【文献】
夫律子,NT(nuchal translucency)の評価法と問題点,周産期医学,2011年 4月,Vol.41, No.4,pp.451-457
【文献】
J. J. Hsu ,et al.,"The influence of image magnification in first-trimester screening for Down syndrome by fetal nuchal translucency in Asians",PRENATAL DIAGNOSIS,2004年,vol.24,pp.1007-1012
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記表示制御部は、前記超音波画像上の領域を少なくとも4つの領域に分割し、当該少なくとも4つの領域のうち、前記背側領域を含まない領域であり、かつ、前記頚部画像領域の対角に位置する領域に前記拡大画像を配置するよう制御する、
請求項1に記載の超音波診断装置。
前記表示制御部は、前記超音波画像上の前記背側体表領域を含まない領域である背側体表外画像領域の大きさ、及び、前記頚部画像領域の大きさに応じて、当該頚部画像領域の拡大率を算出し、算出した拡大率を用いて当該頚部画像領域を拡大する、
請求項1〜4のいずれか一つに記載の超音波診断装置。
前記表示制御部は、前記拡大画像の輝度の平均値と前記超音波画像の輝度の平均値とが所定の範囲内に収まるように、前記拡大画像及び前記超音波画像のうち少なくとも一方を調整する、
請求項1〜4のいずれか一つに記載の超音波診断装置。
前記頚部画像領域に含まれる頸部浮腫の長手方向を検出し、検出した長手方向に垂直な方向にある境界間の距離を測定することで、前記頸部浮腫の測定を実行する測定部をさらに備え、
前記表示制御部は、前記測定部による測定結果を前記表示装置にさらに表示するように制御する、
請求項1〜4のいずれか一つに記載の超音波診断装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態に係る超音波診断装置、制御方法及び画像処理装置の一例を説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成の一例を示す図である。
図1に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置は、超音波プローブ1と、モニタ2と、入力装置3と、装置本体10とを有する。以下では、まず、超音波診断装置の全体像について示し、その後、詳細について示す。
【0010】
超音波診断装置の全体像について示す。超音波プローブ1は、複数の圧電振動子と、圧電振動子に設けられた整合層と、圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材とを有する。超音波プローブ1が有する複数の圧電振動子は、後述する装置本体10が有する送信部11から供給される駆動信号に基づいて超音波を発生する。また、超音波プローブ1の複数の圧電振動子は、被検体Pからの反射波を受信して電気信号に変換する。なお、反射波は、「超音波エコー」や「エコー信号」、「反射波信号」とも称する。
【0011】
超音波プローブ1から被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号として超音波プローブ1が有する複数の圧電振動子によって受信される。反射波信号の振幅は、超音波を反射した不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、血流や拍動中の心臓壁の表面などで超音波が反射した場合、反射波信号は、ドプラ効果により、周波数が偏移している。ここで、周波数遷移の大きさは、血流や心臓壁の表面の超音波送信方向に対する速度成分に依存する。
【0012】
モニタ2は、超音波診断装置の利用者が入力装置3を用いて各種設定を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体10において生成された超音波画像を表示したりする。モニタ2は、「表示装置」とも称する。以下では、モニタ2が、超音波診断装置の一部である場合を用いて説明するが、これに限定されるものではなく、超音波診断装置とは別の外部装置であっても良い。モニタ2は、後述する入力装置3を兼ねてもよい。
【0013】
入力装置3は、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、フットスイッチ、トラックボールなどを有する。入力装置3は、超音波診断装置の利用者から各種設定を受け付け、受け付けた各種設定を装置本体10に送信する。例えば、入力装置3は、後述するNT画像領域の中心付近を指定する操作を利用者から受け付け、受け付けた操作内容を装置本体10に送信する。
【0014】
装置本体10は、超音波プローブ1が受信した反射波信号に基づいて超音波画像を生成する。
図1に示す例では、装置本体10は、送信部11と、受信部12と、Bモード処理部13と、ドプラ処理部14と、画像生成部15と、画像メモリ16と、制御部17と、内部記憶部18とを有する。
【0015】
