される。
【0048】
制御ポートCP1は、デジタル制御ポートでよい。
【0049】
一代替形態では、制御ポートCP1はアナログ制御ポートでよく、適応ユニットADUから来るデジタル値をアナログ値に変換するために、適応ユニットADUと電源SMPS1との間に別のDACが使用されてもよい。
【0050】
電源SMPS1は、同じ高効率で様々な電力レベルにおいて電源電圧PASV1を生成するという利点を提供するスイッチト・モード電源でよい。
【0051】
一代替形態では、電源SMPS1は、エンベロープ・トラッキング法で使用されるような電圧変調器でよい。
【0052】
電源SMPS1は、電源電圧PASV1の値を、制御ポートCP1を介して受信された値MSPL1に適応させる。
【0053】
電源SMPS1の電源電圧PASV1のための出力インターフェースは、電力増幅器PA1の電圧入力インターフェースPASVIN1に接続される。
【0054】
電力増幅器PA1は、電源電圧PASV1の適応された値に基づいてキャリア信号CS1を増幅されたキャリア信号ACS1に増幅する。
【0055】
これは、電力増幅器PA1の電力効率を向上させ、それによって電力増幅器システムPAS1の電力消費全体を低減するという利点を提供する。
【0056】
図2を参照すると、本発明の第1の実施形態の第1の適用形態による方法M1の流れ図が示されている。
【0057】
方法M1を実施するためのステップの順序および数は重要ではなく、当業者には理解されるように、ステップの順序および数は、本発明の範囲から逸脱することなく変わってよい。
【0058】
第1のステップM1/1において、デジタル入力信号DSの同相信号部Iおよび直交信号部Qが、適応ユニットADUを備えるデジタル・ベースバンド・ボードBB1によって受信される。
【0059】
ステップM1/1は、連続して実施される。
【0060】
次のステップM1/2において、適応ユニットADUが、第1の予め定義された時間間隔によって与えられるいくつかの時点で、デジタル入力信号DSの同相信号部Iおよび直交信号部Qの値を測定し、記憶する。
【0061】
一代替形態では、適応ユニットADUは、デジタル入力信号DSの同相信号部Iおよび直交信号部Qのすべての値を連続して測定し、記憶する。
【0062】
他のステップM1/3において、適応ユニットADUが、デジタル入力信号DSの平均信号電力に関する値MSPL1を計算する。
【0063】
第1のサブステップにおいて、適応ユニットADUが、同相信号部Iおよび直交信号部Qを二乗し、同相信号部Iおよび直交信号部Qの二乗した数を加算して、中間値を求める。
【0064】
第2のサブステップにおいて、適応ユニットADUが、第2の予め定義された時間間隔に属する第1のサブステップのすべての中間値を平均することにより、デジタル入力信号DSの平均信号電力に関する値MSPL1を計算する。第2の予め定義された時間間隔は、第1の予め定義された時間間隔に等しいか、またはそれより大きい。
【0065】
平均信号電力に関する値MSPL1は、デジタル入力信号DSの信号振幅の絶対値の算術平均に基づいてよい。
【0066】
他の代替形態では、平均信号電力に関する値MSPL1は、デジタル入力信号DSの電力振幅の二乗平均に、デジタル入力信号DSの一般化平均に、またはデジタル入力信号DSの移動平均に基づいてよい。
【0067】
他の好ましい代替形態では、デジタル入力信号DISの移動平均は、第2の予め定義された時間間隔の第1の部分の中で測定されたデジタル入力信号DSの値による、より低い重み、および、第2の予め定義された時間間隔の第2の部分の中で測定されたデジタル入力信号DSの値による、より高い重みを使用し、第2の予め定義された時間間隔の第1の部分の後に、第2の予め定義された時間間隔の第2の部分が続く。それによって、より強い平均信号電力に関する値MSPL1は、最近測定された値に依存し、より速い時間内に急な変更に応じて反応することができる。
【0068】
ステップM1/2は、ステップM1/3の後に繰り返される。
【0069】
平均信号電力に関する値MSPL1が平均信号電力に関する値MSPL1の前の計算によって変更された場合は、ステップM1/4の後にステップM1/3が続く。
【0070】
好ましい代替形態では、平均信号電力に関する値MSPL1が平均信号電力に関する値MSPL1の前の計算によって予め定義された量だけ変更された場合は、ステップM1/4の後にステップM1/3が続く。
【0071】
他の代替形態では、常に、ステップM1/4の後にステップM1/3が続く。
【0072】
次のステップM1/4では、電力増幅器PA1の電源電圧PASV1の値をデジタル入力信号DSの平均信号電力に関する値MSPL1に適応させる。
【0073】
平均信号電力に関する値MSPL1は、平均信号電力レベルであり、電源SMPS1は、例えば、電源SMPS1のルックアップ・テーブルを使用することにより、または電源電圧PASV1の値と平均信号電力レベルとの間の関係に関する式を使用することにより、電源電圧PASV1の値を決める。
【0074】
