特許第5769799号(P5769799)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5769799
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】殺菌・殺カビオキシムおよびヒドラゾン
(51)【国際特許分類】
   C07D 417/14 20060101AFI20150806BHJP
   A01N 43/78 20060101ALI20150806BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
   C07D417/14CSP
   A01N43/78 B
   A01P3/00
【請求項の数】5
【全頁数】137
(21)【出願番号】特願2013-511164(P2013-511164)
(86)(22)【出願日】2011年4月15日
(65)【公表番号】特表2013-528602(P2013-528602A)
(43)【公表日】2013年7月11日
(86)【国際出願番号】US2011032599
(87)【国際公開番号】WO2011146182
(87)【国際公開日】20111124
【審査請求日】2014年3月27日
(31)【優先権主張番号】61/346,606
(32)【優先日】2010年5月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390023674
【氏名又は名称】イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】メアリー・アン・ハナガン
(72)【発明者】
【氏名】アンドリス・ジュリス・リエパ
(72)【発明者】
【氏名】エリック・アレン・マーシャル
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・ジェイムズ・パステリス
【審査官】 伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/066353(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/055514(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/094445(WO,A1)
【文献】 特表2010−509190(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/094407(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/134969(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/076699(WO,A1)
【文献】 特表2009−502948(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/091594(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/013925(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A01N
CAPLUS/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1、そのN-オキシドおよび塩から選択される化合物であって:
【化1】
式中、
Eは、
【化2】
あり;
1aは、
【化3】
であり、式中、R33が炭素環員に結合している場合、前記R33はR33aから選択され;
各R33aは、独立して、ハロゲン、C1〜C3アルキル、C1〜C3ハロアルキルまたはC2〜C3アルコキシアルキルであり;
kは0、1、2または3であり:
Aは、CHR15であり;
15はHであり;
WはOであり;
Xは
【化4】
であり、式中、「t」で示されるX−1の結合は、式1のEで示される基に結合し、「v」で示される結合はGに結合し;
nは0であり;
Gは、
【化5】
であり;
29はHであり;
2は、
【化6】
から選択され;
Zは、各々が1個のQによって置換されている、C1〜C4ヒドロキシアルキル、C2〜C4アルケニル、C2〜C4アルキニル、C1〜C4ハロアルキル、C2〜C4ハロアルケニル、C2〜C4ハロアルキニル、C2〜C4アルコキシアルキル、C2〜C4アルキルチオアルキル、C2〜C4アルキルスルフィニルアルキル、C2〜C4アルキルスルホニルアルキル、C2〜C4アルキルカルボニル、C2〜C4ハロアルキルカルボニル、C2〜C5アルコキシカルボニル、C2〜C5アルキルアミノカルボニル、C3〜C5ジアルキルアミノカルボニルまたはC2〜C4アミノカルボニルアルキルであり;
Qは、
【化7】
であり;
各R9aは、独立して、ハロゲン、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキルまたはC1〜C4アルコキシであり;そして
pは0、1、2または3である、
化合物。
【請求項2】
以下の群:
3−(2,6−ジフルオロフェニル)−3−ヒドロキシ−1−[2−[1−[2−[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]アセチル]−4−ピペリジニル]−4−チアゾリル]−1−プロパノン1−オキシム;
3−(2,6−ジフルオロフェニル)−1−[2−[1−[2−[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]アセチル]−4−ピペリジニル]−4−チアゾリル]−2−プロペン−1−オン1−オキシム
3−(2,6−ジフルオロフェニル)−1−[2−[1−[2−[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]アセチル]−4−ピペリジニル]−4−チアゾリル]−2−プロペン−1−オン1−(O−メチルオキシム);および
3−(2,6−ジフルオロフェニル)−1−[2−[1−[2−[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]アセチル]−4−ピペリジニル]−4−チアゾリル]−2−プロペン−1−オン1−(O−アセチルオキム)
から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
(a)請求項1に記載の化合物;および(b)少なくとも1つの他の殺菌剤;を含む殺菌組成物。
【請求項4】
(a)請求項1に記載の化合物;ならびに(b)界面活性剤、固体希釈剤および液体希釈剤からなる群から選択される少なくとも1つの追加の成分;を含む殺菌組成物。
【請求項5】
植物もしくはその一部分、または植物種子に、殺菌的に有効な量の請求項1に記載の化合物を施用するステップを含む真菌性植物病原体によって引き起こされる植物病害を防除する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一定のオキシムおよびヒドラゾン、これらのN−オキシド、塩および組成物、ならびに、殺菌・殺カビ剤としてのこれらの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
真菌性植物病原体によって引き起こされる植物病害の防除は、高い作物効率を達成するためにきわめて重要である。観葉植物、野菜、圃場、穀類、および、果実作物に対する植物病害による損害は、生産性を著しく低下させ、これにより、消費者に対するコストが増加してしまう可能性がある。これらの目的のために多くの製品が市販されているが、より効果的であり、より安価であり、毒性が低く、環境的に安全であり、または、異なる作用部位を有する新規の化合物に対する要求が継続してある。
【0003】
式iの一定のピラゾール誘導体、および、殺菌・殺カビ剤としてのこれらの使用が特許文献1に開示されている。
【化1】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2008/013925号パンフレット
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、式1:
【化2】
(式中、
Eは、
【化3】
からなる群から選択されるラジカルであり、
Xは、
【化4】
からなる群から選択されるラジカルであり、
【0006】
式中、X−1、X−2、X−3、X−4、X−5、X−6、X−7、X−8、X−9、X−10またはX−11の「t」で示される結合は、式1のEとして示されているラジカルに結合していると共に、「v」で示されている結合はGに結合しており;
Gは、炭素原子環員上でR29aおよび窒素原子環員上でR30aから独立して選択される3個以下の置換基で任意により置換されている5員複素環であり;
は、NOR12、NNR1314またはNC≡Nであり;
Aは、CHR15、NR16またはC(=O)であり;
は、−O−、−S−、−N(R)−、−C(R−、−OC(R−、−SC(R−または−N(R)C(R−であり、式中、左に突出している結合は−N=C(R)(R)に結合していると共に右に突出している結合は−C(R)(R)−に結合しており;
WはOまたはSであり;
は、OR18、SR19、NR2021またはR22であり;
1aおよびR1bは、独立して、任意により置換されているフェニル、任意により置換されているナフタレニルあるいは任意により置換されている5員〜6員芳香族複素環であり;または、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルケニル、C〜Cハロアルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cハロシクロアルキル、C〜C10アルキルシクロアルキル、C〜C10シクロアルキルアルキル、C〜C10ハロシクロアルキルアルキル、C〜C10アルキルシクロアルキルアルキル、C〜Cアルコキシアルキル、C〜Cハロアルコキシアルキル、C〜C10シクロアルコキシアルキル、C〜C10アルコキシアルコキシアルキル、C〜Cアルキルチオアルキル、C〜Cハロアルキルチオアルキル、C〜Cアルキルスルフィニルアルキル、C〜Cアルキルスルホニルアルキル、C〜Cアルコキシカルボニルアルキル、C〜Cハロアルコキシカルボニルアルキル、C〜Cアルキルアミノアルキル、C〜C10ジアルキルアミノアルキル、C〜Cハロアルキルアミノアルキル、C〜C10シクロアルキルアミノアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、C〜Cシクロアルコキシ、C〜Cハロシクロアルコキシ、C〜C10シクロアルキルアルコキシ、C〜Cアルケニルオキシ、C〜Cハロアルケニルオキシ、C〜Cアルキニルオキシ、C〜Cハロアルキニルオキシ、C〜Cアルコキシアルコキシ、C〜Cアルキルカルボニルオキシ、C〜Cハロアルキルカルボニルオキシ、C〜Cアルキルチオ、C〜Cハロアルキルチオ、C〜Cシクロアルキルチオ、C〜C10トリアルキルシリル、C〜Cアルキルアミノ、C〜Cジアルキルアミノ、C〜Cハロアルキルアミノ、C〜Cハロジアルキルアミノ、C〜Cシクロアルキルアミノ、C〜Cアルキルカルボニルアミノ、C〜Cハロアルキルカルボニルアミノ、C〜Cアルキルスルホニルアミノ、C〜Cハロアルキルスルホニルアミノ、ピロリジニル、ピペリジニルあるいはモルホリニルであり;
【0007】
は、水素、ハロゲン、シアノ、アミノ、−CHO、−C(=O)OH、−C(=O)NH、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルケニル、C〜Cハロアルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cハロシクロアルキル、C〜Cアルキルシクロアルキル、C〜Cシクロアルキルアルキル、C〜Cハロシクロアルキルアルキル、C〜Cシクロアルケニル、C〜Cハロシクロアルケニル、C〜Cアルコキシアルキル、C〜Cアルキルチオアルキル、C〜Cアルキルスルフィニルアルキル、C〜Cアルキルスルホニルアルキル、C〜Cアルキルアミノアルキル、C〜Cジアルキルアミノアルキル、C〜Cハロアルキルアミノアルキル、C〜Cアルキルカルボニル、C〜Cハロアルキルカルボニル、C〜Cシクロアルキルカルボニル、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cシクロアルコキシカルボニル、C〜Cシクロアルキルアルコキシカルボニル、C〜Cアルキルアミノカルボニル、C〜Cジアルキルアミノカルボニル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、C〜Cシクロアルコキシ、C〜Cハロシクロアルコキシ、C〜Cアルケニルオキシ、C〜Cハロアルケニルオキシ、C〜Cアルキニルオキシ、C〜Cハロアルキニルオキシ、C〜Cアルコキシアルコキシ、C〜Cアルキルカルボニルオキシ、C〜Cハロアルキルカルボニルオキシ、C〜Cアルキルチオ、C〜Cハロアルキルチオ、C〜Cシクロアルキルチオ、C〜Cアルキルアミノ、C〜Cジアルキルアミノ、C〜Cハロアルキルアミノ、C〜Cハロジアルキルアミノ、C〜Cシクロアルキルアミノ、C〜Cアルキルカルボニルアミノ、C〜Cハロアルキルカルボニルアミノ、C〜CアルキルスルホニルアミノまたはC〜Cハロアルキルスルホニルアミノであり;
は、水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜CアルコキシあるいはC〜Cハロアルコキシであるか;または
およびRは、これらが結合している炭素原子と一緒になって、2個以下のO、2個以下のS、2個以下のNおよび2個以下のSi原子から独立して選択される4個以下のヘテロ原子ならびに炭素原子から選択される環員を含有する3員〜7員環を形成しており、ここで、3個以下の炭素原子環員はC(=O)およびC(=S)から独立して選択され、硫黄原子環員はS(=O)(=NR17から独立して選択され、ならびに、ケイ素原子環員はSiR1011から独立して選択され、環は、炭素原子環員上でハロゲン、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜CアルコキシおよびC〜Cハロアルコキシ、ならびに、窒素原子環員上でシアノ、C〜Cアルキルお
よびC〜Cアルコキシから独立して選択される4個以下の置換基で任意により置換されており;
【0008】
は、任意により置換されているフェニル、任意により置換されているナフタレニルあるいは任意により置換されている5員〜6員芳香族複素環であるか;または、水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、−CHO、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルケニル、C〜Cハロアルキニル、C〜Cアルコキシアルキル、C〜Cアルキルチオアルキル、C〜Cアルキルスルフィニルアルキル、C〜Cアルキルスルホニルアルキル、C〜Cアルキルカルボニル、C〜Cハロアルキルカルボニル、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cアルキルアミノカルボニル、C〜Cジアルキルアミノカルボニル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、C〜Cハロアルキルチオ、C〜Cアルキルスルフィニル、C〜Cハロアルキルスルフィニル、C〜Cアルキルスルホニル、C〜Cハロアルキルスルホニル、C〜Cアルキルカルボニルオキシ、C〜Cハロアルキルカルボニルオキシ、C〜Cアルコキシカルボニルオキシ、C〜CアルキルアミノカルボニルオキシあるいはC〜Cジアルキルアミノカルボニルオキシであり;
は、水素、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;
各R6aは、独立して、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、ハロゲン、シアノあるいはヒドロキシであるか;または
2つのR6aがC〜CアルキレンあるいはC〜Cアルケニレンとして一緒になって、架橋二環系もしくは縮合二環系を形成しているか;または
二重結合によって結合されている隣接する環炭素原子に結合している2つのR6aが、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノおよびニトロから選択される3個以下の置換基で任意により置換されている−CH=CH−CH=CH−として一緒になっており;
6bは、水素、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルカルボニル、C〜CアルコキシカルボニルまたはC〜Cシクロアルキルであり;
【0009】
Zは、水素、シアノ、ハロゲンであるか;または、Qであるか;または、各々が、1個以下のQとC〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、ヒドロキシルおよびシアノから選択される2個以下の置換基とにより任意により置換されている、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルケニル、C〜Cハロアルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cハロシクロアルキル、C〜Cアルキルシクロアルキル、C〜Cシクロアルキルアルキル、C〜Cハロシクロアルキルアルキル、C〜Cアルキルシクロアルキルアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルコキシアルキル、C〜Cヒドロキシアルキル、C〜Cシクロアルコキシアルキル、C〜Cアルコキシアルコキシアルキル、C〜Cアルキルチオ、C〜Cチオアルキル、C〜Cアルキルチオアルキル、C〜Cアルキルスルフィニルアルキル、C〜Cアルキルスルホニルアルキル、C〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルキルアミノアルキル、C〜Cジアルキルアミノ、C〜Cアミノアルキル、C〜Cジアルキルアミノアルキル、C〜Cハロアルキルアミノアルキル、C〜Cシクロアルキルアミノアルキル、C〜Cアルキルカルボニル、C〜Cハロアルキルカルボニル、C〜Cシクロアルキルカルボニル、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cアルキルアミノカルボニル、C〜CジアルキルアミノカルボニルあるいはC〜Cシクロアルキルアミノカルボニルであり;
Qは、各々が、炭素原子環員上で、R9aから独立して選択される5個以下の置換基で任意により置換されている、フェニル、フェニルオキシ、フェニルチオ、フェニルアミノ、フェニルカルボニルあるいはナフタレニルであるか;または
2個以下のO、2個以下のSおよび4個以下のN原子から独立して選択される4個以下のヘテロ原子ならびに炭素原子から選択される環員を含有していると共に、炭素原子環員上でR9aおよび窒素原子環員上でR9bから独立して選択される5個以下の置換基で任意により置換されている5員〜6員芳香族複素環もしくは8員〜11員芳香族複素環式二環系であるか;または
3員〜7員非芳香族炭素環、5員〜7員非芳香族複素環または8員〜11員非芳香族二環系であって、各環もしくは環系は、2個以下のO、2個以下のS、4個以下のNおよび2個以下のSi原子から独立して選択される4個以下のヘテロ原子ならびに炭素原子から選択される環員を含有し、ここで、3個以下の炭素原子環員はC(=O)およびC(=S)から独立して選択され、硫黄原子環員はS(=O)(=NR17から独立して選択され、ならびに、ケイ素原子環員はSiR1011から独立して選択され、各環もしくは環系は、炭素原子環員上でR9aおよび窒素原子環員上でR9bから独立して選択される5個以下の置換基で任意により置換されており;
【0010】
は、水素、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシアルキル、C〜Cアルキルチオアルキル、C〜Cアルキルカルボニル、C〜Cハロアルキルカルボニル、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cアルキルアミノカルボニル、C〜Cジアルキルアミノカルボニル、C〜CアルキルスルホニルあるいはC〜Cハロアルキルスルホニルであるか;または
およびRは、これらが結合している結合原子と一緒になって、結合原子に追加して、1個以下のO、1個以下のSおよび1個以下のN原子から独立して選択される3個以下のヘテロ原子ならびに炭素原子から選択される環員を含有する5員〜7員部分飽和環を形成し、この環は、炭素原子環員上でハロゲン、シアノ、ニトロ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜CアルコキシおよびC〜Cハロアルコキシ、ならびに、窒素原子環員上でシアノ、C〜CアルキルおよびC〜Cアルコキシから独立して選択される3個以下の置換基で任意により置換されており;
各Rは、独立して、水素、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;
各R9aは、独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10シクロアルキルアルキル、C〜C10アルキルシクロアルキル、C〜C10アルキルシクロアルキルアルキル、C〜C14シクロアルキルシクロアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルケニル、C〜Cハロアルキニル、C〜Cハロシクロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、C〜Cアルキルスルフィニル、C〜Cアルキルスルホニル、C〜Cハロアルキルチオ、C〜Cハロアルキルスルフィニル、C〜Cハロアルキルスルホニル、C〜Cアルキルアミノ、C〜Cジアルキルアミノ、C〜Cシクロアルキルアミノ、C〜Cアルコキシアルキル、C〜Cヒドロキシアルキル、C〜Cアルキルカルボニル、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cアルキルカルボニルオキシ、C〜Cアルキルカルボニルチオ、C〜Cアルキルアミノカルボニル、C〜CジアルキルアミノカルボニルあるいはC〜Cトリアルキルシリルであるか;または
ハロゲン、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜CアルコキシおよびC〜Cハロアルコキシから独立して選択される3個以下の置換基で任意により置換されているフェニルもしくはナフタレニルであるか;または
2個以下のO、2個以下のSおよび4個以下のN原子から独立して選択される4個以下のヘテロ原子ならびに炭素原子から選択される環員を含有すると共に、炭素原子環員上でハロゲン、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜CアルコキシおよびC〜Cハロアルコキシ、ならびに、窒素原子環員上でシアノ、C〜CアルキルおよびC〜Cアルコキシから独立して選択される3個以下の置換基で任意により置換されている5員〜6員芳香族複素環であるか;または
2個以下のO、2個以下のSおよび4個以下のN原子から独立して選択される4個以下のヘテロ原子ならびに炭素原子から選択される環員を含有する3員〜7員非芳香族環であって、ここで、3個以下の炭素原子環員はC(=O)およびC(=S)から独立して選択され、環は、炭素原子環員上でハロゲン、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜CアルコキシおよびC〜Cハロアルコキシ、ならびに、窒素原子環員上でシアノ、C〜CアルキルおよびC〜Cアルコキシから独立して選択される3個以下の置換基で任意により置換されており;
【0011】
各R9bは、独立して、水素、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルカルボニル、C〜CアルコキシカルボニルまたはC〜Cシクロアルキルであり;
各R10およびR11は、独立して、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cハロシクロアルキル、C〜C10シクロアルキルアルキル、C〜Cアルキルシクロアルキル、C〜Cアルキルシクロアルキルアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜CアルコキシまたはC〜Cハロアルコキシであり;
12は水素であるか;または、Qであるか;または、各々が、1個以下のQとC〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、ヒドロキシルおよびシアノから選択される2個以下の置換基とによって任意により置換されている、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルケニル、C〜Cハロアルキニル、C〜Cアルコキシアルキル、C〜Cアルキルチオアルキル、C〜Cアルキルスルフィニルアルキル、C〜Cアルキルスルホニルアルキル、C〜Cアルキルカルボニル、C〜Cハロアルキルカルボニル、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cヒドロキシアルキルカルボニル、C〜Cカルボキシアルキル、C〜Cアルキルアミノカルボニル、C〜Cジアルキルアミノカルボニル、C〜CアミノカルボニルアルキルあるいはC〜Cシクロアルキルであり;
13は、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜CアルキニルまたはC〜Cハロアルキルであり;
14は、水素、シアノあるいはQであるか;または、各々が、1個以下のQとC〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、ヒドロキシルおよびシアノから選択される2個以下の置換基とによって任意により置換されている、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルケニル、C〜Cハロアルキニル、C〜Cアルコキシアルキル、C〜Cアルキルチオアルキル、C〜Cアルキルスルフィニルアルキル、C〜Cアルキルスルホニルアルキル、C〜Cアルキルカルボニル、C〜Cハロアルキルカルボニル、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cヒドロキシアルキルカルボニル、C〜Cカルボキシアルキル、C〜Cアルキルアミノカルボニル、C〜Cジアルキルアミノカルボニル、C〜CアミノカルボニルアルキルあるいはC〜Cシクロアルキルであり;
は、各々が、炭素原子環員上で、R9aから独立して選択される5個以下の置換基で任意により置換されているフェニル、ナフタレニルあるいはフェニルカルボニルであるか;または
2個以下のO、2個以下のSおよび4個以下のN原子から独立して選択される4個以下のヘテロ原子ならびに炭素原子から選択される環員を含有していると共に、炭素原子環員上でR9aおよび窒素原子環員上でR9bから独立して選択される5個以下の置換基で
任意により置換されている5員〜6員芳香族複素環もしくは8員〜11員芳香族複素環式二環系であるか;または
3員〜7員非芳香族炭素環、5員〜7員非芳香族複素環または8員〜11員非芳香族二環系であって、各環もしくは環系は、2個以下のO、2個以下のS、4個以下のNおよび2個以下のSi原子から独立して選択される4個以下のヘテロ原子ならびに炭素原子から選択される環員を含有し、ここで、3個以下の炭素原子環員はC(=O)およびC(=S)から独立して選択され、硫黄原子環員はS(=O)(=NR17から独立して選択され、ならびに、ケイ素原子環員はSiR1011から独立して選択され、各環もしくは環系は、炭素原子環員上でR9aおよび窒素原子環員上でR9bから独立して選択される5個以下の置換基で任意により置換されており;
【0012】
15は、水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、−CHO、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルケニル、C〜Cハロアルキニル、C〜Cアルコキシアルキル、C〜Cアルキルチオアルキル、C〜Cアルキルスルフィニルアルキル、C〜Cアルキルスルホニルアルキル、C〜Cアルコキシカルボニルアルキル、C〜Cアルキルカルボニル、C〜Cハロアルキルカルボニル、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cアルキルアミノカルボニル、C〜Cジアルキルアミノカルボニル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、C〜Cハロアルキルチオ、C〜Cアルキルスルフィニル、C〜Cハロアルキルスルフィニル、C〜CアルキルスルホニルまたはC〜Cハロアルキルスルホニルであるが;ただし、R15がヒドロキシである場合、R1aは炭素原子を介して式1中のAに結合しており;
16は、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルケニル、C〜Cハロアルキニル、C〜Cアルコキシアルキル、C〜Cアルキルチオアルキル、C〜Cアルキルスルフィニルアルキル、C〜Cアルキルスルホニルアルキル、C〜Cアルキルカルボニル、C〜Cハロアルキルカルボニル、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cアルコキシカルボニルアルキル、C〜Cアルキルアミノカルボニル、C〜Cジアルキルアミノカルボニル、C〜CアルキルスルホニルまたはC〜Cハロアルキルスルホニルであり;
各R17は、独立して、水素、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cハロシクロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、C〜Cアルキルアミノ、C〜Cジアルキルアミノ、C〜Cハロアルキルアミノまたはフェニルであり;
18およびR19は、独立して、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルケニル、C〜Cハロアルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cハロシクロアルキル、C〜Cアルキルシクロアルキル、C〜Cシクロアルキルアルキル、C〜Cハロシクロアルキルアルキル、C〜Cアルキルシクロアルキルアルキル、C〜Cアルコキシアルキル、C〜Cシクロアルコキシアルキル、C〜Cアルコキシアルコキシアルキル、C〜Cアルキルチオアルキル、C〜Cアルキルスルフィニルアルキル、C〜Cアルキルスルホニルアルキル、C〜Cアルキルアミノアルキル、C〜Cジアルキルアミノアルキル、C〜Cハロアルキルアミノアルキル、C〜Cシクロアルキルアミノアルキル、C〜Cアルキルカルボニル、C〜Cハロアルキルカルボニル、C〜Cシクロアルキルカルボニル、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cアルキルアミノカルボニル、C〜CジアルキルアミノカルボニルまたはC〜Cシクロアルキルアミノカルボニルであり;
【0013】
20は、水素、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルケニル、C〜Cハロアルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロアルキルアルキル、C〜Cアルコキシアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、C〜Cアルキルスルホニル、C〜Cハロアルキルスルホニル、C〜Cアルキルカルボニル、C〜Cハロアルキルカルボニル、C〜Cアルキルアミノ、C〜Cジアルキルアミノ、C〜CハロアルキルアミノあるいはC〜Cハロジアルキルアミノであり;
21は、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜CハロアルキルあるいはC〜Cシクロアルキルであるか;または
20およびR21は、−(CH−、−(CH−あるいは−(CHO(CH−として一緒にされ;
22は、水素、ハロゲン、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシアルキル、C〜Cアルキルカルボニル、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜CアルキルアミノカルボニルまたはC〜Cジアルキルアミノカルボニルであり;
各R29aは、独立して、水素、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;
各R30aは、独立して、水素またはC〜Cアルキルであり;
nは0、1または2であり;ならびに
sおよびfは、独立して、S(=O)(=NR17の各例において0、1または2であるが、ただし、sとfとの和は0、1または2である)
の化合物またはそのN−オキシドもしくは塩、これらを含有する農学的組成物、および、殺菌・殺カビ剤としてのこれらの使用に関するが、
ただし、
式1の化合物は、4−[4−[(ヒドロキシイミノ)メチル]−2−チアゾリル]−1−[[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]アセチル]ピペリジンまたは5−メチル−2−[1−[2−[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]アセチル]−4−ピペリジニル]−4−チアゾールカルボキシアルデヒド4−オキシム以外である。
【0014】
本発明はまた、(a)本発明の化合物(すなわち、殺菌・殺カビ的に有効な量で);ならびに、(b)界面活性剤、固体希釈剤および液体希釈剤からなる群から選択される少なくとも1種の追加の成分を含む殺菌・殺カビ組成物に関する。
【0015】
本発明はまた、(a)本発明の化合物;および、(b)少なくとも1種の他の殺菌・殺カビ剤(例えば、異なる作用部位を有する少なくとも1種の他の殺菌・殺カビ剤)を含む殺菌・殺カビ組成物に関する。
【0016】
本発明は、植物もしくはその一部分または植物種子に、殺菌・殺カビ的に有効な量の本発明の化合物(例えば、本明細書に記載の組成物として)を適用するステップを含む、真菌性植物病原体によって引き起こされる植物病害を防除する方法にさらに関する。
【0017】
本発明はまた、式1Aの化合物、または、そのN−オキシドもしくは塩
【化5】
(式中、
は、CHCHQ、CH=CHQ、C≡CQおよびCHCH(OH)Qであり;ならびに
E、X、GおよびQは、式1に関して上記に定義されているとおりである)
に関する。
【0018】
本発明は、さらに、式1の化合物を調製するための中間体としての式1Aの化合物の使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書において用いられるところ、用語「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「有する(has)」、「有している(having)」、「含有する(contains)」、「含有している(containing)」、「により特徴付けられる」、または、これらのいずれかの他の変形は、明示的に示されているいずれかの限定を条件として、非排他的な包含をカバーすることが意図されている。例えば、要素の一覧を含む組成物、混合物、プロセス、方法、品目、あるいは装置は、必ずしもこれらの要素にのみ限定されることはなく、明示的に列挙されていないか、または、このような組成物、混合物、プロセス、方法、品目、あるいは装置に固有である他の要素が包含されていてもよい。
【0020】
「からなる(consisting of)」という移行句は、特定されていない要素、ステップまたは成分のすべてを除外する。特許請求の範囲中にある場合、このような句は、特許請求の範囲を、通常これに関連する不純物類を除いて、言及されていない物質の包含を限定するであろう。「からなる(consisting of)」という句が、プリアンブルの直後ではなく特許請求の範囲の本文の一文節中にある場合、これは、その文節中に規定されている要素のみを限定し;他の要素は、特許請求の範囲からは、全体としては除外されない。
【0021】
「基本的に〜からなる(consisting essentially of)」という移行句は、文字通り開示されているものに追加して、材料、ステップ、機構、成分あるいは要素を包含する、組成物、方法もしくは装置を定義するために用いられているが、ただし、これらの追加の材料、ステップ、機構、成分あるいは要素は、特許請求された発明の基本的、かつ、新規な特徴に著しく影響しない。「基本的にからなる(consisting essentially of)」という用語は、「を含んでいる(comprising)」と、「からなる(consisting of)」との間の中間点を構成する。
【0022】
出願人らが、「を含んでいる(comprising)」などのオープンエンド形式の用語で発明またはその一部分を定義している場合、その記載は(他に明記されていない限りにおいて)、「基本的にからなる(consisting essentially of)」または「からなる(consisting of)」という用語を用いてこのような発明を記載しているとも解釈されるべきであると、直ちに理解されるべきである。
【0023】
さらに、相反する記載が明白にされない限り、「あるいは、または、もしくは」は包含的論理和を指し、そして排他的論理和を指さない。例えば、条件Aまたは条件Bは、以下のいずれか1つによって満たされる:Aが真であり(または存在する)、そしてBが偽である(または存在しない);Aが偽であり(または存在しない)、そしてBが真である(または存在する);ならびに、AおよびBの両方が真である(または存在する)。
【0024】
また、本発明の要素または成分に先行する不定冠詞「a」および「an」は、要素または成分の事例(すなわち、存在)の数に関して非制限的であることが意図される。従って、「a」または「an」は、1つまたは少なくとも1つ、を含むと読解されるべきであり、要素または成分の単数形の語形は、その数が明らかに単数を意味しない限りにおいては複数をも包含する。
【0025】
本開示および特許請求の範囲において言及されるとおり、「植物」とは、幼植物(例えば、苗木に成長する発芽種子)および成熟した生殖成長期(例えば、花および種子をもたらす植物)を含むすべてのライフステージにおける、植物界の構成員、特に種子植物(種子植物目(Spermatopsida))を含む。植物の一部分は、典型的には成長培地(例えば、土壌)の表面下で成長する、根、塊茎、鱗茎および球茎などの屈地性の構成員、ならびに、成長培地上で成長する、群葉(茎および葉を含む)、花、果実および種子などの構成員をも含む。
