(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
水平方向に相対移動可能とされ、基材をプレス成形可能な第1の型と第2の型とからなる一対の型と、前記基材の側部にアンダーカット部を成形可能なスライド型と、を備え、前記基材のうち、前記一対の型及び前記スライド型を型閉じすることによって形成される成形空間から外部にはみ出た外周不要部分を切断することで成形品が成形される成形装置であって、
前記外周不要部分のうち前記成形空間から下方にはみ出た下部不要部分を切断する下部切断刃と、
前記外周不要部分のうち前記下部不要部分と連なって前記成形空間から側方にはみ出た側部不要部分を切断する側部切断刃と、
前記下部不要部分を下方へ取り除く取り除き装置と、を備え、
前記取り除き装置は、
前記下部切断刃によって切断された前記下部不要部分を保持可能な保持部と、
前記保持部の周囲に配され、前記保持部に保持された前記下部不要部分に対して、水平方向における前記保持部と同じ側から当接すると共に、前記下部不要部分に対する当接面が下方に向かうにつれて前記下部不要部分から遠ざかる側に傾斜する傾斜面とされる傾斜当接部と、
前記傾斜当接部が前記下部不要部分と当接した状態で、該下部不要部分の前記保持部による保持を解除する解除機構と、
を有することを特徴とする成形装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面を参照して実施形態を説明する。本実施形態に係る成形装置2は、例えば車両の内装部材に用いられる成形品60を成形するものである。成形品60は、例えば、車両用シートの背面に取り付けられるバックボードに用いられる。
【0017】
まず、成形品60について、
図1を参照して説明する。ここで、
図1は、成形品60の正面図を示している。この成形品60は、正面視において略矩形状をなし、
図1における紙面貫通方向の手前側に凹んだ湾曲形状をなしている。この成形品60は、基材70を成形装置2(
図2参照)によってプレス成形し、このプレス成形と併せて基材70の周端部である外周不要部分72の全周を切断することで成形されている。また、その際に
図1で示す切断箇所D4を境界として、外周不要部分72のうち、上部不要部分72aと略U字状部分(
図1の網掛け部分で示す)とを分割する。本実施形態においては、外周不要部分72のうち、上部不要部分72aを除く略U字状部分は、
図1の左右両側に位置する一対の側部不要部分72bと、この両側部不要部分72bの下端部同士を連結してなる下部不要部分72cとからなる。なお、
図1においては、プレス成形後であって、各側部不要部分72b及び下部不要部分72cを取り除く前の基材70を図示してある。
【0018】
このような基材70は、例えば、ケナフ繊維等の植物性繊維材料とポリプロピレン等の熱可塑性樹脂とをブレンダーにより混合した後、フォーマーによりマット状に形成したものである。マット状の基材70は、予備成形することで湾曲形状とされ、その後、成形装置2によって製品形状にプレス成形される。なお、基材70に対して予備成形を行わず、マット状をなす状態でプレス成形を行ってもよい。
【0019】
次に、実施形態に係る成形装置2について説明する。
図2は、実施形態に係る成形装置2の断面図であって、
図1のA−A断面に対応する断面構成を示している。
図2に示すように、成形装置2は、一対の成形型7、スライド型10、払い出し装置40(
図3参照)、送風装置22等を備えている。一対の成形型7は、基材70をプレス成形可能なコア型28とキャビ型6とにより構成されている。実施形態に係る成形装置2は、
図2の紙面貫通方向における奥側(紙面裏側)を鉛直方向における上側とし、表側を鉛直方向における下側とする形で設置されている。つまり、成形品60は、
図1で示す上側鉛直方向における上側、
図1に示す下側が鉛直方向における下側となる状態で成形される。
【0020】
