【実施例】
【0079】
以下の実施例は、限定ではなく、例示を目的として示される。
(実施例1)
本発明の鼻内シアノコバラミン溶液とNASCOBAL(登録商標)及びシアノコバラミンの筋肉内注射との比較
(導入)
【0080】
Nascobal(登録商標)(シアノコバラミン、USP)は、同等のビタミンB
12活性を有するビタミンB
12の合成形である。化学名は、5,6-ジメチル-ベンゾイミダゾリルシアノコバミドである。現在、Nascobal(登録商標)(シアノコバラミン、USP)は、自己投与経鼻ゲルとして市販されている。注射可能ビタミンB
12治療の後に鎮静状態にあるビタミンB
12吸収不良の対象におけるNascobal(登録商標)(シアノコバラミン、USP)の推奨投与量は、1週間に1回500μgを鼻内投与することである。
【0081】
ビタミンB
12欠乏には、胃腸系の構造的又は機能的損傷に起因するビタミンB
12の吸収不良及びビタミンB
12の食事性欠乏を含むいくつかの原因がある。
【0082】
この研究の目的は、ビタミンB12経鼻ゲルと経鼻スプレーとの生物学的同等性を比較するとともに、正常の健康な男性及び女性の対象の絶食状態におけるビタミンB12の3つの製剤の相対的生物学的利用能を評価することである。
【0083】
鼻内シアノコバラミンゲルは500μgの投与量に対して承認される。現行の試験は、また、同じ500μgの投与量のシアノコバラミン経鼻スプレー及び100μgの筋肉内投与物を利用する。
【0084】
(試験の目的)
正常の健康な男性及び女性の対象の絶食状態における単一の鼻内投与スプレー、単一鼻内投与ゲル(Nascobal(登録商標))及び単一筋肉内投与ビタミンB
12の薬物動態プロファイルを比較する。
【0085】
(調査計画)
全体的な試験設計及び計画
この研究は、以下のように、絶食状態の正常の健康な男性及び女性における鼻内(IN)スプレー(500μg)、INゲル(Nascobal(登録商標))(500μg)及び筋肉内(IM)注射(100μg)を介して投与されるビタミンB
12の単一部位、開放ラベル、三方(3治療薬、6系列)交差薬物動態試験とした。
【0086】
治療薬A:500μgのビタミンB
12の1回のINスプレー投与。鼻内製剤は、本発明の代表的な実施態様で構成され、0.5%(全重量に対する百分率)の濃度のシアノコバラミン、クエン酸0.12%、クエン酸ナトリウム0.32%、グリセリン2.23%、50%塩化ベンザルコニウム溶液0.04%及び96.79%の水を含有していた。
【0087】
治療薬B:500μgのビタミンB
12の1回のINゲル投与(Nascobal(登録商標))
【0088】
治療薬C:100μgのビタミンB
12の1回のIM投与。
【0089】
対象に各拘束期間を通じてビタミンB
12のない食事を与えた。前の治療薬投与後14日以降に次の治療薬を投与する。
【0090】
(治療薬)
投与する治療薬
6系列の1つにおいて、PPD Development Biostasticianによって生成された無作為化に基づいて、8時間絶食後の期間I、II及びIIIの1日目に、500μgビタミンB
12の単一INスプレー(治療薬A)、500μgビタミンB
12の単一INゲル(Nascobal)(登録商標)(治療薬B)又は100μgビタミンB
12の単一IM投与物(治療薬C)を対象に与えた。すべての期間の後に、すべての対象が、交差的に各治療薬を与えられた。14日間のウォッシュアウト期間が3つの投与期間を分割した。
【0091】
1日目の朝に、治療薬Aが割り当てられる対象は、500μgのビタミンB
12の単一INスプレー投与物が与えられた。治療薬Bが割り当てられる対象は、500μgのビタミンB
12の単一INゲル投与物(Nascobal(登録商標))が与えられた。治療薬Cが割り当てられる対象は、100μgのビタミンB