他の代替形態では、平均信号電力に関係する値MSPL1は、特定の電源電圧PASV1を抽出するために制御ポートCP1によって必要とされる特定の値である。したがって、適応ユニットADUは、適応ユニットADUのルックアップ・テーブルを使用することにより特定の値を計算する。これは、電源SMPS1の中に内部論理を必要としないという利点を提供し、制御ポートの特定の制御言語に依存しないので、電源を使用する際のより高い柔軟性という利点を提供する。
【0075】
他の代替形態では、平均信号電力に関する値MSPL1は、適応ユニットADUの別のルックアップ・テーブルを使用することによる電源PASV1のインクリメント値である。電源SMPS1は、受信したインクリメント値によって電源電圧PASV1を変更する。これは、値をより高い解像度を有する電源SMPS1に適用するという利点を提供する。
【0076】
好ましくは、適応ユニットADUは、電源電圧PASV1の値を、PASV1下り勾配の絶対値より高い上り勾配の値に適応させる。それによって、電源電圧PASV1は、低減されるより速く増大されることが可能である。
【0077】
これは、一方では、適応ステップの数を低減するという利点を提供する。他方では、平均入力電力レベルMSPL1の急速な増大による電力増幅器PA1の増幅の飽和を回避するために、電源電圧PASV1の平均信号電力レベルMSPL1の急速な上昇への適応が可能にされる。
【0078】
ステップM1/2、M1/3およびM1/4に続いてまたは並行して実行される他のステップM1/5において、電力増幅器PA1がデジタル入力信号DSを増幅されたキャリア信号ACS1に増幅する。
【0079】
同じデジタル入力信号DSのための他のステップM1/5は、通常、ステップM1/4が終了する前に実行される。したがって、同じデジタル入力信号DSの同相信号部Iおよび直交信号部Qの増幅は、電力増幅器PA1の電源電圧PASV1の新しく適応された値で行われる。
【0080】
別の受信されたデジタル入力信号DSの同相信号部Iおよび直交信号部Qの増幅は、ステップM1/4が終了してから、ステップM1/4による電力増幅器PA1の電源電圧PASV1の新しく適応された値で行われる。
【0081】
第1のサブステップにおいて、デジタル入力信号DSの同相信号部Iおよび直交信号部QがDAC、DAC1、DAC2によってアナログ信号AS1に変換される。
【0082】
他のサブステップにおいて、変調およびアップコンバージョン・モジュールMUがアナログ信号AS1の同相信号部Iおよび直交信号部Qを中間信号に変調し、中間信号を局部発振器LO1の周波数信号と混合することによりキャリア信号CS1に変換する。
【0083】
一代替形態では、デジタル入力信号DSの同相信号部Iおよび直交信号部Qの変調は、ベースバンド・ボードBB1上に配置されたベースバンドまたはIF変調器(IF=中間周波数)によって行われてよく、アップコンバージョンだけがRFフロント・エンドRFFE1を介して行われる。
【0084】
最後のサブステップにおいて、キャリア信号CS1が、電力増幅器PA1の電源電圧PASV1によって増幅されたキャリア信号ACS1に増幅される。
【0085】
増幅されたキャリア信号ACS1は、電力増幅器PA1の出力インターフェースに接続されたアンテナに伝送される。
【0086】
一代替形態では、増幅されたキャリア信号ACS1は、固定伝送回線に挿入されてよい。
【0087】
他の代替形態では、増幅されたキャリア信号ACS1は、オーディオ・システムまたはビデオ・システムのラウドスピーカに伝送される。
【0088】
本発明の第1の実施形態の第1の適用形態による方法M1によって、予め定義された電源電圧PASV1電力が、予め決められた平均信号電力によって電力増幅器PA1に印加される。
【0089】
一般に、増加電源電圧PASV1上の増加平均信号電力、および減少平均信号電力では、減少電源電圧PASV1は、電力増幅器PA1に印加される。
【0090】
これは、電力増幅器PA1のCDバイアス電流が、常に、平均信号電力に関する電力レベルを有するキャリア信号CS1を増幅するのに十分な値に限定されるので、電力増幅器PA1の電力消費を低減するという利益を提供する。
【0091】
エンベロープ・トラッキング法と比較すると、本方法は、電源の電源変調をデジタル入力信号DSのエンベロープのリアルタイム振幅に同期するために電力増幅器PA1の入力信号経路に遅延/同期要素を必要としない。
【0092】
さらに、エンベロープ・トラッキング法において使用される、カプラ、検出器、遅延/同期要素、複素デジタル信号アルゴリズムなどの補足構成要素は、必要とされない。
【0093】
電源電圧の変更は、平均信号電力はデジタル入力信号DSのリアルタイム振幅より低い周波数帯域幅を有するので、エンベロープ・トラッキング法と比較するとはるかに長い時間をかけて行われる。それによって、本発明のために使用される構成要素による技術要件は、エンベロープ・トラッキング法に関して使用される構成要素のための技術要件より低い。
【0094】
図3は、本発明の第1の実施形態の第2の適用形態による電力増幅器システムPAS2のブロック図を示す。
