(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
最近、MEMSデバイスが携帯電話機などに搭載され始めたことから、MEMSデバイスの注目度が急激に高まっている。MEMSデバイスの代表的なものとして、たとえば、加速度センサやシリコンマイクがある。
加速度センサは、たとえば、加速度の作用により揺振する錘と、錘の揺振に連動して変形するメンブレンとを備えている。メンブレンには、ピエゾ抵抗素子が設けられている。そして、錘の揺振により、メンブレンが変形し、メンブレンに設けられたピエゾ抵抗素子に応力が作用する。これにより、ピエゾ抵抗素子の抵抗率が変化し、抵抗率の変化量が信号として出力される。
【0003】
一方、シリコンマイクは、たとえば、音圧(音波)の作用により振動するダイヤフラム(振動板)と、ダイヤフラムに対向配置されるバックプレートとを備えている。ダイヤフラムおよびバックプレートは、それらを対向電極とするコンデンサを形成している。そして、ダイヤフラムの振動により、コンデンサの静電容量が変化し、その静電容量の変化によるダイヤフラムおよびバックプレート間の電圧変動が音声信号として出力される。
【0004】
このようなMEMSデバイスは、他の電子デバイスと同様に、パッケージにより封止された状態で各種機器(携帯電話など)に搭載される。ただし、パッケージ内には、MEMSデバイスの可動部(ダイヤフラムなど)の可動状態を維持するためのキャビティ(空間)を設ける必要がある。
図13は、従来の加速度センサの模式的な断面図である。
【0005】
加速度センサ201は、中空のセラミックスパッケージ202と、セラミックスパッケージ202内に収容されるセンサチップ204および回路チップ205とを備えている。
セラミックスパッケージ202は、6枚のセラミックス基板202A〜202Fを積層した6層構造を有している。下3枚のセラミックス基板202A〜202Cは、平面視で同じサイズの矩形状に形成されている。上3枚のセラミックス基板202D〜202Fは、平面視において、セラミックス基板202A〜202Cと同じ外形を有し、それぞれ中央部に矩形状の開口が形成されている。セラミックス基板202C上に積層されるセラミックス基板202Dの開口は、そのセラミックス基板202D上に積層されるセラミックス基板202Eの開口よりも小さい。また、セラミックス基板202Eの開口は、そのセラミックス基板202E上に積層されるセラミックス基板202Fの開口よりも小さい。
【0006】
セラミックス基板202Dの上面には、複数のパッド207が配置されている。各パッド207は、センサチップ204および回路チップ205とそれぞれボンディングワイヤ208を介して電気的に接続される。また、セラミックス基板202Dの上面には、各パッド207から延びる配線209が形成されている。各配線209は、下3枚のセラミックス基板202A,202B,202Cを上下に貫通するビア210を介して、最下層のセラミックス基板202Aの下面に配置された電極211に接続されている。
【0007】
そして、セラミックスパッケージ202は、最上層のセラミックス基板202Fにシールド板203が接合されることにより閉塞されている。これにより、セラミックスパッケージ202内にキャビティ(空間)が設けられ、センサチップ204および回路チップ205が、そのキャビティに封入される。
センサチップ204は、シリコンチップを、その裏面側(デバイス形成領域側の表面と反対側)からエッチングすることにより形成されている。このセンサチップ204は、シリコンチップのデバイス形成領域側の表面を含む薄層部分からなり、ピエゾ抵抗素子が作り込まれたメンブレン212と、メンブレン212の下面周縁部に設けられた枠状の支持部213と、メンブレン212の下面中央部に設けられ、下方ほど狭まる四角錐台形状の錘保持部214とを一体的に備えている。
【0008】
センサチップ204は、支持部213の各角部と回路チップ205の表面との間に介在されたチップ間スペーサ215により、回路チップ205の上方に、その回路チップ205の表面に対して所定間隔を隔てて支持されている。
そして、錘保持部214には、タングステンからなる錘206が設けられている。錘206は、錘保持部214の下面に接着剤により固定され、センサチップ204と回路チップ205との間において、回路チップ205およびチップ間スペーサ215と非接触状態に配置されている。
【0009】
回路チップ205は、シリコンチップからなり、加速度の計算および補正のための回路を有している。この回路チップ205は、そのデバイス形成領域側の表面を上方に向けた状態で、セラミックス基板202Cの上面に銀ペーストを介して接合されている。
そして、センサチップ204に加速度が作用し、錘206が振れると、メンブレン212が変形し、メンブレン212に設けられたピエゾ抵抗素子に応力が作用する。ピエゾ抵抗素子は、その作用する応力に比例して抵抗率が変化する。そのため、ピエゾ抵抗素子の抵抗率変化量に基づいて、加速度センサに作用した加速度を求めることができる。
【0010】
図14は、従来のシリコンマイクの模式的な断面図である。
シリコンマイク301は、デバイスチップ302と、デバイスチップ302を支持するためのダイパッド303と、デバイスチップ302と電気的に接続される複数のリード304と、樹脂パッケージ305とを備えている。
デバイスチップ302は、センサチップ306と、センサチップ306に対向配置されたガラスチップ307と、ガラスチップ307上に配置された回路チップ308とを備えている。
【0011】
センサチップ306は、MEMS技術により製造されるチップであって、シリコン基板309と、シリコン基板309に支持され、音圧の作用により音声信号を出力するマイク部310とを備えている。
シリコン基板309は、平面視四角形状に形成されている。シリコン基板309の中央部には、上面側(一方面側)ほど窄まる(下面側(他方面側)ほど広がる)断面台形状の貫通孔311が形成されている。
【0012】
マイク部310は、シリコン基板309の上面側に形成されており、音圧の作用により振動するダイヤフラム312と、ダイヤフラム312に対向配置されたバックプレート313とを備えている。
ダイヤフラム312は、平面視円形状をなし、たとえば、不純物のドープにより導電性が付与されたポリシリコンからなる。
【0013】
バックプレート313は、ダイヤフラム312よりも小径な平面視円形状の外形を有し、ダイヤフラム312に対して空隙を挟んで対向している。バックプレート313は、たとえば、不純物のドープにより導電性が付与されたポリシリコンからなる。
そして、マイク部310の最表面は、窒化シリコンからなる表面保護膜314により被覆されている。
【0014】
ガラスチップ307は、パイレックス(登録商標)などの耐熱性ガラスからなる。
そして、センサチップ306とガラスチップ307との間には、シリコンからなるスペーサ315が介在されている。スペーサ315は、マイク部310を取り囲む平面視四角環状に形成されている。このような形状のスペーサ315を介して、センサチップ306とガラスチップ307とが接合されることにより、シリコンマイク301には、センサチップ306、ガラスチップ307およびスペーサ315により区画される閉空間(キャビティ)316が形成される。この閉空間316内には、マイク部310がガラスチップ307およびスペーサ315と非接触な状態で配置されている。
【0015】
回路チップ308は、シリコン基板317を備えている。シリコン基板317は、平面視でシリコン基板309とほぼ同じ大きさの四角形状に形成されている。シリコン基板317には、マイク部310からの音声信号を電気信号に変換処理する電子回路(図示せず)が形成されている。
また、シリコン基板317の上面には、複数の電極パッド318がシリコン基板317の外周縁に沿って、平面視四角環状に並べて配置されている。電極パッド318は、シリコン基板317内の電子回路(図示せず)と電気的に接続されている。
【0016】
ダイパッド303は、金属薄板からなり、平面視四角形状に形成されている。ダイパッド303の中央部には、音圧をシリコンマイク内に取り込むための音孔319が形成されている。音孔319は、シリコン基板309の下面側における貫通孔311の開口径とほぼ同じ径を有している。
複数のリード304は、ダイパッド303と同じ金属薄板からなり、ダイパッド303を挟む両側にそれぞれ複数設けられている。各リード304は、ダイパッド303の各側において、互いに適当な間隔を空けて整列して配置されている。
【0017】
そして、デバイスチップ302は、平面視で貫通孔311の下面側外周と音孔319の外周とがほぼ合致するように位置合わせされ、回路チップ308を上方に向けた姿勢でダイパッド303上にダイボンディングされている。回路チップ308の各電極パッド318は、ボンディングワイヤ320によってリード304に接続されている。
樹脂パッケージ305は、溶融樹脂材料(たとえば、ポリイミド)からなる略直方体の封入部材であり、その内部にデバイスチップ302、ダイパッド303、リード304およびボンディングワイヤ320を封入している。樹脂パッケージ305における実装基板(図示せず)への実装面(下面)には、ダイパッド303の下面およびリード304の下面が露出している。これらの下面は、実装基板との電気接続のための外部端子とされる。
【0018】
そして、このシリコンマイク301において、デバイスチップ302のダイヤフラム312およびバックプレート313は、それらを対向電極とするコンデンサを形成している。このコンデンサ(ダイヤフラム312およびバックプレート313間)には、所定の電圧が印加される。
その状態で、音孔319から音圧(音波)が入力されると、その音圧が貫通孔311を介してマイク部310に伝えられる。マイク部310では、音圧の作用によりダイヤフラム312が振動すると、コンデンサの静電容量が変化し、この静電容量の変化によるダイヤフラム312およびバックプレート313間の電圧変動が音声信号として出力される。
【0019】
そして、出力された音声信号を回路チップ308で処理することにより、ダイヤフラム312(シリコンマイク)に作用した音圧(音波)を電気信号として検出し、電極パッド318から取り出すことができる。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るシリコンマイクの要部の模式的な断面図である。
シリコンマイクは、デバイスチップ1を備えている。
デバイスチップ1は、マイクチップ2と、マイクチップ2に対向配置された回路チップ3とを備え、これらチップが重ね合わせて接合された、チップ・オン・チップ構造を有している。
【0050】
マイクチップ2は、MEMS技術により製造されるチップであって、シリコンからなる支持基板4と、支持基板4に支持され、可動体の振動動作により生じる音声信号を出力する可動デバイス部5とを備えている。
支持基板4は、平面視四角形状に形成されている。支持基板4の中央部には、表面側ほど窄まる(裏面側ほど広がる)断面台形状の貫通孔6が形成されている。
【0051】