送信部11は、トリガ発生回路、遅延回路及びパルサ回路などを有する。送信部11は、超音波プローブ1に駆動信号を供給する。送信部11は、超音波送信時における送信指向性を制御する。具体的には、パルサ回路は、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。遅延回路は、超音波プローブ1から発生される超音波をビーム状に集束し、かつ送信指向性を決定する上で必要な圧電振動子ごとの遅延時間を、パルサ回路が発生する各レートパルスに付与する。トリガ発生回路は、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ1に駆動信号を印加する。なお、駆動信号を「駆動パルス」とも称する。
【0016】
受信部12は、アンプ回路、A/D変換器、加算器などを有する。受信部12は、超音波プローブ1が受信した反射波信号に対して各種処理を行うことで、反射波データを生成する。また、受信部12は、超音波受信時における受信指向性を制御する。
【0017】
具体的には、アンプ回路は、反射波信号を増幅してゲイン補正処理を行う。A/D変換器は、ゲイン補正された反射波信号をA/D変換して受信指向性を決定する上で必要な遅延時間を付与する。加算器は、A/D変換器によって処理された反射波信号の加算処理を行うことで反射波データを生成する。ここで、加算器による加算処理の結果、反射波信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調される。
【0018】
Bモード処理部13は、受信部12から反射波データを受け取り、対数増幅、包絡線検波処理などを行うことで、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。Bモード処理部13により生成されたデータは、「Bモードデータ」とも称される。
【0019】
ドプラ処理部14は、受信部12から受け取った反射波データから速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、平均速度、分散、パワーなどの移動体情報を多点について抽出したデータを生成する。ドプラ処理部14により生成されたデータは、「ドプラデータ」とも称される。
【0020】
画像生成部15は、Bモード処理部13が生成したBモードデータや、ドプラ処理部14が生成したドプラデータから、超音波画像を生成する。具体的には、画像生成部15は、超音波スキャンの走査線信号列を、テレビなどに代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換することで、表示用画像としての超音波画像を生成する。例えば、画像生成部15は、BモードデータからBモード画像を生成し、ドプラデータからドプラ画像を生成する。なお、画像生成部15によるビデオフォーマットの走査線信号列への変換処理を「スキャンコンバート」とも称する。また、Bモードデータ及びドプラデータを「生データ」とも称する。なお、画像生成部15は、種々のパラメータの文字情報、目盛り、ボディーマークなどを生成した超音波画像に合成することで、合成画像を生成しても良い。
【0021】
画像メモリ16は、画像生成部15が生成した超音波画像や、超音波画像を画像処理することで生成された合成画像を記憶する。なお、画像メモリ16は、生データそのものを記憶しても良い。
【0022】
制御部17は、超音波診断装置による処理全体を制御する。具体的には、制御部17は、入力装置3を介して利用者から入力された各種設定や、内部記憶部18から読み込んだ各種制御プログラム及び各種設定情報に基づき、送信部11、受信部12、Bモード処理部13、ドプラ処理部14及び画像生成部15の処理を制御する。また、詳細については後述するように、制御部17は、画像メモリ16が記憶する超音波画像をモニタ2にて表示する。
【0023】
内部記憶部18は、超音波送受信、画像処理及び表示処理を行うための制御プログラム、画像生成部15により超音波画像が生成された際の状態を示す情報、診断プロトコルや各種設定情報などの各種データを記憶する。例えば、内部記憶部18は、画像生成部15により超音波画像が生成された際の状態を示す情報として、胎児の診断情報や、画像生成部15により超音波画像が生成された際の計測精度などを記憶する。例えば、内部記憶部18は、計測精度として、表示桁数や単位を記憶する。また、胎児の診断情報とは、例えば、胎児のGA(Gestational Age、妊娠週数)などが該当する。
【0024】
なお、内部記憶部18に記憶された画像生成部15により超音波画像が生成された際の状態を示す情報は、利用者によって入力されたり、画像生成部15によって入力されたりする。また、内部記憶部18は、画像メモリ16が記憶するデータを記憶しても良い。内部記憶部18が記憶するデータは、図示しないインターフェース回路を経由して、外部の周辺装置へ転送されても良い。
【0025】
以上、第1の実施形態に係る超音波診断装置の全体構成について説明した。かかる構成のもと、第1の実施形態に係る超音波診断装置は、胎児の超音波画像を生成し、利用者により胎児のNT(Nuchal Translucency、頚部浮腫)の厚さを計測するのに用いられる。
【0026】
具体的には、第1の実施形態に係る超音波診断装置は、抽出部と、検出部と、表示制御部とを備える。抽出部は、超音波送受信により得られた胎児の超音波画像から頚部を含む領域である頚部画像領域を抽出する。検出部は、胎児の超音波画像から胎児の背側の体表に関する領域である背側体表領域を検出する。表示制御部は、頚部画像領域を拡大した画像の一部又は全部を含む拡大画像を超音波画像上の背側領域とは異なる領域に配置して表示装置に表示するよう制御する。
【0027】
