(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記減衰パターンが、前記基板の前記1つ以上のエッジのうちの少なくとも1つに形成される面取り、円形、及び鋸歯状パターンのうちの1つ以上を有する、請求項1に記載の集積回路装置。
【背景技術】
【0002】
超音波トランスデューサは、イメージング、検出などといった多くの目的のために使用される。通常、医用又は他の種類のイメージング用に使用される超音波トランスデューサにおいては、空間を節約しコストと複雑性を減らすために、これらのトランスデューサの音響的能動部位は集積回路(IC)上に直接製造されるか、又は薄い相互接続層を介してICに接続されることができる。超音波トランスデューサは、シリコンウェハ上に直接製造される容量型微細加工超音波トランスデューサ(cMUT)及び圧電型微細加工超音波トランスデューサ(pMUT)アレイに組み込まれ得る(例えば米国特許第6,430,109号及び6,493,288号参照、これらは参照により本明細書に組み込まれる)。
【0003】
トランスデューサの音響能動部位をIC又はシリコンウェハ上に直接製造することの欠点は、シリコンウェハが、能動素子(例えば音響スタック)と、不要な音響振動を減衰させるために存在し得る任意のロスバッキングとの間にあることである。あいにく、シリコン(Si)基板は音響エネルギーの不十分な減衰器であるため、適切な減衰が起こらず、スプリアス音響モードがICにおいて励起され、ICを介して取得される画像に不要なアーチファクトをもたらす可能性がある。
【0004】
スプリアス音響モードを減衰させる様々な方法が知られている。例えば、参照により本明細書に組み込まれるSavord et al.の米国特許第6,685,647号、表題"Acoustic Imaging Systems Adaptable for Use with Low Drive Voltages"は、圧電トランスデューサ(PZT)とバッキング層の間に置かれる音響デマッチング層を使用する。音響デマッチング層は好適にはPZTの音響インピーダンスよりも大きい音響インピーダンスを示す。このインピーダンス差は音響エネルギーがバッキングに伝播するのを相当に防ぐが、常にいくらかの音響エネルギーがそれでもやはりバッキングに伝播し、スプリアス音響モードを励起させる可能性がある。
【0005】
シリコン(Si)などのバッキング層は極めて低い音響減衰特性を示すため、例えば初期送信パルスからSiバッキング層に漏出する音響エネルギーは、100マイクロ秒間以上Siバッキングに蓄積される可能性がある。この時間の間、蓄積されたエネルギーは徐々に音響スタックへ戻って漏出し、受信信号(例えばエコー)と干渉し、画像にアーチファクトを生じる可能性がある。これらのアーチファクトは全体のヘイズとしてあらわれ得るか、又は画像中の特定角度における線など固有の空間特徴を持ち得る。これは、トランスデューサ構造内のSiバッキングにおけるスプリアス音響モードに起因するアーチファクト110を持つ画像100である、
図1を参照してより明らかに図示される。送信パルスは受信エコーよりもかなり大きい振幅を持つため、アーチファクトを除去するためには高レベルの抑制が実現されなければならない。従って、バッキング内のスプリアス音響モードを抑制するシステム及び方法が必要とされる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の特定の実施形態例の説明は事実上例示に過ぎず、本発明、その応用、又は使用を限定することを決して意図しない。本発明のシステム及び方法の実施形態の以下の詳細な説明において、その一部を成す添付の図面が参照され、図面には記載のシステム及び方法が実施され得る具体的実施形態が例として示される。これらの実施形態は当業者が目下開示のシステム及び方法を実施することができるように十分詳細に記載され、他の実施形態が利用され得ること、及び本発明のシステムの精神及び範囲から逸脱することなく構造的及び論理的変更がなされ得ることが理解されるものとする。
