特許第5769966号(P5769966)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5769966
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】FAB関連疾患治療用プリン誘導体
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/522 20060101AFI20150806BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
   A61K31/522
   A61P43/00 105
   A61P43/00 111
【請求項の数】3
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2010-521404(P2010-521404)
(86)(22)【出願日】2008年8月15日
(65)【公表番号】特表2010-536820(P2010-536820A)
(43)【公表日】2010年12月2日
(86)【国際出願番号】EP2008060740
(87)【国際公開番号】WO2009024542
(87)【国際公開日】20090226
【審査請求日】2010年2月17日
【審判番号】不服2013-10970(P2013-10970/J1)
【審判請求日】2013年6月12日
(31)【優先権主張番号】07114494.3
(32)【優先日】2007年8月17日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503385923
【氏名又は名称】ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(72)【発明者】
【氏名】ヒンメルスバッハ フランク
(72)【発明者】
【氏名】マルク ミハエル
(72)【発明者】
【氏名】タダイオン モハンマド
(72)【発明者】
【氏名】トーマス レオ
【合議体】
【審判長】 内田 淳子
【審判官】 安藤 倫世
【審判官】 穴吹 智子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−522251(JP,A)
【文献】 特表2006−503013(JP,A)
【文献】 特表2007−512280(JP,A)
【文献】 特表2006−514980(JP,A)
【文献】 特表2006−512311(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/029769(WO,A1)
【文献】 国際公開第2006/027204(WO,A1)
【文献】 特表2007−513989(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/097798(WO,A1)
【文献】 国際公開第2006/068163(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/071738(WO,A1)
【文献】 Biochim Biophys Acta.,1997年7月10日,Vol.1361,No.1,pp.11−19
【文献】 Drug Resist.Updat.,2005年4月,Vol.8,No.1−2,pp.51−58
【文献】 Eur J Clin Invest.,2000年9月,Vol.30,No.9,pp.793−797
【文献】 Physiol Res.,2000年,Vol.49,No.1,pp.77−88
【文献】 Zeitschrift fuer Kinderchirurgie,1985年,Vol.40,No.1,pp.40−46
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31
REGISTRY/CA/MEDLINE/BIOSIS/EMBASE(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
FAPの阻害に応答する過剰増殖性疾患である硬変の治療用医薬組成物調製のための、1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン又はその塩の使用。
【請求項2】
請求項1に定義された化合物を使用することを特徴とする、請求項1記載の疾患の治療のための医薬組成物の調製方法。
【請求項3】
1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン、又はその医薬的に許容される塩を含有することを特徴とする、FAPの阻害に応答する疾患である硬変の治療用医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、あらゆる病的症状の治療に阻害能力を発揮する物質の使用について記載する。
【背景技術】
【0002】