周知のように、胎児のNTは、頚部に生じる浮腫である。そのため、第1の実施形態に係る超音波診断装置は、胎児の超音波画像から頚部を含む領域である頚部画像領域を抽出する。第1の実施形態では、抽出部によって抽出される頚部画像領域を「NT画像領域」と呼ぶ。また、第1の実施形態では、表示制御部が、抽出部によって抽出された頸部画像領域をそのまま拡大して拡大画像を生成する場合の例について説明する。なお、第1の実施形態では、胎児にNTが生じている場合の例について説明するが、ここで説明する超音波診断装置は、NTが生じていない胎児を診断する際にも用いることができる。
【0028】
図2を用いて、胎児のNTについて説明する。
図2は、胎児のNTについて示す図である。
図2の20、30は、それぞれ、胎児を示す。21、31は、それぞれ、胎児のNTを示す。胎児20は、NTが厚くなっていない正常な胎児の一例を示す。胎児30は、正常な胎児と比較してNTが厚くなっている胎児の一例を示す。正常な胎児20と比較してNTの厚さが厚くなっている胎児30では、ダウン症などの染色体異常や先天性疾患などの胎児異常の確率が増加すると言われている。
【0029】
ここで、NT計測を実行する上では、種々の計測条件を満たすことが要求される。例えば、NTの厚さは胎児の姿勢によって変化することから、胎児の姿勢が所定の姿勢であることが要求される。一方、利用者が計測条件を満たさないままNTの厚さを計測することがある。この結果、計測されたNTの厚さが有効な値とならなかったり、計測誤差が大きくなったりすることがある。このことを踏まえ、第1の実施形態に係る超音波診断装置では、以下に説明する一連の処理を制御部17が実行する。
【0030】
図3は、第1の実施形態における制御部による一連の処理の全体像について示す図である。
図3の(1)は、画像生成部15により生成された超音波画像を示す。ここで、
図3の(2)に示すように、制御部17では、後述する抽出部17aが、NTを含む領域であるNT画像領域41を超音波画像から抽出する。また、
図3の(3)に示すように、検出部17bは、超音波画像から、胎児の背側の体表42を検出し、
図3の(4)に示すように、検出した背側の体表42を含まない領域である背側体表外画像領域43を超音波画像から検出する。なお、
図3の(4)において、斜線が付された部分が背側体表外画像領域43に該当する。そして、
図3の(5)に示すように、表示制御部17eは、NT画像領域の拡大画像を背側体表外画像領域43に表示する。なお、
図3の(5)では、説明の便宜上、胎児の背側の体表42に対応する箇所を点線で囲ったが、実際の画面上には、胎児の背側の体表42に対応する点線はないものとする。
【0031】
すなわち、胎児の姿勢は、胎児の背側の体表を見れば識別できることに着目し、抽出部17aは、胎児の背側の体表が隠れないように、背側体表外画像領域にNT画像領域の拡大画像を表示する。この結果、利用者は、胎児の姿勢を確認しながらNT画像領域の拡大画像を視認でき、NT計測を適切に測定可能となる。
【0032】
図4を用いて、制御部17の構成の詳細な一例を示す。
図4は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の制御部の構成の一例を示すブロック図である。
図4では、説明の便宜上、モニタ2と、入力装置3と、装置本体10と、画像メモリ16とを併せて示した。
図4に示すように、制御部17は、抽出部17aと、検出部17bと、NT測定部17cと、判定部17dと、表示制御部17eとを有する。
【0033】
抽出部17aは、画像生成部15により生成された超音波画像から、NT画像領域を抽出する。例えば、抽出部17aは、NT画像領域の中心付近が利用者により指定されると、指定された領域から所定の範囲内にある画像部分をNT画像領域として抽出する。なお、NTがある領域は、胎児の首の後ろであることがわかっており、抽出部17aは、公知の画像認識処理を実行することで、超音波画像から胎児の首の後ろの部分を検出し、検出した部分をNT画像領域として抽出しても良い。
【0034】
なお、抽出部17aは、NT画像領域として、任意の形状の画像領域を抽出して良い。例えば、抽出部17aは、円形や楕円形、あるいは長方形や正方形の画像領域を抽出しても良い。また、抽出部17aは、NT画像領域の中心付近が利用者により指定された後、NT画像領域として抽出する画像領域の大きさの設定を利用者から受け付けても良い。例えば、NT画像領域が円形である場合には、抽出部17aは、半径を利用者から受け付けても良い。
【0035】
検出部17bは、超音波画像から胎児の背側の体表を検出し、検出した背側の体表を含まない領域である背側体表外画像領域を超音波画像から検出する。例えば、検出部17bは、公知の画像認識処理を実行することで、胎児の背側の体表を検出し、検出した領域を除いた超音波画像の残りの領域を背側体表外画像領域として検出する。なお、検出部17bは、背側体表外画像領域を検出する際に、背側体表外画像領域を含む画像領域の指定を利用者から受け付け、受け付けた画像領域を背側体表外画像領域として検出しても良い。
【0036】
図5を用いて、胎児の背側の体表について示す。
図5は、胎児の背側の体表について示す図である。
図5の50は、胎児の一例を示し、60は、胎児50の超音波画像の一例を示し、51及び61は、胎児の背側の体表を示す。
図5に示すように、胎児の背側の体表は、胎児のうち、背中側にある体表を示す。言い換えると、超音波画像に含まれる胎児の輪郭のうち、背中側にある輪郭部分を示す。