12の単一IM投与物が与えられた。投与の前に一晩(即ち、少なくとも8時間)絶食させ(水は除く)、投与後に少なくとも4時間絶食させた(水は除く)。
【0092】
臨床現場に拘束されている間、対象は、他の試験関連活動と矛盾しない予定時間で標準化されたビタミンB
12欠乏食を与えられた。登録栄養士が食事を設定し、食物スタッフが食事日誌をつけた。試験中は、栄養補助食品を許可しなかった。対象は、チェックイン前の72時間にわたって、アルコール含有、グレープフルーツ含有又はカフェイン含有食品又は飲料を摂取するのを控えた。
【0093】
(研究変数)
各対象について、可能な限り、モデルと無関係のアプローチ、即ちC
max、T
max及びAUQ
0-tに従って、治療薬A、B及びCのビタミンB
12血清濃度に基づいて以下の薬物動態学的パラメータを計算した。
【0094】
(薬物動態学的測定値)
ビタミンB
12値のPK分析のための血液サンプルを、5mLのイエロートップVacutainer(登録商標)Hemogard(商標)真空血清分離器収集管を使用して、留置カテーテル及び/又は直接静脈穿刺を介して収集した。ビタミンB
12値のPK分析のための血液サンプルを1日目の0、6及び12時間後及び1日目の0時間後(即ち投与前);30分後;各期間について投与後1、1.5、2、4、6、8、10、12、18、24、36、48、60、72、84及び96時間後に収集した。
【0095】
(測定値の妥当性)
この研究に使用される薬物動態学的パラメータは、典型的には生物学的同等性を評価するのに用いられるものであった。生物学的同等性のすべての評価は、AUC
0-t、T
max及びC
max(試験と基準治療薬)の比較に基づいていた。
【0096】
AUCは、薬物の生物学的利用能の範囲を測定し、体循環に達する全量の薬物を反映する。
【0097】
C
maxは、薬物投与後に得られる最大血清濃度を表し、十分な薬物が体循環に達して、治療応答を与えたことを示す。加えて、C
maxは、見込まれる有毒薬物量の警告を示す。
【0098】
T
maxを計算し、中央値±レンジで表した。
【0099】
(薬物動態学的変数)
各対象について、可能な限り、モデルと無関係のアプローチ(基準1)に従って、治療薬A、B及びCのビタミンB
12血清濃度に基づいて以下の薬物動態学的パラメータを計算した。
【0100】
C
max 最大観察濃度
【0101】
t
max 時間対最大濃度
【0102】
AUC
0-t 線形台形則によって計算した、時間0から最終測定可能濃度までの濃度-時間曲線下面積
【0103】
SAS(SAS Inst.、Version 8.02)を使用して、薬物動態学的計算を行った。
【0104】
(プロトコルにおいて計画された統計的手法及びサンプルサイズの測定)
統計及び分析プラン/薬物動態学的分析
血清サンプルにおけるビタミンB
12値をpg/mLで測定した。定量可能な検出限界の下の血清濃度値をゼロとして処理した。薬物動態学的パラメータのすべての計算において、計画されたサンプリング時間でなく、実際のサンプリング時間を用いた。しかし、表示を容易にするために、計画されたサンプリング時間を用いて、表、リスト及び図において結果を表した。
【0105】
濃度データから、非区画薬物動態学的パラメータ(AUC
0-t、C
max及びT
max)をセクション8.4.3に記載のように計算した。
【0106】
(統計分析)
他に指定する場合を除いて、すべての統計試験を0.05有意レベルで実施した。連続パラメータの概要統計値は、数(N)、平均値、中央値、SD及びレンジで構成した。
【0107】
各時点におけるビタミンB
12のレベル及び計算した薬物動態学的パラメータに対する処理によって、記述統計値を得て、表にまとめた。
【0108】
