特許第5769823号(P5769823)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5769823
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】熱電モジュールを含む回路アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/38 20060101AFI20150806BHJP
   H01L 35/30 20060101ALI20150806BHJP
   H01L 25/00 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
   H01L23/38
   H01L35/30
   H01L25/00 A
【請求項の数】15
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2013-552542(P2013-552542)
(86)(22)【出願日】2012年1月18日
(65)【公表番号】特表2014-509451(P2014-509451A)
(43)【公表日】2014年4月17日
(86)【国際出願番号】US2012021641
(87)【国際公開番号】WO2012106111
(87)【国際公開日】20120809
【審査請求日】2013年8月29日
(31)【優先権主張番号】13/021,735
(32)【優先日】2011年2月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507358446
【氏名又は名称】レアード テクノロジーズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】LAIRD TECHNOLOGIES,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ハーシュバーガー、ジェフリー ジェラード
(72)【発明者】
【氏名】ヒル、リチャード エフ.
(72)【発明者】
【氏名】スマイズ、ロバート マイケル
(72)【発明者】
【氏名】サツコ、マイケル ジー.
【審査官】 麻川 倫広
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−282987(JP,A)
【文献】 特開平04−158559(JP,A)
【文献】 特開2003−179204(JP,A)
【文献】 特開平10−032290(JP,A)
【文献】 特開平10−117088(JP,A)
【文献】 特開2006−324391(JP,A)
【文献】 特開2008−198928(JP,A)
【文献】 特開2006−054318(JP,A)
【文献】 特開2004−006720(JP,A)
【文献】 特開2009−135391(JP,A)
【文献】 特開平09−213850(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/29
23/34−23/36
23/373−23/427
23/44
23/467−23/473
25/00−25/07
25/10−25/11
25/16−25/18
27/16
35/00−37/04
H05K 1/14
3/36
7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路アセンブリであって、
回路基板と、
熱電モジュールを前記回路基板に結合するように構成された少なくとも1つの電気経路と
を備え、
前記熱電モジュールが前記回路基板に結合されている場合、前記少なくとも1つの電気経路は、前記熱電モジュールの一部を形成し、
前記回路基板は、前記少なくとも1つの電気経路から離間された位置で、前記回路基板上の電気部品を支持するように構成されており、
前記少なくとも1つの電気経路は、前記回路基板に埋設されており、
前記回路基板は、基底支持部を含み、前記基底支持部の少なくとも一部が除去されることにより、前記回路基板の前記少なくとも1つの電気経路を露出させる、前記基底支持部を貫く開口を画定し、前記少なくとも1つの電気経路は、前記回路基板の前記基底支持部に画定された開口を介して熱電モジュールを前記回路基板に結合するように構成されている、回路アセンブリ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの電気経路を介して前記回路基板に結合された熱電モジュールを更に備える、請求項1に記載の回路アセンブリ。
【請求項3】
前記回路基板は、前記熱電モジュールの少なくとも一部を形成する、請求項2に記載の回路アセンブリ。
【請求項4】
前記回路基板は、前記熱電モジュールの高温側および低温側のうちの1つとして機能する、請求項3に記載の回路アセンブリ。
【請求項5】
前記熱電モジュールは、
前記回路基板から離間された基板と、
前記基板と前記回路基板との間に電気的に結合された複数の熱電素子と
を含む、請求項3に記載の回路アセンブリ。
【請求項6】
前記電気部品の少なくとも1つが前記回路基板に結合されている場合、前記熱電モジュールは、前記回路基板を通じて前記電気部品の少なくとも1つから熱を移動させるように構成されている、請求項5に記載の回路アセンブリ。
【請求項7】
前記熱電モジュールは、前記回路基板のフットプリント内に配置され、前記回路基板は、前記熱電モジュールから離間された位置において、前記回路基板のフットプリント内の前記電気部品を支持するように構成されている、請求項2に記載の回路アセンブリ。
【請求項8】
前記少なくとも1つの電気経路は、前記回路基板の2つの誘電体層の間に配置されている、請求項1に記載の回路アセンブリ。
【請求項9】
前記少なくとも1つの電気経路は、複数のグループの電気経路を含み、各グループは、異なる熱電モジュールを前記回路基板に結合するように構成されている、請求項1に記載の回路アセンブリ。
【請求項10】
前記熱電モジュールの動作を制御するように構成された少なくとも1つの電気部品であって、前記熱電モジュールから離間された位置において、前記回路基板上に配置される前記少なくとも1つの電気部品、
前記回路基板に結合された熱伝達装置、および
前記回路基板に結合された複数の熱電モジュール
のうちの少なくとも一つを更に備える、請求項1〜のいずれか一項に記載の回路アセンブリ。
【請求項11】
回路アセンブリであって、
回路基板と、
熱電モジュールであって、
第1基板と、
前記第1基板のフットプリント内に配置された第2基板と、
前記第1基板および第2基板の間に概ね配置された熱電素子と
を含む前記熱電モジュールと、
ここで、前記第1基板は、前記回路基板の一部分によって画定され、前記回路基板は、前記熱電モジュールから離間された位置において、少なくとも1つの電気部品を支持するように構成され、
前記熱電素子を前記回路基板に結合するように構成され、前記回路基板内に埋設された複数の電気経路と
を備え、
前記回路基板は、基底支持部を含み、前記基底支持部の少なくとも一部が除去されることにより、前記複数の電気経路を露出させる、前記基底支持部を貫く開口を画定し、前記複数の電気経路は、前記回路基板の前記基底支持部に画定された開口を介して前記熱電素子を前記回路基板に結合するように構成されている、回路アセンブリ。
【請求項12】
前記熱電モジュールの動作を制御するように構成された少なくとも1つの電気部品を更に備え、前記少なくとも1つの電気部品は、前記熱電モジュールから離間した位置において、前記回路基板上に配置される、請求項11に記載の回路アセンブリ。
【請求項13】
請求項11または12に記載の回路アセンブリであって、
前記回路基板が複数の熱電モジュールの各々の一部を画定するように、前記回路基板に結合された複数の熱電モジュールと
を更に備える、回路アセンブリ。
【請求項14】
回路と熱電モジュールとを組み込んだ回路アセンブリを製造する方法であって、
前記回路の一部として、回路基板上に少なくとも1つの電気経路を形成することであって、前記少なくとも1つの電気経路は、前記回路の電気部品を前記回路基板に電気的に結合するように構成されている、前記少なくとも1つの電気経路を形成すること、
前記回路基板の一部と基板との間に複数の熱電素子を結合することによって、前記回路基板が熱電モジュールの一部を画定するように、前記回路基板上に熱電モジュールを形成すること
を含み、
前記基板は、前記回路基板のフットプリントよりも小さいフットプリントを画定し、前記回路基板は、前記基板によって画定されるフットプリントの外側の位置において、前記回路基板上の前記回路の電気部品を支持するように構成されており、
前記回路アセンブリは、前記熱電素子を前記回路基板に結合するように構成され、前記回路基板内に埋設された複数の電気経路を含み、
前記回路基板は、基底支持部を含み、前記基底支持部の少なくとも一部が除去されることにより、前記複数の電気経路を露出させる、前記基底支持部を貫く開口を画定し、前記複数の電気経路は、前記回路基板の前記基底支持部に画定された開口を介して前記熱電素子を前記回路基板に結合するように構成されている、方法。
【請求項15】
前記回路基板上に形成された前記少なくとも1つの電気経路を介して前記回路の電気部品を前記回路基板に結合すること、