【0037】
NT測定部17cは、抽出部17aにより抽出されたNT画像領域において、NTの長手方向を検出し、検出した長手方向に垂直な方向に対して境界検出を実行し、検出した境界間の距離を測定することで、NT測定を実行する。
【0038】
例えば、NT測定部17cは、NTの長手方向を検出する手法として、NT画像領域の中心点から放射状に輝度の低い部を探索し、一番長く到達した方向を長手方向として検出する。すなわち、NT測定部17cは、中心点を含む任意の直線ごとに、輝度の低い部分を検出し、検出した輝度の低い部分間の距離を算出する。そして、NT測定部17cは、算出した距離が最も長い直線を長手方向として検出する。
【0039】
また、例えば、NT測定部17cは、隣接する画素間の画素値の差分を算出することで、NTとNT以外の領域との間の境界を検出する。ここで、NT測定部17cは、検出した長手方向と垂直に直交する線分であって、NTとNT以外の領域との境界に挟まれた線分の長さを測定することで、NTの厚さを測定するNT測定を実行する。
【0040】
図6は、第1の実施形態におけるNT測定部について示す図である。
図6の70は、超音波画像を示し、
図6の71は、NT画像領域の拡大画像を示す。
図6の72は、NT測定部17cにより検出された長手方向を示す。
図6の73及び74は、NT測定部17cにより検出された境界を示す。
図6に示す例では、NT測定部17cが、長手方向を示す直線上にある全ての点について、長手方向と垂直に交差する直線上にある境界を検出した場合を例に示した。
【0041】
図6の75は、長手方向と垂直に交差して境界73と境界74とを端部とする線分である。この結果、線分75の長さが、NTの厚さを示す。
図6に示すように、NT測定部17cは、NT画像領域において、長手方向72を検出し、長手方向と垂直に交差する方向にある境界73及び境界74との交点を検出し、検出した交点間の距離(最大値)を算出することで、NTの厚さを算出する。
【0042】
判定部17dは、画像生成部15により超音波画像が生成された際の状態が、NT計測を行う上で満たすことが要求される条件に合致しているか否かを判定する。例えば、判定部17dは、画像生成部15により超音波画像が生成された際の状態を内部記憶部18から読み出したり、超音波画像を解析することで取得したりする。より詳細な一例をあげて説明すると、判定部17dは、妊娠種数や計測精度を内部記憶部18から読み出し、超音波画像を解析することで、胎児のCRL(Crown Rump Length、頭殿長)を取得する。そして、判定部17dは、NT測定部17cにより測定されたNTの厚さの計測精度が0.1mmであるか否かを判定し、胎児のGA(Gestational Age、妊娠週数)が11〜13週プラス6日であるか否かを判定し、胎児のCRL(Crown Rump Length、頭殿長)が45mm〜84mmであるか否かを判定する。
【0043】
表示制御部17eは、抽出部17aにより抽出されたNT画像領域を拡大した拡大画像と、超音波画像とを併せて、モニタ2にて表示するように制御する。具体的には、表示制御部17eは、検出部17bにより検出された背側体表外画像領域に、NT画像領域の拡大画像を表示する(
図3の(5)参照)。
【0044】
NTの厚さは胎児の姿勢によって変化し、NT計測を行う上では胎児の姿勢を把握することが重要である。ここで、胎児の姿勢は、胎児の背側の体表を見れば識別できることを踏まえ、表示制御部17eは、胎児の背側の体表が隠れないように、背側体表外画像領域にNT画像領域の拡大画像を表示する。
【0045】
また、表示制御部17eは、検出部17bにより検出された背側体表外画像領域に収まるようなNT画像領域の拡大率を算出し、算出した拡大率にてNT画像領域を拡大する。例えば、表示制御部17eは、背側体表外画像領域に収まる最大の拡大率を算出し、算出した最大の拡大率を用いてNT画像領域を拡大する。また、例えば、拡大率として上限値が利用者により予め設定された場合には、表示制御部17eは、算出した最大の拡大率が上限値を超える場合には、上限値となる拡大率を用いてNT画像領域を拡大する。なお、表示制御部17eは、拡大前の画像の表示サイズに応じて、異なる最大の拡大率を設定しておいても良い。なお、上限値は、超音波プローブの性能やモニタ2の性能によって決定されても良い。また、上限値として、例えば、超音波画像における「1cm」がモニタ2の半分に相当することになるような拡大率を用いても良い。
【0046】
また、ここで、拡大画像の位置を利用者が設定し直してもよい。例えば、拡大画像の位置を決定する一例を説明する。例えば、表示画面を4等分して、利用者が設定したNT画像領域の位置の対角にある領域に拡大画像を表示してもよい。2段2列の4つの領域に表示画面を分割した場合を例に説明する。この場合、表示制御部17eは、2段目であって2列目にある領域に、NT画像領域を含む領域があると設定されると、1段目であって1列目にある領域に、拡大画像を表示する。言い換えると、表示制御部17eは、利用者が設定したNT画像領域が左下にある領域である場合には、対角にある右上にある領域に拡大画像を表示する。
【0047】
