(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基台は、前記装着位置に位置する前記回転台の前記ブラケットの側に対面する部分に、前記基台の端部から延びる水平位置と当該回転台を支えて前記規制部の一部をなす垂直位置との間を回転自在であって、当該水平位置と垂直位置とに位置決め固定される補助基台を備える、ことを特徴とする請求項1に記載の移動用電力ケーブルのための架台。
前記回転台の回転方向のうち、前記装着位置から前記使用位置に向けた方向の回転のみを解除可能に許容するラチェット機構を備える、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の移動用電力ケーブルのための架台。
前記回転台に、倍力装置を介して手動で、前記装着位置から前記使用位置に向けた方向の回転力を付与する操作駆動部を備える、ことを特徴とする請求項4に記載の移動用電力ケーブルのための架台。
前記回転台に、動力源の回転駆動力を伝達して、前記装着位置から前記使用位置に向けた方向の回転力を付与する動力伝達機構を備える、ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一に記載の移動用電力ケーブルのための架台。
前記回転台に、この回転台と前記基体との間に掛け渡した油圧シリンダーの伸縮力を利用して、前記装着位置と前記使用位置との間の双方向の回転力を選択的に付与する油圧駆動機構を備える、ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一に記載の移動用電力ケーブルのための架台。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本実施の形態は、移動用電力ケーブル201を設置するための架台、及びこの架台の設置撤去方法である。移動用電力ケーブル201は、電極202を先端部に有する一対のケーブルヘッド203をケーブル204の両端に接続固定したもので、普段は、大型のドラムに巻かれて収納されている。ここでは、第一から第七までの実施の形態を紹介する。
【0017】
1.第一の実施の形態
第一の実施の形態を
図1ないし
図4に基づいて説明する。
【0018】
(1)架台の構造
図1に示すように、本実施の形態の架台は、基台11と柱体31とからなる基体に、移動用電力ケーブル201のケーブルヘッド203を装着するための回転台51を回転自在に取り付けて構成されている。ケーブルヘッド203は、回転台51に設けられたブラケット53に装着される。
図1中、回転台51は水平姿勢をとっているが、この回転台51は、垂直姿勢をとる位置まで回転自在である。説明の便宜上、本実施の形態及び後続する全ての実施の形態において、水平姿勢をとる回転台51の位置を「装着位置」、垂直姿勢をとる回転台51の位置を「使用位置」と呼ぶ。装着位置は、ケーブルヘッド203を横向きにしてブラケット53に装着させる位置である。使用位置は、ケーブルヘッド203を縦向きの使用状態にする位置である。
【0019】
基台11は、地面に設置され、移動用電力ケーブル201が備えるケーブルヘッド203の重量を支えることができる鋼鉄製の構造物である。このような基台11は、矩形枠体形状をした一対の基台枠12を、二つの連結体13で連結して形成されている。連結体13による一対の基台枠12の連結位置は、これらの基台枠12の両端部近傍位置であり、両端部分までは僅かな距離を残している。これにより、一対の基台枠12は、その両端部分に互いに対面する領域を発生させており、この部分に、一対の補助基台14F、14Rを、回転軸RAによって回転自在に取り付けている。これらの補助基台14F、14Rも、矩形枠体形状をした鋼鉄製の構造物である。
【0020】
図1中、一方の補助基台14Fは水平姿勢、もう一方の補助基台14Rは水平位置からやや上方に回転して斜めになった姿勢をとっている。これに対して、補助基台14F、14Rは、いずれも、水平姿勢をとる位置(水平位置)から垂直姿勢をとる位置(垂直位置)までの間を、回転自在である。
図2は、一対の補助基台14F、14Rが垂直姿勢をとった状態を示している。ここが重要な点であるが、
図2に示すように、垂直姿勢をとる一対の補助基台14F、14Rは、回転台51の両端を支え、回転台51の自由回転を規制している。もう一つ重要な点は、一対の補助基台14F、14Rが、水平姿勢をとる位置と垂直姿勢をとる位置とに、解除自在に位置固定される、ということである。そのための機構として採用されているのは、一方の補助基台14Fと基台枠12、もう一方の補助基台14Rと基台枠12とを、それぞれピン(図示せず)で貫通する機構である。云うまでもなく、ピンが貫通する貫通孔(図示せず)の形成位置は、一対の補助基台14F、14Rがそれぞれ、水平姿勢をとる位置と垂直姿勢をとる位置との二箇所でのみピンを貫通させ得る位置に定められている。ピンは抜き差し自在であり、抜き取れば、一対の補助基台14F、14Rをそれぞれ、自由に回転させることができるようになる。
【0021】
柱体31は、平板状の鉄板をL字形状に屈曲させて形成した一対の柱部材32によって形成されている。これらの柱部材32は、L字の底辺部分を基台枠12の相対面するリンクに掛け渡して溶接され、L字の垂直部分を互いに対面させている。後述するように、互いに対面するL字の垂直部分が、回転台51を回転自在に支持する部分である。そして、一対の柱部材32は、L字の垂直部分の一方の側に、ストッパ33を固定している。ストッパ33は、平板形状の鉄板であり、補助基台14Fの側で一対の柱部材32に溶接固定されている。
