特許第5770105号(P5770105)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5770105
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】カテーテル組立体
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/14 20060101AFI20150806BHJP
   A61M 25/09 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
   A61M25/14 512
   A61M25/09 530
【請求項の数】6
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2011-549862(P2011-549862)
(86)(22)【出願日】2010年11月16日
(86)【国際出願番号】JP2010070396
(87)【国際公開番号】WO2011086758
(87)【国際公開日】20110721
【審査請求日】2013年9月24日
(31)【優先権主張番号】特願2010-6217(P2010-6217)
(32)【優先日】2010年1月14日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】393015324
【氏名又は名称】株式会社グッドマン
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(72)【発明者】
【氏名】川會 順
【審査官】 金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−142351(JP,A)
【文献】 特表2006−515206(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/14
A61M 25/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドワイヤが挿通されるインナ孔を有するインナ部材と、
当該インナ部材が挿通されるアウタ孔を有するアウタ部材と、
を備えたカテーテル組立体であって、
前記インナ部材は、前記インナ孔が形成されているインナ管部と、当該インナ管部から近位端側に向けて延びるように設けられたインナシャフト部とを備えており、
前記アウタ部材は、前記アウタ孔が形成されているアウタ管部と、当該アウタ管部から近位端側に向けて延びるように設けられたアウタシャフト部とを備えており、
前記インナ管部は、その近位端部に前記インナ孔を当該インナ管部の外部に開放させるインナ開口を有しているとともに、インナ開口面が近位端側を向くように又は軸線方向に対して傾斜するように当該インナ開口が形成されており、
前記インナシャフト部は、軸線方向に対して直交する方向の寸法が前記インナ開口の当該寸法よりも小さくなっており、
前記アウタ管部は、その近位端部に前記アウタ孔を当該アウタ管部の外部に開放させるアウタ開口を有しているとともに、前記インナ開口と同一線上の位置にて、アウタ開口面が近位端側を向くように又は軸線方向に対して傾斜するように当該アウタ開口が形成されており、
前記アウタシャフト部は、軸線方向に対して直交する方向の寸法が前記アウタ開口の当該寸法よりも小さくなっていることを特徴とするカテーテル組立体。
【請求項2】
前記インナ部材及び前記アウタ部材のうち一方に設けられ、当該部材に対応する前記開口の位置又は隣接した位置に配置された造影部と、
前記インナ部材及び前記アウタ部材のうち他方に設けられ、当該部材に対応する前記管部と前記シャフト部とを連結するためのものであって、当該シャフト部の金属領域と溶接される金属領域を有し、当該溶接を通じて当該シャフト部を対応する管部に連結させるジョイント部と、
を備えており、
当該ジョイント部は、軸線方向において前記造影部と重ならないように設けられていることを特徴とする請求項に記載のカテーテル組立体。
【請求項3】
前記アウタ管部は、前記アウタ開口の位置又は隣接した位置に、前記アウタ管部と前記アウタシャフト部とを連結するためのものであって、当該アウタシャフト部の金属領域と溶接される金属領域を有し、当該溶接を通じて当該アウタシャフト部を前記アウタ管部に連結させるジョイント部を備えていることを特徴とする請求項に記載のカテーテル組立体。
【請求項4】
前記インナ部材と前記アウタ部材との軸線方向の相対位置が予め定められた初期位置となっている場合に、前記インナ開口が前記アウタ開口よりも遠位端側の位置となるようにそれら開口が形成されており、
さらに、前記インナ部材は、前記インナ開口の位置又は隣接した位置に造影部を備えており、
前記ジョイント部は、軸線方向において前記造影部と重ならないようにその長さ寸法が設定されていることを特徴とする請求項に記載のカテーテル組立体。
【請求項5】
前記インナ部材と前記アウタ部材との軸線方向の相対位置が予め定められた初期位置となっている場合に、前記インナ開口が前記アウタ開口よりも遠位端側の位置となるようにそれら開口が形成されており、
前記インナシャフト部は、前記相対位置が前記初期位置である場合において軸線方向に前記ジョイント部と重なる位置に当該インナシャフト部の剛性を近位端側に比べて低下させる剛性低下構造を備えていることを特徴とする請求項3又は4に記載のカテーテル組立体。
【請求項6】
前記ジョイント部は軸線周りに筒状をなすように形成されているとともに、その近位端側の開口面が軸線に対して傾斜させて形成されており、
前記アウタシャフト部はその遠位端部に先細り部を有しているとともに、当該先細り部は、軸線を挟んだ一方の側を他方の側へと潰すようにして形成されていることで、軸線方向の全体に亘ってそれよりも近位端側の部分と面一となる部分を含むとともに当該近位端側の部分に比べて幅広となった幅広面と、遠位端側に向けて除々に幅広面との距離を狭めるように傾斜した傾斜面と、を有しており、
前記幅広面が前記ジョイント部の近位端側の開口及びその付近を規定する管壁の内周面であって当該開口の近位端部と同一直線上となる部分に対して内側から当たるように配置されていることで、前記アウタシャフト部の軸線方向が前記アウタ管部の軸線方向となる構成であるとともに、その当てた箇所において前記ジョイント部と前記アウタシャフト部との溶接が行われていることを特徴とする請求項乃至のいずれか1に記載のカテーテル組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用に際して冠動脈といった導入目的箇所に遠位端側が導入されるカテーテル組立体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
使用に際して冠動脈といった導入目的箇所に遠位端側が導入されるカテーテル組立体として、管状のアウタ部材と、当該アウタ部材の管孔内に少なくとも一部が挿入される管状のインナ部材と、を備えたものが知られている。
【0003】