前記基板上に少なくとも1つの電気経路を形成し、前記基板上に形成された前記電気経路を介して電気部品を前記基板に結合すること、
前記回路基板および前記基板のうちの少なくとも1つに熱伝達装置を結合すること
のうちの少なくとも一つを更に含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、回路アセンブリに関し、より具体的には、熱電モジュールを含む回路アセンブリおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本章は、本開示に関連する背景情報を付与するものであり、この情報は必ずしも従来技術であるとは限らない。
熱電モジュール(thermoelectric module:TEM)は、ヒートポンプとして、または、発電装置として機能し得る固体装置である。熱電モジュールをヒートポンプとして使用する際、熱電モジュールはペルティエ効果を利用して熱を移動させる。熱電モジュールを発電に使用する際、熱電モジュールは熱電発電装置(thermoelectric generator:TEG)と呼ばれることがある。TEGは、バッテリーチャージャなどの電力貯蔵回路に対して電気的に接続され、TEGにより生成された電気を貯蔵し得る。
【0003】
熱を移動させる熱電モジュールの使用に関して、かつ、一般的背景として、ペルティエ効果は、電流が熱電材料を通過する際に起こる熱の輸送を指す。熱は、電子が材料に進入する際にピックアップされ、電子が材料から出る際に堆積される(N型熱電材料における場合と同様)か、または、電子が材料に進入する際に堆積され、電子が材料から出る際にピックアップされる(P型熱電材料における場合と同様)。例として、テルル化ビスマスを半導体材料として使用してもよい。ここで、熱電モジュールは、通常、熱電材料の交互に置かれたN型素子およびP型素子(「複数の素子」)を電気的に直列に接続し、典型的には酸化アルミニウムから構成される2つの回路基板の間にそれらを機械的に固定することによって構成される。N型素子およびP型素子を交互に配置して使用することにより、全N型素子では一方の空間方向に電気が流れ、全P型素子では対向する空間方向に電気が流れる。結果として、直流電源に接続すると、電流は、熱電モジュールの一方側から他方側へと熱を移動させる(例えば、一方の回路基板から他方の回路基板へ)。当然ながら、これは、熱電モジュールの一方側を加温し、他方側を冷却する。典型的な適用は、熱電モジュールの低温側を、冷却すべき物体、物質または環境に曝露させる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本章は、本開示の一般的な要旨を付与するものであり、その全範囲またはその特性の全てについての包括的開示ではない。
本開示の実施形態例は、一般に、回路アセンブリに関する。1つの実施形態例において、回路アセンブリは、回路基板と、回路アセンブリにおいてヒートポンプとしての使用のために熱電モジュールを回路基板に結合するように構成された少なくとも1つの電気経路とを含む。少なくとも1つの電気経路は、熱電モジュールが回路基板に結合される場合、熱電モジュールの一部を形成する。そして、回路基板は、少なくとも1つの電気経路から離間された位置において、回路基板上の電気部品を支持するように構成される。
【0005】
本開示の実施形態例は、一般に、回路アセンブリにおいて使用するための熱電モジュールに関する。1つの実施形態例において、第1基板と、第1基板のフットプリント内に配置された第2基板と、第1基板および第2基板の間に概ね配置された熱電素子とを含む。第1基板は回路基板の一部分によって画定され、回路基板は、熱電モジュールから離間された位置において少なくとも1つの電気部品を支持するように構成される。熱電モジュールはヒートポンプとして機能し得る。
【0006】
本開示の実施形態例はまた、一般に、回路と熱電モジュールとを組み込んだ回路アセンブリを製造する方法に関する。1つの実施形態例において、回路アセンブリを製造する方法は、回路基板上に少なくとも1つの電気経路を回路の一部として形成し、回路基板の一部と基板との間に複数の熱電素子を結合することによって、回路基板が熱電モジュールの一部を画定するように回路基板上に熱電モジュールを形成することを含む。少なくとも1つの電気経路は、回路の電気部品を回路基板へ電気的に結合するように構成される。そして、基板は、回路基板のフットプリントよりも小さいフットプリントを画定し、これにより、回路基板は、基板によって画定されるフットプリントの外側の位置において、回路基板上の回路の電気部品を支持するように構成される。
【0007】
更なる適用可能分野は、本明細書の記載から明らかとなるであろう。本概要中の記載および特定例は、例証目的のみを意図するものであり、本開示の範囲の限定を意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施形態例による回路アセンブリの斜視図である。
図2】本開示の別の実施形態例による回路アセンブリの斜視図である。
図3図2の回路アセンブリの上平面図であり、その更なる詳細を例証するのを助けるべく、電気部品が回路基板から取り外されている。
図4】本開示の更に別の実施形態例による回路アセンブリの斜視図である。
図5図4の線5−5を含む面で切り取った、図4の回路アセンブリの断面図である。
図6】本開示の更に別の実施形態例による回路アセンブリの上平面図である。
図7図6の線7−7を含む面で切り取った、図6の回路アセンブリの断面図である。
図8】本開示の更に別の実施形態例による回路アセンブリの上平面図である。
図9図8の線9−9を含む面で切り取った、図8の回路アセンブリの断面図である。
図10】本開示の別の実施形態例による回路アセンブリの上平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書に記載された図面は、選択された実施形態および全てとは限らない可能な実施を例証するためだけのものであり、本開示の範囲の限定を意図するものではない。
図面中の幾つかの図にわたって、対応する参照番号は対応する部分を示す。
【0010】
本開示の実施形態例は、一般に、コンピュータ、空調装置などの電気装置において使用するのに好適な回路アセンブリに関する。回路アセンブリは、回路およびそれと結合された電子部品を、熱電モジュールと共に支持するように構成される回路基板(広義には、基板)を含む。幾つかの実施形態例において、熱電モジュールは、回路基板および/または回路基板上に支持された電気部品の少なくとも1つの温度を所望どおり制御する(例えば、加温する、冷却する、維持する)のを助ける(例えば、回路基板および/またはその上の電気部品の適切な動作温度を維持するのを助ける)働きをする。幾つかの実施形態例において、熱電モジュールは、(例えば、回路アセンブリが含まれる電気装置などの)おおむね回路アセンブリ周囲の環境(例えば、空気、他の構造物、プレートなど)の温度を所望どおり制御する(例えば、加温する、冷却する、維持する)のを助ける(例えば、環境の適切な動作温度を維持するのを助ける)働きをする。
【0011】
幾つかの実施形態において、回路アセンブリは、回路およびそれと結合された電子部品を、回路の所望部分(例えば、回路の電子部品の特定の熱産生部分、回路の電子部品の特定の他の部分など)の温度を制御する(例えば、そこから熱を移動させる、冷却する)ように構成された熱電モジュールと共に支持するように構成された回路基板を含む。この構成により、回路基板の一部分は、回路および熱電モジュールが共に同一回路基板上に位置するように熱電モジュールの一部を形成し、それにより、熱電モジュールの回路への一体化(例えば、機械的一体化、熱的一体化、電気的一体化、それらの組み合わせなど)を許容する。その後、熱電モジュールは、回路の所望部分の温度を制御するように機能し得る。特に、回路基板は、回路の所望部分の温度を制御する際に使用するための、熱電モジュールの高温側または熱電モジュールの低温側のいずれかとして直接機能する。熱電モジュールはまた、幾つかの実施形態例では、回路アセンブリにおける発電装置として使用され得る。
【0012】
幾つかの実施形態例において、回路アセンブリは、回路およびそれと結合された電子部品を、熱電モジュールと共に支持するように構成された回路基板を含み、熱電モジュールは、回路基板にわたって(例えば、回路基板の一方側から回路基板の反対側へ)熱を伝達するように構成される。
【0013】
幾つかの実施形態例において、同一回路基板上に熱電モジュールとして置かれた回路(例えば、電気経路、電気部品など)は、熱電モジュールの動作制御を助ける(例えば、熱電モジュール回路の一部として)ように構成される。リード線を回路基板に結合して、電力を回路に提供することができ、または、電源を熱電モジュールと共に(回路の一部として)回路基板上に設置することにより、電力を回路に提供してもよい。
【0014】
幾つかの実施形態例において、同一回路基板上に熱電モジュールとして置かれた回路(例えば、電気経路、電気部品など)は、熱電モジュールとは別個であり(例えば、そこから電気的に独立し)、かつ、熱電モジュールから独立して所望の動作を行うように構成される回路を画定する。かかる回路の例として、一体型回路などを挙げることができる。そして、かかる回路と結合した電気部品の例として、電源、ライト、スイッチ、増幅器などを挙げることができる。回路の様々な部分(例えば、その電気部品など)は熱産生傾向を有し得るため、その結果、熱電モジュールが回路温度を所望どおり制御するのを助けるべく使用される。