【0026】
本明細書において称されるところ、単独でまたは複合語で用いられる「苗木」という用語は、種子の胚芽から成長する若い植物を意味する。
【0027】
上記の言及において、単独で、または、「アルキルチオ」または「ハロアルキル」などの複合語で用いられる「アルキル」という用語は、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、または、異なるブチル、ペンチルあるいはヘキシル異性体などの直鎖もしくは分岐アルキルを含む。「アルケニル」は、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、ならびに、異なるブテニル、ペンテニルおよびヘキセニル異性体などの直鎖もしくは分岐アルケンを含む。「アルケニル」はまた、1,2−プロパジエニルおよび2,4−ヘキサジエニルなどのポリエンを含む。「アルキニル」は、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、ならびに、異なるブチニル、ペンチニルおよびヘキシニル異性体などの直鎖もしくは分岐アルキンを含む。「アルキニル」はまた、2,5−ヘキサジイニルなどの複数の三重結合から組成される部分を含む。「アルキレン」は、直鎖もしくは分岐アルカンジイルを示す。「アルキレン」の例としては、CH、CHCH、CH(CH)、CHCHCH、CHCH(CH)および異なるブチレン異性体が挙げられる。「アルケニレン」は、1つのオレフィン結合を含有する直鎖もしくは分岐アルケンジイルを示す。「アルケニレン」の例としては、CH=CH、CHCH=CH、CH=C(CH)および異なるブテニレン異性体が挙げられる。「アルキニレン」は、1つの三重結合を含有する直鎖もしくは分岐アルキンジイルを示す。「アルキニレン」の例としては、C≡C、CHC≡C、C≡CCHおよび異なるブチニレン異性体が挙げられる。
【0028】
「アルコキシ」としては、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、ならびに、異なるブトキシ、ペントキシおよびヘキシルオキシ異性体が挙げられる。「アルコキシアルキル」は、アルキルでのアルコキシ置換を示す。「アルコキシアルキル」の例としては、CHOCH、CHOCHCH、CHCHOCH、CHCHCHCHOCHおよびCHCHOCHCHが挙げられる。「アルコキシアルコキシ」は、アルコキシでのアルコキシ置換を示す。「アルケニルオキシ」は、直鎖もしくは分岐アルケニルオキシ部分を含む。「アルケニルオキシ」の例としては、HC=CHCHO、(CHC=CHCHO、(CH)CH=CHCHO、(CH)CH=C(CH)CHOおよびCH=CHCHCHOが挙げられる。「アルキニルオキシ」は、直鎖もしくは分岐アルキニルオキシ部分を含む。「アルキニルオキシ」の例としては、HC≡CCHO、CHC≡CCHOおよびCHC≡CCHCHOが挙げられる。「アルキルチオ」は、メチルチオ、エチルチオ、ならびに、異なるプロピルチオ、ブチルチオ、ペンチルチオおよびヘキシルチオ異性体などの分岐または直鎖アルキルチオ部分を含む。「アルキルスルフィニル」は、アルキルスルフィニル基の両方のエナンチオマーを含む。「アルキルスルフィニル」の例としては、CHS(O)−、CHCHS(O)−、CHCHCHS(O)−、(CHCHS(O)−、ならびに、異なるブチルスルフィニル、ペンチルスルフィニルおよびヘキシルスルフィニル異性体が挙げられる。「アルキルスルホニル」の例としては、CHS(O)−、CHCHS(O)−、CHCHCHS(O)−、(CHCHS(O)−、ならびに、異なるブチルスルホニル、ペンチルスルホニルおよびヘキシルスルホニル異性体が挙げられる。「アルキルチオアルキル」は、アルキルでのアルキルチオ置換を示す。「アルキルチオアルキル」の例としては、CHSCH、CHSCHCH、CHCHSCH、CHCHCHCHSCHおよびCHCHSCHCHが挙げられる。
【0029】
「トリアルキルシリル」は、トリメチルシリル、トリエチルシリルおよびt−ブチルジメチルシリルなどのケイ素原子に結合していると共にこれを介して結合している3分岐および/または直鎖アルキルラジカルを含む。
【0030】
「ヒドロキシアルキル」は、1個のヒドロキシ基で置換されたアルキル基を示す。「ヒドロキシアルキル」の例としては、HOCHCH、CHCH(OH)CHおよびHOCHCHCHCHが挙げられる。
【0031】
「アルキルアミノ」、「ジアルキルアミノ」等は、上記の例と同様に定義される。「ハロジアルキルアミノ」という用語は、少なくとも1つのアルキル部分において同一であっても異なっていてもよい1個以上のハロゲン原子で置換されているジアルキルアミノ基をしめす。「ハロジアルキルアミノ」の例としては、CF(CH)N−、(CFN−およびCHCl(CH)N−が挙げられる。「シクロアルキルアミノ」は、アミノ窒素原子がシクロアルキルラジカルおよび水素原子に結合していることを意味し、シクロプロピルアミノ、シクロブチルアミノ、シクロペンチルアミノおよびシクロヘキシルアミノなどの基が挙げられる。「ハロアルキルアミノアルキル」は、アミノ窒素もしくはいずれかのアルキル部分またはこれらの組み合わせにおいて、同一であっても異なっていてもよい1個以上のハロゲン原子で置換されているアルキルアミノアルキル基を示す。「ハロアルキルアミノアルキル」は、いずれかのアルキル部分、ならびに、窒素に結合しているハロゲン基を含む。「ハロアルキルアミノアルキル」の例としては、ClCHCHNHCH−およびCHNCH(CHCHCl)−が挙げられる。
【0032】
「シクロアルキル」としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが挙げられる。「アルキルシクロアルキル」という用語は、シクロアルキル部分でのアルキル置換を示し、例えば、エチルシクロプロピル、i−プロピルシクロブチル、3−メチルシクロペンチルおよび4−メチルシクロヘキシルが挙げられる。「シクロアルキルアルキル」という用語は、アルキル部分でのシクロアルキル置換を示す。「シクロアルキルアルキル」の例としては、シクロプロピルメチル、シクロペンチルエチル、および、直鎖もしくは分岐アルキル基に結合した他のシクロアルキル部分が挙げられる。「シクロアルコキシ」という用語は、シクロペンチルオキシおよびシクロヘキシルオキシなどの酸素原子を介して結合しているシクロアルキルを示す。「シクロアルキルアルコキシ」は、アルキル鎖に結合している酸素原子を介して結合しているシクロアルキルアルキルを示す。「シクロアルキルアルコキシ」の例としては、シクロプロピルメトキシ、シクロペンチルエトキシ、および、直鎖もしくは分岐アルコキシ基に結合している他のシクロアルキル部分が挙げられる。「シクロアルケニル」としては、シクロペンテニルおよびシクロヘキセニルなどの基、ならびに、1,3−および1,4−シクロヘキサジエニルなどの2つ以上の二重結合を有する基が挙げられる。
【0033】
「ハロゲン」という用語は、単独でもしくは「ハロアルキル」などの複合語で、または、「ハロゲンで置換されているアルキル」などの記載において用いられる場合、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を含む。さらに、「ハロアルキル」などの複合語において用いられる場合、または、「ハロゲンで置換されているアルキル」などの記載において用いられる場合、前記アルキルは、同一であっても異なっていてもよいハロゲン原子で部分的にまたは完全に置換されていてもよい。「ハロアルキル」または「ハロゲンで置換されているアルキル」の例としては、FC−、ClCH−、CFCH−およびCFCCl−が挙げられる。「ハロシクロアルキル」、「ハロアルコキシ」、「ハロアルキルチオ」、「ハロアルケニル」、「ハロアルキニル」等という用語は、用語「ハロアルキル」と同様に定義される。「ハロアルコキシ」の例としては、CFO−、CClCHO−、HCFCHCHO−およびCFCHO−が挙げられる。「ハロアルキルチオ」の例としては、CClS−、CFS−、CClCHS−およびClCHCHCHS−が挙げられる。「ハロアルキルスルフィニル」の例としては、CFS(O)−、CClS(O)−、CFCHS(O)−およびCFCFS(O)−が挙げられる。「ハロアルキルスルホニル」の例としては、CFS(O)−、CClS(O)−、CFCHS(O)−およびCFCFS(O)−が挙げられる。「ハロアルケニル」の例としては、(Cl)C=CHCH−およびCFCHCH=CHCH−が挙げられる。「ハロアルキニル」の例としては、HC≡CCHCl−、CFC≡C−、CClC≡C−およびFCHC≡CCH−が挙げられる。
【0034】
「アルキルカルボニル」の例としては、CHC(O)、CHCHCHC(O)および(CHCHC(O)が挙げられる。「アルコキシカルボニル」の例としては、CHOC(=O)、CHCHOC(=O)、CHCHCHOC(=O)、(CHCHOC(=O)および異なるブトキシ−またはペンタオキシカルボニル異性体が挙げられる。「アルキルアミノカルボニル」の例としては、CHNHC(=O)−、CHCHNHC(=O)−、CHCHCHNHC(=O)−、(CHCHNHC(=O)−および異なるブチルアミノ−またはペンチルアミノカルボニル異性体が挙げられる。「ジアルキルアミノカルボニル」の例としては、(CHNC(=O)−、(CHCHNC(=O)−、CHCH(CH)NC(=O)−、(CHCHN(CH)C(=O)−およびCHCHCH(CH)NC(=O)−が挙げられる。「アルキルカルボニルオキシ」という用語は、C(=O)O部分に結合している直鎖もしくは分岐アルキルを示す。「アルキルカルボニルオキシ」の例としては、CHCHC(=O)Oおよび(CHCHC(=O)Oが挙げられる。
【0035】
置換基中の炭素原子の総数は接頭辞「C〜C」によって示され、ここで、iおよびjは1〜10の数字である。例えば、C〜Cアルキルスルホニルはメチルスルホニル〜ブチルスルホニルを示し;CアルコキシアルキルはCHOCH−を示し;Cアルコキシアルキルは、例えば、CHCH(OCH)−、CHOCHCH−またはCHCHOCH−を示し;ならびに、Cアルコキシアルキルは、合計で4個の炭素原子を含有するアルコキシ基で置換されたアルキル基の種々の異性体を示し、その例としては、CHCHCHOCH−、および、CHCHOCHCH−が挙げられる。
【0036】
「非置換である」という用語は、環もしくは環系などの基との関連において、その基が、式1の残りに対する1つ以上の結合以外の如何なる置換基も有していないことを意味する。「任意により置換されている」という用語は、置換基の数がゼロであることが可能であることを意味する。他に示されていない限りにおいて、任意により置換されている基は、利用可能な炭素原子もしくは窒素原子のいずれかにおいて水素原子を非水素置換基で置き換えることにより受け入れ可能である限り多くの任意の置換基で置換されていてもよい。通例、任意の置換基の数(存在する場合)は、1〜4の範囲である。本明細書において用いられるところ、「任意により置換されている」という用語は、句「置換または非置換である」、または、用語「(非)置換である」と同義的に用いられる。基(例えば、X)が水素であることが可能である置換基(例えばR6b)を含有している場合であって、この置換基が水素である場合、これは前記基が非置換であることと等しいと認識される。
【0037】
任意の置換基の数は、表記上の限定により制限されていてもよい。例えば、「R9aから独立して選択される5個以下の置換基で任意により置換されている」という句は、利用可能な結合点の数により許容されれば、0、1、2、3、4または5個の置換基が存在していることが可能であることを意味している。置換基の数について特定されている範囲(例えば、pは明細表4において1〜5の整数である)が環上で置換基が利用可能な位置の数(例えば、明細表4中のQ−5における(R9aでは2つの位置が利用可能)を超えている場合、範囲の実際の上限は利用可能な位置の数であると認識される。
【0038】
前記置換基の数が1を超えていることが可能であることを示す下付文字を有する置換基で化合物が置換されている場合、前記置換基(これらが1を超えている場合)は、例えば、(R9a(pが0、1、2、3、4または5である)といった定義された置換基の群から独立して選択される。群が、例えばR6bといった水素であることが可能である置換基を含んでいる場合において、この置換基が水素とされる場合、これは、前記基は無置換であることと等しいと認識される。例えばnが0であってもよい(R6aといった、任意により、ある位置に様々な基が結合すると示されている場合、これら様々な基の定義において言及されていない場合であっても、水素がその位置にあってもよい。ある基における1つ以上の位置が「置換されていない」か、または、「無置換」であると言われる場合には、有効原子価を埋めるために水素原子が結合している。
【0039】
「任意により置換されている」という用語は、可能な置換基(例えば、R1a中の環の定義において)の数もしくはアイデンティティへの言及を伴わずに、無置換である基か、または、無置換の類似体が有する生物学的活性を消失させない非水素置換基を少なくとも1個有する基を指す。
【0040】
他に示されていない限りにおいて、式1の構成成分(例えば置換基Q)としての「環」または「環系」は、炭素環式もしくは複素環式である。「環系」という用語は、2つ以上の縮合環を示す。「二環系」および「縮合二環系」という用語は、他に示されていない限りにおいていずれかの環が、飽和、部分飽和または完全不飽和環であることが可能である2つの縮合環から構成される環系を示す。「縮合ヘテロ二環系」という用語は、少なくとも1個の環原子が炭素ではない縮合二環系を示す。「架橋二環系」は、1つ以上の原子のセグメントが環の隣接していない環員に結合されることにより形成される。「環員」という用語は、環もしくは環系の主鎖を形成する原子または他の部分(例えば、C(=O)、C(=S)、S(O)またはS(O))を指す。
【0041】
「環員」という用語は、環もしくは環系の主鎖を形成する原子(例えば、C、O、NまたはS)または他の部分(例えば、C(=O)、C(=S)、SiR1011またはS(=O)(=NR17)を指す。「芳香族」という用語は、環原子の各々が基本的に同一の面内にあり、環面に垂直なp−軌道を有しており、ヒュッケルの法則に従うよう(4n+2)π個の電子(nは正の整数である)が環に付随していることを示している。
【0042】
「炭素環」、「炭素環」または「炭素環系」という用語は、環主鎖を形成する原子が炭素のみから選択されている環もしくは環系を示す。他に示されていない限りにおいて、炭素環は、飽和、部分飽和または完全不飽和環であることが可能である。完全不飽和炭素環がヒュッケルの法則を満たす場合、前記環は「芳香族環」とも呼ばれる。「飽和炭素環式」は、単結合によって互いに結合された炭素原子から構成される主鎖を有する環を指し;他に規定されていない限りにおいて、残りの炭素原子価は水素原子によって占有されている。
【0043】
「複素環(heterocyclic ring)」、「複素環(heterocycle)」または「複素環系」という用語は、環主鎖を形成している原子の少なくとも1個が炭素ではなく、例えば窒素、酸素または硫黄である環もしくは環系を示す。典型的には、複素環は、4個以下の窒素、2個以下の酸素および2個以下の硫黄を含有する。他に示されていない限りにおいて、複素環は、飽和、部分飽和もしくは完全不飽和環であることが可能である。完全不飽和複素環がヒュッケルの法則を満たす場合、前記環は「芳香族複素環(heteroaromatic ring)」または「芳香族複素環(aromatic heterocyclic ring)」とも呼ばれる。他に示されていない限りにおいて、複素環および環系は、利用可能な炭素または窒素のいずれかを介して、前記炭素または窒素上の水素の置換により結合されていることが可能である。
【0044】
「芳香族」は、環原子の各々が基本的に同一の面内にあり、環面に垂直なp−軌道を有しており、および、ヒュッケルの法則に従うよう(4n+2)π個の電子(nは正の整数である)が環に付随していることを示している。「芳香族環系」という用語は、環系の少なくとも1つの環が芳香族である炭素環式もしくは複素環系を示している。「芳香族炭素環系」という用語は、環系の少なくとも1つの環が芳香族である炭素環系を示している。「芳香族複素環系」という用語は、環系の少なくとも1つの環が芳香族である複素環系を示している。「非芳香族環系」という用語は、完全飽和、ならびに、部分的に飽和もしくは完全不飽和であり得るが、ただし、環系中の環が芳香族ではない炭素環式もしくは複素環系を示している。「非芳香族炭素環系」という用語は、環系中の環は芳香族ではない。「非芳香族複素環系」という用語は、環系中の環が芳香族ではない複素環系を示している。
【0045】
本明細書において用いられるところ、「部分飽和環」または「部分飽和複素環」という用語は、例えば4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−1−イル環といった、不飽和の環原子および1つ以上の二重結合を含有しているが芳香族ではない環を指す。
【0046】
他に示されていない限りにおいて、複素環および環系は、いずれかの利用可能な炭素原子もしくは窒素原子を介して、前記炭素原子もしくは窒素原子上の水素を置き換えることにより式1の残りに結合している。
【0047】
窒素原子と、式1および本記載に示されている他の環においてAにより表されている原子との間の波状の結合は、単結合であること、および、隣接する二重結合(すなわち、窒素原子を置換基RおよびRに結合する結合)に関する幾何学的配置がシス−(E)、トランス−(Z)、または、これらの混合物のいずれかであることを示す。
【0048】
上記のとおり、RおよびRは、これらが結合している炭素原子と一緒になって3員〜7員環を形成していてもよい。この3員〜7員環は、置換基RおよびRが結合している炭素原子を環員として含む。他の2〜6個の環員は、2個以下のO、2個以下のS、2個以下のNおよび2個以下のSi原子から独立して選択される4個以下のヘテロ原子、ならびに、炭素原子から選択される。この定義において、ヘテロ原子は、ヘテロ原子環員の数はゼロであってもよいため任意である。ヘテロ原子環員が存在していない場合、環は炭素環式である。少なくとも1個のヘテロ原子環員が存在している場合、環は複素環式である。環は、任意により、炭素原子環員上では、ハロゲン、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜CアルコキシおよびC〜Cハロアルコキシから独立して選択され、ならびに、窒素原子環員上では、シアノ、C〜CアルキルおよびC〜Cアルコキシから独立して選択される4個以下の置換基で置換されている。式1に関連する化合物もまたN−オキシド誘導体を含んでいるため、窒素原子環員は、N−オキシドとして酸化されていてもよい。
【0049】
上記のとおり、RおよびRは、これらが結合している結合原子と一緒になって5員〜7員部分飽和環を形成していてもよい。結合原子は、Rが直接的に結合している炭素原子、Rが直接的に結合している窒素原子(Aが−N(R)−である場合にのみ存在している)、および、式1において「=N〜」として示されて介在している窒素原子(E−2を参照のこと)である。それ故、3個の結合原子は「−C=N〜N(R)−」である。結合原子は5員〜7員環の3個の環員を提供している。環の他の2〜4個の環員は、RおよびR置換基により提供されている。これらの他の環員は、1個以下のO、1個以下のSおよび1個以下のN原子から独立して選択される3個以下のヘテロ原子、ならびに、炭素原子から選択される。この定義において、1個以下のO、1個以下のSおよび1個以下のN原子から選択される環員は、ヘテロ原子環員の数はゼロであってもよいため任意である。環は、任意により、炭素原子環員上では、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜CアルコキシおよびC〜Cハロアルコキシから独立して選択され、ならびに、窒素原子環員上では、シアノ、C〜CアルキルおよびC〜Cアルコキシから独立して選択される3個以下の置換基で置換されている。これらの任意の置換基(存在する場合)は、RおよびRによる環の部分における利用可能な炭素原子環員および窒素原子環員に結合しており、ならびに、環に結合しているRおよび式1の残りへの追加である。式1に関連する化合物もまたN−オキシド誘導体を含んでいるため、窒素原子環員は、N−オキシドとして酸化されていてもよい。
【0050】
上記のとおり、Qは、とりわけ、3員〜7員非芳香族炭素環、5員〜7員非芳香族複素環または8員〜11員芳香族複素環式二環系であり、各環もしくは環系は、2個以下のO、2個以下のS、4個以下のNおよび2個以下のSi原子から独立して選択される4個以下のヘテロ原子ならびに炭素原子から選択される環員を含有しており、ここで、3個以下の炭素原子環員はC(=O)およびC(=S)から独立して選択され、硫黄原子環員はS(=O)(=NR17から独立して選択され、ならびに、ケイ素原子環員はSiR1011から独立して選択され、各環もしくは環系は、炭素原子環員上でR9aおよび窒素原子環員上でR9bから独立して選択される5個以下の置換基で任意により置換されている。この定義において、ヘテロ原子環員の数はゼロであり得るため、2個以下のO、2個以下のS、4個以下のNおよび2個以下のSi原子から選択される環員は任意である。ヘテロ原子環員が存在していない場合、環もしくは環系は炭素環式である。少なくとも1個のヘテロ原子環員が存在している場合、環もしくは環系は複素環式である。S(=O)(=NR17の定義においては、2個以下の硫黄環員が許容され、これらは、酸化された硫黄部分(例えば、S(=O)またはS(=O))または未酸化の硫黄原子(すなわち、sおよびfの両方がゼロである場合)であることが可能である。式1に関連する化合物はN−オキシド誘導体をも含んでいるため、窒素原子環員はN−オキシドとして酸化されていてもよい。C(=O)およびC(=S)から選択される3個以下の炭素原子環員は、2個以下のO、2個以下のS、4個以下のNおよび2個以下のSi原子から選択される4個以下のヘテロ原子に対して追加的である。
【0051】
上記のとおり、R9aは、とりわけ、2個以下のO、2個以下のSおよび4個以下のNから独立して選択される4個以下のヘテロ原子ならびに炭素原子から選択される環員を含有する3員〜7員非芳香族環であり、ここで、3個以下の炭素原子環員は、C(=O)およびC(=S)から独立して選択され、環は、炭素原子環員上でハロゲン、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜CアルコキシおよびC〜Cハロアルコキシ、ならびに、窒素原子環員上でシアノ、C〜CアルキルおよびC〜Cアルコキシから独立して選択される3個以下の置換基で任意により置換されている。この定義において、ヘテロ原子環員の数はゼロであり得るため、2個以下のO、2個以下のSおよび4個以下のN原子から選択される環員は任意である。式1に関連する化合物はN−
オキシド誘導体をも含んでいるため、窒素原子環員はN−オキシドとして酸化されていてもよい。C(=O)およびC(=S)から選択される2個以下の炭素原子環員は、2個以下のO、2個以下のSおよび4個以下のNから選択される4個以下のヘテロ原子に対して追加的である。任意の置換基(存在する場合)は利用可能な炭素おび窒素原子環員に結合している。
【0052】
本発明の化合物は、1つ以上の立体異性体として存在していることが可能である。種々の立体異性体は、エナンチオマー、ジアステレオマー、アストロプ異性体および幾何異性体を含む。当業者は、1種の立体異性体が、他の立体異性体と相対的に富化された場合、または、他の立体異性体から分離された場合に、より効果的であり得るか、および/または、有益な効果を示し得ることを認めるであろう。さらに、当業者は、前記立体異性体をどのように分離し、富化させ、および/または、選択的に調製するかを知っている。本発明の化合物は、立体異性体の混合物、個別の立体異性体または光学的に活性な携帯として存在していてもよい。式1の化合物は、キラル中心を含む置換基および他の分子成分(例えばX、QまたはZ)のために1つ以上のキラル中心を含んでいることが可能である。本発明は、ラセミ混合物、ならびに、すべての可能なキラル中心で富化された、および、実質的に純粋な立体構造を含む。
【0053】
本発明の化合物は、式1中のアミド結合(例えば、C(=W)−N)に係る回転の制限に起因する1種以上の配座異性体として存在していることが可能である。本発明は、配座異性体の混合物を含む。加えて、本発明は、他のものと比して1種の配座異性体が富化されている化合物を含む。
【0054】
当業者は、式1の化合物は、1種以上の対応する互変異性の相手と平衡状態で存在していることが可能であることを認識している。他に示されていない限りにおいて、1種の互変異性体の記載による化合物への言及は、すべての互変異性体を含んでいるとみなされるべきである。例えば、式1において、EがE−2であると共にRがヒドロキシである場合、式1によって示される互変異性形態への言及は、式1によって示される互変異性形態をも含んでいる。
【化6】
【0055】
当業者はまた、式1の化合物は、オキシム、ヒドラゾンまたはシアノイミンと定義されるWで、シン異性体およびアンチ異性体の2種の幾何立体異性体として存在することが可能であることを認識するであろう。明記されていない限りにおいて、1種の幾何立体異性体による化合物に対する参照は、シンもしくはアンチまたは両方の混合物のいずれかを含むとみなされるべきである。例えば、式1において、WがNOR12である場合、幾何立体異性体は、式1〜式1により表されることが可能である。
【化7】
【0056】
当業者はまた、いくつかの式1の化合物は、Zがアルケン官能基を含有すると定義される場合、Zで、シス異性体およびトランス異性体の2種の立体配置異性体として存在することが可能であることを認識するであろう。明記されていない限りにおいて、1種の立体配置異性体による化合物に対する参照は、シスもしくはトランスまたは両方の混合物のいずれかを含むとみなされるべきである。例えば、式1において、ZがCH=CHである場合、立体配置異性体は、式1〜式1により表されることが可能である。
【化8】
【0057】
本発明は、式1および1Aのすべての幾何異性体、立体異性体、立体配置異性体および互変異性体を含むとみなされる。
【0058】
さらに、明細表1、2、3、4、5、6および7に示されている不飽和環および環系のいくつかは、示されているものとは異なる単結合および二重結合配列を環員間に有していることが可能である。環原子の特定の配列に関するこのように異なる結合の配列は、異なる互変異性体に対応する。これらの不飽和環および環系について、示されている特定の互変異性体は、示されている環原子の配列について可能であるすべての互変異性体の代表であるとみなされるべきである。
【0059】
当業者は、窒素は酸化物への酸化に利用可能な孤立電子対を必要とするため、すべての窒素含有複素環がN−オキシドを形成することが可能であるわけではないことを認め;当業者は、N−オキシドを形成することが可能である窒素含有複素環を認識するであろう。当業者はまた、第三級アミンがN−オキシドを形成することが可能であることを認識するであろう。複素環および第三級アミンのN−オキシドの調製のための合成方法は当業者によりきわめて周知であり、過酢酸およびm−クロロ過安息香酸(MCPBA)などのペルオキシ酸、過酸化水素、t−ブチルヒドロ過酸化物などのアルキルヒドロ過酸化物、過ホウ酸ナトリウム、ならびに、ジメチルジオキシランなどのジオキシランでの複素環および第三級アミンの酸化が挙げられる。N−オキシドを調製するためのこれらの方法は広範に記載されてきていると共に文献において概説されており、例えば:T.L.Gilchrist,Comprehensive Organic Synthesis,vol.7,pp 748−750,S.V.Ley,Ed.,Pergamon Press;M.Tisler and B.Stanovnik,Comprehensive Heterocyclic Chemistry,vol.3,pp 18−20,A.J.Boulton and A.McKillop,Eds.,Pergamon Press;M.R.Grimmett and B.R.T.Keene,Advances in Heterocyclic Chemistry,vol.43,pp 149−161,A.R.Katritzky,Ed.,Academic Press;M.Tisler and B.Stanovnik,Advances in Heterocyclic Chemistry,vol.9,pp 285−291,A.R.Katritzky and A.J.Boulton,Eds.,Academic Press;および、G.W.H.Cheeseman and E.S.G.Werstiuk,Advances in Heterocyclic Chemistry,vol.22,pp 390−392,A.R.Katritzky and A.J.Boulton,Eds.,Academic Pressを参照のこと。
【0060】
当業者は、環境中および生理学的条件下において、化学化合物の塩はそれらの対応する非塩形態と平衡にあるため、塩は、非塩形態の生物学的実用性を共有することを認識する。それ故、式1の化合物の広く多様な塩が、真菌性植物病原体によって引き起こされる植物病害の防除に有用である(すなわち、農学的に好適である)。式1の化合物の塩としては、臭化水素酸、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、酢酸、酪酸、フマル酸、乳酸、マレイン酸、マロン酸、シュウ酸、プロピオン酸、サリチル酸、酒石酸、4−トルエンスルホン酸または吉草酸などの無機酸もしくは有機酸との酸付加塩が挙げられる。式1の化合物がカルボン酸またはフェノールなどの酸性部分を含有している場合、塩としてはまた、ピリジン、トリエチルアミンあるいはアンモニア、または、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウムあるいはバリウムのアミド、水素化物、水酸化物あるいは炭酸塩などの有機塩基もしくは無機塩基と共に形成されるものが挙げられる。従って、本発明は、式1、そのN−オキシドおよび農学的に好適な塩から選択される化合物を含む。
【0061】
式1、これらの立体異性体、互変異性体、N−オキシドおよび塩から選択される化合物は、典型的には2つ以上の形態で存在し、それ故、式1は、式1が表す化合物のすべての結晶性および非結晶形態を含む。非結晶形態は、ワックスおよびガムなどの固形分である実施形態、ならびに、溶液および溶融物などの液体である実施形態を含む。結晶形態は、実質的に単結晶タイプを表す実施形態、および、異形体(すなわち、異なる結晶性タイプ)の混合物を表す実施形態を含む。「異形体」という用語は、異なる結晶形態で結晶化することが可能である化学化合物の特定の結晶形態を指し、これらの形態では、結晶格子における分子の配置および/または配座が異なっている。異形体は同一の化学的組成を有していることが可能であるが、これらはまた、格子中に弱くまたは強固に結合していることが可能である共結晶化水または他の分子の存在または不在により組成が異なっていることが可能である。異形体は、結晶形状、密度、硬度、色、化学的安定性、融点、吸湿性、懸垂性、溶解速度および生物学的利用可能性などの、化学的特性、物理的特性および生物学的特性において異なっていることが可能である。当業者は、式1によって表される化合物の異形体は、式1によって表される同一の化合物の他の異形体または異形体の混合物と比して、有益な効果(例えば、有用な配合物の調製に対する適合性、向上した生物学的性能)を示す可能性があることを認めるであろう。式1によって表される化合物の特定の異形体の調製および単離は、例えば、選択された溶剤および温度を用いる結晶化を含む当業者に公知の方法により達成されることが可能である。
【0062】
発明の概要に記載されている本発明の実施形態は以下に記載のものを含む。以下の実施形態において、式1は、幾何異性体および立体異性体、これらの互変異性体、N−オキシド、および塩を含み、「式1などの化合物」への言及は、実施形態においてさらに定義されていない限りにおいて、発明の概要において特定されている置換基の定義を含む。
【0063】
実施形態1.式1の化合物であって、式中、EはE−3である。
【0064】
実施形態2.式1の化合物であって、式中、EはE−1またはE−2である。
【0065】
実施形態3.式1または実施形態2の化合物であって、式中、EはE−1である。
【0066】
実施形態4.式1または実施形態2の化合物であって、式中、EはE−2である。
【0067】
実施形態5.式1または実施形態2もしくは3の化合物であって、式中、AはCHR15またはNR16である。
【0068】
実施形態6.実施形態5の化合物であって、式中、AはNR16である。
【0069】
実施形態7.実施形態5の化合物であって、式中、AはCHR15である。
【0070】
実施形態8.式1または実施形態2もしくは4の化合物であって、式中、Aは、−O−、−S−、−N(R)−、−C(R−または−OC(Rである。
【0071】
実施形態9.実施形態8の化合物であって、式中、Aは、−O−、−S−または−N(R)−である。
【0072】
実施形態10.実施形態9の化合物であって、式中、Aは、−O−または−N(R)−である。
【0073】
実施形態11.式1または実施形態2〜10のいずれかの化合物であって、式中、Wは、Oである。
【0074】
実施形態12.式1または実施形態1の化合物であって、式中、Wは、OR18、SR19またはNR2021である。
【0075】
実施形態13.実施形態12の化合物であって、式中、Wは、OR18である。
【0076】
実施形態14.実施形態12の化合物であって、式中、Wは、SR19である。
【0077】
実施形態15.実施形態12の化合物であって、式中、Wは、NR2021である。
【0078】
実施形態16.式1または実施形態1〜15のいずれか一つの化合物であって、式中、R1aおよびR1cは、独立して、任意により置換されているフェニル、任意により置換されているナフタレニルあるいは任意により置換されている5員〜6員芳香族複素環であるか;または、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルケニル、C〜Cハロアルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルコキシアルキル、C〜Cハロアルコキシアルキル、C〜Cアルキルチオアルキル、C〜Cハロアルキルチオアルキル、C〜Cアルキルスルフィニルアルキル、C〜Cアルキルスルホニルアルキル、C〜Cアルコキシカルボニルアルキル、C〜Cハロアルコキシカルボニルアルキル、C〜Cアルキルアミノアルキル、C〜C10ジアルキルアミノアルキル、C〜Cハロアルキルアミノアルキル、C〜C10シクロアルキルアミノアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、C〜Cシクロアルコキシ、C〜Cハロシクロアルコキシ、C〜C10シクロアルキルアルコキシ、C〜Cアルケニルオキシ、C〜Cハロアルケニルオキシ、C〜Cアルキニルオキシ、C〜Cハロアルキニルオキシ、C〜Cアルコキシアルコキシ、C〜Cアルキルカルボニルオキシ、C〜Cハロアルキルカルボニルオキシ、C〜Cアルキルチオ、C〜Cハロアルキルチオ、C〜Cシクロアルキルチオ、C〜C10トリアルキルシリル、C〜Cアルキルアミノ、C〜Cジアルキルアミノ、C〜Cアルキルカルボニルアミノ、ピロリジニル、ピペリジニルまたはモルホリニルである。
【0079】
実施形態17.実施形態16の化合物であって、式中、独立して、R1aおよびR1bが任意により置換されているフェニル、任意により置換されているナフタレニル、または、任意により置換されている5員もしくは6員芳香族複素環以外である場合、R1aおよびR1bは、独立して、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルケニル、C〜Cハロアルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルコキシアルキル、C〜Cアルキルチオアルキル、C〜Cアルキルスルフィニルアルキル、C〜Cアルキルスルホニルアルキル、C〜Cアルキルアミノアルキル、C〜C10ジアルキルアミノアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、C〜C10トリアルキルシリル、C〜Cアルキルアミノ、C〜Cジアルキルアミノ、C〜Cアルキルカルボニルアミノ、ピロリジニル、ピペリジニルまたはモルホリニルである。
【0080】
実施形態18.実施形態17の化合物であって、式中、独立して、R1aおよびR1bが任意により置換されているフェニル、任意により置換されているナフタレニルまたは任意により置換されている5員または6員芳香族複素環以外である場合、R1aおよびR1bは、独立して、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルケニル、C〜Cハロアルキルチオアルキル、C〜Cアルコキシアルキル、C〜Cハロアルコキシアルキル、C〜Cアルキルチオアルキル、C〜Cアルキルアミノアルキル、C〜Cアルキルカルボニルオキシ、C〜Cハロアルキルカルボニルオキシ、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、C〜CアルキルアミノまたはC〜Cアルキルカルボニルアミノである。
【0081】
実施形態19.実施形態18の化合物であって、式中、独立して、R1aおよびR1bが、任意により置換されているフェニル、任意により置換されているナフタレニル、または、任意により置換されている5員もしくは6員芳香族複素環以外である場合、R1aおよびR1bは、独立して、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルケニル、C〜Cハロアルキルチオアルキル、C〜Cアルコキシアルキル、C〜Cハロアルコキシアルキル、C〜Cアルキルチオアルキル、C〜Cアルキルアミノアルキル、C〜Cアルキルカルボニルオキシ、C〜Cハロアルキルカルボニルオキシ、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、C〜CアルキルアミノまたはC〜Cアルキルカルボニルアミノである。
【0082】
実施形態20.実施形態19の化合物であって、式中、独立して、R1aおよびR1bが、任意により置換されているフェニル、任意により置換されているナフタレニル、または、任意により置換されている5員もしくは6員芳香族複素環以外である場合、R1aおよびR1bは、独立して、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルケニル、C〜Cハロアルキルチオアルキル、C〜Cハロアルコキシアルキル、C〜CハロアルキルカルボニルオキシまたはC〜Cハロアルコキシである。
【0083】