可動デバイス部5は、支持基板4の表面側に形成されている。
可動デバイス部5において、支持基板4上には、第1絶縁膜7が積層されている。第1絶縁膜7は、たとえば、酸化シリコンからなる。
第1絶縁膜7上には、第2絶縁膜8が積層されている。第2絶縁膜8は、たとえば、PSG(Phospho-Silicate-Glass:リンシリケートガラス)からなる。
【0052】
第1絶縁膜7および第2絶縁膜8は、貫通孔6および支持基板4の表面(可動デバイス部5が形成されるデバイス面)における貫通孔6の周囲の部分(以下、この部分を「貫通孔周辺部」という。)上から除去されている。これにより、貫通孔周辺部は、第1絶縁膜7および第2絶縁膜8から露出している。
また、支持基板4の上方には、可動デバイス部5の可動体としてダイヤフラム9が設けられている。ダイヤフラム9は、たとえば、不純物のドープにより導電性が付与されたポリシリコンからなる。ダイヤフラム9は、メイン部10および周辺部11を一体的に有している。
【0053】
メイン部10は、平面視円形状をなし、貫通孔6および貫通孔周辺部に対向して、貫通孔周辺部から浮いた状態に配置されている。メイン部10の下面(貫通孔周辺部との対向面)には、メイン部10と貫通孔周縁部との密着を防止するための複数の突起状の下ストッパ12が形成されている。
周辺部11は、メイン部10の周縁から支持基板4の表面(デバイス面)に沿う方向(側方)に延びている。周辺部11は、その先端部が第1絶縁膜7と第2絶縁膜8との間に進入し、第1絶縁膜7および第2絶縁膜8に片持ち支持されている。そして、周辺部11によりメイン部10が支持されることにより、ダイヤフラム9は、支持状態で、支持基板4の表面と対向する方向に振動可能とされている。
【0054】
ダイヤフラム9の上方には、バックプレート13が設けられている。バックプレート13は、ダイヤフラム9のメイン部10よりも小径な平面視円形状の外形を有し、メイン部10に対して空隙を挟んで対向している。バックプレート13は、たとえば、不純物のドープにより導電性が付与されたポリシリコンからなる。
可動デバイス部5の最表面は、第3絶縁膜14により被覆されている。第3絶縁膜14は、第1絶縁膜7およびバックプレート13の上面を被覆するとともに、ダイヤフラム9の側方をメイン部10の周縁と間隔を有して取り囲むように形成され、可動デバイス部5の外形を形成している。これにより、支持基板4の表面側(デバイス面側)には、平面視円形状の第3絶縁膜14により区画される空間15が形成されている。この空間15内には、ダイヤフラム9のメイン部10が支持基板4および第3絶縁膜14と非接触な状態で配置されている。
【0055】
バックプレート13および第3絶縁膜14には、これらを連続して貫通する多数の微小な孔16が形成されている。一部の孔16には、第3絶縁膜14が入り込んでおり、第3絶縁膜14の孔16に入り込んだ各部分には、バックプレート13の下面(ダイヤフラム9との対向面)よりも下方に突出する突起状の上ストッパ17が形成されている。上ストッパ17が形成されていることにより、ダイヤフラム9の振動時に、ダイヤフラム9がバックプレート13と接触することが阻止される。
【0056】
また、第3絶縁膜14には、バックプレート13の周囲に、複数の連通孔18が円形状に整列して形成されている。
回路チップ3は、可動デバイス部5からの音声信号を電気信号に変換処理する回路基板19を備えている。
回路基板19は、シリコンからなり、平面視で支持基板4とほぼ同じ大きさの四角形状に形成されている。回路基板19の上面(可動デバイス部5との対向面とは反対側の面)には、機能素子(図示せず)が作り込まれている。機能素子は、可動デバイス部5からの音声信号を電気信号に変換処理する電子回路の一部をなしている。
【0057】
また、回路基板19の上面には、複数の電極パッド20が回路基板19の外周縁に沿って、平面視矩形環状に並べて配置されている。互いに隣り合う電極パッド20の間には、それぞれ適当な間隔が空けられている。また、電極パッド20は、機能素子(図示せず)と電気的に接続されている。
回路基板19の下面(可動デバイス部5との対向面)には、ポリイミドからなる応力緩和層21が下面全域に形成されている。
【0058】
そして、デバイスチップ1において、マイクチップ2と回路チップ3との間には、接合材22が介在されている。
接合材22は、可動デバイス部5の外周よりも大きい四角環状の壁をなして可動デバイス部5を取り囲み、マイクチップ2側のマイク側接合部23と、回路チップ3側の回路側接合部24とを備えている。
【0059】
マイク側接合部23は、支持基板4の表面(デバイス面)の周縁に沿った四角環壁状に形成されている。マイク側接合部23は、たとえば、Snと共晶反応可能な材料であって、Snよりも高い融点を有するAu(融点:1064.4℃)、Cu(融点:1083.4℃)などの金属からなる。また、マイク側接合部23は、支持基板4の厚さ方向における厚さが、たとえば、Auの場合に1〜10μmであり、Cuの場合に1〜10μmである。
【0060】
回路側接合部24は、回路基板19の下面(可動デバイス部5との対向面)に形成された応力緩和層21上において、回路基板19の周縁に沿った四角環壁状に形成されている。回路側接合部24は、たとえば、マイク側接合部23と同様の金属からなる。また、回路側接合部24は、支持基板4の厚さ方向における厚さが、たとえば、Auの場合に1〜10μmであり、Cuの場合に1〜10μmである。
【0061】
また、マイク側接合部23および回路側接合部24の総厚さは、たとえば、5〜10μmである。
そして、マイク側接合部23および回路側接合部24の少なくとも一方の頂面にSn材料(たとえば、厚さ1〜3μm)を塗布し、これら接合部を突き合わせた状態で、たとえば、280〜300℃の熱を加える。これにより、Sn材料とマイク側接合部23および回路側接合部24の材料とが共晶反応して、SnおよびSnと共晶反応可能な金属を含む材料からなる接合材22が形成される。
【0062】
これにより、デバイスチップ1には、支持基板4、回路基板19および接合材22により区画される閉空間25が形成される。この閉空間25内には、可動デバイス部5が回路基板19および接合材22と非接触な状態で配置されている。
図2は、本発明の第1の実施形態に係るシリコンマイクの模式的な断面図である。
図2において、
図1に示す各部に対応する部分には、
図1と同一の参照符号を付している(一部省略)。
【0063】
このシリコンマイクは、
図1に示すデバイスチップ1と、デバイスチップ1を支持するためのダイパッド26と、デバイスチップ1と電気的に接続される複数のリード27と、樹脂パッケージ28とを備えている。
ダイパッド26は、金属薄板からなり、平面視四角形状に形成されている。ダイパッド26の中央部には、音圧をシリコンマイク内に取り込むための音孔30が形成されている。音孔30は、支持基板4の裏面側における貫通孔6の開口径とほぼ同じ径を有している。
【0064】
複数のリード27は、ダイパッド26と同じ金属薄板からなり、ダイパッド26を挟む両側にそれぞれ複数設けられている。各リード27は、ダイパッド26の各側において、互いに適当な間隔を空けて整列して配置されている。
そして、デバイスチップ1は、平面視で貫通孔6の裏面側外周と音孔30の外周とがほぼ合致するように位置合わせされ、回路チップ3を上方に向けた姿勢でダイパッド26上にダイボンディングされている。回路チップ3の各電極パッド20は、ボンディングワイヤ29によってリード27に接続されている。
【0065】
樹脂パッケージ28は、溶融樹脂材料(たとえば、ポリイミド)からなる略直方体の封入部材であり、その内部にデバイスチップ1、ダイパッド26、リード27およびボンディングワイヤ29を封入して。樹脂パッケージ28における実装基板(図示せず)への実装面(下面)には、ダイパッド26の下面およびリード27の下面が露出している。これらの下面は、実装基板との電気接続のための外部端子とされる。
【0066】
このような樹脂パッケージ28は、デバイスチップ1をダイパッド26にダイボンディングし、ボンディングワイヤ29によるデバイスチップ1とリード27との接続後、ダイパッド26上に溶融樹脂材料を流し込み、その溶融樹脂材料を硬化させることにより形成される。
そして、このシリコンマイクにおいて、デバイスチップ1のダイヤフラム9およびバックプレート13は、それらを対向電極とするコンデンサを形成している。このコンデンサ(ダイヤフラム9およびバックプレート13間)には、所定の電圧が印加される。
【0067】
その状態で、音孔30から音圧(音波)が入力されると、その音圧が貫通孔6を介して可動デバイス部5に伝えられる。可動デバイス部5では、音圧の作用によりダイヤフラム9が振動すると、コンデンサの静電容量が変化し、この静電容量の変化によるダイヤフラム9およびバックプレート13間の電圧変動が音声信号として出力される。
そして、出力された音声信号を回路チップ3で処理することにより、ダイヤフラム9(シリコンマイク)に作用した音圧(音波)を電気信号として検出し、電極パッド20から取り出すことができる。
【0068】
このシリコンマイクによれば、四角形状の支持基板4により支持される可動デバイス部5には、回路基板19が対向配置されている。支持基板4の上方は、四角環状の壁をなして可動デバイス部5を取り囲む接合材22により支持基板4と回路基板19とが接合されることにより、閉塞されている。これにより、マイクチップ2および回路チップ3がチップ・オン・チップ(フェイス・ツー・フェイス)で接続されている。デバイスチップ1には、支持基板4、回路基板19および接合材22により区画される閉空間25(キャビティ)が形成される。そして、可動デバイス部5がこの閉空間25に配置されるので、可動デバイス部5の可動体(ダイヤフラム9)の可動状態を維持することができる。
【0069】
また、接合材22により、支持基板4と回路基板19との間を介しての閉空間25内外の連通を遮断することができる。そのため、閉空間25内への封止用樹脂の進入を防止することができる。したがって、可動デバイス部5の可動体(ダイヤフラム9)の可動状態を維持したまま、デバイスチップ1を封止用樹脂で封入することができる。さらに、デバイスチップ1が、マイクチップ2および回路チップ3の積層によるチップ・オン・チップ構造を有するので、シリコンマイクにおけるマイク部分(マイクチップ2)および回路部分(回路チップ3)を1チップで封入することができる。
【0070】
そのため、セラミックスパッケージを用いることなく樹脂パッケージ28により、マイクチップ2および回路チップ3が1パッケージング化されたシリコンマイクを作製することができる。その結果、シリコンマイクのパッケージコストを低減することができる。
また、接合材22の形成に際しては、まず、Snと共晶反応可能な金属材料(Au、Cuなど)からなるマイク側接合部23および回路側接合部24が、支持基板4および回路基板19にそれぞれ立設される。次いで、マイク側接合部23および回路側接合部24の少なくとも一方の頂面にSn材料が塗布される。そして、これら接合部を突き合わせた状態で上記接合部が熱処理されることにより、Sn材料とマイク側接合部23および回路側接合部24とが共晶反応して接合材22が形成される。