【0015】
幾つかの実施形態例では、複数の熱電モジュールが同一の回路基板上に共に置かれる。これら実施形態の中には、同一回路基板上に熱電モジュールとして置かれた回路が、熱電モジュールの(例えば、個々の熱電モジュールの、グループとしての複数の熱電モジュール全体の)動作制御を助けるように構成されるものもある。また、これら実施形態の中には、同一回路基板上に熱電モジュールとして置かれた回路が、熱電モジュールとは別個であり(例えば、そこから電気的に独立し)、かつ、熱電モジュールから独立して所望の動作を行うように構成される回路を画定するものもある。
【0016】
幾つかの実施形態例において、回路は、回路基板の非電導性表面上に所望のパターンで形成された(例えば、エッチングされた、フライス加工された、はんだ付けされた、積層された)電気経路(例えば、電気トラック、信号トレース、電流路、バスバーなど)を有する。電気経路は、例えば、エッチング作業、フライス加工作業、はんだ付け作業を含む所望の作業によって形成することができる。電気経路は、所望の作業のために回路の電子部品を共に電気的に結合するように働く。電気経路は、回路基板の一方側部分、回路基板の両側部分に配置および/または回路基板内に埋設可能である。電流路が回路基板の一方側部分のみに配置される実施形態例では、回路基板の反対側部分は、一般に特徴がなく、更に、回路基板に更なる支持を付与するための、ならびに/または、回路基板と他の部品および/もしくは周囲環境との間で熱を伝達する役割を果たし得る熱伝導特性を付与するための金属製当て板(例えば、アルミニウム板など)を含むことができる。
【0017】
幾つかの実施形態例において、回路基板は、例えば、金属製当て板上に誘電材料の層と導電性材料の層とが交互に形成された(例えば、積層された、圧設された)既成の回路基板(例えば、Laird Technologies(St. Louis, Missouri)のTlam回路基板など)である。誘電材料層は、例えば、それに添加された高分子材料(例えば、硬化樹脂、熱伝導性充填剤粒子(例えば、繊維ガラス、セラミックスなど)を添加した硬化樹脂、硬化セラミック充填材料、機械的に強化された繊維ガラス材料など)などの好適な電気絶縁材料から構成することができる。導電性材料の層は、任意の好適な導電性金属材料、例えば、銅、ニッケル、アルミニウム、ステンレス鋼、それらの組み合わせなど、から構成することができる。そして、所望の電流容量などに応じて、いかなる好適な厚さの金属材料を使用してもよい(例えば、6オンスの銅ホイルなど)。次いで、電気経路を、例えば、所望のパターンで導電性材料の層の一部を除去する(例えば、エッチングする、切断する(例えば、フライス加工、水ジェット切断、浸食など))ことによって、誘電材料の層上に形成することができる。結果として生じた電気経路は、回路基板の外面上に置かれてもよく、および/または、回路基板内(回路基板が複数の誘電材料層を含む場合には、誘電材料層同士の間)に埋設されてもよい。これら実施形態の幾つかにおいて、電気経路は、複数のビアの使用により、異なる層間に所望であるように構成されてもよい。これら実施形態の幾つかにおいて、回路基板は、その熱伝導特性の改良を助ける熱伝導性材料から形成されてもよい。加えて、所望の熱伝導性を助けるためにサーマル・ビアが含まれてもよい。更なる例は、「熱電モジュールおよび関連方法(Thermoelectric Modules and Related Methods)」という名称の、共同所有されている米国特許出願第12/560,194号(2009年9月15日出願)(その全開示を参照により本明細書に組み込む)に記載されている。
【0018】
他の実施形態例において、回路基板は、例えば、セラミック構成、繊維ガラス強化エポキシ構成などの伝統的な回路基板構成を有し、例えば、導電性トレースなどを所望のパターンで回路基板へはんだ付けすることによって電気経路がその上に形成されている。これら実施形態の幾つかにおいて、回路基板は、その熱伝導特性の改良を助ける熱伝導性材料を含んでもよい。
【0019】
幾つかの実施形態例において、熱電モジュールは、2つの離間した回路基板の間に配置されたN型およびP型熱電素子を含む。電気経路(例えば、導電性材料のパターンなど)は、回路基板の内側部分に設けられて、隣接する熱電素子を共に電気的に結合して作動させる。N型およびP型素子は、任意の好適な材料(例えば、テルル化ビスマスなど)から形成可能であり、かつ、任意の所望形状(例えば、立方体形)を有し得る。そして、N型およびP型熱電素子は、例えば、N型およびP型熱電素子の交互構成、N型およびP型熱電素子の直列構成などの構成で配置することができる。更に、熱電モジュールは、回路基板上の任意の所望位置に置くことができる。例えば、熱電モジュールは、回路基板のおおむね中央部分に向かって、回路基板のおおむね中心から外れた位置に向かって、または回路基板のその他の部分に向かって所望であるように配置することができる。
【0020】
幾つかの実施形態例において、熱伝達装置は、回路基板への、または回路基板からの熱伝達を助けるべく使用される。熱伝達装置の例としては、ヒートシンク、ヒートスプレッダー、ヒートパイプ、ヒートプレート、ファン、それらの組み合わせなどを挙げることができる。熱界面材料は、熱伝達装置と回路基板との間の任意の空隙を充填すべくそれらの間で使用され、これにより、(比較的弱い熱導体である、空隙に空気が充填されたものと比較して)回路基板と熱伝達装置との間の熱伝達効率が向上する。
【0021】
次に、添付の図面を参照して、実施形態例をより十分に説明する。
図1は、本開示の回路アセンブリ100の実施形態例を例証している。回路アセンブリ100は、2つの離間した回路基板102および104を含む。熱電素子106(例えば、交互に配置されたN型およびP型熱電素子など)は、回路基板102の一部と回路基板104との間に配置される。回路基板102の一部、熱電素子106および回路基板104は共に、熱電モジュール110(TEM)を画定する。正電気経路112および負電気経路114は回路基板102に沿って形成されて、TEM110に電力を提供し、それにより、おおむね回路基板102上にTEM回路を画定する。例証実施形態において、TEM110はヒートポンプとして機能し、回路基板104がTEM110の低温側として働き、かつ、回路基板102がTEM110の高温側として働く。
【0022】
回路基板102は、TEM110が回路基板102によって画定されるフットプリント内に置かれるように、回路基板104よりもサイズが大きい。これは、回路基板102上でTEM110に隣接してTEM回路の正電気経路112および負電気経路114を形成する余地を与える。これはまた、回路基板102上の、おおむねTEM110の周囲に(かつ、例えば、TEM110および回路基板104によって画定されるフットプリント外に)、所望するように、更なる電気経路116を形成しかつ更なる電気部品118を位置付ける余地を与える。
【0023】
回路基板102は、片面型回路基板である。そのため、電気経路116(およびそれと結合された電気部品118)は、回路基板102の一方側、すなわち(図1で見ると)上側部分、のみに配置される。同様に、TEM110の熱電素子106を回路基板102に結合するための(およびTEM110の高温側の一部として隣接する熱電素子106を共に電気的に結合するための)導電性パターン120(例えば、バスバーなど)は、(TEM110が回路基板102の上側部分上に置かれるように)回路基板102の上側部分上のみに形成される。更に、回路基板102は、電気経路116および導電性パターン120が基部124上に形成された層状構造を有する。特に、電気経路116および導電性パターン120は、(基部124に結合された(例えば、積層された、圧設された))導電層の一部を所望のパターンで基部124から除去して基部124上に電気経路116および導電性パターン120を残すことによって形成される。例として、基部124は、固体誘電体層を含み得る。そして、別の例として、基部124は、熱伝導性支持層上に支持された誘電体層(その後、電気経路116が誘電体層上に形成される)を含み得る。
【0024】
回路基板104は、両面型回路基板である。電気部品126(例えば、熱産生電気部品など)に対応するように構成された電気経路(見えない)は、回路基板104の上側部分上に形成される。そして、TEM110の熱電素子106を回路基板104に結合するための(およびTEM110の低温側の一部として隣接する熱電素子106を共に電気的に結合するための)導電性パターン(見えない)は、回路基板104の下側部分上に形成される。回路基板104は、2つの導電層が誘電体層128の反対側に形成された層状構造を有する(これにより、誘電体層128がおおむね2つの導電層の間に配置される)。熱電素子106を回路基板104に結合するための導電性パターンは、導電層の一部を所望のパターンで基部124から除去することによって、回路基板104の下側部分上に形成される。そして同様に、回路基板104の上側部分上に電気部品126に対応するように構成された電気経路は、導電層の一部を所望のパターンで基部124から除去することによって形成される。