実施形態21.実施形態20の化合物であって、式中、独立して、R1aおよびR1bが、任意により置換されているフェニル、任意により置換されているナフタレニル、または、任意により置換されている5員もしくは6員芳香族複素環以外である場合、R1aおよびR1bは、独立して、Cハロアルキル、Cハロアルケニル、CハロアルコキシアルキルまたはCハロアルコキシである。
【0084】
実施形態22.式1または実施形態1〜21のいずれか1つの化合物であって、式中、独立して、R1aおよびR1bが、任意により置換されているフェニル、任意により置換されているナフタレニルまたは任意により置換されている5員または6員芳香族複素環である場合、任意により置換されているフェニル、任意により置換されているナフタレニルまたは任意により置換されている5員または6員芳香族複素環は、3個以下の独立して選択される置換基で任意により置換されている。
【0085】
実施形態23.実施形態22の化合物であって、式中、独立して、R1aおよびR1bが、任意により置換されているフェニル、任意により置換されているナフタレニルまたは任意により置換されている5員または6員芳香族複素環である場合、任意により置換されているフェニル、任意により置換されているナフタレニルまたは任意により置換されている5員または6員芳香族複素環は、2個以下の独立して選択される置換基で任意により置換されている。
【0086】
実施形態24.式1の化合物であって、式中、独立して、R1aおよびR1bが、任意により置換されているフェニル、任意により置換されているナフタレニル、または、任意により置換されている5員もしくは6員芳香族複素環である場合、フェニル、ナフタレニルまたは5員もしくは6員芳香族複素環上の任意の置換基は、独立して、炭素環員上ではR33aおよび窒素環員上ではR33bから選択され;
各R33aは、独立して、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10シクロアルキルアルキル、C〜C10アルキルシクロアルキル、C〜C10アルキルシクロアルキルアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルケニル、C〜Cハロアルキニル、C〜Cハロシクロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、C〜Cアルキルスルフィニル、C〜Cアルキルスルホニル、C〜Cハロアルキルチオ、C〜Cハロアルキルスルフィニル、C〜Cハロアルキルスルホニル、C〜Cアルキルアミノ、C〜Cジアルキルアミノ、C〜Cシクロアルキルアミノ、C〜Cアルコキシアルキル、C〜Cヒドロキシアルキル、C〜Cアルキルカルボニル、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cアルキルカルボニルオキシ、C〜Cアルキルカルボニルチオ、C〜Cアルキルアミノカルボニル、C〜CジアルキルアミノカルボニルまたはC〜Cトリアルキルシリルであり;および
各R33bは、独立して、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルケニル、C〜Cハロアルキニル、C〜CハロシクロアルキルまたはC〜Cアルコキシアルキルである。
【0087】
実施形態25.実施形態24の化合物であって、式中、独立して、R1aおよびR1bは、明細表1に示されているU−1〜U−50から選択され;
【0088】
【化9】
【0089】
【化10】
【0090】
式中、R33が炭素環員に結合している場合、前記R33はR33aから選択され、および、R33が窒素環員に結合している場合(例えば、U−4、U−11〜U−15、U−24〜U−26、U−31またはU−35)、前記R33はR33bから選択され;ならびに、kは0、1、2または3である。
【0091】
実施形態26.実施形態25の化合物であって、式中、独立して、R1aおよびR1bは、U−1〜U−5、U−8、U−11、U−13、U−15、U−20〜U−28、U−31、U−36〜U−39およびU−50から選択される。
【0092】
実施形態27.実施形態25または26の化合物であって、式中、独立して、R1aおよびR1bは、U−1〜U−3、U−5、U−8、U−11、U−13、U−20、U−22、U−23、U−25〜U−28、U−36〜U−39およびU−50から選択される。
【0093】
実施形態28.実施形態25〜27のいずれか1つの化合物であって、式中、独立して、R1aおよびR1bは、U−1〜U−3、U−11、U−13、U−20、U−22、U−23、U−36〜U−39およびU−50から選択される。
【0094】
実施形態29.実施形態25〜28のいずれか1つの化合物であって、式中、独立して、R1aおよびR1bは、U−1、U−20およびU−50である。
【0095】
実施形態30.実施形態25〜29のいずれか1つの化合物であって、式中、独立して、R1aおよびR1bは、U−1およびU−50。
【0096】
実施形態31.実施形態25〜30のいずれか1つの化合物であって、式中、独立して、R1aおよびR1bはU−1である。
【0097】
実施形態32.実施形態25〜29のいずれか1つの化合物であって、式中、独立して、R1aおよびR1bはU−20である。
【0098】
実施形態33.実施形態25〜30のいずれか1つの化合物であって、式中、独立して、R1aおよびR1bはU−50である。
【0099】
実施形態34.実施形態24〜33のいずれか1つの化合物であって、式中、各R33aは、独立して、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜CハロアルキルまたはC〜Cアルコキシアルキルである。
【0100】
実施形態35.実施形態34の化合物であって、式中、各R33aは、独立して、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜CハロアルキルまたはC〜Cアルコキシアルキルである。
【0101】
実施形態36.実施形態24〜35のいずれか1つの化合物であって、式中、各R33bは、独立して、C〜Cアルキルである。
【0102】
実施形態37.式1、または実施形態2、4、または8〜36のいずれか一つの化合物であって、式中、Rは、単独で(すなわち、Rとは一緒にならずに)、H、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルケニル、C〜Cハロアルキニル、C〜Cアルコキシアルキル、C〜Cアルキルチオアルキル、C〜Cアルキルカルボニル、C〜Cハロアルキルカルボニル、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、C〜Cアルケニルオキシ、C〜Cハロアルケニルオキシ、C〜Cアルキニルオキシ、C〜Cハロアルキニルオキシ、C〜Cアルコキシアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、C〜Cハロアルキルチオ、C〜Cアルキルアミノ、C〜Cジアルキルアミノ、C〜CハロアルキルアミノまたはC〜Cハロジアルキルアミノである。
【0103】
実施形態38.実施形態37の化合物であって、式中、Rは、単独で、H、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルケニル、C〜Cハロアルキニル、C〜CアルコキシまたはC〜Cハロアルコキシである。
【0104】
実施形態39.実施形態38の化合物であって、式中、Rは、単独で、H、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルである。
【0105】
実施形態40.実施形態39の化合物であって、式中、Rは、単独で、H、C〜CアルキルまたはC〜Cフルオロアルキルである。
【0106】
実施形態41.実施形態40の化合物であって、式中、Rは、メチル、トリフルオロメチルまたはCFCHである。
【0107】
実施形態42.式1または実施形態2、4または8〜41のいずれか1つの化合物であって、式中、Rは単独とされる。
【0108】
実施形態43.式1または実施形態2、4または8〜42のいずれか1つの化合物であって、式中、Rは、単独である場合(すなわち、RまたはRと一緒にされていない)、H、C〜Cアルキル、C〜CアルコキシまたはC〜Cハロアルキルである。
【0109】
実施形態44.実施形態43の化合物であって、式中、Rは、単独である場合、H、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルである。
【0110】
実施形態45.実施形態44の化合物であって、式中、Rは、単独である場合、H、C〜CアルキルまたはC〜Cフルオロアルキルである。
【0111】
実施形態46.実施形態45の化合物であって、式中、Rは、H、メチルまたはトリフルオロメチルである。
【0112】
実施形態47.式1または実施形態2、4または8〜46のいずれか1つの化合物であって、式中、Rは単独とされる。
【0113】
実施形態48.式1、または実施形態2、4、または8〜36のいずれか一つの化合物であって、式中、RおよびRがこれらが結合している炭素原子と一緒になって環を形成している場合、環は3員〜6員であり、2個以下のO、2個以下のSおよび2個以下のNから独立して選択される2個以下のヘテロ原子ならびに炭素原子から選択される環員を含有しており、ここで、1個以下の炭素原子環員はC(=O)またはC(=S)であり、ならびに、環は、任意により、炭素原子環員上では、ハロゲン、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜CアルコキシおよびC〜Cハロアルコキシから独立して選択され、ならびに、窒素原子環員上では、シアノ、C〜CアルキルおよびC〜Cアルコキシから独立して選択される3個以下の置換基で置換されている。
【0114】
実施形態49.式1、または実施形態2、4、または8〜48のいずれか一つの化合物であって、式中、Rは、任意により置換されているフェニル、任意により置換されているナフタレニルまたは任意により置換されている5員もしくは6員芳香族複素環であるか;または、水素、シアノ、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルケニル、C〜Cハロアルキニル、C〜Cアルキルカルボニル、C〜Cハロアルキルカルボニル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、C〜Cハロアルキルチオ、C〜CアルキルカルボニルオキシあるいはC〜Cハロアルキルカルボニルオキシである。
【0115】
実施形態50.実施形態49の化合物であって、式中、Rが、任意により置換されているフェニル、任意により置換されているナフタレニルまたは任意により置換されている5員もしくは6員芳香族複素環以外である場合、Rは、水素、シアノ、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルケニル、C〜Cハロアルキニル、C〜Cアルキルカルボニル、C〜Cハロアルキルカルボニル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、C〜Cハロアルキルチオ、C〜CアルキルカルボニルオキシまたはC〜Cハロアルキルカルボニルオキシである。
【0116】
実施形態51.実施形態50の化合物であって、式中、Rが、任意により置換されているフェニル、任意により置換されているナフタレニルまたは任意により置換されている5員もしくは6員芳香族複素環以外である場合、Rは、水素、シアノ、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、C〜Cハロアルキルチオ、C〜CアルキルカルボニルオキシまたはC〜Cハロアルキルカルボニルオキシである。
【0117】
実施形態52.実施形態51の化合物であって、式中、Rは、水素、シアノ、メチル、メトキシまたはCHC(=O)O−である。
【0118】
実施形態53.実施形態52の化合物であって、式中、Rは水素またはメチルである。
【0119】
実施形態54.実施形態53の化合物であって、式中、Rは水素である。
【0120】
実施形態55.式1、または実施形態2、4、または8〜51のいずれか一つの化合物であって、式中、Rが、任意により置換されているフェニル、任意により置換されているナフタレニルまたは任意により置換されている5員もしくは6員芳香族複素環である場合、任意により置換されているフェニル、任意により置換されているナフタレニルまたは任意により置換されている5員もしくは6員芳香族複素環は、3個以下の任意の置換基で置換されている。
【0121】
実施形態56.実施形態55の化合物であって、式中、Rが、任意により置換されているフェニル、任意により置換されているナフタレニルまたは任意により置換されている5員もしくは6員芳香族複素環である場合、任意により置換されているフェニル、任意により置換されているナフタレニルまたは任意により置換されている5員もしくは6員芳香族複素環は、2個以下の任意の置換基で置換されている。
【0122】
実施形態57.式1、または実施形態2、4、または8〜51のいずれか一つの化合物であって、Rが、任意により置換されているフェニル、任意により置換されているナフタレニルまたは任意により置換されている5員もしくは6員芳香族複素環である場合、フェニル、ナフタレニルまたは5員もしくは6員芳香族複素環上の任意の置換基は、独立して、炭素環員上ではR32aから、および、窒素環員上ではR32bから選択され;
各R32aは、独立して、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10シクロアルキルアルキル、C〜C10アルキルシクロアルキル、C〜C10アルキルシクロアルキルアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルケニル、C〜Cハロアルキニル、C〜Cハロシクロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、C〜Cアルキルスルフィニル、C〜Cアルキルスルホニル、C〜Cハロアルキルチオ、C〜Cハロアルキルスルフィニル、C〜Cハロアルキルスルホニル、C〜Cアルキルアミノ、C〜Cジアルキルアミノ、C〜Cシクロアルキルアミノ、C〜Cアルコキシアルキル、C〜Cヒドロキシアルキル、C〜Cアルキルカルボニル、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cアルキルカルボニルオキシ、C〜Cアルキルカルボニルチオ、C〜Cアルキルアミノカルボニル、C〜CジアルキルアミノカルボニルまたはC〜Cトリアルキルシリルであり;および
各R32bは、独立して、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルケニル、C〜Cハロアルキニル、C〜CハロシクロアルキルまたはC〜Cアル
コキシアルキルである。
【0123】
実施形態58.実施形態57の化合物であって、式中、各R32aは、独立して、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜CハロアルキルまたはC〜Cアルコキシである。
【0124】
実施形態59.実施形態58の化合物であって、式中、各R32aは、独立して、Cl、Br、I、C〜Cアルキル、トリフルオロメチルまたはメトキシである。
【0125】
実施形態60.実施形態59の化合物であって、式中、各R32aは、独立して、Cl、Br、C〜Cアルキルまたはトリフルオロメチルである。
【0126】
実施形態61.式1または実施形態2、4または8〜49のいずれか1つの化合物であって、式中、R4は、任意により置換されているナフタレニル以外である。
【0127】
実施形態62.実施形態57〜61のいずれか1つの化合物であって、式中、Rが任意により置換されている5員〜6員芳香族複素環である場合、Rは、以下の明細表2に示されているV−1〜V−10からなる群から選択され、および、Rが任意により置換されているフェニルである場合、Rは、以下の明細表2に示されているV−11から選択され
【化11】
式中、mは、0、1、2または3である。
【0128】
実施形態63.実施形態62の化合物であって、式中、Rは、V−1〜V−11からなる群から選択される。
【0129】
実施形態64.実施形態63の化合物であって、式中、Rは、V−1、V−4およびV−11から選択される。
【0130】
実施形態65.実施形態64の化合物であって、式中、RはV−1である。
【0131】
実施形態66.式1または実施形態2、4または8〜65のいずれか1つの化合物であって、式中、Rは、水素またはC〜Cアルキルである。
【0132】
実施形態67.実施形態66の化合物であって、式中、Rは水素である。
【0133】
実施形態68.式1または実施形態1〜67のいずれか1つの化合物であって、式中、Xは、X−1、X−2、X−3、X−4またはX−5である。
【0134】
実施形態69.実施形態68の化合物であって、式中、Xは、X−1、X−2またはX−3である。
【0135】
実施形態70.実施形態68の化合物であって、式中、Xは、X−4またはX−5である。
【0136】
実施形態71.実施形態69の化合物であって、式中、Xは、X−1またはX−2である。
【0137】
実施形態72.実施形態71の化合物であって、式中、Xは、X−2である。
【0138】
実施形態73.実施形態71の化合物であって、式中、Xは、X−1である。
【0139】
実施形態74.式1または実施形態68〜73のいずれか1つの化合物であって、式中、各R6aは、独立して、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、ハロゲン、シアノまたはヒドロキシである。
【0140】
実施形態75.実施形態74の化合物であって、式中、各R6aは、独立して、メチル、メトキシ、シアノまたはヒドロキシである。
【0141】
実施形態76.実施形態75の化合物であって、式中、各R6aは、メチルである。
【0142】
実施形態77.式1または実施形態1〜73のいずれか1つの化合物であって、式中、nは、0または1である。
【0143】
実施形態78.実施形態77の化合物であって、式中、nは、0である。
【0144】
実施形態79.式1または実施形態1〜78のいずれか1つの化合物であって、式中、各R6bは、水素、メチルまたはエチルである。
【0145】
実施形態80.実施形態79の化合物であって、式中、各R6bは、水素である。
【0146】
実施形態81.式1または実施形態1〜80のいずれか1つの化合物であって、式中、Gは、炭素原子環員上でR29aおよび窒素原子環員上でR30aから独立して選択される2個以下の置換基で任意により置換されている5員複素環である。
【0147】
実施形態82.式1または実施形態1〜81のいずれか1つの化合物であって、式中、Gは、明細表3に示されているG−1〜G−48から選択され、
【0148】
【化12】
【0149】
【化13】
【0150】
【化14】
【0151】
式中、左に突出している結合は式1中のXに結合しており、および、右に突出している結合は式1中のC=Wに結合している。
【0152】
実施形態83.実施形態82の化合物であって、式中、Gは、G−1〜G−3、G−7、G−8、G−10、G−11、G−14、G−15、G−23、G−24、G−26〜G−28、G−30およびG−36〜G−38から選択される。
【0153】
実施形態84.実施形態83の化合物であって、式中、Gは、G−1、G−2、G−7、G−8、G−14、G−15、G−23、G−24、G−26、G−27、G−36、G−37およびG−38から選択される。
【0154】
実施形態85.実施形態84の化合物であって、式中、Gは、G−1、G−2、G−15、G−26、G−27、G−36、G−37およびG−38から選択される。
【0155】
実施形態86.実施形態85の化合物であって、式中、Gは、G−1、G−2、G−15、G−26、G−36およびG−37から選択される。
【0156】
実施形態87.実施形態86の化合物であって、式中、Gは、G−15である。
【0157】
実施形態88.実施形態86の化合物であって、式中、Gは、G−2である。
【0158】
実施形態89.実施形態86の化合物であって、式中、Gは、G−36である。
【0159】
実施形態90.実施形態86の化合物であって、式中、Gは、G−26である。
【0160】
実施形態91.実施形態86の化合物であって、式中、Gは、G−1である。
【0161】
実施形態92.式1または実施形態1〜91のいずれか1つの化合物であって、式中、各R29aは、独立して、水素、ハロゲンまたはC〜Cアルキルである。
【0162】
実施形態93.実施形態92の化合物であって、式中、各R29aは、独立して、水素またはメチルである。
【0163】
実施形態94.実施形態93の化合物であって、式中、各R29aは水素である。
【0164】
実施形態95.式1または実施形態1〜94のいずれか1つの化合物であって、式中、各R30aは、独立して、水素またはメチルである。
【0165】
実施形態96.実施形態95の化合物であって、式中、各R30aは、水素である。
【0166】
実施形態97.式1または実施形態1〜91のいずれか1つの化合物であって、式中、Gは、XおよびC=Wへの結合以外は無置換の複素環である。
【0167】
実施形態98.式1または実施形態1〜97のいずれか1つの化合物であって、式中、R12またはR14は、独立して、水素である。
【0168】
実施形態99.式1または実施形態1〜97のいずれか1つの化合物であって、式中、R12またはR14は、独立して、各々が、1個以下のQとC〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、ヒドロキシルおよびシアノから選択される2個以下の置換基とによって任意により置換されている、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルケニル、C〜Cハロアルキニル、C〜Cアルコキシアルキル、C〜Cアルキルチオアルキル、C〜Cアルキルスルフィニルアルキル、C〜Cアルキルスルホニルアルキル、C〜Cアルキルカルボニル、C〜Cハロアルキルカルボニル、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cアルキルアミノカルボニル、C〜Cジアルキルアミノカルボニル、C〜CアミノカルボニルアルキルまたはC〜Cシクロアルキルである。
【0169】
実施形態100.実施形態99の化合物であって、式中、R12またはR14は、独立して、各々が、1個以下のQによって任意により置換されている、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシアルキル、C〜Cアルキルカルボニル、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cアルキルアミノカルボニル、C〜Cジアルキルアミノカルボニル、C
〜CアミノカルボニルアルキルまたはC〜Cシクロアルキルである。
【0170】
実施形態101.実施形態100の化合物であって、式中、R12またはR14は、独立して、各々が、1個以下のQによって任意により置換されている、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシアルキル、C〜CアルキルカルボニルまたはC〜Cアルコキシカルボニルである。
【0171】
実施形態102.実施形態101の化合物であって、式中、R12またはR14は、独立して、CH、CF、C(=O)CH、COMeまたはCOEtである。
【0172】
実施形態102a.実施形態101の化合物であって、式中、R12またはR14は、独立して、CH、C(=O)CH、COMeまたはCOEt.である。
【0173】
実施形態102b.実施形態100の化合物であって、式中、R12またはR14は、独立して、1個以下のQによって任意により置換されているC〜Cアルキルである。
【0174】
実施形態103.式1または実施形態1〜101のいずれか1つの化合物であって、式中、Qは、明細表4に示されているQ−1〜Q−103から選択され;
【0175】
【化15】
【0176】
【化16】
【0177】
【化17】
【0178】
【化18】
【0179】
【化19】
【0180】
式中、p(Qに関連する)は、0、1、2、3、4または5である。
【0181】
実施形態104.実施形態103の化合物であって、式中、p(Qに関連する)は、0、1、2または3である。
【0182】
実施形態105.実施形態103または104の化合物であって、式中、Qは、Q−1、Q−20、Q−32〜Q−34、Q−45〜Q−48、Q−60〜Q−73、Q−76〜Q−79、Q−84〜Q−94およびQ−98〜Q−103から選択される。
【0183】
実施形態106.実施形態105の化合物であって、式中、Qは、Q−1、Q−45、Q−63、Q−64、Q−65、Q−68、Q−69、Q−70、Q−71、Q−72、Q−73、Q−76、Q−78、Q−79、Q−84、Q−85、Q−98、Q−99、Q−100〜Q−103から選択される。
【0184】
実施形態107.実施形態106の化合物であって、式中、Qは、Q−45、Q−63、Q−64、Q−65、Q−68、Q−69、Q−70、Q−71、Q−72、Q−84、Q−85およびQ−103から選択される。
【0185】
実施形態108.実施形態107の化合物であって、式中、Qは、Q−45、Q−63、Q−65、Q−70、Q−71、Q−72、Q−84、Q−85およびQ−103から選択される。
【0186】
実施形態109.実施形態108の化合物であって、式中、Qは、Q−45、Q−63、Q−65、Q−70、Q−71、Q−72、Q−84およびQ−103から選択される。
【0187】
実施形態110.実施形態109の化合物であって、式中、Qは、Q−45、Q−63、Q−70、Q−71、Q−72、Q−84およびQ−103である。
【0188】
実施形態110a.実施形態109の化合物であって、式中、Qは、Q−45である。
【0189】
実施形態111.式1または実施形態1〜97のいずれか1つの化合物であって、式中、独立して、R12またはR14がQである場合、Qは、Q−1〜Q−59、Q−95〜Q−97およびQ−103から独立して選択される。
【0190】
実施形態112.実施形態111の化合物であって、式中、独立して、R12またはR14がQである場合、Qは、Q−32、Q−33、Q−34、Q−36、Q−38、Q−39、Q−45、Q−46、Q−47およびQ−103から独立して選択される。
【0191】
実施形態112a.実施形態111の化合物であって、式中、独立して、R12またはR14がQである場合、Qは、独立して、Q−45またはQ−103である。
【0192】
実施形態112b.実施形態111の化合物であって、式中、独立して、R12またはR14がQである場合、QはQ−103である。
【0193】
実施形態113.式1または実施形態1〜112bのいずれか1つの化合物であって、式中、R14は、シアノである。
【0194】
実施形態114.式1または実施形態1〜113のいずれか1つの化合物であって、式中、R13は、水素、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルである。
【0195】
実施形態115.実施形態114の化合物であって、式中、R13は、水素、CHまたはCFである。
【0196】
実施形態115a.実施形態114の化合物であって、式中、R13は、水素またはCHである。
【0197】
実施形態116.式1および実施形態1〜97のいずれか1つの化合物であって、式中、Wは、明細表5に示されているJ−1〜J−50から選択され;
【0198】
【化20】
【0199】
【化21】
【0200】
【化22】
【0201】
【化23】
【0202】
式中、pは、0、1、2、3、4または5である。
【0203】
実施形態117.実施形態116の化合物であって、式中、pは、0、1、2または3である。
【0204】
実施形態118.実施形態116または117の化合物であって、式中、Wは、J−1、J−2、J−4、J−5、J−7、J−8、J−9、J−10、J−12、J−13、J−14、J−15、J−16、J−19、J−20、J−21、J−23、J−26、J−28、J−29、J−30、J−31、J−32、J−34、J−35、J−36、J−37、J−38、J−39、J−43、J−44、J−45およびJ−50から選択される。
【0205】
実施形態119.実施形態118の化合物であって、式中、Wは、J−1、J−2、J−4、J−5、J−7、J−8、J−9、J−10、J−12、J−13、J−14、J−15、J−16、J−19、J−20、J−21、J−23およびJ−26から選択される。
【0206】
実施形態120.実施形態119の化合物であって、式中、Wは、J−1、J−2、J−4およびJ−5から選択される。
【0207】
実施形態121.実施形態120の化合物であって、式中、Wは、J−1、J−2およびJ−4から選択される。
【0208】
実施形態122.実施形態121の化合物であって、式中、Wは、J−1である。
【0209】
実施形態123.実施形態121の化合物であって、式中、Wは、J−2である。
【0210】
実施形態124.実施形態119の化合物であって、式中、Wは、J−7、J−8、J−9、J−10、J−12、J−14、J−15、J−16、J−20、J−21、J−23およびJ−26から選択される。
【0211】
実施形態124a.実施形態119の化合物であって、式中、Wは、J−7、J−9、J−10、J−12、J−14、J−15、J−16、J−20、J−21、J−23およびJ−26から選択される。
【0212】
実施形態125.実施形態124の化合物であって、式中、Wは、J−7、J−8、J−12、J−23およびJ−26から選択される。
【0213】
実施形態125a.実施形態124aの化合物であって、式中、Wは、J−7、J−12、J−23およびJ−26から選択される。
【0214】
実施形態125b.実施形態124aの化合物であって、式中、Wは、J−7である。
【0215】
実施形態125c.実施形態124の化合物であって、式中、Wは、J−8である。
【0216】
実施形態126.実施形態124の化合物であって、式中、Wは、J−9、J−10、J−14、J−15、J−16、J−20およびJ−21から選択される。
【0217】
実施形態127.実施形態118の化合物であって、式中、Wは、J−28、J−29、J−30、J−31、J−32、J−34、J−35、J−36、J−37、J−38、J−39、J−43、J−44、J−45およびJ−50から選択される。
【0218】
実施形態128.実施形態127の化合物であって、式中、Wは、J−28、J−29、J−30、J−31、J−32およびJ−50から選択される。
【0219】
実施形態129.実施形態128の化合物であって、式中、Wは、J−28、J−30およびJ−50から選択される。
【0220】
実施形態130.実施形態129の化合物であって、式中、Wは、J−50である。
【0221】
実施形態131.実施形態127の化合物であって、式中、Wは、J−34、J−36、J−37、J−38およびJ−39から選択される。
【0222】
実施形態132.式1または実施形態1〜115のいずれか1つの化合物であって、式中、Wは、NOR12である。
【0223】
実施形態133.式1または実施形態1〜115のいずれか1つの化合物であって、式中、Wは、NNR1314である。
【0224】
実施形態134.式1または実施形態1〜133のいずれか1つの化合物であって、式中、Zは、水素である。
【0225】
実施形態135.式1または実施形態1〜133のいずれか1つの化合物であって、式中、Zは、シアノである。
【0226】
実施形態136.式1または実施形態1〜133のいずれか1つの化合物であって、式中、Zは、ハロゲンである。
【0227】
実施形態137.式1または実施形態1〜133のいずれか1つの化合物であって、式中、Zは、Qである。
【0228】
実施形態138.式1または実施形態1〜133のいずれか1つの化合物であって、式中、Zは、各々が、1個以下のQとC〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、ヒドロキシルおよびシアノから選択される2個以下の置換基とによって任意により置換されている、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルケニル、C〜Cハロアルキニル、C〜Cアルコキシアルキル、C〜Cアルキルチオアルキル、C〜Cアルキルスルフィニルアルキル、C〜Cアルキルスルホニルアルキル、C〜Cアルキルカルボニル、C〜Cハロアルキルカルボニル、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cアルキルアミノカルボニル、C〜Cジアルキルアミノカルボニル、C〜CアミノカルボニルアルキルまたはC〜Cシクロアルキルである。
【0229】
実施形態139.実施形態138の化合物であって、式中、Zは、各々が、1個以下のQによって任意により置換されている、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシアルキル、C〜Cアルキルカルボニル、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cアルキルアミノカルボニル、C〜Cジアルキルアミノカルボニル、C〜CアミノカルボニルアルキルまたはC〜Cシクロアルキルである。
【0230】
実施形態140.実施形態139の化合物であって、式中、Zは、各々が、1個のQによって任意により置換されている、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシアルキル、C〜CアルキルカルボニルまたはC〜Cアルコキシカルボニルである。
【0231】
実施形態141.実施形態140の化合物であって、式中、Zは、CH、CF、C(=O)CH、COMeまたはCOEtである。
【0232】
実施形態141a.実施形態140の化合物であって、式中、Zは、CHである。
【0233】
実施形態141b.式1または実施形態1〜133のいずれか1つの化合物であって、式中、Zは、CHまたは水素である。
【0234】
実施形態142.式1または実施形態1〜133および実施形態137〜140のいずれか1つの化合物であって、式中、Qは、明細表4に示されているQ−1〜Q−102の1つから選択され;および、p(Qに関連している)は、0、1、2、3または4である。
【0235】
実施形態142a.式1または実施形態1〜133および実施形態137〜140のいずれか1つの化合物であって、式中、Qは、明細表4に示されているQ−1〜Q−103の1つから選択され;および、p(Qに関連している)は、0、1、2、3または4である。
【0236】
実施形態143.実施形態142の化合物であって、式中、p(Qに関連している)は、0、1、2または3である。
【0237】
実施形態144.実施形態142または143の化合物であって、式中、Qは、Q−1、Q−20、Q−32〜Q−34、Q−45〜Q−47、Q−60〜Q−73、Q−76〜Q−79、Q−84〜Q−94およびQ−98〜Q−102から選択される。
【0238】
実施形態145.実施形態144の化合物であって、式中、Qは、Q−1、Q−45、Q−63、Q−64、Q−65、Q−68、Q−69、Q−70、Q−71、Q−72、Q−73、Q−76、Q−78、Q−79、Q−84、Q−85、Q−98、Q−99、Q−100、Q−101およびQ−102から選択される。
【0239】
実施形態146.実施形態145の化合物であって、式中、Qは、Q−45、Q−63、Q−64、Q−65、Q−68、Q−69、Q−70、Q−71、Q−72、Q−84およびQ−85から選択される。
【0240】
実施形態147.実施形態146の化合物であって、式中、Qは、Q−45、Q−63、Q−65、Q−70、Q−71、Q−72、Q−84およびQ−85から選択される。
【0241】
実施形態148.実施形態147の化合物であって、式中、Qは、Q−45である。
【0242】
実施形態149.実施形態142または143の化合物であって、式中、ZがQである場合、前記Qは、Q−1〜Q−59およびQ−95〜Q−97から選択される。
【0243】
実施形態150.実施形態149の化合物であって、式中、ZがQである場合、前記Qは、Q−32、Q−33、Q−34、Q−36、Q−38、Q−39、Q−45、Q−46またはQ−47である。
【0244】
実施形態151.実施形態150の化合物であって、式中、ZがQである場合、前記Qは、Q−45である。
【0245】
実施形態152.式1または実施形態1〜133のいずれか1つの化合物であって、式中、Zは、明細表6に示されているZ−1〜Z−29から選択され;
【0246】
【化24】
【0247】
【化25】
【0248】
式中、p(Wに関連している)は、0、1、2、3、4または5である。
【0249】
実施形態153.実施形態152の化合物であって、式中、p(Wに関連している)は、0、1、2または3である。
【0250】
実施形態154.実施形態152または153の化合物であって、式中、Zは、Z−1、Z−2、Z−4、Z−5、Z−10、Z−11、Z−14、Z−15、Z−18、Z−19およびZ−20から選択される。
【0251】
実施形態155.実施形態154の化合物であって、式中、Zは、Z−1、Z−2、Z−14、Z−15およびZ−18から選択される。
【0252】
実施形態156.実施形態155の化合物であって、式中、Zは、Z−1またはZ−2である。
【0253】
実施形態157.実施形態156の化合物であって、式中、Zは、Z−1である。
【0254】
実施形態158.実施形態156の化合物であって、式中、Zは、Z−2である。
【0255】
実施形態159.実施形態155の化合物であって、式中、Zは、Z−14、Z−15およびZ−18から選択される。
【0256】
実施形態160.実施形態159の化合物であって、式中、Zは、Z−14である。
【0257】
実施形態161.実施形態159の化合物であって、式中、Zは、Z−15である。
【0258】
実施形態162.実施形態159の化合物であって、式中、Zは、Z−18である。
【0259】
実施形態163.式1または実施形態1〜162のいずれか1つの化合物であって、式中、基C(=W)Zは、明細表7に示されているL−1〜L−100から選択され;
【0260】
【化26】
【0261】
【化27】
【0262】
【化28】
【0263】
【化29】
【0264】
【化30】
【0265】
【化31】
【0266】
【化32】
【0267】
式中、p(基C(=W)Zに関連している)は、0、1、2、3、4または5である。
【0268】