当該カテーテル組立体として、例えば特許文献1にはアウタ部材としてカテーテルを備えるとともに、インナ部材として挿入補助具を備えた構成が開示されている。この場合、カテーテルの先端開口から遠位端側に向けて一部が突出するように挿入補助具が配置された状態で、当該カテーテル組立体が生体内に導入され、導入が完了した後に挿入補助具が引き抜かれる。そして、生体内に留置されているカテーテルに対してバルーンカテーテルなどを新たに挿入し、病変部の治療を行う。
【0004】
当該特許文献1の構成では、カテーテル組立体を生体内に導入する場合にガイドワイヤが使用されるが、当該ガイドワイヤは挿入補助具の管孔内に通される。かかる構成において、当該挿入補助具は、管状をなす先端部と、当該先端部から近位端側に向けて延びるとともに先端部よりも外径が小さいシャフトとを備えている。これにより、ガイドワイヤを挿通させるための管孔が挿入補助具の軸線方向の全体に亘って設けられている構成に比べて、カテーテルの内周面と挿入補助具との外周面との接触面積が小さくなり、挿入補助具のカテーテル内における進退を滑らかなものとすることができる。また、先端部のルーメンは近位端側に向けて開放されているため、挿入補助具をカテーテル内に挿入した状態でガイドワイヤの引き抜き操作や挿通操作を行う場合に当該ガイドワイヤがカテーテルに引っ掛かってしまうことを抑制でき、かかる操作を行い易くなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−142351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の構成の場合、ガイドワイヤの先端を生体内の治療目的箇所に留置した状態のまま、カテーテル組立体の生体内からの取り出し又は交換を行う場合に、カテーテルよりも近位端側においてガイドワイヤの一部を持った状態を維持しながらカテーテル組立体の全体を生体内から取り除き、その後にカテーテル組立体よりも遠位端側において露出しているガイドワイヤの一部を持ちカテーテル組立体を取り外す必要が生じる。そうすると、利用されるガイドワイヤは、生体内の導入開始箇所から治療目的箇所までの距離と、カテーテル組立体の長さ寸法とを合計した分以上の長さ寸法を有している必要があり、長さ寸法の大きいガイドワイヤを利用する必要が生じる。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、使用されるガイドワイヤの選択の自由度を高められるカテーテル組立体を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて作用、効果等を示しつつ説明する。
【0009】
第1の発明のカテーテル組立体:ガイドワイヤが挿通されるインナ孔を有するインナ部材と、当該インナ部材が挿通されるアウタ孔を有するアウタ部材と、を備えたカテーテル組立体であって、前記インナ部材は、その軸線方向の途中位置に、前記インナ孔を当該インナ部材の外部に開放させるインナ開口を有しているとともに、インナ開口面が近位端側を向くように又は軸線方向に対して傾斜するように当該インナ開口が形成されており、前記アウタ部材はその軸線方向の途中位置に、前記アウタ孔を当該アウタ部材の外部に開放させるアウタ開口を有しているとともに、前記インナ開口と同一線上の位置にて、アウタ開口面が近位端側を向くように又は軸線方向に対して傾斜するように当該アウタ開口が形成されていることを特徴とする。
【0010】
本構成によれば、インナ開口及びアウタ開口がカテーテル組立体の軸線方向の途中位置に設けられているため、長さ寸法の小さいガイドワイヤを利用することが可能となる。この場合に、アウタ開口はインナ開口と同一線上に形成されているとともに、インナ開口及びアウタ開口はその開口面の向く成分として近位端側を向く成分を有しているため、ガイドワイヤを挿通させる際又は引き抜く際に軸線方向に対して交差する方向に曲げる必要性が低減され、かかる挿通操作や引き抜き操作を良好に行うことが可能となる。
【0011】
第2の発明のカテーテル組立体:第1の発明において、前記インナ部材は、前記インナ孔が形成されているとともに近位端部に前記インナ開口が形成されたインナ管部と、当該インナ管部から近位端側に向けて延びるように設けられ、軸線方向に対して直交する方向の寸法が前記インナ開口の当該寸法よりも小さいインナシャフト部と、を備えており、前記アウタ部材は、前記アウタ孔が形成されているとともに近位端部に前記アウタ開口が形成されたアウタ管部と、当該アウタ管部から近位端側に向けて延びるように設けられ、軸線方向に対して直交する方向の寸法が前記アウタ開口の当該寸法よりも小さいアウタシャフト部と、を備えていることを特徴とする。
【0012】
本構成によれば、カテーテル組立体にガイドワイヤを通す場合に、インナ部材のインナ開口よりも近位端側の部位や、アウタ部材のアウタ開口よりも近位端側の部位が障害となりづらくなる。
【0013】
第3の発明のカテーテル組立体:第2の発明において、前記インナ部材及び前記アウタ部材のうち一方に設けられ、当該部材に対応する前記開口の位置又は隣接した位置に配置された造影部と、前記インナ部材及び前記アウタ部材のうち他方に設けられ、当該部材に対応する前記管部と前記シャフト部とを連結するためのものであって、当該シャフト部の金属領域と溶接される金属領域を有し、当該溶接を通じて当該シャフト部を対応する管部に連結させるジョイント部と、を備えており、当該ジョイント部は、軸線方向において前記造影部と重ならないように設けられていることを特徴とする。
【0014】
本構成によれば、インナ部材及びアウタ部材のうち少なくとも上記ジョイント部が設けられた側については、対応する管部とシャフト部との連結を強固に行うことが可能となる。この場合に、当該ジョイント部は造影部と重ならないように設けられているため、当該造影部の機能を良好に発揮させながら上記強固な連結を行うことが可能となる。
【0015】
第4の発明のカテーテル組立体:第2の発明において、前記アウタ管部は、前記アウタ開口の位置又は隣接した位置に、前記アウタ管部と前記アウタシャフト部とを連結するためのものであって、当該アウタシャフト部の金属領域と溶接される金属領域を有し、当該溶接を通じて当該アウタシャフト部を前記アウタ管部に連結させるジョイント部を備えていることを特徴とする。本構成によれば、アウタ管部とアウタシャフト部との連結を強固に行うことが可能となり、さらにジョイント部を造影させることが可能であるため、その造影を通じて、生体内にカテーテル組立体を挿入した状態でアウタ開口の位置を認識することが可能となる。
【0016】
第5の発明のカテーテル組立体:第4の発明において、前記インナ部材と前記アウタ部材との軸線方向の相対位置が予め定められた初期位置となっている場合に、前記インナ開口が前記アウタ開口よりも遠位端側の位置となるようにそれら開口が形成されており、さらに、前記インナ部材は、前記インナ開口の位置又は隣接した位置に造影部を備えており、前記ジョイント部は、軸線方向において前記造影部と重ならないようにその長さ寸法が設定されていることを特徴とする。本構成によれば、ジョイント部をアウタ開口の造影用マーカとして利用しながら、さらにインナ開口に対する造影部の機能を阻害することなくジョイント部の機能を発揮させることができる。