【0022】
ここで、垂直姿勢をとる一対の補助基台14F、14Rが、回転台51の両端を支え、回転台51の自由回転を規制していることは先に述べたとおりである。ということは、一対の補助基台14F、14Rが垂直姿勢をとらない場合、回転台51は自由回転するわけである。では、この状態で、回転台51は360度回転するかというと、そうではない。
図1ないし
図4中、回転台51が時計方向に回転したとすると、回転台51はいずれストッパ33に当接し、その自由回転を阻まれる。このときの回転台51は、垂直姿勢をとる(
図4参照)。以上の動作を整理すると、一対の補助基台14F、14R、とりわけブラケット53の側の補助基台14Fは、回転台51の回転位置を装着位置に規制する。ストッパ33は、回転台51の回転位置を使用位置に規制する。したがって、補助基台14Fとストッパ33とは、回転台51の回転範囲を、装着位置と使用位置との間に規制する規制部として機能することになる。
【0023】
回転台51は、矩形枠体形状をした鋼鉄製の回転台枠52を主体に形成されている。回転台枠52は、補助基台14Fの側となる一端側にブラケット53を取り付け、ここに移動用電力ケーブル201のケーブルヘッド203を装着できるようにしている。ブラケット53は、円筒形状をした鋼鉄製の部材である。移動用電力ケーブル201のケーブル204を通すために、ブラケット53には、切欠きが形成されていたり、一部が開閉自在となっていたりする(いずれも図示せず)。
【0024】
回転台51は、回転軸54によって一対の柱部材32に水平軸周りに回転自在に取り付けられている。前述したように、回転台51を支持するのは、一対の柱部材32が有する互いに対面するL字の垂直部分である。回転台51は、この部分の上方位置に位置付けられている。回転軸54は、一例として、回転台枠52にリジットに固定され、一対の柱部材32に回転自在に取り付けられている。別の一例として、一対の柱部材32にリジットに固定され、回転台枠52を回転自在に支持するよう、回転軸54を構成してもよい。
【0025】
回転台51は更に、ブラケット53の近傍に位置させて、互いに対面するリンクに、一対の吊孔55を形成している。これらの吊孔55は、ロープ301を通し、回転台51をレッカーで吊り上げたり吊り下げたりするのに用いられる(
図3、
図4参照)。
【0026】
以上説明した回転台51は、前述したとおり、移動用電力ケーブル201のケーブルヘッド203を横向きにしてブラケット53に装着させる装着位置と、ケーブルヘッド203を縦向きの使用状態にする使用位置との間に選択的に位置付けられる。このうち、使用位置は、回転台51の自由回転をストッパ33によって位置規制した位置であることも、前述したとおりである。
図4に示すように、このとき、回転台51は、移動用電力ケーブル201の重みによって
図4中の時計方向に回転しようとする重量バランスをなしていることから、使用位置に位置固定された状態にある。この意味では、回転台51がなす重量バランスとストッパ33とが、回転台を使用位置に位置固定する、いわば固定部としての機能を果たしていると云えよう。ただ、この状態は、回転台51に対して、
図4中の反時計方向に力が加えられた場合、その力の大きさによっては、回転台51をそのまま反時計方向に回転させてしまう状態でもあり、安全性に問題が残る。そこで、使用位置に位置する回転台51を積極的に位置固定する機構を固定部として設けることが望ましい。このような機構は、一例として、回転台51と一方又は両方の柱部材32とを、ピン(図示せず)で貫通する機構によって実現可能である。云うまでもなく、ピンが貫通する貫通孔(図示せず)の形成位置は、回転台51がストッパ33に塞き止められて垂直に立った、使用位置に位置付けられた状態でのみピンが貫通する位置に定められている。ピンは抜き差し自在であり、抜き取れば、回転台51を再び、自由に回転させることができるようになる。
【0027】
(2)架台の設置撤去方法
このような構成において、移動用電力ケーブル201の仮敷設の必要性が生じた場合、移動用電力ケーブル201を巻き付けた状態で収納するドラムを、現場に持ち込む。現場に持ち込んだドラムからは、ケーブルが地面を引き摺って傷付かぬように十分な養生をした上で、作業員数名掛りで慎重にケーブルヘッドを引き出し、これを目的とする設置位置まで持ち運ぶ。設置位置には、予め架台を据え付けておく。この時の架台は、回転台51を装着位置に位置付け、一対の補助基台14Fによって回転台51を回転規制した状態である。以下、架台に対する移動用電力ケーブル201の設置手順、架台からの移動用電力ケーブル201の撤去手順を説明する。
【0028】
≪架台に対する移動用電力ケーブル201の設置手順≫
【0029】
(第一の設置工程)
図2に示すように、装着位置に位置する回転台51のブラケット53に、移動用電力ケーブル201の一方のケーブルヘッド203を装着する。この際、装着位置に位置する回転台51は、水平姿勢を維持し、現実に移動用電力ケーブル201を使用する場合の使用位置よりも遥かに低い位置にブラケット53を位置付けている。このため、レッカー(図示せず)を用いたケーブルヘッド203の吊り上げを必要とすることなく、作業員が持ち上げたままの状態で、ケーブルヘッド203をブラケット53に装着することができる。
【0030】
(第二の設置工程)
図3及び
図4に示すように、第一の設置工程に続き、回転台51を回転させて、装着位置から使用位置に移動させる。この際、吊孔55に通したロープを介して、レッカーにより、回転台51に吊り力をかけておく。そして、