【0025】
例証実施形態において、回路アセンブリ100は、おおむね以下のように組立てることができる。最初に、電気経路116および導電性パターン120を回路基板102上に形成する。その後、初めにTEMモジュールの半分を形成し、次にその半分のTEMモジュールを回路基板102に結合する(例えば、物理的結合、電気的結合、熱的結合、それらの組み合わせ)ことによって、TEM110を回路基板102の一部として形成する。具体的には、半分のTEMモジュールは、熱電素子106を、回路基板104の下側部分上に形成された導電性パターンに結合することによって初めに形成される。その後、半分のTEMモジュールの熱電素子106を、回路基板102上の導電性パターンに結合することにより、TEM110を(回路基板102の一体部分として)形成する。代替的に、回路アセンブリ100は、例えば自動化表面実装技術などを使用する既知の作業によって組立てることもできる。
【0026】
電気部品118は、TEM110周囲の所望の電気経路116に沿って回路基板102に結合して(例えば、物理的結合、電気的結合、熱的結合、それらの組み合わせ)、動作させる(例えば、電気部品118に電力を提供する)。そして同様に、電気部品126を、TEM回路とは別個の(例えば、電気的に独立した)回路の一部として、回路基板104の上側表面上に形成された電気経路に結合する。例証実施形態において、電気部品126を回路基板102に(例えば、回路基板102上に形成された電気経路(図示せず)に)結合することにより、必要に応じて電力を電気部品126に提供する正極ジャンパー線132および負極ジャンパー線134が設けられている。例証された更なる電気部品118の少なくとも1つ以上は、(TEM回路の一部として)TEM110の動作制御を助けるべく構成されてもよい。更に、例証された更なる電気部品118の少なくとも1つ以上は、TEM回路とは別個の(例えば、電気的に独立した)回路の一部であってもよく、また、(TEM回路から独立して)他の所望の動作を行ってもよい。
【0027】
動作中、TEM110は、電気部品126から回路基板102へと(ペルティエ効果により)熱を伝達することによって、回路基板104の上側表面上に位置する電気部品126の温度制御を助けるべく機能する。次いで、回路基板102は、伝達された熱を周囲空気へ放散するのを助けるヒートスプレッダーおよびヒートシンクとして機能する。更に、例証実施形態において、ヒートシンク136は、回路基板102(および回路アセンブリ100)から伝達された熱を周囲空気へ放散するのを更に助けるために、回路基板102の基部124の下側部分に結合される。ヒートシンク136は、従来の対流および/または放射技術により冷却され得る。そして、熱界面材料(TIM)は、(比較的弱い熱導体である、空隙に空気が充填されたものと比較して)回路基板102からヒートシンク136への熱伝達効率を向上させるために、回路基板102とヒートシンク136との間の任意の空隙を充填すべく、それらの間で使用し得る。他の実施形態例において、回路アセンブリから周囲空気への熱放散を助けるために、ヒートシンク以外の熱伝達装置を使用してもよい。そして、他の実施形態例において、回路基板は、回路アセンブリから周囲空気への熱放散の主要な供給源として機能し得る(そのため、補助的な熱伝達装置(例えば、ヒートシンクなど)は使用または含まれない)。
【0028】
図2および3は、本開示の回路アセンブリ200の別の実施形態例を例証している。回路アセンブリ200は、2つの離間した回路基板202および204を含む。熱電素子206は、回路基板202の一部と回路基板204との間に配置される。回路基板202の一部、熱電素子206および回路基板204は共にTEM210を画定する。
【0029】
例証実施形態において、TEM210はヒートポンプとして機能し、回路基板202がTEM210の高温側として働き、かつ、回路基板204がTEM210の低温側として働く。回路基板202はまた、幾つかの更なる電気経路216と、TEM210の動作制御を助けるべく機能する(おおむねTEM210の周囲の位置にある)電気部品218aおよび218bを支持する。例えば、回路基板202は、TEM210用電源接続部242aを(図2に示すように)受容するように構成された実装領域240と、TEM210の動作と関連する連通接続部242bと、TEM210用接地接続部242cとを備える(host)。更に、回路基板202は、TEM210の動作制御を助けるべく構成された温度制御回路(TEM回路とも言う)を支持する。温度制御回路は、TEM210に結合された熱電対248(図2)に対応するように構成された実装パッド246(図3)と、継電器218a(図2)に対応するように構成された実装パッド246’(図3)と、TEM210の動作制御を助けるべく構成された、それと連通している特定用途向け集積回路(ASIC)コントローラ218bとを含む。そのため、本実施形態において、TEM210の一部(温度制御回路を介して)を使用して、回路アセンブリ200の熱状態を感知することができる。
【0030】
回路基板202は、TEM210が回路基板202によって画定されるフットプリント内に置かれるように、回路基板204よりもサイズが大きい。これは、回路基板202上の、おおむねTEM210の周囲に(かつ、例えば、TEM210および回路基板204によって画定されるフットプリント外に)、所望するように、更なる電気経路216、実装領域240および実装パッド246および246’を形成し、かつ、TEM210の動作と関連する電気部品218a、218bおよび248を位置付ける余地を与える。図示していないが、少なくとも1以上の更なる電気経路および/または部品が、TEM210の温度制御回路から独立して他の所望の動作を行うために、TEM210の温度制御回路とは別個の(例えば、電気的に独立した)回路の一部として回路基板202上に含まれ得ることを理解すべきである。
【0031】
回路基板202は、片面型回路基板である。そのため、電気経路216、実装パッド246および246’およびそれと結合された電気部品218a、218bおよび248は、回路基板202の一方側、すなわち(図2で見ると)上側部分、のみに配置される。同様に、TEM210の熱電素子206を回路基板202に結合するための(およびTEM210の高温側の一部として隣接する熱電素子206を共に電気的に結合するための)導電性パターン220は、(TEM210が最終的に回路基板202の上側部分上に置かれるように)回路基板202の上側部分上のみに提供される。更に、回路基板202は、電気経路216および導電性パターン220が基部224上に形成された層状構造を有する。特に、電気経路216は、導電層の一部を所望のパターンで基部224から除去して基部224上に電気経路216および導電性パターン220を残すことによって形成される。例として、基部224は、固体誘電体層を含み得る。そして、別の例として、基部224は、熱伝導性支持層上に支持された誘電体層を含み得る(その後、電気経路216が誘電体層上に形成される)。
【0032】
回路基板204はまた、片面型回路基板である。ここで、TEM210の熱電素子206を回路基板204に結合するための(およびTEM210の低温側の一部として隣接する熱電素子206を共に電気的に結合するための)導電性パターン(見えない)は、回路基板204の一方側、すなわち(図2で見ると)下側部分、のみに配置される。回路基板202と同様に、回路基板204もまた、導電層が基部228上に形成された層状構造を有する。ここで、熱電素子206を回路基板204に結合するための導電性パターンは、回路基板204の下側部分上に形成される。導電性パターンは、導電層の一部を所望のパターンで基部228から除去して基部228上に導電性パターンを残すことによって形成される。例として、基部228は、固体誘電体層を含み得る。そして、別の例として、基部228は、熱伝導性支持層上に支持された誘電体層を含み得る(その後、導電性パターンが基部の誘電体層上に形成される)。
【0033】
例証実施形態において、回路アセンブリ200は、おおむね以下のように組立てられる。最初に、電気経路216、導電性パターン220、実装領域240および実装パッド246および246’を回路基板202上に形成する。その後、初めにTEMモジュールの半分を形成し、次にその半分のTEMモジュールを回路基板202に結合することによって、TEM210を回路基板202の一部として形成する。具体的には、半分のTEMモジュールは、熱電素子206を、回路基板204の下側部分上に形成された導電性パターンに結合することによって初めに形成される。その後、半分のTEMモジュールの熱電素子206を、回路基板202上に形成された導電性パターン220に結合することにより、TEM210を(回路基板202の一体部分として)形成する。代替的に、回路アセンブリ200は、例えば自動化表面実装技術などを使用する既知の作業によって組立てることもできる。
【0034】
