(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5770184
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】伝達要素を押圧するための装置
(51)【国際特許分類】
B62D 5/04 20060101AFI20150806BHJP
F16H 1/16 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
B62D5/04
F16H1/16 A
【請求項の数】9
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-524180(P2012-524180)
(86)(22)【出願日】2010年7月28日
(65)【公表番号】特表2013-501670(P2013-501670A)
(43)【公表日】2013年1月17日
(86)【国際出願番号】EP2010060940
(87)【国際公開番号】WO2011018336
(87)【国際公開日】20110217
【審査請求日】2013年2月12日
(31)【優先権主張番号】102009028380.3
(32)【優先日】2009年8月10日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500396654
【氏名又は名称】ローベルト ボッシュ オートモーティブ ステアリング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Robert Bosch Automotive Steering GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(74)【代理人】
【識別番号】100105795
【弁理士】
【氏名又は名称】名塚 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100096895
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 淳平
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【弁理士】
【氏名又は名称】森 秀行
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100179338
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(72)【発明者】
【氏名】ヘルムート、バライス
【審査官】
岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−278844(JP,A)
【文献】
特開2008−296899(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0074996(US,A1)
【文献】
特表2008−518839(JP,A)
【文献】
特開平11−078913(JP,A)
【文献】
英国特許出願公開第02037931(GB,A)
【文献】
特開2007−238089(JP,A)
【文献】
特表2005−532511(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 5/04
F16H 1/16
B62D 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウォーム(23)に押圧力を与えて、該ウォーム(23)にウォームギア(25)を嵌合させるためのモータ乗物の電気ステアリングシステムのための装置であって、
ウォーム(23)の方向に荷重付与可能となり、ハウジング(302)内でスライド可能に案内される圧力ピース(21)を有し、
ウォーム(23)とウォームギア(25)との間に生じている遊びを最小化するための調整装置(30)を有し、
調整装置(30)は、二つの互いに相対的に旋回可能となり、接触面で互いに当接する調整ディスク(31,32)を有し、
接触面は、少なくとも二つの傾斜面部分(40)を有し、
二つの互いに相対的に旋回可能な調整ディスク(31,32)の間に、回転バネ(33)が配置され、
調整ディスク(31,32)に含まれる第一ディスク(32)と圧力ピース(21)との間に、バネディスク(34)が配置され、
バネディスク(34)は、その一方側に、圧力ピース(21)に接するリング形状の圧力面を有し、他方側で、第一ディスク(32)に接するリング形状の圧力面(36)を有し、
バネディスク(34)の領域で、第一ディスク(32)が平坦面からバネディスク側に突出した肩部(300)を有して、圧力ピース(21)が凹部(39)を有する、又は、圧力ピース(21)がバネディスク側に突出した肩部を有して、調整装置(30)が凹部を有し、
肩部(300)は圧力ピースの遊びを画定し、
肩部(300)がバネディスク(34)上に配置されることで、圧力ピースの遊びが自動的に生じることを特徴とする装置(13)。
【請求項2】
圧力ピース(21)は、バネディスク(34)を受けるための追加の凹部(37)を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の装置(13)。
【請求項3】
追加の凹部(37)は、周回形状に突出し密封可能な端部(38)を有する、ことを特徴とする請求項2に記載の装置(13)。
【請求項4】
調整装置(30)は、圧力ピース(21)に対向する側であって端部領域に、凹部(303)を有する、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の装置(13)。
【請求項5】
バネディスク(34)は、その内部領域において、少なくとも一つの凹部を有する、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の装置(13)。
【請求項6】
