(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来の技術では、コールセンター業務システムをシャットダウンさせるための方法として様々な考案がされてきた。
【0003】
例えば、クライアントがサーバのリソースをリモートマウントする際、メッセージによってサーバに通知し、かつサーバをシャットダウンする際、そのクライアントからサーバへリソースをリモートマウントしたことを通知するメッセージが存在していれば操作卓画面に警告メッセージを出力するという方式がある。この方式では、クライアントがサーバのリソースをリモートマウントしたままサーバをシャットダウンしてしまう危険を回避することが非常に容易になり、サーバやクライアントのリソースを破壊することなく安全にサーバをシャットダウンすることができる[特開平5−250297号公報(特許文献1)参照]。
【0004】
また、計算機を使用するユーザはシステム停止時刻を認識し、かつシステムが停止する前に実行中の処理を終了させることが可能になり、システム停止に伴うデータの整合性が損なわれる危険を回避することができる[特開平9−190234号公報(特許文献2)参照]。
【0005】
また、事務所内に設定される情報処理装置と電波検知器があり、さらに、対象人物には、個人を識別するために特定の電波を発信するワイヤレスの発信機が付けられている。情報処理装置の電波検知器が、対象人物が付けているワイヤレスの発信機との距離から電波検出レベルを判定して、情報処理装置の電源状態を電源ON、休止モード、シャットダウン→電源OFFのいずれかに移行することができる[特開2007−202283号公報(特許文献3)参照]。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般的なコールセンター業務では、個人情報を取り扱うため、情報セキュリティに対する対応が求められる。オペレータ不在時に、他者による業務システムの操作が行われないよう、オペレータの不在を検知した時に、業務システムがシャットダウンされることが望ましい。
【0008】
また、顧客から受け取った依頼票などのリソースをコンピュータ処理する際、リソースは特定のオペレータにより排他制御が行われ、排他中は、他のオペレータがそのリソースを処理することができない。そのため、オペレータがリソースの排他を行ったまま長時間離席した場合、リソースの処理が滞ることになり、離席時にはリソースが解放されることが望ましいが、従来の技術では、次の問題があった。
【0009】
例えば、特許文献1に記載のものでは、クライアントに警告を表示しリソースの解放を行うが、オペレータが離席していると警告を見ることができず、長時間リソースの解放が行えないという課題がある。また、オペレータが着席中であれば、リソースを利用するのは当然であるため、確認を行うことは、オペレータにとって手間がかかるという問題がある。
【0010】
また、特許文献2に記載のものでは、予め決められた時刻にシャットダウンを行うため、顧客対応中であってもシャットダウンが発生する場合があるという問題がある。
【0011】
また、特許文献3に記載のものでは、オペレータがワイヤレス発信機を持ち歩かなければならず、例えばワイヤレス発信機を自席付近に置き忘れた場合、シャットダウンが行われないという問題がある。また、オペレータ毎にワイヤレス発信機を用意する必要がある。
【0012】
そこで本発明の代表的な目的は、コールセンター業務システムのクライアント端末のオペレータが長時間離席をした場合に、クライアント端末の業務システムをシャットダウンさせ、占有しているリソースの解放を行うことができるコールセンター業務システムを提供することにある。
【0013】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次の通りである。
【0015】
すなわち、代表的なものの概要は、コールセンターのオペレータが操作するクライアント端末と、クライアント端末に対応した自電話機と、クライアント端末および自電話機が接続され、電話網を介して外部の電話機からの接続処理を行うコールセンターサーバとを備え、クライアント端末は、コールセンターのオペレータ処理を行う業務処理部と、クライアント端末が一定時間無操作状態となった場合に、クライアント端末の表示をスクリーンセーバ状態にするスクリーンセーバ機能と、スクリーンセーバ機能によるクライアント端末のスクリーンセーバ状態および自電話機の非通話状態が共に起きた場合に、その状態の継続時間と、クライアント端末に対応して設定されたシャットダウン規定値に基づいて、業務処理部に対して、シャットダウンを指示するシャットダウン処理部とを有するものである。
【発明の効果】
【0016】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下の通りである。
【0017】