電気部品218aおよび218bは、TEM210周囲の所望の電気経路216に沿って回路基板202に結合して動作させる(例えば、電気部品218aおよび218bに電力を提供する)。更に、例証実施形態において、ヒートシンク244を、TEM210の温度制御回路とは別個の回路の一部として、回路基板204の基部228の上側表面に結合する。そして、熱電対248をTEM210および回路基板202の実装パッド246に結合する。
【0035】
例証実施形態の動作において、回路基板204に結合されたヒートシンク244は、周囲空気からの熱を受け取り、かつ、受け取った熱を回路基板204へと伝達するように機能する。TEM210は、ヒートシンク244および回路基板204からの熱を回路基板202へと(ペルティエ効果により)伝達する。次いで、回路基板202は、伝達された熱を周囲空気へ放散するのを助けるヒートスプレッダーおよびヒートシンクとして機能する。他の実施形態例において、(例えば、所望の動作に応じて)周囲空気からの熱を受け取るために、ヒートシンク以外の熱伝達装置(例えば、ヒートプレートなど)を使用してもよい。
【0036】
更に、例証実施形態において、回路基板202(および回路アセンブリ200)から周囲空気へ熱を放散するのを更に助けるために、更なるヒートシンク236を回路基板202の基部224の下側部分に結合する。ヒートシンク236は、従来の対流および/または放射技術により冷却され得る。そして、TIMは、(比較的弱い熱導体である、空隙に空気が充填されたものと比較して)回路基板202からヒートシンク236への、および、ヒートシンク244から回路基板204への熱伝達効率を向上させるために、回路基板202とヒートシンク236との間ならびに回路基板204とヒートシンク244との間で使用し得る。そのため、回路アセンブリ200は、おおむね回路基板202の一方側から(ヒートシンク244および回路基板204から)回路基板202の反対側へ(およびヒートシンク236へ)熱を輸送するように機能する。他の実施形態例において、回路アセンブリから周囲空気への熱放散を助けるために、ヒートシンク以外の熱伝達装置を使用してもよい。そして、他の実施形態例において、回路基板は、回路アセンブリから周囲空気への熱放散の主要な供給源として機能し得る(そのため、補助的な熱伝達装置(例えば、ヒートシンクなど)は使用されず、含まれもしない)。
【0037】
例として、(回路基板204に取り付けられた)ヒートシンク244が空調ユニット筐体内部の流体(例えば、空気など)を冷却するように機能する場合、回路アセンブリ200を空調ユニットの一部として使用することができる。そして、(TEM210のおおむね底である部分を形成する)回路基板202に取り付けられたヒートシンク236は、ヒートシンク244からの熱を周囲空気へ排出するように機能する。
【0038】
例証実施形態において、回路アセンブリ200は、単一TEM210を含むものとして示されている。しかし、所望により、回路アセンブリ200がその代わりに複数のTEMを含み得ることを理解すべきである。そうする場合、回路基板202は、(TEM210に加えて)更なるTEMまたは複数のTEMに対応するための更なる導電性パターンを含む。更なる1または複数のTEMはヒートポンプとして機能し、回路基板202がTEMの高温側として働き、かつ、更なるTEMの第2の離間した回路基板がTEMの低温側として働く。複数のTEMは、単一のコントローラ(例えば、ASICコントローラなど)によって共にまたは個々に制御可能であるか、または複数のTEMは複数の別個のコントローラによって個々に制御可能である。ここで、回路アセンブリ200はやはり、ヒートシンク244が複数のTEMの(回路基板204を含む)複数の上側回路基板に取り付けられて、空調ユニット筐体内部の空気を冷却するように機能する場合、空調ユニットの一部として使用可能である。そして、(複数のTEMのおおむね底である部分を形成する)回路基板202に取り付けられたヒートシンク236は、ヒートシンク244からの熱を周囲空気へ排出するように機能する。
【0039】
図4および5は、本開示の回路アセンブリ300の別の実施形態例を例証している。回路アセンブリ300は、2つの離間した回路基板302および304を含む。熱電素子306は、回路基板302の一部と回路基板304との間に配置される。回路基板302の一部、熱電素子306および回路基板304は共にTEM310を画定する。正電気経路312および負電気経路(見えない)は回路基板302に沿って形成されて、TEM310に電力を提供し、それにより、おおむね回路基板302上にTEM回路を画定する。例証実施形態において、TEM310はヒートポンプとして機能し、回路基板302がTEM310の低温側として働き、かつ、回路基板304がTEM310の高温側として働く。
【0040】
回路基板302は、TEM310が回路基板302によって画定されるフットプリント内に置かれるように、回路基板304よりもサイズが大きい。これは、回路基板302上の、TEM310および回路基板304によって画定されるフットプリント外に、TEM回路の正電気経路312および負電気経路312を形成する余地を与える。これはまた、回路基板302上の、TEM310および回路基板304によって画定されるフットプリント外に、所望するように、更なる電気経路316aを形成し、かつ、更なる電気部品318を位置付ける余地を与える。
【0041】
回路基板302は、片面型回路基板である。そのため、電気経路316a(およびそれと結合された電気部品318)は、回路基板302の一方側、すなわち(図5で見ると)上側部分、のみに配置される。同様に、TEM310の熱電素子306を回路基板302に結合するための(およびTEM310の高温側の一部として隣接する熱電素子306を共に電気的に結合するための)導電性パターン320は、(TEM310が最終的に回路基板302の上側部分上に置かれるように)回路基板302の上側部分上のみに提供される。
【0042】
回路基板302はまた、基底支持部350(例えば、アルミニウム板などの金属製当て板)、その上に形成された誘電体層324aおよび324b、電気経路316aおよび316bならびに導電性パターン320を含む層状構造を有する。基底支持部350は、機械的支持ならびに所望により熱伝導特性を回路基板302に付与することができる。誘電体層324aおよび324bは、その多様な電気経路316aおよび316b、導電性パターン320ならびにTEM310を含む回路基板302の絶縁を支援する。例証実施形態において、電気経路316aは回路基板302の外側表面に沿って配置され、電気経路316bが、回路基板302における誘電体層324aおよび324bの間に埋設される。そして、導電性パターン320は、おおむね、回路基板302における誘電体層324aの下に埋設される。埋設された電気経路316bならびに埋設された導電性パターン320は、導電層を(すでに基底支持部350上に配置されている)誘電体層324bに結合し、導電層の一部を誘電体層324bから所望のパターンで除去して誘電体層324b上に電気経路316bおよび導電性パターン320を残すことによって形成される。次いで、電気経路が、埋設された電気経路316bならびに埋設された導電性パターン320にわたって誘電体層324aを回路基板302に結合し(誘電体層324aは先の導電層が除去された領域を埋める)、もう1つの導電層を誘電体層324aに結合し、導電層の一部を誘電体層324aから所望のパターンで除去して誘電体層324a上に電気経路316bを残すことによって形成される。
【0043】
回路基板304はまた、片面型回路基板である。TEM310の熱電素子306を回路基板304に結合するための(およびTEM310の高温側の一部として隣接する熱電素子306を共に電気的に結合するための)導電性パターン352は、回路基板304の一方側、すなわち(図5で見ると)上側部分、のみに形成される。更に、回路基板304は、基部328と、その上に形成された導電性パターン352とを含む層状構造を有する。導電性パターン352は、導電層を基部328に結合し、次いで導電層の一部を所望のパターンで基部328から除去して基部328上に導電性パターン352を残すことによって形成される。例として、基部328は、固体誘電体層を含み得る。そして、別の例として、基部328は、熱伝導性支持層上に支持された誘電体層を含み得る(その後、導電性パターン352が誘電体層上に形成される)。
【0044】
例証実施形態において、回路アセンブリ300は、おおむね以下のように組立てられる。最初に、電気経路316aおよび316bならびに導電性パターン320を回路基板302上に形成する。その後、初めにTEMモジュールの半分を形成し、次にその半分のTEMモジュールを回路基板302に結合することによって、TEM310を回路基板302の一部として形成する。具体的には、半分のTEMモジュールは、熱電素子306を、回路基板304の基部328上に形成された導電性パターン352に結合することによって初めに形成される。その後、半分のTEMモジュールの熱電素子306を、回路基板302上に形成された導電性パターン320に結合することにより、TEM310を(回路基板302の一体部分として)形成する。代替的に、回路アセンブリ300は、例えば自動化表面実装技術などを使用する既知の作業によって組立てることもできる。
【0045】