実施形態164.実施形態163の化合物であって、式中、p(基C(=W)Zに関連している)は、0、1、2または3である。
【0269】
実施形態165.実施形態163または164の化合物であって、式中、基C(=W)Zは、L−1、L−2、L−10、L−21〜L−26、L−34、L−35、L−36、L−38、L−39、L−40、L−43、L−45、L−46、L−48、L−49、L−50、L−53、L−55、L−57、L−60、L−62〜L−67、L−83、L−84、L−96およびL−97から選択される。
【0270】
実施形態166.実施形態165の化合物であって、式中、基C(=W)Zは、L−1、L−2、L−10、L−21、L−22、L−23、L−38、L−39、L−45、L−46、L−48、L−49、L−57およびL−60から選択される。
【0271】
実施形態166a.実施形態166の化合物であって、式中、基C(=W)Zは、L−38、L−39、L−45、L−46、L−48およびL−49から選択される。
【0272】
実施形態166b.実施形態166aの化合物であって、式中、基C(=W)Zは、L−45またはL−46である。
【0273】
実施形態167.実施形態166の化合物であって、式中、基C(=W)Zは、L−21またはL−23である。
【0274】
実施形態168.実施形態167の化合物であって、式中、基C(=W)Zは、L−21である。
【0275】
実施形態169.実施形態167の化合物であって、式中、基C(=W)Zは、L−23である。
【0276】
実施形態170.式1または実施形態1〜169のいずれか1つの化合物であって、式中、各R9aは、独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10シクロアルキルアルキル、C〜C10アルキルシクロアルキル、C〜C10アルキルシクロアルキルアルキル、C〜C14シクロアルキルシクロアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルケニル、C〜Cハロアルキニル、C〜Cハロシクロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、C〜Cアルキルスルフィニル、C〜Cアルキルスルホニル、C〜Cハロアルキルチオ、C〜Cハロアルキルスルフィニル、C〜Cハロアルキルスルホニル、C〜Cアルキルアミノ、C〜Cジアルキルアミノ、C〜Cシクロアルキルアミノ、C〜Cアルコキシアルキル、C〜Cヒドロキシアルキル、C〜Cアルキルカルボニル、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cアルキルカルボニルオキシ、C〜Cアルキルカルボニルチオ、C〜Cアルキルアミノカルボニル、C〜CジアルキルアミノカルボニルあるいはC〜Cトリアルキルシリルであるか;または
ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜CハロアルキルおよびC〜Cアルコキシから独立して選択される3個以下の置換基で任意により置換されたフェニルであるか;または 2個以下のO、2個以下のSおよび4個以下のN原子から独立して選択される4個以下のヘテロ原子ならびに炭素原子から選択される環員を含有していると共に、炭素原子環員上でハロゲン、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜CアルコキシおよびC〜Cハロアルコキシ、ならびに、窒素原子環員上でシアノ、C〜CアルキルおよびC〜Cアルコキシから独立して選択される3個以下の置換基で任意により置換されている5員〜6員芳香族複素環である。
【0277】
実施形態171.実施形態170の化合物であって、式中、各R9aは、独立して、ハロゲン、アミノ、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10シクロアルキルアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロシクロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、C〜Cアルキルスルホニル、C〜Cアルキルアミノ、C〜Cジアルキルアミノ、C〜Cアルコキシアルキル、C〜Cアルキルカルボニル、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cアルキルカルボニルオキシ、C〜CアルキルアミノカルボニルあるいはC〜Cジアルキルアミノカルボニルであるか;または
ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜CハロアルキルおよびC〜Cアルコキシから独立して選択される3個以下の置換基で任意により置換されているフェニルである。
【0278】
実施形態172.実施形態171の化合物であって、式中、各R9aは、独立して、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜CハロアルキルまたはC〜Cアルコキシである。
【0279】
実施形態173.式1または実施形態1〜172のいずれか1つの化合物であって、式中、各R9bは、独立して、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルキルカルボニル、C〜CアルコキシカルボニルまたはC〜Cシクロアルキルである。
【0280】
実施形態174.式1または実施形態1〜173のいずれか1つの化合物であって、式中、Rは、単独である場合(すなわち、Rと一緒にされていない)、H、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、CHC(=O)、CFC(=O)またはCHOC(=O)である。
【0281】
実施形態175.実施形態174の化合物であって、式中、Rは、単独である場合、HまたはC〜Cアルキルである。
【0282】
実施形態176.実施形態175の化合物であって、式中、Rは、単独である場合、Hまたはメチルである。
【0283】
実施形態177.式1または実施形態1〜176のいずれか1つの化合物であって、式中、Rは単独とされる。
【0284】
実施形態178.式1または実施形態1〜177のいずれか1つの化合物であって、式中、AはCHR15である。
【0285】
実施形態179.実施形態178の化合物であって、式中、R15は、H、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、−CHO、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜CアルコキシカルボニルまたはC〜Cアルコキシである。
【0286】
実施形態180.実施形態179の化合物であって、式中、R15は、H、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、メチルまたはメトキシである。
【0287】
実施形態181.実施形態180の化合物であって、式中、R15は、Hである。
【0288】
実施形態182.式1または実施形態1〜177のいずれか1つの化合物であって、式中、AはNR16である。
【0289】
実施形態183.実施形態182の化合物であって、式中、R16は、H、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルキルカルボニル、C〜CハロアルキルカルボニルまたはC〜Cアルコキシカルボニルである。
【0290】
実施形態184.実施形態183の化合物であって、式中、R16は、H、メチル、メチルカルボニルまたはメトキシカルボニルである。
【0291】
実施形態185.実施形態184の化合物であって、式中、R16は、Hである。
【0292】
実施形態186.式1または実施形態1〜185のいずれか1つの化合物であって、式中、各R18およびR19は、独立して、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルケニル、C〜Cハロアルキニル、C〜CアルコキシアルキルおよびC〜Cシクロアルキルから選択される。
【0293】
実施形態187.実施形態186の化合物であって、式中、各R18およびR19は、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜CアルキニルおよびC〜Cハロアルキルから選択される。
【0294】
実施形態188.実施形態187の化合物であって、式中、各R18およびR19は、独立して、C〜Cアルキルである。
【0295】
実施形態189.式1または実施形態1〜185のいずれか1つの化合物であって、式中、R20は、H、シアノ、ヒドロキシ、アミノおよびC〜Cアルキルから選択される。
【0296】
実施形態190.式1または実施形態1〜185または189のいずれか1つの化合物であって、式中、R21は、HおよびC〜Cアルキルから選択される。
【0297】
実施形態191.式1または実施形態1〜185のいずれか1つの化合物であって、式中、R20およびR21は、−(CH−、−(CH−または−(CHO(CH−として一緒にされる。
【0298】
実施形態192.実施形態191の化合物であって、式中、R20およびR21は、−(CH−または−(CHO(CH−として一緒にされる。
【0299】
実施形態193.実施形態192の化合物であって、式中、R20およびR21は、−(CH−として一緒にされる。
【0300】
実施形態194.式1または実施形態1〜185のいずれか1つの化合物であって、式中、R22は、H、ハロゲン、シアノまたはC〜Cアルキルである。
【0301】
実施形態195.実施形態194の化合物であって、式中、R22は、H、ハロゲンまたはシアノである。
【0302】
実施形態196.実施形態195の化合物であって、式中、R22は、Clまたはシアノである。
【0303】
実施形態197.式1または実施形態1〜196のいずれか1つの化合物であって、式中、Zが、水素、無置換C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、無置換C〜Cシクロアルキルまたは無置換フェニルである場合;R12またはR14は、独立して、水素、または、1個以下のQと、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、ヒドロキシルおよびシアノから選択される2個以下の置換基とによって任意により置換されているC〜Cアルキルカルボニルである。
【0304】
上記実施形態1〜197、ならびに、本明細書に記載の他の実施形態のいずれかを含む本発明の実施形態はいずれかの様式で組み合わされることが可能であり、実施形態における可変要素の記載は、式1の化合物のみならず、式1の化合物の調製に有用な出発化合物および中間体化合物にも関連している。加えて、上記実施形態1〜197、ならびに、本明細書に記載の他の実施形態のいずれか、および、いずれかのこれらの組み合わせを含む本発明の実施形態は、本発明の組成物および方法に関連している。
【0305】
実施形態1〜197の組み合わせが以下に例示されている。
実施形態A1.式1の化合物であって、式中、
EはE−1であり;
Xは、X−1、X−2、X−3、X−4またはX−5であり;および
Gは、炭素原子環員上でR29aおよび窒素原子環員上でR30aから独立して選択される2個以下の置換基で任意により置換されている5員複素環である。
【0306】
実施形態A2.実施形態A1の化合物であって、式中、
Xは、X−1、X−2またはX−3であり;
Gは、明細表3に示されているG−1〜G−48から選択され;
29aはHであり;
各R30aは、独立して、水素またはメチルであり;および
Qは、Q−1〜Q−102から選択される。
【0307】
実施形態A3.実施形態A2の化合物であって、式中、
1aは、U−1、U−20またはU−50であり;
各R33aは、独立して、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜CハロアルキルまたはC〜Cアルコキシアルキルであり;
kは、0、1、2または3であり;
AはCHR15であり;
15はHであり;
WはOであり;
XはX−1であり;
nは0であり;
GはG−1であり;
各R9aは、独立して、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜CハロアルキルまたはC〜Cアルコキシであり;および
pは、0、1、2または3である。
【0308】
実施形態A4.実施形態A3の化合物であって、式中、
は、J−1、J−2およびJ−4から選択され;
Zは、各々が、1個以下のQとC〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、ヒドロキシルおよびシアノから選択される2個以下の置換基とによって任意により置換されている、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルケニル、C〜Cハロアルキニル、C〜Cアルコキシアルキル、C〜Cアルキルチオアルキル、C〜Cアルキルスルフィニルアルキル、C〜Cアルキルスルホニルアルキル、C〜Cアルキルカルボニル、C〜Cハロアルキルカルボニル、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cアルキルアミノカルボニル、C〜Cジアルキルアミノカルボニル、C〜CアミノカルボニルアルキルまたはC〜Cシクロアルキルであり;および
QはQ−45である。
【0309】
実施形態A5.実施形態A4の化合物であって、式中、
C(=W)Zは、L−20〜L−25から選択される。
【0310】
実施形態A6.実施形態A3の化合物であって、式中、
はNOR12であり;
12は、1個以下のQによって任意により置換されているC〜Cアルキルであり、または、R12がQである場合、QはQ−103であり;
Zは、CHまたは水素であり;および
はQ−45である。
【0311】
実施形態A7.実施形態A6の化合物であって、式中、
C(=W)Zは、L−38、L−39、L−45、L−46、L−48およびL−49から選択される。
【0312】
特定の実施形態は:
3−(2,6−ジフルオロフェニル)−3−ヒドロキシ−1−[2−[1−[2−[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]アセチル]−4−ピペリジニル]−4−チアゾリル]−1−プロパノン1−オキシム;
3−(2,6−ジフルオロフェニル)−1−[2−[1−[2−[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]アセチル]−4−ピペリジニル]−4−チアゾリル]−2−プロペン−1−オン1−オキシム;
2−[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−1−[4−[4−[1−[(2−フェニルエトキシ)イミノ]エチル]−2−チアゾリル]−1−ピペリジニル]エタノン;
2−[1−[2−[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]アセチル]−4−ピペリジニル]−4−チアゾールカルボキシアルデヒド4−[O−(1−フェニルエチル)オキシム];
3−(2,6−ジフルオロフェニル)−1−[2−[1−[2−[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]アセチル]−4−ピペリジニル]−4−チアゾリル]−2−プロペン−1−オン1−(O−メチルオキシム);および
3−(2,6−ジフルオロフェニル)−1−[2−[1−[2−[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]アセチル]−4−ピペリジニル]−4−チアゾリル]−2−プロペン−1−オン1−(O−アセチルオキム)
からなる群から選択される式1の化合物を含む。
【0313】
本発明は、式1の化合物(すべての立体異性体、または、そのN−オキシドもしくは塩を含む)と、少なくとも1種の他の殺菌・殺カビ剤とを含む殺菌・殺カビ組成物を提供する。このような組成物の実施形態として注目すべきは、上記の化合物実施形態のいずれかに対応する化合物を含む組成物である。
【0314】
本発明は、式1の化合物(すべての立体異性体、または、そのN−オキシドもしくは塩を含む)(すなわち、殺菌・殺カビ的に有効な量で)と、界面活性剤、固体希釈剤および液体希釈剤からなる群から選択される少なくとも1種の追加の成分とを含む殺菌・殺カビ組成物を提供する。このような組成物の実施形態として注目すべきは、上記の化合物実施形態のいずれかに対応する化合物を含む組成物である。
【0315】
本発明は、植物もしくはその一部分または植物種子に、殺菌・殺カビ的に有効な量の式1の化合物(すべての立体異性体、または、そのN−オキシドもしくは塩を含む)を適用するステップを含む真菌性植物病原体によって引き起こされる植物病害を防除する方法を提供する。このような方法の実施形態として注目すべきは、上記の化合物実施形態のいずれかに対応する化合物を殺菌・殺カビ的に有効な量で適用するステップを含む方法である。特に注目すべきは、化合物が本発明の組成物として適用される実施形態である。
【0316】
本発明のさらなる実施形態は式1Aの実施形態を含む。式1Aの実施形態は、幾何異性体および立体異性体、互変異性体、そのN−オキシドおよび塩を含み、「式1Aの化合物」への参照は、実施形態においてさらに定義されていない限りにおいて、本発明の概要において特定されている置換基の定義を含む。
【0317】
実施形態B1.式1Aの化合物であって、式中、EはE−1である。
【0318】
実施形態B2.式1Aまたは実施形態B1の化合物であって、式中、R1aは、U−1、U−20またはU−50である。
【0319】
実施形態B3.式1Aまたは実施形態B1〜B2の化合物であって、式中、AはCH、NHまたはC=Oである。
【0320】
実施形態B4.式1Aまたは実施形態B1〜B3の化合物であって、式中、Xは、X−1である。
【0321】
実施形態B5.式1Aまたは実施形態B1〜B4の化合物であって、式中、nは、0である。
【0322】
実施形態B6.式1Aまたは実施形態B1〜B5の化合物であって、式中、Wは、Oである。
【0323】
実施形態B7.式1Aまたは実施形態B1〜B6の化合物であって、式中、Gは、G−1である。
【0324】
実施形態B8.式1Aまたは実施形態B1〜B7の化合物であって、式中、Zは、CHCHQ、CH=CHQ、C≡CQおよびCHCH(OH)Qである。
【0325】
実施形態B8a.式1Aまたは実施形態B1〜B7の化合物であって、式中、Zは、CH=CHQまたはCHCH(OH)Qである。
【0326】
実施形態B8b.式1Aまたは実施形態B1〜B7の化合物であって、式中、Zは、CH=CHQである。
【0327】
実施形態B9.式1Aまたは実施形態B1〜B8の化合物であって、式中、Qは、任意により置換されているフェニルまたは任意により置換されている5員〜6員複素環である。
【0328】
実施形態1B〜B−9の組み合わせが以下に記載されている。
実施形態C1.式1Aの化合物であって、式中、
EはE−1であり;
1aは、U−1、U−20またはU−50であり;
Aは、CH、NHまたはC=Oであり;
XはX−1であり;
nは0であり;
WはOであり;
GはG−1であり;
は、CHCHQ、CH=CHQ、C≡CQおよびCHCH(OH)Qであり;ならびに
Qは、任意により置換されているフェニルまたは任意により置換されている5員〜6員複素環である。
【0329】
実施形態C2.式1Aの化合物であって、式中、
EはE−1であり;
1aは、U−1、U−20またはU−50であり;
Aは、CH、NHまたはC=Oであり;
XはX−1であり;
nは0であり;
WはOであり;
GはG−1であり;
はCH=CHQであり;および
Qは、任意により置換されているフェニルまたは任意により置換されている5員〜6員複素環である。
【0330】
実施形態C3.式1Aの化合物であって、式中、
EはE−1であり;
1aは、U−1、U−20またはU−50であり;
Aは、CH、NHまたはC=Oであり;
XはX−1であり;
nは0であり;
WはOであり;
GはG−1であり;
はCH=CHQであり;ならびに
Qは、Q−32、Q−33、Q−34、Q−36、Q−38、Q−39、Q−45、Q−46、Q−47、Q−63、Q−65、Q−70、Q−71、Q−72、Q−84およびQ−85から選択される。
【0331】
特定の実施形態としては:
3−(2,6−ジフルオロフェニル)−1−[2−[1−[2−[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]アセチル]−4−ピペリジニル]−4−チアゾリル]−2−プロペン−1−オン
からなる群から選択される式1Aの化合物が挙げられる。
【0332】
スキーム1〜28に記載されている以下の方法および変形の1つ以上を用いて、式1の化合物を調製することが可能である。以下のE、X、G、W、W、W、Z、A、A、Q、R1a、R1b、R、R、R、R、R、R、R12、R13、R14、R16、R19、R20、R21、R22、R24、R25、R26およびR27(式1〜48の化合物において)の定義は、特に記載のない限り、本発明の概要において上記に定義されているとおりである。式1a〜1kの化合物は、式1の化合物の種々のサブセットであり、式1a〜1kに対するすべての置換基は、式1に関して上記に定義されているとおりである。
【0333】
スキーム1に示されているとおり、WがOである式1aの化合物(EがE−1であり、AがCHR15またはC=Oである式1)は、式2の酸塩化物と式3のアミンとを酸掃去剤の存在下にカップリングさせることにより調製されることが可能である。典型的な酸掃去剤としては、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミンおよびピリジンなどのアミン塩基が挙げられる。他の掃去剤としては、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムなどの水酸化物、ならびに、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムなどの炭酸塩が挙げられる。一定の事例においては、ポリマー固定化N,N−ジイソプロピルエチルアミンおよびポリマー固定化4−(ジメチルアミノ)ピリジンなどのポリマーにより担持された酸掃去剤を用いることが有用である。当業者は、式3のアミンが第2のNH官能基を含有している場合に混合物がもたらされ得、所望の異性体の単離に標準的な分離法を採用することが可能であることを認識するであろう。
【0334】
【化33】
【0335】
少なくとも2当量の酸掃去剤が存在している場合には、式3のアミンの酸塩をこの反応において用いることも可能である。アミンとの塩の形成に用いられる典型的な酸としては、塩酸、シュウ酸およびトリフルオロ酢酸が挙げられる。その後のステップにおいて、WがOである式1aのアミドは、五硫化リンまたは2,4−ビス(4−メトキシフェニル)−1,3−ジチア−2,4−ジホスフェタン−2,4−ジスルフィド(ローソン試薬)などの多様な標準的な硫化試薬を用いてWがSである式1aのチオアミドに転換されることが可能である。
【0336】
WがOである式1aの化合物の調製のための代替的な手法がスキーム2に示されており、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、塩酸1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(EDC)またはO−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロ−リン酸(HBTU)などの脱水カップリング試薬の存在下での式4の酸と式3のアミン(またはその酸塩)とのカップリングが含まれている。ここでも、再度、ポリマー固定化シクロヘキシルカルボジイミドなどのポリマーにより担持された試薬が有用である。これらの反応は、典型的には、0〜40℃で、ジクロロメタンまたはアセトニトリルなどの溶剤中に、トリエチルアミンまたはN,N−ジイソプロピルエチルアミンなどの塩基の存在下で行われる。当業者は、式3のアミンが第2のNH官能基を含有している場合に混合物がもたらされ得、所望の異性体の単離に標準的な分離法を採用することが可能であることを認識するであろう。
【0337】
【化34】
【0338】
式4の酸は、公知であるか、または、当業者に公知の方法により調製されることが可能である。例えば、R1aがヘテロ原子を介して酢酸残渣に結合しているR1aCHCOOHは、対応するR1aHとハロ酢酸またはエステルとを塩基の存在下に反応させることにより調製されることが可能である;例えば、米国特許第4,084,955号明細書を参照のこと。R1aが炭素原子を介して酢酸残渣に結合しているR1aCHCOOHは、対応するR1aCH−ハロゲン化合物から、シアン化物でのハロゲンの置換、これに続く加水分解によって(例えば、K.Adachi,Yuki Gosei Kagaku Kyokaishi 1969,27,875−876を参照のこと)、または、R1aC(=O)CHからヴィルゲロット−キンドラー反応によって(例えば、H.R.Darabi et al.,Tetrahedron Letters 1999,40,7549−7552およびM.M.Alam and S.R.Adapa,Synthetic Communications 2003,33,59−63、ならびに、その中で引用されている文献を参照のこと)、または、R1aBrもしくはR1aIから、t−酢酸ブチルもしくはマロン酸ジエチルが伴うパラジウム触媒クロスカップリング、これに続くエステル加水分解によって(例えば、W.A.Moradi and S.L.Buchwald,J.Am.Chem.Soc.2001,123,7996−8002およびJ.F.Hartwig et al.,J.Am.Chem.Soc.2002,124,12557−12565を参照のこと)調製されることが可能である。
【0339】
アミドが形成される方法が多く合成文献に含まれているため、スキーム1および2の合成手法は単に、式1の化合物の調製に有用である広く多様な方法の代表例である。当業者はまた、式2の酸塩化物は、式4の酸から数多くの周知の方法により調製されることが可能であること理解する。
【0340】
1aがヘテロ原子を介してAに結合している式1aの一定の化合物(EがE−1であり、AがCHR15またはC=Oであり、および、WがOである式1)は、スキーム3に示されているとおり、式5の化合物と、式6のハロアセトアミドまたは塩化オキサリルとの反応により調製されることが可能である。この反応は、水素化ナトリウム、炭酸カリウムまたはトリエチルアミンなどの塩基の存在下に、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミドまたはアセトニトリルなどの溶剤中で、0〜80℃で実施される。式6のハロアセトアミドは、スキーム1および2のそれぞれに記載のアミド生成反応と同様の、式3のアミンと、α−ハロカルボン酸ハロゲン化物またはα−ハロカルボン酸もしくはその無水物との反応により調製されることが可能である。式6の塩化オキサリル(すなわち、式中、AはC(=O))は、当業者に公知である式3のアミンと塩化オキサリルとの反応により調製されることが可能である。
【0341】
【化35】
【0342】
16がHであると共にWがOまたはSである式1bの化合物(EがE−1であると共にAがNR16である式1)は、スキーム4に示されているとおり、式3のアミンと、それぞれ、式7のイソシアネートまたはイソチオシアネートとの反応により調製されることが可能である。この反応は、典型的には、周囲温度で、ジクロロメタンまたはアセトニトリルなどの非プロトン性溶剤中に実施される。
【0343】
【化36】
【0344】
式1bの化合物はまた、スキーム5に示されているとおり、式8のアミンと、式9のカルバモイルまたは塩化チオカルバモイルまたはイミダゾールとの反応により調製されることが可能である。Yが塩素である場合、この反応は、典型的には、酸掃去剤の存在下に実施される。典型的な酸掃去剤としては、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミンおよびピリジンなどのアミン塩基が挙げられる。他の掃去剤としては、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムなどの水酸化物、ならびに、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムなどの炭酸塩が挙げられる。当業者に公知である一般的な方法に準拠して、式9のカルバモイルまたは塩化チオカルバモイル(式中、YはClである)は、式3のアミンから、それぞれホスゲンもしくはチオホスゲン、または、これらの均等物での処理により調製されることが可能であり、一方で、式9のカルバモイルもしくはチオカルバモイルイミダゾール(式中、Yはイミダゾール−1−イルである)は、式3のアミンから、それぞれ、1,1’−カルボニル−ジイミダゾールもしくは1,1’−チオカルボニルジイミダゾールでの処理により調製されることが可能である。
【0345】
【化37】
【0346】
スキーム6に示されているとおり、WがOである式1cの化合物(EがE−2である式1)は、スキーム1に記載の方法と同様に、酸掃去剤の存在下に式10の酸塩化物を式3のアミンとカップリングさせることにより調製されることが可能である。その後のステップにおいて、WがOである式1cの化合物は、五硫化リンまたは2,4−ビス(4−メトキシフェニル)−1,3−ジチア−2,4−ジホスフェタン−2,4−ジスルフィド(ローソン試薬)などの多様な標準的な硫化試薬を用いて、WがSである対応するチオアミドに転換される。
【0347】
【化38】
【0348】
式1cの化合物(EがE−2であると共にWがOである式1)を調製するための代替的な手法がスキーム7に示されており、スキーム2に記載の方法と同様の、脱水カップリング試薬の存在下での式11の酸と式3のアミン(または、その酸塩)とのカップリングが関与している。式11の酸は公知であるか、または、当業者に公知の方法により調製されることが可能である。最先端の文献については、例えば、Schumann,Paquette et al.,J.Med.& Pharm.Chem.1962,5,464−77;Van Dijk,Jan et al.,J.Med.Chem.1977,20(9),1199−206;A.Balsamo et al.,J.Med.Chem.1989,32,1398−1401、および、その中で引用されている文献、ならびに、米国特許第4,584,014号明細書を参照のこと。
【0349】
【化39】
【0350】
スキーム6と同様に、WがOである式1cの化合物は、五硫化リンまたは2,4−ビス(4−メトキシフェニル)−1,3−ジチア−2,4−ジホスフェタン−2,4−ジスルフィド(ローソン試薬)などの多様な標準的な硫化試薬を用いて、WがSである対応するチオアミドに転換される。
【0351】
式10の酸塩化物は、式11の酸から数多くの周知の方法により調製されることが可能である。
【0352】
アミドが形成される方法が多く合成文献に含まれているため、スキーム6および7の方法は単に、式1の化合物の調製に有用である広く多様な方法の代表例である。
【0353】
が、−O−、−S−および−N(R)−であると共に、WがOである式1cの化合物(EがE−2である式1)は、スキーム8に示されているとおり、式12の化合物と、YがCl、BrまたはIである式13のハロアセトアミドとの反応により調製されることが可能である。この反応は、水素化ナトリウムまたは炭酸カリウムなどの塩基の存在下に、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミドまたはアセトニトリルなどの溶剤中で、典型的には、0〜80℃で実施される。式12のイミン、オキシムおよびヒドラゾンは公知であるか、または、技術分野において公知である方法によって調製されることが可能である;例えば、S.Dayagi et al.,The Chemistry of the Carbon−Nitrogen Double Bond,ed.S.Patei,Interscience,New York 1970;S.R.Sandler et al.,Organic Functional Group Preparations,Academic Press,New York 1972,3,372、および、G.Hilgetag et al.,Preparative Organic Chemistry,John Wiley & Sons,New York 1972,504−515を参照のこと。
【0354】
【化40】
【0355】
式13のハロアセトアミド化合物は、式3のアミンと、α−ハロカルボン酸ハロゲン化物もしくはα−ハロカルボン酸またはその無水物との反応により、それぞれ、スキーム1および2に記載のアミド生成反応と同様に調製されることが可能である。
【0356】
が−OC(R−、−SC(R−または−N(R)C(R−であると共に、RがHである式1cの化合物(EがE−2である式1)は、式12aの化合物の式14のα,β−不飽和アミドとの塩基触媒縮合反応により、式12aにおけるVと式14におけるC(Rとが式1cにおけるAを形成するスキーム9に示されているとおり、調製されることが可能である。この反応は、水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウム、水素化ナトリウムまたは炭酸カリウムなどの塩基の存在下に、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、エタノールまたはアセトニトリルなどの溶剤中で、典型的には0〜80℃で実施される。式14のα,β−不飽和アミドは、スキーム1および2に記載の方法と同様の方法による、対応するα,β−不飽和酸または酸塩化物と式3のアミンとのカップリングにより調製されることが可能である。
【0357】
【化41】
【0358】
式1cの化合物(EがE−2である式1)はまた、スキーム10に例示されているとおり、式15の化合物と式16の化合物とを反応させることにより調製されることが可能である。この反応は、エタノール、テトラヒドロフランまたは水などの溶剤中に、および、任意により、酢酸、塩酸または硫酸などの酸触媒の存在下に実施されることが可能である。式16の酸塩もまた、好ましくは、ピリジンまたはトリエチルアミンなどの少なくとも1モル当量の酸掃去剤の存在下で、スキーム10の方法において用いられることが可能である。アミンとの塩の形成に用いられる典型的な酸としては、塩酸、シュウ酸およびトリフルオロ酢酸が挙げられる。アミンとカルボニル化合物との反応は周知であり、例えば、S.Dayagi et al.,The Chemistry of the Carbon−Nitrogen Double Bond,ed.S.Patei,Interscience,New York 1970;S.R.Sandler et al.,Organic Functional Group Preparations,Academic Press,New York 1972,3,372、および、G.Hilgetag et al.,Preparative Organic Chemistry,John Wiley & Sons,New York 1972,504−515を参照のこと。式15の化合物は、公知であるか、または、当業者に公知の方法により調製されることが可能である。式16の化合物は、直接的に、または、式16の対応するNが保護された化合物の脱保護により調製されることが可能である。式16の対応するNが保護された化合物は、スキーム1、2、3および4について既に記載のものと同様の方法によって調製されることが可能である。好適なNが保護された窒素の選択および使用は当業者には明らかであろう;代表例については、T.W.Greene and P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,2nd ed.;Wiley:New York,1991を参照のこと。
【0359】
【化42】
【0360】
スキーム11に示されているとおり、式1d〜1gの一定の化合物(EがE−3であると共にWが、OR18、SR19、NR2021またはCNである式1)は、式17
のイミドイルクロリドと式18の化合物とを酸掃去剤の存在下に反応させることにより調製されることが可能である。好適な酸掃去剤としては、これらに限定されないが、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミンおよびピリジンなどのアミン塩基、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムなどの水酸化物、ならびに、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムなどの炭酸塩が挙げられる。代わりに、式17の化合物と式18の化合物とを酸掃去剤の不在下に接触させて式1d〜1fの化合物を対応するHCl塩(これらもまた本発明の化合物である)としてもたらすことが可能である。所望の場合には、HCl塩が標準的な方法によって塩基から遊離されて式1d〜1fの化合物がもたらされることが可能である。反応が酸掃去剤と共に、もしくは、酸掃去剤を伴わずに実施されたかにかかわらず、この反応は、典型的には、好適な有機溶剤中に約−20〜100℃の温度で実施される。多様な溶剤を用いてこの方法に好適な溶剤を形成することが可能であり、例えば、アセトニトリルなどのニトリル、テトラヒドロフランなどのエーテル、および、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素、および、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド、ならびに、これらの混合物が挙げられる。式1d〜1gの化合物は、一般に、それぞれ、イソ尿素、イソチオ尿素、グアニジンおよびシアノアミジンと分類されることが可能である。化合物のこれらの分類に関する最先端の文献については、J.Lon Mathias,Organic Preparations and Procedures International 1980,12(5),309−326;Comprehensive Organic Chemistry,vol.2,I.O.Sutherland,Ed.,Pergamon Press,Oxford;Rodd’s Chemistry of Carbon Compounds,vol.1C,Elsevier,New York;A.R.Katritzky et al.,J.Organic Chem.2004,69,309−313を参照のこと。当業者は、式1d、1fおよび1gの一定の化合物は、式1eの対応する化合物から、式18の適切な化合物での処理により調製されることが可能であることを認識するであろう。例えば、チウロニウム塩の調製、および、そのグアニジンへの転換は文献中に記載されており、C.R.Rasmussen et al.,Synthesis 1988,6,460−466を参照のこと。式17のイミドイルクロリドは、式1bの化合物(EがE−1であり、AがNHである式1)から、ジクロロメタンなどの溶剤中に、塩化チオニル、オキシ塩化リンまたは五塩化燐で処理することにより調製されることが可能である。典型的な反応条件については、例えば、W.Zielinski et al.,Heterocycles 1998,48,319−327または国際公開第2009/094445号パンフレットを参照のこと。式18の化合物の多くが市販されていると共に、化学技術分野において十分に記述されている方法によって調製されることが可能である。
