特許第5769846号(P5769846)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5769846
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】微構造体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/44 20100101AFI20150806BHJP
   B82Y 40/00 20110101ALI20150806BHJP
   B82Y 30/00 20110101ALI20150806BHJP
   B82Y 20/00 20110101ALI20150806BHJP
   B32B 3/10 20060101ALI20150806BHJP
   C01B 31/02 20060101ALN20150806BHJP
【FI】
   H01L33/00 300
   B82Y40/00
   B82Y30/00
   B82Y20/00
   B32B3/10
   !C01B31/02 101F
【請求項の数】1
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-78426(P2014-78426)
(22)【出願日】2014年4月7日
(65)【公開番号】特開2015-103797(P2015-103797A)
(43)【公開日】2015年6月4日
【審査請求日】2014年4月7日
(31)【優先権主張番号】201310607762.3
(32)【優先日】2013年11月27日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】598098331
【氏名又は名称】ツィンファ ユニバーシティ
(73)【特許権者】
【識別番号】500080546
【氏名又は名称】鴻海精密工業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】金 元浩
(72)【発明者】
【氏名】李 群慶
(72)【発明者】
【氏名】▲ハン▼ 守善
【審査官】 吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−507840(JP,A)
【文献】 特開2009−187025(JP,A)
【文献】 特開2010−129654(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
B32B 3/10
B82Y 20/00
B82Y 30/00
B82Y 40/00
C01B 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボンナノチューブ構造体を提供するステップであって、前記カーボンナノチューブ構造体が同じ方向に沿って配列される複数のカーボンナノチューブを含む第一ステップと、
前記カーボンナノチューブ構造体を懸架して設置する第二ステップと、
前記カーボンナノチューブ構造体の表面に予備層を形成してカーボンナノチューブ複合構造体を形成するステップであって、前記予備層の厚さが2nm〜10nmである第三ステップと、
前記カーボンナノチューブ複合構造体を基板の表面に転移し、溶剤で前記カーボンナノチューブ複合構造体を処理し、前記カーボンナノチューブ複合構造体を前記基板の表面に貼り付ける第四ステップと、
温度500℃〜700℃で前記カーボンナノチューブ複合構造体をアニーリング処理し、前記カーボンナノチューブ構造体を除去し、前記予備層を軟化するステップであって、軟化した前記予備層が収縮し、集まって、相互に間隔をあける微構造粒を形成する第五ステップと、を含むことを特徴とする微構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微構造体及びその製造方法に関し、特にナノスケールの微構造体及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、様々な半導体デバイスを製造する際、数十ナノメートルから数百ナノメートルまでの微構造粒を製造する要望があった。しかし、金属層を蒸着又は堆積した後、エッチングによって、ナノスケールの微構造粒を獲得することは難しく、更に、複数の微構造粒が特定の方向に沿って配列され、且つ隣接する二つの微構造粒の距離が短いことを実現することは難しい。また、エッチングによって微構造粒を製造する設備は複雑であり、且つその設備を操作することは難しい。よって、エッチングによって微構造粒を製造する方法はコストが高く、生産率が低い。更に、光学素子では、大きいサイズの構造体は光の出射率を低下させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国特許出願公開第101239712号明細書
【特許文献2】特開2004−107196号公報
【特許文献3】特開2006−161563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、前記課題を解決するために、本発明は微構造体であって、前記微構造体における微ボールのサイズ及び間隔がナノスケールである微構造体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の微構造体の製造方法は、カーボンナノチューブ構造体を提供するステップであって、カーボンナノチューブ構造体が同じ方向に沿って配列される複数のカーボンナノチューブを含む第一ステップと、前記カーボンナノチューブ構造体を懸架して設置する第二ステップと、前記カーボンナノチューブ構造体の表面に予備層を形成してカーボンナノチューブ複合構造体を形成するステップであって、前記予備層の厚さは2nm〜10nmである第三ステップと、前記カーボンナノチューブ複合構造体を基板の表面に転移し、溶剤で前記カーボンナノチューブ複合構造体を処理し、前記カーボンナノチューブ複合構造体を前記基板の表面に貼り付ける第四ステップと、温度500℃〜700℃で前記カーボンナノチューブ複合構造体をアニーリング処理し、前記カーボンナノチューブ構造体を除去し、前記予備層を軟化するステップであって、軟化した前記予備層が収縮して集まって、相互に間隔をあける微構造粒を形成する第五ステップと、含む。
