【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)「国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成22年独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「環境調和型製鉄プロセス技術開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)」
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境保護の観点から、二酸化炭素の排出低減の必要性が増大し、高炉における二酸化炭素の削減策が、検討されている。高炉で燃焼されるコークス及び微粉炭(以下PCと記す。)は、主成分である炭素が燃焼し、羽口前レースウェイ内で一酸化炭素となり、高炉内を上昇する際に鉄鉱石を還元して二酸化炭素となって炉頂より排出される。
ここで、炭素が主成分であるコークス及びPCに替わり、水素とメタンを大量に含むコークス炉ガス(以下、COGと記す。)、メタンを主成分とする天然ガス(以下、LNGと記す。)、又は、COGを改質し水素含有量が多い改質COG等の水素を含む還元性ガスを高炉に吹き込むことにより、高炉から排出される二酸化炭素の低減が期待できる。
【0003】
COG、LNG、又は、改質COG等の水素を含む還元性ガスを高炉の羽口から吹き込む技術がある。この方法は、水素ガスを多量に含有する燃料を用い、高炉からの二酸化炭素の排出を抑制することで、有効な手段である。しかし、これらのガスが羽口前で燃焼すると、羽口前温度は低下する。その対応策として送風温度の上昇や、酸素吹き込み量の増加を行うと、熱流比が上昇で、高炉シャフト部の熱不足をきたす。又、羽口前レースウェイという限られた空間で大量のガスを燃焼することには、限界がある。
【0004】
COG、LNG、又は、改質COG等の水素を含む還元性ガスを高炉シャフト下部に吹き込む方法が考えられる。この方法は、高炉内の鉱石が溶融する前に水素により鉱石を還元するものであり、高炉からの二酸化炭素の排出を抑制するには、有効な手段である。羽口前温度の低下や、熱流比の上昇といった問題が無い。
【0005】
しかし、高炉のシャフト下部に、水素を含む還元性ガスを吹き込んでも、炉内には、鉱石とコークスが充填されており、吹き込まれたガスは、炉壁近傍の周辺部にとどまり、炉中心まで浸透しない。その結果、炉内の径方向の鉱石還元と通気性維持が不適正になるという問題がある。
従来、高炉のシャフト下部から還元性ガスを吹き込む技術の開示がある。
吹き込みガスが、炉内に均一には拡散しない点を考慮し、炉頂から垂直にパイプを介してガスを吹き込む方法が開示されている(特許文献1)。
次に、炉下部(羽口)から酸素噴射装置により炭化水素流体を吹き込み、炉上方のシャフト下部から、予熱されたCO,H
2を主として含む還元性ガスを吹き込む発明が開示されている(特許文献2)。
又、ガス燃焼・吹き込み装置により、燃料ガス燃焼し、温度を高めたガスを炉シャフト部に吹き込む発明が開示されている(特許文献3)。
又、プラズマアークヒーターで還元性ガスの温度を上げ、周辺部の鉱石とコークスの比(以下、O/Cと記す。)が高い場合に高温の還元性ガスを周辺部に吹き込む技術の開示がある(特許文献4)。
又、重油を熱分解し、水素の含有量が高い還元性ガス(H
2:46%、CO:44%)を実機高炉で試験吹き込みを行った技術が開示されている(非特許文献1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に記載の発明は、シール性など非常に高い設備技術が要求されるとともに、ベルレス装入装置の高炉では、垂直パイプが旋回シュートの邪魔になり、ベル型装入装置にのみ適用が限定される。又、垂直パイプは、炉中心に設置することは困難であり、装入物の炉内配置を大きく乱すため、安定した高炉操業が困難であるという問題がある。