【0095】
電力増幅器システムPAS2は、カプラCOUP1、電力検出器PD、低パス・フィルタLPF1、アップコンバージョン・ユニットU、局部発振器LO2、電源SMPS2、および電力増幅器PA2を備える。
【0096】
電力増幅器システムPAS2は、LTEシステム、WiMAXシステム、またはWLANシステムなどの無線通信システムのネットワーク要素の送信部に含まれてよい。
【0097】
ネットワーク要素は、例えば基地局でよい。ネットワーク要素のための他の代替物は、携帯電話、PDA、ノートブック、無線インターフェースを有するUSBフラッシュ・ドライブなどである。
【0098】
一代替形態では、電力増幅器システムPAS2は、ハイファイ・システムなどのオーディオ・システムまたはビデオ・システムに含まれてよく、電力増幅器システムPAS2は、アップコンバージョン・ユニットUおよび局部発振器LO2を備えなくてもよい。
【0099】
アナログ入力信号AS2の信号経路は、カプラCOUP1の入力インターフェースに接続される。
【0100】
カプラCOUP1は、分割係数に関してアナログ信号AS2を第1の信号部分AS2_1、および第2の信号部分AS2_2に分割する。第1の信号部分AS2_1の電力レベルは、第2の信号部分AS2_2の電力レベルより高い。
【0101】
カプラCOUP1の出力インターフェースは、第1の信号部分AS2_1のためのアップコンバージョン・ユニットUの出力インターフェースに、および第2の信号部分AS2_2のための電力検出器PDの入力インターフェースに接続される。
【0102】
局部発振器LO2は、アップコンバージョン・ユニットUの別の入力インターフェースに接続される。
【0103】
キャリア信号CS2のためのアップコンバージョン・ユニットUの出力インターフェースは、電力増幅器PA2の信号入力インターフェースPASIGIN2に接続される。
【0104】
電力検出器PDは、第2の信号部分AS2_2を測定し、第2の信号部分AS2_2の信号電力によって電力レベル信号PL_AS2_2を生成する。電力検出器PDは、高帯域幅電力検出器でよい。
【0105】
電力検出器PDの出力インターフェースは、低パス・フィルタLPF1の入力インターフェースに接続される。
【0106】
低パス・フィルタLPF1は、第2の信号部分AS2_2の平均信号電力に関する電圧MSPL2を生成する。
【0107】
低パス・フィルタLPF1の出力インターフェースは、電源SMPS2の制御ポートCP2に接続される。
【0108】
一代替形態では、低帯域幅電力検出器が第2の信号部分AS2_2を測定するために使用されてよく、第2の信号部分AS2_2の平均信号電力に関する値を生成するために使用されてよい。これは、低パス・フィルタLPF1を必要としないという利点を提供する。
【0109】
電源SMPS2の制御ポートCP2は、アナログ制御ポートでよい。
【0110】
一代替形態では、制御ポートCP2はデジタル制御ポートでよく、低パス・フィルタLPF1から来るアナログ値をデジタル値に変換するために、低パス・フィルタLPF1と電源SMPS2との間にADC(ADC=アナログ−トゥ−デジタルコンバータ)が使用されてよい。
【0111】
他の代替形態では、制御ポートCP2は、制御言語を必要としてよく、ADCは、制御言語の制御パラメータの値を計算するためにデジタル処理ユニットと接続されてよい。
【0112】
電源SMPS2は、同じ高効率で様々な電源レベルで電源電圧PASV2を生成するという利点を提供するスイッチト・モード電源でよい。
【0113】
電源SMPS2は、電源電圧PASV2の値をアナログ入力信号AS2の平均信号電力に関する値MSPL2に適応させる。
【0114】
電源SMPS2の電源電圧PASV2のための出力インターフェースは、電力増幅器PA2の電圧入力インターフェースPASVIN2に接続される。
【0115】
電力増幅器PA2は、電源電圧PASV2の適応された値に基づいてキャリア信号CS2を増幅されたキャリア信号ACS2に増幅する。
【0116】
本発明の第1の実施形態の第2の適用形態による電力増幅器システムPAS2は、電力増幅器PA2の電力効率を向上させ、それによって、アナログ電力増幅器システムPAS2の電力消費全体を低減するという利点を提供する。
【0117】
図4を参照すると、本発明の第1の実施形態の第2の適用形態による方法M2の流れ図が示されている。
【0118】
方法M2を実施するためのステップの順序および数は重要ではなく、当業者には理解されるように、ステップの順序および数は、本発明の範囲から逸脱することなく変わってよい。
【0119】
第1のステップM2/1において、アナログ入力信号AS2が電力増幅器システムPAS2によって受信される。
【0120】
ステップM2/1は、連続して実行される。
【0121】
次のステップM2/2において、カプラCOUP1がアナログ入力信号AS2を第1の信号部分AS2_1および第2の信号部分AS2_2に連続して分割する。
【0122】