また、表示制御部17eは、NT画像領域の拡大画像と超音波画像と併せて、NT測定部17cによる測定結果を表示するように制御する。ここで、表示制御部17eは、判定部17dにより合致しないと判定された場合に、利用者に警告を出力する。より詳細な一例をあげて説明すると、表示制御部17eは、判定部17dにより合致すると判定されなかった場合に、測定結果に所定のマークを付したり、画面の色を変更した上で測定結果を表示したりする。所定のマークとは、例えば、「★」「※」「<」など任意の記号やマークが該当する。なお、表示制御部17eは、「警告出力部」とも称する。
【0048】
また、表示制御部17eは、NT画像領域を拡大する際に、輝度値を調整したり、ボケの低減処理を実行したり、境界の強調処理を行っても良い。例えば、表示制御部17eは、NT画像領域の拡大画像の輝度の平均値と、超音波画像の輝度の平均値とが所定の範囲内に収まるように、NT画像領域の拡大画像及び前記超音波画像のうち少なくとも一方を調整する。より詳細な一例をあげて説明すると、表示制御部17eは、NT画像領域の拡大画像の輝度を調整したり、超音波画像の輝度を調整したり、NT画像領域の拡大画像の輝度及び超音波画像の輝度を調整することで、輝度の平均値を同等にする。
【0049】
また、表示制御部17eは、輝度調整の一例として、NT画像領域の拡大画像のヒストグラムが大きく変化しないようにする。また、例えば、表示制御部17eは、NTの境界を検出し、検出した境界部分をNT画像領域の拡大画像において強調表示する。
図6を用いて説明すると、表示制御部17eは、境界74及び境界75を、NT画像領域の拡大画像上に併せて表示する。
【0050】
[第1の実施形態の処理の流れ]
図7は、第1の実施形態に係る超音波診断装置による処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0051】
図7の説明に戻る。
図7に示すように、NT画像領域の中心付近が利用者により指定されると(ステップS101肯定)、抽出部17aは、NT画像領域を抽出する(ステップS102)。具体的には、抽出部17aは、指定された領域から所定の範囲内にある画像部分をNT画像領域として抽出する。
【0052】
そして、検出部17bは、超音波画像から胎児の背側の体表を検出し(ステップS103)、検出した背側の体表を含まない領域である背側体表外画像領域を超音波画像から検出する(ステップS104)。
【0053】
そして、表示制御部17eは、背側体表外画像領域のサイズに基づいて、NT画像領域の拡大率を算出する(ステップS105)。例えば、表示制御部17eは、背側体表外画像領域に収まる最大の拡大率を算出する。そして、表示制御部17eは、算出した拡大率にてNT画像領域を拡大する(ステップS106)。
【0054】
そして、表示制御部17eは、NT画像領域の拡大画像を、背側体表外画像領域に表示する(ステップS107)。すなわち、表示制御部17eは、抽出部17aにより抽出されたNT画像領域を拡大した拡大画像と、超音波画像に撮影された胎児の背側の体表とを併せてモニタ2にて表示する。
【0055】
そして、表示制御部17eは、NT画像領域の拡大画像を補正する(ステップS108)。例えば、表示制御部17eは、NT画像領域の拡大画像の輝度の平均値と、超音波画像の輝度の平均値とが同等になるように輝度を調整する。そして、表示制御部17eは、NTの境界を検出し、強調表示する(ステップS109)。例えば、
図6を用いて説明すると、表示制御部17eは、境界74及び境界75を、NT画像領域の拡大画像上に併せて表示する。
【0056】
また、NT測定部17cは、NTの幅を計測する(ステップS110)。
図6を用いて説明すると、NT測定部17cは、境界73と境界74との間の距離を算出することで、NTの厚さ75を算出する。
【0057】
そして、判定部17dは、NT測定の条件を満たすかを判定する(ステップS111)。具体的には、判定部17dは、画像生成部15により超音波画像が生成された際の胎児の状態が、NT計測を行う上で満たすことが要求される条件に合致しているか否かを判定する。ここで、判定部17dにより合致すると判定されなかった場合には(ステップS111否定)、表示制御部17eは、警告付きで計測結果を出力する(ステップS112)。例えば、表示制御部17eは、「★」「※」「<」など任意の記号を付した上で測定結果を表示する。一方、判定部17dにより合致すると判定された場合には(ステップS111肯定)、表示制御部17eは、測定結果をそのまま表示する(ステップS113)。
【0058】
なお、
図7に示す処理の流れの一例では、超音波診断装置が、NT画像領域の拡大画像を表示した後に、拡大画像を補正したり強調表示を実行したりする場合を例に説明するが、これに限定されるものではない。例えば、超音波診断装置は、拡大画像を補正し、強調表示を実行した後に、補正後や強調表示後の拡大画像を表示しても良い。また、
図7に示す処理の流れの一例では、超音波診断装置が、NT画像領域の拡大画像を表示した後に、NTの厚さを計測する場合を例に説明するが、これに限定されるものではない。例えば、超音波診断装置は、NT画像領域の拡大画像を表示する前に、NTの厚さを計測しても良い。
【0059】
[第1の実施形態の効果]
上述したように、第1の実施形態によれば、画像生成部15は、超音波プローブから胎児に対して送信された超音波の反射波に基づいて、胎児の超音波画像を生成する。また、制御部17は、生成した超音波画像から、NT画像領域を抽出し、抽出したNT画像領域を拡大した拡大画像と超音波画像とを併せて表示装置にて表示するように制御する。この結果、NT画像領域の拡大画像を表示でき、NT計測を適切に実行することが可能である。具体的には、利用者は、NTの拡大画像を見ながらNTの厚さを計測でき、NT計測の精度を向上することが可能である。
