【実施例】
【0030】
以下、本発明を実施例を挙げて詳述する。これらの実施例は単に本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例に制限されないことは当業者において通常の知識を有する者にとって自明である。
【0031】
特に、下記実施例では、ロドコッカス・オパカスPD630を宿主微生物として利用した方法についてだけ示されているが、オイル生成能を有すると知られた微生物またはオイル生成能を有するように形質転換させた微生物であれば、本発明に係る方法を適用できることは本明細書に開示された内容から当業界において通常の知識を有する者には自明である。
【0032】
また、下記実施例では、遊離脂肪酸のエステル化過程において、アルコールとしてメタノールを使ったが、その他アルコールを使って、エステル化反応を行うことによって、多様な種類の脂肪酸アルキルエステルを製造できることも当業界において通常の知識を有する者においては自明である。
【0033】
《実施例1:オイルを自己分解させる遺伝子を導入したロドコッカス・オパカスPD630の組換え菌株の製造(1)》
1−1.プラスミドpRUCSdpの作製
pUC18プラスミド(Phamacia、Biotech, Uppsala, Sweden)から
図2の遺伝子地図を有するrpROUC18(配列番号1)及びrpROUC18_KM(配列番号2)組換えベクターを製造した後、下記のように遺伝子切片を導入した。
【0034】
まず、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana col.)のゲノムDNAを鋳型とし、合成された配列番号3と4のプライマーでPCRを行い、トリアシルグリセロールリパーゼをコードするsdp1遺伝子切片を作製した。
配列番号3:5’−TATAGGCGCCATGGATATAAGTAATGAGGC−3’
配列番号4:5’−TGTCCTGCAGCTAAGCATCTATAACACTAC−3’
【0035】
次に、前記製造されたsdp1切片をrpROUC18プラスミド(Phamacia、Biotech, Uppsala, Sweden)に制限酵素(NarI及びPstI)を処理した後、T4DNAリガーゼを処理して、制限酵素で切断されたsdp1切片(配列番号5)とpUC18プラスミドを接合させることによって、組換えプラスミドであるpRUCSdpを作製した。
【0036】
1−2.プラスミドpRUCSdpMagの作製
マイコバクテリウム・スメグマティス(Mycobacterium smegmatis)(KCTC9108)のゲノムDNAを鋳型とし、合成された配列番号6と7のプライマーでPCRを行い、モノアシルグリセロールリパーゼをコードするMSMEG_0220遺伝子切片を作製した。
配列番号6:5’−TATATCTAGAACAACGGGGAGGACAACCGAATGGTGAGCAGCACCCGCAGTGAACAC−3’
配列番号7:5’−TATATCTAGATCACAGATGACTCACGATCCATGAG−3’
【0037】
次に、前記製造されたMSMEG_0220切片をpRUCSdpプラスミドに制限酵素(XbaI)を処理した後、T4DNAリガーゼを処理して、制限酵素で切断されたMSMEG_0220切片(配列番号8)とpRUCSdpプラスミドを接合させることによって、
図3の組換えプラスミドであるpRUCSdpMagを作製した。その次に、製造した前記組換えプラスミドであるpRUCSdpMagをロドコッカス・オパカスPD630DSM44193菌株(DSMZ(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen), Germany)に導入して、アセトアミド(acetamide)により活性を有するように作製されたリパーゼ遺伝子が導入された組換え菌株を製造した。
【0038】
《実施例2:オイルを自己分解させる遺伝子を導入したロドコッカス・オパカスPD630の組換え菌株の製造(2)》
2−1.プラスミドの作製
下記提示されたプライマーを使って、表1の明示された条件と遺伝子鋳型からトリアシルグリセロールリパーゼとモノアシルグリセロールリパーゼを実施例1−1のrpROUC18プラスミド及びrpROUC18_KMプラスミドに導入する方式によって、
図4に示されたように多様な種類のプラスミドを作製した。この時、トリアシルグリセロールリパーゼとモノアシルグリセロールリパーゼを共に導入した。表1は、各々の制限酵素の種類と遺伝子の由来等が記載されており、この他にも多様な種の遺伝子を導入してもよい。
【0039】
実施例1に示したように、rpROUC18プラスミドには、アセトアミドに誘導されるプロモーターを使って、希望する時期に導入させた遺伝子を機能できるようにし、この時、アセトアミドで誘導させる場合には0.5%(w/w)の濃度を用いた。
ARAT_fプライマー(配列番号9)
5’−TATATTCCATGGGGAGGACAACATATAAGTAATGAGGCTAGT−3’