他のステップM2/3において、電力検出器PDが、第2の信号部分AS2_2の信号電力を連続して測定し、電力レベル信号PL_AS2_2を生成する。
【0123】
次のステップM2/4において、低パス・フィルタLPF1が、電力レベル信号PL_AS2_2の急な変化を平滑化することにより、第2の信号部分AS2_2の平均信号電力に関する電圧MSPL2を連続して生成する。
【0124】
他のステップM2/5において、電力増幅器PA2の電圧PASV2を、カプラCOUP1の分割係数を考慮してアナログ入力信号AS2の平均信号電力に関する電圧MSPL2に連続して適応させる。
【0125】
第1の代替形態では、第2の信号部分AS2_2の平均信号電力に関する電圧MSPL2が電源SMPS2の制御ポートCP2に直接印加され、電源SMPS2は、例えば電源SMPS2のルックアップ・テーブルを使用することにより電源電圧PASV2の値を決める。
【0126】
第2の代替形態において、第2の信号部分AS2_2の平均信号電力に関する電圧MSPL2が、別の変換ユニットによって制御ポートCP2のパラメータ値に変換される。
【0127】
ステップM2/3、M2/4、およびM2/5に連続しておよび並行して実施される他のステップM2/6において、電力増幅器PA2が、電源電圧PASV2の適応された値に基づいてキャリア信号CS2を増幅されたキャリア信号ACS2に増幅する。
【0128】
第1のサブステップにおいて、アナログ入力信号AS2の第1の信号部分AS2_1がアップコンバージョン・ユニットUの入力インターフェースに適用される。
【0129】
他のサブステップにおいて、アップコンバージョン・ユニットUが、第1の信号部分AS2_1を、局部発振器LO2の周波数信号と混合することにより、キャリア信号CS2に変換する。
【0130】
最後のサブステップにおいて、キャリア信号CS2が、電力増幅器PA2の電源電圧PASV2によって、増幅されたキャリア信号ACS2に増幅される。
【0131】
増幅されたキャリア信号ACS2は、電力増幅器PA2の出力インターフェースに接続されたアンテナに伝送される。
【0132】
一代替形態では、増幅されたキャリア信号ACS2は、固定伝送回線に挿入されてよい。
【0133】
他の代替形態では、増幅されたキャリア信号ACS2は、オーディオ・システムまたはビデオ・システムのラウドスピーカに伝送されてよい。
【0134】
本発明による方法M2は、電力増幅器PA2のCDバイアス電流が、常に、アナログ入力信号AS2の信号電力レベルに関する電力レベルを有するキャリア信号CS2を増幅するのに十分な値に限定されるので、電力増幅器PA2の電力消費を低減するという利益を提供する。
【0135】
さらに、電力増幅器システムPAS2の電力消費全体が低減される。
【0136】
図5を参照すると、本発明の第2の実施形態の第1の適用形態による電力増幅器システムPAS3のブロック図が示されている。
【0137】
図1に示されている電力増幅器システムPAS1と比較すると、電力増幅器システムPAS3は、適応ユニットADUではなく、クリッピング機能およびプリディストーション機能を有するクリッピング・ユニットCLPを備える。
【0138】
クリッピング・ユニットCLPは、
図1による適応ユニットADUの機能をさらに備える。
【0139】
他の代替形態では、追加の適応ユニットが、
図1による適応ユニットADUの機能を備えてよく、クリッピング・ユニットCLPと対話することができる。
【0140】
さらに、電力増幅器システムPAS3は、カプラCOUP2とのプリディストーション・フィードバック経路PFP、復調およびダウン変換ユニットDD、別の局部発振器LO3、および2つのADC、ADC1、ADC2を備える。
【0141】
デジタル・ベースバンド・ボードBB2の一部分上に配置されるクリッピング・ユニットCLPは、DSP(DSP=デジタル信号プロセッサ)、またはFPGA(FPGA=フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)でよい。
【0142】
一代替形態では、クリッピング・ユニットCLPは、別のデジタル・ベースバンド・ボード上に配置されてよい。
【0143】
プリディストーション機能は、線形増幅範囲をより高い出力電力へ拡大することにより、より線形の電力増幅器PA1を実現し、それによって、増幅されたキャリア信号ACS3のスペクトル歪を低減するという利点を提供する。
【0144】
一代替形態では、電力増幅器PA1の電力増幅の線形性が十分である可能性がある場合は、電力増幅器システムPAS3は、プリディストーション・フィードバック経路PFPを備えなくてよく、クリッピング・ユニットCLPは、プリディストーション機能を備えなくてよい。
【0145】
他の代替形態では、クリッピング機能およびプリディストーション機能は、デジタル・ベースバンド・ボードBB2の一部分上の別々のユニットに配置される。デジタル入力信号DSの同相信号部Iおよび直交信号部Qの信号経路は、クリッピング・ユニットCLPの入力インターフェースに接続される。デジタル・クリッピング信号DCLSの同相信号部Iおよび直交信号部Qのためのクリッピング・ユニットCLPの出力インターフェースは、2つのDAC、DAC1、DAC2の入力インターフェースに接続される。