【0060】
また、第1の実施形態によれば、制御部17は、超音波画像から胎児の背側の体表を検出し、背側体表外画像領域を超音波画像から検出する。また、制御部17は、検出した背側体表外画像領域に、NT画像領域の拡大画像を表示する。この結果、胎児の姿勢がNT計測に適した姿勢かを確実に確認しながらNT計測を実行でき、NT計測を適切に実行することが可能である。
【0061】
ここで、
図8を用いて、第1の実施形態における胎児の姿勢とNTの厚さについて更に説明する。
図8は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の効果について示す図である。
図8の「81」「82」は、胎児の超音波画像の一例を示す。
図8の「81」の胎児は、胎児頚部過伸展となっており、
図8の「82」の胎児は、胎児頚部前屈となっている。NTの厚さを測定する際には、胎児がニュートラルポジションにいるときに計測することが求められる。ここで、
図8の「81」に示すように、胎児の頚部が過伸展となっている際には、NTの厚さが「0.6mm」増加し、
図8の「82」に示すように、胎児の頚部が前屈している際には、NTの厚さが「0.4mm」小さくなることが知られている。
【0062】
図8を用いて説明したように、NTの厚さは胎児の姿勢によって変化する。ここで、胎児の姿勢については、例えば、胎児が過伸展しているか否か、前屈しているか否か、ニュートラルポジションにいるか否かについては、胎児の背側の体表を見ればわかることに着目し、超音波診断装置は、NT画像領域の拡大画像を背側体表外画像領域に表示する。この結果、利用者は、NT画像領域の拡大画像と、胎児の背側の体表とを同時に確認でき、胎児の姿勢を確認しながら、NTの厚さを測定することが可能である。
【0063】
また、第1の実施形態によれば、制御部17は、検出した背側体表外画像領域に収まるようなNT画像領域の拡大率を算出し、算出した拡大率にてNT画像領域を拡大する。この結果、胎児の背側の体表が隠れない範囲内で、NT画像領域を拡大でき、胎児の姿勢を確認しながら、NTの厚さを測定することが可能である。
【0064】
また、第1の実施形態によれば、制御部17は、NT画像領域の中心付近が利用者により指定されると、指定された領域から所定の範囲内にある画像部分をNT画像領域として抽出する。この結果、制御部17がNT画像領域を確実に抽出でき、利用者は、NT画像領域の拡大画像を確実に視認することが可能である。
【0065】
また、第1の実施形態によれば、制御部17は、NT画像領域の拡大画像の輝度の平均値と、超音波画像の輝度の平均値とが同等になるように輝度を調整する。この結果、超音波画像と拡大画像とを併せて表示したとしても、利用者が両画像を見やすい状態にて表示可能である。
【0066】
また、第1の実施形態によれば、制御部17は、NTの境界を検出し、検出した境界部分をNT画像領域の拡大画像において強調表示するように制御する。この結果、利用者は、NTの境界を確実に確認でき、NTの厚さを簡単に測定することが可能である。
【0067】
また、第1の実施形態によれば、制御部17は、NT画像領域において、NTの長手方向を検出し、検出した長手方向に垂直な方向に対して境界検出を実行し、検出した境界間の距離を測定する。この結果、NTの厚さを測定する際に利用者にかかる処理負荷を軽減することが可能である。
【0068】
また、第1の実施形態によれば、制御部17は、NT画像領域の拡大画像と超音波画像と併せて測定結果を表示するように制御する。この結果、NT画像領域の拡大画像や超音波画像を確認しながら、測定結果を見ることが可能である。
【0069】
また、第1の実施形態によれば、制御部17は、超音波画像が生成された際の胎児の状態が、NT計測を行う上で満たすことが要求される条件に合致しているか否かを判定し、合致しないと判定した場合に利用者に警告を出力する。この結果、胎児のGAやCRLがNT計測の適応範囲にもかかわらずNTの厚さが計測されてしまったとしても、利用者が適用範囲にないことを見過ごすことを防止可能である。
【0070】
なお、第1の実施形態の変形例として、例えば、検出部17bは、超音波画像から胎児の背側の体表に関する領域である背側体表領域を検出し、表示制御部17eは、超音波画像上の領域を複数の領域に分割し、分割した複数の領域のうち、背側体表領域を含まない領域に拡大画像を配置するよう制御してもよい。
図9及び10は、第1の実施形態に係る変形例を説明するための図である。
【0071】
例えば、
図9に示すように、検出部17bは、超音波画像から胎児の背側の体表に関する背側体表領域91を検出する。ここで、検出部17bが背側体表領域91を検出する方法は、上記実施形態で体表を検出した方法と同じである。また、例えば、
図9に示すように、表示制御部17eは、超音波画像上の領域を6つの領域92〜97に分割する。ここで、
図9に示す例では、領域95及び96に背側体表領域91の一部が含まれている。したがって、表示制御部17eは、残りの領域92、93、94又は97のいずれかに拡大画像98を配置するよう制御する。このとき、例えば、表示制御部17eは、背側体表領域が含まれない領域のうちいずれかを選択する操作を操作者から受け付け、その操作によって選択された領域に拡大画像を配置するよう制御する。
【0072】