ARAT−rプライマー(配列番号10)
5’−CCGCCTGCAGCTAAGCATCTATAACACTAC−3’
ATAG7_fプライマー(配列番号11)
5’−TATTGACGTCGACAACGGGGAGGACAACCGAATGGAACGCGGATCCACTTG−3’
ATAG7−rプライマー(配列番号12)
5’−CTTGTACTAAGTCCCGGGTTAGTGGACGACCTCGAAGC−3’
Mlip2_fプライマー(配列番号13)
5’−TATTGGCGCCGACAACGGGGAGGACAACCGAATGGTGAGCAGCACCCGCAGTGAA−3’
Mlip2_rプライマー(配列番号14)
5’−CCACGATGGACACGTTGTACTAAGTCTGCAGTCACAGATGACTCACGATCC−3'
PAO_fプライマー(配列番号15)
5’−TATAGACGTCATGAAGAAGAAGTCTCTGCTCCCC−3’
PAO_rプライマー(配列番号16)
5’−TCGAaagcttCTACAGGCTGGCGTTCTTCA−3’
【0040】
【表1】
【0041】
この時、
図4のrpROUC18KM_AraプラスミドとrpROUC18KM_Ara_MAGプラスミドに導入されたシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)TAGリパーゼ遺伝子切片は、配列番号17の塩基配列を有し、rpROUC18KM_Af7GプラスミドとrpROUC18KM_Af7G_MAGプラスミドに導入されたアスペルギルス・フミガータスTAG7Gリパーゼ遺伝子切片は、配列番号18の塩基配列を有し、rpROUC18KM_PAOプラスミドとrpROUC18KM_PAO_MAGプラスミドに導入されたシュードモナス・アエルギノーザ(Pseudomonas aeruginosa)TAGリパーゼ遺伝子切片は、配列番号19の塩基配列を有し、rpROUC18KM_MAGプラスミド、RPROUC18KM_ARA_MAGプラスミド、rpROUC18KM_Af7G_MAGプラスミド及びrpROUC18KM_PAO_MAGプラスミドに導入されたM.スメグナティス(M. smegmatis)MAGリパーゼ遺伝子切片は配列番号20の塩基配列を有する。
【0042】
《実施例3:ロドコッカス・オパカスPD630の組換え菌株を利用した脂肪酸メチルエステルの産生》
3−1:実施例1のロドコッカス・オパカスPD630の組換え菌株を利用した遊離脂肪酸(fatty acid)の産生(1)
実施例1のアセトアミドにより活性を有するように作製されたリパーゼ遺伝子が導入されたロドコッカス・オパカスPD630の組換え菌株を培養するに当たり、培地内に窒素源(nitrogen)を制限して、オイル産生のために2段階培養を行った。
【0043】
先ず、1段階培養では、実施例1の組換え菌株を100mLのNB(nutrient broth)を含有した250mLフラスコで30℃、250rpmで24時間培養した。
【0044】
前記培養液を6000rpmで10分間遠心分離して菌体を回収し、2段階培養に使用されるMSM培地で細胞に残っているNB培地性分を洗浄した後、再度6000rpmで10分間遠心分離して菌体を回収して、100mLのMSM培地に懸濁させた。MSM培地(pH7.0)の組成は、下記の通りである。蒸溜水1L当りKH
2PO
4 0.8g、Na
2HPO
4 5.58g、(NH
4)
2SO
4 0.1g、MgSO
47H
2O 0.12g、FeSO
45H
2O 0.5mg、MnSO
45H
2O 1.54mg、H
3BO
3 2.86mg、CuSO
45H
2O 0.039mg、CoCl
26H
2O 0.041mg、ZnCl
2 0.021mg、Na
2MoO
42H
2O 0.025mg、CaCl
22H
2O 11.6mgが含まれていている。
【0045】
100mLのMSM培地に懸濁させた菌株は、炭素源として20g/Lのグルコースを添加した後、30℃、250rpmで24時間培養した。その次に、顕微鏡でリアルタイムモニターして、菌株内のオイル蓄積をチェックした後、遊離脂肪酸を生成するようにリパーゼを活性化させるために培養液に0.5%(w/v)アセトアミドを入れて30℃で48時間培養した。
【0046】
培養終了後、培養液を6000rpmで10分間遠心分離して細胞を回収した。回収した細胞を蒸溜水で一度洗った後、100℃の乾燥器で24時間乾燥した。
乾燥された細胞は、キャピラリーカラムが装着されたAgilent6890Nシリーズガスクロマトグラフィー装置(Chiraldex G-TA of Astec, USA)を利用して、ガスクロマトグラフィー分析を行って、細胞内の合成された遊離脂肪酸含有量を測定した。2段階フラスコ培養結果、遊離脂肪酸は、0.27g/Lの濃度で生成されたことを確認した。
【0047】
3−2:実施例2のロドコッカス・オパカスPD630の組換え菌株を利用した遊離脂肪酸の生産(2)