【0006】
本発明の微構造体は、分子間力で、基板と緊密に結合され、前記微構造体と前記基板は一体構造体であり、前記微構造体は複数の微構造粒からなり、複数の前記微構造粒は相互に間隔をあけて、複数の直線上に配列され、前記微構造粒のサイズは20nm〜100nmであり、前記直線の延伸する方向に、隣接する二つの前記微構造粒の距離は10nm〜300nmである。
【0007】
本発明の発光ダイオードは、第二基板と、第一半導体層と、活性層と、第二半導体層と、第一電極及び第二電極と、前記微構造体と、透明導電層と、を含み、前記第一半導体層、前記活性層及び前記第二半導体層は、前記第二基板の表面上に、前記表面から離れる方向に順に積層され、前記第一電極は前記第一半導体層の表面に設置され、前記第二電極及び前記微構造体は前記第二半導体層の表面に設置され、分子間力で、前記微構造体は前記第二半導体層と緊密に結合され、一体構造体を形成する。
【発明の効果】
【0008】
従来の技術と比べて、本発明の微構造体及びその製造方法は、以下の優れた点がある。本発明の微構造体の製造方法は、カーボンナノチューブ構造体をテンプレートとするので、形成された複数の微構造粒はカーボンナノチューブの延伸する方向に配列され、複数の微構造粒が一定方向に配列される大面積の微構造体を製造できる。且つ、複数の微構造粒が分子間力で第一基板と緊密に結合し、一体構造体を形成する。これにより、微構造粒は脱離しにくく、工業に好適に応用できる。また、微構造体の製造方法は簡単であり、効率が高く、産業化に有利である。微構造体において、複数の微構造粒は相互に間隔をあけて均一に分布し、微構造体粒のサイズはナノスケールであり、隣接する二つの微構造粒の距離もナノスケールである。微構造体を発光ダイオードに応用すると、微構造体に到達する光が散乱され、光の出射方向を変化させ、発光ダイオードにおける大きい角度の光を出射させることができるので、発光ダイオードの光出射率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施例1における微構造体の製造方法のフローチャートである。
図2】本発明の実施例1におけるカーボンナノチューブフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。
図3】本発明の実施例1における非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤの走査型電子顕微鏡写真である。
図4】本発明の実施例1におけるねじれ状カーボンナノチューブワイヤの走査型電子顕微鏡写真である。
図5】本発明の実施例1における微構造体の走査型電子顕微鏡写真である。
図6】本発明の実施例1におけるもう一つの微構造体の走査型電子顕微鏡写真である。
図7】本発明の実施例3における発光ダイオードの構造図である。
図8図7の発光ダイオードに異なる微構造体が設置された後の光出射強度を示す図である。
図9図7の発光ダイオード及び従来の発光ダイオードに対して電流値を変化させた際の光出射強度を示す図である。
図10図7の発光ダイオード及び従来の発光ダイオードに対して0.1Aの電流を流した際の光出射強度を示す図である。
図11】本発明の実施例4における微構造体の構造図である。
図12】本発明の実施例4における微構造体の走査型電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施例について説明する。また、以下の各実施例において、同じ構成要素は同じ参照符号を付与している。
【0011】
(実施例1)
図1を参照すると、本実施例は微構造体101の製造方法を提供する。微構造体101の製造方法は、カーボンナノチューブ構造体110を提供するステップであって、カーボンナノチューブ構造体110が同じ方向に沿って配列される複数のカーボンナノチューブを含むステップ(S10)と、カーボンナノチューブ構造体110を懸架して設置するステップ(S20)と、カーボンナノチューブ構造体110の表面に予備層120を形成してカーボンナノチューブ複合構造体130を形成するステップであって、予備層120の厚さが2nm〜10nmであるステップ(S30)と、カーボンナノチューブ複合構造体130を第一基板140の表面に転移し、溶剤でカーボンナノチューブ複合構造体130を処理し、カーボンナノチューブ複合構造体130を第一基板140の表面に貼り付けるステップ(S40)と、温度500℃〜700℃でカーボンナノチューブ複合構造体130をアニーリング処理し、カーボンナノチューブ構造体110を除去し、予備層120を軟化するステップであって、軟化した予備層120が収縮して集まって、相互に間隔をあける微構造粒150を形成するステップ(S50)と、を含む。
【0012】
ステップ(S10)において、カーボンナノチューブ構造体110は複数のカーボンナノチューブを含み、好ましくは、カーボンナノチューブ構造体110は複数のカーボンナノチューブのみからなる。複数のカーボンナノチューブは、カーボンナノチューブ構造体110の表面と平行である。複数のカーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブの一種または多種である。単層カーボンナノチューブの直径は0.5nm〜10nmであり、二層カーボンナノチューブの直径は1nm〜15nmであり、多層カーボンナノチューブの直径は1.5nm〜50nmである。カーボンナノチューブの長さは50μmより大きい。好ましくは、カーボンナノチューブの長さは200〜900μm又はそれ以上である。