生物学的同等性を試験(治療薬A-経鼻スプレー)対基準(治療薬B-ゲル)について評価した。差違の分析(ANOVA、基準2)を実施し、試験/基準比に対して90%信頼区間を生成した。C
max及びAUC
0-tは、分析前に変換された自然対数(log
e)とした。対数スケールの平均値の差に対する90%信頼区間の真数をとることによって、幾何平均比に対する対応する90%信頼区間を求めた。
【0109】
log
e-変換C
max及びAUC
0-tからの90%信頼区間の下限が80%以上であれば、試験(治療薬A)は、基準(治療薬B)に対して劣っていないと想定された。log
e-変換C
max及びAUC
0-tからの90%信頼区間の下限が80%未満であれば、非劣等性を確定できないと想定された。
【0110】
誤差項として数列内での対象に対する根平均誤差(MSE)を用いて数列効果を試験した。すべての他の主たる効果をANOVAモデルからのMSEに対して試験した。
【0111】
試験(治療薬A及びB-それぞれ経鼻スプレー及びゲル)並びに基準(治療薬C〜IM)グループについて生物学的利用能を評価した。基準(治療薬C)グループ平均値に対する試験(治療薬A及びB)グループ平均値の比について、90%信頼区間を調べることによって相対的生物学的利用能を評価した。
【0112】
T
maxについて、試験グループと各基準グループの間に差が存在するかどうかを判断するために、ウィルコクソンの対応対法を用いて分析を行った。
要約-結論
薬物動態試験結果:
2つのIN製剤に対する相対的生物学的利用能は、0.9715であった。生物学的利用能は、治療薬A(スプレー)と治療薬C(IM)とを比較した場合は0.6105であり、治療薬B(ゲル)と治療薬C(IM)を比較した場合は0.6284であった。
スプレー製剤及びゲル製剤の薬物動態プロファイルは、C
max(それぞれ1480pg/mL、1670pg/mL)及びAUC
0-t(それぞれ92000pg*時間/mL、97000pg*時間/mL)について類似していた。また、スプレーとゲルIN製剤のT
maxの中央値差は15分(-0.24)未満であった。IM製剤に対するC
max値は、2つのIN製剤のC
max値より有意に大きかった(p<0.0001)。
C
max及びAUC
0-tに基づくゲルデータに関して、ビタミンB
12INスプレーについての生物学的同等性を確定した。スプレー製剤及びゲル製剤についてのlog
e-変換C
max及びAUC
0-tの90%信頼区間は、80%から125%の範囲内であった。また、信頼区間の下限がAUC
0-t及びC
maxの双方について80%を超えるため、それら2つのIN製剤を比較した場合の非劣等性を想定することができる。
結論:
2つのIN製剤に対する相対的生物学的利用能は、0.9715であった。生物学的利用能は、治療薬A(スプレー)対治療薬C(IM)については0.6105であり、治療薬B(ゲル)と治療薬C(IM)とを比較した場合は0.6284であった。
スプレー製剤及びゲル製剤の薬物動態プロファイルは、C
max(それぞれ1480pg/mL、1670pg/mL)及びAUC
0-t(それぞれ92000pg*時間/mL、97000pg*時間/mL)について類似していた。また、スプレーとゲルIN製剤のT
maxの中央値差は15分(-0.24)未満であった。IM製剤に対するC
max値は、2つのIN製剤のC
max値より有意に大きかった(p<0.0001)。
AUC
0-tとC
maxに対するlog
e-変換90%信頼区間を用いて、ビタミンB
12スプレー製剤とビタミンB
12ゲル製剤との生物学的同等性を確定した。スプレー製剤及びゲル製剤についてのlog
e-変換C
max及びAUC
0-tの90%信頼区間は、0.8から1.25の範囲内であった。2つのIN製剤(治療薬Aと治療薬B)について非劣等性を想定することができる。
いずれのビタミンB
12製剤も安全で、健康な男性及び女性協力者に十分に許容された。