【0017】
第6の発明のカテーテル組立体:第4又は第5の発明において、前記インナ部材と前記アウタ部材との軸線方向の相対位置が予め定められた初期位置となっている場合に、前記インナ開口が前記アウタ開口よりも遠位端側の位置となるようにそれら開口が形成されており、前記インナシャフト部は、前記相対位置が前記初期位置である場合において軸線方向に前記ジョイント部と重なる位置に当該インナシャフト部の剛性を近位端側に比べて低下させる剛性低下構造を備えていることを特徴とする。本構成によれば、アウタ部材に対して金属製のジョイント部が設けられた構成において、剛性の局所的な高まりを、インナシャフト部を利用して抑えることが可能となる。
【0018】
第7の発明のカテーテル組立体:第4乃至第6の発明のいずれか1において、前記ジョイント部は軸線周りに筒状をなすように形成されているとともに、その近位端側の開口面が軸線に対して傾斜させて形成されており、前記アウタシャフト部はその遠位端部に先細り部を有しているとともに、当該先細り部は、軸線を挟んだ一方の側を他方の側へと潰すようにして形成されていることで、軸線方向の全体に亘ってそれよりも近位端側の部分と面一となる部分を含むとともに当該近位端側の部分に比べて幅広となった幅広面と、遠位端側に向けて除々に幅広面との距離を狭めるように傾斜した傾斜面と、を有しており、前記幅広面が前記ジョイント部の近位端側の開口及びその付近を規定する管壁の内周面であって当該開口の近位端部と同一直線上となる部分に対して内側から当たるように配置されていることで、前記アウタシャフト部の軸線方向が前記アウタ管部の軸線方向となる構成であるとともに、その当てた箇所において前記ジョイント部と前記アウタシャフト部との溶接が行われていることを特徴とする。
【0019】
本構成によれば、幅広面がジョイント部の内周面に対して内側から当てられ溶接が行われていることで、ジョイント部の外周側への段差を抑えながら連結の強度を高められる。また、当該幅広面は軸線方向の全体に亘ってそれよりも近位端側の部分と面一となる部分を含んでいるため、幅広面をジョイント部の内周面に当てた場合にアウタシャフト部の軸線方向がアウタ管部の軸線方向となるようにすることができる。さらにまた、ジョイント部の近位端側の開口が傾斜させて形成された構成において、幅広面は当該近位端側の開口における近位端部と同一直線上となる部分に当てられているとともに先細り部の傾斜面が内側を向くため、アウタ開口におけるガイドワイヤの通過性の低下を抑えながら、上記のような優れた効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】(a)アウタカテーテルの構成を示す正面図、(b)インナカテーテルの構成を示す正面図。
図2】インナカテーテルの遠位端側の縦断面図。
図3】(a)アウタ管部及びその周辺を拡大して示す部分正面図、(b)アウタ管部とアウタシャフト部との連結箇所周辺を拡大して示す縦断面図、(c)ジョイントリング及びアウタシャフト部の遠位端側を示す正面図、(d)ジョイントリングとアウタシャフト部との連結箇所を拡大して示す図。
図4】(a)ガイドワイヤが挿通されさらにガイディングカテーテル内に挿通された状態におけるカテーテル組立体の正面図、(b)A―A線断面図。
図5】左冠動脈にカテーテル組立体が導入されている様子を説明するための説明図。
図6】アウタカテーテルの別形態を説明するための部分正面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、カテーテル組立体に本発明を適用した場合の一の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1(a),(b)はカテーテル組立体10を構成する部材を示す正面図である。
【0022】
図1(a),(b)に示すように、カテーテル組立体10は、アウタ部材として設けられたアウタカテーテル11と、インナ部材として設けられたインナカテーテル12と、を備えている。アウタカテーテル11は、冠動脈の末梢狭窄病変部に図示しないバルーンカテーテルなどを導入するために利用されるデリバリ用のカテーテルである。インナカテーテル12は、アウタカテーテル11を生体内の病変部に挿入する際にアウタカテーテル11内に挿通されて使用され、アウタカテーテル11に対して先行することで当該挿入を補助する挿入補助具である。これらアウタカテーテル11及びインナカテーテル12は共に、その全長が1500mmとなっているが、これよりも長くてもよく短くてもよい。
【0023】
上記両カテーテル11,12のうち、先ずインナカテーテル12について図1(b)及び図2を参照しながら説明する。図2はインナカテーテル12の遠位端側(先端側)の縦断面図である。
【0024】
インナカテーテル12は、図1(b)に示すように、遠位端から近位端側(基端側)の途中位置までであってインナカテーテル12の遠位端側を構成するインナ管部21と、当該インナ管部21よりも近位端側を構成するインナシャフト部22と、を備えている。インナ管部21は、図2に示すように、遠位端部及び近位端部の両方にて開放されるようにして軸線方向の全体に亘って形成された管孔(ルーメン)23をインナ孔として有しており、全体として管状をなしている。この管孔23は、ガイドワイヤを挿通させるために利用されるものである。以下、管孔23をガイドワイヤ用管孔(ガイドワイヤルーメン)23ともいう。
【0025】
インナ管部21は、軸線方向の途中位置から遠位端側に向けて外径及びガイドワイヤ用管孔23の孔径の両方を除々に縮径させるようにして形成されており、遠位端部は軸線方向に亘って外径及び内径が同一となったソフトチップ24により構成されている。つまり、インナ管部21は、ベース管部25と、当該ベース管部25よりも遠位端側を構成するソフトチップ24と、を備えており、ベース管部25は軸線方向の途中位置からソフトチップ24に向けて除々に縮径されるテーパ領域25aを備えている。そして、ガイドワイヤ用管孔23は、ベース管部25及びソフトチップ24の管孔が連通されていることにより形成されており、当該管孔23の遠位端開口23aはソフトチップ24の遠位端部により形成され、当該管孔23の近位端開口23bはベース管部25の近位端部により形成されている。
【0026】
ベース管部25及びソフトチップ24は共にポリエーテルブロックアミド共重合体(PEBAX)により形成されているが、ソフトチップ24の方がベース管部25よりも柔軟となるように形成されている。そして、ベース管部25とソフトチップ24とは熱溶着されている。ちなみに、ベース管部25においてテーパ領域25aの近位端側の端部には、図1(b)に示すように、タングステンなどの放射線(X線)を透過しない材料を用いて筒状に形成されたテーパ領域用マーカ26が設けられている。
【0027】