【0146】
クリッピング・ユニットCLPのクリッピング機能は、平均信号電力に関する値MSPL1によって決められるクリッピング閾値によってデジタル入力信号DSの信号ピークを限定する。それによって、デジタル入力信号DSのPAPR(PAPR=ピーク対平均電力比)が予め定義された範囲内に保持される。
【0147】
図6を参照すると、本発明の第2の実施形態の第1の適用形態による方法M3の流れ図が示されている。本発明の第1の実施形態の第1の適用形態において実行されるステップM1/1、M1/2、M1/3、M1/4、およびM1/5に加えて、ステップM3/1がステップM1/4と並行して実行されてよい。
【0148】
方法M3を実施するためのステップの順序および数は重要ではなく、当業者には理解されるように、ステップの順序および数は、本発明の範囲から逸脱することなく変わってよい。
【0149】
ステップM3/1において、クリッピング・ユニットCLPがデジタル入力信号DSのPAPRを予め定義された範囲内に保持する。したがって、クリッピング・ユニットCLPは、予め定義された範囲によってクリッピング閾値を調整するために平均信号電力に関する値MSPL1を使用し、それによって、デジタル・クリッピング信号DCLSを生成する。クリッピング閾値を超えるデジタル入力信号DSのすべての信号ピークは、クリッピング閾値に合わせて平らにされる、または水平にされる。
【0150】
第1の代替形態では、いわゆるハード・クリッピングが、単にすべての信号値をクリッピング閾値に合わせて水平にすることにより行われることが可能である。その場合、デジタル・クリッピング信号DCLSの特性曲線は、シャープ・エッジを備える(
図9および10を参照)。
【0151】
好ましい第2の代替形態では、いわゆるソフト・クリッピングが、クリップされた信号ピークにおいてデジタル・クリッピング信号DCLSの特性曲線を平滑化することにより行われることが可能である。これは、調波の発生を回避し、調波によるデジタル・クリッピング信号DCLSの周波数帯域幅の拡大を回避するという利点を提供する。
【0152】
他の好ましい代替形態では、デジタル・クリッピング信号DCLSの信号エンベロープが、ソフト・クリッピングのため、クリッピング閾値をわずかに超える可能性がある。
【0153】
ステップM1/5において、他のサブステップが方法M1と比較して実行される。この他のサブステップにおいて、クリッピング・ユニットCLPが、プリディストーション・フィードバック経路PFPを介して受信されたフィードバック情報に基づいて、デジタル入力信号DSを変更する。
【0154】
一代替形態では、電力増幅器システムがプリディストーション経路を含まなくてよい場合は、他のサブステップは実行されなくてよい。
【0155】
本発明の第2の実施形態の第1の適用形態による方法M3によって、予め決められたクリッピング閾値が、予め決められた平均信号電力によってデジタル入力信号DSに適用される。一般に、増大平均信号電力では、増大クリッピング閾値がデジタル入力信号DSに適用され、減少平均信号電力では、減少クリッピング閾値がデジタル入力信号DSに適用される。
【0156】
これは、平均信号電力よりはるかに大きい信号電力を有する信号ピークによる電力増幅器PA3の増幅の飽和を回避するという利点を提供する。さらに、増幅の飽和によって生じる追加の側波帯の発生など、電力増幅器PA3の出力信号の歪を防止することができる。予め定義された範囲は、信号保全性に関して無線通信規格によって与えられるような必要条件が満たされるように選択することができる。
【0157】
図7を参照すると、本発明の第2の実施形態の第2の適用形態による電力増幅器システムPAS4のブロック図が示されている。
【0158】
図3に示されている電力増幅器システムPAS2と比較すると、電力増幅器システムPAS4は、演算増幅器OAおよび別の低パス・フィルタLPF2を追加として備える。
【0159】
低パス・フィルタLPF1によって生成され、電源SMPS2の制御ポートCP2に印加される、平均信号電力に関する電圧MSPL2が、演算増幅器OAのために電源電圧として追加して使用される。
【0160】
演算増幅器OAは、アナログ信号AS2の第1の信号部分AS2_1のための入力インターフェース、演算増幅器OAのための電源電圧としての電圧MSPL2のためのインターフェース、およびアナログ・クリッピング信号ACLSのための出力インターフェースを備える。
【0161】
一代替形態では、演算増幅器OAの代わりにトランジスタが使用されてよい。
【0162】
演算増幅器OAは、アナログ入力信号AS2の第1の信号部分AS2_1の信号ピークを、平均信号電力に関する値MSPL2によって決められる別のクリッピング閾値に限定する。それによって、アナログ入力信号AS2の第1の信号部分AS2_1のPAPR(PAPR=ピーク対平均電力比)が、予め定義された範囲以内に保持される。