【0013】
カーボンナノチューブ構造体110は、少なくとも一つのカーボンナノチューブフィルム、少なくとも一本のカーボンナノチューブワイヤ、又は少なくとも一つのカーボンナノチューブフィルムと少なくとも一本のカーボンナノチューブワイヤの組み合わせである。カーボンナノチューブ構造体110が少なくとも一つのカーボンナノチューブフィルムである場合、カーボンナノチューブフィルムにおける複数のカーボンナノチューブは同じ方向に沿って配列されている。複数のカーボンナノチューブが配列されている方向はカーボンナノチューブフィルムの表面と平行である。好ましくは、カーボンナノチューブフィルムは、ドローン構造カーボンナノチューブフィルム(drawn carbon nanotube film)である。カーボンナノチューブ構造体110が少なくとも一本のカーボンナノチューブワイヤである場合、カーボンナノチューブワイヤは少なくとも一本の非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤ、少なくとも一本のねじれ状カーボンナノチューブワイヤ又はそれらの組み合わせのいずれか一種からなる。カーボンナノチューブ構造体110が複数のカーボンナノチューブワイヤを含む場合、複数のカーボンナノチューブワイヤは相互に平行に配列されて束の構造体を形成し、又は相互にねじれた螺旋状の線状構造体を形成する。
【0014】
図2を参照すると、ドローン構造カーボンナノチューブフィルムは、自立構造体であり、複数のカーボンナノチューブセグメントを含む。複数のカーボンナノチューブセグメントは、長軸方向に沿って、分子間力で端と端が接続されている。それぞれのカーボンナノチューブセグメントは、相互に平行な、分子間力で結合された複数のカーボンナノチューブを含む。複数のカーボンナノチューブが同じ方向に沿って配列され、端と端が接続されている。即ち、複数のカーボンナノチューブが分子間力で長軸方向に端部同士が接続される。カーボンナノチューブセグメントの長さは10nm〜200nmである。カーボンナノチューブ構造体110が単層のカーボンナノチューブフィルムのみからなる場合、隣接するカーボンナノチューブセグメント間に間隙を有し、その間隙の間隔は1nm〜0.5μmである。カーボンナノチューブ構造体110が相互に積層された複数のカーボンナノチューブフィルムからなる場合、隣接する二層のカーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブは、交差する角度βを有し、該角度βは0°〜90°である。これにより、隣接する二層のカーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブは交差して、ネット構造体を形成する。該ネット構造体は複数の微孔を含み、且つ該複数の微孔はカーボンナノチューブ構造体110に均一に分布する。微孔の直径は1nm〜0.5μmである。ドローン構造カーボンナノチューブフィルムはカーボンナノチューブアレイから引き出して得られたものであり、その厚さは0.5nm〜100μmである。カーボンナノチューブフィルムの構造及び製造方法は、特許文献1に記載されている。
【0015】
カーボンナノチューブフィルムは自立構造体である。ここで、自立構造体とは、支持体を利用せず、カーボンナノチューブフィルムを独立して利用することができる形態のことである。すなわち、カーボンナノチューブフィルムを対向する両側から支持して、カーボンナノチューブフィルムの構造を変化させずに、カーボンナノチューブフィルムを懸架させることができることを意味する。
【0016】
図3を参照すると、カーボンナノチューブワイヤが、非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤである場合、非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤは、分子間力で端と端とが接続された複数のカーボンナノチューブセグメント(図示せず)を含む。さらに、各カーボンナノチューブセグメントに、同じ長さの複数のカーボンナノチューブが平行に配列されている。複数のカーボンナノチューブは、カーボンナノチューブワイヤの中心軸に平行に配列されている。カーボンナノチューブセグメントの長さ、厚さ、均一性及び形状は制限されない。一本の非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤの長さは制限されず、その直径は、0.5nm〜100μmである。有機溶剤によって、カーボンナノチューブフィルムを処理して、非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤを得る。具体的には、有機溶剤によって、カーボンナノチューブフィルムの全ての表面を浸す。揮発性の有機溶剤が揮発すると、表面張力の作用によって、カーボンナノチューブフィルムにおける相互に平行な複数のカーボンナノチューブが分子間力によって互いに緊密に結合するので、カーボンナノチューブフィルムが収縮して非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤが得られる。前記有機溶剤はエタノール、メタノール、アセトン、塩化エチレン又はクロロホルムである。本実施例において、有機溶剤はエタノールである。有機溶剤によって処理されないカーボンナノチューブフィルムと比較して、有機溶剤によって処理された非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤの比表面積は減少し、且つ接着性も弱い。また、カーボンナノチューブワイヤの機械強度及び強靭さを増強させ、外力によってカーボンナノチューブワイヤが破壊される可能性を低くする。
【0017】