【0014】
従って以下の詳細な説明は限定的な意味でとられるものではなく、本発明のシステムの範囲は添付の請求項によってのみ規定される。本明細書の図中の参照数字の先頭数字は、複数の図にあらわれる同一部品が同じ参照数字で識別されることを除き、通常は図番号に対応する。さらに、明瞭化を目的に、特定の特徴の詳細な説明は、それらが当業者に明らかであろうときには、本発明のシステムの説明を分かりにくくしないために論じられない。
【0015】
明瞭化のために、本発明のシステムにかかるトランスデューサ及び/又は基板の部分断面のみが一部の図に示され得る。
【0016】
本発明のシステムの一実施形態にかかる基板を含むトランスデューサ200の側面図が
図2に示される。トランスデューサ200は1つ以上のトランスデューサ素子204、1つ以上のトレンチ206、及び基板202を含む。
【0017】
複数のトランスデューサ素子204は、図示の通り基板202上に構成されるトランスデューサ素子204のアレイを形成するように構成され得る。各トランスデューサ素子204は、例えば圧電素子(PZT)214などの1つ以上の圧電素子を含み得る。例えば層210,212及び216などのマッチング層が、PZT214からの音響エネルギーを身体に効率的に結合するために含まれ得る。従って周知の通り、層210,212及び216は例えばソーカットなどによってパターン化され得る導電層を含み得る。加えて、2つの電極層218,220がPZT層214の両側に設けられ得、これは基板202に含まれるコントローラなどによって駆動され得る。
【0018】
典型的なトランスデューサは電極及びマッチング層などの様々な素子を含み、超音波トランスデューサ用のマッチング層構造の設計は当該技術分野で周知であり、例えばOssmannの米国特許第7,439,656号、表題"Method for Designing Ultrasonic Transducers with Acoustically Active Integrated Electronics"及びSavord,et al.の米国特許第6,685,647号、表題"Acoustic Imaging Systems Adaptable for Use with Low Drive Voltages"に記載のものがあり、これらの各々はその全容が参照により本明細書に組み込まれる。
図2にはトランスデューサ素子204が垂直配向に示されるが、その1つ以上の層又は部分は例えば水平など他の位置に配向されてもよいことが留意されるべきである。
【0019】
トレンチ206は各トランスデューサ素子204の1つ以上の側面上に位置し得る。トレンチ206は互いに同じ又は異なる幅及び/又は高さを持ち得る。さらに、トレンチ206は基板202の一部に及ぶか、及び/又は基板202の一部から形成され得る。
【0020】
基板202は上部205、底部203を持ち得、1つ以上のエッジ230の間に及び得る。基板202は、その上に載せられるトランスデューサ204に適合する1つ以上の材料から形成され得る。例えば、基板202は半導体材料(例えばシリコン(Si)、ヒ化ガリウムなど)、結晶質(例えば石英又はサファイアなど)、セラミック(例えばアルミナ、窒化ホウ素、ガラスなど)、金属(例えばアルミニウム、黄銅、鉄、銅、タングステン、チタン)、及び/又は、柔軟及び硬質プリント回路を含む幅広いポリマーから形成され得る。トランスデューサ204は基板202の上部205の上に形成されるか、及び/又は取り付けられ得る。さらに、トランスデューサ204の一部は基板202の上部205におけるトレンチ207の中に位置し得る。
【0021】