特許文献2に記載の発明は、炉下部(羽口)からの燃料吹き込みによる炉上部の熱不足を予熱還元性ガスで補うものであり、特許文献3に記載の発明は、炉下部低還元材比の操業によるシャフト上部の温度不足を補うため温度を高めた希釈ガスをシャフト下部に吹き込むものである。又、特許文献4に記載の発明は、周辺部O/Cが高くなったときに周辺部の加熱還元不足を補うものである。これらの文献に記載の発明は、共に、シャフト部の熱不足対策であり、水素を含む還元性ガスが炉中心まで浸透しないということの言及はない。
非特許文献1には、シャフト上部に吹き込んだ還元性ガスの炉内への浸透性をガラス球充填層で調査し、吹き込みガスは、炉周辺にとどまるという記述がある。しかし、これに対する対応策についての検討も記載も無い。又、還元性ガスの吹き込みは、羽口からの重油吹き込みを補填し、重油を変成した還元性ガスを吹き込むことを目的としており、吹き込み量も重油換算で最大29.6kg/tpで少量にとどまる。
本願発明は、COG、LNG、又は、改質COG等の水素を含む還元性ガスを高炉シャフト下部から吹き込み、高炉からの二酸化炭素の排出を抑制することを課題とする。
高炉のシャフト下部に、水素を含む還元性ガスを吹き込む場合に、還元性ガスは、炉壁近傍の周辺部にとどまり、炉中心まで浸透しない。その結果、炉内の径方向の鉱石還元が変化し、通気性維持が困難となり、高炉操業に支障をきたす。
本発明の目的は、高炉のシャフト下部に水素を含む還元性ガスを吹き込む場合に、炉径方向の鉱石還元と通気性が適正となる高炉操業方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、高炉反応シミュレータ(以下、BIS炉という。)により、高炉のシャフト下部に、水素を含む還元性ガスを吹き込む実験を行った結果、炉径方向のO/Cを調整することにより、円滑な高炉操業ができることを見出した。本発明は、この知見に基づいて上記の課題を解決するためになされたものであり、その要旨とするところは、以下のとおりである。
【0010】
(1)高炉シャフト部から、水素
ガスを含む還元性ガスを吹き込む高炉操業であって、
還元性ガスに含まれる水素ガスの吹き込み量が銑鉄1トン当り20Nm
3以上、150Nm
3以下であり、
高炉炉頂部における半径方向のO/Cの分布係数aが、下記(1)、(2)式を満たす
ことを特徴とする高炉操業方法。
(0.003×VH
2+1.2)≧a≧(0.003×VH
2+0.85)・・・(1)
a≧1.0・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2) ただし、
a;(O/C)
3/(O/C)
2。高炉炉頂部における半径方向を3分割し、炉中心から
炉壁に向け、1,2,3とした場合の、炉周辺部(O/C)
3と炉中間部(O/C)
2の比である。
VH
2;水素ガスの吹き込み量(Nm
3/tp)
【発明の効果】
【0011】
本発明は、高炉のシャフト下部に水素
ガスを含む還元性ガスを吹き込む場合に、適正な炉径方向の鉱石還元と通気性が可能な高炉操業方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[水素を含む還元性ガスの組成について]
高炉からの二酸化炭素の排出を抑制するためのシャフト部から吹き込む還元性ガスは、COG、LNG、又は、改質COG等の水素を含むガスである。
LNG(CH
4)は、水蒸気改質(CH
4+H
2O=3H
2+CO)することにより、最大75%の水素を含み、残りはCOである。
COG中のH
2は57%で、COGのメタン32%を全て水蒸気改質するとH
2の合計は、78%に増加する。
CO
2削減効果が発揮されるように、シャフトから吹き込む改質還元性ガスのH
2濃度は50%以上とし、最大78%とする。
COGの改質方法は本発明の効果には影響を与えない。COGに含有されるメタン(CH
4)の改質方法として、水蒸気や部分酸化などを組み合わせた改質方法が適用でき、所定の改質後に所定のH