【0113】
上記のように、本発明の一部の実施態様において、本発明の鼻内シアノコバラミン製剤の最小の相対的又は比較上の生物学的利用能(例えば、擬薬又は偽薬製剤が投与された好適な対照の対象に対するシアノコバラミンの血漿又はCSF濃度について試験された、同等の投与量の筋肉内シアノコバラミン又は鼻内シアノコバラミンを投与した並行試験対象において)は、筋肉内注射によって達成される生物学的利用能の少なくとも5%、6%又は7%、いくつかの場合において8%、9%、10%、11%又は12%以上になる。
【0114】
本開示は、本発明の方法及び組成物のこれらの予期せぬ性能特性を証明するために、詳細な比較上の生物学的利用能の研究及び結果を示す。上述のように、2つの代表的な鼻内(IN)製剤に対する生物学的利用能は、0.9715であった。相対的生物学的利用能は、治療薬A(スプレー)と治療薬C(筋肉内=IM)とを比較した場合は0.6105であり、治療薬B(ゲル)と治療C(IM)を比較した場合は0.6284であった。比較されるシアノコバラミンスプレー製剤とゲル製剤の薬物動態プロファイルは、C
max(それぞれ1480pg/mL、1670pg/mL)及びAUC
0-t(それぞれ9200pg*時間/mL、9700pg*時間/mL)について類似していた。また、スプレーとゲルIN製剤のT
maxの中央値差は15分(-0.24)未満であった。IM製剤に対するC
max値は、2つのIN製剤のC
max値より有意に大きかった(p<0.0001)。
【0115】
これらのデータは、シアノコバラミンのIN対IMの生物学的利用能に対する比較上のAUC値の形でそのまま表されていないが、相対的AUC値は、以上に示したデータから容易且つ正確に導出可能である。特に、以上に示した比較上の生物学的利用能研究の結果は、IMシアノコバラミンの生物学的利用能に対する代表的なスプレーシアノコバラミン製剤、及びIMの生物学的利用能に対する代表的なゲル製剤の「相対的生物学的利用能」がそれぞれ0.6105及び0.6284であることを証明している。これらの値は、公称投与量に基づくAUCの幾何平均値の自然対数の比を表す。これらのデータを、鼻内投与した500μg及びIMによって投与された100μgの投与量に基づいて、適切な多投与量に対して従来の方法に従って投与量について正規化した。当業者はこれらのデータを容易に把握するとともに、投与量正規化データが、少なくとも約5%、6%又は7%の開示された相対的最小相対的生物学的利用能に合理的に対応する本発明のINシアノコバラミン溶液とIM投与との生物学的利用能の比を導くことを十分に理解するであろう。この測定を標準的な数式処理によって行って、INスプレー及びIM注射に対する投与量について正規化された相対的AUC値を導くことができる。以上に示した実施例において、この標準処理/結果は、0.6105×100μg/500μg×100=12%;又はINスプレーとIM注射とのAUCの比が0.12である。加えて、実際の算術的AUCは、代表的なINシアノコバラミンスプレー及びゲルについて、それぞれ92000及び97000pg*時間/mLとして以上に示されている。これらのデータも同様に、本開示に従って、IM注射研究コンパレータについての対応するAUCを証明する。例えば、IMに対するAUCの算術平均値は、147155pg*時間/mLとして計算される(以上に示した比から逆数式処理によって容易に導かれる‐例えば、スプレーでは、92000/147155=0.62比)。投与量について正規化されると、これらのデータは、IMシアノコバラミンの生物学的利用能と比較した場合における本発明のINシアノコバラミン製剤についての代表的な相対的生物学的利用能値が少なくとも7%、他の実施態様において少なくとも9%、10%、11%又は12%以上のここに記載の範囲内であることに直接対応する。
【0116】