【0071】
このように、接合材22が、比較的融点の低いSn(融点:231.97℃)の共晶反応により形成することができるので、簡易な工程で確実に支持基板4と回路基板19とを接合することができる。
また、回路基板19の下面(可動デバイス部5との対向面)には、ポリイミドからなる応力緩和層21が接合材22(回路側接合部24)の下地層として形成されている。そのため、たとえば、回路基板19が温度変化により変形(膨張、収縮など)しても、接合材22に作用する応力を応力緩和層21で緩和することができる。その結果、接合材22におけるクラック(亀裂)の発生を抑制することができる。
【0072】
図3(a)は、本発明の第2の実施形態に係る加速度センサの要部の模式的な平面図である。
図3(b)は、デバイスチップを
図3(a)に示す切断線b−bで切断したときの模式的な断面図である。
加速度センサは、デバイスチップ31を備えている。
デバイスチップ31は、センサチップ32と、センサチップ32の厚さ方向一方側に対向配置された回路チップ33と、センサチップ32の厚さ方向他方側に対向配置されたカバーチップ34とを備え、これらチップが重ね合わせて接合された、チップ・オン・チップ構造を有している。
【0073】
センサチップ32は、MEMS技術により製造されるチップであって、窒化シリコンからなるフレーム35と、フレーム35に支持され、可動体の揺振動作により変化する抵抗率の変化量を信号として出力する可動デバイス部36とを備えている。
フレーム35は、平面視四角環状(枠状)をなしており、1〜10μmの厚さを有している。
【0074】
可動デバイス部36は、ビーム37と、錘38と、抵抗導体39と、配線40とを備えている。
可動デバイス部36のビーム37および錘38は、有機材料(たとえば、ポリイミド)からなり、一体的に形成されている。
ビーム37は、フレーム35に支持される平面視四角環状の支持部41と、この支持部41に支持される平面視十字状のビーム本体部42とを一体的に備えている。
【0075】
ビーム本体部42は、各先端が支持部41の各辺の中央に接続されている。これにより、ビーム37は、支持部41とビーム本体部42とによって区画される4つの矩形状の開口部を有している。
また、ビーム37は、1〜10μmの厚さを有し、このような厚さに形成されることにより、ビーム本体部42の捩れ変形および撓み変形が可能にされている。
【0076】
錘38は、ビーム37が有する各開口部に配置されている。錘38は、その上面(一方面)がビーム37の上面(一方面)と面一をなし、1〜10μmの厚さ(高さ)を有する略四角柱状に形成されている。錘38の側面は、開口部の周縁に対して隙間を空けて平行をなしている。そして、錘38は、その側面により形成される4つの角部のうちの1つがビーム37のビーム本体部42の中央部に接続されている。これにより、錘38は、カバー用基板54(後述)およびフレーム35と非接触な状態で、ビーム37(ビーム本体部42)に支持されている。
【0077】
ビーム37上には、Ti(チタン)層/TiN(窒化チタン)層/Al(アルミニウム)−Cu(銅)合金層の積層体43が積層されている。この積層体43は、各端部が支持部41上に配置され、ビーム本体部42に沿って延び、全体として平面視十字状に形成されている。最下層のTi層およびその上層のTiN層は、連続的に形成されている。一方、最上層のAl−Cu合金層は、たとえば、12箇所で途切れることにより断続的に形成されている。これにより、Ti層およびTiN層がAl−Cu合金層の途切れた部分(除去されている部分)で部分的に露出し、この露出した部分が抵抗導体39をなし、Al−Cu合金層が抵抗導体39に接続された配線40をなしている。
【0078】
そして、センサチップ32の最表面は、たとえば、ポリイミドからなる保護膜44により覆われている。この保護膜44には、平面視十字状に沿って形成される配線40の各端部を接続用のパッドとして露出させるパッド開口45が形成されている。また、保護膜44には、ビーム37と各錘38との間の隙間に連通する溝46が形成されている。
回路チップ33は、可動デバイス部36からの信号を電気信号に変換処理する回路基板47を備えている。
【0079】
回路基板47は、シリコンからなり、平面視でセンサチップ32のフレーム35とほぼ同じ大きさの四角形状に形成されている。回路基板47には、その下面(可動デバイス部36との対向面)の中央部が窪むことにより、凹部48が形成されている。
凹部48の外形は、平面視で可動デバイス部36の可動体(ビーム本体部42および錘38)は、フレーム35により囲まれる領域に配置されている。
とほぼ同じ形をしている。そして、この凹部48と可動デバイス部36とが平面視でほぼ合致するように対向させた状態で、センサチップ32と回路チップ33とが接続されることにより、センサチップ32の上側(フレーム35の上側)は閉塞されている。
【0080】
また、回路基板47の上面(可動デバイス部36との対向面とは反対側の面)には、機能素子(図示せず)が作り込まれている。機能素子は、可動デバイス部36からの信号を電気信号に変換処理する電子回路の一部をなしている。
また、回路基板47の上面には、電極パッド49が設けられている。電極パッド49は、センサチップ32のパッド(配線40)と対向するように配置され、回路基板47内の電子回路を介して、パッド(配線40)と電気的に接続されている。
【0081】
カバーチップ34は、センサチップ32の可動デバイス部36をカバーするためのカバー用基板54を備えている。
カバー用基板54は、不純物導入やエッチングなどの加工処理が施されていない未処理シリコンからなり、平面視でセンサチップ32のフレーム35とほぼ同じ大きさの四角形状に形成されている。
【0082】
デバイスチップ31において、センサチップ32とカバーチップ34との間には、接合材51が介在されている。
接合材51は、平面視で可動デバイス部36の可動体である、ビーム本体部42および錘38を取り囲む四角環状の壁をなし、センサチップ32側のセンサ側接合部52と、カバーチップ34側のカバー側接合部53とを備えている。
【0083】
センサ側接合部52は、フレーム35の下面(カバー用基板54との対向面)の内周縁に沿った四角環壁状に形成されている。センサ側接合部52は、たとえば、Snと共晶反応可能な材料であって、Snよりも高い融点を有するAu(融点:1064.4℃)、Cu(融点:1083.4℃)などの金属からなる。また、センサ側接合部52は、フレーム35の厚さ方向における厚さが、たとえば、Auの場合に1〜10μmであり、Cuの場合に1〜10μmである。
【0084】
カバー側接合部53は、カバー用基板54の上面(可動デバイス部36との対向面)の周縁に沿った四角環壁状に形成されている。カバー側接合部53は、たとえば、センサ側接合部52と同様の金属からなる。また、カバー側接合部53は、フレーム35の厚さ方向における厚さが、たとえば、Auの場合に1〜10μmであり、Cuの場合に1〜10μmである。
【0085】
また、センサ側接合部52およびカバー側接合部53の総厚さは、たとえば、5〜10μmである。
そして、センサ側接合部52およびカバー側接合部53の少なくとも一方の頂面にSn材料(たとえば、厚さ1〜3μm)を塗布し、これらを突き合わせた状態で、たとえば、280〜300℃の熱を加える。これにより、Sn材料とセンサ側接合部52およびカバー側接合部53の材料とが共晶反応して、SnおよびSnと共晶反応可能な金属を含む材料からなる接合材51が形成される。
【0086】
これにより、センサチップ32の下側(フレーム35の下側)は閉塞されている。そして、デバイスチップ31には、上述した回路チップ33、フレーム35、カバー用基板54および接合材51により区画される閉空間55が形成される。この閉空間55内には、可動デバイス部36がフレーム35、回路基板47、カバー用基板54および接合材51と非接触な状態で配置されている。
【0087】
図4は、本発明の第2の実施形態に係る加速度センサの模式的な断面図である。
図4において、
図3に示す各部に対応する部分には、
図3と同一の参照符号を付している(一部省略)。
この加速度センサは、
図3に示すデバイスチップ31と、デバイスチップ31を支持するためのダイパッド56と、デバイスチップ31と電気的に接続される複数のリード57と、樹脂パッケージ58とを備えている。
【0088】
ダイパッド56は、金属薄板からなり、平面視四角形状に形成されている。
複数のリード57は、ダイパッド56と同じ金属薄板からなり、ダイパッド56を挟む両側にそれぞれ複数設けられている。各リード57は、ダイパッド56の各側において、互いに適当な間隔を空けて整列して配置されている。
そして、デバイスチップ31は、回路チップ33を上方に向けた姿勢でダイパッド56上にダイボンディングされている。回路チップ33の各電極パッド49は、ボンディングワイヤ59によってリード57に接続されている。
【0089】
樹脂パッケージ58は、溶融樹脂材料(たとえば、ポリイミド)からなる略直方体の封入部材であり、その内部にデバイスチップ31、ダイパッド56、リード57およびボンディングワイヤ59を封入している。樹脂パッケージ58における実装基板(図示せず)への実装面(下面)には、ダイパッド56の下面およびリード57の下面が露出している。これらの下面は、実装基板との電気接続のための外部端子とされる。
【0090】
このような樹脂パッケージ58は、デバイスチップ31をダイパッド56にダイボンディングし、ボンディングワイヤ59によるデバイスチップ31とリード57との接続後、ダイパッド56上に溶融樹脂材料を流し込み、その溶融樹脂材料を硬化させることにより形成される。
そして、この加速度センサに加速度が作用し、錘38が振れると、ビーム37のビーム本体部42に歪み(捩れおよび/または撓み)が生じる。このビーム本体部42の歪みにより、ビーム本体部42上の抵抗導体39に伸び縮みが生じ、抵抗導体39の抵抗値が変化する。抵抗値の変化量は、パッド(配線40)を介して信号として出力される。
【0091】
そして、出力された信号を回路チップ33で処理することにより、錘38(加速度センサ)に作用した加速度の方向(3軸方向)および大きさを電気信号として検出し、電極パッド49から取り出すことができる。
この加速度センサによれば、四角環状のフレーム35により、その環状内の領域において支持される可動デバイス部36(ビーム本体部42および錘38)には、回路基板47およびカバー用基板54がその一方側および他方側それぞれに対向配置されている。
【0092】
フレーム35の上側は、回路基板47の凹部48と可動デバイス部36とを対向させた状態でセンサチップ32と回路チップ33とが接続されることにより、閉塞されている。