実施例2のアセトアミドにより活性を有するように作製されたリパーゼ遺伝子が導入されたロドコッカス・オパカスPD630の組換え菌株を培養するに当たり、培地内に窒素源を制限して、オイル産生のための2段階培養を行った。
【0048】
先ず、1段階培養では、実施例2の組換え菌株を各々200mLのTSB(Tryptic soy broth)を含有した250mLのフラスコで30℃、200rpmで16時間培養した。
【0049】
前記培養液を3000rpmで30分間遠心分離して菌体を回収して、2段階培養に使用されるMSM培地で細胞に残っているTSB培地性分を洗浄した後、再度3000rpmで30分間遠心分離して菌体を回収して、200mLのMSM培地に懸濁した。MSM培地(pH7.0)の組成は下記の通りである。蒸溜水1L当りKH
2PO
4 0.8g、Na
2HPO
4 5.58g、(NH
4)
2SO
4 0.1g、MgSO
47H
2O 0.12g、FeSO
45H
2O 1.0mg、MnSO
45H
2O 3.08mg、H
3BO
3 5.72mg、CuSO
45H
2O 0.078mg、CoCl
26H
2O 0.082mg、ZnCl
2 0.042mg、Na
2MoO
42H
2O 0.050mg、CaCl
22H
2O 23.2mgが含まれている。
【0050】
200mLのMSM培地に懸濁させた菌株は、炭素源として20g/Lのグルコースを添加した後、30℃、200rpmで48時間培養した。その次に、顕微鏡でリアルタイムモニターして、菌株内のオイル蓄積をチェックした後、遊離脂肪酸を生成するようにリパーゼを活性化させるために培養液に0.5%(w/v)アセトアミドを入れて30℃で24時間培養した。
【0051】
培養終了後、培養液を3000rpmで30分間遠心分離して細胞を回収した。上澄液は−45℃、10mmトール(Torr)で48時間凍結乾燥した。そして、回収した細胞は、蒸溜水で一度洗い落とした後、80℃の乾燥器で24時間乾燥した。各々の物質は0.1gずつ取って脂肪酸分析のために、Microbial Identification System(Microbial ID, Inc., Network, Del., USA)に提示された方法でカスクロマトグラフィーサンプルを準備した。
【0052】
準備されたサンプルは、毛管カラムが装着されたAgilent6890Nシリーズガスクロマトグラフィー装置(Chiraldex G-TA of Astec, USA)を利用して、ガスクロマトグラフィー分析を行って、細胞内の合成された遊離脂肪酸含有量を測定した。
【0053】
このように2段階フラスコ培養結果、細胞内での遊離脂肪酸含有量に比べて上澄液の凍結乾燥物内の遊離脂肪酸は顕著に多量であり、そこで遊離脂肪酸は細胞外に分泌されることが分かった。
図5は、上澄液の凍結建造物内の遊離脂肪酸を測定した結果で、遊離脂肪酸が多様な長さの遊離脂肪酸の混合体として生成されたことを確認することができた。また、トリアシルグリセロールリパーゼだけを導入させた場合より、モノアシルグリセロールリパーゼを共に導入させた場合、同量のブドウ糖からさらに多量の遊離脂肪酸を産生することが分かった。
【0054】
3−3:遊離脂肪酸から脂肪酸メチルエステルへの転換
実施例3−1で得られた乾燥菌株にクロロホルム2mLを添加して、3%(v/v)H
2SO
4を含むメタノール1mLを添加した後、この混合物を100℃で12時間反応させた。
【0055】
反応終了後、混合物を常温まで冷まして、混合物に蒸溜水1mLを添加して5分間激しく混ぜて、有機溶媒(chloroform)層と水(水溶液)層を分離させて、10,000rpmで10分間遠心分離して有機溶媒層だけを採取して、毛管カラムが装着されたAgilent6890Nシリーズガスクロマトグラフィー装置(Chiraldex G-TA of Astec, USA)を利用してガスクロマトグラフィー分析を行って、生成された脂肪酸メチルエステル濃度を測定した。
【0056】
その結果、
図6に示したように、C13脂肪酸メチルエステルを確認でき、これは、0.2g/Lで取得された。これは、遊離脂肪酸から遊離脂肪酸メチルエステルロへの転換がなされたことを意味する。
また、実施例3−2で得られた上澄液に前記同様にメタノールを添加して反応させた後、生成された脂肪酸メチルエステルを測定した。
【0057】
その結果、
図7に示したように、脂肪酸メチルエステルへ転換されたことを確認でき、特にトリアシルグリセロールリパーゼ(TAGリパーゼ)またはモノアシルグリセロールリパーゼ(MAGリパーゼ)だけを導入した場合に比べて、二つのリパーゼを共に導入させた場合、顕著に多量の脂肪酸メチルエステルが取得されることを確認することができた。このように本発明に係る微生物を利用した方法は、そのままバイオ燃料生産に使われるほどの生産効率を有し、本発明の脂肪酸メチルエステル生産効率は、既に公示された脂肪酸アルキルエステル生産に比べて、顕著に増加したことを確認することができた。