【0163】
一代替形態では、電圧MSPL2を介して演算増幅器OAのための低減された電源電圧を生成するために、分圧器が使用されてよい。
【0164】
他の代替形態では、電圧MSPL2を介して演算増幅器OAのための増幅された電源電圧を生成するために、別の演算増幅器が使用されてよい。
【0165】
他の代替形態では、電圧MSPL2を電源SMPS2の制御ポートCP2によって必要とされる電圧に適応させるために、低パス・フィルタLPF1と電源SMPS2との間に別の分圧器またはさらに別の演算増幅器が使用されてよい。
【0166】
別の低パス・フィルタLPF2は、アナログ・クリッピング信号ACLSのための入力インターフェース、およびアップコンバージョン・ユニットUの入力インターフェースに適用されるフィルタされたアナログ・クリッピング信号FACLSのための出力インターフェースを備える。
【0167】
他の低パス・フィルタLPF2は、演算増幅器OAのクリッピング・プロセスによって生成されたアナログ・クリッピング信号ACLSのスペクトル構成要素を除去する。
【0168】
一代替形態では、電力増幅器システムPAS4は、演算増幅器OAがクリッピング・プロセスによってアナログ・クリッピング信号ACLSの追加のスペクトル構成要素を生成しなくてよい場合は、別の低パス・フィルタLPF2を備えなくてよい。
【0169】
図8を参照すると、本発明の第2の実施形態の第2の適用形態による方法M4の流れ図が示されている。本発明の第2の実施形態の第2の適用形態において実行されるステップM2/1、M2/2、M2/3、M2/4、M2/5、およびM2/6に加えて、ステップM4/1がステップM2/5と並行して実行される。
【0170】
方法M4を実施するためのステップの順序および数は重要ではなく、当業者には理解されるように、ステップの順序および数は、本発明の範囲から逸脱することなく変わってよい。
【0171】
ステップM4/1において、演算増幅器OAがアナログ入力信号AS2の第2の部分AS2_1のPAPRを別の予め定義された範囲内に保持し、アナログ・クリッピング信号ACLSを生成する。したがって、演算増幅器OAは、動作点において、係数1だけ別のクリッピング閾値より低いアナログ入力信号AS2の第1の部分AS2_1を増幅し、別のクリッピング閾値を超える信号ピークでは飽和モードで動作するリミッタとして機能し、それによって、第1の部分AS2_1の信号ピークをクリッピング閾値に合わせて平らにする、または水平にする。動作点は、電圧MSPL2によってセットされる。
【0172】
ステップM2/5において、他のサブステップが実行される。他のサブステップにおいて、別の低パス・フィルタLPF2が、演算増幅器OAのクリッピング・プロセスによって生成されたアナログ・クリッピング信号ACLSの信号部を除去する。別の低パス・フィルタLPF2の予め定義された帯域幅を使用することにより、フィルタされたアナログ・クリッピング信号FACLSの信号品質を向上させることができる。
【0173】
一代替形態では、演算増幅器OAがクリッピング・プロセスによってアナログ・クリッピング信号ACLSの追加のスペクトル構成要素を生成しなくてよい場合は、他のサブステップは実行されなくてよい。
【0174】
本発明の第2の実施形態の第2の適用形態による方法M4は、平均信号電力よりはるかに大きい信号を有する信号ピークによる電力増幅器PA4の増幅の飽和を回避するという利点を提供する。さらに、増幅器の増幅によって生じる追加の側波帯の発生など、電力増幅器PA4の出力信号の歪を防止することができる。
【0175】
図9および
図10を参照すると、デジタル入力信号DSのPAPRを予め定義された範囲以内に保持するステップM3/1が、2つの異なる時間間隔に関して図示されている。
【0176】
図9によれば、第1の特性
図DIAG1は、破線による第1のデジタル入力信号DS1、および実線による第1のデジタル・クリッピング信号DCLS1を示し、両方とも、任意の時間単位TUを有する時間に応じて任意の振幅単位AUの振幅を有する。任意の時間単位は第1の時間間隔[0、3.5]を備え、任意の振幅単位は振幅間隔[0、2.5]を備える。
【0177】
第1のデジタル・クリッピング信号DCLS1の実線は、第1のクリッピング閾値CLT1より下の第1のデジタル入力信号DS1の破線を覆い隠している。第1の特性
図DIAG1は、方法M1のステップM1/3において計算された第1のデジタル入力信号DS1の平均信号電力に関する第1の振幅値MSPL1_1をさらに示す。
【0178】
第1の振幅値MSPL1_1は、第1のクリッピング閾値CLT1を計算し、第1のデジタル入力信号DS1のPAPRを予め定義された範囲内に保持するために、方法M3のステップM3/1において使用される。したがって、第1のクリッピング閾値CLT1より高い第1のデジタル入力信号DS1の破線の第1の信号ピークが除去され、第1のクリッピング閾値CLTの第1のレベルにおける平らな曲線進行が第1の信号ピークの代わりに生成される。
【0179】