図4を参照すると、カーボンナノチューブフィルムの長手方向に沿う対向する両端に相反する力を印加することにより、ねじれ状カーボンナノチューブワイヤを形成することができる。好ましくは、ねじれ状カーボンナノチューブワイヤは、分子間力で端と端とが接続された複数のカーボンナノチューブセグメント(図示せず)を含む。さらに、各カーボンナノチューブセグメントには、同じ長さの複数のカーボンナノチューブが平行に配列されている。カーボンナノチューブセグメントの長さ、厚さ、均一性及び形状は制限されない。一本のねじれ状カーボンナノチューブワイヤの長さは制限されず、その直径は、0.5nm〜100μmである。更に、有機溶剤によって、ねじれ状カーボンナノチューブワイヤを処理する。有機溶剤によって処理されたねじれ状カーボンナノチューブワイヤは表面張力の作用によって、ねじれ状カーボンナノチューブワイヤにおける相互に平行な複数のカーボンナノチューブが分子間力によって互いに緊密に結合するので、ねじれ状カーボンナノチューブワイヤの比表面積が減少し、接着性が小さい一方、カーボンナノチューブワイヤの機械強度及び強靭が増強する。カーボンナノチューブワイヤの製造方法は、特許文献2及び特許文献3に記載されている。
【0018】
本実施例において、カーボンナノチューブフィルム構造体110は単層のドローン構造カーボンナノチューブフィルムであり、カーボンナノチューブフィルムは、カーボンナノチューブアレイを直接引き出して得られるものである。カーボンナノチューブフィルムにおける複数のカーボンナノチューブは同じ方向に沿って配列され、端と端が接続されている。
【0019】
ステップ(S20)において、カーボンナノチューブフィルム構造体110はフレーム112によって固定され、フレーム112の内部にカーボンナノチューブフィルム構造体110は懸架される。これにより、カーボンナノチューブフィルム構造体110は十分に露出され、カーボンナノチューブ構造体110の表面に予備層120を形成し易くなる。フレーム112は中空構造体であり、貫通孔を有する。カーボンナノチューブフィルム構造体110の辺縁はフレーム112に固定され、他の部分はフレーム112の貫通孔によって露出され、懸架される。本実施例において、フレーム112は“口”字形のフレームであり、カーボンナノチューブフィルム構造体110の辺縁はフレーム112に固定される。
【0020】
更に、カーボンナノチューブフィルム構造体110が懸架されることを保証すれば、カーボンナノチューブフィルム構造体110が懸架される方式は他の方式でも良く、例えば、金属グリル又は中空構造を有する他の構造体によって、カーボンナノチューブフィルム構造体110が懸架される。
【0021】
ステップ(S30)において、電子ビーム蒸着法によって、予備層120がカーボンナノチューブフィルム構造体110の表面に堆積される。予備層120が堆積される工程で、カーボンナノチューブフィルム構造体110の形態及び構造が破壊されなければ、他の堆積法を用いることができる。例えば、マグネトロン・スパッタ法、原子層堆積法などの物理気相成長法である。
【0022】
カーボンナノチューブフィルム構造体110は対向する二つの表面(図示せず)を有する。カーボンナノチューブフィルム構造体110が懸架されるので、カーボンナノチューブフィルム構造体110の二つの表面が予備層120に完全に被覆され得る。具体的に、カーボンナノチューブフィルム構造体110におけるカーボンナノチューブの少なくとも一部の表面が予備層120に被覆される。更に、カーボンナノチューブフィルム構造体110は複数の微孔を有するので、複数の微孔に予備層120が分布し得る。カーボンナノチューブフィルム構造体110におけるカーボンナノチューブは予備層120と緊密に結合し、カーボンナノチューブフィルム複合構造体130を形成する。その中で、カーボンナノチューブフィルム構造体110は予備層120を支持する。本実施例において、カーボンナノチューブフィルム構造体110における複数のカーボンナノチューブは予備層120で完全に被覆される。
【0023】
予備層120の材料は、カーボンナノチューブフィルム構造体110の表面に堆積でき、且つアニーリング処理する工程において、空気に酸化されず、軟化でき且つ収縮できればよい。予備層120の材料は、金属、金属酸化物、非金属酸化物、金属硫化物の何れか一種である。金属は金、銀、ニッケル、チタン、鉄、アルミニウム、白金、パラジウム、クロム、モリブデン、タングステン、銅などの何れか一種である。金属酸化物は酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ハフニウムなどの何れか一種である。非金属酸化物は例えば、シリカである。予備層120の厚さは制限されず、例えば2nm〜10nmである。好ましくは、予備層120の厚さは2nm〜5nmである。本実施例において、電子ビーム蒸着法によって、予備層120はカーボンナノチューブフィルム構造体110の表面に堆積される。予備層120の材料は金であり、その厚さは2nmである。
【0024】
ステップ(S40)において、フレーム112及びカーボンナノチューブ複合構造体130を第一基板140の表面に転移した後、フレーム112を除去する。この際、カーボンナノチューブ複合構造体130が第一基板140との間に空気を有するので、カーボンナノチューブ複合構造体130が第一基板140の表面と緊密に接触しない。
【0025】
カーボンナノチューブ複合構造体130の表面に溶剤を垂らすと、溶剤がカーボンナノチューブ複合構造体130を浸漬し、カーボンナノチューブ複合構造体130を軟化させ、カーボンナノチューブ複合構造体130と第一基板140との間の空気を排除する。溶剤が除去された後、カーボンナノチューブ複合構造体130は第一基板140の表面と緊密に接触する。これにより、後のステップでアニーリング処理する工程で形成される微構造粒150が、第一基板140の表面と緊密に結合する。