インナ管部21に固定されるインナシャフト部22は、図2に示すように、管状に形成されたハイポ管31を備えているとともに、当該ハイポ管31の遠位端部を外周側から覆いさらにインナシャフト部22をハイポ管31よりも遠位端側へと延長させるように形成された延長管部32を備えている。ハイポ管31はステンレスやNi−Ti合金などの金属により管状に形成されており、延長管部32はポリアミドなどの合成樹脂により管状に形成されている。これらの部材31,32は、延長管部32がハイポ管31に熱溶着されていることで連結されている。なお、ハイポ管31の外周面に合成樹脂のコーティングが施されていてもよい。これらハイポ管31及び延長管部32のうち、延長管部32がベース管部25に対して熱溶着されていることにより、インナ管部21に対してインナシャフト部22が連結されている。
【0028】
当該連結に係る構成について詳細には、ベース管部25の内部にはガイドワイヤ用管孔23の近位端開口23bからテーパ領域25aの位置に亘って、延長管部32と同一の外径及び内径となる連結用管部27が形成されている。当該連結用管部27には軸線方向に延びる連結用管孔(連結用ルーメン)28が形成されているが、当該連結用管孔28の遠位端側はテーパ領域25aを構成する壁部により閉塞されている一方、近位端側が開放されている。当該連結用管孔28に対して、ハイポ管31及び延長管部32の各管孔(ルーメン)よりなるシャフト側管孔(シャフト側ルーメン)33が連通されるようにして、延長管部32が連結用管部27に熱溶着されている。
【0029】
連結用管孔28及びシャフト側管孔33が連通していることを利用して、両管孔28,33の境界を跨ぐようにして、外径が各管孔28,33よりも小さい芯材34が設けられている。芯材34はステンレスやNi−Ti合金などの金属により形成されたワイヤであり、ハイポ管31の内周面に対して接合されている。そして、その遠位端側の端部はベース管部25における軸線方向の途中位置にまで至っている。芯材34が設けられていることにより、インナ管部21とインナシャフト部22との連結部分の耐キンク性の向上が図られている。
【0030】
ちなみに、芯材34は連結用管孔28や延長管部32に対して固定されていないが、固定するようにしてもよい。この場合、連結用管部27及び延長管部32に対する芯材34の一体化が良好に図られる。かかる固定のより好ましい構成としては、芯材34を挿通させた状態で連結用管孔28や延長管部32の管孔を合成樹脂により埋める構成や、芯材34の外径と連結用管孔28及び延長管部32の管孔の孔径とを略同一とし芯材34をこれら管孔に対して圧入する構成が考えられる。
【0031】
また、芯材34がハイポ管31からインナ管部21内に入り込むように設けられていることにより、ハイポ管31の遠位端部の位置における剛性の局所的な変化が抑えられ、この点からも耐キンク性の向上が図られている。また、かかるハイポ管31の遠位端部における剛性の局所的な変化を抑える手段として、芯材34以外にも、ハイポ管31に対してインナ側の剛性低下構造が設けられている。
【0032】
当該インナ側の剛性低下構造について詳細には、図1(b)及び図2に示すように、ハイポ管31にはその軸線方向の途中位置から遠位端部に亘って、らせん状のスリット35aによるインナ側の剛性低下領域35が形成されている。このスリット35aは、近位端側に比べて遠位端側の方が軸線方向に隣り合うスリット間のピッチが小さくなるように形成されている。つまり、インナ側の剛性低下領域35は、遠位端側に向けて除々にハイポ管31の剛性が低くなるように形成されている。ちなみに、図2に示すようにスリット35aはハイポ管31において延長管部32により覆われた位置も含めて形成されている。
【0033】
上記構成のインナシャフト部22は、近位端側の端部に設けられたインナ摘み部36を除いて、その軸線方向の全体に亘って概ね外径が一定となっており、その外径は既に説明したとおり連結用管部27の外径と概ね同一となっている。
【0034】
ここで、ガイドワイヤ用管孔23の近位端開口23bはインナ管部21の近位端部に形成されているため、この位置はインナカテーテル12における軸線方向の途中位置となる。つまり、ガイドワイヤを近位端側において外部に引き出すためのインナポートは、インナカテーテル12の軸線方向の途中位置に形成されている。なお、以下の説明では、説明の便宜上、近位端開口23bをインナ開口23bともいう。
【0035】
インナ開口23bは、インナ開口面が軸線方向に対して傾斜するように形成されており、開口面積が広く確保されている。さらにまた、傾斜しているインナ開口23bにおいて最も近位端側となる部位に偏倚させてインナシャフト部22が配置されており、インナ開口23bにおいて最も遠位端側となる部位は軸線を挟んでインナシャフト部22の反対側となっている。これにより、インナ開口23bは、近位端側を向く成分を有しながら、ガイドワイヤ用管孔23を側方に逃がすような形状となっている。また、インナ開口23bは、軸線方向に対して直交する方向の寸法がインナシャフト部22よりも大きく、その差は利用されるガイドワイヤの外径以上となっている。
【0036】
インナシャフト部22におけるインナ開口23bに対して近位端側にて隣接又は近接した位置には、図1(b)及び図2に示すように、タングステンなどの放射線を透過しない材料を用いて筒状に形成されたインナ開口用のマーカ37が造影部として設けられている。このマーカ37が設けられた位置は、インナカテーテル12の遠位端部に対して近位端側に230mm離間された位置であり、当該位置はハイポ管31の遠位端部よりも遠位端側に離間された位置となっている。インナ開口用のマーカ37が設けられていることにより、カテーテル組立体10を生体内に挿入した場合であっても施術者はインナ開口23bの位置を確認することができる。
【0037】
なお、インナ開口用のマーカ37を形成する材料は、タングステンに限定されることはなく、金、白金、イリジウム、バリウム、硫酸バリウム、ビスマス、酸化ビスマス、オキシ炭酸ビスマス、次炭酸ビスマス、酸化ジルコニウム、タンタル、コバルトクロム合金、ヨウ化ナトリウム、銀―タンパク質コロイド、ヨウ化銀―ゼラチンコロイド、ステンレス、チタンなどであってもよい。また、インナ開口用のマーカ37がインナ開口23bの周縁部に設けられていてもよい。ちなみに、インナシャフト部22の近位端側には、図1(b)に示すように、インナカテーテル12の生体内への挿入量を目視確認するためのマーカ38が設けられている。
【0038】
次に、アウタカテーテル11について説明する。
【0039】
図1(a)に示すように、アウタカテーテル11は、遠位端から近位端側(基端側)の途中位置までであってアウタカテーテル11の遠位端側を構成するアウタ管部41と、当該アウタ管部41よりも近位端側を構成するアウタシャフト部42と、を備えている。これらアウタ管部41及びアウタシャフト部42の詳細な構成を図3に示す。
【0040】
図3(a)はアウタ管部41及びその周辺を拡大して示す部分正面図であり、図3(b)はアウタ管部41とアウタシャフト部42との連結部分周辺を拡大して示す縦断面図であり、図3(c)はジョイントリング51及びアウタシャフト部42の遠位端側を示す正面図であり、図3(d)はジョイントリング51とアウタシャフト部42との連結箇所を拡大して示す図である。
【0041】