図3に示すように、垂直姿勢をとる補助基台14F、14Rに対する回転規制を解除し、補助基台14F、14Rを回転させて水平姿勢に変位させる。水平姿勢となった補助基台14F、14Rには、再び回転規制をかけておく。この時、回転台51は、レッカーに吊られているので、補助基台14F、14Rによる回転規制が解除されたとしても、水平姿勢を維持する。
【0031】
その後、
図3に示すように、ロープ301を介してレッカーで回転台51を吊り上げる。すると、回転台51は、その回転軸54を回転中心として回転し(
図3参照)、最終的に垂直姿勢をとる使用位置に位置付けられる(
図4参照)。
【0032】
(第三の設置工程)
第二の設置工程に続き、前述した固定部によって、回転台51を使用位置に位置固定する。
【0033】
以上の手順によって、移動用電力ケーブル201のケーブルヘッド203を架台に設置することができる。そこで、必要に応じてレッカーを退去させれば、移動用電力ケーブル201の使用が可能となる。吊孔55に通して回転台51に取り付けたロープ301に関しては、必要に応じて取り去ればよい。つけたままで支障なければ、そのままでもよい。
【0034】
≪架台からの移動用電力ケーブル201の撤去手順≫
(第一の撤去工程)
前述した固定部による、回転台51の使用位置への位置固定を解除する。
【0035】
(第二の撤去工程)
第
一の撤去工程に続き、回転台51を回転させて、使用位置から装着位置に復帰させる。つまり、レッカーを再び登場させ、吊孔55に通したロープを介してレッカーで回転台51を吊り、吊り力をかけておく。これに前後して、水平姿勢をとる一方の補助基台14Fに対する回転規制を解除し、補助基台14Fを回転させて垂直姿勢に変位させる。垂直姿勢となった補助基台14Fには、再び回転規制をかけておく。
【0036】
この状態で、作業員により、
図4中の反時計方向への回転力を回転台51に加える。すると、始動した回転台51は、
図4中の反時計方向に自重で回転する。この際、回転台51は、レッカーによって吊られているので、一挙にバタンと倒れてしまうような不都合がなく、レッカーの操作によって徐々に回転の度合いを深め、最終的に装着位置に位置付けられる。そこで、水平姿勢をとるもう一方の補助基台14Rに対する回転規制も解除し、補助基台14Rを回転させて垂直姿勢に変位させる。垂直姿勢となった補助基台14Rには、再び回転規制をかける。こうすることで、回転台51は、ケーブルヘッド203の設置位置に据え付けた時の姿態に復帰する(
図1参照)。
【0037】
この時、回転台51には、一対の補助基台14F、14Rによる回転規制がかけられているので、レッカーで吊る必要がない。そこで、レッカーを退去させることができる。吊孔55に通して回転台51に取り付けたロープ301に関しては、必要に応じて取り去ればよい。つけたままで支障なければ、そのままでもよい。
【0038】
(第三の撤去工程)
前記第二の撤去工程に続き、装着位置に位置する回転台51のブラケット53から、ケーブルヘッド203を取り外す。この際、装着位置に位置する回転台51は、水平姿勢を維持し、低い位置にケーブルヘッド203を位置付けている。このため、レッカー(図示せず)を用いたケーブルヘッド203の吊り上げを必要とすることなく、作業員の手作業のみによって、ケーブルヘッド203をブラケット53から取り外すことができる。
【0039】
以上の手順によって、移動用電力ケーブル201のケーブルヘッド203を架台から撤去することができる。
【0040】
(3)効果
前述したとおり、本実施の形態によれば、ブラケット53に対するケーブルヘッド203の着脱に際して、レッカーによる吊り上げを必要とすることなく、複数の作業員がケーブルヘッド203を手に持ったまま着脱作業を行なうことができる。この点は、レッカーでケーブルヘッド203を吊る従来手法に比べて、確かな手ごたえを作業員に感じさせることができるところである。というのは、レッカーでケーブルヘッド203を吊る従来手法の場合、レッカーで吊られているという点で、ケーブルヘッド203の動きは完全に作業員の手中にあるわけではない。レッカーを操作する作業員との呼吸も合わせなければならず、しばしば、作業に当たってもどかしさ感ずることになる。これに対して、本実施の形態では、複数の作業員がケーブルヘッド203を手に持ったまま着脱作業を行なうことができるので、ケーブルヘッド203の動きは完全に作業員の手中にあり、思うままに作業をすることができる。
【0041】
これに加えて、ブラケット53に対するケーブルヘッド203の着脱するに際しては、回転台51が装着位置という使用位置よりも遥かに低い位置に位置付けられる。このため、高所に登っての作業が不要であり、高所からの滑落を心配する必要がない。
【0042】
このようなことから、本実施の形態によれば、移動用電力ケーブル201のケーブルヘッド203を架台に設置するための作業について、その作業負担を大幅に軽減することができる。
【0043】
しかも、本実施の形態の架台は、従来の架台に対して、占有面積の増大を招く構造的要因を有していない。これに加えて、収納時における架台の姿態は、
図2に示すように、一対の補助基台14F、14Rを垂直に立てた状態である。このようなことから、本実施の形態の架台は、占有面積を増大させることなく、上記作業負担の大幅な軽減を図ることができる。
【0044】