【0026】
溶剤は、水、有機溶剤などである。有機溶剤は、エタノール、メタノール、アセトン、塩化エチレン又はクロロホルムである。本実施例において、有機溶剤はエタノールである。カーボンナノチューブ複合構造体130の表面にエタノールを垂らすことで、自然ウィザー(natural withering)によって、カーボンナノチューブ複合構造体130を第一基板140の表面に緊密に貼り付ける。
【0027】
第一基板140の材料は制限されず、後にアニーリング処理する工程において、第一基板140が予備層120と反応せず、且つ500℃〜700℃で物理反応又は化学反応を起こさないことが保証されればよい。例えば、第一基板140は絶縁基板、金属基板又は半導体基板である。本実施例において、第一基板140はケイ素基板である。
【0028】
ステップ(S50)において、ステップ(S40)で処理されたカーボンナノチューブ複合構造体130を空気でアニーリング処理し、カーボンナノチューブ構造体110は空気中の酸素と反応し、除去される。予備層120を高温で軟化する。ここで、予備層120を高温で軟化することは、予備層120の厚さが薄いので、高温で予備層120が熱を吸収して、固体状態から溶融した液体へ変化することを意味する。カーボンナノチューブ構造体110が除去されるので、最小エネルギーの原理によって、軟化した予備層120は収縮して集まり、最後に室温で相互に間隔をあける複数の微構造粒150を形成する。
【0029】
カーボンナノチューブ複合構造体130が第一基板140の表面と緊密に結合されているので、アニーリング処理された後、形成された複数の微構造粒150は分子間力によって第一基板140の表面と緊密に結合し、一体構造体を形成する。
【0030】
複数の微構造粒150は相互に間隔をあけて、カーボンナノチューブ構造体110におけるカーボンナノチューブの延伸方向に沿って配列され、略カーボンナノチューブの形態となる。具体的に、カーボンナノチューブ構造体110が単層のドローン構造カーボンナノチューブフィルム又は平行に設置されるカーボンナノチューブワイヤである場合、単層のドローン構造カーボンナノチューブフィルム又はカーボンナノチューブワイヤは複数のカーボンナノチューブを含み、複数のカーボンナノチューブは同じ方向に沿って配列されるので、形成された複数の微構造粒150は相互に間隔をあけて、カーボンナノチューブの延伸方向に沿って配列され、複数の微構造粒150が一定方向に配列される微構造体が形成される。カーボンナノチューブ構造体110が相互に交差して重なった多層のカーボンナノチューブフィルム又は相互に交差して設置されるカーボンナノチューブワイヤである場合、複数の微構造粒150が相互に間隔をあけて、異なる方向に沿って配列される。相互に交差して重なった多層のカーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブの、交差する角度が90°である場合、又は相互に交差して設置されるカーボンナノチューブワイヤの、交差する角度が90°である場合、複数の微構造粒150が相互に間隔をあけて、直交する二つの方向に沿って配列され、例えば、チェスボード(chessboard)状の配列となる。
【0031】
アニーリング処理の条件はカーボンナノチューブ構造体110の酸化温度を考慮すると同時に、第一基板140の変形温度を考慮する必要がある。具体的に、アニーリング処理の温度はカーボンナノチューブ構造体110の酸化温度より高く、第一基板140の変形温度より低い。アニーリング処理の時間は、カーボンナノチューブ構造体110を完全に除去できると同時に、予備層120を軟化できることを保証するように設定する。第一基板140は高温を耐えることができ、第一基板140は溶融などの物理変化又は化学変化をしない。例えば、予備層120が金属又は非金属酸化物である場合、アニーリング処理の温度は500℃〜700℃であり、アニーリング処理の時間は5分間〜60分間である。更に、予備層120の厚さが薄いので、予備層120は軟化し易く、軟化した予備層120は速く収縮して集まることができ、最後に室温で相互に間隔をあける複数の微構造粒150を速く形成することに有利である。
【0032】
カーボンナノチューブ構造体110が同じである場合、微構造粒150のサイズ及び隣接する二つの構造粒150の距離は、予備層120の厚さ、アニーリング処理の温度及びアニーリング処理の時間に依存する。予備層120の厚さを薄くすればするほど、アニーリング処理の温度を高くすればするほど、アニーリング処理の時間を短くすればするほど、微構造粒150のサイズが小さく、隣接する二つの構造粒150の距離は長くなる。
【0033】
微構造粒150の形状はボール形に類似の形状又はボール形である。微構造粒150のサイズは10nm〜300nmであり、好ましくは、20nm〜100nmである。カーボンナノチューブの延伸する方向に、隣接する二つの微構造粒150の距離は10nm〜300nmであり、好ましくは、20nm〜100nmである。予備層120の表面と垂直である方向の、微構造粒150の厚さを微構造粒150の高さと定義する。微構造粒150の高さは30nm〜50nmである。
【0034】
本実施例において、アニーリング処理の温度は600℃であり、アニーリング処理の時間は30分間である。図5及び図6を参照すると、複数の微構造粒150は間隔をあけて、カーボンナノチューブの延伸する方向に配列される。微構造粒150のサイズは20nm〜100nmであり、カーボンナノチューブの延伸する方向に、隣接する二つの微構造粒150の距離は20nm〜200nmであり、微構造粒150の高さは40nmである。
【0035】