2濃度のガスが得られれば良い。
【0014】
[水素含有還元性ガスの吹き込み量について]
水素を含む還元性ガスの吹き込み量は、水素量(VH
2)Nm
3/tpで表し、20Nm
3/tp乃至150Nm
3/tpとする。下限は、これ以下では、CO
2削減効果が小さいからである。上限は、製鉄所内のマスバランスで定められる。コークス炉からのCOG(CH
4:32%,H
2:57%)生成量は 156Nm
3/tpである。下工程へのCOG供給を考慮し、発生量のうち100Nm
3/tpを水蒸気改質するとし、153Nm
3/tp(100*(0.57+0.32*3))のH
2が生成される。
【0015】
[水素含有還元性ガスを吹き込む時のシャフト部での流れについて]
高炉のシャフト下部に、水素を含む還元性ガスを吹き込む場合に、還元性ガスは、炉壁近傍にとどまり、炉中心まで浸透しない。本発明者等は、実高炉1/10の実験装置を用いて、シャフト下部にガスを吹き込んだ場合のシャフト内のガスの分配について調査し、すでに発表している(非特許文献2)。
図1に吹き込みガスの流れを調査する実高炉1/10の実験装置を示す。2〜5mmのコークスを充填し、羽口1から空気800L/min、シャフトのガス吹き込みノズル2からCO
2を80L/minあるいは160L/min吹き込んで装置背面にあるサンプリング孔3から炉内ガスをサンプリングし炭酸ガスの濃度を測定してガスの流れを調査した。
図2に実高炉1/10の実験装置におけるシャフト吹き込みガスの流れを示す。吹き込みガスは、模型幅1000mmに対し、炉壁からの距離が150mmの範囲を上昇している。
5000m
3クラスのシャフト幅(半径)を8000mmとすると、実炉においては、シャフト下部に吹き込まれた還元性ガスは、炉壁からの距離が約1200mmの周辺部の範囲で、シャフト内を上昇すると考えられる。
【0016】
[水素含有還元性ガスを吹き込む時の鉱石還元について]
本発明者等は、水素含有還元性ガスの吹き込みが、鉄鉱石の高温還元性状に及ぼす影響を調査し、すでに発表している(非特許文献3)。
図3に改質COGによる焼結鉱の圧力損失を示す。実炉を模擬し、荷重を付加した状態で、水素含有還元性ガスにより焼結鉱を還元した場合の焼結鉱の還元・軟化・溶融による鉱石充填層の通気抵抗を調査したものである。温度パターンは、900℃まで10℃/min、900℃で30分保持、900〜1600℃まで5℃/minとし、荷重9.8×10
−2MPaを800℃から付加した。ガス組成は、H
260%、CO30%、N
210%のガスを900℃以上の位置で吹き込んだ。ガス吹き込み量は、0、100、300Nm
3/tpを吹き込んだ。ガスの分配比率は、吹き込み位置における炉内半径方向を3等分し、中間部の吹き込み量V
1、周辺部の吹き込み量V
Wが1:5の場合である。
図3で、改質COGにより焼結鉱の還元が進行し、改質COGを吹き込むことにより焼結鉱充填層の圧損が大幅に低下している。水素の還元力が大きいことを示している。
図4は、改質COGの吹込み量と焼結鉱の最大圧力損失の関係を示す。改質COGの吹き込みにより、周辺部の圧力損失が大幅に低下する。
このことは、改質COGの吹き込みにより、焼結鉱の還元が進み、周辺部の融着帯の融液量が減少し、融着帯が極めて薄くなったものと推定される。その結果、周辺部の圧力損失が大幅に低下すると考えられる。
【0017】
[装入O/Cと1100℃還元率の関係について]
以上より、シャフト下部から、改質COGを吹き込んだ場合、吹き込まれた還元性ガスは、炉の周辺部を上昇する。改質COGの含まれるH
2は、還元力が強いため、周辺部の鉱石を著しく還元し、その結果、周辺部の圧力損失が低下し、炉内ガスの周辺部への編流が想定される。炉内ガスの周辺部への偏流は、高炉操業の変調をきたす虞がある。そこで、本発明者等は、シャフト下部から水素含有還元性ガスを吹き込む場合に、周辺部のO/Cをあげ、周辺流を抑制することを考えた。