まず、一対の成形型7とスライド型10について説明を行う。成形装置2は、コア側基台16及び、これと対向状に配されたキャビ側基台14を有している。コア型28はコア側基台16の中央に設置されており、キャビ型6はキャビ側基台14において、コア型28と対向する位置に設置されている。キャビ側基台14の後方には、例えば、複数の油圧シリンダ(図示せず)が設けられ、これらの油圧シリンダを駆動させることで、キャビ側基台14はコア側基台16と平行姿勢を保ちながら、水平方向に移動可能とされている。つまり、キャビ型6はコア型28に対して水平方向に相対移動可能な構成となっている。
【0021】
一対の成形型7及びスライド型10を型閉じした状態(
図5参照)では、コア型28及びキャビ型6の各対向面間に成形品60を成形する成形空間Sが形成される。これにより、コア型28に成形品60に成形される前の基材70をセットし、一対の成形型7及びスライド型10を型閉じすると、基材70が成形空間Sの形状に対応した所定の形状にプレス成形される。成形空間Sはキャビ型6側に凹んだ形状をなしており、成形空間Sの中央部分を構成する中央部4aによって成形品60の本体部60bが成形され、成形空間Sの外周部分を構成する外周端部4bによって成形品60の外周立壁部60a(
図1参照)が成形される。
【0022】
ここで、コア側基台16に設けられた取り除き装置40及び凹部16aについて説明する。
図3は、コア型28及びコア側基台16の正面図を示している。
図3に示すように、コア側基台16には取り除き装置40が設けられ、コア型28の下方に配されている。取り除き装置40の本体部34には、刃先が手前側(
図3の紙面貫通方向手前側)に向けられた保持刃36が配されている。また、コア側基台16の取り除き装置40の一部と重畳する位置には、奥側(
図3の紙面貫通方向奥側)に凹んだカム面16a及び凹部16a1が設けられている。これら取り除き装置40、カム面16a及び凹部16a1の構成については、後で詳しく説明する。
【0023】
続いて、成形装置2の側部の構成について説明する。
図4は、
図2において、一対の成形型7が型閉じする前の成形装置2の側部付近を拡大した断面図を示している。
図5は、
図4において、一対の成形型7が型閉じした状態の断面図を示している。
図6は、
図4において、アンダーカット部72b1を成形した状態及び側部不要部分72bを切断した状態の断面図を示している。
【0024】
図4に示すように、スライド型10は、コア側基台16におけるコア型28の左右両側にそれぞれ設置されている。スライド型10はコア側基台16に設けられた支持台12に対して、
図4の左右方向にスライド移動可能に支持され、図示しない駆動手段(例えば、油圧シリンダ)によって、
図4の左右方向に往復移動可能となっている。
【0025】
図2及び
図4に示すように、スライド型10において、一対の成形型7と対向する側の先端部には、基材70の側部不要部分72bを切断可能なスライド型側切断刃8が形成されている。スライド型側切断刃8は、スライド型10の先端部を凹ませる形で形成された断面視円弧状の湾曲面8aを有している。なお、湾曲面8aは、スライド型10において上下方向(
図4の紙面表裏方向)に延びる形で形成されている。
【0026】
また、コア型28及びキャビ型6において、スライド型10と対向する箇所には、スライド型10が進入可能な第1切断用凹部24が凹設されている。第1切断用凹部24は、キャビ型6の周端部におけるコア型28との対向面6aと、コア型28の側面28aとから形成されている。なお、第1切断用凹部24は、成形空間Sの外周端部4bと連通している。さらに、コア型28の側部において、スライド型10と対向する箇所には、スライド型10の先端部が進入可能な第2切断用凹部26が凹設されている。なお、第2切断用凹部26は第1切断用凹部24よりも、コア型28における基端側(
図4の下側)に位置している。
【0027】
図6に示すように、スライド型10を第1切断用凹部24及び第2切断用凹部26に進入させた状態では、平面視において、スライド型側切断刃8における湾曲面8aの一端側が、成形空間Sの外周端部4bのうち、キャビ型6側の面6dと面一をなし、湾曲面8aの他端側が、コア型28におけるコア側基台16との対向面28b(第2切断用凹部26の一部を構成)と面一をなす構成となっている。
【0028】