線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)はセプラーゼとしても知られており、セリンプロテアーゼの群に属する。酵素DPPIV(ジペプチジルぺプチダーゼIV)と同様、FAPは、例えば一般式X-Pro-XAAを有する既存のタンパク質またはペプチドからジペプチドを開裂させる酵素に属する。FAPは760のアミノ酸から成る膜貫通型タンパク質である。FAPは、DPPIVとの相同性が高く、当該タンパク質と異質二量体を形成する。DPPIVと異なり、FAPの発現及び活性は非常に限られており、従って、通常の成人組織には発現しない。組織へ外傷又は損傷が加えられると、FAPは活性化した線維芽細胞へ誘導される。また、FAPは、あらゆるヒトの上皮性腫瘍の腫瘍ストロマ組織、及び種々の骨軟部肉腫の悪性細胞に、発現する。とりわけ乳癌、非小細胞肺癌及び結腸直腸癌の90%以上において、これらの現象が見られる。FAPはむしろ、新たに形成されつつあるまたは形成された血管近くに発生し、腫瘍毛細管内皮(the tumour capillary endothelium)と実際の悪性上皮細胞及び細胞クラスターとの間に特定の細胞区画を形成する、線維芽細胞において認められる。FAP陽性線維芽細胞は原発癌及び転移性癌の双方に認められる。FAPの発現プロフィールは、健全組織への腫瘍の浸潤、及び形成、転移において、FAPが関与していることを示唆する。FAP阻害剤、すなわちFAPのタンパク質分解作用を軽減または阻害し得る物質は、あらゆる腫瘍性疾患の治療に有用な治療剤である。FAP阻害剤は乳癌、非小細胞肺癌、結腸直腸癌及び軟部癌のような上皮性腫瘍の治療に使用できることが好ましい。また、FAP阻害剤は例えばメラノーマ等のあらゆる転移性腫瘍に適応する。
【0003】
加えて、FAP阻害剤は他の過剰増殖性疾患に適応し、とりわけ心臓肥大、硬変、線維腫症が該当する。
さらに、FAP阻害剤は関節炎または変形性関節症及び神経外傷性障害(neurotraumatic disorders)のようなリウマチ性スペクトル疾患(rheumatic spectrum diseases)の治療に有益な治療剤として使用してもよい。
また、FAP阻害剤は創傷治癒障害、ざ瘡及び例えば乾癬等の増殖性皮膚病の治療に適応する。
その他、FAP阻害剤はあらゆる原因の疼痛及び片頭痛の治療に適応する。
【発明の概要】
【0004】
本発明の選択されたプリン誘導体は、
式(I)、
式 (II)、
式(III)、
または式(IV)
によって定義することができ、又は、これらの互変異性体、鏡像異性体及び塩、及びそれらの混合物である。
【0005】
(式中、R1はピリジニルメチル、ピリミジニルメチル、キノリニルメチル、(2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリニル)メチル、イソキノリニルメチル、キナゾリニルメチル、(4-オキソ-3,4-ジヒドロキナゾリニル)メチル、キノキサリニルメチル、[1,5]ナフチリジニルメチル、(1H-ペリミジニル)メチル、フェナントリジニルメチル、(11H-ジベンゾ[b,e]アゼピニル)メチル、(ジベンゾ[b,f][1,4]オキサゼピニル)メチル、(5H-ジベンゾ[b,e][1,4]ジアゼピニル)メチルまたは(イミダゾ[1,2-a]キノリニル)メチルを表し、上述の基の複素環式基はRaにより一置換または二置換されていてもよく、置換基は同一または異なっていてもよく、Raはフッ素、塩素、臭素、シアノ、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、フェニル、メトキシ、エチルオキシ、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、ピペラジノまたはN-メチルピペラジノを表し、
R2はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピルまたはフェニルを表し、メチル、エチル、プロピル及びイソプロピル基(group)はカルボキシ、メトキシカルボニル、エチルオキシカルボニル、アミノカルボニル、メチルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、ピロリジノカルボニル、ピペリジノカルボニル、モルホリノカルボニル、ピペラジノカルボニルまたはN-メチルピペラジノカルボニルにより置換されていてもよく、
R3は2-ブテン-1-イル、3-メチル-2-ブテン-1-イル、2-ブチン-1-イル、ベンジル、フルオロベンジル、クロロベンジル、ブロモベンジルまたはシアノベンジルを表し、及び
R4はピペラジノ、ホモピペラジノ、3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル、3-(S)-アミノ-ピペリジン-1-イル、(2-アミノ-エチル)-メチルアミノ、(2-アミノ-2-メチル-プロピル)-メチルアミノ、((R)-2-アミノ-プロピル)-メチルアミノまたは((S)-2-アミノ-プロピル)-メチルアミノを表す。)
式(I)〜(IV)のプリン誘導体のうち、式(I)及び(II)のものが特に好ましい。
【0006】