例証実施形態においてこれを達成するには、回路基板302の(図5で見ると)下側部分を除去して(おおむね、導電性パターン320の下)、半分のTEMモジュールを回路基板302に結合する(それにより、TEM310を回路基板302上の所望の回路に一体化することができる)。具体的に、基底支持部350および誘電体層324bの一部を、おおむね導電性パターン320下の位置で除去することにより、おおむね回路基板302の下から導電性パターン320を露出させる。次いで、半分のTEMモジュールを導電性パターン320に結合し、それによりTEM310を形成する。そのため、TEM310は、おおむね回路基板302の下側部分内に位置付けられ、(必要ではないが、TEM310の所望の厚さに応じて)回路基板304は、例証実施形態において回路基板302の下側部分とほぼ同一平面に位置付けられる。この配向により、単一のヒートシンク(例えば、ヒートシンク336など)をTEM310及び回路基板302の残り部分の両方を被覆(および冷却)するべく使用することができる。おおむね回路基板302の下側部分内にあるTEM310のこの配向はまた、TEM310のより効率的な温度制御動作を可能にし得る。
【0046】
電気部品318は、TEM310周囲の所望の電気経路316aおよび316bに沿って回路基板302に結合して動作させる(例えば、電気部品318に電力を提供する)。更に、電気部品326(例えば、熱産生電気部品など)を、TEM回路とは別個の(例えば、電気的に独立した)回路の一部として、回路基板302の上側表面上に形成された電気経路316a’に結合する。例証された更なる電気部品318の少なくとも1つ以上は、(TEM回路の一部として)TEM310の動作制御を助けるべく構成され得る。更に、例証された更なる電気部品318の少なくとも1以上は、TEM回路とは別個の(例えば、電気的に独立した)回路の一部であってもよく、また、(TEM回路から独立して)他の所望の動作を行ってもよい。
【0047】
動作中、TEM310は、電気部品326から回路基板304へと(ペルティエ効果により)熱を伝達することによって、回路基板302の電気経路316a’上に位置する電気部品326の温度制御を助けるべく機能する。次いで、回路基板304は、伝達された熱を周囲空気へ放散するのを助けるヒートスプレッダーおよびヒートシンクとして機能する。更に、例証実施形態において、ヒートシンク336は、伝達された熱を回路基板304(および回路アセンブリ300)から周囲空気へ放散するのを更に助けるべく、回路基板304の基部328の下側部分に結合される。ヒートシンク336は、従来の対流および/または放射技術により冷却され得る。そして、TIMは、(比較的弱い熱導体である、空隙に空気が充填されたものと比較して)回路基板304からヒートシンク336への熱伝達効率を向上させるために、回路基板304とヒートシンク336との間の任意の空隙を充填すべく、それらの間で使用し得る。他の実施形態例において、回路アセンブリから周囲空気への熱放散を助けるために、ヒートシンク以外の熱伝達装置を使用してもよい。そして、他の実施形態例において、回路基板は、回路アセンブリから周囲空気への熱放散の主要な供給源として機能し得る(そのため、補助的な熱伝達装置(例えば、ヒートシンクなど)は使用されず、含まれもしない)。
【0048】
回路基板302内の幾つかの領域において、2つの誘電体層324aおよび324bの間(例えば、電気部品318の下には電気経路312および316bが埋設されていないことを理解すべきである。誘電体層324aおよび324bの熱伝導性は、電気経路312および316bのそれほど良好ではない。故に、誘電体層324aおよび324bを介した熱伝達の向上を助けるために、サーマル・ビアを回路基板302に追加してもよい。サーマル・ビアは、誘電体層324aおよび324bに穴を開け、その穴に金属を充填する(例えば、化学蒸着法などにより)ことによって形成し得る。そして、例として、サーマル・ビアは、例えば電気部品318の下などで、基底支持部350から誘電体層324bを通って誘電体層324aまで(または部分的には誘電体層324a内(しかし貫通せずに)まで)延在し得る。サーマル・ビアにおける金属が熱と同様に電気を通すことができる場合、周囲環境からサーマル・ビアを電気的に絶縁するために、典型的に、誘電体層324aは実質的に無傷のままにしておく。サーマル・ビアはまた、「熱電モジュールおよび関連方法(Thermoelectric Modules and Related Methods)」という名称の、共同所有されている米国特許出願第12/560,194号(2009年9月15日出願)(その全開示を参照により本明細書に組み込む)に記載されている。所望である場合、誘電体層324aおよび324bを介した導電性の向上を助けるべく、電気的ビアを回路基板302に追加してもよいことを理解すべきである。
【0049】
図6および7は、本開示の回路アセンブリ400の別の実施形態例を例証している。回路アセンブリ400は、2つの離間した回路基板402および404を含む。熱電素子406(例えば、N型熱電素子、P型熱電素子など)は、回路基板402の一部と回路基板404との間に配置される。回路基板402の一部、熱電素子406および回路基板404は共にTEM410を画定する。
【0050】
例証実施形態において、TEM410はヒートポンプとして機能し、回路基板402がTEM410の低温側として働き、かつ、回路基板404がTEM410の高温側として働く。ここで、TEM410は、回路基板402上でTEM410に隣接して位置する電気部品418(例えば、統合型コントロールパッケージなど)と直列に配置され、所望であるように電気部品418の高温側部分426から熱を移動させるのを助ける。ジャンパー線456はTEM410を回路基板402に電気的に接続して、TEM410および(電気部品418からTEM410への所望の熱伝達に対応するのに必要である)電気部品418を含む回路を完成させる。
【0051】
回路基板402は、TEM410が回路基板402によって画定されるフットプリント内に置かれるように、回路基板404よりもサイズが大きい。これは、回路基板402上の、おおむねTEM410の周囲に(かつ、例えば、TEM410および回路基板404によって画定されるフットプリント外に)、所望するように、更なる電気経路416を形成しかつ更なる電気部品418を位置付ける余地を与える。
【0052】
回路基板402は、片面型回路基板である。そのため、電気経路416および416’(およびそれと結合された電気部品418)ならびに(TEM410を回路基板402に結合するための)電気経路416’は、回路基板402の一方側、すなわち(図7で見ると)上側部分、のみに配置される。回路基板402は、基底支持部450(例えば、アルミニウム層など)、この基底支持部450上に形成された誘電体層424、およびこの誘電体層424上に形成された電気経路416を含む層状構造を有する。電気経路は、導電層(例えば、銅層など)を(すでに基底支持部450上に配置されている)誘電体層424に結合し、導電層の一部を誘電体層424から所望のパターンで除去することによって形成される。これにより、誘電体層424上に所望の電気経路416が残る。
【0053】
回路基板404はまた、片面型回路基板である。TEM410の熱電素子406を回路基板404に(TEM410の高温側の一部として)結合するための導電性パターン452は、回路基板404の一方側、すなわち(図7で見ると)下側部分、のみに形成される。そして、回路基板404は、基部428およびこの基部428上に形成された導電性パターン452を含む層状構造を有する。ここで、導電性パターン452は、(基部428に結合されている)導電層の一部を基部428から除去して基部428上に導電性パターン452を残すことによって形成される。例として、基部428は、固体誘電体層を含み得る。そして、別の例として、基部428は、熱伝導性支持層上に支持された誘電体層を含み得る(その後、導電性パターン452が誘電体層上に形成される)。
【0054】
例証実施形態において、回路アセンブリ400は、おおむね以下のように組立てられる。最初に、電気経路416を回路基板402上に形成する。その後、初めにTEMモジュールの半分を形成し、次にその半分のTEMモジュールを回路基板402に結合することによって、TEM410を回路基板402の一部として形成する。具体的には、半分のTEMモジュールは、熱電素子406を、回路基板404上に形成された導電性パターン452に結合することによって初めに形成される。その後、半分のTEMモジュールの熱電素子406を、回路基板402上に形成された電気経路416’に結合することにより、TEM410を(回路基板402の一体部分として)形成する。代替的に、回路アセンブリ400は、例えば自動化表面実装技術などを使用する既知の作業によって組立てることもできる。
【0055】
電気部品418(電気接続部458を介した)は、TEM410に隣接する所望の電気経路416にて回路基板402に結合して動作させる(例えば、電気部品418に電力を提供する)。TEM410のジャンパー線456を電気経路416”に結合することにより、電気部品418からTEM410を経由して回路402までの回路を完成させる。例証実施形態において、電気部品418の高温部分426(例えば、電気部品418の「ホットスポット」など)は、電気部品418の残りよりも多くの熱を生成する。そのため、高温部分426に最も近い電気経路416’は、おおむね他の対応する電気経路416よりもサイズが大きく、回路基板402内で電気部品418からTEM410まで横方向に熱を輸送するべく使用される。少なくとも1以上の更なる電気部品は、TEM410の制御動作を助けるおよび/またはTEM410から独立して他の所望の動作を行うために、回路アセンブリ400に含まれ得る。