バネディスク(34)は、0.2ミリメートルと0.4ミリメートルとの間の厚みを有する、ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の装置(13)。
【請求項7】
バネディスク(34)は、打ち抜き部材である、ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の装置(13)。
【請求項8】
取り外し可能なネジ(305)を有する二つの調整ディスク(31,32)は、互いに押圧可能になっている、ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の装置(13)。
【請求項9】
変速機ハウジング(20)に固定可能となっている、ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の装置(13)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第一伝達要素に押圧力を与て、第一伝達要素に第二伝達要素を嵌合させるための、とりわけモータ乗物のステアリングシステムのための装置であって、第一伝達要素の方向に荷重付与可能となり、ハウジング内でスライド可能に案内される圧力ピースを有する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な装置がDE 102 30 600 B4に記載されている。この装置は、バネ装置を有し、このバネ装置は圧力ピースをウォームに向かって押圧する。この態様では、ウォームが、適切に、ウォームギアに向かって押圧され、その結果、ウォームとウォームギアとの間の遊びが可能な限り小さくなり、摩耗が可能な限り小さくなる。しかしながら、モータ乗物を運転する際にも、ウォームは常に圧力ピースに対して押圧され、その結果、バネ装置がハウジングを叩き、好ましくないノイズが生じうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このため、本発明は、好ましくないノイズを格段に減らすという、導入部で記載されたタイプの装置の課題を改善するという目的を有する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、導入部で記載されたタイプの装置が持つ上記課題を、本発明による、第一伝達要素と第二伝達要素との間に生じている遊びを最小化するための調整装置を設けることによって、解決する。この態様によれば、第一伝達要素と第二伝達要素との間の空隙を許容されうる最小限まで減らすことができる。この結果、好ましくないノイズが格段に減らされる。しかしながら、最小限の遊びは、伝達要素の操作において影響を及ぼしうる、場合によっては起こりうる伝達要素の不規則性や起こりうる熱膨張を補うことができるためには、意味がある。第一伝達要素は、好ましくはウォームからなり、第二伝達要素は、好ましくは、ウォームギアからなる。しかしながら、基本的には、ギア段の異なるタイプの二つの伝達要素によって、扱うことができる。
【0005】
調整装置は、二つの互いに相対的に旋回可能となり、接触面で互いに当接する調整ディスクを有することができ、接触面は、少なくとも二つの傾斜面部分を有することができる。二つの調整ディスクが互いに相対的に旋回することで、傾斜面の部分によって、調整ディスクの全体的な厚みを変えることができ、二つの伝達要素の間の大きくなった遊びを小さくすることができる。通常、この目的のために、調整ディスクの共通の全体的な厚みは大きくされる。傾斜面の部分は、好ましくは、可能な限り小さな傾斜角度を有することから、大きな遊びのために調整ディスクの逆回転は全くありえない。
【0006】
二つの互いに相対的に旋回可能な調整ディスクを、遊びの増加によって自動的に旋回するために、二つの調整ディスクの間に、回転バネを配置しうる。
【0007】
圧力ピースと調整装置との間のバネディスクは、許容されうる最小の遊びの大きさに対応して、圧力ピースを往復運動させる。
【0008】
バネディスクの領域で、調整装置が肩部を有して、圧力ピースが凹部を有する、又は、圧力ピースが肩部を有して、調整装置が凹部を有するときには、肩部に、いわゆる不規則性や熱膨張を補うために必要とされる遊びを生じさせる。このため、二つの伝達要素の間の遊びは、肩部と凹部の構造上の配置のみによって保証される。遊びは、ネジや他の手段によって調整される必要がない。凹部は、圧力ピースの往復運動のために必要とされるバネディスクの移動を可能とする。
【0009】
調整装置、とりわけ回転バネを有する二つの調整ディスクを有する調整装置が、バネディスクの小さな移動を生成するので、肩部は、二つの伝達要素の間の許されうる遊びよりもわずかに大きくなっているべきである。このため、このほとんど避けることのできない移動は、肩部が許容されうる遊びよりもわずかに大きな肩部によって、補われる。
【0010】
圧力ピースとバネディスクとの間の圧力面、及び/又は、調整装置とバネディスクとの間の圧力面は、可能な限り大きされるべきである。その結果、可能な限り小さな面圧力で高い力が伝達されることができる。可能な限り小さな面圧力は、調整ディスクがプラスチックから形成されるときには、特に重要となる。
【0011】
圧力ピースは、目的にかなった態様で、バネディスクを受けるための追加の凹部を有することができる。追加の凹部は、バネディスクが圧力ピースから外れないようバネディスクを中心に持ってくるために、周回形状に突出し密封可能な端部を有することができる。
【0012】
調整装置は、圧力ピースに対向する側であって端部領域に、凹部を有することができる。調整装置が二つの調整ディスクを有するとき、圧力ピースに対向する調整ディスクが、凹部を有する端部領域内に設けられる。目的にかなった態様では、凹部は、密封可能な端部に対向して配置される。圧力ピースが調整装置に向かって移動したときに、調整装置が圧力ピースに対して衝突することを防止するために、凹部は自由空間を形成する。
【0013】