R1の好ましい意味はピリジン-2-イルメチル、ピリジン-3-イルメチル、ピリジン-4-イルメチル、ピリミジン-2-イルメチル、ピリミジン-4-イルメチル、キノリン-2-イルメチル、キノリン-3-イルメチル、キノリン-4-イルメチル、キノリン-5-イルメチル、キノリン-6-イルメチル、キノリン-7-イルメチル、キノリン-8-イルメチル、(2-オキソ-1,2-ジヒドロ-キノリン-6-イル)メチル、イソキノリン-1-イルメチル、イソキノリン-3-イルメチル、イソキノリン-4-イルメチル、イソキノリン-8-イルメチル、キナゾリン-2-イルメチル、キナゾリン-4-イルメチル、キナゾリン-6-イルメチル、キナゾリン-7-イルメチル、(4-オキソ-3,4-ジヒドロ-キナゾリン-2-イル)メチル、キノキサリン-2-イルメチル、キノキサリン-5-イルメチル、キノキサリン-6-イルメチル、[1,5]ナフチリジン-2-イルメチル、[1,5]ナフチリジン-3-イルメチル、[1,5]ナフチリジン-4-イルメチル、(1H-ぺリミジン-2-イル)メチル、フェナントリジン-6-イルメチル、(11H-ジベンゾ[b,e]アゼピン-6-イル)メチル、(ジベンゾ[b,f][1,4]オキサゼピン-11-イル)メチル、(5H-ジベンゾ[b,e][1,4]ジアゼピン-11-イル)メチルまたは(イミダゾ[1,2-a]キノリン-2-イル)メチルであり、上述の基の複素環式基はシアノ、エチル、シクロプロピル、フェニルまたはモルホリノにより一置換、又はメチルにより一置換または二置換されていてもよく、
特に3-シアノ-ピリジン-2-イルメチル、(4-フェニル-ピリミジン-2-イル)メチル、(4,6-ジメチル-ピリミジン-2-イル)メチル、3-シアノ-キノリン-2-イルメチル、3-メチル-イソキノリン-1-イルメチル、4-シアノ-イソキノリン-3-イルメチル、キナゾリン-2-イルメチル、(1-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-キノリン-6-イル)メチル、(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル、(4,5-ジメチル-キナゾリン-2-イル)メチル、(4-エチル-キナゾリン-2-イル)メチル、(4-シクロプロピル-キナゾリン-2-イル)メチル、(4-シアノ-キナゾリン-2-イル)メチル、(4-モルホリノ-キナゾリン-2-イル)メチル、(4-フェニル-キナゾリン-2-イル)メチル、(4-オキソ-3,4-ジヒドロ-キナゾリン-2-イル)メチル、キノキサリン-2-イルメチル、キノキサリン-6-イルメチル、[1,5]ナフチリジン-2-イルメチル、(1H-ぺリミジン-2-イル)メチル、フェナントリジン-6-イルメチル、(11H-ジベンゾ[b,e]アゼピン-6-イル)メチル、(ジベンゾ[b,f][1,4]オキサゼピン-11-イル)メチル、(5-メチル-5H-ジベンゾ[b,e][1,4]ジアゼピン-11-イル)メチルまたは(イミダゾ[1,2-a]キノリン-2-イル)メチルである。
【0007】
R2の好ましい意味はメチル、カルボキシメチル、メトキシカルボニルメチル、エチルオキシカルボニルメチル、シクロプロピル及びフェニルであり、
特にメチル、カルボキシメチル及びフェニルである。
R3の好ましい意味は2-ブテン-1-イル、3-メチル-2-ブテン-1-イル、2-ブチン-1-イル、ベンジル、2-クロロベンジル、2-ブロモベンジルまたは2-シアノベンジル、特に3-メチル-2-ブテン-1-イル、2-ブチン-1-イル又はベンジルである。
R4の好ましい意味はピペラジノ、ホモピペラジノ、3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル、3-(S)-アミノ-ピペリジン-1-イル、(2-アミノ-エチル)-メチルアミノ、((R)-2-アミノ-プロピル)-メチルアミノまたは((S)-2-アミノ-プロピル)-メチルアミノである。
【0008】
一般式(I)〜(IV)のプリン誘導体は文献により知られている方法を用いて調製できる。一般式(I)のプリン誘導体は、例えば国際公開第2002/068420号パンフレット、国際公開第2004/018468号パンフレット、国際公開第2004/041820号パンフレット、国際公開第2005/051950号パンフレット、国際公開第2005/082906号パンフレット、国際公開第2005/085246号パンフレット、国際公開第2006/027204号パンフレット及び国際公開第2006/029769号パンフレットに記載されているように調製できる。
一般式(II)のプリン誘導体は、例えば国際公開第2004/050658号パンフレット、国際公開第2004/111051号パンフレット、国際公開第2005/058901号パンフレット、国際公開第2005/097798号パンフレット及び国際公開第2005/110999号パンフレットに記載されているように調製できる。
一般式(III)及び(IV)のプリン誘導体は、国際公開第2006/068163号パンフレット及び国際公開第2007/071738号パンフレットに記載されているように調製できる。
【0009】
特に好ましいプリン誘導体は以下の化合物、その互変異性体、鏡像異性体及び治療上効果的な塩である。
1-[(キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-((R)-3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン (国際公開第2004/018468号パンフレット、実施例2(80)参照):