【0361】
【化43】
【0362】
スキーム12に示されている代替的な手法においては、式1d〜1fおよび式1hの一定の化合物(EがE−3であると共に、WがCR22である式1)は、スキーム11に記載のものと同様の条件を用いて、式3のアミンと式19のイミドイルクロリドとを反応させることにより調製されることが可能である。式19のイミドイルクロリドの多くは、技術分野において開示されている方法によって調製されることが可能であり、例えば、R.Bonnett,The Chemistry of the Carbon−Nitrogen Double Bond, S. Patei, Ed., Interscience Publishers、およびその中で引用されている文献を参照のこと。式19のイミドイルクロリドのいくつかは市販されている(例えば、R1bがフェニル、置換フェニルまたは低級アルキルであると共に、WがOMe、SMeまたはN(Me)である式19は商業的に入手可能である)と共に、化学技術分野において十分に記述されている方法によって調製されることが可能である。
【0363】
【化44】
【0364】
スキーム11および12は、式1eの化合物を調製する単に2つの方法の代表である。スキーム13に示されている他の方法において、式1eの化合物は、式1bのチオ尿素(EがE−1であり、AがNHであり、および、WがSである式1)と、Yがハライド(例えば、Cl、Br、I)またはスルホネート(例えば、メシレート、トリフレート、p−トルエンスルホネート)等などの求核反応脱離基である式20の化合物のアルキル化剤またはアシル化剤とを反応させることにより調製されることが可能である。この方法は、酸掃去剤および好適な有機溶剤の存在下に、約0〜100℃の温度で実施されることが可能である。好適な溶剤としては、例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、および、これらの混合物が挙げられる。好適な酸掃去剤は、例えば、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミンおよびピリジンなどのアミン塩基、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムなどの水酸化物、ならびに、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムなどの炭酸塩を含む。代わりに、式1bの化合物と式20の化合物とを酸掃去剤の不在下に接触させて、式1eの対応するイソチウロニウム塩(これらもまた本発明の化合物である)をもたらすことが可能である。その後の反応において、これらの塩が技術分野において記載されている標準的な方法を用いて塩基から遊離されて式1eの化合物をもたらすことが可能である。チウロニウム塩の調製、および、そのグアニジンへの転換を例示する一例については、C.R.Rasmussen et al.,Synthesis 1988,6,460−466、または、国際公開第2009/094445号パンフレットを参照のこと。式20の化合物の多くが公知であると共に、技術分野において開示されている一般的な方法によって調製されることが可能である。
【0365】
【化45】
【0366】
式1eの化合物はまた、スキーム14に例示されているとおり、式3のアミンと式21のジチオカルバミン酸とを反応させることにより調製されることが可能である。スキーム14の反応は、典型的には、好適な溶剤中に、約0〜100℃の温度で実施される。好適な溶剤の例としては、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、および、これらの混合物が挙げられる。式21のジチオカルバミン酸は、Alvarez−Ibarra et al.,Organic Preparations and Procedures 1991,23(5),611−616の一般的な方法に準拠して、対応するアミン、二硫化炭素、および、2当量の塩基から、その後に続く、アルキル化剤での処理により調製されることが可能である。
【0367】
【化46】
【0368】
22がHである式1hの一定の化合物は、スキーム15に示されているとおり、式3のアミンを式22のメトキシまたはエトキシイミンで処理することにより調製されることが可能である。式22のイミンは、対応するアミンから入手可能である。この手法は、アミンを、トリメチルオルトホルメートまたはトリエチルオルトホルメートと共に、触媒量のp−トルエンスルホン酸の存在下で、トルエンまたはキシレン中に加熱するステップを含む。
【0369】
【化47】
【0370】
X中の炭素がvを介してG中の窒素原子に結合している式1の化合物は、スキーム16に示されているとおり、塩基の存在下における、式23の化合物中の適切な脱離基(すなわちY)の式24の窒素含有複素環での置換により調製されることが可能である。好適な塩基と共に水素化ナトリウムまたは炭酸カリウムが挙げられ、この反応は、0〜80℃でN,N−ジメチルホルムアミドまたはアセトニトリルなどの溶剤中に実施されることが可能である。式23の化合物中の好適な脱離基としては、臭化物、ヨウ化物、メシレート(OS(O)CH)、トリフレート(OS(O)CF)等が挙げられる。式23の化合物は、YがOHである対応する化合物から、技術分野において公知である一般的な方法を用いて調製されることが可能である。
【0371】
【化48】
【0372】
X中の窒素がvを介してG中の炭素原子に結合している式1の化合物は、スキーム17に示されているとおり、式25の化合物と、Yが脱離基(例えば、臭化物、ヨウ化物、メシレート(OS(O)CH)、トリフレート(OS(O)CF)等)である式26のヘテロ環式化合物との反応により調製されることが可能である。この反応は、炭酸カリウムなどの塩基の存在下で、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミドまたはアセトニトリルなどの溶剤中に、約0〜80℃の温度で実施されることが可能である。式26の化合物は、YがOHである対応する化合物から当業者に公知の方法によって調製されることが可能である。
【0373】
【化49】
【0374】
式1の化合物はまた、スキーム18に示されているとおり、式27の好適に官能基化された化合物と、式28の好適に官能基化された化合物との反応により調製されることが可能である。官能基YおよびYは、特にこれらに限定されないが、アルデヒド、ケトン、エステル、酸、アミド、チオアミド、ニトリル、アミン、アルコール、チオール、ヒドラジン、オキシム、アミジン、アミドオキシム、オレフィン、アセチレン、ハライド、ハロゲン化アルキル、メタンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、ボロン酸、ボロネート等などの部分から選択され、これらは、適切な反応条件下で、種々の複素環Gの構築を許容することとなる。一例として、Yがチオアミド基である式27の化合物と、Yがブロモアセチル基である式28の化合物との反応は、Gがチアゾール環である式1の化合物をもたらすこととなる。
【0375】
合成文献が、5員芳香族複素環(例えば、G−1〜G−48)を形成するための多くの一般的な方法を記載している;例えば、Comprehensive Heterocyclic Chemistry,Vol.4−6,A.R.Katritzky and C.W.Rees editors,Pergamon Press,New York,1984;Comprehensive Heterocyclic Chemistry II,Vol.2−4,A.R.Katritzky,C.W.Rees,and E.F.Scriven editors,Pergamon Press,New York,1996;および、the series,The Chemistry of Heterocyclic Compounds,E.C.Taylor,editor,Wiley,New Yorkを参照のこと。所望の複素環Gを構成するためにどのように適切な官能基を選択するかは当業者には公知である。式28の化合物は公知であるか、または、技術分野において公知である方法によって調製されることが可能である。
【0376】
【化50】
【0377】
GがG環窒素を介してC(=W)Zに結合している式1の化合物はまた、スキーム19に示されているとおり、式31のC(=W)Z上の適切な脱離基Yの、式30の化合物での、塩基の存在下における置換によって調製されることが可能である。好適な塩基としては、トリエチルアミンまたはN,N−ジイソプロピルエチルアミンが挙げられ、この反応は、エタノールまたはテトラヒドロフランなどの溶剤中に、約0〜80℃の温度で実施される。式31の化合物などの好適な脱離基としては、例えば、塩素、臭化物等が挙げられる。式31の化合物は、YがHである対応する化合物から、アセトニトリルまたはN,N−ジメチルホルムアミドなどの溶剤中における、0〜100℃の温度での、N−クロロスクシンイミドなどの塩素化剤でのハロゲン化により調製されることが可能である。式31の化合物はまた、技術分野において公知である追加の方法によって調製されることが可能である;例えば、Comprehensive Organic Functional Group Transformation,Vol.5,A.R.Katritzky,O.Meth−Cohn,and C.W.Rees editors,Elsevier Science Inc.,New York,1995、(例えば、664〜674ページのヒドロキサモイルハロゲン化物、および、675〜682ページのヒドラゾニルハライド)を参照のこと。
【0378】
【化51】
【0379】
スキーム20に示されているとおり、式1の化合物はまた、式32の化合物と、HZで示されているZ中のヘテロ原子が水素に結合している式33の求核試薬とを反応させることにより調製されることが可能である。式32の化合物の反応条件および調製は、上記スキーム19に記載のものと同様である。
【0380】
式33の求核試薬の多くは公知であるか、または、技術分野において公知である一般的な方法によって調製されることが可能である。
【0381】
【化52】
【0382】
スキーム21に示されているとおり、式1のオキシムおよびヒドラゾンは、当業者に公知の方法によって容易に調製されることが可能である。例えば、式1のオキシムは、WがNOR12である場合、対応するO置換ヒドロキシルアミンまたは塩酸ヒドロキシルアミン34と、ZがH以外であるフラグメントに結合している炭素であるケトン29またはZがHであるアルデヒド29とを反応させることにより調製されることが可能である。これらの反応は、典型的には、0〜80℃で、エタノールまたはテトラヒドロフランなどの溶剤中に、トリエチルアミンまたはピリジンなどの塩基の存在下で行われる;例えば、国際公開第2008/006874号パンフレットを参照のこと。当業者は、シンおよびアンチ異性体の混合物がもたらされ得ることを認識するであろう。
【0383】
【化53】
【0384】
式1のヒドラゾンは、WがNNR1314である場合、ZがHであるアルデヒド29、または、Zが、H以外のフラグメントに結合している炭素であるケトン29を、ヒドラジンまたは置換ヒドラジンと共に、エタノールまたはテトラヒドロフランなどの溶剤中で加熱することにより同様に調製されることが可能である;例えば、A.J.Turbiak and H.D.H.Showalter,Synthesis 2009,23,4022−4026を参照のこと。
【0385】
この反応はまた、酸の存在下に実施されることが可能である;例えば、R.Kulandasamy et al.,European Journal of Medicinal Chemistry 2009,44(11),4376−4384を参照のこと。多くの追加の方法が当業者に公知であり、これらを用いて、式1のオキシムおよびヒドラゾンを調製することが可能である;例えば、Comprehensive Organic Functional Group Transformation,Vol.3,A.R.Katritzky,O.Meth−Cohn,and C.W.Rees editors,Elsevier Science Inc.,New York,1995、(例えば、425〜429ページのオキシムおよび444〜448ページのヒドラゾン)を参照のこと。
【0386】
式34、35および36の化合物の多くが市販されている。加えて、多くの一般的な方法が、式34および35の化合物の調製のために合成文献に記載されている;例えば、Comprehensive Organic Functional Group Transformation,Vol.2,A.R.Katritzky,O.Meth−Cohn,and C.W.Rees editors,Elsevier Science Inc.,New York,1995、(例えば、34、102〜103ページのヒドロキシアミン、および、35、373〜376ページのヒドラジン)を参照のこと。
【0387】
ZがHである式29aのアルデヒドおよびZがCHである式29bのケトンを調製する方法が記載されている国際公開第2009/055514号パンフレット、ならびに、その中で引用されている文献が、式29の化合物を調製するために特に有用である。
【0388】
式29cのα,β不飽和ケトンもまた特に有用である。これらは、式29bのメチルケトンと式37のアルデヒドとを塩基性アルミナなどの温和なルイス酸触媒の存在下で反応させることにより調製される;例えばR.S.Varma,et.al.Synthetic Communication 1985,15(4),279−284、および、その中で引用されている文献を参照のこと。この反応は、そのままで、または、ジクロロメタンなどの塩素化溶剤中で実施されることが可能である。この方法は実施例2、ステップAにおいて例示されている。
【0389】
【化54】
【0390】
がNOR12であると共にZがCHCH(OH)Qである式1iの化合物は、スキーム23にアウトラインされている3つのステップにおいて調製されることが可能である。変性向山アルドール反応においては、式29bのケトンが式37のアルデヒドと、1,1,1−トリフルオロ−メタンスルホン酸、(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシリルエステルなどのシリル化剤、および、N−エチル−N−(1−メチルエチル)−2−プロパンアミンなどの温和な塩基の存在下に反応される;例えば、C.W.Downey J.Org.Chem.2008,73(8),3299−3302を参照のこと。式29dの中間体シリルアルコールは、スキーム23に記載されているとおりオキシムに転換される。次いで、Oシリル保護基が、テトラ−n−ブチルアンモニウムフッ化物などのフッ化物源で除去されて式1iの化合物がもたらされる。これらの変換の詳細な説明は、以下の実施例6の合成に見出されることが可能である。
【0391】
【化55】
【0392】
合成文献は多くのケトン形成法を含んでいるため、スキーム21、22および23の合成手法は、式29のケトンの調製に有用な広く多様な方法の単なる代表例である。
【0393】
当業者はまた、スキーム24に示されているとおり、WがNOR12またはNNR1314(式中、R12はHであり、および、R1314の一方または両方はHである)である式1の化合物は、種々の求電子性、求核性、ラジカル、有機金属、酸化および還元反応に供されて、置換基の付加、または、既存の置換基の変性が可能であることを認識するであろう。WがNO(C=O)Meであるアシル化およびWがNOCHCHであるアルキル化の例が、それぞれ、以下の合成実施例3および実施例1、ステ
ップFに記載されている。
【0394】
【化56】
【0395】
式3のアミンは、スキーム25に示されているとおり、Y12がアミン保護基である式39の化合物から、脱保護反応を介して調製されることが可能である。アミン保護基の幅広いアレイがスキーム25の方法に好適であり(例えば、T.W.Greene and P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,2nd ed.;Wiley:New York,1991を参照のこと)、および、適切な保護基の選択は化学合成における当業者には明らかであろう。脱保護の後、式3のアミンは、技術分野において公知である一般的な方法によってその酸塩または遊離アミンとして単離されることが可能である。
【0396】
【化57】
【0397】
当業者は、多くの式39の化合物は、基EがY12によって置き換えられている上記のスキーム16〜23に記載のものと同様の方法によって調製されることが可能であることを認識するであろう。それ故、EがY12によって置き換えられている、式23、25、27、29、29a、29b、29c、30および32に対応する化合物は、式1の化合物の調製に有用な中間体である。
【0398】
式40のチオアミドは、式1の化合物および39の化合物の調製に特に有用な中間体である。式40のチオアミドは、スキーム26に示されているとおり、硫化水素の式41の対応するニトリル(式中、Y13は、X中のvで炭素に結合しているニトリル部分である)に対する付加によって調製されることが可能である。スキーム26の方法は、ピリジン、ジエチルアミンまたはジエタノールアミンなどのアミンの存在下に、式41の化合物を硫化水素と接触させることにより実施されることが可能である。あるいは、硫化水素をその二硫化塩の形態で、アルカリ金属またはアンモニアと共に用いることが可能である。このタイプの反応は文献中に十分に記述されている;例えば、欧州特許第696581号明細書を参照のこと。
【0399】
スキーム26にも示されているとおり、式40のチオアミドは、J.L.Collins,et.al.,J.Med.Chem.1998,41(25),5037−5054に記載されているとおり、式41の化合物(式中、Y13はHであると共に、X中のvで窒素に結合している)を反応させ、チオカルボニルジイミダゾールと接触させ、続いて、アンモニアで処理することにより調製可能である。
【0400】
【化58】
【0401】
上記スキームに記載されている核である6員複素環系および7員複素環系(式1中のX)は公知であるか、または、当業者に公知の方法によって調製されることが可能である。合成文献には、飽和および部分飽和6員複素環系および7員複素環系を形成するための多くの一般的な方法が記載されている。例えば、Comprehensive Heterocyclic Chemistry,Vol.3 and 7,A.R.Katritzky and C.W.Rees editors,Pergamon Press,New York,1984;Comprehensive Heterocyclic Chemistry II,Vol.6 and 9,A.R.Katritzky,C.W.Rees,and E.F.Scriven editors,Pergamon Press,New York,1996;および、series,The Chemistry of Heterocyclic Compounds,E.C.Taylor,editor,Wiley,New Yorkを参照のこと。加えて、多くのこれらの環系の数多くの特定の例を、当業者に公知であるScifinderおよびBielsteinなどの電子データベースを用いる構造サーチを通じて合成文献の原本中に見いだすことが可能である。当業者は、所望の複素環を構築するために適切な保護基および官能基をどのように選択するかを知っているであろう。
【0402】
例えば、核となる複素環がヘキサヒドロピリダジン(例えば、X−5)である中間体シアノ化合物41aは、スキーム27にアウトラインされている3つのステップシーケンスによって調製されることが可能である。テトラヒドロピリダジン42は酢酸第二水銀の存在下でヒドロキシル化されて化合物43がもたらされる(Vartanyan,R.S.et al.Armyanskii Khimicheskii Zhurnal 1991,44(4),259を参照のこと)。化合物43中の水酸基は、その対応するメシレートに転換され、および、標準的な方法を用いてシアン化物アニオンで置換されて化合物41aがもたらされることが可能である。
【0403】
【化59】
【0404】
第2の例において、核となる複素環がテトラヒドロ−1,2−オキサジン(例えば、X−4)である中間体シアノ化合物41bは、スキーム28にアウトラインされている8つのステップにおいて調製されることが可能である。トリオール44の第1位にある水酸基が保護され、第2位にある水酸基がメシル化されると共にシアン化物により置換され、続いて、脱保護されてシアノジオール46がもたらされる。メシル化に続く塩基処理によりオレフィン47がもたらされ、メシル基が、O,Nジ保護ヒドロキシルアミンによって置換される。O保護基は、塩基触媒環化により除去可能であり、これにより式41bの化合物がもたらされる。
【0405】
【化60】
【0406】
あるいは、テトラヒドロ−1,2−オキサジン(例えばX−4)は、Ensley,H.E.and Mahadevan,S.,Tetrahedron Lett.1989,30(25),3255に記載のとおり、ニトロシルヒドリドもしくはニトロソホルムアルデヒドの置換ジエンでの環付加により調製されることが可能であるか、または、Riddell,F.G.and Williams,D.A.R.,Tetrahedron 1974,30(9),1083により記載されているとおり置換1,4−ジブロモブタンとN−ヒドロキシウレタンとの反応により調製されることが可能である。
【0407】
式1の化合物の調製のために上記に記載したいくつかの試薬および反応条件は、中間体に存在している一定の官能基には適合可能ではない可能性があることが認識されている。これらの場合には、保護/脱保護シーケンス、または、官能基相互変換を合成に導入することで所望の生成物の入手が補助されることとなる。保護基の使用および選択は、化学合成における当業者には明らかであろう(例えば、Greene,T.W.;Wuts,P.G.M.Protective Groups in Organic Synthesis,2nd ed.;Wiley:New York,1991を参照のこと)。当業者は、いくつかの場合において、いずれかの個別のスキームにおいて示されている通り所与の試薬を導入した後、式1の化合物の合成を完了させるために、詳細には説明されていない追加の日常的な合成ステップを実施する必要性があり得ることを認識するであろう。当業者はまた、提示されている特定のシーケンスによって示唆されるものを除き、式1の化合物を調製するために、上記スキームに例示されているステップの組み合わせを実施する必要性があり得ることを認識するであろう。
【0408】
当業者はまた、本明細書に記載の式1の化合物および中間体は、種々の求電子性、求核性、ラジカル、有機金属、酸化および還元反応に供されて、置換基の付加、または、既存の置換基の変性が可能であることを認識するであろう。
【0409】
さらなる詳細を伴わずに、上記の記載を用いる当業者は本発明を最大限に利用することが可能であると考えられている。以下の例は、従って、単なる例示であって、本開示を如何様にも全く限定しないと解釈されるべきである。以下の例におけるステップは、合成形質転換全体における各ステップについての手法を例示しており、各ステップについての出発材料は、必ずしも、手法が他の実施例またはステップにおいて記載されている特定の調製実験によって調製されていなくてもよい。パーセンテージは、クロマトグラフ溶媒混合物、または、他に記載のある場合を除き、重量基準である。クロマトグラフ溶媒混合物に対する部およびパーセンテージは、他に示されていない限りにおいて体積基準である。H NMRスペクトルは、テトラメチルシランの低磁場側にppmで報告されており;「s」は一重項を意味し、「d」は二重項を意味し、「t」は三重項を意味し、「q」は四重項を意味し、「m」は多重項を意味し、「dd」は二重項の二重項を意味し、「dt」は三重項の二重項を意味し、「br s」は幅広の一重項を意味する。
【実施例】
【0410】
実施例1
2−[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−1−[4−[4−[−1−[(2−フェネチルエトキシ)イミノ]エチル]−2−チアゾリル]−1−ピペリジニル]エタノンの調製
ステップA:1−(2−クロロアセチル)−4−ピペリジンカルボニトリルの調製
4−ピペリジンカルボニトリル(200g、1.80mol)および40%炭酸カリウム水溶液(342g、0.99mol)のジクロロメタン(1L)中の混合物を−10℃に冷却し、クロロアセチルクロリド(210g、1.86mol)のジクロロメタン(300mL)中の溶液を、反応混合物を−10〜0℃に維持しながら、約75分間かけて添加した。添加が完了した後、反応混合物を分割し、上方の水性相をジクロロメタン(2×300mL)で抽出し、組み合わせた有機相を減圧下で濃縮して312gの表題の化合物を液体として得たが、これは静置するとゆっくりと結晶化した。この化合物は、その後の反応における使用に十分な純度のものであった。
H NMR(CDCl):δ1.8−2.1(m,4H),2.95(m,1H),3.5−3.8(m,4H),4.08(q,2H)。
【0411】
ステップA1:1−(2−クロロアセチル)−4−ピペリジンカルボニトリルの代替的調製
N−(1,1−ジメチルエチル)−4−ピペリジンカルボキサミド(201g、1.0mol)のジクロロメタン(1L)中の溶液を窒素下で−5℃に冷却し、300mLのジクロロメタン中のクロロアセチルクロリド(124g、1.1mol)を、反応混合物を0〜5℃に維持しながら、30分間かけて滴下した。次いで、20%炭酸カリウム水溶液(450g、0.65mol)を、反応温度を0〜5℃に維持しながら30分間かけて滴下した。反応混合物を0℃でさらに30分間撹拌し、次いで、室温に温めさせた。層を分離し、水性層をジクロロメタン(200mL)で抽出した。組み合わせたジクロロメタン層を減圧下で濃縮して固体を得、これを400mLのヘキサンで倍散させた。スラリーをろ過し、フィルタケーキを100mLのヘキサンで洗浄し、50℃の真空オーブン中で一晩乾燥させて185.5gの1−(2−クロロアセチル)−N−(1,1−ジメチルエチル)−4−ピペリジンカルボキサミドを、140.5〜141.5℃で溶融する固体として得た。
H NMR(CDCl):δ1.35(s,9H),1.6−2.0(m,4H),2.25(m,1H),2.8(t,1H),3.2(t,1H),3.9(d,1H),4.07(s,2H),4.5(d,1H),5.3(br s,1H)。
【0412】
1−(2−クロロアセチル)−N−(1,1−ジメチルエチル)−4−ピペリジンカルボキサミド(26.1g、0.10mol)のN,N−ジメチルホルムアミド(35mL)中の溶液に、オキシ塩化リン(18.8g、0.123mol)を、反応混合物の温度を37℃に昇温させながら、30分間かけて滴下した。反応混合物を55℃で1時間加熱し、次いで、温度を約10℃に維持するよう氷冷した水(約150g)にゆっくりと添加した。反応混合物のpHを50%NaOH水溶液で5.5に調節した。混合物をジクロロメタン(4×100mL)で抽出し、組み合わせた抽出物を減圧下で濃縮して18.1gの表題の化合物を固体として得た。この化合物は、その後の反応における使用に十分な純度のものであった。
【0413】
ステップB:1−[2−[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]アセチル]−4−ピペリジンカルボニトリルの調製
3−メチル−5−トリフルオロメチルピラゾール(9.3g、62mmol)および45%水酸化カリウム水溶液(7.79g、62mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(25mL)中の溶液を5℃に冷却し、1−(2−クロロアセチル)−4−ピペリジンカルボニトリル(すなわち、実施例1、ステップAまたはA1の生成物)(11.2g、60mmol)を添加した。反応混合物を5〜10℃で8時間撹拌し、次いで、水(100mL)で希釈し、ろ過した。フィルタケーキを水で洗浄し、真空オーブン中に50℃で乾燥させて15gの表題の化合物を、その位置異性体、すなわち1−[2−[3−メチル−5−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]アセチル]−4−ピペリジンカルボニトリルを3%含有する固体として得た。
H NMR(CDCl):δ1.88(m,4H),2.32(s,3H),2.95(m,1H),3.7(m,4H),5.0(q,2H),6.34(s,1H)。
【0414】
ステップC:1−[2−[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]アセチル]−4−ピペリジンカルボチオアミドの調製
1−[2−[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]アセチル]−4−ピペリジンカルボニトリル(すなわち、実施例1、ステップBの生成物)(9.0g、30mmol)およびジエタノールアミン(3.15g、30mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(15mL)中の溶液に、50℃で、ドライアイス凝縮器を備えるフラスコ中で硫化水素ガスを通気させた。コールドフィンガーへの凝縮によって示される反応混合物の硫化水素による飽和で、硫化水素の供給を停止した。反応混合物を50℃でさらに30分間撹拌した。次いで、過剰量の硫化水素ガスを液面下の窒素流によりスパージさせ、水(70mL)をゆっくりと添加した。反応混合物を5℃に冷却し、ろ過し、水(2×30mL)で洗浄した。フィルタケーキを50℃の真空オーブン中で乾燥させて、8.0gの表題の化合物を185〜186℃で溶融する固体として得た。
H NMR(CDCl):δ1.7(m,2H),2.0(m,2H),2.29(m,3H),2.65(t,1H),3.0(m,1H),3.2(t,1H),4.0(d,1H),4.6(d,1H),4.96(d,1H),5.4(d,1H),6.35(s,1H),7.4(br s,1H),7.5(br s,1H)。
【0415】
ステップD:1−[4−(4−アセチル−2−チアゾリル)−1−ピペリジニル]−2−[5−メチル−3−トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル)エタノンの調製
1−ブロモブタン−2,3−ジオン(12.4g、75.2mmol)および1−[2−[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]アセチル]−4−ピペリジンカルボチオアミド(すなわち、実施例1、ステップCの生成物)(20.0g、59.8mmol)のメタノール(300mL)中の混合物を室温で一晩撹拌した。反応を減圧下で濃縮し、得られた残渣をヘキサンおよびジエチルエーテルで倍散させ、ろ過し、空気乾燥させた。この固体をジクロロメタンと飽和重炭酸ナトリウムとの間に分割した。有機相を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、濃縮して粘性の油を得た。この油をヘキサンおよびジエチルエーテルで倍散して23.1gの表題の化合物を固体として得た。
H NMR(CDCl):δ1.73−1.90(m,2H),2.14−2.28(m,2H),2.33(s,3H),2.64(s,3H),2.81−3.00(m,1H),3.32(br s,2H),3.95−4.15(m,1H),4.50−4.69(m,1H),5.00(m,2H) 6.34(s,1H),8.05(s,1H)。
【0416】
ステップE:1−[4−[4−[1−(ヒドロキシイミノ)エチル)−2−チアゾリル]−1−ピペリジニル]−2−[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]エタノンの調製
1−[4−(4−アセチル−2−チアゾリル)−1−ピペリジニル]−2−[5−メチル−3−トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル)エタノン(すなわち、実施例1、ステップDの生成物)(4.5g、11.25mmol)および塩酸ヒドロキシルアミン(0.945g、13.5mmol)のメタノール(60mL)中の混合物を還流で6時間加熱した。反応混合物を減圧下で濃縮し、飽和重炭酸ナトリウムとジクロロメタンとの間に分割した。有機相を分離し、水性相をジクロロメタンでさらに二回抽出した。有機相を組み合わせ、飽和塩化ナトリウムで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、濃縮して4.2gの表題の化合物を得た。
H NMR(CDCl):δ1.55(s,3H),1.72−1.85(m,2H),2.13−2.28(m,2H),2.32(s,3H),2.78−2.94(m,1H),3.22−3.38(m,2H),4.05(d,1H),4.59(d,1H),4.99(dd,2H),6.34(s,1H),7.33(br.s,1H),7.43(s,1H)。
【0417】
ステップF:2−[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−1−[4−[4−[−1−[(2−フェネチルエトキシ)イミノ]エチル]−2−チアゾリル]−1−ピペリジニル]エタノンの調製
1−[4−[4−[1−(ヒドロキシイミノ)エチル)−2−チアゾリル]−1−ピペリジニル]−2−[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]エタノン(0.5g、1.2mmol)(すなわち、実施例1、ステップEの生成物)、(2−ブロモエチル)ベンゼン(0.277g、1.5mmol)および炭酸セシウム(0.487g、1.5mmol)のアセトニトリル(6mL)中の混合物を60℃で一晩加熱し、ジクロロメタンで希釈し、フリット付きSPEチューブ(Varian(登録商標)bond elute reservoir)を通してろ過した。反応を減圧下で濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン:酢酸エチル勾配)を介して精製して0.17gの表題の化合物を得た。
H NMR(CDCl):δ1.77(m,2H),2.10−2.38(m,8H),2.80−2.95(m,1H),3.04(t,2H),3.30(m,2H),4.02(d,1H),4.42(t,2H),4.58(d,1H),4.99(dd,2H),6.33(s,1H),7.15−7.38(m,5H),7.46(s,1H)。
【0418】
実施例2
3−(2,6−ジフルオロフェニル)−1−[2−[1−[2−[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]アセチル]−4−ピペリジニル]−4−チアゾリル]−2−プロペン−1−オン1−オキシムの調製
ステップA:3−(2,6−ジフルオロフェニル)−1−[2−[1−[2−[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]アセチル]−4−ピペリジニル]−4−チアゾリル]−2−プロペン−1−オンの調製
1−[4−(4−アセチル−2−チアゾリル)−1−ピペリジニル]−2−[5−メチル−3−トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル)エタノン(すなわち、実施例1、ステップDの生成物)(1.0g、2.5mmol)のジクロロメタン(20mL)中の溶液に2,6−ジフルオロベンズアルデヒド(0.45g、4.25mmol)を添加し、続いて、塩基性アルミナ(7.7g、75mmol)粉末を添加した。反応混合物を還流で20時間加熱した。冷却した後、懸濁した固体をろ過により回収し、ジクロロメタンで洗浄した。濾液を減圧下で濃縮し、得られた油をシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(1:1ヘキサン/酢酸エチル)によりさらに精製して、847mgの表題の化合物(式1Aの化合物)を固体フォームとして得た。
H NMR(CDCl):δ1.75−1.94(m,2H),2.17−2.31(m,2H),2.34(s,3H),2.87−3.05(m,1H),3.28−3.42(m,2H),4.02−4.17(m,1H),4.52−4.66(m,1H),4.91−5.09(m,2H),6.34(s,1H),6.91−7.04(m,2H),7.20−7.41(m,1H),7.96−8.16(m,2H),8.21(s,1H)。
【0419】
ステップB:3−(2,6−ジフルオロフェニル)−1−[2−[1−[2−[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]アセチル]−4−ピペリジニル]−4−チアゾリル]−2−プロペン−1−オン1−オキシムの調製
3−(2,6−ジフルオロフェニル)−1−[2−[1−[2−[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]アセチル]−4−ピペリジニル]−4−チアゾリル]−2−プロペン−1−オン(すなわち、実施例2、ステップAの生成物)(0.5g、0.93mmol)および塩酸ヒドロキシルアミン(0.078g、1.14mmol)のメタノール(10mL)中の溶液を還流で2時間加熱した。反応混合物を減圧下で濃縮し、ジクロロメタンと飽和重炭酸ナトリウムとの間に分割した。混合物をCelite(登録商標)抽出チューブ(ChemElute(登録商標)珪藻土系液体−液体交換カートリッジ)上に注ぎ入れ、ジクロロメタンで溶出し、濃縮して0.5gの表題の化合物を得た。
H NMR(CDCl):δ1.74−1.96(m,2H),2.15−2.40(m,5H),2.84−3.05(m,1H),3.35(d,2H),3.99−4.15(m,1H),4.51−4.65(m,2H),4.91−5.12(m,2H),6.34(br s,1H),6.83−7.04(m,2H),7.17−7.54(m,3H),7.78−8.26(m,2H).