アウタ管部41は、図3(a)及び図3(b)に示すように、遠位端部及び近位端部の両方にて開放されるようにして軸線方向の全体に亘って形成されたアウタ管孔(アウタルーメン)43をアウタ孔として有しており、全体として管状をなしている。このアウタ管孔43はインナカテーテル12及びガイドワイヤを挿通させるために利用されるとともに、インナカテーテル12が取り外された状態においては病変部に対して使用するためのバルーンカテーテルなどのカテーテルが挿通される。
【0042】
アウタ管孔43は軸線方向の略全体に亘って孔径が一定となるように形成されており、その孔径は、インナ管部21におけるテーパ領域25aとインナ開口23bとの間の領域の外径、すなわちインナ管部21の最大外径よりも若干大きい程度となっている。アウタ管部41は外周面を含めたベース層44がPEBAXにより形成されていることで屈曲した血管への追従を可能とする柔軟性が確保されているとともに、内周面に対してはアウタ管孔43内においてインナカテーテル12や他のカテーテルを摺動させる際の抵抗を低減させるべくテフロン(登録商標)により摩擦低減層45が形成されている。かかる摩擦低減層45は内周面の全体を規定するように設けられているが、摺動が発生し易い箇所と発生しにくい箇所とが存在するのであれば一部に対して設けられている構成としてもよい。
【0043】
ベース層44を形成する材料はPEBAXなどのポリアミドエラストマに限定されることはなく、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリイミドエラストマ、シリコーンゴム、天然ゴムなどを用いてもよい。ちなみに、これらの材料を、上述したインナ管部21に対して利用してもよい。また、摩擦低減層45を形成する材料はテフロンに限定されることはなく、他のフッ素系樹脂や、無水マレイン酸共重合体などの親水性ポリマを用いてもよい。
【0044】
アウタ管部41は、上記のとおり所定の柔軟性を有しているが、その遠位端部にはそれよりも近位端側に比べて柔軟性が高められたアウタ側チップ46を有している。これにより、アウタ管部41の遠位端部が血管壁に接触した場合であってもその際に血管壁に与える負荷が低減される。ちなみに、アウタ側チップ46はベース層44と同一の材料により形成されているが、異なる材料により形成してもよい。
【0045】
アウタ管部41は、その長さ寸法がインナ管部21の長さ寸法よりも大きい300mmとなっている。したがって、ソフトチップ24及びテーパ領域25aがアウタ管部41よりも遠位端側の位置となるようにインナ管部21がアウタ管部41に挿通された場合には、インナ管部21の近位端部がアウタ管部41の近位端部よりも遠位端側に配置される。この相対位置については後に詳細に説明する。
【0046】
アウタ管部41に固定されるアウタシャフト部42は、ステンレスやNi−Ti合金などの金属により円柱状に形成されている。当該アウタシャフト部42は、図3(b)及び図3(c)に示すように、ジョイント部として設けられたジョイントリング51を利用してアウタ管部41に連結されている。なお、当該連結を阻害しない範囲で、アウタシャフト部42の外周面に合成樹脂のコーティングが施されていてもよい。
【0047】
当該連結に係る構成について詳細に説明する。ジョイントリング51は、ステンレスなどの金属により筒状又は管状に形成されており、ジョイント管孔(ジョイントルーメン)52は軸線方向の両端にて開放されている。この場合に、図3(c)に示すように、一方の開口52aはその開口面がジョイントリング51の軸線に対して直交するように形成されているのに対して、他方の開口52bは開口面がジョイントリング51の軸線に対して傾斜するように形成されている。また、ジョイントリング51は、上記他方の開口52bが形成された箇所を除いて外径及び内径が一定となっている。なお、以下の説明では、他方の開口52bをジョイント側の傾斜開口52bともいう。
【0048】
ジョイントリング51はジョイント側の傾斜開口52bが近位端側となるようにしてアウタ管部41に設けられており、当該開口52bに対してアウタシャフト部42が接合されている。アウタシャフト部42は、その遠位端部が先細りするように変形されている。
【0049】
この先細り部53は、図3(c)及び図3(d)に示すように、周面の全体が先端に向けてテーパ状となるよう形成されているのではなく、軸線を挟んだ一方の側を他方の側へと潰すようにすることで先細りされている。この場合、先細り部53は、軸線方向の全体に亘ってそれよりも近位端側の部分と面一となる部分を含むとともに当該近位端側の部分に比べて幅広となった幅広面53aと、遠位端側に向けて除々に幅広面53aとの距離を狭めるように傾斜した傾斜面53bとを有している。
【0050】
先細り部53は、その幅広面53aがジョイント側の傾斜開口52bにおいて近位端側への傾斜先の周縁部の内周面に対して内側から当接するようにして配置されており、それら内周面と幅広面53aとが接合されている。かかる接合は、複数個所(具体的には2箇所)に対してレーザを照射して、軸線方向に離間された複数個所に溶接箇所を生じさせることで行われている。これにより、ジョイントリング51とアウタシャフト部42とが強固に固定されている。ちなみに、幅広面53aは、軸周りの曲率が当接先の内周面の曲率と略一定となっている。
【0051】
当該接合箇所についてさらに説明すると、先細り部53の最先端の位置は、ジョイント側の傾斜開口52bにおいて最も遠位端側となる周縁部よりも近位端側であって当該周縁部により覆われない位置となっている。これにより、レーザの照射を行い易くなっているとともに、ジョイントリング51とアウタシャフト部42とが重なる領域の広さを軸線方向に抑えることが可能となり剛性への影響が低減される。
【0052】
但し、当該構成においてはジョイントリング51とアウタシャフト部42との重なり領域が狭くなることで両者の固定が強固に行えないおそれが生じるが、両者の固定が、先細り部53の幅広面53aをジョイント側の傾斜開口52bの周縁部に対して当てた状態で行われていることにより幅広面53aを生じさせない場合に比べて各溶接箇所の範囲を広げることができる。これにより、十分な接合強度が得られている。また、幅広面53aを当てて接合を行うようにすることで、アウタシャフト部42の軸線方向がジョイントリング51の軸線方向(すなわち、アウタカテーテル11の軸線方向)と平行となっている。
【0053】
なお、接合強度をより高める上では、ジョイント側の傾斜開口52bの周縁部において最も近位端側となる傾斜先に、そこから更に近位端側へと延長させる延長部を一体形成する構成が考えられる。
【0054】
アウタシャフト部42が連結されたジョイントリング51は、図3(b)に示すように、アウタ管部41のベース層44に埋設されている。すなわち、ジョイントリング51はその長さ寸法がベース層44の長さ寸法よりも小さく設定されており、アウタ管部41における軸線方向の途中位置にジョイントリング51が存在している。
【0055】
ベース層44に対してジョイントリング51が埋設された構成においては、当該ジョイントリング51が設けられた位置にて剛性の局所的な高まりが生じることが懸念される。これに対して、ジョイントリング51には、アウタ側の剛性低下構造が設けられている。