【化1】
1-[(3-メチル-イソキノリン-1-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-((R)-3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン(国際公開第2004/018468号パンフレット、実施例2(130)参照):
【化2】
【0010】
1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-((S)-3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン(国際公開第2004/018468号パンフレット、実施例2(141)参照):
【化3】
1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン(国際公開第2004/018468号パンフレット、実施例2(142)参照):
【化4】
【0011】
1-[(4-フェニル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン(国際公開第2004/018468号パンフレット、実施例2(217)参照):
【化5】
2-((R)-3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(2-ブチン-1-イル)-5-(4-メチル-キナゾリン-2-イルメチル)-3.5-ジヒドロ-イミダゾ[4,5-d]ピリダジン-4-オン(国際公開第2004/050658号パンフレット、実施例136)参照):
【化6】
【0012】
1-[([1,5]ナフチリジン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-((R)-3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン(国際公開第2004/018468号パンフレット、実施例2(252)参照):
【化7】
1-[(1H-ぺリミジン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン(国際公開第2004/041820号パンフレット、実施例1(29)参照):
【化8】
【0013】
1-[(4-エチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン(国際公開第2005/085246号パンフレット、実施例1(22)参照):
【化9】
1-[(4-シクロプロピル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン(国際出願第2005/085246号パンフレット、実施例1(23)参照):
【化10】
【0014】
1-[(4-フェニル-ピリミジン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン(国際出願第2005/085246号パンフレット、実施例1(31)参照):
【化11】
1-[(4-シアノ-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン(国際出願第2005/085246号パンフレット、実施例1(37)参照):
【化12】
【0015】
1-[(11H-ジベンゾ[b,e]アゼピン-6-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン(国際出願第2004/041820号パンフレット、実施例1(5)参照):
【化13】
1-[(フェナントリジン-6-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン(国際出願第2004/041820号パンフレット、実施例1(33)参照):
【化14】
【0016】
1-[(ジベンゾ[b,f][1,4]オキサゼピン-11-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン(国際出願第2004/041820号パンフレット、実施例1(8)参照):
【化15】
1-[(5-メチル-5H-ジベンゾ[b,e][1,4]ジアゼピン-11-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン(国際出願第2004/041820号パンフレット、実施例1(12)参照):
【化16】
【0017】
1-[(4,5-ジメチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン(国際出願第2005/085246号パンフレット、実施例1(28)参照):
【化17】
1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-[(2-アミノ-エチル)-メチルアミノ]-キサンチン(国際出願第2006/029769号パンフレット、実施例1(1)参照):
【化18】
【0018】
1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-フェニル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン(国際出願第2005/082906号パンフレット、実施例1(8)参照):
