(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5769862
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】掘削装置
(51)【国際特許分類】
E02F 3/36 20060101AFI20150806BHJP
【FI】
E02F3/36 A
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-243953(P2014-243953)
(22)【出願日】2014年12月2日
【審査請求日】2015年1月10日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511051546
【氏名又は名称】株式会社山本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100092163
【弁理士】
【氏名又は名称】穴見 健策
(74)【代理人】
【識別番号】100136928
【弁理士】
【氏名又は名称】高宮 章
(72)【発明者】
【氏名】山本 伸一
(72)【発明者】
【氏名】西田 虎吉
【審査官】
鷲崎 亮
(56)【参考文献】
【文献】
実開平02−033890(JP,U)
【文献】
特開2005−002625(JP,A)
【文献】
特開昭64−052901(JP,A)
【文献】
特開2002−227231(JP,A)
【文献】
特開平11−117341(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/28−3/96
E02F 9/24−9/28
E21B 1/00−49/10
E21C 25/00−51/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重機のアーム先端に着脱可能に装着されるブラケットと、ブラケットに取り付けられた掘削ドラムと、該掘削ドラムを回転駆動する回転駆動装置と、を備え、
掘削ドラムは、周側壁と先端壁を有する筒形ドラムからなり、
周側壁には外方向に突設された複数の周側壁ビットが設けられるとともに、
先端壁には外方向に突設された複数の先端壁ビットが設けられており、
複数の周側壁ビットは、筒形ドラムの周側壁に螺旋状に配列され、
各周側壁ビットは、周側壁の接線方向及び該筒形ドラムの回転軸に対して正直交する方向のいずれにも所定角度で傾斜して周側壁外方に向けて取り付けられており、
該複数の周側壁ビットのうち掘削ドラムの先端側に配置される周側壁ビットは、回転軸に正直交する方向に対する傾斜角度を他の周側壁ビットよりも大きく傾けて設定されたことを特徴とする掘削装置。
【請求項2】
周側壁と先端壁との接続部には、回転軸に沿う方向と先端壁との側面視接続角度が0度より大きく90度より小さい角度に設定された面取り部が設けられたことを特徴とする請求項1記載の掘削装置。
【請求項3】
周側壁ビットはコニカルビットからなり、
先端壁ビットは平ビットを有することを特徴とする請求項1または2記載の掘削装置。
【請求項4】
回転駆動装置は、回転モータと、平行軸減速機と、を有し
回転モータと平行軸減速機と掘削ドラムとは、それぞれの回転軸を平行とし、かつ回転モータ、平行軸減速機、掘削ドラムの順に直線的に配置されて一体的に組み付けられたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の掘削装置。
【請求項5】
ブラケットの上部にアームとの連結部が設けられ、ブラケットの下部に平行軸減速機のケースが取り付けられており、平行軸減速機の前方側に掘削ドラムが配置されるとともに、平行軸減速機の後方側に回転モータが配置されたことを特徴とする請求項4記載の掘削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の土木作業や建設作業の際に、油圧ショベル等の重機のアーム先端にアタッチメントとして装着して、地盤や硬い岩盤、コンクリート構造物等を掘削する掘削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