本実施例によって提供される、微構造体101の製造方法は、カーボンナノチューブ構造体110の表面に予備層120を設置し、アニーリング処理することによって、カーボンナノチューブ構造体110を除去した後、軟化した予備層120を収縮して、間隔をあけて且つ均一に分布する複数の微構造粒150を形成することを含む。本実施例の微構造体101の製造方法は、カーボンナノチューブ構造体110をテンプレートとするので、形成された複数の微構造粒150はカーボンナノチューブの延伸する方向に配列され、複数の微構造粒150が一定方向に配列される大面積の微構造体を製造できる。且つ、複数の微構造粒150が分子間力で第一基板140と緊密に結合し、一体構造体を形成する。これにより、微構造粒150は脱離しにくく、工業に好適に応用できる。また、本実施例の微構造体101の製造方法は簡単であり、効率が高く、産業化に有利である。
【0036】
(実施例2)
本実施例は微構造体101を提供する。微構造体101は複数の微構造粒150からなる。複数の微構造粒150は相互に間隔をあけて、複数の直線上に配列される(完全な直線ではない)。直線の延伸する方向はカーボンナノチューブの延伸する方向である。微視的に見ると、複数の微構造粒150が複数の直線上に配列されることは、複数の微構造粒150が基本的に直線の延伸する方向に沿って配列されるという意味であり、複数の微構造粒150が直線の延伸する方向に沿って厳密に配列されることではない。微構造粒150はボール形に類似の形状を有し、微構造粒150の断面は楕円形、三角形に類似の形状などの不規則な形状である。微構造粒150のサイズは10nm〜300nmであり、好ましくは、20nm〜100nmである。直線の延伸する方向に、隣接する二つの微構造粒150の距離は10nm〜300nmであり、好ましくは、20nm〜100nmである。微構造粒150の高さは30nm〜50nmである。微構造粒150の材料は金属、金属酸化物、非金属酸化物の中の何れか一種である。金属は金、銀、ニッケル、チタンなどの何れか一種である。金属酸化物は例えば、酸化ハフニウムである。非金属酸化物は例えば、シリカである。
【0037】
本実施例において、複数の微構造粒150は間隔をあけて、直線上に配列される。微構造粒150の寸法は20nm〜100nmであり、直線の延伸する方向に、隣接する二つの微構造粒150の距離は20nm〜200nmであり、微構造粒150の高さは40nmである。微構造粒150の材料は金である。微構造体101は第一基板140の表面に設置され、分子間力によって第一基板140と緊密に結合され、一体構造体を形成する。
【0038】
(実施例3)
図7を参照すると、本実施例は発光ダイオード200を提供する。発光ダイオード200は第二基板210と、第一半導体層220と、活性層230と、第二半導体層240と、第一電極222及び第二電極242と、微構造体201と、透明導電層260と、を含む。第一半導体層220、活性層230及び第二半導体層240は、第二基板210の表面上に、該表面から離れる方向に順に積層される。第一電極222は、第一半導体層220の表面に設置される。第二電極242及び微構造体201は、第二半導体層240の表面に設置される。透明導電層260は第二電極242と電気的に接続される。
【0039】
第二基板210は形状維持作用を有する。第二基板210の厚さは300μm〜500μmである。第二基板210の材料は、サファイア、ヒ化ガリウム(GaAs)、InP、メタホウ酸リチウム(lithium metaaluminate)、窒化アルミニウム、ケイ素、炭化ケイ素(SiC)、窒化ケイ素の何れか一種である。本実施例において、第二基板210の厚さは400μmであり、その材料はサファイアである。
【0040】
第一半導体層220は、第一表面224及び第二表面226を有する。一つの例として、第一表面224と第二表面226は同一の水平面に存在しない。第一半導体層220の第一表面224及び第二表面226から、第二基板210と接触する表面に達するそれぞれの距離は異なる。活性層230及び第二半導体層240は第一半導体層220の第一表面224上に順に積層され、階段構造体が形成される。もう一つの例として、第一表面224と第二表面226は同一の水平面に存在している。この際、活性層230及び第二半導体層240は第一半導体層220の一部の表面に順に積層され、階段構造体が形成される。
【0041】
第一半導体層220及び第二半導体層240は、それぞれn型半導体層又はp型半導体層である。即ち、第一半導体層220がn型半導体層である場合、第二半導体層240はp型半導体層であるが、第一半導体層220がp型半導体層である場合、第二半導体層240はn型半導体層である。n型半導体層は電子を提供し、p型半導体層は正孔を提供する。n型半導体層は、n型ガリウム窒化物、n型ヒ化ガリウム及びn型リン酸銅の一種又は数種からなる。p型半導体層は、p型ガリウム窒化物、p型ヒ化ガリウム及びp型リン酸銅の一種又は数種からなる。第一半導体層220の厚さは1μm〜5μmである。第二半導体層240の厚さは0.1μm〜3μmである。本実施例において、第一半導体層220はn型ガリウム窒化物であり、その厚さは2μmである。第二半導体層240はp型ガリウム窒化物であり、その厚さは0.3μmである。
【0042】
活性層230は、単一量子井戸層又は多重量子井戸層であり、且つ発光する。活性層230は、窒化ガリウム、窒化ガリウム・インジウム(GaInN)、窒化アルミニウム・ガリウム・インジウム(AlGaInN)、ヒ化ガリウム(GaAs)、ヒ化アルミニウム・ガリウム(AlGaAs)、燐化ガリウム・インジウム(GaInP)及びヒ化ガリウム・インジウム(GaInAs)の一種又は数種からなる。活性層230の厚さは、10nm〜0.6μmである。本実施例において、活性層230の厚さは、0.3μmであり、且つ積層されたGaInN層及びGaN層からなる。
【0043】
微構造体201の構造は実施例2における微構造体101構造と同じである。微構造体201は透明導電層260と第二半導体層240との間に設置される。微構造体201は第二半導体層240の一部の表面を被覆する。