その一方で、移動用電力ケーブル201のケーブルヘッド203が装着された使用状態の架台は、一対の補助基台14F、14Rを水平姿勢とし、これを位置規制している。このため、使用時において、架台全体としての設置面積が増大し、ケーブルヘッド203を安定した状態で保持することができる。
【0045】
2.第二の実施の形態
第二の実施の形態を
図5及び
図6に基づいて説明する。第一の実施の形態と同一部分は同一符号で示し、説明も省略する。
【0046】
本実施の形態は、基体をなす基台11と回転台51との間に、ダンパー101を掛け渡したものである。ダンパー101は、一対用意され、基台11を形成する一方の基台枠12と回転台51の一つのリンクとの間に一つ、基台11を形成するもう一方の基台枠12と回転台51のもう一つのリンクとの間にもう一つ、それぞれ掛け渡されている。
【0047】
ダンパー101としては、例えば、自動車のボンネットやトランクなどの開閉部分、建築材としてドアの開閉部分などに用いられるオイルダンパーを用いることができる。オイルダンパーは、筒形状をしたシリンダーケース102の内部にオイルを充填した密閉空間を形成し、この密閉空間内に、ロッド103に連結するピストン(図示せず)をスライド移動自在に収納したものである。ピストンには、微小な細孔であるオリフィス(図示せず)が形成されている。オリフィスは、ピストンの移動に伴い、シリンダーケース102内のピストンで仕切った二つの密閉空間の間で、オイルを移動させる。これが、ダンパー101に緩衝作用を生じさせるわけである。
【0048】
本実施の形態では、基台11の側にシリンダーケース102が回転自在に取り付けられ、回転台51の側にロッド103が回転自在に取り付けられている。回転軸方向は、いずれも、回転台51の回転軸54の軸方向と同一方向である。取り付け位置は、ブラケット53が設けられている側である。
【0049】
このような構成において、回転台51が回転するに際して、ダンパー101の緩衝作用により、その回転に対して抵抗力が与えられる。このため、簡単に云うと、回転途中の回転台51からレッカーや人手による保持力を取り除いたとしても、回転台51がそのまま自由落下してバタンと倒れないようにすることができるわけである。その結果、ダンパー101は、少なくとも二つの効果を生じさせる。
【0050】
一つは、作業員の力のみによって、ケーブルヘッド203を搭載した回転台51を装着位置と使用位置との間で回転させる途を拓き得るという効果である。先に述べたとおり、ダンパー101は、回転台51の回転に対して抵抗力を発生する。このため、ダンパー101がない場合との比較において、重量物であるケーブルヘッド203を搭載した回転台51を人手により回転させる作業が、格段にし易くなる。しかも、回転途中の回転台51から人手が離れてしまうという不本意かつ不測の事態が発生した場合でも、ダンパー101の緩衝作用により、回転台51はそのまま自由落下してバタンと倒れてしまうことがない。つまりは、安全性が高まるわけである。このようなことから、ケーブルヘッド203を搭載した回転台51を、レッカーを用いることなく、作業員の力のみによって回転させることが可能となる。ただ、先に「回転させる途を拓き得る」として、含みを持たせたのは、ケーブルヘッド203の重さによっては、レッカーを使わざるを得ない場合が想定されるからである。
【0051】
もう一つの効果は、作業の安全性を高めることができるという効果である。先に述べた「一つ目の効果」とも重複するが、回転途中の回転台51からレッカーや人手による保持力を取り除いたとしても、ダンパー101の緩衝作用により、回転台51はそのまま自由落下してバタンと倒れてしまうことがない。このため、回転台51が搭載するケーブルヘッド203に損傷が与えられにくくなったり、ケーブルヘッド203を設置する架台の周辺にいる作業員に危険が及びにくくなったりなど、安全性の向上という面で、大きな成果が得られるものである。
3.第三の実施の形態
第三の実施の形態を
図7に基づいて説明する。第一の実施の形態と同一部分は同一符号で示し、説明も省略する。
【0052】
本実施の形態は、回転台51の回転軸54に一対のラチェット機構111を組み込んだものである。第一の実施の形態では、回転軸54は、回転台枠52の側にリジットに固定されていても、一対の柱部材32の側にリジットに固定されていても、いずれでもよいと説明した。これに対して、本実施の形態では、回転台枠52の側に回転軸54をリジットに固定している。
【0053】
一対のラチェット機構111は、それぞれ、一対の柱体31をなす柱部材32に固定されたラチェットケース112に、ラチェット歯車113を内蔵する。ラチェットケース112は、回転台51の回転軸54を軸心とする断面真円形状の筒状部材である。ラチェット歯車113は、回転台51の回転軸54に固定され、回転軸54と一体的に回転する。ラチェット機構の本質は、このようなラチェット歯車113を選択的に一方向にのみ回転させることにある。これを実現するのが、歯止め機構114である。歯止め機構114は、ラチェットケース112の外周面にスライド移動自在に取り付けられた歯止めケース115に、歯止め爪116をスライド移動自在に内蔵し、この歯止め爪116を、コイルスプリング117によって付勢する構造のものである。ラチェットケース112は、回転台51の回転軸54を回転中心とする回転軌跡上を移動する。歯止め爪116は、ラチェットケース112に形成された歯止め孔118からラチェットケース112の内部に突出し、ラチェット歯車113に噛み合う。これらのラチェット歯車113と歯止め爪116とは、回転軸54と一体の回転台51を、
図2ないし
図4中の時計方向にのみ回転させ、反時計方向への回転を阻止するように形成されている(