以上の構成により、一対の成形型7によって基材70をプレス成形した後、第1切断用凹部24及び第2切断用凹部26にスライド型10を進入させることで、成形空間Sの外周端部4bから外部にはみ出した基材70の一部(側部不要部分72b)をスライド型側切断刃8によって切断可能となっている。つまり、このスライド型側切断刃8と第1切断用凹部24及び第2切断用凹部26とは、外周不要部分72のうち成形空間Sから側方にはみ出た側部不要部分72bを切断する側部切断刃を構成している。
【0029】
そして、基材70の切断箇所には、スライド型側切断刃8における湾曲面8aの形状に倣った湾曲状のアンダーカット部72b1が形成される。なお、ここでいう「アンダーカット部」とは、成形品60の外周立壁部60aの端部において、コア側基台16と対向する対向面(一対の成形型7の外周に向かうにつれてキャビ型28に近づく面)を含む部分であって、一対の成形型7のせん断では、切断不可能な部分をいう。換言すれば、スライド型10は、本実施形態のような基材70をプレス成形する構成の成形装置2において、一対の成形型7のせん断では成形不可能なアンダーカット部72b1を成形するとともに、基材70の側部不要部分72bを切断する機能を担っている。
【0030】
図7は、
図1B−B断面に対応する成形装置2の側断面図を示している。
図7に示すように、コア型28の側部において、第1切断用凹部24の上方に位置する部分は、成形品60における外周立壁部60aを成形せず、本体部60bのみを成形する部分であって、コア型28、キャビ型6及びスライド型10によって、側部不要部分72bの上端部を切断する(押し切る)ことが可能な構成となっている(切断箇所を符号D4で示す、
図1も参照)。なお、
図1及び
図7で示す上部不要部分72aは、一対の成形型7のせん断によって切断されるが、成形品60を脱型する際に成形品60と共に離型され、その後排除される。
【0031】
図8乃至
図12は、成形装置2の下部の断面図であって、
図1のC−C断面に対向する成形装置2の側断面図を示している。
図8は、
図1のC−C断面に対応し、一対の成形型7が型閉じする前の成形装置2の下部の側断面図を示している。
図9は、
図8の状態から一対の成形型7を型閉じし、下部不要部分72cを切断した状態及び下部不要部分72cが保持刃36に引っ掛かった状態(保持部30に保持された状態)の断面図を示している。
図10は、
図9の状態から一対の成形型7を型開きした状態の断面図を示している。
図11は、
図10の状態から取り除き装置40の本体部34を下方に移動させると共に、下部不要部分72cを保持部30から離間させた状態の断面図を示している。
図12は、
図11の状態から、下部不要部分72cが落下する状態の断面図を示している。
【0032】
図8及び
図9に示すように、コア型28における成形面の下端部28sと、キャビ型6における成形面の下端部6sとの間では、基材70の外周不要部分72のうち、下部不要部分72cをせん断によって切断可能となっている。つまり、コア型28における下端部28sと、キャビ型6における成形空間Sの下端部6sとでは、それぞれ外周不要部分72のうち成形空間Sから下方にはみ出た下部不要部分72cを切断する下部切断刃9を構成している。また、キャビ型6における下端部6sより下方の部分には、コア側基台16側に延出する延出部11が形成されている。延出部11には、コア側基台16に向かうにつれて下降傾斜する傾斜面11aが設けられている。傾斜面11aは、下部不要部分72cの切断時(型閉じ時)に取り除き装置40の保持刃36と対向するように形成されている(
図9参照)。
【0033】
以上説明した外周不要部分の切断手段についてまとめると、次のとおりとなる。まず、
図1で示す両側の側部不要部分72bは、各スライド型切断刃8とコア型28とのせん断によってそれぞれ切断可能とされる(切断箇所を符号D2で示す)。
図1で示す下部不要部分72cは、下部切断刃9によって切断される(切断箇所を符号D3で示す)。また、図示しないが、両スライド型側切断刃8の下部と、コア型28における下端部28sの左右両側は、正面視において、それぞれ連なる構成となっている。これにより、
