特許第5770025号(P5770025)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5770025
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】ブレーキペダル装置
(51)【国際特許分類】
   B60T 7/06 20060101AFI20150806BHJP
【FI】
   B60T7/06 A
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-132875(P2011-132875)
(22)【出願日】2011年6月15日
(65)【公開番号】特開2012-121547(P2012-121547A)
(43)【公開日】2012年6月28日
【審査請求日】2014年5月30日
(31)【優先権主張番号】10-2010-0123866
(32)【優先日】2010年12月6日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA MOTORS CORPORATION
(73)【特許権者】
【識別番号】509117241
【氏名又は名称】株式会社東熙産業
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金 恩 植
(72)【発明者】
【氏名】閔 頂 宣
(72)【発明者】
【氏名】趙 陽 來
(72)【発明者】
【氏名】呉 昊 鍾
(72)【発明者】
【氏名】金 東 煥
(72)【発明者】
【氏名】金 玉 鎭
【審査官】 莊司 英史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−160150(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に回動可能に支持されたブレーキペダルと、
衝突事故発生時に前記車体によって強制的に回転して、前記ブレーキペダルを運転者から遠くなる自動車の前方に強制回転させる回動レバーと、を備え
前記ブレーキペダルがブレーキペダルマウンティングブラケットを介して車体ブラケットに離脱可能に取り付けられ、前記回動レバーは衝突事故発生時に前記車体ブラケットによって回転するように前記ブレーキペダルマウンティングブラケットにヒンジ軸を介して回動可能に設けられ、
前記ヒンジ軸は、前記ブレーキペダルマウンティングブラケットを貫通するヒンジ軸ボルトと、前記回動レバーが嵌められて一体に固定されるように取り付けられるヒンジ軸パイプと、前記ヒンジ軸パイプに結合されたピンとを備え、前記ピンは所定大きさ以上の衝撃力が加われば破損され、前記回動レバーが前記ブレーキペダルを強制回転させることを特徴とするブレーキペダル装置。
【請求項2】
前記ブレーキペダルの上部には環状のアームが一体に突出して形成され、前記回動レバーは前記車体ブラケット側に延びた一端と前記アームにかかるように延びた他端とを各々備えることを特徴とする請求項に記載のブレーキペダル装置。
【請求項3】
前記ヒンジ軸ボルトの一端にはワッシャとナットが嵌められ、前記ヒンジ軸ボルトの他端にはブッシュが嵌められることを特徴とする請求項に記載のブレーキペダル装置。
【請求項4】
前記ブレーキペダルマウンティングブラケットには十字形状の結合孔が形成され、前記ヒンジ軸パイプには複数の結合溝が円周方向に形成され、前記ピンには前記結合孔を貫通して前記結合溝に嵌められて結合される複数の結合突起が形成されることを特徴とする請求項に記載のブレーキペダル装置。
【請求項5】
前記ピンは、所定大きさ以上の衝撃力が加えられれば、前記結合突起が破損されるようにプラスチック材質からなることを特徴とする請求項に記載のブレーキペダル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキペダル装置に係り、より詳しくは、自動車の衝突事故発生時にブレーキペダルによる運転者の傷害を防止するようにしたブレーキペダル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動車のブレーキペダルは、車体にヒンジを介して回動可能に設けられ、運転者がブレーキペダルを操作すれば、ブレーキペダルの操作力がブレーキ油圧発生装置に伝達されてブレーキ油圧が発生し、このように発生したブレーキ油圧が車輪に設けられたブレーキ本体に伝達されて車輪を制動する。
上記のようにブレーキペダルが車体に回動可能に支持された状態で自動車が衝突事故を起こせば、車体が運転者側に押され、車体の押圧によって車体に設けられたブレーキペダルも運転者側に押されて、運転者の脚部を打撃して傷害を負わせることになる。
このような自動車の衝突事故発生時のブレーキペダルによる運転者の傷害を軽減あるいは防止するために、従来もブレーキペダルの運転者側への押圧を防止する色々な技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−335360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ブレーキペダルが車体に支持された状態で衝突事故発生により車体とブレーキペダルが運転者側に押される時、ブレーキペダルによる運転者の傷害を効果的に防止できるようにしたブレーキペダル装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するためになされた本発明は、車体に回動可能に支持されたブレーキペダルと、衝突事故発生時に車体によって強制的に回転して、ブレーキペダルを運転者から遠くなる自動車の前方に強制回転させる回動レバーと、を備えたことを特徴とする。
【0006】
ブレーキペダルがブレーキペダルマウンティングブラケットを介して車体ブラケットに離脱可能に取り付けられ、回動レバーは衝突事故発生時に車体ブラケットによって回転するようにブレーキペダルマウンティングブラケットに回転可能に設けられることを特徴とする。
【0007】