図10によれば、第2の特性
図DIAG2が、破線による第2のデジタル入力信号DS2、および実線による第2のデジタル・クリッピング信号DCLS2を示し、両方とも、任意の時間単位TUを有する時間の関数としての任意の振幅単位AUの振幅を有する。任意の時間単位は、第2の時間間隔[10、13.5]を備え、任意の振幅単位は、振幅単位[0、2.5]を備える。
【0180】
第2のデジタル・クリッピング信号DCLS2の実線は、第2のクリッピング閾値CLT2より下の第2のデジタル入力信号DS2の破線を覆い隠す。
【0181】
第2の特性
図DIAG2は、方法M1のステップM1/3において計算された、第2のデジタル入力信号DS2の平均信号電力に関する第2の振幅値MSPL1_2をさらに示す。
【0182】
第2の振幅値MSPL1_2は、第2のクリッピング閾値CLT2を計算し、第2のデジタル入力信号DS2のPAPRを予め定義された範囲内に保持するために、方法M3のステップM3/1において使用される。したがって、第2のクリッピング閾値CLT2より高い第2のデジタル入力信号DS2の破線の第2の信号ピークは除去され、第2のクリッピング閾値CLTの第2のレベルにおける平らな曲線進行が、第2の信号ピークの代わりに生成される。
【0183】
第2のデジタル入力信号DS2の平均信号電力に関する第2の信号ピーク、第2のクリッピング閾値CLT2、および第2の振幅値MSPL1_2は、
図9に示されている第1のデジタル入力信号DS1の対応する値より下にある。
【0184】
第1の振幅値MSPL1_1より低い第2の振幅値MSPL1_2、およびPAPRの予め定義された範囲のため、第2の時間間隔[10、13.5]の第2のクリッピング閾値CLT2は、第1の時間間隔[0、3.5]の第1のクリッピング閾値CLT1より低い。
【0185】
図11を参照すると、本発明の第3の実施形態による方法M5の流れ図が示されている。本発明の第1の実施形態の第1の適用形態によって実行されるステップM1/1、M1/3、M1/4、M1/5に加えて、ステップM5/1がM1/2の代わりに実行されてよい。
【0186】
一代替形態では、ステップM5/1は、ステップM1/2と並行して実行されてよい。
【0187】
ステップM5/1において、データ・トラフィック表示が上位層エンティティから適応ユニットADUにおいて受信される。
【0188】
第1の代替形態では、上位エンティティは、MACスケジューラ(MAC=媒体アクセス制御)でよく、データ・トラフィック表示は、MACスケジューラのキューで待ついくつかのデータ・パケットまたはいつくつかのバイトを備える。
【0189】
第2の代替形態では、上位層エンティティは、ネットワーク層エンティティでよく、データ・トラフィック表示は、ビデオ・ストリーミング・サービスおよびビデオ・ストリーミング・サービスの符号化速度など、現在使用されているサービスのタイプおよび数を備える。
【0190】
第3の代替形態では、上位層エンティティは、HARQエンティティ(HARQ=ハイブリッド自動再送要求)でよく、データ・トラフィック表示は、ユーザ・データまたはシグナリング・データに追加されたED情報(ED=誤り検出情報)またはFEC情報(順方向誤り訂正)の量を備える。
【0191】
ステップM1/3において、適応ユニットADUは、受信されたデータ・トラフィック表示によってデータ・トラフィックを推定し、推定されたデータ・トラフィックの平均信号電力に関する値MSPL1を計算するために、ルックアップ・テーブルを備えてよい。
【0192】
本発明の第3の実施形態による方法M5は、物理層のデジタル入力信号DSがユーザ・トラフィック量またはシグナリング・トラフィック量の急速な変更によって増大される前の、前もっての電源電圧PASV1のタイムリな適応という利益を提供する。
【0193】
図12を参照すると、本発明の第4の実施形態による方法M6の流れ図が示されている。本発明の第2の実施形態の第1の適用形態によって実行されるステップM1/1、M1/2、M1/3、M3/1、M1/4、およびM1/5に加えて、ステップM6/1がステップM1/2と並行して実行されてよい。
【0194】
方法M6を実施するためのステップの順序および数は重要ではなく、当業者には理解されるように、ステップの順序および数は、本発明の範囲から逸脱することなく変わってよい。
【0195】
ステップM6/1において、少なくとも1つの別の信号の少なくとも1つの別の特性の少なくとも1つの値が測定され、少なくとも1つの別の特性は、少なくとも1つの別の信号の品質指標でよい。
【0196】
第1の代替形態では、少なくとも1つの別の特性は、SNR(SNR=信号対雑音比)でよく、少なくとも1つの別の信号は、デジタル入力信号DS、デジタル・クリッピング信号DCLS、または増幅されたキャリア信号ACS3でよい。
【0197】
第2の代替形態では、少なくとも1つの別の特性は、いわゆるEVM(EVM=誤りベクトルの大きさ)でよく、少なくとも1つの別の信号は、デジタル入力信号DS、デジタル・クリッピング信号DCLSまたは増幅されたキャリア信号ACS3でよい。