図7(a)参照)。
【0054】
より詳しくは、ラチェット歯車113は、垂直に切り立った垂直面と傾斜形状をした傾斜面とを備える。傾斜面は、ラチェット歯車113が
図2ないし
図4中の時計方向に回転する場合に徐々に高さを増す形状である。歯止め爪116は、ラチェット歯車113の垂直面に対面する側が、歯止め爪116のスライド移動方向に沿った垂直面に形成され、ラチェット歯車113の傾斜面に対面する側が、傾斜形状の傾斜面に形成されている。そこで、回転台51の回転軸54を
図2ないし
図4中の時計方向に回転させると、ラチェット歯車113の傾斜面に歯止め爪116の傾斜面が乗り上げ、コイルスプリング117の付勢力に抗して歯止め爪116を奥に押し込める。これにより、回転台51を
図2ないし
図4中の時計方向に回転させることができる。これに対して、回転台51の回転軸54を
図2ないし
図4中の反時計方向に回転させようとすると、ラチェット歯車113の垂直面と歯止め爪116の垂直面とがぶつかり合い、ラチェット歯車113の回転が阻止される。これにより、
図2ないし
図4中の反時計方向への回転台51の回転が阻止されることになる。したがって、ラチェット機構111は、回転台51の回転について、装着位置から使用位置に向けての回転のみ許容し、その反対方向の回転を阻止するわけである。
【0055】
その一方で、ラチェット機構111は、
図2ないし
図4中の反時計方向への回転台51の回転の阻止を解除する機構をも有している。これを実現するのが、歯止めケース115の反時計方向へのスライド移動構造である(
図7(b)参照)。歯止めケース115を、
図7(a)、(b)中の反時計方向にスライド移動させると、歯止め爪116が歯止め孔118の縁部に乗り上げて引っ込み、ラチェット歯車113から退避する。これにより、ラチェット歯車113、ひいてはこれを固定している回転軸54が回転フリー状態となり、回転台51を、
図2ないし
図4中の反時計方向にも回転可能とするのである。
【0056】
このような構成において、回転台51が回転するに際して、ラチェット機構111は、回転台51を
図2ないし
図4中の時計方向にのみ回転させ、反時計方向への回転を阻止する。つまり、回転台51の回転について、装着位置から使用位置に向けての回転のみ許容し、その反対方向の回転を阻止するわけである。このため、簡単に云うと、回転途中の回転台51からレッカーや人手による保持力を取り除いたとしても、回転台51が自由落下してしまうことを防止できるわけである。その結果、ラチェット機構111は、少なくとも二つの効果を生じさせる。これらの二つの効果は、第二の実施の形態のダンパー101による効果と同一である。第二の実施の形態の記載と一部重複するが、説明を続ける。
【0057】
一つは、作業員の力のみによって、ケーブルヘッド203を搭載した回転台51を装着位置と使用位置との間で回転させる途を拓き得るという効果である。先に述べたとおり、ラチェット機構111は、回転台51を
図2ないし
図3中の時計方向にのみ回転させ、反時計方向への回転を阻止する。つまり、回転台51の回転について、装着位置から使用位置に向けての回転のみ許容し、その反対方向の回転を阻止する。このため、ラチェット機構111がない場合との比較において、重量物であるケーブルヘッド203を搭載した回転台51を人手により回転させる作業が、格段にし易くなる。しかも、回転途中の回転台51から人手が離れてしまうという不本意かつ不測の事態が発生した場合でも、ラチェット機構111の回転阻止作用により、回転台51が自由落下してしまうことを防止することができる。つまりは、安全性が高まるわけである。このようなことから、ケーブルヘッド203を搭載した回転台51を、レッカーを用いることなく、作業員の力のみによって回転させることが可能となる。ただ、先に「回転させる途を拓き得る」として、含みを持たせたのは、ケーブルヘッド203の重さによっては、レッカーを使わざるを得ない場合が想定されるからである。
【0058】
もう一つの効果は、作業の安全性を高めることができるという効果である。先に述べた「一つ目の効果」とも重複するが、回転途中の回転台51からレッカーや人手による保持力を取り除いたとしても、ラチェット機構111の回転阻止作用により、回転台51が自由落下してしまうことを防止することができる。このため、回転台51が搭載するケーブルヘッド203に損傷が与えられにくくなったり、ケーブルヘッド203を設置する架台の周辺にいる作業員に危険が及びにくくなったりなど、安全性の向上という面で、大きな成果が得られるものである。
4.第四の実施の形態
第四の実施の形態を
図8及び
図9に基づいて説明する。第一及び第三の実施の形態と同一部分は同一符号で示し、説明も省略する。
【0059】
本実施の形態は、第三の実施の形態のラチェット機構111に加えて、回転台51に、倍力装置(大歯車122、アイドル歯車G、小歯車123)を介して手動で、装着位置から使用位置に向けた方向の回転力を付与する操作駆動部121を設けたものである。
【0060】
操作駆動部121は、回転台51の回転軸54に、大歯車122を固定している(