道路やトンネル、護岸等の土木工事で、道路面や法面を掘削したり、水路や溝を掘削したり、古い堤防を除去したりする際に、土木作業機械として掘削機が利用される。掘削機は、ダイナマイト等の火薬を使用することなく、自走しながら掘り進むことができ、使い勝手が良くて安全性も高く、小規模から中規模、ひいては大規模の工事に広く利用されている。従来の掘削機としては、例えば、特許文献1に開示されているように、自在に揺動可能なアームを有する油圧ショベルのアームの先端に掘削ヘッドをアタッチメントとして装着し、掘削ヘッドを上下左右に自由に移動させながら掘削するものが知られている。特許文献1の油圧ショベルの掘削ヘッドは、油圧ショベルのアーム先端のブラケットに取り付けられたモータと、周面に多数の掘削刃が植立された一対の回転ドラムと、モータの回転を一対の回転ドラムに伝達するための動力伝達機構と、を備えており、一対の回転ドラムを回転させながら掘削対象の地盤等に当てて掘削したり、攪拌したりするものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−4320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の油圧ショベルの掘削ヘッドでは、回転ドラムは横軸回転で接線方向から掘削対象物を当てて掘削させるとともに、モータは出力軸が縦方向となるので回転ドラムの回転軸に対してベベルギヤ等の交差軸伝達機構で直交に変換して伝達されるように構成されている。しかしながら、回転ドラムは周面にのみ掘削刃が設けられているので、ドラムを当てて掘削する方向が限定され、掘削対象の岩盤に応じて自由な掘削が妨げられる場合があった。さらに、動力伝達機構がベベルギヤを有するので、ギヤ自体が複雑で構造が複雑化しやすいうえ、限られたスペースではギヤ等を小さく設けざるをえないとともに、組付け精度が低くなってしまっていた。よって、回転トルクの伝達力が小さくなり、高トルクによる掘削が実現できない問題があった。さらに、ギヤ自体の強度が低くなるとともに回転ドラムの掘削刃が硬い岩盤等に当たって伝達機構部分に大きな負荷がかかった際に損傷しやすかった。
【0005】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その一つの目的は、重機のアームにアタッチメントとして簡単に装着して利用できる掘削装置であって、掘削対象物を効率よく掘削できる実用性が高い掘削装置を提供することにある。また、他の目的は、回転動力の伝達を確実かつ効率良く行える掘削装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、重機(50)のアーム52先端に着脱可能に装着されるブラケット12と、ブラケット12に取り付けられた掘削ドラム14と、該掘削ドラム14を回転駆動する回転駆動装置16と、を備え、掘削ドラム14は、周側壁22と先端壁24を有する筒形ドラム20からなり、周側壁22には外方向に突設された複数の周側壁ビット26が設けられるとともに、先端壁24には外方向に突設された複数の先端壁ビット28が設けられ
ており、複数の周側壁ビット26は、筒形ドラム20の周側壁22に螺旋状に配列され、各周側壁ビット26は、周側壁22の接線方向D1及び該筒形ドラムの回転軸C1に対して正直交する方向D2のいずれにも所定角度θ1、θ2で傾斜して周側壁22外方に向けて取り付けられており、該複数の周側壁ビットのうち掘削ドラムの先端側に配置される周側壁ビット26(38)は、回転軸C1に正直交する方向D2に対する傾斜角度θ2を他の周側壁ビット26(36)よりも大きく傾けて設定された掘削装置10から構成される。
【0007】
また、周側壁22と先端壁24との接続部には、回転軸C1に沿う方向と先端壁24との側面視接続角度が0度より大きく90度より小さい角度Aに設定された面取り部34が設けられたこととしてもよい。
【0008】
周側壁ビット26はコニカルビットからなり、先端壁ビット28は平ビットを有することとしてもよい。
【0009】
また、回転駆動装置16は、回転モータ40と、平行軸減速機42と、を有し回転モータ40と平行軸減速機42と掘削ドラム14とは、それぞれの回転軸を平行とし、かつ回転モータ40、平行軸減速機42、掘削ドラム14の順に直線的に配置されて一体的に組み付けられたこととしてもよい。
【0010】
また、ブラケット12の上部にアーム52との連結部18が設けられ、ブラケット12の下部に平行軸減速機42のケースが取り付けられており、平行軸減速機42の前方側に掘削ドラム14が配置されるとともに、平行軸減速機42の後方側に回転モータ40が配置されたこととしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の掘削装置によれば、重機のアーム先端に着脱可能に装着されるブラケットと、ブラケットに取り付けられた掘削ドラムと、該掘削ドラムを回転駆動する回転駆動装置と、を備え、掘削ドラムは、周側壁と先端壁を有する筒形ドラムからなり、周側壁には外方向に突設された複数の周側壁ビットが設けられるとともに、先端壁には外方向に突設された複数の先端壁ビットが設けられていることから、対象物を掘削する際には、掘削ドラムを回転軸に沿う方向に移動させながら先端壁ビットを対象物に当てて掘削できるとともに、周側壁ビットでも掘削でき、それらの先端壁ビット及び周側壁ビットをそれぞれ又は互いに協働させながら、効率よく掘削することができる。