また、例えば、表示制御部17eは、超音波画像上の領域を少なくとも4つの領域に分割し、分割した少なくとも4つの領域のうち、背側領域を含まない領域であり、かつ、頚部画像領域の対角に位置する領域に拡大画像を配置するよう制御してもよい。この場合には、例えば、
図10に示すように、表示制御部17eは、超音波画像上の領域を4つの領域102〜105に分割する。ここで、領域104及び105に背側体表領域91の一部が含まれている。そして、残りの領域102及び103のうち、領域103が頚部画像領域101の対角に位置している。したがって、表示制御部17eは、領域103に拡大画像98を配置するよう制御する。
【0073】
また、他の変形例として、例えば、検出部17bは、超音波画像から胎児の腹側の領域である腹側領域を検出し、表示制御部17eは、超音波画像上の腹側領域に拡大画像を配置するよう制御してもよい。この場合には、例えば、検出部17bは、公知の画像認識処理を実行することで胎児の顔を検出し、検出した胎児の顔と背側の体表との位置から腹側領域を検出する。そして、表示制御部17eは、検出部17bによって検出された腹側領域に拡大画像を配置するよう制御する。
【0074】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。上記第1の実施形態では、表示制御部17eが、抽出部17aによって抽出された頸部画像領域をそのまま拡大して拡大画像を生成する場合の例について説明した。これに対し、第2の実施形態では、表示制御部17eが、頚部画像領域を拡大した画像の一部又は全部を含む拡大画像を生成する場合の例について説明する。すなわち、第2の実施形態では、表示制御部17eは、拡大画像として、頸部画像領域の一部を拡大した画像や、頸部画像領域だけでなく、その周辺の領域も含めた範囲を拡大した画像を生成する。つまり、第2の実施形態では、拡大画像の表示領域の大きさと頸部画像領域の拡大率とが、それぞれ別に決定される。
【0075】
なお、第2の実施形態に係る超音波診断装置の構成は、基本的には、
図1及び4に示したものと同じであるが、表示制御部17eが、拡大画像の表示領域の大きさと頸部画像領域の拡大率とをそれぞれ別に決定する点が異なる。そこで、以下では、第2の実施形態における表示制御部17eの機能について説明する。なお、第2の実施形態に係る表示制御部17eは、拡大画像を表示させる位置については、第1の実施形態と同様の方法で決定する。
【0076】
図11〜14は、第2の実施形態に係る超音波診断装置を説明するための図である。第2の実施形態では、表示制御部17eは、まず、拡大画像の表示領域の大きさを決定する。具体的には、表示制御部17eは、胎児の超音波画像上の背側体表領域を含まない領域である背側体表外画像領域の大きさに応じて、拡大画像の表示領域の大きさを決定する。
【0077】
例えば、
図11に示すように、表示制御部17eは、背側の体表を含まない領域である背側体表外画像領域111(
図11に示す斜線付きの領域)に収まる最大の大きさとなるように、拡大画像の表示領域の大きさ(
図11に示す破線の四角112の大きさ)を決定する。または、表示制御部17eは、背側体表外画像領域の半分の大きさや、3分の1の大きさなど、背側体表外画像領域の大きさに所定の割合を乗じて得られる大きさを、拡大画像の表示領域の大きさとして決定してもよい。
【0078】
そして、表示制御部17eは、頸部画像領域の拡大率を決定する。具体的には、表示制御部17eは、背側体表外画像領域の大きさ及び頚部画像領域の大きさに応じて、頚部画像領域の拡大率を算出し、算出した拡大率を用いて頚部画像領域を拡大する。
【0079】
例えば、表示制御部17eは、背側体表外画像領域に頚部画像領域が収まる最大の拡大率を算出し、算出した拡大率を用いて頚部画像領域を拡大する。このとき、表示制御部17eは、
図11に示したように、背側体表外画像領域に収まる最大の大きさとなるように拡大画像の表示領域の大きさを決定しておけば、
図12に示すように、実施形態1と同様に、背側体表領域113が隠れず、かつ、頸部画像領域114の全体が最も大きく表示されるようになる。
【0080】
これに対し、決定した拡大画像の表示領域の大きさに対して頚部画像領域114の拡大率が大きかった場合には、
図13に示すように、頚部画像領域114の一部を拡大した画像が拡大画像として表示されることになる。ここで、頚部画像領域114の一部のみが拡大されて表示された結果、頚部画像領域114における関心領域が表示されなかった場合には、表示制御部17eは、操作者による操作に応じて拡大画像をパン(pan)することで、観察したい領域を表示させる。なお、ここでいう「パンする」とは、表示対象の画像の一部のみを表示させるような場合に、その画像に対して、表示される範囲を移動させることである。また、決定した拡大画像の表示領域の大きさに対して頚部画像領域114の拡大率が小さかった場合には、
図14に示すように、頸部画像領域114だけでなく、その周辺の領域も含めた範囲を拡大した画像が表示されることになる。このとき、表示制御部17eは、拡大画像として表示されている範囲に合わせて頚部画像領域114の大きさを変更してもよいし、拡大画像として表示されている範囲を頚部画像領域114とは異なる別の領域として表示してもよい。
【0081】