一方、フレーム35の下側は、四角環状の壁をなして平面視で可動デバイス部36を包含する接合材51によりフレーム35とカバー用基板54とが接合されることにより、閉塞されている。これにより、デバイスチップ31は、カバーチップ34、センサチップ32および回路チップ33がチップ・オン・チップ(フェイス・ツー・フェイス)で接続されている。デバイスチップ31には、回路チップ33、フレーム35、カバー用基板54および接合材51により区画される閉空間55(キャビティ)が形成される。そして、可動デバイス部36(ビーム本体部42および錘38)がこの閉空間55に配置されるので、可動デバイス部36の可動体(錘38およびビーム本体部42)の可動状態を維持することができる。
【0093】
また、接合材51により、フレーム35とカバー用基板54との間を介しての閉空間55内外の連通を遮断することができる。そのため、閉空間55内への封止用樹脂の進入を防止することができる。したがって、可動デバイス部36の可動体(錘38およびビーム本体部42)の可動状態を維持したまま、デバイスチップ31を封止用樹脂で封入することができる。さらに、デバイスチップ31が、カバーチップ34、センサチップ32および回路チップ33の積層によるチップ・オン・チップ構造を有するので、加速度センサにおけるセンサ部分(センサチップ32)および回路部分(回路チップ33)を1チップで封入することができる。
【0094】
そのため、セラミックスパッケージを用いることなく樹脂パッケージ58により、カバーチップ34、センサチップ32および回路チップ33が1パッケージング化された加速度センサを作製することができる。その結果、加速度センサのパッケージコストを低減することができる。
さらに、フレーム35の下側を閉塞するカバー用基板54が、不純物導入やエッチングなどの加工処理が施されていない安価な未処理シリコンからなるため、加速度センサのパッケージコストを一層低減することができる。
【0095】
また、接合材51の形成に際しては、まず、Snと共晶反応可能な金属材料(Au、Cuなど)からなるセンサ側接合部52およびカバー側接合部53が、フレーム35およびカバー用基板54にそれぞれ立設される。次いで、センサ側接合部52およびカバー側接合部53の少なくとも一方の頂面にSn材料が塗布される。そして、これら接合部を突き合わせた状態で上記接合部が熱処理されることにより、Sn材料とセンサ側接合部52およびカバー側接合部53とが共晶反応して接合材51が形成される。
【0096】
このように、接合材51が、比較的融点の低いSn(融点:231.97℃)の共晶反応により形成することができるので、簡易な工程で確実にフレーム35とカバー用基板54とを接合することができる。
図5(a)は、本発明の第3の実施形態に係る加速度センサの要部の模式的な平面図である。
図5(b)は、デバイスチップを
図5(a)に示す切断線b−bで切断したときの模式的な断面図である。
【0097】
加速度センサは、デバイスチップ61を備えている。
デバイスチップ61は、センサチップ62と、センサチップ62と対向配置されたカバーチップ64とを備えている。
センサチップ62は、MEMS技術により製造されるチップであって、窒化シリコンからなるフレーム65と、フレーム65に支持され、可動体の揺振動作により変化する抵抗率の変化量を信号として出力する可動デバイス部66とを備えている。
【0098】
フレーム65は、センサチップ62とカバーチップ64との対向方向から見た平面視において、四角環状(枠状)をなしており、1〜10μmの厚さを有している。
可動デバイス部66は、ビーム67と、錘68と、抵抗導体69と、配線70とを備えている。
可動デバイス部66のビーム67および錘68は、有機材料(たとえば、ポリイミド)からなり、一体的に形成されている。
【0099】
ビーム67は、フレーム65に支持される平面視四角環状の支持部71と、この支持部71に支持される平面視十字状のビーム本体部72とを一体的に備えている。
ビーム本体部72は、各先端が支持部71の各辺の中央に接続されている。これにより、ビーム67は、支持部71とビーム本体部72とによって区画される4つの矩形状の開口部を有している。
【0100】
また、ビーム67は、1〜10μmの厚さを有し、このような厚さに形成されることにより、ビーム本体部72の捩れ変形および撓み変形が可能にされている。
錘68は、ビーム67が有する各開口部に配置されている。錘68は、その上面(一方面)がビーム67の上面77(一方面)と面一をなし、1〜10μmの厚さ(高さ)を有する略四角柱状に形成されている。錘68の側面は、開口部の周縁に対して隙間を空けて平行をなしている。そして、錘68は、その側面により形成される4つの角部のうちの1つがビーム67のビーム本体部72の中央部に接続されている。これにより、錘68は、カバー用基板83(後述)およびフレーム65と非接触な状態で、ビーム67(ビーム本体部72)に支持されている。
【0101】
ビーム67の上面77には、Ti(チタン)層/TiN(窒化チタン)層/Al(アルミニウム)−Cu(銅)合金層の積層体73が積層されている。この積層体73は、各端部が支持部71上に配置され、ビーム本体部72に沿って延び、全体として平面視十字状に形成されている。最下層のTi層およびその上層のTiN層は、連続的に形成されている。一方、最上層のAl−Cu合金層は、たとえば、12箇所で途切れることにより断続的に形成されている。これにより、Ti層およびTiN層がAl−Cu合金層の途切れた部分(除去されている部分)で部分的に露出し、この露出した部分が抵抗導体69(ピエゾ抵抗素子)をなし、Al−Cu合金層が抵抗導体69に接続された配線70をなしている。
【0102】
そして、センサチップ62の最表面は、たとえば、ポリイミドからなる保護膜74により覆われている。この保護膜74には、平面視十字状に沿って形成される配線70の各端部を、フレーム65上において接続用のパッド78として露出させるパッド開口75が形成されている。
パッド78には、たとえば、半田からなる略球状のバンプ85が設けられている。バンプ85は、パッド78の表面全域を覆うように接着され、パッド78と電気的に接続されている。
【0103】
また、保護膜74には、ビーム67と各錘68との間の隙間に連通する溝76が形成されている。
カバーチップ64は、センサチップ62の可動デバイス部66をカバーするためのカバー用基板83を備えている。
カバー用基板83は、不純物導入やエッチングなどの加工処理が施されていない未処理シリコンからなり、平面視でセンサチップ62のフレーム65とほぼ同じ大きさの四角形状に形成されている。
【0104】
デバイスチップ61において、センサチップ62とカバーチップ64との間には、接合材80が介在されている。
接合材80は、平面視で可動デバイス部66の可動体である、ビーム本体部72および錘68を取り囲む四角環状の壁をなし、センサチップ62側のセンサ側接合部81と、カバーチップ64側のカバー側接合部82とを備えている。
【0105】
センサ側接合部81は、フレーム65の下面(カバー用基板83との対向面)の内周縁に沿った四角環壁状に形成されている。センサ側接合部81は、たとえば、Snと共晶反応可能な材料であって、Snよりも高い融点を有するAu(融点:1064.4℃)、Cu(融点:1083.4℃)などの金属からなる。また、センサ側接合部81は、フレーム65の厚さ方向における厚さが、たとえば、Auの場合に1〜10μmであり、Cuの場合に1〜10μmである。
【0106】
カバー側接合部82は、カバー用基板83の上面(可動デバイス部66との対向面)の周縁に沿った四角環壁状に形成されている。カバー側接合部82は、たとえば、センサ側接合部81と同様の金属からなる。また、カバー側接合部82は、フレーム65の厚さ方向における厚さが、たとえば、Auの場合に1〜10μmであり、Cuの場合に1〜10μmである。
【0107】
また、センサ側接合部81およびカバー側接合部82の総厚さは、たとえば、5〜10μmである。
そして、センサ側接合部81およびカバー側接合部82の少なくとも一方の頂面にSn材料(たとえば、厚さ0.1〜2μm)を塗布し、これらを突き合わせた状態で、たとえば、280〜300℃の熱を加える。これにより、Sn材料とセンサ側接合部81およびカバー側接合部82の材料とが共晶反応して、SnおよびSnと共晶反応可能な金属を含む材料からなる接合材80が形成される。
【0108】
これにより、センサチップ62の下側(フレーム65の下側)は閉塞される。そして、デバイスチップ61には、フレーム65、カバー用基板83および接合材80により区画される空間84が形成される。この空間84内には、可動デバイス部66がフレーム65、カバー用基板83および接合材80と非接触な状態で配置されている。
図6は、本発明の第3の実施形態に係る加速度センサの模式的な断面図である。
図6において、
図5に示す各部に対応する部分には、
図5と同一の参照符号を付している(一部省略)。
【0109】
この加速度センサは、パッケージ基板上にデバイスチップがフリップチップボンディングされた加速度センサであって、シリコンからなるパッケージ基板86と、パッケージ基板86にフリップチップボンディングされた
図5に示すデバイスチップ61と、樹脂パッケージ87とを備えている。
パッケージ基板86は、平面視四角形状に形成されている。パッケージ基板86の上面(デバイスチップ61がボンディングされる面)には、センサ用パッド88が設けられている。
【0110】
センサ用パッド88は、パッケージ基板86の各辺に沿う略中央部に1つずつ、センサチップ62のバンプ85と同数(4つ)設けられており、デバイスチップ61がボンディングされた状態において、各センサ用パッド88に対してバンプ85が1つずつ当接するように配置される。
また、パッケージ基板86の下面には、各センサ用パッド88と対向する位置に、たとえば、半田からなる外部端子89が設けられている。外部端子89は、略球状に形成されている。
【0111】
また、パッケージ基板86には、センサ用パッド88と外部端子89とを接続する接続ビア94が、パッケージ基板86を厚さ方向に貫通して形成されている。
そして、デバイスチップ61は、センサチップ62を下方に向けた姿勢(デバイスチップ61を裏返した姿勢)で、センサ用パッド88に対してバンプ85を突き合わせた状態でパッケージ基板86上にフリップチップボンディングされている。これにより、センサチップ62のバンプ85とパッケージ基板86の外部端子89とが、接続ビア94を介して電気的に接続される。
【0112】
加速度センサにおいて、デバイスチップ61とパッケージ基板86との間には、バンプ85と同じ材料(たとえば、半田)からなる接合材90が介在されている。
接合材90は、バンプ85を取り囲む四角環壁状に形成され、センサチップ62(保護膜74)およびパッケージ基板86に当接している。これにより、フレーム65のパッケージ基板86側が閉塞されている。そして、加速度センサには、カバー用基板83、接合材80、フレーム65、接合材90およびパッケージ基板86により区画される閉空間93が形成される。
【0113】
樹脂パッケージ87は、溶融樹脂材料(たとえば、ポリイミド)からなる略直方体の封入部材であり、その内部にデバイスチップ61を封入している。
このような樹脂パッケージ87は、デバイスチップ61をパッケージ基板86にフリップチップボンディングした後、パッケージ基板86上に溶融樹脂材料を流し込み、その溶融樹脂材料を硬化させることにより形成される。
