特許第5769898号(P5769898)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5769898
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】加湿器
(51)【国際特許分類】
   F24F 6/00 20060101AFI20150806BHJP
【FI】
   F24F6/00 C
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-60886(P2015-60886)
(22)【出願日】2015年3月24日
(62)【分割の表示】特願2013-206113(P2013-206113)の分割
【原出願日】2011年11月30日
(65)【公開番号】特開2015-127635(P2015-127635A)
(43)【公開日】2015年7月9日
【審査請求日】2015年4月14日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064469
【弁理士】
【氏名又は名称】菊池 新一
(74)【代理人】
【識別番号】100099612
【弁理士】
【氏名又は名称】菊池 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100073450
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 英俊
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 健一
【審査官】 小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】 実開平4−11334(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水部および加湿部からなり、
前記給水部には給水タンクと前記給水タンクの外側に設置され前記給水タンクの底面開口から落下した水を受け入れるフィルター部が設けられた加湿器において、
前記フィルター部は、前記フィルター部の底面から上面まで貫通する少なくとも一つの空気孔を有し、
前記空気孔は前記給水タンクの底面開口とは異なる位置に設けられている
ことを特徴とする加湿器。
【請求項2】
前記フィルター部は、前記給水タンクの下方に設けられることを特徴とする請求項1に記載の加湿器。
【請求項3】
前記空気孔は、前記フィルター部の上面まで延出したパイプで構成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の加湿器。
【請求項4】
前記空気孔の先端部又は途中に防水透湿素材を設けたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の加湿器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内などを加湿する加湿器に関するものであり、特に給水タンクを用いた加湿器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内などを加湿するために気化式、蒸気式、超音波式など様々な方式の加湿器が用いられており、それらの加湿器では水道水を利用するケースが多い。加湿器は給水タンクなどに水を補給し室内の湿度を高めるものであるが、水道水にはマグネシウム、カルシウムなどのミネラル成分が含まれており、それらのミネラル成分を含んだ水の状態で室内を加湿してしまうと、水に含まれるミネラル成分も同時に放出してしまうため、室内にミネラル成分が析出して白粉が発生してしまうおそれがあった。
【0003】
その対策として加湿器の給水タンクに水道水を濾過するイオン交換樹脂などのフィルター92を設置する方式が多く用いられている。そのフィルターは図4に示すように、側面にスリット97を有するカートリッジの中にイオン交換樹脂を充填し、給水タンク9の中に配置して用いられている。
また、イオン交換樹脂のカートリッジの上面には上下に貫通する空気孔98が設けられており、底面にはイオン交換樹脂を保持する通水可能な網が設けられている。
【0004】
そして、給水タンク9のキャップ90はタンク側に二重構造の側壁が設けられており、2つの側壁の内側にはそれぞれ螺旋状の溝が設けてある。加えて、外周側壁はタンクの下部フランジに、内周側壁はイオン交換樹脂のカートリッジに螺合可能に構成してある。さらに、キャップ90の中央には給水タンクを本体2に装着した場合に、上方に移動することによって水を流出可能な弁99が設けてある。
【0005】
利用者は加湿用の給水タンクに水道水を充填し本体2に装着する。すると、カートリッジ96に設けられたスリット97からフィルターのイオン交換樹脂を通過し、さらにカートリッジ底面の網を通過し連通路10に水が導入されることになる。
【0006】
しかし、図4のようにタンク内の水位がカートリッジの高さを超える場合には、カートリッジ96側面のスリット97を通過する流れに加え、カートリッジの上下に貫通する空気孔98から連通路10への流れが生じ、イオン交換樹脂を通過しない水の流れによって濾過効率が低くなってしまう場合があった。
【特許文献1】特開平10-103720
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、加湿器において水道水に含まれるミネラル分の濾過効率を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため請求項1記載の発明にあっては、給水部および加湿部からなり、 前記給水部には給水タンクと前記給水タンクの外側に設置され前記給水タンクの底面開口から落下した水を受け入れるフィルター部が設けられた加湿器において、 前記フィルター部は、前記フィルター部の底面から上面まで貫通する少なくとも一つの空気孔を有し、 前記空気孔は前記給水タンクの底面開口とは異なる位置に設けられている。