図8中、大歯車122を部分的に示す)。柱体31の柱部材32には、アイドル歯車Gと小歯車123とを回転自在に取り付けている。小歯車123は、その回転軸124と一体的に固定され、回転軸124が柱部材32に回転自在に取り付けられている。これらの大歯車122と小歯車123とは、アイドル歯車Gを介して連結されている。大歯車122とアイドル歯車Gとは、共に同一の歯数、小歯車123は、より少ない歯数とされている。これにより、小歯車123を回転させた場合、大歯車122はアイドル歯車Gを介して、小歯車123よりも少ない回転数で従動回転する。ということは、大歯車122を直接回転させるよりも、小歯車123を回転させた方が、より少ない力で大歯車122を駆動することができることになる。ここに、大歯車122、アイドル歯車G、及び小歯車123という歯車列による倍力装置が構成されている。
【0061】
図9に示すように、操作駆動部121は、ラチェット機構111aも備えている(
図8中には図示せず)。このラチェット機構111aは、
図7(a)、(b)に示したラチェット機構111と略同様の構造を有している。このラチェット機構111との対応関係として、
図9中、ラチェットケース112aはラチェットケース112に、ラチェット歯車113aはラチェット歯車113に、歯止め機構114aは歯止め機構114に、歯止めケース115aは歯止めケース115に、歯止め爪116aは歯止め爪116に、コイルスプリング117aはコイルスプリング117に、歯止め孔118aは歯止め孔118に、それぞれ対応している。それ故、ここでは、ラチェット機構111aについての説明を省略する。ただ、
図7(a)、(b)に示したラチェット機構111と一点相違するのは、歯止めケース115aは、ラチェットケース112aに固定され、ラチェット機構111のようにスライド移動しないということである。
【0062】
操作駆動部121が備えるラチェット機構111aは、柱体31をなす柱部材32に、小歯車123の回転軸124と同軸上に位置させて、ラチェットケース112aを回転自在に取り付けている。そして、ラチェット歯車113aを小歯車123の回転軸124に固定している。操作駆動部121は、更に、ラチェットケース112aに操作レバー125を固定している。操作レバー125の操作方向は、小歯車123の回転軸124の軸回り方向である。
【0063】
このような構成において、回転台51が装着位置に位置する状態で操作レバー125を押し下げると(
図8参照)、ラチェットケース112aが小歯車123の回転軸124の軸回りに回転する。回転方向は、
図8及び
図9中の時計方向である。すると、ラチェット機構111aにおいて、歯止め爪116aがラチェット歯車113aと噛み合うので(
図9参照)、小歯車123の回転軸124に回転駆動力が伝達される。これによって、小歯車123が回転し、この回転がアイドル歯車Gを介して大歯車122に伝達される。その結果、回転台51の回転軸54が時計方向に回転駆動され、回転台51が装置位置から使用位置の方向に向けて回転し始める。
【0064】
押し下げた操作レバー125を元の位置に押し上げると(
図8中、仮想線から実線)、ラチェットケース112aが、今度は
図8及び
図9中の反時計方向に回転する。このとき、ラチェット機構111aにおいては、歯止め爪116aがラチェット歯車113aと噛み合わないので、ラチェットケース112aの回転は小歯車123の回転軸124に伝達されない。つまり、小歯車123、アイドル歯車G、及び大歯車122という歯車列は動作せず、したがって、回転台51も回転しない。この際、回転台51は、
図7(a)、(b)に示す方のラチェット機構111によって逆回転、つまり装着位置の方向に向けた回転が阻止されているので、静止状態を保つ。
【0065】
こうして、操作レバー125の押し下げと押し上げとを何度か繰り返すことで、回転台51を装置位置から使用位置に移動させることができる。この際、操作駆動部121は、大歯車122、アイドル歯車G、及び小歯車123という歯車列による倍力装置の補助を作業者に与える。したがって、例えば回転台51の回転軸54を操作レバー125で直接回転操作させるような場合と比較して、より少ない力で、重量物である移動用電力ケーブル201のケーブルヘッド203を装着した回転台51を回転させることができる。
5.第五の実施の形態
第五の実施の形態を
図10に基づいて説明する。第一の実施の形態と同一部分は同一符号で示し、説明も省略する。
【0066】
本実施の形態は、回転台51に、動力源(図示せず)の回転駆動力を伝達して、装着位置から使用位置に向けた方向の回転力を付与する動力伝達機構131を設けたものである。本実施の形態も、第三及び第四の実施の形態と同様に、回転台51の回転軸54を、回転台枠52の側にリジットに固定している。
【0067】
動力伝達機構131は、ねじ歯車132とはす歯歯車133とを組み合わせたウォームギヤである。ねじ歯車132は、動力源の側に連結され、はす歯歯車133は、回転台51の回転軸54に対して、同軸上に固定されている。動力源としては、一例として、内燃機関を有する発動機が用いられ、他の一例として、モータが用いられる。動力源の出力軸(図示せず)の回転は、必要に応じて減速され、ねじ歯車132に伝達されるように構成されている。動力源がその出力軸を一方向にのみ回転させる構造のものである場合、その一方向の回転を選択的に、正転逆転両方向にしてねじ歯車132に伝達する機構が必要となる。
【0068】
このような構成において、動力伝達機構131は、動力源の出力軸の回転を回転台51の回転軸54に伝達し、回転台51を回転させる。つまり、動力源の出力軸の回転がねじ歯車132に伝達されると、ねじ歯車132が回転してこの回転をはす歯歯車133に伝える。これにより、はす歯歯車133と一体である回転台51の回転軸54が回転し、回転台51を回転させることができるわけである。したがって、人手によることなく、移動用電力ケーブル201のケーブルヘッド203を搭載した回転台51を、装着位置から使用位置に、使用位置から装着位置に、それぞれ回転駆動することができる。