【0114】
なお、
図6では示されていないが、パッケージ基板86上には、可動デバイス部66からの信号を電気信号に変換処理するための回路チップがデバイスチップ61に隣接してボンディングされ、樹脂パッケージ87により封止されている。
そして、この加速度センサに加速度が作用し、錘68が振れると、ビーム67のビーム本体部72に歪み(捩れおよび/または撓み)が生じる。このビーム本体部72の歪みにより、ビーム本体部72上の抵抗導体69に伸び縮みが生じ、抵抗導体69の抵抗値が変化する。抵抗値の変化量は、パッド78を介して信号として出力される。
【0115】
そして、出力された信号を回路チップ(図示せず)で処理することにより、錘68(加速度センサ)に作用した加速度の方向(3軸方向)および大きさを電気信号として検出することができる。検出された電気信号は、バンプ85および接続ビア94を介して、外部端子89から取り出すことができる。
この加速度センサによれば、四角環状のフレーム65により、その環状内の領域において支持される可動デバイス部66には、カバー用基板83が対向配置されている。
【0116】
フレーム65のカバー用基板83との対向側は、四角環状の壁をなし、平面視で可動デバイス部66の可動体(ビーム本体部72および錘68)を取り囲む接合材80によりフレーム65とカバー用基板83とが接合されることにより、閉塞されている。これにより、デバイスチップ61は、カバーチップ64およびセンサチップ62がチップ・オン・チップ(フェイス・ツー・フェイス)で接続されている。デバイスチップ61には、フレーム65、カバー用基板83および接合材80により区画される空間84(キャビティ)が形成される。そして、可動デバイス部66がこの空間84に配置されるので、可動デバイス部66の可動体(錘68およびビーム本体部72)の可動状態を維持することができる。
【0117】
また、バンプ85が、パッド78上に設けられ、カバー用基板83とフレーム65との対向方向外側に突出しているため、バンプ85とセンサ用パッド88とを位置合わせして接合することにより、デバイスチップ61をパッケージ基板86に対してフリップチップボンディングすることができる。
そして、センサチップ62とパッケージ基板86との間にバンプ85を取り囲む接合材90が形成されることにより、フレーム65のパッケージ基板86との対向側が閉塞される。
【0118】
これにより、加速度センサには、カバー用基板83、接合材80、フレーム65、接合材90およびパッケージ基板86により区画され、その内外の連通が遮断された閉空間93が形成される。閉空間93内への封止用樹脂の進入を防止することができるので、可動デバイス部66の可動体(錘68およびビーム本体部72)の可動状態を維持したまま、パッケージ基板86にフリップチップボンディングされたデバイスチップ61を封止用樹脂で封入することができる。
【0119】
そのため、セラミックスパッケージを用いることなく樹脂パッケージ87により、加速度センサを作製することができる。その結果、加速度センサのパッケージコストを低減することができる。また、パッケージ基板86へのボンディング形態がフリップチップボンディングであるため、パッケージサイズを小さくすることができる。
さらに、フレーム65の下側を閉塞するカバー用基板83が、不純物導入やエッチングなどの加工処理が施されていない安価な未処理シリコンからなるため、加速度センサのパッケージコストを一層低減することができる。
【0120】
また、接合材80の形成に際しては、まず、Snと共晶反応可能な金属材料(Au、Cuなど)からなるセンサ側接合部81およびカバー側接合部82が、フレーム65およびカバー用基板83にそれぞれ立設される。次いで、センサ側接合部81およびカバー側接合部82の少なくとも一方の頂面にSn材料が塗布される。そして、これら接合部を突き合わせた状態で上記接合部が熱処理されることにより、Sn材料とセンサ側接合部81およびカバー側接合部82の材料とが共晶反応して接合材80が形成される。
【0121】
このように、接合材80が、比較的融点の低いSn(融点:231.97℃)の共晶反応により形成することができるので、簡易な工程で確実にフレーム65とカバー用基板83とを接合することができる。
また、バンプ85と接合材90とが同じ材料からなるので、これらを同じ工程で形成することができ、加速度センサの製造工程を簡易にすることができる。
【0122】
さらに、パッケージ基板86が可動デバイス部66と対向しているので、パッケージ基板86を、錘68の揺れ止めとして利用することができる。
図7は、本発明の第4の実施形態に係るシリコンマイクの要部の模式的な断面図である。
シリコンマイクは、デバイスチップ101を備えている。
【0123】
デバイスチップ101は、マイクチップ102と、マイクチップ102に対向配置されたカバー用基板103とを備えている。
マイクチップ102は、MEMS技術により製造されるチップであって、シリコンからなる支持基板104と、支持基板104に支持され、可動体の振動動作により生じる音声信号を出力する可動デバイス部105とを備えている。
【0124】
支持基板104は、平面視四角形状に形成されている。支持基板104の中央部には、表面側ほど窄まる(裏面側ほど広がる)断面台形状の貫通孔106が形成されている。
可動デバイス部105は、支持基板104の表面側に形成されている。
可動デバイス部105において、支持基板104上には、第1絶縁膜107が積層されている。第1絶縁膜107は、たとえば、酸化シリコンからなる。
【0125】
第1絶縁膜107上には、第2絶縁膜108が積層されている。第2絶縁膜108は、たとえば、PSG(Phospho-Silicate-Glass:リンシリケートガラス)からなる。
第1絶縁膜107および第2絶縁膜108は、貫通孔106および支持基板104の表面(可動デバイス部105が形成されるデバイス面)における貫通孔106の周囲の部分(以下、この部分を「貫通孔周辺部」という。)上から除去されている。これにより、貫通孔周辺部は、第1絶縁膜107および第2絶縁膜108から露出している。
【0126】
また、支持基板104の上方には、可動デバイス部105の可動体としてダイヤフラム109が設けられている。ダイヤフラム109は、たとえば、不純物のドープにより導電性が付与されたポリシリコンからなる。ダイヤフラム109は、メイン部110および周辺部111を一体的に有している。
メイン部110は、平面視円形状をなし、貫通孔106および貫通孔周辺部に対向して、貫通孔周辺部から浮いた状態に配置されている。メイン部110の下面(貫通孔周辺部との対向面)には、メイン部110と貫通孔周縁部との密着を防止するための複数の突起状の下ストッパ112が形成されている。
【0127】
周辺部111は、メイン部110の周縁から支持基板104の表面(デバイス面)に沿う方向(側方)に延びている。周辺部111は、その先端部が第1絶縁膜107と第2絶縁膜108との間に進入し、第1絶縁膜107および第2絶縁膜108に片持ち支持されている。そして、周辺部111によりメイン部110が支持されることにより、ダイヤフラム109は、支持状態で、支持基板104の表面と対向する方向に振動可能とされている。
【0128】
ダイヤフラム109の上方には、バックプレート113が設けられている。バックプレート113は、ダイヤフラム109のメイン部110よりも小径な平面視円形状の外形を有し、メイン部110に対して空隙を挟んで対向している。バックプレート113は、たとえば、不純物のドープにより導電性が付与されたポリシリコンからなる。
可動デバイス部105の最表面は、第3絶縁膜114により被覆されている。第3絶縁膜114は、第1絶縁膜107およびバックプレート113の上面を被覆するとともに、ダイヤフラム109の側方をメイン部110の周縁と間隔を有して取り囲むように形成され、可動デバイス部105の外形を形成している。これにより、支持基板104の表面側(デバイス面側)には、平面視円形状の第3絶縁膜114により区画される空間115が形成されている。この空間115内には、ダイヤフラム109のメイン部110が支持基板104および第3絶縁膜114と非接触な状態で配置されている。
【0129】
バックプレート113および第3絶縁膜114には、これらを連続して貫通する多数の微小な孔116が形成されている。一部の孔116には、第3絶縁膜114が入り込んでおり、第3絶縁膜114の孔116に入り込んだ各部分には、バックプレート113の下面(ダイヤフラム109との対向面)よりも下方に突出する突起状の上ストッパ117が形成されている。上ストッパ117が形成されていることにより、ダイヤフラム109の振動時に、ダイヤフラム109がバックプレート113と接触することが阻止される。
【0130】
また、第3絶縁膜114には、バックプレート113の周囲に、複数の連通孔118が円形状に整列して形成されている。
カバー用基板103は、不純物導入が導入されていないノンドープシリコンからなり、平面板119と、外周壁120と、内周壁121とを一体的に備えている。
平面板119は、可動デバイス部105と対向し、支持基板104とほぼ同じ大きさの平面視四角形状に形成されている。
【0131】
外周壁120は、平面板119の周端全周にわたって可動デバイス部105との対向方向に立設されている。外周壁120は、断面視において、平面板119からの高さが相対的に高い高段部122と、高段部122よりも内側に形成され、平面板119からの高さが相対的に低い低段部123とを一体的に備えている。
内周壁121は、外周壁120と間隔を空けた位置において、可動デバイス部105との対向方向に立設されている。内周壁121は、可動デバイス部105の外周よりも大きい四角環状の壁をなし、高段部122と同じ高さを有している。
【0132】
このような外周壁120および内周壁121の形状により、外周壁120と内周壁121との間には、平面視四角環状の溝124が形成されている。
溝124は、断面視において2段階の深さを有している。具体的には、低段部123上に形成され、可動デバイス部105との対向方向における高段部122の下面からの深さが相対的に浅い外周溝126と、外周溝126よりも内側に形成され、高段部122の下面からの深さが相対的に深い内周溝127とを有している。このような、溝124は、たとえば、ディープRIE(Deep Reactive Ion Etching)や、ウェットエッチング、ドライエッチングなどの方法を用いて、段階的にエッチング深さを変えることにより形成される。
【0133】
また、カバー用基板103には、内周壁121に取り囲まれる平面視四角形状の凹部129が形成されている。
デバイスチップ101において、マイクチップ102とカバー用基板103との間には、ポリイミドからなるブロック壁150が介在されている。
ブロック壁150は、支持基板104とカバー用基板103との対向方向から見た平面視において、外周壁120の高段部122よりもやや小さい四角環状に形成され、支持基板104の上面および低段部123の下面に当接している。また、支持基板104の上面に沿う方向におけるブロック壁150の厚さは、当該方向における低段部123の厚さよりも薄い。