すなわち、代表的なものによって得られる効果は、特別な機器を用意することなく、コールセンターにてオペレータ毎に通常用意されるクライアント端末と、自電話機を用いることで、オペレータが長時間離席したことを検知することができる。これにより、オペレータが長時間離席している場合は、システムのシャットダウンが行え、リソースの解放も行えるため、処理されないリソースの解放時間を短くすることができるようになり、コールセンターの業務効率向上が可能となる。
【0018】
また、端末に表示していた個人情報やリソースも消えるため、情報セキュリティの確保も実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0021】
<コールセンター業務システムの構成>
図1および
図2により、本発明の一実施の形態に係るコールセンター業務システムの構成について説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係るコールセンター業務システムの構成を示す構成図、
図2は本発明の一実施の形態に係るコールセンター業務システムで使用されるテーブルの一例を示す図であり、
図2(a)はシャットダウン規定値テーブル110、
図2(b)はシャットダウンカウンタテーブル111、
図2(c)は自電話機通話状態テーブル112を示している。
【0022】
図1において、コールセンター業務システムは、クライアント端末101と、自電話機102と、ネットワーク103、104と、コールセンターサーバ105と、電話網106と、相手電話機107とから構成されている。
【0023】
さらに、クライアント端末101は、コールセンター業務の各種処理を行う業務処理部である業務システム108と、業務システム108のシャットダウン処理を行うシャットダウン処理部であるシャットダウンシステム109と、スクリーンセーバ機能115を有するオペレーティングシステム114とから構成されている。
【0024】
また、シャットダウンシステム109は、
図2に示すような、シャットダウン規定値が格納されるシャットダウン規定値テーブル110と、離席状態の時間を測るためのシャットダウンカウンタテーブル111と、自電話機の状態が格納される自電話機通話状態テーブル112を有している。
【0025】
図2(a)〜
図2(c)に示すように、シャットダウン規定値テーブル110、シャットダウンカウンタテーブル111、自電話機通話状態テーブル112は、それぞれ、クライアント端末の番号に対応した、項目名、項目名の内容、項目名に対応したデータが格納されている。
【0026】
例えば、シャットダウン規定値テーブル110は、
図2(a)に示すように、項目名として、「シャットダウン規定値」が格納され、内容に「スクリーンセーバが起動してから、シャットダウンを行うまでの時間間隔[分]」が格納され、シャットダウン規定値のデータとして「30」が格納されている。
【0027】
また、シャットダウンカウンタテーブル111は、
図2(b)に示すように、項目名として、「シャットダウンカウンタ」が格納され、内容に「スクリーンセーバが起動してからの積算時間[分]」が格納され、シャットダウンカウンタのデータとして、「0」が格納されている。
【0028】
また、自電話機通話状態テーブル112は、
図2(c)に示すように、項目名として、「通話状態区分」が格納され、内容に「自電話機の通話状態を保持する(状態には「通話中」と「切電」がある)」が格納され、通話状態区分のデータとして、「通話中」が格納されている。
【0029】
また、オペレーティングシステム114は、GUI(Graphical User Interface)フロントエンドで、オペレータ116の指示によるシステムの起動、あるいはオペレータ116または業務システム108の指示によるプログラム終了を行う。
【0030】
スクリーンセーバ機能115は、一定時間、キーボード、マウスの無操作状態が続いた時に、クリーンセーバを起動し、例えば、モニタなどの表示画面をスクリーンセーバ状態にし、キーボード、マウスの操作を行うことで終了する。また、業務システム108からの要求で、スクリーンセーバの起動状態を監視し、起動もしくは中止するインタフェースを有する。
【0031】
業務システム108は、シャットダウンシステム109とは別のスレッド(thread)で動作し、オペレータ116が業務で利用できる機能および、オペレータ116の指示により自システムのシャットダウン通知を行うことができるものとする。自電話機102は、オペレータ116が業務で利用する電話機で、クライアント端末101はオペレータ116が操作可能な場所に設置されている。
【0032】
コールセンターサーバ105は、ネットワーク103、104を通してクライアント端末101と自電話機102、電話網106を通じて相手電話機107と接続している。自電話機102と相手電話機107の通話状態を適宜確認し、通話状態が変わった場合、クライアント端末101へ通話状態を通知する通話状態通知機能を持つ。
【0033】
通話状態は、「通話中」、「切電」があり、自電話機102と相手電話機107が通話可能な状態を「通話中」、発信中/着信中/切電の状態はすべて「切電」とする。コールセンターサーバ105がクライアント端末101に通知した通話状態は、自電話機通話状態テーブル112に格納する。