【0009】
請求項2記載の発明にあっては、前記フィルター部は、給水タンクの下方に設けられている。
【0010】
請求項3記載の発明にあっては、前記空気孔はフィルター部の上面まで延出したパイプで構成される。
【0011】
請求項4記載の発明にあっては、前記空気孔の先端部又は途中に防水透湿素材が設けられる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、加湿器の水道水に含まれるミネラル分を効率的に除去することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図に従って説明する。図1は本発明の加湿器の概略図である。図2図1の要部拡大図であり、図3は本発明に用いられるフィルター部の断面斜視図であり、図4は従来構造の加湿器の概略図である。図5は従来のフィルターの平面図である。
【0014】
(第一の実施形態)
図1から図2に示すように、本発明の加湿器は大きく加湿器本体2、給水部および加湿部からなっており、本体2内部には給水部と加湿部が収容されている。給水部は給水タンク9とイオン交換樹脂(フィルター)92からなり、加湿部は連通路10、超音波振動子11、霧流出筒7、および送風ファン6とから構成されている。
【0015】
加湿器本体2は、給水部および加湿部が収容できる程度の大きさであればよく、特に限定されるものではないが、霧化した霧を排出する霧流出筒7の一部は本体2から突出する構成が望ましい。
【0016】
給水タンク9はブロー成型された底面に円形開口を有する把手付きの樹脂製容器で、底面開口縁に突出したフランジを有しており、フランジの外周にはキャップ90が螺合可能に設けてある。
【0017】
給水タンク9の底面開口には、弁99を有するキャップ90が螺合可能に構成されている。弁99は加湿器本体2に装着されることで弁部材990が上方に移動するため移動空間が生じ、その移動空間を通過して水道水が落下する構成となっている。
【0018】
そして、給水タンク9の下方には、イオン交換樹脂92を充填した容器状のフィルター部93が載置されおり、給水タンク9から落下した水道水を受け入れ、さらに連通路10に導くように構成されている。
【0019】
イオン交換樹脂(フィルター)92を収容するフィルター部(容器)93には少なくとも一つの空気孔98が設けてある。空気孔98はイオン交換樹脂(フィルター)92を収容する容器93の底面952から上面951まで貫通する孔となっている。図2においては、イオン交換樹脂(フィルター)92の容器93はイオン交換樹脂92が充填されている部分の底面952とその上面951とからなっている。又、空気孔98はフィルターを収容する容器93の上面に延出したパイプ94を備える構成とすることもできる。パイプは底面952から延びる継ぎ目の無い一体の構成とすることもでき、本例の図ではその構成を示してある。
【0020】
フィルター部93は、フィルター92のみの構成とすることも可能であるし、容器を含めて構成することも可能である。又、空気孔98は直径5〜20ミリメートル程度であり円形、角型などの任意の形状とすることができる。
【0021】
そして空気孔98またはパイプ94には、先端部または途中部に防水透湿素材(防水性と透湿性を両立させた素材)を設けてある。つまり、水蒸気は通すが水を通さない素材を空気孔98またはパイプ94の径全面を塞ぐように配置してある。
【0022】
なお、本実施形態では給水部には着脱自在な給水タンク9を備えた例を示したが、場合によっては水道の蛇口からホースや導水管を経由してタンクと同等となる貯水部に水道水を導くことで、給水タンク9の無い構成とすることも可能である。
【0023】
加湿部に設けられた連通路10はイオン交換樹脂(フィルター)92を通過した水を超音波振動子11に導くための水路であり、その水路から超音波振動子によって霧化される霧化部となる霧化室3に水が導かれる。霧化部に導かれた水は超音波振動子11で霧状にされ、送風ファン6によって霧流出筒7から室内に加湿される。
【0024】
以上の構成において、加湿が行なわれている状態では給水部において連通路に水の供給が継続して行なわれる。給水タンクから落下した水道水は、イオン交換樹脂(フィルター)92を経由することでマグネシウム、カルシウムなどのミネラル成分が効率的に除去されて加湿に適した水となり加湿されることになる。
【0025】
一方、イオン交換樹脂(フィルター)92又は容器93に設けた空気孔98には防水透湿素材(防水性と透湿性を両立させた素材)が設けてあるので、水が連通路に流れ続けても連通路側から空気孔を経由して空気の流れが生じるため、内圧による詰まりを生ずることがない。又多少空気孔に水が浸入したとしても防水透湿素材が水蒸気は通すが水を通さない障壁の役割を果たしてくれるために、空気孔から連通路10に直接達する水はなく、連通路に達する水は全てイオン交換樹脂を経てフィルタリングされた水だけが到達することとなる。よって、加湿される水の水道水に含まれるミネラル分を効率的に除去することが可能となり、実用性の向上した加湿器を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】は本発明の加湿器の概略図を示す。
図2】は図1の要部拡大図を示す。
図3】は本発明のフィルター部の断面斜視図を示す。
図4】は従来構造の加湿器の概略図を示す。
図5】は従来のフィルターの平面図を示す。
【符号の説明】
【0027】
1 加湿器
2 本体
3 霧化室
4 タンク収容室
5 送風ダクト
6 送風ファン
7 霧流出筒
8 液体(水)
9 給水タンク
90 キャップ
91 給水タンク筐体
92 イオン交換樹脂(フィルター)
93 容器(フィルター部)
94 パイプ
951 上面
952 底面
96 カートリッジ
97 スリット
98 空気孔
99 弁
10 連通路
11 超音波振動子
12 駆動回路部
15 凹部
100 防水透湿素材
図1
図2
図3
図4
図5