基板202は、スプリアス信号を適切に減衰させる任意の適切な形状及び/又はサイズを持ち得る1つ以上の減衰器208を含む減衰パターンを含み得る。例えば、複数の減衰器208は、それぞれ低い領域222と高い領域224が交互になっている角度のある表面のアレイを形成するような形状とサイズであり得る、溝(又はトレンチ)280を含み、高い領域224は山に対応し低い領域は各々谷に対応する。隣接する山と谷の間の高さの差は互いに等しいように示されるが、隣接する山と谷の高さの差は互いに同じでなくてもよい。さらに、隣接する山及び/又は谷の間の距離は基板202の1つ以上の領域において同じであるか又は異なり得る。例えば、d
p1はd
p2及び/又はd
p3に関して異なり得る。同様に、d
v1はd
v2及び/又はd
v3に関して異なり得る。
【0022】
基板202のエッジ230は音響波を減衰させるための抑制部232を含み得る。抑制部232は例えば基板202の1つ以上のエッジ230に沿って位置する面取り234を含み得る。しかしながら、抑制部232は他の形状、例えば円形、粗面領域、テーパ、非平坦エッジ、及び/又はそれらの組み合わせを含み得る。例えば、基板202の1つのエッジ230は単一の面取りエッジ234を含み、対向エッジ230は
図2に示される通り2つの面取りエッジ234を含み得る。面取りエッジ234はスプリアス信号の複数の反射間の干渉を生じ得る。面取りエッジ234は方形エッジよりも効率の悪い反射器であり得るため、面取りエッジ234は基板202内の音響反射を減衰させ得る。従って、スプリアス信号に含まれる音響モードは従来の基板よりもより迅速に消失し得る。
【0023】
基板202はウェハのエッジの1つ以上に隣接して位置する音響減衰材240も含み得る。減衰材240は音響モードを含むことができるスプリアス信号を減衰させ得る任意の材料を含み得る。例えば、減衰材240は充填(loaded)及び/又は非充填(unloaded)エポキシ、硬化性エラストマー、例えば室温加硫ゴム(RTV)などを含み得る。従って、使用中、エッジからの各反射に対し、減衰材240はスプリアス音響モードなどの少なくともいくらかのスプリアス信号エネルギーを吸収し、それらが迅速に減衰され、使用中に受信エコーと干渉しないようにし得る。
【0024】
従って、抑制領域及び材料を基板のエッジにおいて含むことにより、さもなければ相当のエネルギーを失わずに基板のエッジにおいて何度も反射されかねない、音響波などのスプリアス信号が適切に減衰され、それらがトランスデューサ200及び/又は基板202上の他の部品の動作を妨げないようになり得る。
【0025】
減衰材240もまたそのエッジにおいて面取りを持ち得る。さらに、減衰材240は基板202の低い領域222の部分を満たし、スプリアス信号の少なくとも一部を減衰させ得ることもまた想定される。
【0026】
本発明のシステムの別の実施形態にかかる基板を含むトランスデューサ300の側面図が
図3に示される。トランスデューサ300は1つ以上のトランスデューサ素子304、1つ以上のトレンチ306、及び基板302を含む。トランスデューサ素子304とトレンチ306はそれぞれ
図2に示されるトランスデューサ素子204とトレンチ206と同様であり得る。従って明瞭化のためにこれらの素子はさらに説明しない。例えば、基板302の1つ以上のエッジ430は面取りなどの1つ以上の減衰部分を含み得る。減衰材もまた、
図2に関連して記載された減衰材240と同様にエッジにわたって設けられ得る。
【0027】
図2とは対照的に、基板202と同様である
図3に示される基板302は、メサ324を画定する1つ以上のトレンチ322を含み得る。メサ324の幅W
Mi及び/又は高さH
Mi、及び/又はトレンチ322の幅W
Ti(iは個々のメサ又はトレンチを示す)及び/又は高さH
Tiは要望通りのサイズであり得る。従って、メサ324の幅W
Mi及び/又は高さH
Mi及び/又はメサ324間の距離は、必要に応じ、例えば1つ以上の周波数のスプリアス信号を減衰させるために調節されることができる。同様に、トレンチ322の幅W
Ti及び/又は高さH
Tiは、必要に応じ、例えば1つ以上の周波数のスプリアス信号を減衰させるために調節され得る。
【0028】