図1に示すように、各側部不要部分72bの下部と下部不要部分72cの左右両側とは連なった状態で、それぞれ基材70から切断される構成となっている。また、コア型28、キャビ型6及びスライド型10によって、側部不要部分72bと上部不要部分74aとを分割する(切断箇所D4)ことが可能な構成となっている。
【0034】
つまり、一対の成形型7を型閉じすると、基材70のプレス成形と併せて、コア型28及びキャビ型6のせん断によって、切断箇所DGが切断可能な構成となっており、その後、スライド型10の各スライド型側切断刃8によって、切断箇所D2、切断箇所D4を切断可能な構成となっている。これにより、両側部不要部分72bと下部不要部分72cとが基材70から切断される構成となっている。
【0035】
続いて、両側部不要部分72b及び下部不要部分72cを下方へ取り除くための取り除き装置40の構成と、両側部不要部分72b及び下部不要部分72cを保持するための保持部30の構成と、カム面16a及び凹部16a1の構成とについて説明する。
図8に示すように、取り除き装置40は、本体部34と、本体部34を上下方向に移動させるシリンダ42と、シリンダ42と本体部34との間を接続するロッド44とを備えている。シリンダ42は、本体部34の下方においてコア側基台16に固定されている。
【0036】
本体部34は、前後方向に延びる筒状をなしており、その内部には軸状の保持部30が収容されている。従って、本体部34には、その前端と後端にそれぞれ開口が形成されている。本体部34の前面は、下方側に傾斜しており、傾斜当接部34sとされている。本体部34の内側(筒内側)の側壁の一部には、側壁周りに亘って内側に突出する突出部34bが形成されている。この突出部34bによって、本体部34の内側は、突出部34bの前側に位置する第1空間34aと、突出部34bの後側に位置する第2空間34cとに分割されている。
【0037】
コア側基台16における取り除き装置40の後方側に位置する面には、ロッドが延びる方向(上下方向)に沿って溝状のカム面16aが形成されている(
図3参照)。そして、本体部34の後面は、コア側基台16のカム面16aからわずかに離間した位置に配されている。また、カム面16aの一部にはカム面16aから奥側(
図8の紙面左側)にさらに凹んでなる凹部16a1が形成されている。凹部16a1は、
図8に示すように、その底面及び上側の内壁が滑らかな曲面状とされている。
【0038】
保持部30は、前側端部に位置する前端部30aと、後側端部に位置する後端部30dと、前端部30aと後端部30dとを接続する軸部30bと、軸部30b上の一部に設けられた係止部30cとから構成されている。前端部30aは、本体部34の第1空間34a内に位置しており、その前面30sは、本体部34の前端に形成された開口から前方に露出しており、下方側に傾斜している。そして、
図8の状態では、前端部30aの前面30sは傾斜当接部34sと同一平面上に位置している。また、前端部30aの前面30sには、刃先が前方に向けられた複数の保持刃36が形成されている。一方、後端部30dの後面は曲面状とされており、コア側基台16のカム面16aと当接している。
【0039】
保持部30の軸部30cは、本体部34の内側においてその筒軸方向に沿って配されており、本体部34に形成された突出部34bより内側に位置している。係止部30cは、本体部34の第2空間34c内に位置する軸部30bの一部の周りに、軸部30bから突出するように形成されている。本体部34の第2空間34c内における突出部34bと係止部30cの間には、軸部30b周りに沿って軸部30bの延びる方向を伸縮方向とするばね32が配されている。なお、ばね32は、その両端が突出部34bと係止部30cとにそれぞれ当接した状態で配されている。
【0040】
図8の状態では、シリンダ42から延びるロッド44は上死点に位置しており、この状態において上述したばね32は突出部34bと係止部30cの間に圧縮された状態で配されている。このため、保持部30の係止部30cはばね32の弾性力によって後方に押圧されており、これにより、後端部30dの後面はカム面16aを押圧しながらカム面16aと当接した状態となっている。なお、本体部34はシリンダ32及びロッド44によって前後方向に固定されているので、ばね32の弾性力によって本体部34が前方に押し出されることはない。