【0034】
なお、相手電話機107は、自電話機102に対して発着信を行う任意の電話機を指す。
【0035】
<コールセンター業務システムのシャットダウン動作の概要>
本実施の形態では、
図1に示す構成により、クライアント端末101からオペレータ116が長時間離席した時に、情報セキュリティ確保やリソースの解放を目的として、業務システム108をシャットダウンさせている。
【0036】
なお、オペレータ116が離席しているという状態とは、オペレーティングシステム114のスクリーンセーバ機能115が起動しており、かつ自電話機102が通話状態でない状態とする。この状態が一定時間続いた場合、長時間離席としているものとして扱い、業務システム108のシャットダウンを行う。
【0037】
この動作を実現するために、本実施の形態では、クライアント端末101に、シャットダウンシステム109を持つ業務システム108を導入している。シャットダウンシステム109は、コールセンターサーバ105を通じて取得した自電話機102の状態と、スクリーンセーバ機能115の起動状態から、オペレータ116の離席状態を確認する。
【0038】
離席状態の時間を測るシャットダウンカウンタテーブル111のシャットダウンカウンタが、シャットダウン規定値テーブル110のシャットダウン規定値を超えた場合、業務システム108をシャットダウンする。
【0039】
そして、業務システム108がシャットダウンすると、業務システムが占有していた顧客から受け取った依頼票などのリソースのコンピュータ処理が解放されるようになっている。
【0040】
<コールセンター業務システムの全体処理>
次に、
図3により、本発明の一実施の形態に係るコールセンター業務システムの全体処理について説明する。
図3は本発明の一実施の形態に係るコールセンター業務システムの全体処理を説明するための構成図である。
【0041】
まず、ステップS101の起動指示により、オペレータ116の操作が行われ、ステップS102にて業務システム108が起動するようにオペレーティングシステム114へ指示を出す。
【0042】
業務システム起動指示のステップS102は、オペレータ116より指示を受けたオペレーティングシステム114が、業務システム108のスレッドを立ち上げ、業務システム108を起動する。ステップS103にてシャットダウンシステム起動は、業務システム108が自スレッドとは別のスレッドで、シャットダウンシステム109のスレッドを立ち上げ、シャットダウンシステム109を起動する。
【0043】
ステップS104で業務システム108の業務プログラムを実行し、オペレータ116が業務処理を行うための機能を提供する。
【0044】
ステップS105にて、オペレータシャットダウン指示は、オペレータ116が業務システム108を終了させるため、終了指示を行う。
【0045】
また、ステップS103でのシャットダウンシステム起動により、ステップS107にてシャットダウンシステム109が実行される。この時にオペレータ116の離席状態をスクリーンセーバ機能115と自電話機102の状態から判断する。ステップS107でのシャットダウンシステム109により、オペレータ116が長時間離席していると判断した場合には、ステップS108にて、業務システム108へシャットダウンの指示を行う。
【0046】
また、ステップS105にてオペレータシャットダウン指示が発せられ、オペレータのシャットダウン指示、またはステップS108のシャットダウンシステム109によるシャットダウン指示により、ステップS106にて、業務システム108のスレッドを停止し、プログラムの終了処理を行う。
【0047】
<コールセンター業務システムの業務システムの動作>
次に、
図4により、本発明の一実施の形態に係るコールセンター業務システムの業務システムの動作について説明する。
図4は本発明の一実施の形態に係るコールセンター業務システムの業務システムの動作を示すフローチャートである。
【0048】
まず、ステップS201にて、業務システム108の起動指示が実行される。これに伴うオペレータ116の操作により、業務システム108の起動をオペレーティングシステム114に指示する。そして、ステップS202により業務システム108が起動し実行される。この処理によりオペレーティングシステム114が、業務システム108のスレッドを起動する。
【0049】
次に、ステップS203にてシャットダウンシステム109の起動が実行される。業務システム108が、自身の業務システム108とは別スレッドでシャットダウンシステム109を起動する。
【0050】
そして、ステップS204のシャットダウン指示確認では、業務システム108または、シャットダウンシステム109がシャットダウンを要求した場合(Yes)、プログラム終了へ遷移する。シャットダウン要求がない場合(No)、ステップS204のシャットダウン指示確認に戻り、プログラムを続行する。
【0051】
<コールセンター業務システムのシャットダウンシステムの動作>