従って、隣接するメサ及び/又はトレンチの距離及び/又は高さを変えることによって、メサ及び/又はトレンチは対応する周波数を減衰させるように調整されることができる。従って、特定の不要な音響モードを含むスプリアス信号は本発明のシステムにかかる基板を用いて減衰されうる。
【0029】
本発明のシステムの一実施形態にかかる溝のアレイを含む、例えばシリコン(Si)基板などの溝付き基板400の持ち上げられた部分底面図が
図4に示される。溝付き基板400は、トランスデューサへの組立前に中に基板400が切り込まれる(scored)トランスデューサの製造の中間段階である。基板はダイシングテープなどの支持部410上に伏せてあり、互いに交差する、例えば互いに垂直である溝の第1及び第2のセット420,430を持つ。例えば、溝の第1のセット420は、隣接する溝が互いに平行にならないように1つ以上の第1の方向にのび得る。
【0030】
同様に、溝の第2のセット430は、第2の溝430が第1の溝420の1つ以上と交差するように別の方向にのび得る。溝の第1のセット420は基板内に1つ以上の山440と谷445を画定し得、溝の第2のセット430は基板内に1つ以上の山450と谷455を画定し得る。
【0031】
溝の第1及び第2のセット420,430が互いに交差するこれらの部分において、山と谷のアレイ形状、例えばピラミッド型部分460などの物体が形成され得る。ピラミッド型の物体460が示されるが、対応する形状は交差する溝の対応する領域の断面によって画定され得る。例えば、"V"字型断面を持つ溝420,430が示されるが、他の溝及び/又はその一部の1つ以上は他の種類の断面を含み得る。例えば、断面は方形、円形及び/又は"U"字型領域を含み得る。溝420,430の1つ以上が部分的に基板に広がり得ることもまた想定される。従って、"U"断面を持つ溝はトレンチとみなされ得る。
【0032】
基板の1つ以上のエッジは面取り470などの1つ以上の減衰部分を含み得る。減衰材470もまた、
図2に関連して記載された減衰材240と同様にエッジにわたって設けられ得る。従来の基板よりも迅速にスプリアス信号を消失させるインコヒーレント反射を作り出すために、任意の他の適切な(ランダム又は非ランダム)パターン及び/又はテクスチャ(溝420,430とは対照的に、又はそれに加えて)が基板内に位置し得ることもまた想定される。
【0033】
トレンチ、溝、パターン、及び/又はテクスチャは、基板の下部及び/又はエッジなど、基板内に任意の適切な方法を用いて形成され得る。例えば、適切な方法は化学的及び/又は機械的方法を含む。例えば、溝420,430を作る1つの方法は、テクスチャアレイを形成するために1つ以上の異なる方向に基板400の厚さの途中まで切断することである。基板400の下面をテクスチャ加工する別の方法は、例えば化学及び/又はプラズマエッチングを用いて基板400の下面に(ランダムに又は非ランダムに)エッチングすることを含み得る。
【0034】
溝420,430、又は基板400上に(例えばその下面上に)形成される他のパターン/テクスチャは、同様の及び/又は異なる形状を持ち得、規則的な及び/又は不規則/ランダムな間隔で繰り返され得る。例えば、単一周波数のスプリアス信号のみが減衰されることが望まれる場合、溝420,430(又は他のパターン/テクスチャ)はこの特定周波数を減衰させる間隔で繰り返され得る。しかしながら、複数の周波数のスプリアス信号が減衰されることが望まれる場合、溝420,430(又は他のパターン/テクスチャ)は所望の周波数を減衰させる不規則な、ランダムな、又は非対称なパターンを形成するように形成され得る。しかしながら、溝が一定距離で互いに間隔をあけられ得ることもまた想定される。しかしながらこの場合は、さもなければ一定間隔のためにゆっくりと消失することになる、望ましくない周波数に対する共鳴が減衰されるように、適切な減衰特性が確立されるように注意が払われるべきである。
【0035】