【0012】
また、複数の周側壁ビットは、筒形ドラムの周側壁に螺旋状に配列され、各周側壁ビットは、周側壁の接線方向及び該筒形ドラムの回転軸に対して正直交する方向のいずれにも所定角度で傾斜して周側壁外方に向けて取り付けられており、該複数の周側壁ビットのうち掘削ドラムの先端側に配置される周側壁ビットは、回転軸に正直交する方向に対する傾斜角度を他の周側壁ビットよりも大きく傾けて設定された構成とすることにより、掘削ドラムを回転軸方向に沿って移動させて対象物を掘削する際に、先端側の周側壁ビットの先端が前方に向くので比較的硬い岩盤でも効率よく掘削できる。
【0013】
また、周側壁と先端壁との接続部には、回転軸に沿う方向と先端壁との側面視接続角度が0度より大きく90度より小さい角度に設定された面取り部が設けられた構成とすることにより、角度が異なるビットを安定して取り付けることができ、掘削ドラムを回転軸方向に沿って移動させて対象物を掘削する際に効率よく掘削できる。
【0014】
周側壁ビットはコニカルビットからなり、先端壁ビットは平ビットを有する構成とすることにより、掘削ドラムを回転軸方向に沿って移動させて対象物を掘削する際に、先端壁ビットの抵抗が少なく大きな負荷をかけることないと同時に、周側壁では周側壁ビットでは対象物への掘削力が高い先鋭のビット先端を当てて掘削でき、対象物を効率よく掘削できる。
【0015】
また、回転駆動装置は、回転モータと、平行軸減速機と、を有し回転モータと平行軸減速機と掘削ドラムとは、それぞれの回転軸を平行とし、かつ回転モータ、平行軸減速機、掘削ドラムの順に直線的に配置されて一体的に組み付けられた構成とすることにより、簡単な構造であるとともに、回転力を伝達する回転駆動装置において伝達損失が少なく、高トルクで確実に掘削ドラムに回転力を伝達でき、大きな掘削力を得ることができる。
【0016】
また、ブラケットの上部にアームとの連結部が設けられ、ブラケットの下部に平行軸減速機のケースが取り付けられており、平行軸減速機の前方側に掘削ドラムが配置されるとともに、平行軸減速機の後方側に回転モータが配置された構成とすることにより、掘削ドラムや回転モータ等を含む各部材を、安定的に効率よく配置することができる。また、回転モータへの重機への油圧駆動源との接続作業を含む作業性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る掘削装置の側面図である。
【
図3】
図1の掘削装置を油圧ショベルに取り付けた状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下添付図面を参照しつつ本発明の掘削装置の実施形態について説明する。本発明に係る掘削装置は、土木や建築工事等の際、油圧ショベル等の重機のアームに着脱自在に装着されて、地盤やコンクリート等を掘削するのに好適な掘削用アタッチメント装置である。
図1ないし
図3は、本発明の掘削装置の一実施形態を示している。
図1、
図2、
図3に示すように、本実施形態において、掘削装置10は、ブラケット12と、掘削ドラム14と、回転駆動装置16と、を備えている。
【0019】
本実施形態の掘削装置10は、例えば、
図3に示すように、公知の油圧ショベル50等の作業用重機のアーム52の先端に、アタッチメントとして着脱自在に装着して使用される。油圧ショベル50は、互いに揺動自在に組み付けられたアーム52、ブーム54を、油圧を介して上げたり下げたり、曲げたり伸ばしたり等自由に動かすことができる。また、油圧ショベル50は、クローラ56により自走できるとともにクローラ56に対して操縦席及びアーム等を含む機体が水平旋回できる。
【0020】
ブラケット12は、
図1、
図2に示すように、油圧ショベル50等の重機のアーム先端に着脱可能に装着させるための支持手段である。ブラケット12は、例えば、上部にアーム52先端と揺動軸52aを介して連結される連結部18を有している。ブラケット12は、油圧ショベル50の油圧制御によりアームの揺動軸52a周りに自在に揺動して角度を変更できる。ブラケット12の下部には、掘削ドラム14及び回転駆動装置16が取り付けられている。
【0021】
掘削ドラム14は、ブラケット12に取り付けられ回転駆動装置14によって回転駆動されて対象物を掘削する掘削手段である。
図1、
図2に示すように、掘削ドラム14は、例えば、略円筒形状の筒形ドラム20からなる。筒形ドラム20は、周側壁22と先端壁24とを有し、先端壁24と対向する基端側が回転駆動装置16の出力軸30と連結され、回転軸C1周りに回転方向Rに向けて軸回り回転する。筒形ドラム20の周側壁22には外方向に突設された複数の周側壁ビット26が設けられているとともに、筒形ドラム20の先端壁24には外方向に突設された複数の先端壁ビット28が設けられている。掘削ドラム14は、回転軸C1の方向が、ブラケット12と連結される油圧ショベル50のアーム52先端の揺動軸52aの軸方向に対して直交する方向に配置される。