【0069】
6.第六の実施の形態
第六の実施の形態を
図11ないし
図14に基づいて説明する。第一の実施の形態と同一部分は同一符号で示し、説明も省略する。
【0070】
本実施の形態は、回転台51を油圧駆動機構141によって回転駆動するようにしたものである。油圧駆動機構141は、回転台51に、この回転台51と基体をなす基台11との間に掛け渡した油圧シリンダー142の伸縮力を利用して、装着位置と使用位置との間の双方向の回転力を選択的に付与する。
【0071】
油圧シリンダー142は、筒形状をしたシリンダーケース143の内部にオイルを充填した密閉空間を形成し、この密閉空間をピストン144で二分割し(
図14参照)、ピストン144の一面側に固定したロッド145を、ピストン144の往復スライド移動によって伸縮させる構造のものである。油圧シリンダー142は、シリンダーケース143の端部とロッド145の端部とにそれぞれ、連結部146、147を備えている。連結部146は、基台11を形成する一方の基台枠12に、シリンダーケース143を回転自在に連結する。連結部147は、回転台51の回転台枠52に、ロッド145を回転自在に連結する。
図11ないし
図13に示すように、連結部146、147の回転軸方向は、いずれも、回転台51の回転軸54の軸方向と同一方向である。油圧シリンダー142の取り付け位置は、回転台51の回転軸54から見て、移動用電力ケーブル201のケーブルヘッド203を装着するブラケット53の側である。
【0072】
油圧駆動機構141は、駆動部DMによって油圧シリンダー142を駆動する。駆動部DMは、モータMによって油圧ポンプOPを駆動し、油圧ポンプOPでオイルタンクOTが貯留するオイルを汲み上げ、油送パイプPを介して油圧シリンダー142に供給する仕組みのものである。油送パイプPは、油圧シリンダー142のシリンダーケース143内で二分割されたそれぞれの密閉空間に連絡し、油圧ポンプOPが介在するオイルタンクOTからの供給経路と、オイルタンクOTへの戻り経路とを形成する。これらの二経路間には、切換バルブCBが介在し、シリンダーケース143内の二分割された密閉空間のうち、オイルを供給する空間を切り替える。この切換によって、油圧シリンダー142のロッド145の伸縮を制御することができる。つまり、オイルの供給先を、ロッド145が設けられていない方の密閉空間に切り替えれば、その空間内のオイル量が増えることでピストン144が押され、ロッド145を伸ばすことができる。反対に、オイルの供給先を、ロッド145が設けられている方の密閉空間に切り替えれば、その空間内のオイル量が増えることでピストン144が押し戻され、ロッド145を縮めることができる。
【0073】
このような構成において、油圧駆動機構141は、油圧シリンダー142のロッド145の伸縮によって回転台51を回転させる。つまり、回転台51が装着位置に位置する場合、油圧シリンダー142のロッドは縮んだ状態にある(
図11参照)。この状態から、駆動部DMで油圧シリンダー142を駆動し、ロッド145を伸ばすようにすると、回転台51が始動し、使用位置に向けて回転し始める(
図12参照)。そして、ロッド145が最大限延びた状態において、回転台51は使用位置に位置付けられる(
図13参照)。本実施の形態では、使用位置に位置する回転台51は、垂直向きではなく、やや傾いた状態となる。回転台51を装着位置に戻すには、反対の過程を辿ればよい。
【0074】
したがって、本実施の形態によれば、人手によることなく、移動用電力ケーブル201のケーブルヘッド203を搭載した回転台51を、装着位置から使用位置に、使用位置から装着位置に、それぞれ回転駆動することができる。
【0075】
7.第七の実施の形態
第七の実施の形態を
図15ないし
図19に基づいて説明する。第一の実施の形態と同一部分は同一符号で示し、説明も省略する。
【0076】
本実施の形態は、基体をなす柱体31の柱部材32において、回転台51の支持高さを変えられるようにしたものである。そのための構造として、回転台51の回転軸54を昇降自在に支持する昇降機構151と、回転台51の回転軸54に外力を付与してその上下方向の位置を変位させる昇降駆動部153とを設けた。
【0077】
本実施の形態では、回転台51の回転台枠52に対して、回転軸54が回転自在に取り付けられている。この回転軸54は、柱体31の柱部材32に形成された縦方向に長い長孔152にスライド移動自在に支持されている。ここに、回転台51の回転軸54を昇降自在に支持する昇降機構151が形成されている。
【0078】
図16に示すように、昇降駆動部153は、一例として、ラック&ピニオン機構を用いて構成されている。つまり、回転台51の回転軸54は、ラック154に固定されている。ラック154は、柱体31の柱部材32に、上下方向にスライド移動自在に取り付けられている。柱部材32は、ラック154のスライド移動が上下方向にのみなされるよう、その移動軌跡を規制する。このようなラック154には、柱部材32に回転自在に取り付けられたピニオン155が噛み合っている。昇降駆動部153は、モータMの回転を、歯車列156を介してピニオン155に伝達する。この際、
図16中、ピニオン155を時計方向に回転させると、その回転によってラック154が下方に向けて移動し、回転台51の回転軸54を下降させることができる。反対に、