しかしながら、広帯域の周波数を減衰させるために、不規則な間隔の溝又は他のテクスチャを形成することが望ましい可能性があり、これらは、スプリアス信号を減衰させるためにその反射がインコヒーレントであり破壊的に干渉するように、互いに平行ではない可能性がある。このようにして、スプリアス信号のモードの加速された減衰が実現されることができる。基板の下面上にテクスチャを形成する他の方法は、金網を通すサンドブラスト、レーザーアブレーション、又は化学エッチングを含み得る。従って、基板の裏面上の減衰パターンが形成されることができ、これはスプリアス信号が基板を通って伝播するときにその伝播と干渉し、従って減衰させ得る。
【0036】
本発明のシステムの一実施形態にかかる複合基板の側面図が
図5に示される。トランスデューサ500(又はその一部)は、複合基板511を形成するためにSiウェハ509などの薄い半導体ウェハを基板502に接着又は他の方法で取り付けることによって形成され得る、複合基板511を含み得る。基板502はスプリアス信号を減衰させるための溝506を含むノイズ減衰部を含み得る。音響層504は薄い半導体ウェハ509が取り付けられる基板502の側面に取り付けられる。溝506のサイズ、及び基板502の厚さとサイズに応じて、複合基板511によって与えられる支持なしに製造中に基板502を処理することは困難であり得る。従って、これらの状況において、複合基板511を使用することが望ましい可能性がある。さらに、溝506は音響減衰材で満たされ、すなわちSi基板502、減衰材(溝506内に満たされる)、及びSiウェハ509のサンドイッチを形成する。
【0037】
本発明のシステムの一実施形態にかかる面取りを持つ基板の図が
図6に示される。
図6に示されるトランスデューサ600は、基板602、必要に応じ相互接続層690、及びトランスデューサ素子606のうちの1つ以上を含む。相互接続層690は、例えば特定用途向け集積回路(ASIC)チップなどのコントローラとトランスデューサ素子間など、様々な素子間の接続を提供する。例として、相互接続層690は電気的接続及び/又は機械的支持をもたらすために金属相互接続を埋め込んだエポキシを有する。トランスデューサ素子604は高さと幅を持ち、高さと幅を持つ1つ以上のトレンチ606によって互いに分離される。空のトレンチ606が示されるが、トレンチ606は例えば制御コンジット、フィラーなどの素子を含み得る。
【0038】
層690が存在する実施形態において、これは基板602と超音波素子604の間に位置し、集積チップ(IC)産業で周知のフリップチップ相互接続プロセスを用いて形成され得る。例えば、金属バンプがICに取り付けられ、バンプは導電性エポキシを用いてトランスデューサ材料に取り付けられる。次に、エポキシアンダーフィル材が残りの空間に流し込まれ、硬化する。
【0039】
図6に示される通り、基板602は上部605、底部603、及びエッジ630を持つ。基板602は任意の適切な材料から形成され、例えば任意の適切な半導体材料(例えばSi)を含み得る。基板602のエッジ630の1つ以上は、例えば所望のスプリアス信号を減衰させるような形状とサイズの面取り634など、1つ以上の減衰部分を含み得る。基板602の底603は減衰パターン692を含み、これはエッジ630の1つ以上にまで及んでも及ばなくてもよい。
【0040】
本発明のシステム700の一実施形態にかかる非平行側面を持つ基板の上面図が
図7に示される。基板702は上部705、底部、及び外周を画定する1つ以上のエッジ730A‐Dを持つ。超音波トランスデューサアレイ704などのトランスデューサアレイは基板702の上部705上に位置し得る。エッジ730A,730B,730C,及び/又は730Dはスプリアス信号を減衰させるのに適した形状を含み得る。例えば、側面エッジ730A及び730Cは直線部分を含み、互いに平行ではない。従って、非平行側面エッジ(すなわち730A及び730C)の間で反射する波は、エッジが平行である場合よりも迅速に消散する。さらに、非平行エッジのバリエーションは、曲線、鋸歯状、又は他の種類の非平坦エッジを含み得る。例えば、上部エッジ730Dは曲線形状を持ち、下部エッジ730は例えば鋸歯状形状を持ち得る粗面である。超音波トランスデューサアレイ704は、基板702の外周の一部に、外周の他の部分よりも近くなり得るように、例えば上部エッジ730Dよりも下部エッジ730Bに近くなるように、基板702上に位置し得る。さらに、基板704はその底部側上に減衰パターンを含み得る。4つのエッジを持つ基板702が