【0022】
周側壁22は、基端側25から回転軸C1方向に沿う方向の略全体が同一径となっており、筒形ドラムの先端側の一部分にテーパ状に形成された円錐台形状部分と一体的に形成されている。筒形ドラム20の周側壁には、後述のビットを所定角度で着脱可能に取り付けるためのビット取付部32が固定されている。先端壁24は、例えば、周側壁の端縁から回転軸に垂直な平面又は、回転中心に向けて若干隆起させた略円錐形状で形成されている。先端壁24には、後述のビットを所定角度で着脱可能に取り付けるためのビット取付部32が固定されている。
【0023】
筒形ドラム20において、周側壁22と先端壁24との接続部には、テーパ状の面取り部34が設けられている。面取り部34は、周側壁22から次第に径が小さくなるように設けられており、周側壁22の回転軸C1に沿う方向と先端壁24との側面視接続角度Aが約45度に設定されている。すなわち、側面視で周側壁22の先端から約45度で傾斜するように縮小された面取り部34が形成され、その先端縁に先端壁24が接続されている。なお、面取り部34は、例えば、周側壁22の回転軸C1に沿う方向と先端壁24との側面視接続角度Aが0度より大きく90度より小さい角度(0<A<90)に設定されているとよい。面取り部34部分にも後述のビットを所定角度で着脱可能に取り付けるためのビット取付部32が設けられている。
【0024】
周側壁ビット26は、ビット先端を回転方向R側に向けて周側壁22に螺旋状に配列され、ビット取付部32を介して周側壁22に外向きに突設するように取り付けられている。周側壁ビット26は、例えば、先端がテーパ状の先鋭の掘削刃を有するコニカルビットからなる。
図2に示すように、回転軸C1方向に沿って見ると、各周側壁ビット26は、周側壁22の接線方向D1に対して所定の角度θ0で取り付けられている。さらに、
図1に示すように、側面視では、各周側壁ビット26は、筒形ドラム20の回転軸C1に対して正直交する方向D2にも所定角度θ1、θ2で傾斜して周側壁外方に向けて取り付けられている。すなわち、各周側壁ビット26は、そのビット先端の方向が、回転軸C1に対して直交する仮想的な面(仮想面VS)に対して、角度θ1、θ2だけドラム先端側に傾けて取り付けられている。
【0025】
詳細には、螺旋状に配列された複数の周側壁ビット26のうち、先端側すなわち面取り部34近傍部分に配置されるものを除いてドラム胴部略全体(基端側から面取り部34まで)に亘って配置されている第1周側壁ビット36では、回転軸C1に直交する方向D2(仮想面VS)に対する角度θ1が、例えば、10〜40度に設定されている。一方、複数の周側壁ビット26のうち、先端側すなわち面取り部34近傍部分に配置されている第2周側壁ビット36では、回転軸に直交する方向D2(仮想面VS)に対する角度θ2が、例えば、40〜60度に設定されて、θ1<θ2となるように設定されている。すなわち、複数の周側壁ビット26は、該掘削ドラム14の先端側に配置される第2周側壁ビット34は、回転軸C1に正直交する方向に対する傾斜角度θ2を他の第1周側壁ビット36の傾斜角度θ1よりも大きく前方に傾けて設定されている。さらに、先端側部分に配置されている第2周側壁ビット36は、周側壁22と異なる角度Aで傾斜した面取り部34に取り付けられており、周側壁22の接線方向D1に対する角度も異なっている。これにより、掘削ドラム14を回転軸方向に略沿う方向に移動させながら掘削する際に、掘削ドラム14の先端側にあたる対象物部分については、先端壁ビット28と前方に向いた第2周側壁ビット38を協働させて掘削できるとともに、掘削ドラムの周囲に当たる対象物部分については第1周側壁ビット36及び第2周側壁ビット38により掘削でき、対象物を効率よく掘削することができる。さらに、面取り部34によって他のビットとは取付角度が異なる第2周側壁ビット36を安定した状態で所望の角度で固定させることができる。
【0026】
本実施形態では、先端壁ビット28は、先端壁24から回転軸C1方向と略沿う方向又は回転軸C1に対して若干傾斜した方向に向けて突設して固定されている。複数の先端壁ビット28は、互いに離隔して配置されており、回転軸C1を中心に略点対象的に2個配置されている。なお、先端壁ビットの個数や配置は任意に設定してもよい。各先端壁ビット28は、例えば、先端が略直線状の掘削刃を有する平ビットからなり、先端壁24の壁面に対して略90度方向に刃の先端を向けて突設されている。先端壁ビット28が対象物にあたった際に抵抗が比較的少なく、スムーズに掘削することができる。
【0027】