【0420】
実施例3
3−(2,6−ジフルオロフェニル)−1−[2−[1−[2−[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]アセチル]−4−ピペリジニル]−4−チアゾリル]−2−プロペン−1−オン1−(O−アセチルオキム)の調製
3−(2,6−ジフルオロフェニル)−1−[2−[1−[2−[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]アセチル]−4−ピペリジニル]−4−チアゾリル]−2−プロペン−1−オン1−オキシム(すなわち、実施例2、ステップBの生成物)(0.10g、0.189mmol)、塩化アセチル(0.017g、0.22mmol)およびトリエチルアミン(0.022g、0.22mmol)のジクロロメタン(5mL)中の溶液を2時間撹拌し、1mLの1N塩酸と共に振盪した。混合物をCelite(登録商標)抽出チューブ上に注ぎ入れ、ジクロロメタンで溶出し、濃縮して0.11gの粗材料を得、これをシリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン−酢酸エチル勾配)を介して精製して0.11gの表題の化合物を得た。
H NMR(CDCl):δ1.53−1.67(m,1H),1.75−1.93(m,2H),2.11−2.44(m,6H),2.93(t,1H),3.25−3.44(m,2H),3.93−4.20(m,1H),4.44−4.66(m,1H),5.00(s,2H),6.33(s,1H),6.83−7.05(m,2H),7.17−7.38(m,2H),7.44(d,1H),7.69−7.90(m,2H)。
【0421】
実施例4
3−(2,6−ジフルオロフェニル)−1−[2−[1−[2−[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]アセチル]−4−ピペリジニル]−4−チアゾリル]−2−プロペン−1−オン1−(O−メチルオキシム)の調製
3−(2,6−ジフルオロフェニル)−1−[2−[1−[2−[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]アセチル]−4−ピペリジニル]−4−チアゾリル]−2−プロペン−1−オン(すなわち、実施例2、ステップAの生成物)(0.25g、0.48mmol)およびメトキシアミン塩酸塩(0.047g、0.58mmol)のメタノール(10mL)中の混合物を60℃で一晩加熱した。この反応を減圧下で濃縮し、ジクロロメタンと飽和重炭酸ナトリウムとの間で分割した。混合物をCelite(登録商標)抽出チューブ(ChemElute(登録商標)珪藻土系液体−液体交換カートリッジ)からジクロロメタンで溶出し、濃縮して0.26gの表題の化合物を得た。
H NMR(CDCl):δ1.85(m,2H),2.10−2.41(m,5H),2.85−3.05(m,1H),3.33(m,2H),3.94−4.16(m,4H),4.47−4.61(m,1H),4.99(br s,2H),6.33(br s,1H),6.91(br s,2H),7.12−7.35(m,2H),7.47−7.60(m,1H),7.69−8.05(m,1H)。
【0422】
実施例5
3−(2,6−ジフルオロフェニル)−1−[2−[1−[2−[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]アセチル]−4−ピペリジニル]−4−チアゾリル]−1−プロパノン1−オキシムの調製
3−(2,6−ジフルオロフェニル)−1−[2−[1−[2−[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]アセチル]−4−ピペリジニル]−4−チアゾリル]−2−プロペン−1−オン(すなわち、実施例2、ステップAの生成物)(0.25g、0.48mmol)、亜鉛粉剤(0.25g、3.8mmol)および飽和塩化アンモニウム(0.25mL)のエタノール(5mL)中の混合物を一晩撹拌し、乾燥するまで濃縮し、ジクロロメタンで処理し、ろ過した。濾液を濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン:酢酸エチル勾配)を介して精製して、0.025gの3−(2,6−ジフルオロフェニル)−1−[2−[1−[2−[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]アセチル]−4−ピペリジニル]−4−チアゾリル]−1−プロパノンを得た。
【0423】
この中間体を2mLのメタノール中に採り、5滴の50%水性ヒドロキシルアミンで処理した。溶液を60℃で30分間加熱し、減圧下で濃縮して0.025gの表題の化合物を得た。
H NMR(CDCl):δ1.82(br s,2H),2.11−2.27(m,2H),2.27−2.39(m,3H),2.84−3.18(m,5H),3.31(d,2H),4.03(d,1H),4.52(d,1H),4.90−5.11(m,2H),6.34(s,1H),6.77−6.91(m,2H),7.14(m,1H),7.44(s,1H),8.10(br s,1H)。
【0424】
実施例6
3−(2,6−ジフルオロフェニル)−3−ヒドロキシ−1−[2−[1−[2−[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]アセチル]−4−ピペリジニル]−4−チアゾリル]−1−プロパノン1−オキシムの調製
ステップA:3−(2,6−ジフルオロフェニル)−3−[[(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシリル]オキシ]−1−[2−[1−[2−[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]アセチル]−4−ピペリジニル]−4−チアゾリル]−1−プロパノン1−オキシムの調製
2,6−ジフルオロベンズアルデヒド(0.177g、1.25mmol)のジクロロメタン(5mL)中の溶液に、N−エチル−N−(1−メチルエチル)−2−プロパンアミン(0.436ml、2.5mmol)および1,1,1−トリフルオロ−メタンスルホン酸、(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシリルエステル(0.430mL、1.875mmol)を添加した。反応を15分間撹拌し、1−[4−(4−アセチル−2−チアゾリル)−1−ピペリジニル]−2−[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル)エタノン(すなわち、実施例1、ステップDの生成物)(0.5g、1.25mmol)をジクロロメタン(2mL)中に溶解させた溶液を5分間かけて滴下した。得られた反応を6時間撹拌し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィ(20%酢酸エチル:ヘキサン〜100%酢酸エチル流出液)を介して精製して0.62gの表題の化合物を得た。
H NMR(CDCl):δ−0.17(s,3H),−0.04(s,3H),0.74(s,9H),1.73−1.93(m,2H),2.12−2.28(m,2H),2.34(s,3H),2.87−3.06(m,1H),3.21−3.43(m,3H),3.91−4.09(m,2H),4.47−4.64(m,1H),4.92−5.10(m,2H),5.74−5.89(m,1H),6.40(s,1H),6.79−6.95(m,2H),7.17−7.26(m,1H),8.08(s,1H)。
【0425】
ステップB:3−(2,6−ジフルオロフェニル)−3−[[(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシリル]オキシ]−1−[2−[1−[2−[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]アセチル]−4−ピペリジニル]−4−チアゾリル]−1−プロパノン1−オキシムの調製
3−(2,6−ジフルオロフェニル)−3−[[(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシリル]オキシ]−1−[2−[1−[2−[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]アセチル]−4−ピペリジニル]−4−チアゾリル]−1−プロパノン1−オキシム(すなわち、実施例6、ステップAの生成物)(0.62g、0.945mmol)のメタノール(10ml)中の溶液に50%水性ヒドロキシルアミン(4.26mmol)を添加した。反応を還流で4時間加熱し、減圧下で濃縮した。得られた油状の残渣をジクロロメタン中に溶解させ、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、濃縮して0.6gの表題の生成物を得た。この化合物は、その後の反応における使用に十分な純度のものであった。
H NMR(CDCl3):δ−0.22〜−0.19(m,3H),−0.13(s,3H),0.69(s,9H),1.70−1.88(m,2H),2.12−2.28(m,2H),2.34(s,3H),2.86−2.96(m,1H),3.26−3.39(m,3H),3.45−3.57(m,2H),3.99−4.10(m,1H),4.52−4.62(m,1H),5.01(s,2H),5.63−5.72(m,1H),6.35(s,1H),6.78−6.90(m,2H),7.14−7.24(m,1H),7.54(s,1H)。
【0426】
ステップC:3−(2,6−ジフルオロフェニル)−3−ヒドロキシ−1−[2−[1−[2−[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]アセチル]−4−ピペリジニル]−4−チアゾリル]−1−プロパノン1−オキシムの調製
3−(2,6−ジフルオロフェニル)−3−[[(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシリル]オキシ]−1−[2−[1−[2−[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]アセチル]−4−ピペリジニル]−4−チアゾリル]−1−プロパノン1−オキシム(すなわち、実施例6、ステップBの生成物)(0.25g、0.37mmol)のテトラヒドロフラン(5mL)中の溶液に、テトラ−n−ブチルアンモニウムフッ化物のテトラヒドロフラン(0.55mL)中の1M溶液を添加した。得られた溶液を室温で2時間撹拌し、減圧下で濃縮し、最低限のジクロロメタンおよび水で処理した。得られた混合物をCelite(登録商標)抽出チューブ(ChemElute(登録商標)珪藻土系液体−液体交換カートリッジ)でジクロロメタンで溶出し、濃縮して0.225gの表題の化合物を得た。
H NMR(CDCl):δ1.70−1.88(m,2H),2.08−2.26(m,2H),2.33(s,3H),2.77−2.99(m,1H),3.15−3.42(m,3H),3.49−3.68(m,1H),3.93−4.07(m,1H),4.47−4.60(m,1H),5.00(d,2H),5.44−5.58(m,1H),6.33(s,1H),6.73−6.95(m,2H),7.15−7.24(m,1H),7.40(s,1H),7.48−7.54(m,1H)。
【0427】
実施例7
1−[4−(4−ヒドロキシイミノ)フェニルメチル]−2−チアゾリル)−1−ピペリジニル]−2−[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−パラゾール−1−イル]エタノンの調製
ステップA:3−ブロモ−1−フェニル−1,2−プロパンジオンの調製
1−フェニル−1,2−プロパンジオン(5g、34.0mmol)の1,2−ジクロロエタン(100mL)中の溶液に、臭素(1.71mL、5.33g、33.3mmol)を滴下した。溶液を室温で1.5時間撹拌し、減圧下で濃縮して7.5gの表題の化合物(25%)と未反応の1−フェニル−1,2−プロパンジオン(75%)との混合物を茶色の液体として得た。この混合物は、その後の反応における使用に十分な純度のものであった。
H NMR(CDCl):δ4.39(s,2H),7.50(t,2H),7.60−7.75(m,1H),8.08(d,2H)。
【0428】
ステップB:1−[4−(4−ベンゾイル−2−チアゾリル)−1−ピペリジニル]−2−[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−パラゾール−1−イル]エタノンの調製
1−フェニル−1,2−プロパンジオン(75%)(すなわち、実施例7、ステップAの生成物)(6.5g、7.2mmol)を含有する3−ブロモ−1−フェニル−1,2−プロパンジオン(25%)と、1−[2−[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]アセチル]−4−ピペリジンカルボチオアミド(2.4g、7.2mmol)とのアセトン(125mL)中の混合物を室温で一晩撹拌した。混合物を減圧下で濃縮した。得られた固形分をろ過し、ジエチルエーテルですすぎ、酢酸エチルと水との間に分割した。相を分離させ、下方の水性相を酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。組み合わせた有機相を塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、シリカゲルで濃縮させた。酢酸エチル(100%)での溶出、ならびに、n−塩化ブチルおよびヘキサンでの倍散により、1−[4−(ベンゾイル−4,5−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−2−チアゾリル−1−ピペリジニル]]−2−[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]エタノンを得た。
【0429】
サンプルを同様に調製し、MPLCにより精製して以下のNMRを得た。
H NMR(CDCl):δ1.65−1.83(m,2H),2.05−2.15(m,2H),2.30(s,3H),2.85−2.96(m,2H),3.20−3.30(m,1H),3.43(d,1H),3.90−4.00(m,2H),4.45(d,1H),4.95(s,2H),5.20(d,1H),6.32(s,1H),7.47(t,2H),7.60(t,1H),7.90(d,2H)。
【0430】
この中間体の溶液、トリフルオロ酢酸(5mL)およびジクロロメタン(10mL)を室温で4時間撹拌した。反応を減圧下で濃縮し、水と酢酸エチルとの間に分割した。下方の水性相を酢酸エチル(2×30mL)で抽出し、有機相を組み合わせ、塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して2.5gの表題の化合物を琥珀色の固体フォームとして得た。
H NMR(CDCl):δ1.78−1.90(m,2H),2.28(br t,2H),2.33(s,3H),2.93(t,1H),3.25−3.40(m,2H),4.08(d,1H),4.61(d,1H),4.95−5.05(m,2H),6.38(s,1H),7.50(t,2H),7.62(t,1H),8.13(s,1H),8.18(d,2H)。
【0431】
ステップC:1−[4−[4−[(ヒドロキシイミノ)フェニルメチル]−2−チアゾリル]−1−ピペリジニル−2−[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]エタノンの調製
1−[4−(4−ベンゾイル−2−チアゾリル)−1−ピペリジニル]−2−[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−パラゾール−1−イル]エタノン(すなわち、実施例7、ステップBの生成物)(2.42g、5.24mmol)、塩酸ヒドロキシルアミン(0.90g、13.10mmol)およびピリジン(12mL)の溶液を110℃で3時間加熱し、室温で一晩撹拌した。反応を減圧下で濃縮し、水を添加し、水性相を酢酸エチル(2×10mL)で抽出した。組み合わせた有機相を塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して、2.34gの表題の化合物をシンおよびアンチ異性体の混合物として得たが、これは、静置させるとゆっくりと固化した。
H NMR(CDCl):δ1.70−1.82(m,2H),2.18−2.30(m,2H),2.30および2.33(2つのs,3H),2.80−2.93(m,1H),3.20−3.40(m,2H),4.00−4.06(m,1H),4.53−5−65(m,1H),4.98 −5.10(m,2H),6.33(s,1H),7.00−7.63(m,6H),8.22および12.40(2つのs,1H)。
【0432】
シンおよびアンチ異性体をMPLCにより分離した。
同位体Aについては、H NMR(CDCl):δ1.74−1.86(m,2H),2.21(br t,2H),2.33(s,3H),2.89(t,1H),3.27−3.40(m,2H),4.08(br d,1H),4.62(br d,1H),4.93 −5.07(m,2H),6.34(s,1H),7.38−7.59(
m,6H),12.48(br s,1H)。
同位体Bについては、H NMR(CDCl):δ1.70−1.89(m,2H),2.20(br t,2H),2.30(s,3H),2.87(t,1H),3.19−3.39(m,2H),4.00(br d,1H),4.55(br d,1H),4.96(s,2H),6.33(s,1H),7.00(s,1H),7.42−7.50(m,5H),8.83(br s,1H)。
【0433】
実施例8
4−[4−[(ヒドロキシイミノ)メチル]−2−チアゾリル]−1−[[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]アセチル]ピペリジンの調製
ステップA:2−(4−ピペリジニル)−4−チアゾールカルボキシアルデヒド一塩酸塩の調製
1,1−ジメチルエチル4−(4−ホルミル−2−チアゾリル)−1−ピペリジンカルボキシレート(1.0g、3.4mmol)のジクロロメタン(20mL)中の溶液に、塩化水素のジエチルエーテル(2.0mL、15ml、30mmol)中の溶液を添加した。反応混合物を窒素下に室温で2時間撹拌し、次いで、減圧下で蒸発させて、1.2gの表題の化合物を白色の固体として得た。
H NMR(CDCl)δ2.31−2.38(m,2H),2.44−2.50(m,2H),3.11−3.20(m,2H),3.36−3.44(m,1H),3.57−3.65(m,2H),8.14(s,1H),10.01(s,1H)。
【0434】
ステップB:4−(4−ホルミル−2−チアゾリル)−1−[[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]アセチル]ピペリジンの調製
5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−酢酸(0.8g、3.8mmol)のジクロロメタン(10mL)中の溶液に、塩化オキサリル(2.4g、19.2mmol)および2滴のN,N−ジメチルホルムアミドを添加したところ、わずかな発熱が伴った。次いで、反応混合物を還流で15分間加熱した。反応混合物を減圧中で濃縮し、残渣をテトラヒドロフラン(10mL)中に懸濁させ、2−(4−ピペリジニル)−4−チアゾールカルボキシアルデヒド一塩酸塩(すなわち、実施例8、ステップAの生成物)(1.1g、5.1mmol)のテトラヒドロフラン(10mL)中の溶液で処理し、続いて、トリエチルアミン(1.2g、11.9mmol)を滴下した。反応混合物を室温で一晩撹拌し、次いで、1N水性塩酸と酢酸エチルとの間に分割した。有機層を分離し、水性層を追加の酢酸エチル(2×30mL)で抽出した。組み合わせた有機層を1N水性塩酸、飽和重炭酸ナトリウム水溶液および塩水で洗浄した。有機層を乾燥させ(MgSO)、減圧下で蒸発させて0.8gの表題の化合物を黄色の油として得た。
H NMR(CDCl):δ1.79−1.90(m,2H),2.18−2.29(m,2H),2.33(s,3H),2.87−2.94(m,1H),3.28−3.40(m,2H),4.05−4.15(m,1H),4.56−4.64(m,1H),4.99−5.02(m,2H),6.35(s,1H),8.12(s,1H),10.01(s,1H)。
【0435】
ステップB1:4−(4−ホルミル−2−チアゾリル)−1−[[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]アセチル]ピペリジンの代替的調製
1−[2−[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]アセチル]−4−ピペリジンカルボチオアミド(すなわち、実施例1、ステップCの生成物)(20g、59.9mmol)のイソプロピルアルコール(90mL)中の混合物に1,3−ジクロロアセトン(8.99g、71.3mmol)を添加し、反応混合物を65で1.5時間撹拌した。冷却した後、炭酸ナトリウム(7.39g、70.0mmol)の水(92mL)中の溶液を滴下した。2時間の後、追加の水(31mL)を添加し、得られた沈殿物を水(62mL)ですすいだ。減圧下、45℃で一晩乾燥させることで、18.24gの表題の化合物を明るい灰色の固体として得た。
H NMR(CDCl):δ1.70−1/85(m,2H),2.20(t,2H),2.32(s,3H),2.88(t,1H),3.20−3.38(m,2H),4.03(d,1H),4.55(d,1H),4.95−5.05(m,2H),4.67(s,2H),6.34(s,1H),7.22(s,1H)。
【0436】
1−[4−[4−(クロロメチル)−2−チアゾリル]−1−ピペリジニル]−2−[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラオール−1−イル]エタノン(18.24g、44.9mmol)、臭化ナトリウム(1g、9.7mmol)、四塩化炭素(60mL)およびジメチルスルホキシド(50mL)の混合物に4−メチルモルホリン4−オキシド(13.69g、116.6mmol)を添加した。混合物を室温で2日間撹拌し、次いで、水とジクロロメタンとの間に分割した。有機層を分離し、水性層を追加のジクロロメタン(2×100mL)で抽出した。組み合わせた有機層を乾燥させ(MgSO)、減圧下で蒸発させ、MPLCにより精製して8.43gの表題の化合物を白色の固体として得た。
【0437】
ステップC:4−[4−[(ヒドロキシイミノ)メチル]−2−チアゾリル]−1−[[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]アセチル]ピペリジンの調製
4−(4−ホルミル−2−チアゾリル)−1−[[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]アセチル]ピペリジン(すなわち、実施例8、ステップBの生成物)(0.8g、2.07mmol)のエチルアルコール(15mL)中の溶液にヒドロキシルアミン(50%水溶液、0.136g、4.1mmol)を添加し、反応混合物を室温で10分間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮して黄色の油を得、これを、ヘキサン中の50%酢酸エチルを流出液として用いるシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して0.7gの表題の化合物を白色の固体として得た。この化合物を中間体として用いて本発明の化合物を形成することが可能である(ヒドロキシイミノ基のアルキル化を介して)。
H NMR(CDCl):δ1.72−1.85(m,2H),2.17−2.27(m,2H),2.32(s,3H),2.82−2.91(m,1H),3.25−3.37(m,2H),4.02−4.09(m,1H),4.58−4.63(m,1H),4.95−5.03(m,2H),6.35(s,1H),7.43(s,1H),7.71(s,1H),8.19(s,1H)。
【0438】
技術分野において公知である方法を伴う本明細書に記載の手法により、表1a〜8vの以下の化合物を調製することが可能である。以下の略語が以下の表において用いられている:Meはメチルを意味し、Etはエチルを意味し、Phはフェニルを意味し、nはノルマルを意味し、iはイソを意味し、OMeはメトキシを意味し、SMeはメチルチオを意味し、−CNはシアノを意味し、Phはフェニルを意味し、および、−NOはニトロを意味する。
【0439】
以下に示されているフラグメントE−1a〜E−3dが表において参照されている。
【0440】
【化61】
【0441】
本発明は、特に限定されないが、以下の例示的な種を含む。
【0442】
【表1】
【0443】
【表2】
【0444】
【表3】
【0445】
本開示は表1b〜1dをも含み、その各々は、表1aにおける表の表題(すなわち、「AはCHR15であり、R15はHであり、XはX−1であり、および、nは0である」)が以下に示されているそれぞれの表の表題で置き換えられていることを除き、上記表1aと同じく構成されている。例えば、表1bにおいて、表の表題は「AはCHR15であり、R15はHであり、XはX−2であり、および、nは0である」であり、R1aは上記表1aにおいて定義されているとおりである。それ故、表1bにおける最初の項目は、AがCHR15であり、R15がHであり、XがX−2であり、nが0であり、および、R1aがフェニルである式1の化合物を特定的に開示している。
【0446】
【表4】
【0447】
【表5】
【0448】
【表6】
【0449】
【表7】
【0450】
【表8】
【0451】
【表9】
【0452】
【表10】
【0453】
【表11】
【0454】
【表12】
【0455】
【表13】
【0456】
【表14】
【0457】
本開示は表7b〜7vをも含み、その各々は、表7a中の表の表題(すなわち、「EはE−1aである」)が以下に示されているそれぞれの表の表題と置き換えられていることを除き、上記表7aと同じく構成されている。例えば、表7bにおいて、表の表題は「EはE−1bである」である。Lおよび(R9aは上記表7aに定義されているとおりである。それ故、表7b中の最初の項目は、LがL−1であると共に(R9a置換基に対する値が存在していない式1の化合物を特定的に開示している。
【0458】
【表15】
【0459】
【表16】
【0460】
本開示は表8b〜8vをも含み、その各々は、表8aにおける表の表題(すなわち、「EはE−1aである」)が以下に示されているそれぞれの表の表題と置き換えられていることを除き、上記表8aと同じく構成されている。例えば、表8bにおいて、表の表題は「EはE−1bである」である。L、(R9a、X、nおよびR6bは、上記表8aに定義されているとおりである。それ故、表8b中の最初の項目は、LがL−1であると共に(R9a置換基に対する値が存在していない式1の化合物を特定的に開示している。
【0461】
【表17】
【0462】
配合物/実用性
本発明の式1の化合物(そのN−オキシドおよび塩を含む)は、一般に、組成物、すなわち配合物において、殺菌・殺カビ性有効成分として、キャリアとなる界面活性剤、固体希釈剤および液体希釈剤からなる群から選択される少なくとも1種の追加の成分と共に用いられることとなる。配合物または組成物処方成分は、有効成分の物理特性、適用形態、ならびに、土壌タイプ、水分および温度などの環境要因と合致するよう選択される。
【0463】
有用な配合物は、液体組成物および固体組成物の両方を含む。液体組成物としては、溶液(乳化性濃縮物を含む)、懸濁液、エマルジョン(マイクロエマルジョンおよび/またはサスポエマルジョンを含む)等が挙げられ、これらは、任意により、ゲルに増粘されることが可能である。水性液体組成物の一般的なタイプは、可溶性濃縮物、懸濁濃縮物、カプセル懸濁液、濃縮エマルジョン、マイクロエマルジョンおよびサスポエマルジョンである。非水性液体組成物の一般的なタイプは、乳化性濃縮物、ミクロ乳化性濃縮物、分散性濃縮物および油分散体である。
【0464】
固体組成物の一般的なタイプは、粉剤、粉末、顆粒、ペレット、プリル、香錠、錠剤、充填フィルム(種子粉衣を含む)等であり、これらは、水分散性(「湿潤性」)または水溶性であることが可能である。フィルム形成性溶液または流動性懸濁液から形成されたフィルムおよびコーティングが、種子処理に特に有用である。有効成分は(マイクロ)カプセル化されていることが可能であり、さらに、懸濁液または固体配合物に形成されることが可能である;あるいは、有効成分の配合物全体をカプセル化(または「オーバーコート」)することが可能である。カプセル化は、有効成分の放出を制御すること、または、遅らせることが可能である。乳化性顆粒は、乳化性濃縮物配合物の利点と乾燥粒状配合物の利点とを兼ね備えている。高強度組成物は、さらなる配合物への中間体として主に用いられる。
【0465】
噴霧可能な配合物は、典型的には、吹付けの前に好適な媒体中で希釈される。このような液体および固体配合物は、通常は水である噴霧媒体中で容易に希釈されるよう配合される。噴霧量は、およそ約1〜数千リットル/ヘクタールの範囲であることが可能であるが、より典型的には、約10〜数百リットル/ヘクタールの範囲である。噴霧可能な配合物は、空中もしくは地上散布による葉の処理のために、または、植物の成長培地への適用のために好適な他の媒体または水と、タンク中で混合されることが可能である。液体および乾燥配合物は、注入灌漑システムに直接的に計量可能であり、または、植え付けの最中に畝間に計量可能である。液体および固体配合物は、植え付けの前に、全身摂取を介して成長する根および他の地下植物部位および/または群葉を保護するために、作物および他の望ましい植生の種子に種子処理として適用されることが可能である。
【0466】
配合物は、典型的には、有効量の有効成分、希釈剤および界面活性剤を、合計が100重量パーセントとなる以下のおよその範囲内で含有するであろう。
【0467】
【表18】
【0468】
固体希釈剤としては、例えば、ベントナイト、モンモリロナイト、アタパルジャイトおよびカオリンなどのクレイ、石膏、セルロース、二酸化チタン、酸化亜鉛、デンプン、デキストリン、糖質(例えば、ラクトース、スクロース)、シリカ、タルク、雲母、珪藻土、尿素、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムおよび重炭酸ナトリウム、ならびに、硫酸ナトリウムが挙げられる。典型的な固体希釈剤が、Watkins et al.,Handbook of Insecticide Dust Diluents and Carriers,2nd Ed.,Dorland Books,Caldwell,New Jerseyに記載されている。
【0469】
液体希釈剤としては、例えば、水、N,N−ジメチルアルカンアミド(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)、リモネン、ジメチルスルホキシド、N−アルキルピロリドン(例えば、N−メチルピロリジノン)、エチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、パラフィン(例えば、白色鉱油、正パラフィン、イソパラフィン)、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、グリセリン、グリセロールトリアセテート、ソルビトール、芳香族炭化水素、脱芳香族化脂肪族、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、イソホロンおよび4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンなどのケトン、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル、酢酸ヘプチル、酢酸オクチル、酢酸ノニル、酢酸トリデシルおよび酢酸イソボルニルなどの酢酸塩、アルキル化乳酸塩エステル、二塩基性エステルおよびγ−ブチロラクトンなどの他のエステル、ならびに、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブチルアルコール、n−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、n−オクタノール、デカノール、イソデシルアルコール、イソオクタデカノール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、オレイルアルコール、シクロヘキサノール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジアセトンアルコールおよびベンジルアルコールなどの直鎖、分岐、飽和または不飽和であることが可能であるアルコールが挙げられる。液体希釈剤としてはまた、植物種子油および果実油(例えば、オリーヴ、ヒマ、亜麻仁、ゴマ、コーン(トウモロコシ)、ピーナッツ、ヒマワリ、ブドウ種子、ベニバナ、綿実、ダイズ、ナタネ、ココナツおよびパーム核の油)、動物性脂肪(例えば、牛脂、豚脂、ラード、タラ肝油、魚油)、ならびに、これらの混合物などの飽和および不飽和脂肪酸のグリセロールエステル(典型的にはC〜C22)が挙げられる。液体希釈剤としてはまたアルキル化脂肪酸(例えば、メチル化、エチル化、ブチル化)が挙げられ、ここで、脂肪酸は、植物性および動物性グリセロールエステルの加水分解により入手され得、蒸留によって精製されることが可能である。典型的な液体希釈剤が、Marsden,Solvents Guide,2nd Ed.,Interscience,New York,1950に記載されている。
【0470】
本発明の固体および液体組成物は、度々、1種以上の界面活性剤を含む。液体に添加される場合、界面活性剤(「表面活性薬剤」としても知られている)は、一般に、液体の表面張力を変性(最も頻繁には低減)させる。界面活性剤分子中の親水性基および親油性基の性質に応じて、界面活性剤は、湿潤剤、分散剤、乳化剤または消泡剤として有用であることが可能である。
【0471】
界面活性剤は、ノニオン性、アニオン性またはカチオン性に分類されることが可能である。本組成物に有用なノニオン性界面活性剤としては、これらに限定されないが:天然および合成アルコール(分岐または直鎖であり得る)系であり、ならびに、アルコールおよびエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドまたはこれらの混合物から調製されるアルコールアルコキシレートなどのアルコールアルコキシレート;アミンエトキシレート、アルカノールアミドおよびエトキシル化アルカノールアミド;エトキシル化ダイズ油、ヒマシ油およびナタネ油などのアルコキシル化トリグリセリド;オクチルフェノールエトキシレート、ノニルフェノールエトキシレート、ジノニルフェノールエトキシレートおよびドデシルフェノールエトキシレートなどのアルキルフェノールアルコキシレート(フェノールおよびエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドまたはこれらの混合物から調製されたもの);エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドから調製されたブロックポリマー、および、末端ブロックがプロピレンオキシドから調製された逆ブロックポリマー;エトキシル化脂肪酸;エトキシル化脂肪エステルおよび油;エトキシル化メチルエステル;エトキシル化トリスチリルフェノール(エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドまたはこれらの混合物から調製されたものを含む);ポリエトキシル化ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエトキシル化ソルビトール脂肪酸エステルおよびポリエトキシル化グリセロール脂肪酸エステルなどの脂肪酸エステル、グリセロールエステル、ラノリン系誘導体、ポリエトキシレートエステル;ソルビタンエステルなどの他のソルビタン誘導体;ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、アルキドPEG(ポリエチレングリコール)樹脂、グラフトまたはくし形ポリマーおよび星形ポリマーなどの高分子界面活性剤;ポリエチレングリコール(PEG);ポリエチレングリコール脂肪酸エステル;シリコーン系界面活性剤;ならびに、スクロースエステル、アルキルポリグリコシドおよびアルキル多糖類などの糖質−誘導体が挙げられる。
【0472】
有用なアニオン性界面活性剤としては、これらに限定されないが:アルキルアリールスルホン酸およびこれらの塩;カルボキシル化アルコールまたはアルキルフェノールエトキシレート;ジフェニルスルホネート誘導体;リグノスルホネートなどのリグニンおよびリグニン誘導体;マレイン酸またはコハク酸またはこれらの無水物;オレフィンスルホン酸塩;アルコールアルコキシレートのリン酸エステル、アルキルフェノールアルコキシレートのリン酸エステルおよびスチリルフェノールエトキシレートのリン酸エステルなどのリン酸エステル;タンパク質系界面活性剤;サルコシン誘導体;硫酸スチリルフェノールエーテル;油および脂肪酸の硫酸塩およびスルホン酸塩;エトキシル化アルキルフェノールの硫酸塩およびスルホン酸塩;アルコールの硫酸塩;エトキシル化アルコールの硫酸塩;N,N−アルキルタウレートなどのアミンおよびアミドのスルホン酸塩;ベンゼン、クメン、トルエン、キシレン、ならびに、ドデシルおよびトリデシルベンゼンのスルホン酸塩;縮合ナフタレンのスルホン酸塩;ナフタレンおよびアルキルナフタレンのスルホン酸塩;精留された石油のスルホン酸塩;スクシナメート;ならびに、ジアルキルスルホコハク酸塩などのスルホコハク酸塩およびそれらの誘導体が挙げられる。
【0473】
有用なカチオン性界面活性剤としては、これらに限定されないが:アミドおよびエトキシル化アミド;N−アルキルプロパンジアミン、トリプロピレントリアミンおよびジプロピレンテトラアミン、ならびに、エトキシル化アミン、エトキシル化ジアミンおよびプロポキシル化アミンなどのアミン(アミンおよびエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドまたはこれらの混合物から調製されたもの);アミン酢酸塩およびジアミン塩などのアミン塩;第4級塩、エトキシル化第4級塩およびジ第4級塩などの第4級アンモニウム塩;ならびに、アルキルジメチルアミンオキシドおよびビス−(2−ヒドロキシエチル)−アルキルアミンオキシドなどのアミンオキシドが挙げられる。