【0134】
ブロック壁150よりも外側(可動デバイス部105の反対側)には、ペースト状接合材167が設けられている。
そして、マイクチップ102とカバー用基板103とは、ペースト状接合材167により接合されている。
ペースト状接合材167によりマイクチップ102とカバー用基板103とを接合するには、たとえば、フォトリソグラフィにより、支持基板104の上面に、平面視で可動デバイス部105を取り囲む四角環状のブロック壁150を形成し、支持基板104の上面におけるブロック壁150の外側にペースト状接合材167を滴下する。そして、支持基板104上の可動デバイス部105がカバー用基板103の凹部129内に収容されるように位置合わせをし、ペースト状接合材167を支持基板104および低段部123で挟みこむ。これにより、ペースト状接合材167が支持基板104および低段部123に密着し、マイクチップ102とカバー用基板103とが接合される。
【0135】
デバイスチップ101には、支持基板104、平面板119および内周壁121により区画される閉空間125が形成される。この閉空間125内には、可動デバイス部105が支持基板104、平面板119および内周壁121と非接触な状態で配置されている。
図8は、本発明の第4の実施形態に係るシリコンマイクの模式的な断面図である。
図8において、
図7に示す各部に対応する部分には、
図7と同一の参照符号を付している(一部省略)。
【0136】
このシリコンマイクは、
図7に示すデバイスチップ101と、デバイスチップ101を支持するためのダイパッド169と、デバイスチップ101と電気的に接続される複数のリード168と、樹脂パッケージ128とを備えている。
ダイパッド169は、金属薄板からなり、平面視四角形状に形成されている。ダイパッド169の中央部には、音圧をシリコンマイク内に取り込むための音孔130が形成されている。音孔130は、支持基板104の裏面側における貫通孔106の開口径とほぼ同じ径を有している。
【0137】
複数のリード168は、ダイパッド169と同じ金属薄板からなり、ダイパッド169を挟む両側にそれぞれ複数設けられている。各リード168は、ダイパッド169の各側において、互いに適当な間隔を空けて整列して配置されている。
そして、デバイスチップ101は、平面視で貫通孔106の裏面側外周と音孔130の外周とがほぼ合致するように位置合わせされ、カバー用基板103を上方に向けた姿勢でダイパッド169上にダイボンディングされている。
【0138】
樹脂パッケージ128は、溶融樹脂材料(たとえば、ポリイミド)からなる略直方体の封入部材であり、その内部にデバイスチップ101、ダイパッド169およびリード168が封入されている。樹脂パッケージ128における実装基板(図示せず)への実装面(下面)には、ダイパッド169の下面およびリード168の下面が露出している。これらの下面は、実装基板との電気接続のための外部端子とされる。
【0139】
このような樹脂パッケージ128は、デバイスチップ101をダイパッド169にダイボンディングした後、ダイパッド169上に溶融樹脂材料を流し込み、その溶融樹脂材料を硬化させることにより形成される。
なお、
図8では示されていないが、シリコンマイクでは、マイクチップ102の可動デバイス部105からの音声信号を電気信号に変換処理するための回路チップ(図示せず)がデバイスチップ101とともに、樹脂パッケージ128により封止されている。マイクチップ102は、回路チップ(図示せず)と電気的に接続されている。そして、回路チップ(図示せず)は、ボンディングワイヤ(図示せず)を介してリード168と電気的に接続されている。
【0140】
そして、このシリコンマイクにおいて、デバイスチップ101のダイヤフラム109およびバックプレート113は、それらを対向電極とするコンデンサを形成している。このコンデンサ(ダイヤフラム109およびバックプレート113間)には、所定の電圧が印加される。
その状態で、音孔130から音圧(音波)が入力されると、その音圧が貫通孔106を介して可動デバイス部105に伝えられる。可動デバイス部105では、音圧の作用によりダイヤフラム109が振動すると、コンデンサの静電容量が変化し、この静電容量の変化によるダイヤフラム109およびバックプレート113間の電圧変動が音声信号として出力される。
【0141】
そして、出力された音声信号を回路チップ(図示せず)で処理することにより、ダイヤフラム109(シリコンマイク)に作用した音圧(音波)を電気信号として検出することができる。
このシリコンマイクによれば、四角形状の支持基板104により支持される可動デバイス部105には、カバー用基板103が対向配置されている。支持基板104の上方は、四角環状の壁をなして可動デバイス部105を取り囲む内周壁121および平面板119により、閉塞されている。これにより、デバイスチップ101には、支持基板104、カバー用基板103(平面板119および内周壁121)により区画される閉空間125(キャビティ)が形成される。そして、可動デバイス部105がこの閉空間125に配置されるので、可動デバイス部105の可動体(ダイヤフラム109)の可動状態を維持することができる。
【0142】
また、カバー用基板103により、閉空間125内外の連通を遮断することができる。そのため、閉空間125内への封止用樹脂の進入を防止することができる。したがって、可動デバイス部105の可動体(ダイヤフラム109)の可動状態を維持したまま、デバイスチップ101を封止用樹脂で封入することができる。
そのため、セラミックスパッケージを用いることなく樹脂パッケージ128により、シリコンマイクを作製することができる。その結果、シリコンマイクのパッケージコストを低減することができる。
【0143】
また、ペースト状接合材167よりも可動デバイス部105側において、低段部123および支持基板104に当接するブロック壁150が形成されている。そのため、支持基板104とカバー用基板103との接合時に、可動デバイス部105側へ広がるペースト状接合材167をブロック壁150により塞き止めることができる。そのため、ペースト状接合材167の可動デバイス部105側への広がりを防止でき、可動デバイス部105とペースト状接合材167との接触を防止することができる。その結果、支持基板104およびカバー用基板103の接合後においても、可動デバイス部105の可動状態を確実に維持することができる。
【0144】
しかも、ブロック壁150よりも可動デバイス部105側には、さらに、支持基板104に当接する内周壁121が設けられ、内周壁121とブロック壁150との間に内周溝127が形成されている。そのため、支持基板104とカバー用基板103との接合時に、ペースト状接合材がブロック壁150に乗り上がって可動デバイス部105側に進入しても、そのペースト状接合材を内周溝127へ逃がすとともに、内周壁121により塞き止めることができる。その結果、ペースト状接合材の可動デバイス部105への広がりを確実に防止することができる。
【0145】
さらに、支持基板104の上面に沿う方向におけるブロック壁150の厚さが、当該方向における低段部123の厚さよりも薄いため、支持基板104に対するカバー用基板103の位置合わせが多少ずれていても、ブロック壁150を確実に低段部123に当接させることができる。
図9(a)は、本発明の第5の実施形態に係る加速度センサの要部の平面図である。
図9(b)は、デバイスチップを
図9(a)に示す切断線b−bで切断したときの模式的な断面図である。
【0146】
加速度センサは、デバイスチップ131を備えている。
デバイスチップ131は、センサチップ132と、センサチップ132の厚さ方向一方側に対向配置された回路チップ133と、センサチップ132の厚さ方向他方側に対向配置されたカバー用基板134とを備え、これらチップが重ね合わせて接合された、チップ・オン・チップ構造を有している。
【0147】
センサチップ132は、MEMS技術により製造されるチップであって、窒化シリコンからなるフレーム135と、フレーム135に支持され、可動体の揺振動作により変化する抵抗率の変化量を信号として出力する可動デバイス部136とを備えている。
フレーム135は、平面視四角環状(枠状)をなしており、1〜10μmの厚さを有している。
【0148】
可動デバイス部136は、ビーム137と、錘138と、抵抗導体139と、配線140とを備えている。
可動デバイス部136のビーム137および錘138は、有機材料(たとえば、ポリイミド)からなり、一体的に形成されている。
ビーム137は、フレーム135に支持される平面視四角環状の支持部141と、この支持部141に支持される平面視十字状のビーム本体部142とを一体的に備えている。
【0149】
ビーム本体部142は、各先端が支持部141の各辺の中央に接続されている。これにより、ビーム137は、支持部141とビーム本体部142とによって区画される4つの矩形状の開口部を有している。
また、ビーム137は、1〜10μmの厚さを有し、このような厚さに形成されることにより、ビーム本体部142の捩れ変形および撓み変形が可能にされている。
【0150】
錘138は、ビーム137が有する各開口部に配置されている。錘138は、その上面(一方面)がビーム137の上面(一方面)と面一をなし、1〜10μmの厚さ(高さ)を有する略四角柱状に形成されている。錘138の側面は、開口部の周縁に対して隙間を空けて平行をなしている。そして、錘138は、その側面により形成される4つの角部のうちの1つがビーム137のビーム本体部142の中央部に接続されている。これにより、錘138は、カバー用基板134およびフレーム135と非接触な状態で、ビーム137(ビーム本体部142)に支持されている。
【0151】
ビーム137上には、Ti(チタン)層/TiN(窒化チタン)層/Al(アルミニウム)−Cu(銅)合金層の積層体143が積層されている。この積層体143は、各端部が支持部141上に配置され、ビーム本体部142に沿って延び、全体として平面視十字状に形成されている。最下層のTi層およびその上層のTiN層は、連続的に形成されている。一方、最上層のAl−Cu合金層は、たとえば、12箇所で途切れることにより断続的に形成されている。これにより、Ti層およびTiN層がAl−Cu合金層の途切れた部分(除去されている部分)で部分的に露出し、この露出した部分が抵抗導体139をなし、Al−Cu合金層が抵抗導体139に接続された配線140をなしている。
【0152】
そして、センサチップ132の最表面は、たとえば、ポリイミドからなる保護膜144により覆われている。この保護膜144には、平面視十字状に沿って形成される配線140の各端部を接続用のパッドとして露出させるパッド開口145が形成されている。また、保護膜144には、ビーム137と各錘138との間の隙間に連通する溝146が形成されている。
【0153】
回路チップ133は、可動デバイス部136からの信号を電気信号に変換処理する回路基板147を備えている。