本発明者等は、まず、断熱型BIS炉により、装入O/Cと鉱石還元率の関係を調査した。
【0018】
断熱型BIS炉は、加熱型高炉内反応シミュレーター(BIS炉)を断熱型に改造したものである。
図5に断熱型BIS炉の概略を示す。反応管4の中に鉱石5とコークス6を層状に充填し、ヒーター7を移動させ、ガスを反応管4に導入することで、向流移動層としている。断熱は、断熱層8により反応管4からの熱の放散を防止し、反応管4の内部と外壁に接触させた温度計9から温度を検出し、制御部10により両温度が合致するように、電気炉を制御する(非特許文献4)。
【0019】
図6に水素含有還元性ガスを吹き込んだ場合の装入O/Cと1100℃還元率の関係を示す。断熱型BIS炉により調査したものである。
装入O/Cは、高炉炉頂部における半径方向を3分割し、中心から炉壁に向け、1,2,3とした場合の、分割されたそれぞれの部位におけるO/Cで管理する。
図6において、VH
2=0Nm
3/tpの直線は、吹き込み還元性ガス中の水素が浸透しない炉の中間部における装入(O/C)
2(以下、(O/C)
2と記す。)と1100℃還元率の関係を意味する。一方、VH
2=100Nm
3/tpの直線は、吹き込み還元性ガスが浸透する炉の周辺部における装入(O/C)
3(以下、(O/C)
3と記す。)と1100℃還元率の関係を意味する。
【0020】
例えば、装入O/Cが、5.0の場合で、中間部(O/C)
2と周辺部(O/C)
3が同じ5.0の場合を考える。吹き込み還元性ガス中の水素が、VH
2=100Nm
3/tpの場合、還元性ガスが浸透する周辺部の1100℃還元率は69%に上昇するが(B点)、還元性ガスが浸透しない中間部の1100℃還元率は、52%にとどまる(A点)。その結果、
図4より、周辺部の鉱石充填層の圧力損失は低下し、炉内ガスは、周辺部に集中してしまい、炉況が変化し不調につながる虞がある。
【0021】
図6において、周辺部の圧力損失の低下による周辺部へのガス集中を避けるためには、周辺部の(O/C)
3を5.9にすればよい(C点)。中間部(O/C)
2を5.0、周辺部(O/C)
3を5.9にし、それぞれの1100℃還元率を52%とすれば、周辺部と中間部の炉内ガスのアンバランスを解消することができ、安定した炉況を維持することができると考えられる。
【0022】
[周辺部と、中間部のO/Cと排出CO
2の関係について]
前述の如く水素含有還元性ガスを吹き込んだ場合、炉の周辺部(O/C)
3と中間部(O/C)
2により、炉内の鉱石還元状況が変化し、排出CO
2(kg/tp)が影響される。
(O/C)
3と(O/C)
2を変更した場合の排出CO
2(kg/tp)の変化を前記断熱型BIS炉を用いて調査した。
【0023】
周辺部と中間部のO/Cの比を分布係数aとした。即ち、a=(O/C)
3/(O/C)である。
図7にa=(O/C)
3/(O/C)
2と排出CO
2の関係を示す。
水素吹込みが、VH
2=0Nm
3/tpの場合、a=(O/C)
3/(O/C)
2が1.0のときに、排出CO
2(kg/tp)は最低値(P点)を示す。
水素吹込みが、VH
2=50Nm
3/tpの場合、a=(O/C)
3/(O/C)
2が1.0(P点)〜1.35(Q点)のときに、水素吹込みが、VH
2=0Nm
3/tpの場合の排出CO
2(kg/tp)より小さくなる。即ち、水素吹込みが、VH
2=50Nm
3/tpの場合は、a=(O/C)
3/(O/C)
2を1.0(P点)〜1.35(Q点)にすれば、CO
2(kg/tp)の排出を削減することができる。
【0024】
水素吹込みが、VH
2=100Nm
3/tpの場合、a=(O/C)
3/(O/C)
2が1.3(R点)〜1.65(S点)のときに、水素吹込みが、VH
2=0Nm
3/tpの場合の排出CO
2(kg/tp)より小さくなる。即ち、水素吹込みが、VH
2=100Nm
3/tpの場合は、a=(O/C)
3/(O/C)
2を1.3(R点)〜1.65(S点)にすれば、CO