【化19】
1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(3-メチル-2-ブテン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン(国際出願第2004/018468号パンフレット参照、実施例2(20)に類似):
【化20】
【0019】
1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-ベンジル-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン(国際出願第2004/018468号パンフレット参照、実施例2(294)に類似):
【化21】
1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(ピペラジン-1-イル)-キサンチン(国際出願第2005/051950号パンフレット、実施例1参照):
【化22】
【0020】
1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(ホモピペラジン-1-イル)-キサンチン(国際出願第2005/051950号パンフレット、実施例1(3)参照):
【化23】
1-[(3-シアノ-キノリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン(国際出願第2005/085246号パンフレット、実施例1(30)参照):
【化24】
【0021】
1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-[(S)-(2-アミノ-プロピル)-メチルアミノ]-キサンチン(国際出願第2006/029769号パンフレット、実施例2(4)参照):
【化25】
1-[(イミダゾ[1,2-a]キノリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン(国際出願第2004/041820号パンフレット、実施例1(32)参照):
【化26】
【0022】
1-[(4-オキソ-3,4-ジヒドロ-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン(国際出願第2004/018468号パンフレット、実施例2(71)参照):
【化27】
1-[(キノキサリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン(国際出願第2004/018468号パンフレット、実施例2(169)参照):
【化28】
【0023】
1-[(キノキサリン-6-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-((R)-3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン(国際出願第2005/085246号パンフレット、実施例1(83)参照):
【化29】
1-[(4-モルホリノ-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン(国際出願第2004/018468号パンフレット、実施例2(180)参照):
【化30】
【0024】
1-[(1-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-キノリン-6-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン(国際出願第2004/018468号、実施例2(227)参照):
【化31】
1-[(4-シアノ-イソキノリン-3-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-((R)-3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン(国際出願第2005/085246号パンフレット、実施例1(88)参照):
【化32】
【0025】
1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-カルボキシメチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン(国際出願第2006/027204号パンフレット、実施例2参照):
【化33】
1-[(4,6-ジメチル-ピリミジン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-((R)-3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン(国際出願第2005/085246号、実施例1(82)参照):
【化34】
【0026】
1-[(3-シアノ-ピリジン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-((R)-3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン(国際出願第2005/085246号、実施例1(52)参照):