【0474】
ノニオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤との混合物、または、ノニオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤との混合物もまた本組成物について有用である。ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤およびカチオン性界面活性剤、ならびに、これらの推奨される使用が、McCutcheon’s Emulsifiers and Detergents,McCutcheon’s Division,The Manufacturing Confectioner Publishing Co.発行の年刊国際および北米版;Sisely and Wood,Encyclopedia of Surface Active Agents,Chemical Publ.Co.,Inc.,New York,1964;および、A.S.Davidson and B.Milwidsky,Synthetic Detergents,Seventh Edition,John Wiley and Sons,New York,1987を含む多様な発行済みの文献中に開示されている。
【0475】
本発明の組成物はまた、配合助剤、および、当業者に配合助剤として公知である添加剤を含有していてもよい(これらのいく種かは、固体希釈剤、液体希釈剤または界面活性剤としても機能するとみなされ得る)。このような配合助剤および添加剤は:pH(緩衝剤)、処理中の発泡(ポリオルガノシロキサンなどの消泡剤)、有効成分の析出(懸濁剤)、粘度(チクソトロープ性増粘剤)、容器中の微生物の増殖(抗菌剤)、生成物の凍結(不凍液)、色(染料/顔料分散体)、洗濯堅牢性(塗膜形成剤または展着剤)、蒸発(蒸発抑制剤)および他の配合属性を制御し得る。塗膜形成剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルピロリドン−ビニルアセテートコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマーおよびワックスが挙げられる。配合助剤および添加剤の例としては、McCutcheon’s Volume 2:Functional Materials,McCutcheon’s Division,The Manufacturing Confectioner Publishing Co.発行の年刊国際および北米版;ならびに、国際公開第03/024222号パンフレットに列挙されているものが挙げられる。
【0476】
式1の化合物およびいずれかの他の有効成分は、典型的には、有効成分を溶剤中に溶解させることにより、または、液体もしくは乾燥希釈剤中に粉砕することにより、本組成物中に組み込まれる。乳化性濃縮物を含む溶液は、単に処方成分を混合することにより調製することが可能である。乳化性濃縮物として用いることが意図されている液体組成物の溶剤が不水和性である場合、乳化剤は、典型的には、水での希釈時に有効成分含有溶剤が乳化するよう添加される。2,000μm以下の粒径を有する有効成分スラリーは、媒体ミルを用いて湿潤粉砕されて、3μm未満の平均直径を有する粒子とされることが可能である。水性スラリーは、最終懸濁濃縮物(例えば、米国特許第3,060,084号明細書を参照のこと)とされるか、または、噴霧乾燥によりさらに処理されて水−分散性顆粒が形成されることが可能である。乾燥配合物は、通常は、2〜10μmの範囲内の平均粒径をもたらす乾式粉砕プロセスを必要とする。粉剤および粉末は、ブレンド工程および通常は粉砕工程により調製されることが可能である(ハンマーミルまたは流体−エネルギーミルなどで)。顆粒およびペレットは、予め形成した粒状キャリアに有効成分材を吹付けることにより、または、凝塊技術により調製されることが可能である。Browning,「Agglomeration」,Chemical Engineering,December 4,1967,pp147−48、Perry’s Chemical Engineer’s Handbook,4th Ed.,McGraw−Hill,New York,1963,pages 8−57およびそれ以降、ならびに、国際公開第91/13546号パンフレットを参照のこと。ペレットは、米国特許第4,172,714号明細書に記載のとおり調製することが可能である。水分散性および水溶性顆粒は、米国特許第4,144,050号明細書、米国特許第3,920,442号明細書および独国特許第3,246,493号明細書に教示されているとおり調製することが可能である。錠剤は、米国特許第5,180,587号明細書、米国特許第5,232,701号明細書および米国特許第5,208,030号明細書に教示されているとおり調製することが可能である。フィルムは、英国特許2,095,558号明細書および米国特許第3,299,566号明細書に教示されているとおり調製することが可能である。
【0477】
配合技術分野に関するさらなる情報に関しては、T.S.Woods,「The Formulator’s Toolbox−Product Forms for Modern Agriculture」,Pesticide Chemistry and Bioscience,The Food−Environment Challenge,T.Brooks and T.R.Roberts,Eds.,9th International Congress on Pesticide Chemistryの予稿集,The Royal Society of Chemistry,Cambridge,1999,pp.120−133を参照のこと。また、米国特許第3,235,361号明細書、第6欄、第16行〜第7欄、第19行および実施例10〜41;米国特許第3,309,192号明細書、第5欄、第43行〜第7欄、第62行、ならびに、実施例8、12、15、39、41、52、53、58、132、138〜140、162〜164、166、167および169〜182;米国特許第2,891,855号明細書、第3欄、第66行〜第5欄、第17行および実施例1〜4;Klingman,Weed Control as a Science,John Wiley and Sons,Inc.,New York,1961,pp81−96;Hance et al.,Weed Control Handbook,8th Ed.,Blackwell Scientific Publications,Oxford,1989;ならびに、Developments in formulation technology,PJB Publications,Richmond,UK,2000を参照のこと。
【0478】
以下の実施例においては、すべてのパーセンテージは重量基準でありおよびすべての配合物は従来の方法によって調製されている。化合物番号は、索引表A〜B中の化合物を指している。さらなる詳細なしで、当業者は、上記の記載を用いて、本発明を最大限利用可能であると考えられている。以下の実施例は、従って、単なる例示であって、本開示を如何様にも全く限定しないと構築されるべきである。パーセンテージは、他に示されていない限りにおいて重量基準である。
【0479】
【表19】
【0480】
【表20】
【0481】
【表21】
【0482】
【表22】
【0483】
【表23】
【0484】
【表24】
【0485】
【表25】
【0486】
水溶性および水分散性配合物は、典型的には、適用の前に水で希釈されて水性組成物が形成される。植物またはその一部分への直接適用のための水性組成物(例えば、噴霧タンク組成物)は、典型的には、本発明の化合物が少なくとも約1ppm以上(例えば、1ppm〜100ppm)である。
【0487】
本発明の化合物は、植物病害防除剤として有用である。本発明は、従って、保護されるべき植物もしくはその一部分、または、保護されるべき植物種子に、有効量の本発明の化合物または前記化合物を含有する殺菌・殺カビ組成物を適用する工程を含む、真菌性植物病原体により引き起こされた植物病害を防除する方法をさらに含む。本発明の化合物および/または組成物は、担子菌、子嚢菌、卵菌および不完全菌類のクラスにおける幅広い範囲の真菌性植物病原体によって引き起こされる病害の防除をもたらす。これらは、幅広い範囲の植物病害、特に、観賞植物、芝生、野菜、圃場、穀類および果実作物の葉病原体の防除に有効である。これらの病原体としては:フィトフトラ インフェスタンス(Phytophthora infestans)、フィトフトラ メガスペルマ(Phytophthora megasperma)、フィトフトラ パラシティカ(Phytophthora parasitica)、フィトフトラ シンナモミ(Phytophthora cinnamomi)およびフィトフトラ カプシシ(Phytophthora capsici)などの疫病菌(Phytophthora)病害、ピシウム アファニデルマツム(Pythium aphanidermatum)などの腐敗病菌(Pythium)病害、ならびに、プラズモパラ ビチコーラ(Plasmopara viticola)、ツユカビ種(Peronospora spp.)(タバコべと病菌(Peronospora tabacina)およびアブラナ科べと病菌(Peronospora parasitica)を含む)、プソイドペロノスポラ種(Pseudoperonospora spp.)(プソイドペロノスポラ クベンシス(Pseudoperonospora cubensis)を含む)およびブレミナ ラクツカエ(Bremia lactucae)などのツユカビ(Peronosporaceae)科における病害を含む卵菌;アルテルナリア ソラニ(Alternaria solani)およびアルテルナリア ブラッシカエ(Alternaria brassicae)などのアルテルナリア属(Alternaria)病害、ガイグナルディア ビドウェル(Guignardia bidwell)などのガイグナルディア属(Guignardia)病害、ベンツリア イナエクアリス(Venturia inaequalis)などのベンツリア属(Venturia)病害、セプトリア ノドルム(Septoria nodorum)およびセプトリア トリティシ(Septoria tritici)などのセプトリア属(Septoria)病害、エリシフェ種(Erysiphe spp.)(エリシフェ グラミニス(Erysiphe graminis)およびエリシフェ ポリゴニ(Erysiphe polygoni)を含む)、ウンシヌラ ネカツル(Uncinula necatur)、スファエロテカ フリゲナ(Sphaerotheca fuligena)およびポドスファエラ ルコトリチャ(Podosphaera leucotricha)、プソイドセルコスポレラ ヘルポトリコイド(Pseudocercosporella herpotrichoides)などのウドンコ病病害、ボトリチス シネレア(Botrytis cinerea)、モニリニア フルクティコーラ(Monilinia fructicola)などのボトリチス(Botrytis)病害、スクレロティニア スクレロティロルム(Sclerotinia sclerotiorum)、マグナポルテ グリセア(Magnaporthe grisea)、ホモプシス ビティコーラ(Phomopsis viticola)などのスクレロティニア属(Sclerotinia)病害、ヘルミントスポリウム トリティシ レペンティス(Helminthosporium tritici repentis)、ピレノホラ テレス(Pyrenophora teres)などのヘルミントスポリウム属(Helminthosporium)病害、グロメレラ属(Glomerella)またはコレトトリカム種(Colletotrichum spp.)(コレトトリカム オルビクラレ(Colletotrichum orbiculare)およびコレトトリカム オルビクラレ(Colletotrichum orbiculare)など)およびゲーウマノミセス グラミニス(Gaeumannomyces graminis)などの炭疽病病害を含む子嚢菌;プッシニア種(Puccinia spp.)(プッシニア レコンディタ(Puccinia recondita)、プッシニア ストリイフォルミス(Puccinia striiformis)、プッシニア ホルデイ(Puccinia hordei)、プッシニア グラミニス(Puccinia graminis)およびプッシニア アラキディス(Puccinia arachidis)など)によって引き起こされる銹病、ヘミレイア バスタトリクス(Hemileia vastatrix)およびファコプソラ パチリジ(Phakopsora pachyrhizi)を含む担子菌;ラストロエミア フロッコサム(Rutstroemia floccosum)(スクレロンティナ ホモエオカルパ(Sclerontina homoeocarpa)としても知られる);リゾクトニア(Rhizoctonia spp.)(リゾクトニア ソラニ(Rhizoctonia solani)など);フザリウム ロゼウム(Fusarium roseum)、フザリウム グラミネアルム(Fusarium graminearum)およびフザリウムオキシスポラム(Fusarium oxysporum)などのフザリウム属(Fusarium)病害;ベルティシリウム ダーリエア(Verticillium dahliae);スクレロティウム ロルフィシ(Sclerotium rolfsii);リンコスポリウム セカリス(Rynchosporium secalis);セルコスポリジウム ペルソナツム(Cercosporidium personatum)、セルコスポラ アラキディコーラ(Cercospora arachidicola)およびセルコスポラ ベティコーラ(Cercospora beticola)を含む他の病原体;ならびに、これらの病原体に密接に関連している他の属および種が挙げられる。これらの殺菌・殺カビ活性に追加して、組成物または組み合わせは、エルウィニア アミロボラ(Erwinia amylovora)、キサントモナス カムペストリス(Xanthomonas campestris)、プソイドモナス シリンガエ(Pseudomonas syringae)および他の関連種などの細菌に対する活性をも有している。
【0488】
植物病害防除は、通常、感染前もしくは感染後に、根、茎、群葉、果実、種子、塊茎あるいは鱗茎などの保護されるべき植物の一部、または、保護されるべき植物が生育している媒体(土壌もしくは砂土)に、有効量の本発明の化合物を適用することにより達成される。化合物はまた、種子および種子から発育している実生を保護するために種子に適用することが可能である。化合物はまた、植物を処理するための潅漑水を介して適用されることが可能である。
【0489】
これらの化合物の適用量(すなわち、殺菌・殺カビ的に有効な量)は、防除されるべき植物病害、保護されるべき植物種、周囲の湿気および温度などの要因によって影響されることが可能であり、実際の使用条件下で判定されるべきである。当業者は、単純な実験を通じて、所望されるレベルの植物病害防除に必要な殺菌・殺カビ的に有効な量を容易に判定することが可能である。群葉は、通常、約1g/ha未満〜約5,000g/haの有効成分の量で処理された場合に保護されることが可能である。種子および実生は、通常、種子が、1キログラムの種子当たり約0.1〜約10gの量で処理される場合に保護されることが可能である。
【0490】
本発明の化合物はまた、殺菌・殺カビ剤、殺虫剤、抗線虫薬、殺菌剤、殺ダニ剤、除草剤、除草剤毒性緩和剤、昆虫脱皮阻害剤および発根促進剤などの成長調整剤、不妊化剤、信号化学物質、忌避剤、誘引剤、フェロモン、摂食刺激物質、植物栄養分、他の生体活性化合物または昆虫病原性細菌、ウイルスまたは真菌を含む1種以上の他の生体活性化合物または薬剤と混合されて、多成分有害生物防除剤を形成し、さらに幅広い範囲の農学的保護をもたらすことが可能である。それ故、本発明はまた、式1の化合物(殺菌・殺カビ的に有効な量で)および少なくとも1種の追加の生物学的に有効な化合物または薬剤(生物学的に有効な量で)を含む組成物に関し、界面活性剤、固体希釈剤または液体希釈剤の少なくとも1種をさらに含んでいることが可能である。他の生体活性化合物または薬剤は、界面活性剤、固体または液体希釈剤の少なくとも1種を含む組成物中に配合されていることが可能である。本発明の混合物について、1種以上の他の生体活性化合物または薬剤を式1の化合物と一緒に配合して予混合物を形成することが可能であり、または、1種以上の他の生体活性化合物または薬剤を式1の化合物とは別に配合し、配合物を適用の前に(例えば、噴霧タンク中で)組み合わせること、もしくは、代わりに、連続して適用することが可能である。
【0491】
注目すべきは、式1の化合物に追加して、分類(1)メチルベンズイミダゾールカルバメート(MBC)殺菌・殺カビ剤;(2)ジカルボキシイミド殺菌・殺カビ剤;(3)脱メチル化抑制(DMI)殺菌・殺カビ剤;(4)フェニルアミド殺菌・殺カビ剤;(5)アミン/モルホリン殺菌・殺カビ剤;(6)リン脂質生合成抑制殺菌・殺カビ剤;(7)カルボキサミド殺菌・殺カビ剤;(8)ヒドロキシ(2−アミノ−)ピリミジン殺菌・殺カビ剤;(9)アニリノピリミジン殺菌・殺カビ剤;(10)N−フェニルカルバメート殺菌・殺カビ剤;(11)キノン外部抑制(QoI)殺菌・殺カビ剤;(12)フェニルピロール殺菌・殺カビ剤;(13)キノリン殺菌・殺カビ剤;(14)脂質過酸化抑制殺菌・殺カビ剤;(15)メラニン生合成抑制−レダクターゼ(MBI−R)殺菌・殺カビ剤;(16)メラニン生合成抑制−デヒドラターゼ(MBI−D)殺菌・殺カビ剤;(17)ヒドロキシアニリド殺菌・殺カビ剤;(18)スクアレン−エポキシダーゼ抑制殺菌・殺カビ剤;(19)ポリオキシン殺菌・殺カビ剤;(20)フェニル尿素殺菌・殺カビ剤;(21)キノン内部抑制(QiI)殺菌・殺カビ剤;(22)ベンズアミド殺菌・殺カビ剤;(23)エノピラヌロン酸抗生物質殺菌・殺カビ剤;(24)ヘキソピラノシル抗生物質殺菌・殺カビ剤;(25)グルコピラノシル抗生物質:タンパク質合成殺菌・殺カビ剤;(26)グルコピラノシル抗生物質:トレハラーゼおよびイノシトール生合成殺菌・殺カビ剤;(27)シアノアセタミドオキシム殺菌・殺カビ剤;(28)カルバメート殺菌・殺カビ剤;(29)酸化性リン酸化脱共役殺菌・殺カビ剤;(30)有機錫殺菌・殺カビ剤;(31)カルボン酸殺菌・殺カビ剤;(32)芳香族複素環式殺菌・殺カビ剤;(33)ホスホネート殺菌・殺カビ剤;(34)フタルアミド酸殺菌・殺カビ剤;(35)ベンゾトリアジン殺菌・殺カビ剤;(36)ベンゼン−スルホンアミド殺菌・殺カビ剤;(37)ピリダジノン殺菌・殺カビ剤;(38)チオフェン−カルボキサミド殺菌・殺カビ剤;(39)ピリミジンアミド殺菌・殺カビ剤;(40)カルボン酸アミド(CAA)殺菌・殺カビ剤;(41)テトラサイクリン抗生物質殺菌・殺カビ剤;(42)チオカルバメート殺菌・殺カビ剤;(43)ベンズアミド殺菌・殺カビ剤;(44)宿主植物防御誘起殺菌・殺カビ剤;(45)多部位接触作用殺菌・殺カビ剤;(46)分類(1)〜(45)以外の殺菌・殺カビ剤;および、分類(1)〜(46)の化合物の塩からなる群から選択される少なくとも1種の殺菌・殺カビ性化合物を含む組成物である。
【0492】
これらの分類の殺菌・殺カビ性化合物のさらなる記載が以下に供されている。
(1)「メチルベンズイミダゾールカルバメート(MBC)殺菌・殺カビ剤」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コード1)は、微小管会合中にβ−チューブリンに結合することにより有糸分裂を阻害する。微小管会合の阻害は、細胞分裂、細胞内輸送および細胞構造を撹乱することが可能である。メチルベンズイミダゾールカルバメート殺菌・殺カビ剤としては、ベンズイミダゾールおよびチオファネート殺菌・殺カビ剤が挙げられる。ベンズイミダゾールとしては、ベノミル、カルベンダジム、フベリダゾールおよびチアベンダゾールが挙げられる。チオファネートとしては、チオファネートおよびチオファネート−メチルが挙げられる。
【0493】
(2)「ジカルボキシイミド殺菌・殺カビ剤」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コード2)は、NADHチトクロムcレダクターゼへの干渉を介して真菌における脂質過酸化を阻害すると提案されている。例としては、クロゾリネート、イプロジオン、プロシミドンおよびビンクロゾリンが挙げられる。
【0494】
(3)「脱メチル化抑制(DMI)殺菌・殺カビ剤」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コード3)は、ステロール産生に関与するC14−デメチラーゼを阻害する。エルゴステロールなどのステロールは、膜構造および膜機能のために必要であり、機能性細胞壁の発達のために必須とされている。従って、これらの殺菌・殺カビ剤への露出は、感受性の真菌の異常な成長および最終的には死滅をもたらす。DMI殺菌・殺カビ剤は数々の化学的分類に分けられる:アゾール(トリアゾールおよびイミダゾールを含む)、ピリミジン、ピペラジンおよびピリジン。トリアゾールとしては、アザコナゾール、ビテルタノール、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジフェンコナゾール、ジニコナゾール(ジニコナゾール−Mを含む)、エポキシコナゾール、フェンブコナゾール、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルトリアホール、ヘキサコナゾール、イミベンコナゾール、イプコナゾール、メトコナゾール、ミクロブタニル、ペンコナゾール、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、シメコナゾール、テブコナゾール、テトラコナゾール、トリアジメホン、トリアジメノール、トリチコナゾールおよびウニコナゾールが挙げられる。イミダゾールとしては、クロトリマゾール、イマザリル、オキスポコナゾール、プロクロラズ、ペフラゾエートおよびトリフルミゾールが挙げられる。ピリミジンとしては、フェナリモルおよびヌアリモルが挙げられる。ピペラジンとしてはトリホリンが挙げられる。ピリジンとしてはピリフェノックスが挙げられる。生化学的研究は、上述の殺菌・殺カビ剤のすべてが、K.H.Kuck et al.,Modern Selective Fungicides−Properties,Applications and Mechanisms of Action,H.Lyr(Ed.),Gustav Fischer Verlag:New York,1995,205−258に記載されているDMI殺菌・殺カビ剤であることを示した。
【0495】
(4)「フェニルアミド殺菌・殺カビ剤」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コード4)は、卵菌類真菌におけるRNAポリメラーゼの特異的抑制剤である。これらの殺菌・殺カビ剤に露出された感受性の真菌は、ウリジンをrRNAに組み込む能力の低下を示す。感受性の真菌における成長および発生は、この分類の殺菌・殺カビ剤への露出により妨げられる。フェニルアミド殺菌・殺カビ剤としては、アシルアラニン、オキサゾリジノンおよびブチロラクトン殺菌・殺カビ剤が挙げられる。アシルアラニンとしては、ベナラキシル、ベナラキシル−M、フララキシル、メタラキシルおよびメタラキシル−M/メフェノキサムが挙げられる。オキサゾリジノンとしてはオキサジキシルが挙げられる。ブチロラクトンとしてはオフレースが挙げられる。
【0496】
(5)「アミン/モルホリン殺菌・殺カビ剤」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コード5)は、ステロール生合成経路、Δ→ΔイソメラーゼおよびΔ14レダクターゼにおけるの2つの標的部位を阻害する。エルゴステロールなどのステロールは、膜構造および膜機能のために必要であり、機能性細胞壁の発達のために必須とされている。従って、これらの殺菌・殺カビ剤への露出は、感受性の真菌の異常な成長および最終的には死滅をもたらす。アミン/モルホリン殺菌・殺カビ剤(非DMIステロール生合成抑制剤としても知られている)としては、モルホリン、ピペリジンおよびスピロケタール−アミン殺菌・殺カビ剤が挙げられる。モルホリンとしては、アルジモルフ、ドデモルフ、フェンプロピモルフ、トリデモルフおよびトリモルファミドが挙げられる。ピペリジンとしては、フェンプロピジンおよびピペラリンが挙げられる。スピロケタール−アミンとしてはスピロキサミンが挙げられる。
【0497】
(6)「リン脂質生合成抑制殺菌・殺カビ剤」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コード6)は、リン脂質生合成に作用することにより真菌の成長を阻害する。リン脂質生合成殺菌・殺カビ剤としては、ホホロチオレート(phophorothiolate)およびジチオラン殺菌・殺カビ剤が挙げられる。ホスホロチオレートとしては、エディフェンホス、イプロベンホスおよびピラゾホスが挙げられる。ジチオランとしてはイソプロチオランが挙げられる。
【0498】
(7)「カルボキサミド殺菌・殺カビ剤」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コード7)は、クレブス回路(TCA回路)における重要な酵素、すなわち、琥珀酸塩脱水素酵素を撹乱することにより、複合体II(琥珀酸塩脱水素酵素)真菌の呼吸を阻害する。呼吸の阻害は真菌類のATP形成を妨げ、それ故、成長および繁殖を阻害する。カルボキサミド殺菌・殺カビ剤としては、ベンズアミド、フランカルボキサミド、オキサチインカルボキサミド、チアゾールカルボキサミド、ピラゾールカルボキサミドおよびピリジンカルボキサミドが挙げられる。ベンズアミドとしては、ベノダニル、フルトラニルおよびメプロニルが挙げられる。フランカルボキサミドとしては、フェンフラムが挙げられる。オキサチインカルボキサミドとしては、カルボキシンおよびオキシカルボキシンが挙げられる。チアゾールカルボキサミドとしては、チフルザミドが挙げられる。ピラゾールカルボキサミドとしては、フラメトピル、ペンチオピラド、ビキサフェン、イソピラザム、N−[2−(1S,2R)−[1,1’−ビシクロプロピル]−2−イルフェニル]−3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミドおよびペンフルフェン(N−[2−(1,3−ジメチル−ブチル)フェニル]−5−フルオロ−1,3−ジメチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド)が挙げられる。ピリジンカルボキサミドとしてはボスカリドが挙げられる。
【0499】
(8)「ヒドロキシ(2−アミノ−)ピリミジン殺菌・殺カビ剤」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コード8)は、アデノシンデアミナーゼに干渉することにより核酸合成を阻害する。例としては、ブピリメート、ジメチリモールおよびエチリモールが挙げられる。
【0500】
(9)「アニリノピリミジン殺菌・殺カビ剤」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コード9)は、アミノ酸メチオニンの生合成を阻害すると共に、感染の最中に植物細胞を溶解する加水分解酵素の分泌を撹乱すると提案されている。例としては、シプロジニル、メパニピリムおよびピリメタニルが挙げられる。
【0501】
(10)「N−フェニルカルバメート殺菌・殺カビ剤」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コード10)は、β−チューブリンに結合し、微小管会合を撹乱することにより有糸分裂を阻害する。微小管会合の阻害は、細胞分裂、細胞内輸送および細胞構造を撹乱することが可能である。例としては、ジエトフェンカルブが挙げられる。
【0502】
(11)「キノン外部抑制(QoI)殺菌・殺カビ剤」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コード11)は、ユビキノールオキシダーゼに作用することにより真菌における複合体IIIミトコンドリアの呼吸を阻害する。ユビキノールの酸化は、真菌の内部ミトコンドリア膜内に位置されているチトクロムbc複合体の「キノン外部」(Q)部位でブロックされる。ミトコンドリアの呼吸の阻害は正常な真菌の成長および発生を妨げる。キノン外部抑制殺菌・殺カビ剤(ストロビルリン殺菌・殺カビ剤としても公知である)としては、メトキシアクリレート、メトキシカルバメート、オキシミノアセテート、オキシミノアセタミド、オキサゾリジンジオン、ジヒドロジオキサジン、イミダゾリノンおよびベンジルカルバメート殺菌・殺カビ剤が挙げられる。メトキシアクリレートとしては、アゾキシストロビン、エネストロビン(SYP−Z071)、ピコキシストロビンおよびピラオキシストロビン(SYP−3343)が挙げられる。メトキシカルバメートとしては、ピラクロストロビンおよびピラメトストロビン(SYP−4155)が挙げられる。オキシミノアセテートとしては、クレソキシム−メチルおよびトリフロキシストロビンが挙げられる。オキシミノアセタミドとしては、ジモキシストロビン、メトミノストロビン、オリザストロビン、α−[メトキシイミノ]−N−メチル−2−[[[1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ]−イミノ]−メチル]−ベンゼンアセタミドおよび2−[[[3−(2,6−ジクロロフェニル)−1−メチル−2−プロペン−1−イリデン]−アミノ]オキシ]メチル]−α−(メトキシイミノ)−N−メチルベンゼンアセタミドが挙げられる。オキサゾ−リ−ジン−ジオンとしてはファモキサドンが挙げられる。ジヒドロジオキサジンとしてはフルオキサストロビンが挙げられる。イミダゾリノンとしてはフェンアミドンが挙げられる。ベンジルカルバメートとしてはピリベンカルブが挙げられる。
【0503】
(12)「フェニルピロール殺菌・殺カビ剤」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コード12)は、真菌における浸透圧シグナル伝達系に関連するMAPタンパク質キナーゼを阻害する。フェンピクロニルおよびフルジオキソニルがこの殺菌・殺カビ剤分類の例である。
【0504】
(13)「キノリン殺菌・殺カビ剤」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コード13)は、初期細胞シグナリングにおけるG−タンパク質に作用することによりシグナル伝達を阻害すると提案されている。これらは、ウドンコ病の原因となる真菌における発芽および/または付着器形成に干渉すると見られている。キノキシフェンおよびテブフロキンがこの殺菌・殺カビ剤の分類の例である。
【0505】
(14)「脂質過酸化抑制殺菌・殺カビ剤」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コード14)は、真菌における膜合成に作用する脂質過酸化を阻害すると提案されている。エトリジアゾールなどのこの分類の構成要素もまた、呼吸およびメラニン生合成などの他の生物学的プロセスに作用し得る。脂質過酸化殺菌・殺カビ剤としては、芳香族炭素および1,2,4−チアジアゾール殺菌・殺カビ剤が挙げられる。芳香族炭素殺菌・殺カビ剤としては、ビフェニル、クロロネブ、ジクロラン、キントゼン、テクナゼンおよびトルコホス−メチルが挙げられる。1,2,4−チアジアゾール殺菌・殺カビ剤としてはエトリジアゾールが挙げられる。
【0506】
(15)「メラニン生合成抑制−レダクターゼ(MBI−R)殺菌・殺カビ剤」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コード16.1)は、メラニン生合成におけるナフタレン還元ステップを阻害する。メラニンは、ある種の真菌による宿主植物感染に必要とされる。メラニン生合成抑制−レダクターゼ殺菌・殺カビ剤としては、イソベンゾフラノン、ピロロキノリノンおよびトリアゾロベンゾチアゾール殺菌・殺カビ剤が挙げられる。イソベンゾフラノンとしてはフサライドが挙げられる。ピロロキノリノンとしてはピロキロンが挙げられる。トリアゾロベンゾチアゾールとしてはトリシクラゾールが挙げられる。
【0507】
(16)「メラニン生合成抑制−デヒドラターゼ(MBI−D)殺菌・殺カビ剤」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コード16.2)は、メラニン生合成におけるシタロンデヒドラターゼを阻害する。メラニンは、ある種の真菌による宿主植物感染に必要とされる。メラニン生合成抑制−デヒドラターゼ殺菌・殺カビ剤としては、シクロプロパンカルボキサミド、カルボキサミドおよびプロピオンアミド殺菌・殺カビ剤が挙げられる。シクロプロパンカルボキサミドとしてはカプロパミドが挙げられる。カルボキサミドとしてはジクロシメットが挙げられる。プロピオンアミドとしてはフェノキサニルが挙げられる。
【0508】
(17)「ヒドロキシアニリド殺菌・殺カビ剤(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コード17)は、ステロール産生に関与するC4−デメチラーゼを阻害する。例としてはフェンヘキサミドが挙げられる。
【0509】
(18)「スクアレン−エポキシダーゼ抑制殺菌・殺カビ剤」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コード18)は、エルゴステロール生合成経路におけるスクアレン−エポキシダーゼを阻害する。エルゴステロールなどのステロールは、膜構造および膜機能のために必要であり、機能性細胞壁の発達のために必須とされている。従ってこれらの殺菌・殺カビ剤への露出は、感受性の真菌の異常な成長および最終的には死滅をもたらす。スクアレン−エポキシダーゼ抑制殺菌・殺カビ剤としては、チオカルバメートおよびアリルアミン殺菌・殺カビ剤が挙げられる。チオカルバメートとしてはピリブチカルブが挙げられる。アリルアミンとしては、ナフチフィンおよびテルビナフィンが挙げられる。
【0510】
(19)「ポリオキシン殺菌・殺カビ剤」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コード19)は、キチンシンターゼを阻害する。例としては、ポリオキシンが挙げられる。
【0511】
(20)「フェニル尿素殺菌・殺カビ剤」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コード20)は、細胞分裂に作用すると提案されている。例としては、ペンシクロンが挙げられる。
【0512】
(21)「キノン内部抑制(QiI)殺菌・殺カビ剤」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コード21)は、ユビキノールレダクターゼに作用することにより真菌における複合体IIIミトコンドリアの呼吸を阻害する。ユビキノールの還元は、真菌の内部ミトコンドリア膜内に位置されているチトクロムbc複合体の「キノン内部」(Q)部位でブロックされる。ミトコンドリアの呼吸の阻害は正常な真菌の成長および発生を妨げる。キノン内部抑制殺菌・殺カビ剤としては、シアノイミダゾールおよびスルファモイルトリアゾール殺菌・殺カビ剤が挙げられる。シアノイミダゾールとしてはシアゾファミドが挙げられる。スルファモイルトリアゾールとしてはアミスルブロムが挙げられる。
【0513】
(22)「ベンズアミド殺菌・殺カビ剤」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コード22)は、β−チューブリンに結合すると共に微小管会合を撹乱することにより有糸分裂を阻害する。微小管会合の阻害は、細胞分裂、細胞内輸送および細胞構造を撹乱することが可能である。例としては、ゾキサミドが挙げられる。
【0514】
(23)「エノピラヌロン酸抗生物質殺菌・殺カビ剤」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コード23)は、タンパク質生合成に作用することにより真菌の成長を阻害する。例としては、ブラストサイジン−Sが挙げられる。
【0515】
(24)「ヘキソピラノシル抗生物質殺菌・殺カビ剤」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コード24)は、タンパク質生合成に作用することにより真菌の成長を阻害する。例としては、カスガマイシンが挙げられる。
【0516】
(25)「グルコピラノシル抗生物質:タンパク質合成殺菌・殺カビ剤」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コード25)は、タンパク質生合成に作用することにより真菌の成長を阻害する。例としては、ストレプトマイシンが挙げられる。
【0517】
(26)「グルコピラノシル抗生物質:トレハラーゼおよびイノシトール生合成殺菌・殺カビ剤」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コード26)は、イノシトール生合成経路におけるトレハラーゼを阻害する。例としては、バリダマイシンが挙げられる。
【0518】
(27)「シアノアセタミドオキシム殺菌・殺カビ剤(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コード27)としてはシモキサニルが挙げられる。
【0519】
(28)「カルバメート殺菌・殺カビ剤」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コード28)は、真菌の成長の多部位抑制剤であるとみなされる。これらは、細胞膜における脂肪酸の合成に干渉し、次いで、細胞膜浸透性を撹乱すると提案されている。プロパマカルブ、塩酸プロパマカルブ、ヨードカルブおよびプロチオカルブがこの殺菌・殺カビ剤分類の例である。
【0520】
(29)「酸化性リン酸化脱共役殺菌・殺カビ剤」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コード29)は、脱共役酸化性リン酸化により真菌の呼吸を阻害する。呼吸の阻害は正常な真菌の成長および発生を妨げる。この分類は、フルアジナムなどの2,6−ジニトロアニリン、フェリムゾンなどのピリミドンヒドラダゾン、ならびに、ジノカップ、メプチルジノカップおよびビナパクリルなどのクロトン酸ジニトロフェニルを含む。
【0521】
(30)「有機錫殺菌・殺カビ剤」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コード30)は、酸化性リン酸化経路におけるアデノシン三リン酸(ATP)シンターゼを阻害する。例としては、酢酸トリフェニルスズ、塩化トリフェニルスズおよびトリフェニルスズヒドロキシドが挙げられる。