【0056】
動作中、TEM410は、ホットスポットから回路基板404へと(ペルティエ効果により)熱を伝達することによって、回路基板402上に位置する電気部品418のホットスポットの温度制御を助けるべく機能する。次いで、回路基板404は、伝達された熱を周囲空気へ放散するのを助けるヒートスプレッダーおよびヒートシンクとして機能する。更に、例証実施形態において、ヒートシンク436は、伝達された熱を回路基板404(および回路アセンブリ400)から周囲空気へ放散するのを更に助けるべく、回路基板404の基部の上側位置に結合される。ヒートシンク436は、従来の対流および/または放射技術により冷却され得る。そして、TIMは、(比較的弱い熱導体である、空隙に空気が充填されたものと比較して)回路基板404からヒートシンク436への熱伝達効率を向上させるために、回路基板404とヒートシンク436との間の任意の空隙を充填すべく、それらの間で使用し得る。他の実施形態例において、回路アセンブリから周囲空気への熱放散を助けるために、ヒートシンク以外の熱伝達装置を使用してもよい。そして、他の実施形態例において、回路基板は、回路アセンブリから周囲空気への熱放散の主要な供給源として機能し得る(そのため、補助的な熱伝達装置(例えば、ヒートシンクなど)は使用されず、含まれもしない)。
【0057】
例証実施形態において、回路アセンブリ400の電気部品418は、TEM410の動作制御を助けるように構成され得る。または、電気部品は、TEM回路から独立して他の所望の動作を行うように構成され得る。
【0058】
図8および9は、本開示の回路アセンブリ500の別の実施形態例を例証している。回路アセンブリ500は、2つの離間した回路基板502および504を含む。熱電素子506は、回路基板502の一部と回路基板504との間に配置される。回路基板502の一部、熱電素子506および回路基板504は共にTEM510を画定する。TEM510に電力を供給するリード線512および514が設けられ、それにより、おおむね回路基板502上にTEM回路を画定する。例証実施形態において、TEM510はヒートポンプとして機能し、回路基板502がTEM510の低温側として働き、かつ、回路基板504がTEM510の高温側として働く。そして、具体的に、TEM510は、回路基板502に結合された電気部品518の高温部分526から熱を移動させるのを助けるように構成される。
【0059】
回路基板502は、TEM510が回路基板502によって画定されるフットプリント内に置かれるように、回路基板504よりもサイズが大きい。これは、回路基板502上でおおむねTEM510に隣接して(かつ、例えば、TEM510および回路基板504によって画定されるフットプリント外に)、所望するように、更なる電気経路516を形成しかつ電気部品518(例えば、統合型コントロールパッケージなど)を位置付ける余地を与える。
【0060】
回路基板502は、片面型回路基板である。そのため、電気経路516および516’(およびそれと結合された電気部品)ならびに(TEM510を回路基板502に結合するための)電気経路516”は、回路基板502の一方側、すなわち(図9で見ると)上側部分、のみに配置される。同様に、TEM510の熱電素子506を回路基板502に結合するための(およびTEM510の高温側の一部として隣接する熱電素子506を共に電気的に結合するための)導電性パターン520は、(TEM510が最終的に回路基板502の上側部分上に置かれるように)回路基板502の上側部分上のみに提供される。
【0061】
回路基板502は、基底支持部550(例えば、アルミニウム板などの金属製当て板)、誘電体層524aおよび524b、これら誘電体層524aおよび524b上に形成された電気経路516、ならびにこの誘電体層524a上に形成された導電性パターン520を含む層状構造を有する。例証実施形態において、電気経路516は回路基板502の外側表面に沿って配置され、電気経路516’が、回路基板502の、誘電体層524aおよび524bの間に部分的に埋設される。そのため、誘電体層524aは、電気経路516’からTEM510を電気的に絶縁するのを助ける。電気経路516は、導電層を(すでに基底支持部550上に結合されている)誘電体層524bに結合し、導電層の一部を誘電体層から所望のパターンで除去して誘電体層524b上に電気経路516を残すことによって形成される。次いで、導電性パターン520が、電気経路516’の一部にわたって誘電体層524aを回路基板502に結合し、もう1つの導電層を誘電体層524aに結合し、次いで、導電層の一部を誘電体層524aから所望のパターンで除去して誘電体層524a上に導電性パターン520を残すことによって形成される。
【0062】
回路基板504はまた、片面型回路基板である。ここで、TEM510の熱電素子506を回路基板504に結合するための(およびTEM510の高温側の一部として隣接する熱電素子506を共に電気的に結合するための)導電性パターン552は、回路基板504の一方側、すなわち(図9で見ると)下側部分、のみに形成される。更に、回路基板504は、基部528と、その上に形成された導電性パターン552とを含む層状構造を有する。導電性パターン552は、導電層を基部528に結合し、次いで導電層の一部を所望のパターンで基部528から除去して基部528上に導電性パターン552を残すことによって形成される。例として、基部528は、固体誘電体層を含み得る。そして、別の例として、基部528は、熱伝導性支持層上に支持された誘電体層を含み得る(その後、導電性パターン552が誘電体層上に形成される)。
【0063】
例証実施形態において、回路アセンブリ500は、おおむね以下のように組立てられる。最初に、電気経路516および導電性パターン520を回路基板502上に形成する。その後、初めにTEMモジュールの半分を形成し、次にその半分のTEMモジュールを回路基板502に結合することによって、TEM510を回路基板502の一部として形成する。具体的には、半分のTEMモジュールは、回路基板504上に形成された導電性パターン552に熱電素子506を結合することによって初めに形成される。その後、半分のTEMモジュールの熱電素子506を、回路基板502上に形成された対応する導電性パターン520に結合することにより、TEM510を(回路基板502の一体部分として)形成する。代替的に、回路アセンブリ500は、例えば自動化表面実装技術などを使用する既知の作業によって組立てることもできる。
【0064】
電気部品518(電気接続部558を介した)は、TEM510に隣接する所望の電気経路516および516’にて回路基板502に結合して動作させる(例えば、電気部品518に電力を提供する)。そして、TEM510のリード線512および514を電気経路516”に結合する。例証実施形態において、電気部品518の高温部分526(例えば、電気部品518の「ホットスポット」など)は、電気部品518の残りよりも多くの熱を生成する。そのため、高温部分526に最も近い電気経路516’は、おおむね他の対応する電気経路516よりもサイズが大きく、回路基板502内で電気部品518からTEM510まで横方向に熱を輸送するべく使用される。ここで、TEM510は、電気部品518とは電気的に接続されていない。代わりに、回路基板502の層状構造(および特に誘電体層524a)は、TEM510を電気部品518から電気的に絶縁するが、やはり電気経路516’からTEM510へ熱を伝達して冷却動作を行うことを許容する。
【0065】
動作中、TEM510は、ホットスポットから回路基板504へと(ペルティエ効果により)熱を伝達することによって、回路基板502上に位置する電気部品518のホットスポットの温度制御を助けるべく機能する。次いで、回路基板504は、伝達された熱を周囲空気へ放散するのを助けるヒートスプレッダーおよびヒートシンクとして機能する。更に、例証実施形態において、ヒートシンク536は、伝達された熱を回路基板504(および回路アセンブリ500)から周囲空気へ放散するのを更に助けるべく、回路基板504の基部528の上側位置に結合される。ヒートシンク536は、従来の対流および/または放射技術により冷却され得る。そして、熱界面材料(TIM)は、(比較的弱い熱導体である、空隙に空気が充填されたものと比較して)回路基板504からヒートシンク536への熱伝達効率を向上させるために、回路基板504とヒートシンク536との間の任意の空隙を充填すべく、それらの間で使用し得る。他の実施形態例において、回路アセンブリから周囲空気への熱放散を助けるために、ヒートシンク以外の熱伝達装置を使用してもよい。そして、他の実施形態例において、回路基板は、回路アセンブリから周囲空気への熱放散の主要な供給源として機能し得る(そのため、補助的な熱伝達装置(例えば、ヒートシンクなど)は使用されず、含まれもしない)。