次に、
図5により、本発明の一実施の形態に係るコールセンター業務システムのシャットダウンシステムの動作について説明する。
図5は本発明の一実施の形態に係るコールセンター業務システムのシャットダウンシステムの動作を示すフローチャートである。
【0052】
まず、ステップS301ではシャットダウン規定値テーブル110の内容の読込動作によって、シャットダウン規定値テーブル110より、シャットダウン規定値を読み込み、例えば、クライアント端末101内の主記憶装置などに記憶させる。この記憶内容は、スクリーンセーバが起動してから、シャットダウンを行うまでの時間間隔であり、この例では
図2(a)に示すように、30分にセットされる。
【0053】
次に、ステップS302のシャットダウンカウンタリセットのステップは、シャットダウンカウンタテーブル111のシャットダウンカウンタに「0」を設定する。これは、
図2(b)のシャットダウンカウンタテーブル111に示されるデータ形式であり、スクリーンセーバが起動してからの積算時間を記憶する。この例では「0」分の設定としている。
【0054】
次に、ステップS303の待機状態のステップは、1分間待機し、ステップS304の通話状態通知を確認する動作へ遷移する。これは、シャットダウン規定値テーブル110、シャットダウンカウンタテーブル111のシャットダウンカウンタの単位が「分」単位に設定してあるために実施している。
【0055】
次に、ステップS304の通話状態通知を取得のステップにおいて、コールセンターサーバ105が自電話機102の通話状態に変更があったことを通知した内容を、クライアント端末101が受信したかを確認する。
【0056】
そして、ステップS305の通話状態受信確認のステップでは、ステップS304の通話状態通知を確認して、クライアント端末が通知を受信していた場合はステップS306の通話状態通知を記憶へ遷移し(Yes)、受信していない場合はステップS307の通話状態を取得へ遷移する(No)。
【0057】
次に、ステップS306の通話状態通知を記憶するステップでは、コールセンターサーバ105が通知した自電話機102の通話状態を、自電話機通話状態テーブル112の通話状態区分に設定を行う。この設定は、
図2(c)の自電話機通話状態テーブル112の通話状態区分の設定である。通話状態区分では自電話機102の通話状態を保持して、通話状態は「通話中」として区分している。なお、状態には「通話中」と「切電」の2種がある。
【0058】
次に、ステップS307の通話状態を取得するステップでは、自電話機通話状態テーブル112内の通話状態区分の取得を行う。
【0059】
そしてステップS308の通話中の確認のステップでは、ステップS307の通話状態を取得するステップで取得した通話状態区分が「通話中」の場合、ステップS302のシャットダウンカウンタリセットへ遷移し(Yes)、「通話中」以外ではステップS309のスクリーンセーバ起動状態を取得するステップへ遷移する(No)。
【0060】
ステップS309のスクリーンセーバ起動状態を取得するステップでは、スクリーンセーバ機能115からスクリーンセーバの起動状態の取得を行う。
【0061】
次に、ステップS310のスクリーンセーバの起動確認のステップでは、ステップS309のスクリーンセーバの起動状態の有無を取得して、スクリーンセーバが起動状態であると取得された場合、ステップS311のシャットダウンカウンタを加算へ遷移し(Yes)、スクリーンセーバ未起動の場合は、ステップS302のシャットダウンカウンタリセットへ遷移する(No)。
【0062】
ステップS311のシャットダウンカウンタを加算するステップでは、シャットダウンカウンタテーブル111のシャットダウンカウンタに「1」を加算する。
【0063】
次に、ステップS312のシャットダウン規定値判定のステップでは、シャットダウンカウンタテーブル111のシャットダウンカウンタと、シャットダウン規定値テーブル110のシャットダウン規定値を比較し、シャットダウンカウンタ≧シャットダウン規定値となった時、ステップS313のシャットダウン指示のステップへ遷移し(Yes)、達していない場合は、ステップS303の待機へ遷移する(No)。
【0064】
なお、ステップS313のシャットダウン指示は、
図4のステップS204に示すように、シャットダウン指示有無確認にて終了処理へ遷移する指示を業務システム108へ行う。
【0065】
以上のように、本実施の形態では、クライアント端末101で起動されるシャットダウンシステムにより、クライアント端末のスクリーンセーバが一定時間起動しており、かつオペレータの電話機が通話中でない場合に、オペレータ長時間離席していると判断し、業務システムのシャットダウンを行うようにしたので、特別な機器を用意することなく、オペレータが長時間離席したことを検知することができ、オペレータが長時間離席した場合の、業務システムのシャットダウンを容易に行うことができる。
【0066】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。