【0041】
続いて、送風装置22について説明する。
図2及び
図4に示すように、スライド型10を支持する支持台12には、送風装置22が設けられている。送風装置22は、エアーが噴出されるノズル20と、支持台12の内部に埋設された配管18とを備えている。ノズル20は、支持台12における第2切断用凹部26との対向面側に設けられ、その噴出口が側部不要部分72bと対向する形で配されている。配管18の一端側はノズル20と接続され、他端側は、図示しない空気供給源(ブレアやコンプレッサ)等と接続されている。この構成により、空気供給源から配管18を介してノズル20にエアーが供給されると、ノズル20から側部不要部分72bにエアーを噴出可能な構成となっている。これにより、送風装置22は、側部不要部分72bにエアーを送り込むことで、側部不要部分72bを冷却及び切離可能な構成となっている。なお、送風装置22からのエアーを下部不要部分72cに送り込むことで、下部不要部分72cを冷却する構成としてもよい。
【0042】
続いて、成形装置2の作用について説明する。まず、一対の成形型7が開いた状態(
図4及び
図8の状態)でコア型28に成形前の基材70をセットする。なお、コア型28にセットされる基材70は、予め加熱されており、基材70内部の熱可塑性樹脂が溶融軟化した状態となっている。また、スライド型10は、第1切断刃用凹部24及び第2切断刃用凹部26の外部に退避した初期位置に控えている。さらに、取り除き装置40は、そのシリンダ42のロッド44が上死点に位置した状態となっている。
【0043】
この状態から、キャビ型8をコア型28に向けて移動させ、一対の成形型7の型閉じを行うと、外周不要部分72のうち、両側の側部不要部分72bが成形空間Sの外周端部4bから側方にはみ出した状態となる(
図5参照)。また、外周不要部分72のうち成形空間Sからはみ出た下部不要部分72cは、コア型8及びキャビ型6のせん断(下部切断刃9)によって切断される。これと同時に、切断された下部不要部分72cがキャビ型6の延出部11の傾斜面11aによって取り除き装置40の本体部34側へ押し出されて支持され、押し出された下部不要部分72cは保持部30の保持刃36に突き刺さって引っ掛かる(
図9の状態)。これにより、切断された下部不要部分72cは、保持部30に保持された状態となる。
【0044】
続いて、両スライド型10を駆動させることで、各スライド型側切断刃8を対応する第1切断用凹部24及び第2切断用凹部26に進入させると、側部不要部分72bが切断され(切断箇所D2,D4)、これと同時にアンダーカット部72b1が形成される(
図6参照)。これにより、外周不要部分72が基材70から切断され、基材70は成形空間Sの形状に対応した形状(成形品60の形状)に成形される。成形品60の成形完了後、両スライド型10を第1切断用凹部24及び第2切断用凹部26の外部へ移動させ、初期位置にて待機させる。また、成形完了後、送風装置22のノズル20から、側部不要部分72bに向かってエアーを噴出させる。これにより、側部不要部分72bが冷却、固化されコア型28から切離される。
【0045】
成形完了後は、
図9に示すように、切断された下部不要部分72cが保持部30に保持された状態にある。この状態で、キャビ型6をコア型28から遠ざかる方向(水平方向)に移動させ、型開きを行う(
図10の状態)。このとき、下部不要部分72cは保持部30に保持された状態にあるので、キャビ型6を移動させると、キャビ型6の延出部11の傾斜面11aが下部不要部分72cから離間する。キャビ型6の延出部11の傾斜面11aが下部不要部分72cから離間した後も、
図10に示すように、下部不要部分72cは保持部30によって保持される。
【0046】
キャビ型6を退避させた後、
図11に示すように、シリンダ42のロッド44を、保持部30の後端部30dが凹部16a1内に収容されるまで(シリンダ42のロッド44が下死点に位置するまで)下方に移動させる。このとき、ばね32の弾性力によって、後端部30dが凹部16a1内に収容されるにつれて保持部30が後方に押し出され、後端部30dの後面は凹部16a1と当接しながら凹部16a1内に収容される(