なお、例えば、表示制御部17eは、入力装置3を介して操作者から拡大率を受け付けて内部記憶部18などに記憶させておき、その拡大率を用いて頚部画像領域を拡大するようにしてもよい。また、表示制御部17eは、入力装置3を介して拡大率の変更指示を操作者から受け付け、受け付けた変更指示に応じて、内部記憶部18などに記憶させた拡大率を変更するようにしてもよい。
【0082】
また、例えば、表示制御部17eは、算出した拡大率が所定の上限値を超える場合には、その上限値を用いて頚部画像を拡大するようにしてもよい。このとき、表示制御部17eは、例えば、超音波画像における尺度が表示装置の表示領域の大きさにより定まる所定の尺度で表示されるような拡大率を上限値として用いる。例えば、表示制御部17eは、上限値として、超音波画像における「1cm」がモニタ2の表示領域の半分に相当することになるような拡大率を用いる。または、表示制御部17eは、背側体表外画像領域に頚部画像領域が収まる最大の拡大率を、拡大率の上限値として用いてもよい。
【0083】
(第3の実施形態)
さて、これまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態以外にも、その他の実施形態にて実施されても良い。そこで、以下では、その他の実施形態を示す。
【0084】
[画像の補正]
例えば、上述した実施形態では、表示制御部17eが、NT画像領域の拡大画像について、輝度などを調整する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、表示制御部17eは、輝度などを調整することなく、NT画像領域の拡大画像をそのまま表示しても良い。
【0085】
[強調表示]
また、例えば、上述した実施形態では、表示制御部17eが、NTの境界を検出し、検出した境界部分を強調表示する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、表示制御部17eは、強調表示しなくても良い。
【0086】
[NT計測]
また、例えば、上述した実施形態では、NT測定部17cが、NTの境界を検出し、NTの厚さを自動計測する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、利用者が手動にてNTの厚さを計測しても良く、NT計測部17cによる計測結果を利用者が修正しても良い。詳細な一例をあげて説明すると、例えば、NT測定部17cは、利用者によりNTの境界を示す地点が2点指定されると、指定された2点間の距離を測定し、測定結果を利用者に出力しても良い。また、この場合、表示制御部17eは、例えば、拡大画像に基づいて利用者により実行されたNT計測結果を、拡大画像と超音波画像と併せて表示するように制御する。また、表示制御部17eは、NT測定の測定結果を表示する一方、拡大画像と超音波画像とのうち、いずれか一方または両方を表示しなくても良い。また、例えば、NT測定部17cにより検出された境界の位置を修正する修正指示を利用者から受け付けても良い。
【0087】
[システム構成]
また、本実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。例えば、公知の画像認識処理を実行することで、NT画像領域を超音波画像から自動で抽出しても良い。この他、上述文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報(
図1〜
図8)については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0088】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、
図1や
図4を例に説明すると、制御部17のうち、抽出部17a〜表示制御部17eを外部装置とし、超音波診断装置とネットワーク経由で接続するようにしても良い。
【0089】
すなわち、上述した実施形態では、超音波診断装置が超音波画像に対する画像処理を実行する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、
図4において、制御部17を有する画像処理装置が、超音波診断装置から超音波画像を受信して一連の処理を実行しても良く、各種の医用画像のデータを管理するシステムであるPACS(Picture Archiving and Communication Systems)のデータベースから超音波画像を受信して一連の処理を実行しても良く、医用画像が添付された電子カルテを管理する電子カルテシステムのデータベースから超音波画像を受信して一連の処理を実行しても良い。
【0090】
なお、画像処理装置は、既知のパーソナルコンピュータ、ワークステーション、PDA(Personal Digital Assistant)などの任意の情報処理装置を利用して実現して良い。例えば、PDAなどの情報処理装置に、
図4の制御部17やモニタ2、画像メモリ16を搭載することで実現しても良い。
【0091】
[その他]
なお、本実施形態で説明した超音波診断装置の制御プログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。また、超音波診断装置プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【0092】
[実施形態の効果]
以上説明したとおり、上述した実施形態によれば、NT計測を適切に測定可能である。
【0093】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。