回転駆動装置16は、掘削ドラム14を回転駆動するための駆動手段である。本実施形態では、
図1、
図2に示すように、回転駆動装置16は、例えば、回転モータ40と、回転モータ40の動力を掘削ドラム14に伝達する減速機42と、を有する。回転モータ40は、例えば、ブラケット12に支持された油圧モータからなり、油圧ショベルの油圧システムに接続されて油圧駆動される。
【0028】
減速機42は、回転モータ40の回転軸C2と平行に配置され、かつ互いに噛み合う複数のギヤの回転軸を互いに平行に配置した平行軸減速機からなる。減速機42は、複数のギヤ、回転軸、軸受等をケースに収容して構成されており、該ケースがブラケット12の下部側に固定されて支持されている。減速機42及び回転モータ40は、それらの回転軸が、アーム52の揺動軸52aの軸方向に対して直交する方向に向けて配置されている。減速機42の出力軸30に掘削ドラム14が、該ドラムの回転軸C1を減速機42内のギヤの回転軸及び回転モータ40の回転軸C2に平行に配置させた状態で取り付けられている。よって、回転モータ40と減速機42と掘削ドラム14とは、それぞれの回転軸を平行として組み付けられている。さらに、ブラケットに支持された減速機42を中央として、該減速機42の前方側に掘削ドラム14が配置されるとともに減速機42の後方側に回転モータ40が配置され、回転モータ40、減速機42、掘削ドラム14の順に直線的に配置されて一体的に組み付けられている。これにより、回転伝達効率がよく、掘削ドラム14を高トルクで回転させて大きな掘削力を生じることができ、硬い岩盤等をスムーズに掘削できる。
【0029】
次に、本実施形態に係る掘削装置10の作用について説明する。例えば、道路やトンネル等の土木工事現場で地盤やコンクリート構造物等をハツったり、掘削したりする必要がある場合に、
図3に示すように、油圧ショベル50等の重機のアーム52の先端に掘削装置10をアタッチメントとして装着させる。油圧ショベル50を掘削現場まで移動させて、アーム52、ブーム54等を上下動させたり、屈伸させたり、機体を左右に水平旋回させたりして、回転させた掘削ドラム14を掘削対象物にあてがって掘削していく。掘削ドラム14を回転軸C1に沿う方向に移動させると、まず先に先端壁ビット28から対象物に当てて掘り進むことできる。さらに、掘削ドラム14を進めると先端壁ビット28と周側壁ビット26(先端寄りに配置される第2周側壁ビット38及びその他の第1周側壁ビット36)とが協働しながら対象物をスムーズに掘削できる。また、回転モータ、平行軸減速機、掘削ドラムと、それぞれの回転軸が平行に配置されているので、回転力の伝達効率がよく、高トルクで大きな掘削力を発揮できる。さらに、必要に応じて、掘削ドラム14を回転軸C1と交差する方向にも移動させながら対象物を掘削できる。これによって、掘削ドラムの先端側にあたる対象物部分では先端壁ビット24と先端側にビット先端を向けた第2周側壁ビット38により効率よく掘削できるとともに、掘削ドラムの周囲にあたる対象物部分では、同第2周側壁ビット38と、それとは角度が異なる第1周側壁ビット36とを協働させて効率よく掘削できる。その結果、掘削現場の対象物に応じて掘削ドラム14を様々な方向に移動させながら全体的に円滑に掘削作業を行うことができる。
【0030】
以上説明した本発明の掘削装置は、上記した実施形態のみの構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の本質を逸脱しない範囲において、任意の改変を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の掘削装置は、例えば、道路、トンネル、堤防、水路工事等、その他土木や建築工事の際に、掘削用アタッチメントとして油圧ショベル等の作業機械や重機のアームに取り付けられて利用できる。
【符号の説明】
【0032】
10 掘削装置
12 ブラケット
14 掘削ドラム
16 回転駆動装置
18 連結部
20 筒形ドラム
22 周側壁
24 先端壁
26 周側壁ビット
28 先端壁ビット
34 面取り部
40 回転モータ
42 減速機
52 アーム
【要約】
【課題】重機のアームにアタッチメントとして簡単に装着して利用できる掘削装置であって、掘削対象物を効率よく掘削できる実用性が高い掘削装置を提供する。
【解決手段】重機のアーム52先端に着脱可能に装着されるブラケット12と、ブラケット12に取り付けられた掘削ドラム14と、該掘削ドラム14を回転駆動する回転駆動装置16と、を備え、掘削ドラム14は、周側壁22と先端壁24を有する筒形ドラム20からなり、周側壁22には外方向に突設された複数の周側壁ビット26が設けられるとともに、先端壁24には外方向に突設された複数の先端壁ビット28が設けられている掘削装置10から構成される。
【選択図】
図1