【0044】
透明導電層260は微構造体201の表面に設置され、少なくとも第二電極242の一部を被覆する。透明導電層260は金属二層構造体である。本実施例において、透明導電層260は積層されたニッケル層及び金層からなり、ニッケル層の厚さは2nmであり、金層の厚さは5nmである。
【0045】
第一電極222は、第一半導体層220と電気的に接続されている。第二電極242は、第二半導体層240と電気的に接続されている。第一電極222は、p型電極又はn型電極であるが、第一半導体層220のタイプと同じである必要がある。第二電極242はp型電極又はn型電極であるが、第二半導体層240のタイプと同じである必要がある。本実施例において、第一電極222はn型電極であり、第二電極242はp型電極である。
【0046】
発光ダイオード200が作動する際に、第二電極242で少量の正孔が発生し、第一電極222で少量の電子が発生する。第二電極242で発生した一部の正孔は、直接、第二半導体層240に移動し、第二半導体層240に至り、大量の正孔が発生する。同時に、第二電極242で発生した一部の正孔は、透明導電層260、微構造体201、第二半導体層240を順に通って、第二半導体層240に至り、大量の正孔が発生する。その後、発生した正孔は活性層230に移動する。透明導電層260は第二半導体層240と電気的に接続されるので、電流を横方向に分散して、均一に流すことに有利である。これにより、発光ダイオード200の光出射率を高めることができる。第一電極222で発生した電子は、第一半導体層220に移動し、第一半導体層220に至り、大量の電子が発生する。その後、発生した電子は、活性層230に移動する。活性層230において、電子及び正孔が互いに結合して光子が生じ、可視光を放射する。
【0047】
多くの光子は、第二半導体層240を通って、微構造体201に到達する。微構造体201は相互に間隔をあけた複数の微構造粒150からなり、且つ複数の微構造粒150は複数の直線上に配列されるので、光学偏向効果を有する。図8に、微構造体201が設置されない発光ダイオード及び微構造体201が設置された発光ダイオードの光出射強度を示す。微構造体201において、複数の微構造粒150は複数の直線上に配列される。前記複数の直線の延伸する方向を第二方向と定義し、第二方向と垂直である方向を第一方向と定義する。複数の微構造粒150が一定方向に沿って配列されるので、発光ダイオード200から出射する光は偏向性を有し、微構造体201が設置される発光ダイオードの光出射強度は、微構造体201が設置されない発光ダイオードの光出射強度より大きい。また、発光ダイオードに微構造体201が設置される場合、カーボンナノチューブ構造体110に5nmの金が蒸着されて形成される微構造体は、カーボンナノチューブ構造体110に2nmの金が蒸着されて形成される微構造体と比べると、第二方向において、カーボンナノチューブ構造体110に5nmの金が蒸着されて形成される微構造体における複数の微構造粒150の直径は大きく、隣接する二つの微構造粒150の距離は小さくなり、複数の微構造粒150が緊密に分布するので、カーボンナノチューブ構造体110に5nmの金が蒸着されて形成される微構造体を有する発光ダイオードの光学偏向効果が更に優れている。
【0048】
微構造体201に到達した光は散乱され、光の出射方向が変化し、発光ダイオード200における大きい角度の光を出射させることができるので、発光ダイオード200の光出射率が高まる。即ち、微構造体201を有する発光ダイオード200は、偏向光を出射させることができ、且つ出射される偏向光の光出射率を高めることができる。
【0049】
図9を参照すると、電流値を変化させた際、微構造体201が設置された発光ダイオードの光出射強度は、微構造体201が設置されない従来の発光ダイオードの光出射強度より大きい。図10を参照すると、0.1Aの電流が流れる場合、微構造体201が設置される発光ダイオードは、微構造体201が設置されない従来の発光ダイオード比べると、光出射強度が40%大きい。
【0050】
(実施例4)
本実施例は微構造体301の製造方法を提供する。微構造体301の製造方法は、カーボンナノチューブ構造体110を提供するステップであって、カーボンナノチューブ構造体110が同じ方向に沿って配列される複数のカーボンナノチューブを含むステップ(S11)と、カーボンナノチューブ構造体110を懸架して設置するステップ(S21)と、カーボンナノチューブ構造体110の表面に、順に第一予備層121及び第二予備層122を形成し、カーボンナノチューブ複合構造体131を形成するステップであって、第一予備層121及び第二予備層122の厚さの総和が2nm〜10nmであるステップ(S31)と、カーボンナノチューブ複合構造体131を第一基板140の表面に転移し、溶剤でカーボンナノチューブ複合構造体131を処理し、カーボンナノチューブ複合構造体131を第一基板140の表面に貼り付けるステップ(S41)と、温度500℃〜700℃でカーボンナノチューブ複合構造体131をアニーリング処理し、カーボンナノチューブ構造体110を除去し、第一予備層121及び第二予備層122を軟化するステップであって、軟化した第一予備層121及び第二予備層122が収縮し、集まって、相互に間隔をあける微構造粒151を形成するステップ(S51)と、を含む。
【0051】
本実施例の微構造体301の製造方法は、実施例1の微構造体101の製造方法と基本的に同じであるが、以下の点において異なる。本実施例のステップ(S31)において、カーボンナノチューブ構造体110の表面に、順に第一予備層121及び第二予備層122を形成する。また、ステップ(S51)において、形成される微構造粒151の構造は、微構造粒150の構造と異なる。
【0052】