【0522】
(31)「カルボン酸殺菌・殺カビ剤」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コード31)は、デオキシリボ核酸(DNA)トポイソメラーゼタイプII(ギラーゼ)に作用することにより真菌の成長を阻害する。例としては、オキソリン酸が挙げられる。
【0523】
(32)「芳香族複素環式殺菌・殺カビ剤」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コード32)は、DNA/リボ核酸(RNA)合成に作用すると提案されている。芳香族複素環式殺菌・殺カビ剤としては、イソオキサゾールおよびイソチアゾロン殺菌・殺カビ剤が挙げられる。イソキサゾールとしてはヒメキサゾールが挙げられおよびイソチアゾロンとしてはオクチリノンが挙げられる。
【0524】
(33)「ホスホネート殺菌・殺カビ剤」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コード33)としては、亜リン酸およびホセチル−アルミニウムを含むその種々の塩が挙げられる。
【0525】
(34)「フタルアミド酸殺菌・殺カビ剤」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コード34)としてはテクロフタラムが挙げられる。
【0526】
(35)「ベンゾトリアジン殺菌・殺カビ剤」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コード35)としてはトリアゾキシドが挙げられる。
【0527】
(36)「ベンゼン−スルホンアミド殺菌・殺カビ剤」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コード36)としてはフルスルファミドが挙げられる。
【0528】
(37)「ピリダジノン殺菌・殺カビ剤」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コード37)としてはジクロメジンが挙げられる。
【0529】
(38)「チオフェン−カルボキサミド殺菌・殺カビ剤」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コード38)は、ATP産生に作用すると提案されている。例としては、シルチオファムが挙げられる。
【0530】
(39)「ピリミジンアミド殺菌・殺カビ剤」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コード39)は、リン脂質生合成に作用することにより真菌の成長を阻害し、ジフルメトリムが挙げられる。
【0531】
(40)「カルボン酸アミド(CAA)殺菌・殺カビ剤」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コード40)は、リン脂質生合成および細胞壁沈着を阻害すると提案されている。これらのプロセスの阻害は、成長を妨げて、標的真菌類に死をもたらす。カルボン酸アミド殺菌・殺カビ剤としては、桂皮酸アミド、バリンアミドカルバメートおよびマンデル酸アミド殺菌・殺カビ剤が挙げられる。桂皮酸アミドとしては、ジメトモルフおよびフルモルフが挙げられる。バリンアミドカルバメートとしては、ベンチアバリカルブ、ベンチアバリカルブ−イソプロピル、イプロバリカルブ、バリフェナレートおよびバリフェナルが挙げられる。マンデル酸アミドとしては、マンジプロパミド、N−[2−[4−[[3−(4−クロロフェニル)−2−プロピン−1−イル]オキシ]−3−メトキシフェニル]エチル]−3−メチル−2−[(メチルスルホニル)アミノ]ブタンアミドおよびN−[2−[4−[[3−(4−クロロフェニル)−2−プロピン−1−イル]オキシ]−3−メトキシフェニル]エチル]−3−メチル−2−[(エチルスルホニル)アミノ]ブタンアミドが挙げられる。
【0532】
(41)「テトラサイクリン抗生物質殺菌・殺カビ剤」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コード41)は、複合体1ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)オキシドレダクターゼに作用することにより真菌の成長を阻害する。例としては、オキシテトラサイクリンが挙げられる。
【0533】
(42)「チオカルバメート殺菌・殺カビ剤(b42)」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コード42)としてはメタスルホカルブが挙げられる。
【0534】
(43)「ベンズアミド殺菌・殺カビ剤」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コード43)は、スペクトリン様タンパク質の非局在化により真菌の成長を阻害する。例としては、フルオピコリドおよびフルオピラム(fluopyram)などのアシルピコリド殺菌・殺カビ剤が挙げられる。
【0535】
(44)「宿主植物防御誘起殺菌・殺カビ剤」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コードP)は、宿主植物防御メカニズムを誘起する。宿主植物防御誘起殺菌・殺カビ剤としては、ベンゾ−チアジアゾール、ベンゾイソチアゾールおよびチアジアゾール−カルボキサミド殺菌・殺カビ剤が挙げられる。ベンゾ−チアジアゾールとしてはアシベンゾラル−S−メチルが挙げられる。ベンゾイソチアゾールとしてはプロベナゾールが挙げられる。チアジアゾール−カルボキサミドとしては、チアジニルおよびイソチアニルが挙げられる。
【0536】
(45)「多部位接触殺菌・殺カビ剤」は、多数の作用部位を介して真菌の成長を阻害すると共に、接触/予防活性を有する。この分類の殺菌・殺カビ剤としては:(45.1)「銅殺菌・殺カビ剤」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コードM1)」、(45.2)「硫黄殺菌・殺カビ剤」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コードM2)、(45.3)「ジチオカルバメート殺菌・殺カビ剤」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コードM3)、(45.4)「フタルイミド殺菌・殺カビ剤」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コードM4)、(45.5)「クロロニトリル殺菌・殺カビ剤」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コードM5)、(45.6)「スルファミド殺菌・殺カビ剤」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コードM6)、(45.7)「グアニジン殺菌・殺カビ剤」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コードM7)、(45.8)「トリアジン殺菌・殺カビ剤」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コードM8)および(45.9)「キノン殺菌・殺カビ剤」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コードM9)が挙げられる。「銅殺菌・殺カビ剤」は、銅を、典型的には銅(II)酸化状態で含有する無機化合物であり;例としては、ボルドー液(三塩基性硫酸銅)などの組成物を含む、オキシ塩化銅、硫酸銅および水酸化銅が挙げられる。「硫黄殺菌・殺カビ剤」は、硫黄原子の環または鎖を含有する無機化学物質であり;例としては、元素硫黄が挙げられる。「ジチオカルバメート殺菌・殺カビ剤」は、ジチオカルバメート分子部分を含有し;例としては、マンコゼブ、メチラム、プロピネブ、フェルバム、マンネブ、チラム、ジネブおよびジラムが挙げられる。「フタルイミド殺菌・殺カビ剤」はフタルイミド分子部分を含有し;例としては、ホルペット、キャプタンおよびカプタホールが挙げられる。「クロロニトリル殺菌・殺カビ剤」は、クロロおよびシアノで置換された芳香族環を含有し;例としてはクロロタロニルが挙げられる。「スルファミド殺菌・殺カビ剤」としては、ジクロフルアニドおよびトリフルアニドが挙げられる。「グアニジン殺菌・殺カビ剤」としては、ドジン、グアザチン、イミノクタジンアルベシレートおよびイミノクタジントリアセテートが挙げられる。「トリアジン殺菌・殺カビ剤」としてはアニラジンが挙げられる。「キノン殺菌・殺カビ剤」としてはジチアノンが挙げられる。
【0537】
(46)「分類(1)〜(45)の殺菌・殺カビ剤以外の殺菌・殺カビ剤」は、作用機構が未知であり得る一定の殺菌・殺カビ剤を含む。これらとしては:(46.1)「チアゾールカルボキサミド殺菌・殺カビ剤」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コードU5)、(46.2)「フェニル−アセトアミド殺菌・殺カビ剤」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コードU6)、(46.3)「キナゾリノン殺菌・殺カビ剤」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コードU7)、(46.4)「ベンゾフェノン殺菌・殺カビ剤」(殺菌剤耐性菌対策委員会(FRAC)コードU8)、および、(46.5)「トリアゾロピリミジン殺菌・殺カビ剤」が挙げられる。チアゾールカルボキサミドとしてはエタボキサムが挙げられる。フェニル−アセトアミドとしては、シフルフェナミドおよびN−[[(シクロプロピルメトキシ)−アミノ]−[6−(ジフルオロメトキシ)−2,3−ジフルオロフェニル]−メチレン]−ベンゼンアセタミドが挙げられる。キナゾリノンとしてはプロキナジドが挙げられる。ベンゾフェノンとしてはメトラフェノンが挙げられる。トリアゾロピリミジンとしてはアメトクトラジンが挙げられる。(b46)分類としてはまた、ベトキサジン、フルキサピロキサド、ネオアソジン(メタアルソン酸第二鉄(ferric methanearsonate))、ピリオフェノン、ピロールニトリン、キノメチオネート、テブフロキン、N−[2−[4−[[3−(4−クロロ−フェニル)−2−プロピン−1−イル]オキシ]−3−メトキシ−フェニル]−エチル]−3−メチル−2−[(メチルスルホニル)アミノ]−ブタンアミド、N−[2−[4−[[3−(4−クロロ−フェニル)−2−プロピン−1−イル]オキシ]−3−メトキシフェニル]−エチル]−3−メチル−2−[(エチル−スルホニル)−アミノ]−ブタンアミド、2−[[2−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)−フェニル]チオ]−2−[3−(2−メトキシフェニル)−2−チアゾ−リジニル−イデン]−アセトニトリル、3−[5−(4−クロロフェニル)−2,3−ジメチル−3−イソキサゾリジニル]ピリジン、4−フルオロ−フェニルN−[1−[[[1−(4−シアノフェニル)エチル]スルホニル]メチル]−プロピル]カルバメート、5−クロロ−6−(2,4,6−トリ−フルオロ−フェニル)−7−(4−メチルピペリジン−1−イル)[1,2,4]−トリアゾロ−[1,5−a]−ピリミジン、N−(4−クロロ−2−ニトロ−フェニル)−N−エチル−4−メチルベンゼンスルホンアミド、N−[[(シクロプロピル−メトキシ)−アミノ]−[6−(ジフルオロ−メトキシ)−2,3−ジフルオロフェニル]メチレン]−ベンゼンアセタミド、N’−[4−[4−クロロ−3−(トリフルオロ−メチル)−フェノキシ]−2,5−ジメチルフェニル]−N−エチル−N−メチル−メタンイミド−アミド、1−[(2−プロペニルチオ)カルボニル]−2−(1−メチルエチル)−4−(2−メチル−フェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オン、N−[9−(ジクロロメチレン)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−メタノナフタレン−5−イル]−3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、3−(ジ−フルオロ−メチル)−N−[9−(ジフルオロ−メチレン)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−メタノナフタレン−5−イル]−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、N−[9−(ジブロモメチレン)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−メタノナフタレン−5−イル]−3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、N−[9−(ジブロモメチレン)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−メタノナフタレン−5−イル]−1−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、N−[9−(ジフルオロメチレン)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−メタノナフタレン−5−イル]−1−メチル−3−(トリフルオロ−メチル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミドおよびN−[9−(ジクロロメチレン)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−メタノナフタレン−5−イル]−1−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミドが挙げられる。
【0538】
従って、注目すべきは、式1の化合物と、上記の分類(1)〜(46)からなる群から選択される少なくとも1種の殺菌・殺カビ性化合物とを含む混合物(すなわち、組成物)である。また、注目すべきは、前記混合物(殺菌・殺カビ的に有効な量で)を含み、界面活性剤、固体希釈剤および液体希釈剤からなる群から選択される少なくとも1種の追加の成分をさらに含む組成物である。また、特に注目すべきは、式1の化合物と、分類(1)〜(46)に関連して上記に列挙されている特定の化合物の群から選択される少なくとも1種の殺菌・殺カビ性化合物とを含む混合物(すなわち、組成物)である。また、特に注目すべきは、前記混合物(殺菌・殺カビ的に有効な量で)を含み、界面活性剤、固体希釈剤および液体希釈剤からなる群から選択される少なくとも1種の追加の界面活性剤をさらに含む組成物である。
【0539】
本発明の化合物と共に配合可能である他の生物学的に活性な化合物または薬剤の例は以下のとおりである:アバメクチン、アセフェート、アセタミプリド、アクリナトリン、アミドフルメト(S−1955)、アベルメクチン、アザジラクチン、アジンホス−メチル、ビフェントリン、ビフェナゼート、ブプロフェジン、カルボフラン、カルタップ、クロラントラニリプロール、クロルフェナピル、クロルフルアズロン、クロルピリホス、クロルピリホス−メチル、クロマフェノジド、クロチアニジン、シアントラニリプロール(3−ブロモ−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−N−[4−シアノ−2−メチル−6−[(メチルアミノ)カルボニル]フェニル]−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド)、シフルメトフェン、シフルトリン、β−シフルトリン、シハロトリン、ラムダ−シハロトリン、シペルメトリン、シロマジン、デルタメトリン、ジアフェンチウロン、ダイアジノン、ディルドリン、ジフルベンズロン、ジメフルトリン、ジメトエート、ジノテフラン、ジオフェノラン、エマメクチン、エンドスルファン、エスフェンバレレート、エチプロール、フェノチオカルブ、フェノキシカルブ、フェンプロパトリン、フェンバレレート、フィプロニル、フロニカミド、フルベンジアミド、フルシトリネート、τ−フルバリネート、フルフェネリム(UR−50701)、フルフェノクスロン、ホノホス、ハロフェノジド、ヘキサフルムロン、ヒドラメチルノン、イミダクロプリド、インドキサカルブ、イソフェンホス、ルフェヌロン、マラチオン、メペルフルトリン、メタフルミゾン、メタアルデヒド、メタミドホス、メチダチオン、メソミル、メトプレン、メトキシクロル、メトキシフェノジド、メトフルトリン、ミルベマイシンオキシム、モノクロトホス、ニコチン、ニテンピラム、ニチアジン、ノバルロン、ノビフルムロン(XDE−007)、オキサミル、パラチオン、パラチオン−メチル、ペルメトリン、ホレート、ホサロン、ホスメット、ホスファミドン、ピリミカーブ、プロフェノホス、プロフルトリン、ピメトロジン、ピラフルプロール、ピレトリン、ピリダリル、ピリフルキナゾン、ピリプロール、ピリプロキシフェン、ロテノン、リアノジン、スピネトラム、スピノサド、スピロジクロフェン、スピロメシフェン(BSN2060)、スピロテトラマト、スルホキサフロル、スルプロホス、テブフェノジド、テフルベンズロン、テフルトリン、テルブホス、テトラクロルビンホス、テトラメチルフルトリン、チアクロプリド、チアメトキサム、チオジカルブ、チオスルタップ−ナトリウム、トルフェンピラド、トラロメトリン、トリアザメート、トリクロルホンおよびトリフルムロンなどの殺虫剤;ならびに、バチルスチューリンゲンシスアイザワイ(Bacillus thuringiensis subsp.aizawai)、バチルスチューリンゲンシスクルスターキ(Bacillus thuringiensis subsp.kurstaki)およびバチルスチューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)の被包性デルタエンドトキシン(例えば、Cellcap、MPV、MPVII)などの昆虫病原性バクテリア;グリーンムスカリン菌などの昆虫病原性菌;および、バキュロウイルス、HzNPV、AfNPVなどの核多核体ウイルス(NPV)を含む昆虫病原性ウイルス;ならびに、CpGVなどのグラニュローシスウイルス(GV)を含む生物剤。
【0540】
本発明の化合物およびその組成物は、有害無脊椎生物に対して有害なタンパク質(バチルスチューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)デルタエンドトキシンなど)を発現するよう遺伝的に形質転換された植物に適用することが可能である。外因的に適用された本発明殺菌・殺カビ性化合物の効果は、発現された毒素タンパク質と相乗的であり得る。
【0541】
農学的保護剤(すなわち、殺虫剤、殺菌・殺カビ剤、抗線虫薬、殺ダニ剤、除草剤および生物剤)に対する一般的な文献としては、The Pesticide Manual,13th Edition,C.D.S.Tomlin,Ed.,British Crop Protection Council,Farnham,Surrey,U.K.,2003およびThe BioPesticide Manual,2nd Edition,L.G.Copping,Ed.,British Crop Protection Council,Farnham,Surrey,U.K.,2001が挙げられる。
【0542】
これらの種々の混合パートナーの1種以上が用いられる実施形態については、これらの種々の混合パートナー(合計)対式1の化合物の重量比は、典型的には、約1:3000〜約3000:1である。注目すべきは、約1:300〜約300:1の重量比(例えば、約1:30〜約30:1の比)である。当業者は、単純な実験を通して、所望の範囲の生物活性に必要な有効成分の生物学的に有効な量を容易に判定することが可能である。これらの追加の成分を包含することで、式1の化合物単独で防除される範囲を超えて、防除される病害の範囲を拡大し得ることが明らかであろう。
【0543】
一定の事例においては、本発明の化合物と、他の生体活性(特に殺菌・殺カビ)化合物または薬剤(すなわち、有効成分)との組み合わせは、相加的効果を超える効果(すなわち、相乗的効果)をもたらすことが可能である。効果的な有害生物の防除を確保しつつ、環境中に放出される有効成分の量を低減することが常に望ましい。殺菌・殺カビ性有効成分の相乗作用が農業経済学的に十分なレベルの真菌性防除をもたらす施用量で生じる場合、このような組み合わせは、作物生産費用の削減および環境的負荷の低減に有利であることが可能である。
【0544】
注目すべきは、式1の化合物と、少なくとも1種の他の殺菌・殺カビ性有効成分との組み合わせである。特に注目すべきは、他の殺菌・殺カビ性有効成分が、式1の化合物とは異なる作用部位を有するような組み合わせである。一定の事例において、同様の防除範囲を有するが異なる作用部位を有する少なくとも1種の他の殺菌・殺カビ性有効成分との組み合わせが、耐性管理のために特に有利であろう。それ故、本発明の組成物は、同様の防除範囲を有するが異なる作用部位を有する少なくとも1種の追加の殺菌・殺カビ性有効成分を生物学的に有効な量でさらに含んでいることが可能である。
【0545】
特に注目すべきは、式1の化合物に追加して、(1)アルキレンビス(ジチオカルバメート)殺菌・殺カビ剤;(2)シモキサニル;(3)フェニルアミド殺菌・殺カビ剤;(4)プロキナジド(6−ヨード−3−プロピル−2−プロピルオキシ−4(3H)−キナゾリノン);(5)クロロタロニル;(6)真菌性ミトコンドリア呼吸系電子移動部位の複合体IIで作用するカルボキサミド;(7)キノキシフェン;(8)メトラフェノン;(9)シフルフェナミド;(10)シプロジニル;(11)銅化合物;(12)フタルイミド殺菌・殺カビ剤;(13)ホセチル−アルミニウム;(14)ベンズイミダゾール殺菌・殺カビ剤;(15)シアゾファミド;(16)フルアジナム;(17)イプロバリカルブ;(18)プロパモカルブ;(19)バリドマイシン(validomycin);(20)ジクロロフェニルジカルボキシイミド殺菌・殺カビ剤;(21)ゾキサミド;(22)フルオピコリド;(23)マンジプロパミド;(24)リン脂質生合成および細胞壁沈着に作用するカルボン酸アミド;(25)ジメトモルフ;(26)非DMIステロール生合成抑制剤;(27)ステロール生合成におけるデメチラーゼの抑制剤;(28)bc複合体殺菌・殺カビ剤;ならびに、(1)〜(28)の化合物の塩からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む組成物である。
【0546】
殺菌・殺カビ性化合物の分類のさらなる説明が以下に提供されている。
【0547】
ステロール生合成抑制剤(群(27))は、ステロール生合成経路において酵素を阻害することにより真菌を防除する。デメチラーゼ−阻害殺菌・殺カビ剤は、真菌におけるステロールへの前駆体であるラノステロールまたは24−メチレンジヒドロラノステロールの14位での脱メチル化の阻害を含む、共通の作用部位を真菌性ステロール生合成経路において有する。この部位で作用する化合物は、度々、デメチラーゼ抑制剤、DMI殺菌・殺カビ剤、または、DMIと称される。デメチラーゼ酵素は、時々、生化学文献においては、チトクロムP−450(14DM)を含む他の名称で称される。デメチラーゼ酵素は、例えば、J.Biol.Chem.1992,267,13175−79およびその中で引用されている文献中に記載されている。DMI殺菌・殺カビ剤は数々の化学的分類に分けられる:アゾール(トリアゾールおよびイミダゾールを含む)、ピリミジン、ピペラジンおよびピリジン。トリアゾールとしては、アザコナゾール、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジフェンコナゾール、ジニコナゾール(ジニコナゾール−Mを含む)、エポキシコナゾール、エタコナゾール、フェンブコナゾール、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルトリアホール、ヘキサコナゾール、イミベンコナゾール、イプコナゾール、メトコナゾール、ミクロブタニル、ペンコナゾール、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、キンコナゾール、シメコナゾール、テブコナゾール、テトラコナゾール、トリアジメホン、トリアジメノール、トリチコナゾールおよびウニコナゾールが挙げられる。イミダゾールとしては、クロトリマゾール、エコナゾール、イマザリル、イソコナゾール、ミコナゾール、オキスポコナゾール、プロクロラズおよびトリフルミゾールが挙げられる。ピリミジンとしては、フェナリモル、ヌアリモルおよびトリアリモルが挙げられる。ピペラジンとしてはトリホリンが挙げられる。ピリジンとしては、ブチオベートおよびピリフェノックスが挙げられる。生化学的研究が、上述の殺菌・殺カビ剤のすべてが、K.H.Kuck et al.,Modern Selective Fungicides−Properties,Applications and Mechanisms of Action,H.Lyr(Ed.),Gustav Fischer Verlag:New York,1995,205−258に記載のDMI殺菌・殺カビ剤であることを示した。
【0548】
bc複合体殺菌・殺カビ剤(群28)は、ミトコンドリア呼吸鎖中のbc複合体を阻害する殺菌・殺カビ性作用機構を有する。bc複合体は、度々、生化学文献においては、電子移動鎖の複合体IIIおよびユビヒドロキノン:チトクロムcオキシドレダクターゼを含む他の名称で称される。この複合体は、酵素番号(Enzyme Commission number)EC1.10.2.2によって固有に識別される。bc複合体は、例えば、J.Biol.Chem.1989,264,14543−48;Methods Enzymol.1986,126,253−71;および、その中で引用されている文献に記載されている。アゾキシストロビン、ジモキシストロビン、エネストロビン(SYP−Z071)、フルオキサストロビン、クレソキシム−メチル、メトミノストロビン、オリザストロビン、ピコキシストロビン、ピラクロストロビン、ピラメトストロビン、ピラオキシストロビンおよびトリフロキシストロビンなどのストロビルリン殺菌・殺カビ剤が、この作用機構を有していることで知られている(H.Sauter et al.,Angew.Chem.Int.Ed.1999,38,1328−1349)。ミトコンドリア呼吸鎖におけるbc複合体を阻害する他の殺菌・殺カビ性化合物としては、ファモキサドンおよびフェンアミドンが挙げられる。
【0549】
アルキレンビス(ジチオカルバメート)(群(1))としては、マンコゼブ、マンネブ、プロピネブおよびジネブなどの化合物が挙げられる。フェニルアミド(群(3))としては、メタラキシル、ベナラキシル、フララキシルおよびオキサジキシルなどの化合物が挙げられる。カルボキサミド(群(6))としては、ボスカリド、カルボキシン、フェンフラム、フルトラニル、フラメトピル、メプロニル、オキシカルボキシン、チフルザミド、ペンチオピラドおよびN−[2−(1,3−ジメチル−ブチル)フェニル]−5−フルオロ−1,3−ジメチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(国際公開第2003/010149号パンフレット)などの化合物が挙げられ、呼吸系電子移動鎖における複合体II(琥珀酸塩脱水素酵素)を撹乱することによりミトコンドリアの機能を阻害すると知られている。銅化合物(群(11))としては、ボルドー液(三塩基性硫酸銅)などの組成物を含む、オキシ塩化銅、硫酸銅および水酸化銅などの化合物が挙げられる。フタルイミド(群(12))としては、ホルペットおよびキャプタンなどの化合物が挙げられる。ベンズイミダゾール殺菌・殺カビ剤(群(14))としては、ベノミルおよびカルベンダジムが挙げられる。ジクロロフェニルジカルボキシイミド殺菌・殺カビ剤(群(20))としては、クロゾリネート、ジクロゾリン、イプロジオン、イソバレジオン、ミクロゾリン、プロシミドンおよびビンクロゾリンが挙げられる。
【0550】
非DMIステロール生合成抑制剤(群(26))としては、モルホリンおよびピペリジン殺菌・殺カビ剤が挙げられる。モルホリンおよびピペリジンは、ステロール生合成経路における、DMIステロール生合成(群(27))によって達成される阻害よりも後の時点のステップを阻害すると示されているステロール生合成抑制剤である。モルホリンとしては、アルジモルフ、ドデモルフ、フェンプロピモルフ、トリデモルフおよびトリモルファミドが挙げられる。ピペリジンとしてはフェンプロピジンが挙げられる。
【0551】
さらに注目すべきは、式1の化合物と、アゾキシストロビン、クレソキシム−メチル、トリフロキシストロビン、ピラクロストロビン、ピコキシストロビン、ジモキシストロビン、メトミノストロビン/フェノミノストロビン、カルベンダジム、クロロタロニル、キノキシフェン、メトラフェノン、シフルフェナミド、フェンプロピジン、フェンプロピモルフ、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジフェンコナゾール、エポキシコナゾール、フェンブコナゾール、フルシラゾール、ヘキサコナゾール、イプコナゾール、メトコナゾール、ペンコナゾール、プロピコナゾール、プロキナジド、プロチオコナゾール、テブコナゾール、トリチコナゾール、ファモキサドン、プロクロラズ、ペンチオピラドおよびボスカリド(ニコビフェン)との組み合わせである。
【0552】
真菌性植物病原体によって引き起こされる植物病害のより良好な防除(例えば、低い使用量もしくはより広い範囲の防除される植物病原体)、または、耐性管理のために、本発明の化合物と、群:アゾキシストロビン、クレソキシム−メチル、トリフロキシストロビン、ピラクロストロビン、ピコキシストロビン、ジモキシストロビン、メトミノストロビン/フェノミノストロビン、キノキシフェン、メトラフェノン、シフルフェナミド、フェンプロピジン、フェンプロピモルフ、シプロコナゾール、エポキシコナゾール、フルシラゾール、メトコナゾール、プロピコナゾール、プロキナジド、プロチオコナゾール、テブコナゾール、トリチコナゾール、ファモキサドンおよびペンチオピラドから選択される殺菌・殺カビ剤との混合物が好ましい。
【0553】
特に好ましい混合物(化合物番号は、索引表A〜C中の化合物を指している)は、群:化合物23、化合物11、化合物13、化合物18、化合物19または化合物22とアメトクトラジンとの組み合わせ、化合物23、化合物11、化合物13、化合物18、化合物19または化合物22とアゾキシストロビンとの組み合わせ、化合物23、化合物11、化合物13、化合物18、化合物19または化合物22とビキサフェンとの組み合わせ、化合物23、化合物11、化合物13、化合物18、化合物19または化合物22とボスカリドとの組み合わせ、化合物23、化合物11、化合物13、化合物18、化合物19または化合物22とシフルフェナミドとの組み合わせ、化合物23、化合物11、化合物13、化合物18、化合物19または化合物22とシプロコナゾールとの組み合わせ、化合物23、化合物11、化合物13、化合物18、化合物19または化合物22とジモキシストロビンとの組み合わせ、化合物23、化合物11、化合物13、化合物18、化合物19または化合物22とエポキシコナゾールとの組み合わせ、化合物23、化合物11、化合物13、化合物18、化合物19または化合物22とファモキサドンとの組み合わせ、化合物23、化合物11、化合物13、化合物18、化合物19または化合物22とフェンプロピジンとの組み合わせ、化合物23、化合物11、化合物13、化合物18、化合物19または化合物22とフェンプロピモルフとの組み合わせ、化合物23、化合物11、化合物13、化合物18、化合物19または化合物22とフルオピラム(fluopyram)との組み合わせ、化合物23、化合物11、化合物13、化合物18、化合物19または化合物22とフルシラゾールとの組み合わせ、化合物23、化合物11、化合物13、化合物18、化合物19または化合物22とフルチアニルとの組み合わせ、化合物23、化合物11、化合物13、化合物18、化合物19または化合物22とイソピラザムとの組み合わせ、化合物23、化合物11、化合物13、化合物18、化合物19または化合物22とイソチアニルとの組み合わせ、化合物23、化合物11、化合物13、化合物18、化合物19または化合物22とクレソキシム−メチルとの組み合わせ、化合物23、化合物11、化合物13、化合物18、化合物19または化合物22とマンジプロパミドとの組み合わせ、化合物23、化合物11、化合物13、化合物18、化合物19または化合物22とメプチルジノカップとの組み合わせ、化合物23、化合物11、化合物13、化合物18、化合物19または化合物22とメトコナゾールとの組み合わせ、化合物23、化合物11、化合物13、化合物18、化合物19または化合物22とメトミノストロビン/フェノミノストロビンとの組み合わせ、化合物23、化合物11、化合物13、化合物18、化合物19または化合物22とメトラフェノンとの組み合わせ、化合物23、化合物11、化合物13、化合物18、化合物19または化合物22とペンフルフェンとの組み合わせ、化合物23、化合物11、化合物13、化合物18、化合物19または化合物22とペンチオピラドとの組み合わせ、化合物23、化合物11、化合物13、化合物18、化合物19または化合物22とピコキシストロビンとの組み合わせ、化合物23、化合物11、化合物13、化合物18、化合物19または化合物22とプロピコナゾールとの組み合わせ、化合物23、化合物11、化合物13、化合物18、化合物19または化合物22とプロキナジドとの組み合わせ、化合物23、化合物11、化合物13、化合物18、化合物19または化合物22とプロチオコナゾールとの組み合わせ、化合物23、化合物11、化合物13、化合物18、化合物19または化合物22とピラクロストロビンとの組み合わせ、化合物23、化合物11、化合物13、化合物18、化合物19または化合物22とピラメトストロビンとの組み合わせ、化合物23、化合物11、化合物13、化合物18、化合物19または化合物22とピラオキシストロビンとの組み合わせ、化合物23、化合物11、化合物13、化合物18、化合物19または化合物22とピリベンカルブとの組み合わせ、化合物23、化合物11、化合物13、化合物18、化合物19または化合物22とキノキシフェンとの組み合わせ、化合物23、化合物11、化合物13、化合物18、化合物19または化合物22とテブコナゾールとの組み合わせ、化合物23、化合物11、化合物13、化合物18、化合物19または化合物22とテブフロキンとの組み合わせ、化合物23、化合物11、化合物13、化合物18、化合物19または化合物22とトリフロキシストロビンとの組み合わせ、化合物23、化合物11、化合物13、化合物18、化合物19または化合物22とトリチコナゾールおよび化合物23との組み合わせ、化合物11、化合物13、化合物18、化合物19または化合物22とバリフェナレートとの組み合わせから選択される。
【0554】
以下のテストは、特定の病原体に対する本発明の化合物の防除効力を実証している。しかしながら、この化合物によってもたらされる病原体防除保護は、これらの種に限定されない。化合物の説明については索引表A〜Cを参照のこと。以下の略語が以下の索引表において用いられている:tは第3級であり、Meはメチルであり、Etはエチルであり、および、t−Buはt−ブチルである。略記「Ex.」は「実施例」を表すと共に、どの実施例において化合物が調製されているかを示す番号が続いている。
【0555】
本明細書に記載の方法により調製される本発明の化合物が索引表A〜Cに示されている。質量スペクトルデータ(AP(M+1))に関して、報告されている数値は、H(1の分子量)の分子への負荷によって形成されて、大気圧化学イオン化(AP)を用いる質量分光測定により観察されるM+1ピークをもたらす親分子イオン(M)の分子量である。複数のハロゲンを含有する化合物で生じる交互の分子イオンピーク(例えば、M+2またはM+4)は報告されていない。
【0556】
【表26】
【0557】
【表27】
【0558】
【表28】
【0559】
【表29】
【0560】
【表30】
【0561】
本発明の生物学的実施例
テストA〜C用のテスト懸濁液を調製するための一般的なプロトコル:先ず、テスト化合物を最終体積の3%に等しい量でアセトン中に溶解させ、次いで、250ppmの界面活性剤Trem(登録商標)014(多価アルコールエステル)を含有するアセトンおよび精製水(体積基準で50/50混合物)中に所望の濃度(ppm)で懸濁させた。次いで、得られたテスト懸濁液をテストA〜Cにおいて用いた。テスト植物への40ppmテスト懸濁液の流出点までの吹付けは、160g/haの割合に等しかった。
【0562】
テストA
ブドウ苗木にプラズモパラ ビチコーラ(Plasmopara viticola)(ブドウべと病の病因)の胞子懸濁液を播種し、飽和雰囲気中に20℃で24時間インキュベートした。短期間乾燥させた後、テスト懸濁液をブドウ苗木に流出点まで噴霧し、次いで、これを20℃のグロースチャンバに5日間移し、その後、ブドウ苗木を20℃の飽和雰囲気中に24時間戻した。取り出してから視覚的な病害評価を行った。
【0563】
テストB
テスト懸濁液をトマト苗木に流出点まで噴霧した。次の日に、フィトフトラ インフェスタンス(Phytophthora infestans)(トマト疫病の病因)の胞子懸濁液を苗木に播種し、飽和雰囲気中に20℃で24時間インキュベートし、次いで、20℃のグロースチャンバに5日間移し、その後、視覚的な病害の評価を行った。
【0564】
テストC
トマト苗木にフィトフトラ インフェスタンス(Phytophthora infestans)(トマト疫病の病因)の胞子懸濁液を播種し、飽和雰囲気中に20℃で17時間インキュベートした。短期間乾燥させた後、テスト懸濁液をトマト苗木に流出点まで噴霧し、次いで、これを20℃のグロースチャンバに4日間移し、その後、視覚的な病害評価を行った。
【0565】
テストA〜Cに追加して、処理の24時間後にボトリチス シネレア(Botrytis cinerea)またはアルテルナリア ソラニ(Alternaria solani)を播種した別個の2組のトマト植物、および、うどん粉病菌(Blumeria graminis f.sp.tritici)を播種したコムギ植物にも化合物を噴霧した。テスト化合物は、テストした施用量でのテスト条件下では、これらの追加の病原体に対する活性を示さなかった。
【0566】
テストA〜Cに対する結果が表Aに記載されている。この表中において、100の格付けは100%の病害防除を示し、0の格付けは病害が防除されていない(対照と比して)ことを示し、「*」は200ppmの適用からのデータを示し、および、「−−−」はこのアッセイに対してデータがないことを表す。
【0567】
【表31】