図16中、ピニオン155を反時計方向に回転させると、その回転によってラック154が上方に向けて移動し、回転台51の回転軸54を上昇させることができる。このようなピニオン155の両方向の回転は、一例として、モータMの出力軸を正逆両方向に選択的に回転することによって実現可能であり、別の一例として、歯車列156中に回転方向切替機構(図示せず)を設けることによっても実現可能である。
【0079】
図17に示すように、昇降駆動部153は、別の一例として、パンタグラフ機構を用いて構成されている。ここで紹介するパンタグラフ機構は、四つのリンクがそれぞれ回り対偶で連結されたフレーム157に、ボールねじ158をねじ結合して構成されている。フレーム157は、上下左右に各対偶部分が位置付けられるようダイヤモンド形状に配置され、下部に位置する対偶部分が台座となっている。ボールねじ158は、左右一対の対偶部分にねじ結合されている。ボールねじ158は、これらの左右一対の対偶部分の中間において、ねじ巻き方向を逆転させている。したがって、一方向にボールねじ158を回転させると、左右一対の待遇部分を互いに近接させることができ、これと反対方向にボールねじ158を回転させると、左右一対の待遇部分を互いに離反させることができる。これにより、フレーム157は、ボールねじ158の回転に応じて、上部に位置する対偶の高さを変える。そこで、この上部に位置する対偶部分に、回転台51の回転軸54を設けるわけである。昇降駆動部153は、ボールねじ158を手動で容易に回転させられるように、ボールねじ158の一端側にハンドル159を設けている。
【0080】
このような構成において、昇降駆動部153の駆動により、回転台51の回転軸54の高さを自由に変えることができる
。そこで、本実施の形態では、前記≪架台に対する移動用電力ケーブル201の設置手順≫として、昇降駆動部153によって回転台51の回転軸54に外力を付与し、その上下方向の位置を変位させる設置工程を実施する。この設置工程は、第一の設置工程の前後、第二の設置工程の前後、そして第三の設置工程の前後、いずれのタイミングで実施してもよい。
図18及び
図19は、それぞれ、回転台51の回転軸54を、最大高さに位置付けた場合の装着位置と使用位置との様子を示している。
【0081】
もっとも、上記「設置工程」において重要なことは、移動用電力ケーブル201がその仕上り半径の予め決められた規定倍以上の曲げ半径を維持するように、回転軸54の高さを設定する、ということである。「仕上がり半径の予め決められた規定倍以上の半径」は、例えば25倍程度か、それよりもやや少ない倍数程度である。この数値は、移動用電力ケーブル201の製造者や販売者の側にて独自に定めていることもあれば、移動用電力ケーブル201の利用者(例えば、電力事業者)の側で独自に定めていることもある。いずれにしても、一般的に、予め決められているべき数値である。本実施の形態では、移動用電力ケーブル201について、このような「移動用電力ケーブル201の仕上がり半径の予め決められた規定倍」以上の曲げ半径を維持するように、回転軸54の高さを設定するわけである。逆に云うと、本実施の形態では、回転台51の回転軸54の上下方向の位置を変位させることができるが故に、様々な種類の移動用電力ケーブル201を用いた場合であっても、その仕上り半径の予め決められた規定倍以上の曲げ半径を維持するよう、架台に設置することができるわけである。この意味からいうと、本実施の形態の「設置工程」を、第二の設置工程が実施されて回転台51が使用位置に位置付けられ、回転台51に装着されたケーブルヘッド203の高さが確定した後に実施すれば、回転軸54の適正な高さ調節を、効率的に行なうことができる。
【0082】
以上説明したように、本実施の形態によれば、回転台51の回転軸54の上下方向の位置を変位させることができ、様々な種類の移動用電力ケーブル201を用いた場合であっても、その仕上り半径の予め決められた規定倍以上の曲げ半径の維持が可能となる。したがって、使用可能な移動用電力ケーブル201の幅を広げることかできる。
【0083】
ここで、一点疑問に思われるかもしれない点は、様々な種類の移動用電力ケーブル201について、その仕上り半径の予め決められた規定倍以上の曲げ半径を維持したいのであれば、初めから、調節最大高さとなる位置に回転台51の回転軸54を位置付けておけば足りるのではないか、という点であろう。この点、本実施の形態によれば、回転軸54が低い位置でも、仕上り半径の予め決められた規定倍以上の曲げ半径を維持できる移動用電力ケーブル201については、回転軸54をより低い位置に水平に位置付け、回転台51のブラケット53に対するケーブルヘッド203の装着作業の容易化を図ることができるわけである。また、回転軸54をより高い位置にしないと、仕上り半径の予め決められた規定倍以上の曲げ半径を維持できない移動用電力ケーブル201であっても、回転軸54をより低い位置に水平に位置付けておけば、回転台51のブラケット53に対するケーブルヘッド203の装着作業を容易にすることができる。このような移動用電力ケーブル201の場合、ブラケット53にケーブルヘッド203を装着した後、上記「設置工程」を実施して、仕上り半径の予め決められた規定倍以上の曲げ半径を維持できるようにすればよい。これらの二例中、「水平に」という点で、
図18の状態と対比されたい。以上の説明により、回転台51の回転軸54を上下方向に調節できるようにした技術的意義をご理解頂けよう。
8.各種の変形、変更
以上、第一の実施の形態から第七の実施の形態まで説明した。各実施の形態において、各種の変形や変更が可能であることは、云うまでもない。