回路基板147は、シリコンからなり、平面視でセンサチップ132のフレーム135とほぼ同じ大きさの四角形状に形成されている。回路基板147には、その下面(可動デバイス部136との対向面)の中央部が窪むことにより、凹部148が形成されている。
【0154】
凹部148の外形は、平面視で可動デバイス部136の可動体(錘138およびビーム本体部142)とほぼ同じ形をしている。そして、この凹部148と可動デバイス部136の可動体とが平面視でほぼ合致するように対向させた状態で、センサチップ132と回路チップ133とが接続されることにより、センサチップ132の上側(フレーム135の上側)は閉塞されている。
【0155】
また、回路基板147の上面(可動デバイス部136との対向面とは反対側の面)には、機能素子(図示せず)が作り込まれている。機能素子は、可動デバイス部136からの信号を電気信号に変換処理する電子回路の一部をなしている。
また、回路基板147の上面には、電極パッド149が設けられている。電極パッド149は、センサチップ132のパッド(配線140)と対向するように配置され、回路基板147内の電子回路を介して、パッド(配線140)と電気的に接続されている。
【0156】
カバー用基板134は、不純物導入が導入されていないノンドープシリコンからなり、平面板151と、外周壁152と、内周壁153とを一体的に備えている。
平面板151は、可動デバイス部136と対向し、フレーム135とほぼ同じ大きさの平面視四角形状に形成されている。
外周壁152は、平面板151の周端全周にわたって可動デバイス部136との対向方向に立設されている。外周壁152は、断面視において、平面板151からの高さが相対的に高い高段部154と、高段部154よりも内側に形成され、平面板151からの高さが相対的に低い低段部155とを一体的に備えている。
【0157】
内周壁153は、低段部155と間隔を空けた位置において、可動デバイス部136との対向方向に立設されている。内周壁153は、可動デバイス部136の外周よりも大きい四角環状の壁をなし、高段部154と同じ高さを有している。
このような外周壁152および内周壁153の形状により、外周壁152と内周壁153との間には、平面視四角環状の溝160が形成されている。
【0158】
溝160は、断面視において2段階の深さを有している。具体的には、低段部155上に形成され、可動デバイス部136との対向方向における高段部154の下面からの深さが相対的に浅い外周溝161と、外周溝161よりも内側に形成され、高段部154の下面からの深さが相対的に深い内周溝162とを有している。このような、溝160は、たとえば、ディープRIE(Deep Reactive Ion Etching)や、ウェットエッチング、ドライエッチングなどの方法を用いて、段階的にエッチング深さを変えることにより形成される。
【0159】
また、カバー用基板134には、内周壁153に取り囲まれる平面視四角形状の凹部163が形成されている。
デバイスチップ131において、センサチップ132とカバー用基板134との間には、ポリイミドからなるブロック壁164が介在されている。
ブロック壁164は、フレーム135とカバー用基板134との対向方向から見た平面視において、外周壁152の高段部154よりもやや小さい四角環状に形成され、可動デバイス部136の可動体である、ビーム本体部142および錘138を取り囲んでいる。また、ブロック壁164は、フレーム135の上面(カバー用基板134との対向面)および外周壁152の低段部155の下面に当接している。また、フレーム135の上面に沿う方向におけるブロック壁164の厚さは、当該方向における外周壁152の低段部155の厚さよりも薄い。
【0160】
ブロック壁164よりも外側(可動デバイス部136の反対側)には、ペースト状接合材165が設けられている。
そして、センサチップ132とカバー用基板134とは、ペースト状接合材165により接合されている。
ペースト状接合材165によりセンサチップ132とカバー用基板134とを接合するには、たとえば、フォトリソグラフィにより、フレーム135上に、平面視で可動デバイス部136の可動体(ビーム本体部142および錘138)を取り囲む四角環状のブロック壁164を形成し、フレーム135上におけるブロック壁164の外側にペースト状接合材165を滴下する。そして、センサチップ132の可動デバイス部136がカバー用基板134の凹部163内に収容されるように位置合わせをし、ペースト状接合材165をフレーム135および低段部155で挟みこむ。これにより、ペースト状接合材165がフレーム135および低段部155に密着し、センサチップ132とカバー用基板134とが接合される。
【0161】
これにより、センサチップ132の下側(フレーム135の下側)は閉塞されている。そして、デバイスチップ131には、上述した回路チップ133、フレーム135およびカバー用基板134(平面板151および内周壁153)により区画される閉空間166が形成される。この閉空間166内には、可動デバイス部136がフレーム135、回路基板147およびカバー用基板134と非接触な状態で配置されている。
【0162】
図10は、本発明の第5の実施形態に係る加速度センサの模式的な断面図である。
図10において、
図9に示す各部に対応する部分には、
図9と同一の参照符号を付している(一部省略)。
この加速度センサは、
図9に示すデバイスチップ131と、デバイスチップ131を支持するためのダイパッド156と、デバイスチップ131と電気的に接続される複数のリード157と、樹脂パッケージ158とを備えている。
【0163】
ダイパッド156は、金属薄板からなり、平面視四角形状に形成されている。
複数のリード157は、ダイパッド156と同じ金属薄板からなり、ダイパッド156を挟む両側にそれぞれ複数設けられている。各リード157は、ダイパッド156の各側において、互いに適当な間隔を空けて整列して配置されている。
そして、デバイスチップ131は、回路チップ133を上方に向けた姿勢でダイパッド156上にダイボンディングされている。回路チップ133の各電極パッド149は、ボンディングワイヤ159によってリード157に接続されている。
【0164】
樹脂パッケージ158は、溶融樹脂材料(たとえば、ポリイミド)からなる略直方体の封入部材であり、その内部にデバイスチップ131、ダイパッド156、リード157およびボンディングワイヤ159を封入している。樹脂パッケージ158における実装基板(図示せず)への実装面(下面)には、ダイパッド156の下面およびリード157の下面が露出している。これらの下面は、実装基板との電気接続のための外部端子とされる。
【0165】
このような樹脂パッケージ158は、デバイスチップ131をダイパッド156にダイボンディングし、ボンディングワイヤ159によるデバイスチップ131とリード157との接続後、ダイパッド156上に溶融樹脂材料を流し込み、その溶融樹脂材料を硬化させることにより形成される。
そして、この加速度センサに加速度が作用し、錘138が振れると、ビーム137のビーム本体部142に歪み(捩れおよび/または撓み)が生じる。このビーム本体部142の歪みにより、ビーム本体部142上の抵抗導体139に伸び縮みが生じ、抵抗導体139の抵抗値が変化する。抵抗値の変化量は、パッド(配線140)を介して信号として出力される。
【0166】
そして、出力された信号を回路チップ133で処理することにより、錘138(加速度センサ)に作用した加速度の方向(3軸方向)および大きさを電気信号として検出し、電極パッド149から取り出すことができる。
この加速度センサによれば、四角環状のフレーム135により、その環状内の領域において支持される可動デバイス部136の可動体(ビーム本体部142および錘138)には、回路基板147およびカバー用基板134がその一方側および他方側それぞれに対向配置されている。
【0167】
フレーム135の上側(回路基板147との対向側)は、回路基板147の凹部148と可動デバイス部136とを対向させた状態でセンサチップ132と回路チップ133とが接続されることにより、閉塞されている。
一方、フレーム135の下側(カバー用基板134との対向側)は、フレーム135とカバー用基板134とが接合されることにより、閉塞されている。これにより、デバイスチップ131は、センサチップ132および回路チップ133がチップ・オン・チップ(フェイス・ツー・フェイス)で接続されている。そして、デバイスチップ131には、回路チップ133、フレーム135およびカバー用基板134(平面板151および内周壁153)により区画される閉空間166(キャビティ)が形成される。そして、可動デバイス部136の可動体(ビーム本体部142および錘138)がこの閉空間166に配置されるので、可動デバイス部136の可動体(錘138およびビーム本体部142)の可動状態を維持することができる。
【0168】
また、カバー用基板134により、閉空間166内外の連通を遮断することができる。そのため、閉空間166内への封止用樹脂の進入を防止することができる。したがって、可動デバイス部136の可動体(錘138およびビーム本体部142)の可動状態を維持したまま、デバイスチップ131を封止用樹脂で封入することができる。さらに、デバイスチップ131が、センサチップ132および回路チップ133の積層によるチップ・オン・チップ構造を有するので、加速度センサにおけるセンサ部分(センサチップ132)および回路部分(回路チップ133)を1チップで封入することができる。
【0169】
そのため、セラミックスパッケージを用いることなく樹脂パッケージ158により、センサチップ132および回路チップ133が1パッケージング化された加速度センサを作製することができる。その結果、加速度センサのパッケージコストを低減することができる。
さらに、フレーム135の下側を閉塞するカバー用基板134が、不純物導入されていないノンドープシリコンからなるため、加速度センサのパッケージコストを一層低減することができる。
【0170】
また、ペースト状接合材165よりも可動デバイス部136側において、低段部155およびフレーム135に当接するブロック壁164が形成されている。そのため、フレーム135とカバー用基板134との接合時に、可動デバイス部136側へ広がるペースト状接合材165をブロック壁164により塞き止めることができる。そのため、ペースト状接合材165の可動デバイス部136側への広がりを防止でき、可動デバイス部136とペースト状接合材165との接触を防止することができる。その結果、フレーム135およびカバー用基板134の接合後においても、可動デバイス部136の可動状態を確実に維持することができる。
【0171】
しかも、ブロック壁164よりも可動デバイス部136側には、さらに、フレーム135に当接する内周壁153が設けられ、内周壁153とブロック壁164との間に内周溝162が形成されている。そのため、フレーム135とカバー用基板134との接合時に、ペースト状接合材がブロック壁164に乗り上がって可動デバイス部136側に進入しても、そのペースト状接合材を内周溝162へ逃がすとともに、内周壁153により塞き止めることができる。その結果、ペースト状接合材の可動デバイス部136への広がりを確実に防止することができる。