【0198】
第3の代替形態では、少なくとも1つの別の特性は、スペクトル特性でよく、少なくとも1つの別の信号は、デジタル入力信号DS、デジタル・クリッピング信号DCLS、または増幅されたキャリア信号ACS3でよい。
【0199】
ステップM6/1は、ステップM1/3の後に、連続して、または第3の予め定義された時間間隔以内に、繰り返されてよい。
【0200】
増幅されたキャリア信号ACS3のSNR、EVM、およびスペクトル特性を測定するために、プリディストーション・フィードバック経路PFPが使用されてよい。
【0201】
他の代替形態では、SNRがEVMと共に、SNRがスペクトル特性と共に、EVMがスペクトル特性と共に、またはSNRがEVMおよびスペクトル特性と共に、同時に測定されることが可能である。
【0202】
デジタル入力信号DSおよびデジタル・クリッピング信号DCLSの少なくとも1つの別の特性の値を測定することにより、デジタル・クリッピング信号DCLSの信号品質に対するクリッピング・プロセスの影響を判定することができる。
【0203】
デジタル入力信号DSおよび増幅されたキャリア信号ACS3の少なくとも1つの別の特性の値を測定することにより、増幅されたキャリア信号ACS3の信号品質に対する増幅プロセスと組み合わせてのクリッピング・プロセスの影響を判定することができる。
【0204】
ステップM1/3において、平均信号電力に関する値MSPL1が、ステップM1/2において測定されたデジタル入力信号に応じて、およびステップM6/1において測定された少なくとも1つの別の特性に応じて、例えば、ステップM1/2において測定されたデジタル入力信号のみを使用することにより計算される平均信号電力に関する値に補正係数を加えることにより、計算される。補正係数は、正でも負でもよい。
【0205】
ステップM1/4において、電源電圧PASV1を、UMTSまたはLTEなどの無線通信規格の必要条件(例えば、ピーク符号領域誤り)を満たすために、平均信号電力に関する値MSPL1によって、および少なくとも1つの別の特性の値によって、適応させることができる。したがって、増幅されたキャリア信号ACS3のSNR、EVM、およびスペクトル特性は、平均信号電力に関する値MSPL1によって粗調整された可能性がある電源電圧PASV1を微調整するために使用することができる。
【0206】
ステップM3/1において、PAPRを、無線通信デバイス規格の必要条件を満たすために、平均信号電力に関する値MSPL1によって、および少なくとも1つの別の特性の値によって、予め定義された範囲内に保持することができる。それによって、クリッピング閾値CLT1、CLT2の微調整を行うことができる。
【0207】
本発明の第4の実施形態による方法M6は、増幅されたキャリア信号ACS3の信号品質を最適化し、無線通信規格によって必要とされる信号保全性を満たすことができるように、より正確なやり方で電源電圧および/またはクリッピング閾値を調整するという利点を提供する。
【0208】
図13を参照すると、デバイスDEVは、コンピュータ・プログラム製品CPP、デジタル・データ記憶媒体DDSM、2つの信号入力インターフェースDEVSIGIN1、DEVSIGIN2、2つの信号出力インターフェースDEVSIGOUT1、DEVSIGOUT2、および制御出力インターフェースDEVCTROUTを備えてよい。
【0209】
一代替形態では、デバイスは、1つの信号入力インターフェースおよび1つの信号出力インターフェースを備えてよい。
【0210】
デバイスDEVは、
図1による適応ユニットADU、または
図5によるクリッピング・ユニットCLPを備えてよい。
【0211】
デバイスDEVは、FPGA、CPLD、ASIC、またはDSPでよい。
【0212】
コンピュータ・プログラム製品CPPは、電力増幅器PA1の電源電圧PASV1、PASV3の値を電力増幅器システムPAS1、PAS3のデジタル入力信号DSの平均信号電力に関する値に適応させるステップM1/4を備える方法M1を実施するためのコンピュータ実行可能命令を備える。
【0213】
一代替形態では、コンピュータ・プログラム製品は、電力増幅器PA1の電源電圧PASV1、PASV3の値を電力増幅器システムPAS1、PAS3のデジタル入力信号DSの平均信号電力に関する値に適応させるステップM1/4を備える方法M1を実施するためにFPGAによって使用されるようなハードウェア構成でよい。
【0214】
デジタル・データ記憶媒体DDSMは、電力増幅器PA1の電源電圧PASV1、PASV3の値を電力増幅器システムPAS1、PAS3のデジタル入力信号DSの平均信号電力に関する値に適応させるステップM1/4を備える方法M1を実施するために命令の機械実行可能プログラムをエンコードする。
【0215】
一代替形態では、デジタル・データ記憶媒体DDSMは、FPGAによって使用されるようなハードウェア構成を記憶するためのフラッシュ・メモリでよい。
【0216】
一代替形態では、デジタル・データ記憶媒体DDSMは、デバイスDEVから離れていてよい。