ブレーキペダルの上部には環状のアームが一体に突出して形成され、回動レバーは車体ブラケット側に延びた一端とアームにかかるように延びた他端とを各々備えることを特徴とする。
【0008】
回動レバーはブレーキペダルマウンティングブラケットにヒンジ軸を介して回動可能に設けられ、ヒンジ軸は、ブレーキペダルマウンティングブラケットを貫通するヒンジ軸ボルトと、回動レバーが嵌められて一体に固定されるように取り付けられるヒンジ軸パイプと、ヒンジ軸パイプに結合されたピンとを備え、ピンは所定大きさ以上の衝撃力が加われば破損され、回動レバーがブレーキペダルを強制回転させることを特徴とする。
【0009】
ヒンジ軸ボルトの一端にはワッシャとナットが嵌められ、ヒンジ軸ボルトの他端にはブッシュが嵌められることを特徴とする。
【0010】
ブレーキペダルマウンティングブラケットには十字形状の結合孔が形成され、ヒンジ軸パイプには複数の結合溝が円周方向に形成され、ピンには結合孔を貫通して結合溝に嵌められて結合される複数の結合突起が形成されることを特徴とする。
【0011】
ピンは、所定大きさ以上の衝撃力が加えられれば、結合突起が破損されるようにプラスチック材質からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のブレーキペダル装置によれば、自動車の衝突事故発生時に車体に押されで回転するレバーによってブレーキペダルが運転者から遠くなる自動車の前方に強制的に回転することにより、ブレーキペダルによる運転者の傷害を効果的に防止することができる。
また、構造が簡単であるために自動車の重量および原価節減を図ることができるだけでなく、レイアウト上も有利であり、傷害低減のためにブレーキペダルの強度を弱める必要がないために十分なペダル強度を確保することができ、いかなる形態の前方衝突状況においてもブレーキペダルの強制的な回転によって運転者の傷害を確実に予防できるなどの効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明によるブレーキペダル装置の側面図である。
図2】本発明によるブレーキペダル装置の衝突事故発生時の作動説明図である。
図3】本発明によるヒンジ軸の分解斜視図である。
図4】本発明によるヒンジ軸の先端部斜視図である。
図5】本発明によるヒンジ軸がブレーキペダルマウンティングブラケットに締結された状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を添付した図面に基づいてより詳細に説明する。
図1には本発明によるブレーキペダル装置の衝突前の状態を示す。
車体にはカウルブラケット1が取り付けられ、カウルブラケット1にブレーキペダルマウンティングブラケット2が離脱可能に締結される。
ブレーキペダルマウンティングブラケット2にはブレーキペダル3がヒンジ軸4を中心に回転可能に設けられる。
ブレーキペダル3がブレーキペダルマウンティングブラケット2の内部に収容されたブレーキペダル3の上部には環状に曲げられたアーム3aがブレーキペダル3と一体に連動するように形成される。
【0015】
ヒンジ軸4はブレーキペダルの上部およびアーム3aを貫通して設けられ、ブレーキペダル3とそのアーム3aがヒンジ軸4を中心に一体に回転できるようになる。
ブレーキペダルマウンティングブラケット2には回動レバー5がそのヒンジ軸6を中心に回転できるように設けられ、回動レバー5は大体L字形状で折り曲げられ、その一端5aがアーム3aにかかるように形成される反面、他端5bはカウルブラケット1に接触するように形成される。
【0016】
図2には本発明によるブレーキペダル装置の衝突事故発生時の作動状態を示す。すなわち、自動車の前方衝突事故発生時に車体が運転者側に押され、その衝撃力が図2において矢印で示すようにブレーキペダルマウンティングブラケット2に伝達され、ブレーキペダルマウンティングブラケット2は伝えられた衝撃力によってカウルブラケット1から離脱される。
また、回動レバー5はカウルブラケット1によって矢印で示すように反時計方向にヒンジ軸6を中心に回転し、回動レバー5の回転により、アーム3aとブレーキペダル3はヒンジ軸4を中心に時計方向に回転する。すなわち、ブレーキペダル3が運転者から遠くなる自動車の前方に回転して、ブレーキペダル3による運転者の傷害を効果的に防止する。
【0017】
以下、図3図5を参照して回動レバー5のヒンジ軸6について説明する。
ヒンジ軸6は、ブレーキペダルマウンティングブラケット2を貫通するヒンジ軸ボルト6aと、回動レバー5が嵌められて一体に固定されるように取り付けられるヒンジ軸パイプ6bと、ヒンジ軸パイプ6bに形成された結合溝6baに嵌められて結合されるピン6cと、ヒンジ軸ボルト6aの一端に嵌められるワッシャ6dとナット6e、およびヒンジ軸ボルト6aが貫通して挿入されるブッシュ6fからなる。
ブレーキペダルマウンティングブラケット2には十字形状の結合孔2aが複数形成され、ピン6cには結合孔2aに各々挿入される複数の結合突起6caが半径方向に一体に突出して形成され、結合突起6caは図5の断面図で詳しく示すように結合孔2aを先に貫通した後にヒンジ軸パイプ6bの結合溝6baに各々挿入されて結合される。
【0018】
ピン6cは好ましくはプラスチック材質からなり、所定大きさ以上の外力が加えられれば破損される。すなわち、回動レバー5がカウルブラケット1によって強制的に回転する時に回動レバー5のヒンジ軸パイプ6bも共に回転し、ヒンジ軸パイプ6bの回転力が所定大きさ以上であれば、ヒンジ軸パイプ6bに結合されたピン6cの結合突起6caが破損され、回動レバー5が回転できる。
ピン6cとその結合突起6caの形状、個数および材質は多様に選択することができ、例えば、複数の突起を有した一字型で形成することができ、多角形も可能であり、スチール材質のクリップも可能である。
【符号の説明】
【0019】
1 ・・・カウルブラケット
2 ・・・ブレーキペダルマウンティングブラケット
3 ・・・ブレーキペダル
4 ・・・ヒンジ軸
5 ・・・回動レバー
6 ・・・ヒンジ軸
図1
図2
図3
図4
図5