【0056】
当該アウタ側の剛性低下構造について詳細には、図3(c)に示すように、ジョイントリング51にはその軸線方向の遠位端部からジョイント側の傾斜開口52bよりも手前の位置に亘って、らせん状のスリット54aによるアウタ側の剛性低下領域54が形成されている。このスリット54aは、近位端側に比べて遠位端側の方が軸線方向に隣り合うスリット間のピッチが小さくなるように形成されている。つまり、アウタ側の剛性低下領域54は、遠位端側に向けて除々にジョイントリング51の剛性が低くなるように形成されている。これにより、剛性の局所的な高まりが抑えられ、耐キンク性を向上させることができる。
【0057】
ここでジョイントリング51をベース層44に埋設する場合の方法について説明する。
【0058】
先ず準備工程として、ジョイントリング51に対してアウタシャフト部42を接合する。また、PEBAXにより単層のチューブとして形成された外層チューブと、PEBAX及びテフロンにより内外2層のチューブとして形成された内層チューブとを用意する。ちなみに、これら外層チューブ及び内層チューブはその長さ寸法が同一となっている。
【0059】
その後、ジョイントリング51をラジアル方向に挟み込むように外層チューブ及び内層チューブを配置する工程と、これら外層チューブ及び内層チューブにおいて内外に重なっている箇所を熱溶着する工程とを行う。この際に、アウタシャフト部42の先細り部53が存在している近位端側を除いてアウタ管孔43の内径が軸線方向に一定となるように、熱溶着用のシャフトなどを利用して熱溶着を行う。なお、内径の一定化を図ったことに起因して、アウタ管部41の外周面には段差が生じているが、当該段差を生じさせないようにベース層44の肉厚を設定してもよい。
【0060】
上記のように熱溶着を行うことで、ジョイントリング51は遠位端側及び近位端側からベース層44により挟まれた状態となりジョイントリング51の軸線方向の位置ずれが防止されている。また、上記熱溶着に際しては、外層チューブに対して外周面側から加熱が行われるが、この加熱はジョイントリング51におけるアウタ側の剛性低下領域54に対しては行われない。これにより、アウタ側の剛性低下領域54の機能を良好に発揮させることができる。その一方、アウタ側の剛性低下領域54が設けられていない領域及びアウタシャフト部42の先細り部53が設けられている領域に対しては加熱が行われる。これにより、ジョイントリング51やアウタシャフト部42に対してベース層44が熱溶着された領域が存在することとなり、各連結を強固に行うことができる。
【0061】
ジョイントリング51には既に説明したとおりジョイント側の傾斜開口52bが形成されているが、アウタ管部41において当該傾斜開口52bの位置よりも近位端側に、アウタ管孔43の近位端開口43aが存在している。当該近位端開口43aはアウタ管部41の近位端部に形成されているため、この位置はアウタカテーテル11における軸線方向の途中位置となる。ここで、カテーテル組立体10を生体内に挿入する場合に利用されるガイドワイヤは、インナカテーテル12のガイドワイヤ用管孔23だけでなくインナ開口23bよりも近位端側においてアウタ管孔43内を通る。この場合に、上記の位置にアウタ管孔43の近位端開口43aが形成されていることにより、アウタ管孔43に通されたガイドワイヤを近位端側においてアウタカテーテル11の外部に引き出すためのアウタポートは、アウタカテーテル11における軸線方向の途中位置に形成されていると言える。なお、以下の説明では、説明の便宜上、近位端開口43aをアウタ開口43aともいう。
【0062】
アウタ開口43aは、アウタ開口面が軸線方向に対して傾斜させて形成されており、開口面積が広く確保されている。また、傾斜しているアウタ開口43aにおいて最も遠位端側となる部位は軸線を挟んでアウタシャフト部42の反対側となっている。これにより、アウタ開口43aは、近位端側を向く成分を有しながらアウタ管孔43を側方に逃がすような形状となっている。
【0063】
アウタ開口43aは、軸線方向に対して直交する方向の寸法がアウタシャフト部42よりも大きく、その差は利用されるガイドワイヤの外径以上となっている。さらにまた、アウタシャフト部42の先細り部53において幅広面53aの逆側が遠位端側に向かうほど外周側へと向かう傾斜面53bとなっている。これにより、ガイドワイヤの操作性の向上が図られている。
【0064】
アウタ開口43aに隣接した位置には既に説明したとおりステンレス製のジョイントリング51が設けられている。ステンレスは放射線を透過しないものであるため、生体内にカテーテル組立体10を挿入した状態において放射線を照射した場合にはジョイントリング51が造影されることでアウタ開口43aの位置を把握することが可能となる。つまり、ジョイントリング51はアウタ開口43aの位置を示すためのマーカとしての機能を有している。さらにまた、ジョイントリング51はベース層44に比べてラジアル方向の強度が高いためアウタ開口43aが潰れづらくなっている。つまり、ジョイントリング51はアウタ開口43aを潰れにくくするための形状維持部としての機能を有している。
【0065】
ちなみに、アウタシャフト部42は、図1(a)に示すように、遠位端側の端部に設けられた上記先細り部53及び近位端側の端部に設けられたアウタ摘み部47を除いてその軸線方向の全体に亘って概ね外径が一定となっている。具体的には0.5mmとなっており、これはインナシャフト部22のハイポ管31の外径と同一又は略同一となっている。また、アウタシャフト部42の近位端側には、アウタカテーテル11の生体内への挿入量を目視確認するための2つのマーカ48が設けられている。これらマーカ48のうち一方は、アウタカテーテル11の遠位端部から1000mm近位端側の位置に形成されており、この位置は後述するガイディングカテーテルからアウタカテーテル11が出始める位置に対応している。また、他方のマーカ48は、アウタカテーテル11の遠位端部から1200mm近位端側の位置に形成されており、この位置はバルーンカテーテルなどの他のカテーテルがアウタ開口43aの位置に達したことを確認するための位置である。
【0066】
次に、アウタカテーテル11に対してインナカテーテル12を挿通させてカテーテル組立体10とした状態について、図4及び図5を参照しながら説明する。
【0067】
図4(a)はガイドワイヤ61が挿通されさらにガイディングカテーテル62内に挿通された状態におけるカテーテル組立体10の正面図であり、ガイディングカテーテル62については縦断面で示している。また、図4(b)は図4(a)のA―A線断面図である。また、図5は左冠動脈BV4にカテーテル組立体10が導入されている様子を説明するための説明図である。
【0068】
図4(a)に示すように、カテーテル組立体10の初期状態では、アウタ管部41に挿通されたインナカテーテル12はそのソフトチップ24及びテーパ領域25aがアウタ管部41よりも遠位端側に突出し、インナ管部21におけるテーパ領域25aとそれよりも近位端側の領域との境界又はその付近がアウタ管部41の遠位端側の開口部分に位置する。これがカテーテル組立体10の初期状態である。