【化35】
【発明を実施するための形態】
【0027】
当該化合物の生物学的特性を以下のとおり研究する。
FAP分析
使用したFAP源はCD8huFAP細胞の均質化した製剤であり、緩衝液で1対100の割合で希釈する。反応に使用した基質は、Bachem社製H-Ala-Pro_7-アミド-4-トリフルオロメチルクマリン(AlaPro-AFC)(製品番号No.I-1680)である。
試験物質をDMSO(ジメチルスルホキシド)と緩衝液で希釈し、ピペットで96wellプレートへ移す。そこへ酵素70uL及び基質20uLを加える。プレートを室温で1時間定温放置し、Wallac社製Victor1420マルチラベルカウンターを用いて、蛍光を励起波長405nm及び発光波長535nmで測定する。試験物質の存在下での蛍光と、コントロールの蛍光との比較により結果を計算した。基礎蛍光を差し引いた。
【0028】
本発明の化合物は、例えば100μMの濃度で>50%のFAPを阻害する。好ましくは、本発明の化合物は3μMの濃度で>50%のFAPを阻害する。
医薬的な使用においては、本発明の化合物は通常温血脊髄動物、特にヒトに対して、体重1kgにつき0.001〜100mg、好ましくは体重1kgにつき0.1〜15mgの投与量で、日に1〜4度使用する。この目的のため、化合物を他の有効成分と任意に組み合わせ、1以上の従来の不活性担体及び/または希釈剤、例えばトウモロコシ澱粉、ラクトース、グルコース、ミクロクリスタリンセルロース、ステアリン酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、クエン酸、酒石酸、水、水/エタノール、水/グリセロール、水/ソルビトール、水/ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、セチルステアリルアルコール、カルボキシメチルセルロース又はハードファットのような脂肪性物質、又はそれらの好適な混合物で調製し、素錠または被覆錠剤、カプセル、散剤、懸濁液又は坐薬のような従来のガレヌス製剤を成形する。
【0029】
医薬製剤は望ましい投与方法(経口、静脈内、非経口等)に合わせて設計し、好ましい調製は経口製剤である。
上述のプリン誘導体を含む本発明の医薬組成物は、先行技術に記載の方法により、当業者が、許可された調製の賦形剤を用いて調製する。前記賦形剤としては希釈剤、結合剤、担体、充填剤、潤滑剤、流動剤(flow agents)、結晶化遅延剤、崩壊剤、可溶化剤、着色剤、pH調整剤、界面活性剤及び乳化剤が挙げられる。
【0030】
好適な希釈剤としては、例えば粉末セルロース、リン酸水素カルシウム、エリトリトール、(低置換度)ヒドロキシプロピルセルロース、マンニトール、アルファー化澱粉(pregelatinised starch)またはキシリトールが挙げられる。
好適な結合剤としては、例えば他のビニル誘導体とビニルピロリドンとのコポリマー(コポビドン)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、アルファー化澱粉または低置換度ヒドロキシプロピルセルロースが挙げられる。
好適な潤滑剤としては、例えばタルク、ポリエチレングリコール、ベヘン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、硬化ひまし油またはステアリン酸マグネシウムが挙げられる。
好適な崩壊剤としては、例えばトウモロコシ澱粉またはクロスポビドンが挙げられる。
【0031】
本発明のDPPIV阻害剤の医薬製剤を調製する好適な方法は、
・粉末混合物中の有効成分と、好適な錠剤化賦形剤との直接錠剤化、
・好適な賦形剤との顆粒化及び続いて好適な賦形剤との混合、及び続いて錠剤化並びに被覆、または
・粉末混合物又は顆粒のカプセルへの充填
である。
好適な顆粒化方法は、
・強力ミキサー中の湿式顆粒化、及び流動層乾燥
・ワンポット顆粒化、
・流動層顆粒化、または
・好適な賦形剤との乾燥顆粒化(例えばローラー圧縮による)及び続く錠剤化又はカプセルへの充填
である。
【0032】
異なる機能障害がしばしば併発するため、複数の異なる有効成分(active principles)を相互に併用することはあまり賢明ではない。従って、診断された機能障害によっては、FAP阻害剤を、問題となる疾患に通常使用される(許可された)有効成分、例えば抗過剰増殖特性を有する有効成分、又は過剰増殖性疾患(例えば癌)に使用できる有効成分等と併用した場合、治療結果の向上が得られる可能性がある。
【0033】
上述の併用治療は、有効成分の自由な併用、又は決まった併用の形状、例えば錠剤やカプセルの形で提供してもよい。併用に必要な組み合わせ用の医薬製剤は、医薬組成物として市場で入手でき、当業者が従来の方法を用いて調製してもよい。薬組成物として市場で入手できる有効成分は、例えば、年刊医薬品リスト"Rote Liste(登録商標)"(ドイツ製薬工業連合(the Federal Association of the Pharmaceutical Industry)発行)、または処方箋薬に関する製造業者情報を掲載した年刊書籍 "Physicians' Desk Reference"など、従来技術の多くに記載されている。