【0172】
さらに、フレーム135の上面に沿う方向におけるブロック壁164の厚さが、当該方向における外周壁152の低段部155の厚さよりも薄いため、フレーム135に対するカバー用基板134の位置合わせが多少ずれていても、ブロック壁164を確実に低段部155に当接させることができる。
図11は、本発明の第6の実施形態を示すシリコンマイクの模式的な断面図である。
図12は、
図11に示すシリコンマイクの要部拡大図であって、デバイスチップおよびその付近を示す斜視図である。
【0173】
シリコンマイク171は、デバイスチップ172と、デバイスチップ172を支持するためのダイパッド173と、デバイスチップ172と電気的に接続される複数のリード174と、樹脂パッケージ175とを備えている。
デバイスチップ172は、センサチップ176と、センサチップ176に対向配置されたシリコンチップ177とを備え、これらチップが重ね合わせて接合された、チップ・オン・チップ構造を有している。
【0174】
センサチップ176は、MEMS技術により製造されるチップであって、シリコン基板178と、シリコン基板178に支持され、音圧(物理量)検出するセンサ部としてのマイク部179とを備えている。
シリコン基板178は、平面視四角形状に形成されている。シリコン基板178の中央部には、上面側ほど窄まる(下面側ほど広がる)断面台形状の貫通孔180が形成されている。
【0175】
マイク部179は、シリコン基板178の上面側に形成されており、音圧の作用により振動する可動部としてのダイヤフラム181と、ダイヤフラム181に対向配置されたバックプレート182とを備えている。
ダイヤフラム181は、平面視円形状の部分を有し、たとえば、不純物のドープにより導電性が付与されたポリシリコンからなる。また、ダイヤフラム181は、シリコン基板178の上面へ向かう方向に振動可能に支持されている。そして、シリコン基板178には、このダイヤフラム181の振動動作により物理量の変化を検出し、検出内容を信号として出力するための検出回路184が形成されている。
【0176】
バックプレート182は、ダイヤフラム181の円形部分よりも小径な平面視円形状の外形を有し、ダイヤフラム181に対して空隙を挟んで対向している。バックプレート182は、たとえば、不純物のドープにより導電性が付与されたポリシリコンからなる。
そして、マイク部179の最表面は、窒化シリコンからなる表面保護膜183により被覆されている。
【0177】
シリコンチップ177は、センサチップ176のマイク部179を密閉(デバイス封止)するためのチップであって、シリコン基板185を備えている。シリコン基板185は、平面視でシリコン基板178とほぼ同じ大きさの四角形状に形成されている。シリコン基板185には、センサチップ176から出力される音声信号を電気信号に変換処理する処理回路186が形成されている。
【0178】
また、シリコン基板185の上面には、複数の電極パッド187がシリコン基板185の外周縁に沿って、平面視四角環状に並べて配置されている。電極パッド187は、シリコン基板185内の処理回路186と電気的に接続されている。
そして、センサチップ176とシリコンチップ177とは、接合材188により接合されている。接合材188は、センサチップ176とシリコンチップ177との間において、マイク部179を取り囲む平面視四角環状に介在されている。また、接合材188は、粒体189が混入されたペースト状の接着剤であって、たとえば、粒体189として導電性粒子が混入されるACP(Anisotropic Conductive Paste:異方性導電ペースト)などを適用することができる。
【0179】
粒体189は、導電性を有する材料を含む樹脂からなり、たとえば、ニッケル層、金めっき層および絶縁層がこの順に積層された樹脂からなる。また、粒体189は、平面視四角環状の周方向に一様に混入されている。接合材188に混入される粒体189の粒径D(粒体189の直径)は、シリコン基板178の上面(一方面)に対するマイク部179の高さH(具体的には、シリコン基板178の上面に対する表面保護膜183の最高位置)よりも大きく、高さHの大きさに応じて適宜設計される。この実施形態では、たとえば、マイク部179の高さHが4μm程度であり、粒径Dが10μm程度である。
【0180】
粒体189が混入された接合材188を介して、センサチップ176とシリコンチップ177とが接合されることにより、シリコンマイク171には、センサチップ176、シリコンチップ177および接合材188により区画される閉空間192が形成される。この閉空間192内には、マイク部179がシリコンチップ177および接合材188と非接触な状態で配置されている。
【0181】
ダイパッド173は、金属薄板からなり、平面視四角形状に形成されている。ダイパッド173の中央部には、音圧をシリコンマイク内に取り込むための音孔190が形成されている。音孔190は、シリコン基板178の下面側における貫通孔180の開口径とほぼ同じ径を有している。
複数のリード174は、ダイパッド173と同じ金属薄板からなり、ダイパッド173を挟む両側にそれぞれ複数設けられている。各リード174は、ダイパッド173の各側において、互いに適当な間隔を空けて整列して配置されている。
【0182】
そして、デバイスチップ172は、平面視で貫通孔180の下面側外周と音孔190の外周とがほぼ合致するように位置合わせされ、シリコンチップ177を上方に向けた姿勢でダイパッド173上にダイボンディングされている。シリコンチップ177の各電極パッド187は、ボンディングワイヤ191によってリード174に接続されている。
樹脂パッケージ175は、溶融樹脂材料(たとえば、ポリイミド)からなる略直方体の封入部材であり、その内部にデバイスチップ172、ダイパッド173、リード174およびボンディングワイヤ191を封入している。樹脂パッケージ175における実装基板(図示せず)への実装面(下面)には、ダイパッド173の下面およびリード174の下面が露出している。これらの下面は、実装基板との電気接続のための外部端子とされる。
【0183】
そして、このシリコンマイク171において、デバイスチップ172のダイヤフラム181およびバックプレート182は、それらを対向電極とするコンデンサを形成している。このコンデンサ(ダイヤフラム181およびバックプレート182間)には、所定の電圧が印加される。
その状態で、音孔190から音圧(音波)が入力されると、その音圧が貫通孔180を介してマイク部179に伝えられる。マイク部179では、音圧の作用によりダイヤフラム181が振動すると、コンデンサの静電容量が変化し、この静電容量の変化によるダイヤフラム181およびバックプレート182間の電圧変動が検出回路184で検出され、音声信号として出力される。
【0184】
そして、出力された音声信号をシリコン基板185内の処理回路186で処理することにより、ダイヤフラム181(シリコンマイク)に作用した音圧(音波)を電気信号として検出し、電極パッド187から取り出すことができる。
以上のように、シリコンマイク171では、センサチップ176とシリコンチップ177とを接合するための接合材188に、シリコン基板178の上面(一方面)に対するマイク部179の高さH(たとえば、4μm程度)よりも大きい粒径D(たとえば、10μm)の粒体189が、接合材188の周方向に一様に混入されている。これにより、シリコンチップ177が、センサチップ176に対して所定の間隔を空けた状態で、粒体189(支持球)により支持されて、センサチップ176とシリコンチップ177との間に閉空間192が形成される。そのため、センサチップ176のマイク部179とシリコンチップ177のシリコン基板185との接触を防止することができる。
【0185】
そして、シリコンチップ177を支持するための粒体189が、接合材188に混入されているものである。したがって、センサチップ176とシリコンチップ177との接合に際しては、たとえば、センサチップ176に接合材188を塗布し、塗布後、センサチップ176上の接合材188に対してシリコンチップ177を接着すればよい。そのため、センサチップ176とシリコンチップ177との接合方法の簡略化を図ることができる。
【0186】
また、センサチップ176とシリコンチップ177との接合時、センサチップ176およびシリコンチップ177により接合材188を挟圧することによって、センサチップ176とシリコンチップ177とを圧着してもよい。粒体189が導電性を有する材料を含む樹脂からなるので、圧着により粒体189を押しつぶして、センサチップ176とシリコンチップ177との対向方向における粒体189の一方側および他方側との間を導通させることができる。したがって、処理回路186および検出回路184に電気的に接続される各電極(図示せず)を、粒体189と接するようにしておけば、粒体189の押しつぶしにより、処理回路186と検出回路184とを電気的に接続することができる(
図11の破線矢印参照)。
【0187】
また、センサチップ176およびシリコンチップ177の基体をなす基板が、ガラス基板などに比べて安価なシリコン基板178およびシリコン基板185であるため、MEMSデバイス1の製造コストを低減することができる。
以上、本発明の複数の実施形態を説明したが、本発明は他の形態で実施することもできる。
【0188】
たとえば、
図3に示すデバイスチップ31において、センサチップ32と回路チップ33とは、接合材51と同様の接合材により接続されていてもよい。
また、応力緩和層21は、回路基板19と回路側接合部24との間のみに形成されていてもよい。また、
図1に示すデバイスチップ1において、ポリイミドからなる応力緩和層が、支持基板4の表面(可動デバイス部5が形成されるデバイス面)に形成されていてもよい。また、
図3(b)に示すデバイスチップ31において、ポリイミドからなる応力緩和層が、フレーム35の下面(カバー用基板54との対向面)および/またはカバー用基板54の上面(可動デバイス部36との対向面)に形成されていてもよい。
【0189】
また、第4および第5の実施形態において、ブロック壁150およびブロック壁164は、酸化シリコンや窒化シリコンであってもよい。
また、第6の実施形態において、粒体189は、絶縁性の樹脂粒子であってもよい。
本発明の実施形態について詳細に説明してきたが、これらは本発明の技術的内容を明らかにするために用いられた具体例に過ぎず、本発明はこれらの具体例に限定して解釈されるべきではなく、本発明の精神および範囲は添付の請求の範囲によってのみ限定される。
【0190】
本出願は、2008年7月11日に日本国特許庁に提出された、特願2008−181205号、特願2008−181206号および特願2008−181207号、ならびに2008年9月18日に日本国特許庁に提出された、特願2008−239554号に対応しており、これらの出願の全開示はここに引用により組み込まれるものとする。