ステップ(S31)において、電子ビーム蒸着法によって、カーボンナノチューブ構造体110の表面に、順に第一予備層121及び第二予備層122を堆積する。第一予備層121及び第二予備層122が堆積される工程で、カーボンナノチューブフィルム構造体110の形態及び構造が破壊されなければ、他の堆積法を用いることができる。例えば、マグネトロン・スパッタ法、原子層堆積法などの物理気相成長法である。
【0053】
カーボンナノチューブフィルム構造体110におけるカーボンナノチューブの少なくとも一部の表面は、第一予備層121で被覆される。第一予備層121は第二予備層122で被覆される。好ましくは、カーボンナノチューブフィルム構造体110の二つの表面が、第一予備層121で完全に被覆される。第一予備層121及び第二予備層122は、それぞれ連続した層状構造体である。第一予備層121は、カーボンナノチューブフィルム構造体110と第二予備層122との間に設置される。
【0054】
第一予備層121及び第二予備層122の材料は、金属、金属酸化物、非金属酸化物、金属硫化物の何れか一種であり、且つ第一予備層121の材料は第二予備層122の材料と異なる。金属は、金、銀、ニッケル、チタン、鉄、アルミニウム、白金、パラジウム、クロム、モリブデン、タングステン、銅などの何れか一種である。金属酸化物は酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ハフニウムなどの何れか一種である。非金属酸化物は例えば、シリカである。第二予備層122の材料は後のアニーリング処理する工程で酸化されない材料である。第一予備層121の厚さ及び第二予備層122の厚さは制限されず、好ましくは、2nm〜10nmである。更に、好ましくは、2nm〜5nmである。
【0055】
本実施例において、電子ビーム蒸着法によって、第一予備層121及び第二予備層122はカーボンナノチューブフィルム構造体110の表面に堆積される。第一予備層121の材料は銀であり、第二予備層122の材料はシリカである。第一予備層121の厚さは2nmであり、第二予備層122の厚さは2nmである。
【0056】
ステップ(S51)において、カーボンナノチューブ複合構造体131を空気中でアニーリング処理し、カーボンナノチューブ構造体110は酸化反応によって除去される。第一予備層121及び第二予備層122は高温で軟化する。最小エネルギーの原理によって、軟化した第一予備層121及び第二予備層122は収縮して集まって、最後に室温で相互に間隔をあける複数の微構造粒151を形成する。
【0057】
本実施例において、カーボンナノチューブ構造体110の表面に、順に第一予備層121及び第二予備層122を形成した後、アニーリング処理することによって、カーボンナノチューブ構造体110を除去し、複数の一定方向に配列される微構造粒151を獲得する。複数の微構造粒151は内核1510及びシェル1512を含む。微構造粒151の製造方法は簡単であり、コストも低い。
【0058】
(実施例5)
図11及び図12を参照すると、本実施例は微構造体301を提供する。微構造体301は複数の微構造粒151からなる。複数の微構造粒151は相互に間隔をあけて、複数の直線上に配列される。微構造粒151は内核1510及びシェル1512を含む。シェル1512は内核1510を被覆する。微構造体301は基板(図示せず)の表面に設置され、分子間力で第一基板と緊密に結合し、一体構造体を形成する。
【0059】
図11を参照すると、微構造粒151は内核1510及びシェル1512を含む。内核1510はボールに類似の構造体であり、シェル1512は層状構造体であり、シェル1512は内核1510を被覆する。シェル1512は内核1510と緊密に接触し、一体として微小のボールに類似の構造体を形成する。内核1510は第一予備層121が収縮して集まって形成するものであり、シェル1512は第二予備層122が収縮して集まって形成するものである。シェル1512は内核1510を被覆するので、内核1510を保護でき、アニーリング処理の際に、内核1510が酸化することを防止できる。
【0060】
本実施例において、内核1510は銀からなり、シェル1512はシリカからなり、アニーリング処理する温度は600℃であり、アニーリング処理する時間は30分間である。図12を参照すると、微構造粒151は均一に分布し、相互に間隔をあけて配列される。微構造粒151のサイズは10nm〜300nmであり、好ましくは、40nm〜100nmである。直線の延伸する方向に、隣接する二つの微構造粒151の距離は20nm〜100nmであり、好ましくは、50nm〜100nmである。微構造粒150の高さは30nm〜50nmであり、好ましくは、40nmである。
【0061】
微構造粒151の誘電定数は、第一予備層121の誘電定数と第二予備層122の誘電定数の間である。従って、第一予備層121の誘電定数及び第二予備層122の誘電定数を選択することによって、所望の誘電定数を有する微構造粒151を形成できる。微構造粒151の内核1510が銀、金などの金属からなり、シェル1512がシリカなどの誘電体層からなる場合、微構造粒151がダクト推進に応用され、ダクト推進中、表面プラズモンは誘電体層と金属の界面を安定的に伝播できる。この際、金属が光信号を大きく吸収するによって、光信号が減衰することを防止し、光の伝播距離を延長する。
【符号の説明】
【0062】
101、201、301 微構造体
110 カーボンナノチューブ構造体
112 フレーム
120 予備層
121 第一予備層
122 第二予備層
130、131 カーボンナノチューブ複合構造体
140 第一基板
150、151 微構造粒
1510 内核
1512 シェル
200 発光ダイオード
210 第二基板
220 第一半導体層
222 第一電極
230 活性層
240 第二半導体層
242 第二電極
260 透明導電層
図1
図7
図8
図9
図10
図11
図2
図3
図4
図5
図6
図12