2(kg/tp)の排出を削減することができる。
【0025】
[排出CO
2を削減するための、水素吹込み量VH
2(Nm
3/tp)とa=(O/C)
3/(O/C)
2との関係式の導入について]
前記
図7において、P点(VH
2=50Nm
3/tp、a=1.0)、R点(VH
2=150Nm
3/tp、a=1.3)であれば、排出CO
2(kg/tp)は、削減できる。
このP点、R点より、排出CO
2(kg/tp)を削減できる下限である下記式(3)が導かれる。
【0026】
[数式]
a≧(0.003×VH
2 + 0.85) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・(3)
【0027】
同様に、Q点(VH
2=50Nm
3/tp、a=1.35)、S点(VH
2=150Nm
3/tp、a=1.65)より、排出CO
2(kg/tp)を削減できる上限である下記式(4)が導かれる。
【0028】
[数式]
(0.003×VH
2+ 1.2)≧a・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(4)
【0029】
前記式(3)と前記式(4)合成することにより、又、aは、1.0以上に限られることより、下記式(1)(2)を導くことができる。
【0030】
[数式]
(0.003×VH
2+ 1.2)≧a≧(0.003×VH
2 + 0.85)・・・(1)
【0031】
[数式]
a ≧ 1.0・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2)
【0032】
[水素含有還元性ガスを吹き込む時のO/C制御]
本発明は、水素含有還元性ガスの水素含有量に応じて、O/Cの分布係数aを前記式(1)及び(2)に従い実施する。
図8に水素含有還元性ガスを吹き込む時の装入物の分布係数aを示す。制御の仕方は通常操業通り、装入バッチ毎の切り出し位置の変更で調整する。
尚、本発明では、炉中心には中心コ−クスがあり、かつ体積寄与は小さいので、制御精度の観点から中心部は制御しない。
本発明のシャフト吹き込みを行う高炉操業法において、円周方向の吹き込み口の設置数は多ければ多いほど円周方向の均一な吹き込みが可能となり望ましい。一方、過度な数の吹き込み口の設置は、設備費の増大を招くので、吹き込み口の円周方向の間隔を5m以下とすることが望ましい。
【実施例1】
【0033】
次に、本発明の実施例について説明するが、本発明は、これに限られるものではない。
【0034】
シャフト部に吹き込み口を1つ装備した試験高炉(羽口2個、内容積8m
3)を用いて、H
2濃度が65%の改質COGを吹き込み操業評価試験を実施した。結果を表1に示す。
(比較例1)
還元性ガスのシャフト吹き込みがないベース条件の操業は、a=1.0の分布係数において、inputCで420kg/tp, 排出CO
2(Nm
3/tp) で 1357であり、通気抵抗指数(K値)、炉体放散熱、スリップ頻度など操業管理指標も良好であった。
(実施例1)
水素吹き込み量 を50Nm
3/tp,とし、分布係数aは、式(1)を満足する1.15とした。高炉操業は、安定し、排出CO
2は66kg/tp削減できた。
(実施例2)
水素吹き込み量 を150Nm
3/tpとし、分布係数aは、式(1)を満足する1.45とした。高炉操業は、安定し、排出CO
2は132kg/tp削減できた。
(比較例2)
水素吹き込み量 を18Nm
3/tpとした。水素吹き込み量が少なく、顕著なCO
2削減効果が発揮されなかった。
(比較例3)
吹き込み量 50Nm
3/tpとし、分布係数aは、式(1)の上限を超える1.40とした。過度に壁際に還元負荷が高くなった結果、中間部へのガス流れが過剰に促進されて、通気が安定しなかった。その結果、コークスを増配せざるをえなかったので、排出CO
2は削減されず、ベースの比較例1に対し、73kg/tp増加した。
【0035】
【表1】