【0069】
インナカテーテル12をアウタカテーテル11に対して先行させることで、図5に示すように、下行大動脈BV1、大動脈弓BV2及び上行大動脈BV3を経てガイディングカテーテル62の遠位端部を左冠動脈BV4の入口に配置し、その状態から遠位端側にカテーテル組立体10を突出させて左冠動脈BV4への挿入作業を行った際に、屈曲した血管に対して先ずソフトチップ24を追従させることが可能となり通過性を高めることができる。さらに、閉塞箇所が存在している場合にはソフトチップ24側から除々に閉塞箇所を押し広げることが可能となる。ちなみに、ガイディングカテーテル62に対してアウタカテーテル11を先行させる操作は、アウタ開口43aがガイディングカテーテル62から外れない範囲で行われる。
【0070】
図4の説明に戻り、カテーテル組立体10の初期状態においては、アウタカテーテル11のアウタ開口43aはインナカテーテル12のインナ開口23bよりも近位端側に配置されている。このアウタ開口43aの位置はカテーテル組立体10の軸線方向の途中位置であり、より詳細にはカテーテル組立体10の全長の中間位置よりも遠位端側であり、さらに説明するとカテーテル組立体10の遠位端側から1/4の位置よりも遠位端側である。アウタ開口43aの位置がこのように設定されていることにより、ガイドワイヤ61を先行させた後にカテーテル組立体10を導入する場合や、カテーテル組立体10の導入後において当該カテーテル組立体10又はアウタカテーテル11を交換する場合において、アウタ管部41を挟んだ軸線方向の両側においてガイドワイヤ61を手で摘むために必要なガイドワイヤ61の長さ寸法を短く抑えることができ、結果的に全長の短いガイドワイヤ61であっても使用することができる。
【0071】
初期状態におけるインナ開口23bとアウタ開口43aとの相対位置が上記の位置となる構成においては、近位端側から見てガイドワイヤ61が通過する領域は、ガイディングカテーテル62に形成されたガイディング管孔(ガイディングルーメン)62a→アウタ管孔43→ガイドワイヤ用管孔23となる。つまり、近位端側からガイドワイヤ61を挿入した場合には通過する領域の横断面積が除々に小さくなる。これにより、遠位端側へのガイドワイヤ61の導入を行い易くなる。
【0072】
但し、各開口23b,43aの位置関係が上記のように設定されていると、アウタ開口43aの近位端部にてアウタシャフト部42とインナシャフト部22とが並んだ状態となり、アウタ開口43aの近位端部ではガイディング管孔62aの隙間が狭くなる。これに対して、図4(b)に示すように、各シャフト部22,42の外径が、上記隙間にガイドワイヤ61の横断面よりも十分に大きな空間を含むように設定されているため、アウタ開口43aから近位端側へのガイドワイヤ61の引き出し操作や、近位端側からアウタ開口43aを通じてアウタ管孔43へガイドワイヤ61を挿入する場合の操作を良好に行うことができる。
【0073】
また、アウタ開口43aはインナ開口23bに対して同一線上に配置され、さらにこれら開口23b,43aはその開口面が傾斜しており当該開口面が向く成分に近位端側を向く成分が含まれている。したがって、アウタ開口43aからアウタ管孔43に導入されたガイドワイヤ61をさらに進めた場合に、当該ガイドワイヤ61の先端がインナ開口23bに導入され易くなる。同様に、インナ開口23bからアウタ管孔43に押し出したガイドワイヤ61を、アウタ開口43aを通じてアウタカテーテル11の外部に引き出し易くなる。
【0074】
ちなみに、カテーテル組立体10を病変部に向けて導入する場合には自然状態のまま押し込む場合だけでなく、インナカテーテル12のみをインナ開口23bがアウタカテーテル11から遠位端側に外れない範囲で先ず押し込み、その後にアウタカテーテル11を押し込む場合がある。後者の場合には、インナ開口23bとアウタ開口43aとの相対位置が自然状態の場合と異なるものとなるが、インナ開口23bがアウタ開口43aよりも遠位端側に存在している状態は維持される。
【0075】
次に、図1を参照しながら、インナ開口用のマーカ37とジョイントリング51との位置関係を説明する。
【0076】
既に説明したとおり、カテーテル組立体10の自然状態においては、インナ開口23bはアウタ開口43aよりも遠位端側に配置される。この場合に、放射線の照射下においてインナ開口23bの位置を示すことが可能なインナ開口用のマーカ37は、アウタ開口43aの位置を示すことが可能なジョイントリング51よりも距離L分、遠位端側に離間されている。つまり、アウタ開口43aの位置を示すことが可能なようにジョイントリング51が設けられた構成において、当該ジョイントリング51の長さ寸法はインナ開口用のマーカ37と重ならないように設定されている。これにより、インナ開口用のマーカ37が独立して造影されることとなり、ジョイントリング51が設けられた構成においてインナ開口23bの位置を明確に把握することが可能となる。
【0077】
特に、カテーテル組立体10の導入作業に際してインナカテーテル12とアウタカテーテル11との軸線方向の相対位置が変更されることがあるが、既に説明したとおり、その相対位置の変更は自然状態における位置よりもインナカテーテル12を遠位端側に先行させる場合に生じる。したがって、当該相対位置の変更に際してはインナ開口用のマーカ37がジョイントリング51からより離間される側に配置されることとなり、当該マーカ37の造影を依然として良好に行うことが可能である。
【0078】
次に、同じく図1を参照しながら、インナ側の剛性低下領域35とジョイントリング51との位置関係を説明する。
【0079】
カテーテル組立体10の自然状態においては、アウタ管部41のジョイントリング51が設けられた位置をインナシャフト部22が通過することとなるが、この通過している領域には既に説明したインナ側の剛性低下領域35が存在しており、ジョイントリング51とインナ側の剛性低下領域35との重なり領域Dが存在している。これにより、アウタカテーテル11においてはジョイントリング51の位置にて剛性が局所的に高まることとなるが、インナカテーテル12において当該位置にて剛性が低下することとなり、カテーテル組立体10としてはジョイントリング51の存在による剛性の高まりの影響が抑えられる。
【0080】
ちなみに、剛性低下領域35の遠位端部はジョイントリング51の遠位端部よりも近位端側に位置しているが、これに限定されることはなく、軸線方向に同一の位置であってもよく、遠位端側に位置していてもよい。
【0081】
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
【0082】
カテーテル組立体10における軸線方向の途中位置にインナ開口23b及びアウタ開口43aが設けられていることにより、全長の短いガイドワイヤ61を使用することが可能となる。この場合に、インナ開口23bはその開口面の向く方向に近位端側に向けた成分を有するように傾斜させて形成されているとともに、アウタ開口43aは当該インナ開口23bと同一線上に形成され且つその開口面の向く方向に近位端側に向けた成分を有するように傾斜させて形成されている。これにより、ガイドワイヤ61の引き抜き操作や挿入操作を行い易くなる。