ここで定義する抗癌治療は単独の治療として使用してもよく、または本発明の化合物に加え、従来の外科治療、放射線治療又は化学療法を含んでもよい。前記化学療法は、以下の1以上の化学療法的及び/または目的とする制癌剤の種類を含んでもよい。
【0034】
以下の種類及びそれらの典型的な代表例は、既知の化学療法制癌剤:(i)シクロフォスファミド(エンドキサン)、イホスファミド (ホロキサン)、チオテパ、メルファラン(アルケラン)またはクロロエチルニトロソ尿素(CENU)等のアルキル化/カルバミル化有効成分; (ii)シスプラチン(プラチネックス(Platinex))、オキサリプラチン、サトラプラチンまたはカルボプラチン(カルボプラット(Carboplat))等の白金誘導体; (iii)ビンカアルカロイド(ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン)、パクリタクセル(タキソール)、ドセキタキセル(タキソテル)等のタキサン類またはその類似体及び共役体、エポチロンB(パチュピロン(Patupilone))、アザエポチロン(イキサベピロン)またはZK-EPO等のエポチロン等の抗有系分裂性有効成分/チューブリン阻害剤); (iv)アントラサイクリン(例えばドキソルビシン/アドリブラスチン)、エピポドフィロトキシン (例えばエトポシド/エトポホス) 及びカンプトセシン及びカンプトセシン類似体(例えばイリノテカン/カンプトサールまたはトポテカン/ハイカムチン)等のトポイソメラーゼ阻害剤; (v)5-フルオロウラシル (5-FU)、カペシタビン (ゼローダ)、アラビノシルシトシン/シタラビン(アレキサン)またはゲムシタビン (ジェムザール)等のピリミジン拮抗薬; (vi)6-メルカプトプリン (プリネトール)、6-チオグアニンまたはフルダラビン(フルダラ) 等のプリン拮抗薬、及び(vii)メトトレキサート(ファルミトレキサート(Farmitrexat))またはプレメトレキセド(premetrexed) (アリムタ)等の葉酸拮抗薬の例として言及してもよい。
【0035】
以下の種類及びそれらの典型的な代表例、(i)イマチニブ(グリベック)、ZD-1839/フェフィチニブ(fefitinib) (イレッサ)、BAY43-9006 (ソラフェニブ、ネクサバール)、SU11248/スニチニブ(スーテント)またはOSI-774/エルロチニブ(タルセバ)、ダサチニブ(スプリセル)、ラパチニブ(lLapatinib)(タイケルブ)、またはバタラニブ、バンデタニブ(ザクティマ)またはパゾパニブ等のキナーゼ(例えばAbl、EGFR、VEGFR、PDGFR等)阻害剤; (ii) PS-341/ボルテゾミブ(ベルケード)等のプロテアソーム阻害剤; (iii) 17-アリルアミノゲルダナマイシン(allylaminogeldanamycin) (17-AAG)等の熱ショックタンパク質90阻害剤; (iv) コンブレタスチンA4ホスフェートまたはAVE8062/AC7700等の血管標的薬剤 (VTAs)、並びにベバシズマブ(アバスチン)等のVEGF抗体等の抗血管新生有効成分、アンジオキナーゼ阻害剤、またはPTK787 / ZK222584(バタラニブ)またはバンデタニブ(ザクティマ)またはパゾパニブ等のKDRチロシンキナーゼ阻害剤; (v)トラスツズマブ(ハーセプチン)、リツキシマブ(マブテラ/リツキサン)、アレムツズマブ(キャンパス(Campath))、トシツモマブ(ベキサール)、C225/セツキシマブ(アービタックス)、アバスチンまたはパニツムマブ等のモノクローナル抗体、ゲムツズマブオゾガマイシン(マイロターグ)またはイブリツモマブチウキセタン(ゼヴァリン)等のモノクローナル抗体の突然変異体又は共役、並びに抗体フラグメント; (vi) G-3139/オブリメルセン(ジェナセンス)等のオリゴヌクレオチドを基礎とする有効成分; (vii)Toll様受容体/プロミューン等のTLR9作動薬、イミキモド(アルダラ)又はイサトリビン等のTLR7作動薬並びにその類似体、またはレシキモド等のTLR7/8作動薬、並びにTLR7/8作動薬としての免疫賦活性RNA; (viii)プロテアーゼ阻害剤(ix)抗エストロゲン(タモキシフェンまたはラロキシフェン等)、抗アンドロゲン (フルタミド又はカソデックス等)、LHRH類似体(リュープロライド、ゴセレリンまたはトリプトレリン等)等のホルモン有効成分並びにアロマターゼ阻害剤は、実験的または一般的な癌治療において使用する、標的となる制癌剤の例として言及してもよい。
【0036】
以下の有効成分、ブレオマイシン、オールトランスレチノイン酸(ATRA)等のレチノイド、デシタビン(ダコゲン(Docagen))または5-アザシチジン等のDNAメチル基転移酵素阻害剤、アラノシン、インターロイキン-2等のサイトカイン、インターフェロン-α2またはインターフェロン-γ等のインターフェロン、TRAIL、DR4/5拮抗抗体(agonistic antibodies)、FasL及びTNF-R作動薬(例えばマパツムマブまたはレキサツムマブ(lexatumumab)等のTRAIL受容体作動薬)等の細胞死受容体作動薬並びにSAHA等のHDAC阻害剤は、癌治療に有効となりうる標的となる制癌剤の例として言及してもよい。