(実施例2)
健康な男性及び妊娠していない女性協力者における鼻内及び筋肉内投与後のビタミンB
12の脳脊髄液(CSF)への取込み量を比較するための非盲検単一投与並行グループ研究の結果も本開示によって示される。この研究では、CSF値を両製剤によってもたらされた血漿値と比較した。
【0117】
年齢が18歳以上の36人の健康な男性及び妊娠していない女性対象を研究に登録した。18人の対象に、0.1mLスプレーとして送達される500mcgの単一鼻内投与物を与え、18人の対象に、筋肉内送達される100mcgの単一筋肉内投与物を与えた。各対象は、1カ月の期間中に3回臨床現場を訪れた。これらの訪問は、選別のための訪問、1回の投与のための訪問及び最終訪問からなるものであった。
【0118】
各投与後、各対象は、1回だけ腰椎穿刺を受け、合計4.0mLのCSF(4チューブ、1チューブ当たり1.0mL)を回収した。対象の3分の1は、投与60分後にCSFサンプルが回収され、対象の3分の1は、投与90分後にCSFサンプルが回収され、対象の3分の1は、投与120分後にCSFサンプルが回収された。
【0119】
上記に加えて、投与の当日に、投与前、投与の5、10、15及び20分後、並びに投与の0.5、1、1.5、2、3、4、6及び8時間後(排出前)に7mLの血液サンプルを採取した。
【0120】
全ビタミンB
12含有量について脳脊髄液の評価を行った。本明細書に記載する研究の目的は、筋肉内(IM)及び経鼻投与の後に血液及びCSFに存在するビタミンB
12の量を測定することであった。
【0121】
(基準及び試験製品)
基準製品:シアノコバラミン100mcg筋肉内注射
【0122】
シアノコバラミン注射、USPは、筋肉内注射又は皮下注射のためのシアノコバラミン(ビタミンB
12)の無菌液である。1mL毎に1000mcgのシアノコバラミンを含む。
【0123】
試験製品:ビタミンB
12経鼻スプレー=500mcg/0.1mLスプレー。この研究におけるシアノコバラミン鼻内水溶液は、0.5%(全重量に対する百分率)の濃度のシアノコバラミン、クエン酸0.12%、クエン酸ナトリウム0.32%、グリセリン2.23%、50%塩化ベンザルコニウム溶液0.04%及び96.79%の水を含有していた。
【0124】
1投与物:1投与当たり500mcg/0.1mLを送達するために2.3mLボトルとしてビタミンB
12経鼻スプレーを供給した。
【0125】
鼻内投与前に、すべての対象に対して、適正な投与技術及び研究の全体的な実施法についての指導を行った。
【0126】
対象に、鼻を静かにかむよう指示した。対象は、着席姿勢を維持し、プライミングされたIN塗布器が、研究スタッフの指示の下で対象によって外鼻孔に挿入された。投与中、反対側の外鼻孔は人差し指で塞いだ。対象に、投与に向けて頭をわずかに後方に傾け、投与直後に静かに息を吸い込みながら頭を直立姿勢に戻すよう指示した。このプロトコルによれば、0.1mLの投与量のビタミンB
12スプレーを各対象の鼻腔に放出した(投与物は、一方の外鼻孔に対する単一塗布物である)。対象に、IN処理後1時間の間は鼻をかまないよう指示した。
【0127】
投与後、各対象は、腰椎穿刺を受け、4.0mLのCSF(4チューブ、1チューブ当たり1.0mL)を回収した。各グループの対象の3分の1は、投与60分後にCSFサンプルが回収され、対象の3分の1は、投与90分後にCSFサンプルが回収され、対象の3分の1は、投与120分後にCSFサンプルが回収された。投与後適切な時間に、検査者は、腰椎穿刺に適し位置に患者を配置した。腰部に準備を施し、通常の無菌布で覆った。局部麻酔を利用した(1%キシロカイン、1〜5mL)。十分な麻酔状態に達すると、脊柱針(20又は22G)を、検査者が適切と思われるレベルで脊柱管に導入した。CSFサンプルを投与から60、90又は120分後に回収した。合計4.0mLのCSFを各患者から回収し、4つの個別の回収チューブに分配した。チューブに患者識別子を適切に標示し、生体分析に供した。CSFの回収が完了すると、脊柱針を除去した。