【0066】
図10は本開示の回路アセンブリ600の別の実施形態例である。例証された回路アセンブリ600は、(図10に見られるように)回路基板602と、回路基板602の上側部分上に形成された一連の10個のグループの導電性パターン(各々が参照番号620で示されている)とを含む。前の実施形態例におけるように、各グループの導電性パターン620は、(第2回路基板に結合された熱電素子を含む半分のTEMモジュールの)TEMの熱電素子を回路基板602に結合し、かつ、隣接する熱電素子を共に電気的に結合するように構成される。そのため、回路基板602は、10個の異なるTEM(導電性パターン620の各グループで1つ)に対応する(およびその一部を形成する)ように構成される。正電気経路612および負電気経路614は、各TEMへ電力を提供するために、回路基板602に沿って形成され、それにより、おおむね回路基板602上にTEM回路を画定する。例証実施形態において、回路基板602の一部として形成された各TEMはヒートポンプとして機能することができ、回路基板602が各TEMの高温側として働き、かつ、各TEMの第2回路基板(図示せず)が各TEMの低温側として働く。
【0067】
回路基板602は、導電性パターン620の各グループが回路基板602によって画定されるフットプリント内に置かれるように、回路基板602上に形成された導電性パターン620の各グループよりもサイズが大きい。これは、回路基板602上で導電性パターン620に隣接してTEM回路の正電気経路612および負電気経路614を形成する余地を与える。これはまた、回路基板602上の、おおむね導電性パターン620の周囲に(かつ、例えば、導電性パターン620の各々および最終的にそれと結合されるTEMによって画定されるフットプリント外に)、所望するように、更なる電気経路を形成しかつ更なる電気部品を位置付ける余地を与える。例えば、(TEM回路の一部として)TEMの動作制御を助けるために、および/または、TEM回路とは別個の回路の一部としてTEM回路から独立して他の所望の動作を行うために、少なくとも1以上の更なる電気部品を回路基板602に追加してもよい。
【0068】
例証実施形態において、回路基板602の導電性パターン620ならびに正電気経路612および負電気経路614は、回路基板602の基部624の上側部分上に形成される。これを達成するには、まず、導電性材料層を基部624に結合させる。そして、導電層の一部を所望のパターン620で除去することによって様々な導電性パターン620ならびに正電気経路612および負電気経路614を形成する。例として、基部624は、固体誘電体層を含み得る。そして、別の例として、基部624は、熱伝導性支持層上に支持された誘電体層を含み得る(その後、パターン620および正電気経路612および負電気経路614が誘電体層上に形成される)。
【0069】
また、例証実施形態において、回路基板602の一部として形成されるべき各TEMは、当初、半分のTEMモジュールとして構築され、次いで、回路基板602の導電性パターン620のそれぞれ1つに結合される。具体的に、各半分のTEMモジュールは、熱電素子(図示せず)を回路基板(図示せず)上に形成された導電性パターンに結合することによって最初に形成される。次に、各半分のTEMモジュールの熱電素子を、回路基板602上に形成された導電性パターン620の対応するグループに結合することにより、回路基板602の一体部分として各TEMを形成する。故に、複数のTEMを含む回路アセンブリ600は、例えば、端から端まで延在する回路アセンブリ600の複数のTEMに類似し得る。
【0070】
動作中、最終的に回路基板602の一部として形成される複数のTEMは、例えば、回路アセンブリ600の一端部から回路アセンブリ600の対向する端部まで熱を伝達することによって、回路アセンブリ600(例えば、その構成要素など)および/または回路アセンブリ600を取り巻く環境の温度制御を助けるために使用することができる。
【0071】
実施形態に関する前述の記載は、例証および説明のために提供されており、包括的であることや本開示の限定を意図するものではない。特定実施形態の個々の要素または特徴は、一般に、この特定実施形態に限定されず、具体的に示されるかまたは説明されていない場合でも、必要に応じて互換可能であり、かつ選択された実施形態において使用可能である。同じく個々の要素または特徴は多くの様式で変更してもよい。このような変形は本開示から逸脱するものと見なされるべきものではなく、このような改変は全て本開示の範囲内に含まれることを意図されている。
【0072】
実施形態例は、本開示が完全なものであり、かつ、当業者にその範囲を十分に伝えるために付与される。特定の構成要素、装置および方法の例など多数の具体的詳細は、本開示の実施形態を完全に理解するために付与される。具体的詳細を採用する必要がないこと、実施形態例は多くの異なる形式で具体化可能であること、そしていずれも本開示の範囲を限定するものと解釈すべきでないことは当業者にとって明白であろう。実施形態例の中には、周知の方法、周知の装置構造および周知の技術が詳細に説明されていないものもある。
【0073】
本明細書中で使用される用語は、特定の実施形態例を説明するためだけのものであり、限定することを意図するものではない。本明細書中で使用される際、単数形「1つの(a, an)」および「その(the)」は、文脈中で特段明確に示されない限り、同様に複数形も含むことを意図し得る。用語「〜を備える(comprises, comprising)」、「〜を含む(including)」および「〜を有する(having)」は包括的であり、故に、記載された特徴、整数、工程、操作、要素および/または構成要素の存在を特定するが、1以上の他の特徴、整数、工程、操作、要素、構成要素および/またはそれらの群の存在または追加を排除するものではない。本明細書中に記載される方法工程、方法および操作は、動作の順序として具体的に特定されない限り、必ずしも検討または例証された特定の順序でそれらの動作を要するものと解釈すべきではない。追加または代替工程を採用し得ることも理解すべきである。
【0074】
要素または層が、別の要素または層「の上にある(on)」、「上に形成される(formed on)」、「に係合される(engaged to)」、「に接続される(connected to)」または「に結合される(coupled to)」ものとして言及される際、その要素または層は、その別の要素または層の直上にある、その上に直接形成される、それに直接係合、接続または結合され得るか、または介在する要素または層が存在し得る。一方、要素が、別の要素または層「の直上にある」、「の上に直接形成される」、「に直接係合される」、「に直接接続される」または「に直接結合される」ものとして言及される際、介在する要素または層は存在し得ない。要素間の関係を説明するために使用される他の用語も、同様に(例えば、「〜との間(between)」と「〜との間に直接(directly between)」、「隣接する(adjacent)」と「直接隣接する(directly adjacent)」など)解釈されるべきである。本明細書中で使用される際、用語「および/または(and/or)」は、1以上の関連する列挙された項目のいずれかおよび全ての組み合わせを含む。
【0075】
用語「第1(first)」、「第2(second)」、「第3(third)」などは、本明細書において様々な要素、構成要素、領域、層および/または部分を説明するために使用され得るが、これらの要素、構成要素、領域、層および/または部分は、これらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、ある要素、構成要素、領域、層または部分を別の領域、層または部分と区別するためだけに使用され得る。「第1(first)」、「第2(second)」などの用語および他の数を表す用語は、本明細書中で使用される際、文脈によって明確に示されない限り、順序や順番を暗示するものではない。故に、以下に検討される第1要素、構成要素、領域、層または部分は、実施形態例の教示から逸脱することなく、第2要素、構成要素、領域、層または部分と称することができる。
【0076】
空間的に相対する用語「内部(inner)」、「外部(outer)」、「〜の下に(beneath)」、「〜より下に(below)」、「下側(lower)」、「〜より上に(above)」、「上側(upper)」などは、図面において例証されている、ある要素または特徴と、別の1または複数の要素または特徴との関係を説明しやすくするために本明細書中で使用され得る。空間的に相対する用語は、図面に描かれる配向に加えて、使用または動作中の装置の異なる配向を含むことを意図され得る。例えば、図面中の装置を反転させると、他の要素または特徴「より下」または「の下」にあると説明された要素は、他の要素または特徴「より上」となる。よって、例としての用語「〜より下に」は、上および下の配向の両方を含み得る。装置は別の態様で配向される場合があり(90度回転または他の配向)、本明細書中で使用される空間的に相対する語もそれに応じて解釈される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図10
図9