【0083】
アウタ管部41とアウタシャフト部42との連結がジョイントリング51を利用して行われているため、当該連結強度を良好に高めることができる。特に、本カテーテル組立体10では、インナカテーテル12はアウタカテーテル11とともに導入されるのに対して、アウタカテーテル11は単独で留置された状態で他のカテーテルを導入するために利用される。そうすると、インナカテーテル12に比べてアウタカテーテル11の方が、管部41とシャフト部42との連結箇所に対して大きな負荷がかかるものと考えられる。これに対して、上記のようにジョイントリング51を利用することで、当該負荷に対する耐性が高められる。
【0084】
その一方、インナカテーテル12については、金属製部分であるハイポ管31と、インナ管部21から続く樹脂製部分である延長管部32との連結を当該延長管部32の熱溶着を利用し、上記のようなジョイントリング51を利用していない。かかる構成を、初期状態(各カテーテル11,12の相対位置が初期位置の状態)ではインナ開口23bがアウタ管部41内に配置される構成に適用することで、アウタ管部41の軸線方向の途中位置における剛性の局所的な高まりを抑えることができる。なお、当該作用効果を奏する上では、延長管部32とハイポ管31との連結が接着剤を利用して行われている構成としてもよく、さらに延長管部32が不具備であり、ハイポ管31がインナ管部21に対して直接連結される構成としてもよい。
【0085】
アウタ管部41とアウタシャフト部42との連結がジョイントリング51を利用して行われている構成において、インナ開口用のマーカ37がジョイントリング51と重ならないように当該ジョイントリング51の長さ寸法が設定されている。これにより、インナ開口用のマーカ37を良好に造影することが可能となる。
【0086】
ジョイントリング51との間で重なり領域Dが生じるようにインナシャフト部22にインナ側の剛性低下領域35が形成されている。これにより、ジョイントリング51の存在による剛性の高まりの影響が抑えられる。
【0087】
本発明は上記実施の形態の記載内容に限定されず例えば次のように実施しても良い。
【0088】
(1)適用可能な変形例である図6の構成では、アウタカテーテル11のアウタ管部41に対して金属製のコイル65が設けられている。当該コイル65は、アウタ管孔43と同一軸線上に配置されるようにしてベース層44に埋設されており、アウタ管部41の遠位端部からジョイントリング51の遠位端部まで設けられている。これにより、アウタ管部41におけるラジアル方向の強度が高められ、使用に際してアウタ管部41が潰れにくくなる。
【0089】
また、コイル65を構成する金属線の外径を芯材34やガイドワイヤ61などよりも小さいものとするとともに、軸線方向に隣り合う部位の間隔をジョイントリング51に形成されたスリット54aのピッチよりも広くすることで、アウタ管部41の軸線方向に対して交差する方向への柔軟性を阻害しないようにすることができる。
【0090】
また、コイル65に白金線を利用してもよい。この場合、放射線の照射下においてアウタ管部41の全長を把握することが可能となる。当該構成であっても、上記のようにコイル65の金属線の外径や間隔を設定することで、インナ開口用のマーカ37がコイル65により覆い隠されてしまうことを抑制できる。
【0091】
(2)アウタ開口43aの周縁部においてアウタシャフト部42が設けられた側とは反対側、すなわち当該周縁部の遠位端側に、インナ管部21や他のカテーテルとの引っ掛かりを低減する構造やコーティングを施す構成としてもよい。引っ掛かりを低減する構造としては、例えば上記アウタ開口43aの周縁部の遠位端側を、インナ管部21や他のカテーテルとの接触面積を小さくするような形状とする構成が考えられる。
【0092】
(3)インナ開口23b及びアウタ開口43aはその開口面が軸線方向に対して傾斜させて形成されている構成に限定されることはなく、少なくとも一方が軸線方向に対して直交するように形成されていてもよい。また、少なくとも一方が近位端側に向けてフレア状となるように形成されていてもよい。
【0093】
(4)ジョイントリング51を利用して管部とシャフト部とを連結する構成をインナカテーテル12に対して適用してもよく、さらにはこの際にアウタカテーテル11における管部とシャフト部との連結を行うための構成として上記実施の形態におけるインナカテーテル12の構成を適用してもよい。この場合に、カテーテル組立体10の初期状態においてアウタ開口43aがインナ開口23bよりも遠位端側に配置される構成としてもよい。当該構成においてアウタ開口43aに対しては造影用のマーカを別途設けた場合には当該マーカと軸線方向に重ならないようにインナカテーテル12のジョイントリングを設けることが好ましい。ちなみに、ジョイントリング51の構成をインナカテーテル12に対して適用する場合であっても幅広面53a及び傾斜面53bに係る構成を利用することで強固な連結を実現しながらガイドワイヤ61の通過性を向上させることができる。
【0094】
(5)インナ側の剛性低下領域35やアウタ側の剛性低下領域54は、らせん状のスリット35a,54aにより形成されている構成に限定されることはなく、直線状のスリットにより形成されている構成や、メッシュ状に形成されている構成としてもよく、肉厚や外径を遠位端側に向けて縮小させることで形成されている構成としてもよい。
【0095】
(6)ジョイントリング51は軸周りに連続した筒状に限定されることはなく、軸周りの途中位置に不連続となる部分が存在していてもよい。また、ラジアル方向の強度は低下することとなるが、剛性が局所的に高まることを抑える上では、ジョイントリング51に代えて金属製のジョイント板(又はジョイント片)を利用してもよい。
【0096】
(7)カテーテル組立体10の用途は、バルーンカテーテルといった他のカテーテルをデリバリするための用途に限定されることはなく、例えばアウタカテーテル11が吸引カテーテルとして利用されインナカテーテル12が挿入補助具として利用される構成としてもよい。また、自己拡張型のステントをデリバリするためにカテーテル組立体10を利用してもよく、閉塞箇所又は狭窄箇所をインナカテーテル12の遠位端部又はアウタカテーテル11の遠位端部により打ち抜くためにカテーテル組立体10を利用してもよい。
【符号の説明】
【0097】
10…カテーテル組立体、11…アウタカテーテル、12…インナカテーテル、21…インナ管部、22…インナシャフト部、23…ガイドワイヤ用管孔、23b…インナ開口、31…ハイポ管、32…延長管部、35…インナ側の剛性低下領域、37…インナ開口用のマーカ、41…アウタ管部、42…アウタシャフト部、43…アウタ管孔、43a…アウタ開口、51…ジョイントリング、53…先細り部、53a…幅広面、53b…傾斜面、54…アウタ側の剛性低下領域、61…ガイドワイヤ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6