図11の状態)。なお、上述したように凹部16a1の上側の内壁は滑らかな曲面状とされているので、保持部30の後端部30dがカム面16aから凹部16a1内に収容されるまで後端部30dを滑らかに移動させることができる。
【0047】
また、シリンダ42のロッド44を下方へ移動させることで、保持部30に保持された状態の下部不要部分72c及びこれと連結する両側部不要部分72bは、保持部30と共に下方に引っ張られる。このとき、下部不要部分72c及び/又は側部不要部分72bがコア型28に付着している場合であっても、保持部30によってこれらが下方に引っ張られることで、これらをコア型28から離脱させることが可能となる。
【0048】
一方、切断された下部不要部分72cは傾斜当接部34sと当接した状態にあるので、後端部30dが凹部16a1内に収容されて保持部30が後方へ移動しても、保持刃36に引っ掛かった状態の下部不要部分72cが保持部30と共に傾斜当接部34sより後方へ移動することがない。このため、後端部30dが凹部16a1内に収容されて保持部30が後方へ移動すると、保持刃36が下部不要部分72cから抜け、
図11に示すように、下部不要部分72cが保持部30から離間する。これにより、下部不要部分72cの保持が解除される。
【0049】
その後、保持部30による保持が解除された下部不要部分72cは、傾斜当接部34sのみと当接した状態となり、傾斜当接部34sの当接面が下方側に傾斜して設けられていることで、下部不要部分72c及びこれと連結する側部不要部分72bは、その自重によって下方に落下する(
図12参照)これにより、下部不要部分72c及び側部不要部分72bの双方を一括して下方に取り除くことができる。その後、落下した下部不要部分72c及び側部不要部分72bは回収される。
【0050】
以上のように実施形態に係る成形装置2では、下部不要部分72cが傾斜当接部34sと当接した状態で下部不要部分72cの保持を解除することで、下部不要部分72cを保持部30から離脱させることができる。そして、保持部30から離脱した下部不要部分72cは、傾斜当接部34sのみと当接した状態となり、傾斜当接部34sの当接面が下方側に傾斜して設けられているので、外周不要部分(下部不要部分72c及びこれと連結する側部不要部分72b)72は自重によって落下する。このため、基材70の外周不要部分72を人手によらないで取り除くことができる。
【0051】
また、実施形態に係る成形装置2の取り除き装置は、ばねをさらに備えている。そして、保持部30は、ばね32が圧縮された状態で下部不要部分72cを保持し、圧縮されたばね32の弾性力によって保持部30を下部不要部分72cから離間させることで下部不要部分72cの保持が解除される。このため、簡単な構成で下部不要部分72cの保持を解除することができる。
【0052】
実施形態の構成と本発明の構成との対応関係を記載しておく。コア型28が「第1の型」の一例である。また、キャビ型6が「第2の型」の一例である。また、一対の成形型7が「一対の型」の一例である。また、スライド型側切断刃8が「側部切断刃」の一例である。また、突出部34bと係止部30cとばね32が解除機構の一例である。また、ばね36が「弾性部材」の一例である。後端部30dが「カム側当接部」の一例である。
【0053】
上記の実施形態の変形例を以下に列挙する。
(1)上記の実施形態では、ばねの弾性力によって保持部が後方へ移動する構成を例示したが、保持部を後方へ移動させるための構成は限定されない。例えば、本体部内にシリンダが配され、そのシリンダを駆動させることによって保持部が後方へ移動する構成であってもよい。
【0054】
(2)上記の実施形態では、保持部に保持刃が設けられ、保持刃が下部不要部分に引っ掛かることで下部不要部分が保持部に保持される構成を例示したが、保持部が下部不要部分を保持する構成は限定されない。
【0055】
(3)上記の実施形態以外にも、取り除き装置の構成については、適宜に変更可能である。
【0056】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0057】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。