図7に示されるが、基板が3又はそれ以上の側面を持ち得ることもまた想定される。さらに側面は等しい長さを持ち得るか、又は互いに異なり得る。基板704は任意の適切な半導体材料から形成され得る。
【0041】
1つ以上の基板のエッジは、他の隣接する基板のエッジに一致するか、又は対応し得ることもまた想定される。例えば、2つの隣接する基板は互いにかみ合うことができる鋸歯状エッジを含み得る。これは
図8を参照してより明確に図示され、本発明のシステムの一実施形態にかかるトランスデューサアレイの上面図が示される。トランスデューサアレイ800はトランスデューサ素子804を持つ複数の基板802‐1乃至802‐4を含む。基板802‐1乃至802‐4は、基板が互いに隣接して配置されることができるように対応するエッジ830を持つ。
【0042】
基板は、その厚さが、溝がない実施形態において上面と下面の間の厚さであり得るような形状とサイズであるべきである。こうした溝のない実施形態において、基板の厚さ(及び/又は形状/サイズ)は干渉を生じるために適切であるように選ばれ、従ってモードの伝播における高い損失につながる。他の厚さが想定されるが、基板に対する適切な厚さの範囲は例えば30乃至100ミクロンであり得る。従って、音響モードは、高い音響損失を持つ損失材料を含み得るICの後ろのバッキング型支持構造の中にエネルギーを漏出し得る。これが有効であるために、損失材料は抑制される音響モードよりも低い音速を持たなければならない。
【0043】
本発明のシステムの一実施形態にかかるトランスデューサを形成するプロセス900が
図9に示される。プロセス900は以下のステップ、行為又は動作のうちの1つ以上を含むことができる。さらに、これらのステップの1つ以上は必要であれば組み合わされ、及び/又はサブステップに分離され得る。
【0044】
ステップAにおいて、側面図で示される、所望の形状とサイズを持つシリコン(Si)などの半導体基板902が用意され洗浄される。基板902はトランスデューサ素子を駆動するための電子機器を含む集積回路を有する。
【0045】
ステップBにおいて、オプションマスク913が基板902の表面に適用され得る。
【0046】
ステップCにおいて、ボイド(トレンチ、溝、又は他の所定パターンを含むことができる)922が、基板902の一部を除去することによって基板902内に画定され得、この一部は例えば化学及び/又は機械的エッチング、機械加工又は切断などの任意の適切な方法を用いて除去され得る。ボイド922は、ボイド922の間に位置し得る隆起部又はメサ924を画定する。
【0047】
ステップDにおいて、オプションマスク913が基板902から除去され得る。
【0048】
ステップEにおいて、面取り934、鋸歯状パターンなどの(スプリアス信号を減衰させるのに適した)形状を画定するために、基板902のエッジ930に沿った領域が除去され得る。これは機械加工及び/又は研削プロセスによってなされ得る。
【0049】
ステップD及びEの間に、最終的に層902と909の間に必要に応じてさらなる層を形成するために(ステップGに関連して記載される)、1つ以上の他の層が基板に適用され得る。様々な層が従来の切断、機械加工、及び/又はラッピングプロセスによって形成され得る。或いは又は加えて、ボイド922を満たすために様々な層が場所打ち(cast in place)され、そして任意の所望の厚さに機械加工され得る。ふさわしい材料は高い音響減衰を持つべきであり、例えば固体及び/又はゴム状粒子を充填したエポキシ、又はポリマー含浸多孔質体である。一般的に、場所打ちされない任意の層は、周知のトランスデューサ製造法を用いて組立品に接着される。