【0128】
CSFにおけるビタミンB
12濃度を用いてCSF及び血清の両方におけるビタミンB12値を測定し、それを、検証済のTOSOH Nex.1A手順を用いてビタミンB
12を測定するために分析する。
【0129】
(結果及び結論)
ビタミンB12の血清に対する比は、ビタミンB12の鼻内投与を受けた個人の方がビタミンB12の筋肉内注射を受けた個人より大きいことがデータによって示された。
【0130】
ビタミンB12の鼻内投与を受けた個人についての平均比(B12 CSF/B12血清×100)は、1.1から1.9であるのに対して、ビタミンB12の筋肉内注射を受けた個人は、0.17から0.24の平均比を有していた。鼻内投与は、ビタミンB12の筋肉内注射に対して血清における生物学的利用能が約7〜12%しかないという点において、これは驚くべき結果である。これは、ビタミンB12の鼻内投与は筋肉内注射よりはるかに効率的にCSFに達することを示している。
【0131】
(実施例3)
シアノコバラミン溶液の製造
溶液0.1g当たり500mcgの濃度を有する4000gバッチの本発明のシアノコバラミン溶液を調製した。
出発材料
【表3】
【0132】
3871.6グラムの水を、ホットプレート上に配置されたステンレス鋼容器に入れた。水を約30℃まで加熱し、撹拌した。加熱水に12.8gのクエン酸ナトリウムを添加しながら水を300rpmで5分間撹拌した。次いで、4.8gのクエン酸を添加し、10分間撹拌した。この混合物に20.0gのシアノコバラミンを添加し、30℃にて300rpmで30分間撹拌した。次いで、ホットプレートをオフにした。89.2gのグリセリンを添加し、300rpmで5分間撹拌した。次いで、シアノコバラミン溶液に50重量%の塩化ベンザルコニウムを含有する1.6gの水溶液を添加し、300rpmで5分間撹拌した。次いで、pHを測定し、pHが4.5〜5.5の範囲にない場合は調整した。さらなる水を添加して、溶液の重量を4000gとした。
【0133】
(実施例4)
本実施例では、治療に有効な血漿濃度をもたらすのに十分な濃度のサケシアノコバラミンの水溶液を含み、前記溶液のエアロゾルを生成するためにアクチュエータを介して送達される本発明の代表的な医薬組成物であって、前記エアロゾルのスプレーパターン楕円率が、アクチュエータチップから30cmの高さで測定された場合に1.00から1.40である、医薬組成物について記載する。
【0134】
エアロゾルの容量は、約5マイクロリットルから1.0ml、好ましくは20から200マイクロリットルであり得る。
【0135】
この試験方法では、SprayView NSPシステムを使用してシアノコバラミン経鼻溶液製剤のプルーム幾何学構造の特性決定を行うための手順を記載する。米国特許第6,665,421号及び2003年1月23日に公開された米国特許出願公開第20030018416号に記載の方法に従って、統合SprayView NSxアクチュエーションステーション(Image Therm Engineering, Inc.(マサチューセッツ州Sudbury)を有するSprayView高速光スプレー特性決定システム(SprayView NSP)を使用してプルーム幾何学構造の特性決定を行う。
【0136】
表1の製剤を使用して、1噴射当たり0.1mLの投与物を送達し、36.05mmのディップチューブ長を有する「経鼻スプレーポンプw/安全クリップ、Pfeiffer SAP # 60550」をいずれも有するいずれも3mLボトル中の製剤のスプレー特性決定及び液滴サイズ。
【0137】
液滴サイズデータを以下の表に示す。
【表4】
以下にスプレーパターン結果を示す。
【表5】