【0050】
ステップFにおいて、オプション半導体ウェハ909が基板902に適用されるか、又はその上に形成され得る。半導体ウェハ909は、処理中に基板902に必要な剛性を与えるような厚さを持つべきである。
【0051】
ステップGにおいて、トランスデューサ素子904のアレイが基板902に取り付けられるか又はその上に形成され、これは例えばSudolの米国特許出願公報第2006/0116584号、表題"Miniaturized Ultrasonic Transducer"に記載され、これはその全容が参照により本明細書に組み込まれる。このステップはまた、トランスデューサ基板902から信号を駆動及び/又は受信するためのビア及び/又は制御回路を形成するステップも含み得る。さらに、このステップはまた、基板902上に音響層及び/又は他の回路を形成するステップも含み得る。一実施形態において、基板902はこのプロセス900の前に完全に形成される集積回路を有する。ステップGにおける任意のさらなる"回路"は例えばICとトランスデューサ素子の間の電気相互接続であり得る。
【0052】
ステップHにおいて、上面図に示される基板902及び/又は取り付けられた半導体ウェハ909は、完成チップ又は集積回路(IC)900Hの形状を画定するためにダイスカットされ得る。
【0053】
本発明のシステムはトランスデューサに関して記載されているが、本発明は例えば電源、増幅器、固体メモリなどといったシステムオンチップ(SOC)部品を含み得る他の種類のICにも適合し得る。
【0054】
本発明の特定のさらなる利点及び特徴は、開示を考察する際に当業者に明らかとなり得、或いは本発明の新規のシステム及び方法を利用する人によって経験され得る。勿論、当然のことながら、上記実施形態又はプロセスのいずれか1つが、1つ以上の他の実施形態及び/又はプロセスと組み合わされるか、或いは本発明のシステム、装置及び方法にかかる個別の装置又は装置群の間で分離されるか、及び/又は実行されてもよい。
【0055】
最後に、上記考察は本発明のシステムの例示に過ぎないことを意図し、添付の請求項をいかなる特定の実施形態又は実施形態のグループにも限定するものと解釈されてはならない。従って、本発明のシステムは実施形態例を参照して特に詳細に記載されているが、また当然のことながら多数の変更及び代替的実施形態が、以下の請求項に記載の本発明のシステムの上位の及び意図された精神と範囲から逸脱することなく、当業者によって考案され得る。従って、明細書と図面は例示とみなされるものであり、添付の請求項の範囲を限定することを意図しない。
【0056】
添付の請求項の解釈に当たり、以下のことが理解されるべきである。
a)"有する"という語は所与の請求項に列挙されたもの以外の要素又は行為の存在を除外しない。
b)ある要素に先行する"a"又は"an"という語はかかる要素の複数の存在を除外しない。
c)請求項における任意の参照符号はその範囲を限定しない。
d)複数の"手段"は、同じ項目又はハードウェア若しくはソフトウェア実装構造若しくは機能によってあらわされ得る。
e)開示された要素のいずれも、ハードウェア部分(例えば離散及び集積電子回路を含む)、ソフトウェア部分(例えばコンピュータプログラミング)、及びそれらの任意の組み合わせを有し得る。
f)ハードウェア部分はアナログ及びデジタル部分の一方又は両方を有し得る。
g)開示された装置又はその一部のいずれも、特に指定のない限り、一緒に組み合わされるか又はさらなる部分に分離されてもよい。
h)特に明示されない限り、行為又はステップの特定の順番は必要とされないことが意図される。
i)"複数の"要素という語は、請求された要素を2つ以上含み、要素の数のいかなる特定の範囲も示唆しない、つまり、複数の要素はわずか2つの要素であってもよく、莫大な数の要素を含んでもよい。