バネディスクを保持する力が非常に小さいので、バネディスクは、その内部領域において、少なくとも一つの凹部を有することができる。凹部は、穴部、スロット部等からなりうる。凹部に基づき、バネディスクは、わずかに厚い材料から作られうる。わずかに厚いバネディスクは、とても薄いバネディスクよりも、平坦性及び耐久性の観点から作るのによい。
【0014】
本発明による装置は、バネディスクが、0.2ミリメートルと0.4ミリメートルとの間の厚みを有するとき、特に良い結果を与える。
【0015】
バネディスクは打ち抜き部材からなることができ、特にピース数が多く低コストで作られうる。
【0016】
本発明による装置を簡単に取り付けるために、二つの調整ディスクが、この目的のために、例えば、取り外し可能なネジで互いに押圧可能になりうる。ネジの代わりに、別の連結要素又は道具が、装置として用いられうる。
【0017】
取り付けが完了した後、装置は例えば、密封、粘着物質等によって、変速機ハウジングに固定されうる。
【0018】
本発明は、請求項1乃至15のいずれか1項に記載の本発明による装置を有するステアリングシステム、とりわけモータ乗物の電気ステアリングシステムにも関連している。
【0019】
以下、本発明による装置の実施の形態が、添付された図面に基づいて、詳細に再び記載される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、モータ乗物の電気ステアリングシステムの全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、ハウジング領域11を有する電気ステアリングシステム10を示し、その後ろには、ギアラック、ハウジング領域12が設けられ、その後ろには電気モータが設けられ、ここでは図示されていない伝達要素を押圧するための装置13が設けられる。
【0022】
装置13は変速機ハウジング20内にねじ込まれる(
図2参照)。装置13内に設けられる圧力ピース21がベアリング22に押圧力を与、ウォームとして設計される伝達要素23は一端部に配置される。伝達要素23において、他端部にベアリング24が設けられ、伝達要素23を旋回運動可能にするように設計されている。結果として、ベアリング22は、垂直方向で小さな運動をすることができる。
【0023】
ウォームとして設計された伝達要素23は、ウォームギアとして形成された伝達要素25と係合する。このため、装置13は、伝達要素23を伝達要素25に対して押して、これらは好適に互い係合することができる。
【0024】
装置13は調整装置30を備えている(
図3参照)。調整装置30は、二つの調整ディスク31,32を有する。調整ディスク31,32には、傾斜面部分40が設けられ(
図4参照)、互いに当接するその接触面がある。調整ディスク31,32の間には、回転バネ33が設けられ(
図3参照)、二つの調整ディスク31,32は相対的に互いに旋回可能となっている。
【0025】
調整装置30と圧力ピース21との間、むしろ第一ディスク32と圧力ピース21との間に、バネディスク34が配置されている。バネディスクは、その一方側に、圧力ピース21に接するリング形状の圧力面35を有する。バネディスクは、他方側で、第一ディスク32に接するリング形状の圧力面36を有する。できるだけ小さな面圧力でできるだけ大きな力を伝達できるよう、圧力面35,36はできるだけ大きくなるべきである。バネディスク34は、密封可能な端部38が周りを回る凹部37内に挿入される。端部38に対して、周回形状の凹部303が設けられる。それは、圧力ピース21が調整装置30に向かって移動したときに、調整装置30が圧力ピース21に衝突することを防止する。
【0026】
圧力ピース21は、バネディスク34の領域で、別の凹部39を有し、調整ディスク32は肩部300を有する。
【0027】
肩部300と圧力面36との間にギャップSが形成され、むしろ、肩部300は、二つの伝達要素23,25の間で最小限の許されうる遊びを要求する。
【0028】
モータ乗物を操作する際、伝達要素23,25の不規則によって、圧力ピース21が調整装置30に対して押圧力を与え、バネディスク34は、凹部39内の肩部300で、変形される。
【0029】
時間の経過によって生じる摩耗や他の変化により、二つの伝達要素23,25の間の遊びが大きくなりうる。そして、回転バネ33が二つの調整ディスク31,32を相対的に旋回させ、共通の全体的な厚みが増加し、ギャップSが生じる最小の許されうる値で遊びが減らされる。傾斜した面部分40が可能な限り小さな傾斜角度を有するので、圧力ピース21は二つの調整ディスク31,32を逆回転させず、共通の全体的な厚みを減らし、伝達要素23,25の間の遊びが再び増加する。
【0030】
圧力ピース21は、案内要素301とハウジング302によって、軸方向にスライド可能に案内される。
【0031】
取り付けの際、装置13はネジ山304によって変速機ハウジング20(
図2参照)内にねじ込まれる。この目的のために、ハウジング302内には、ネジ山304のために設けられた図示されていない六角ドライバが備え付けられている(
図3参照)。ここで、装置13が変速機ハウジング20内にとても強くねじ込まれ、その結果、バネディスクが圧力面36に当接する。続いて、装置13が、所定の角度で反対方向に回転される。この角度は軸方向におけるある距離に対応し、少なくとも最小の許される遊びにとって十分である。軸方向の距離が、最小の許されうる遊びよりも大きいときには、二つの調整ディスク31,32が、調整装置30の活動の後で、ゆがみを補うことができる。装置13がその端部位置に到達した後、例えば密封、粘着物質等によって、固定されうる。最終的には、ネジ305が取り外され、調整装置20が作動される。
【0032】
プラグ26(
図2参照)が、ネジ305が設けられたいた開口を閉じる。
【符号の説明】
【0033】
10 電気ステアリングシステム
11 ギアラックのハウジング領域
12 電気モータのハウジング領域
13 装置
20 変速機ハウジング
21 圧力ピース
22 ベアリング
23 伝達要素
24 ベアリング
25 伝達要素
26 プラグ
30 調整装置
31 調整ディスク
32 調整ディスク
33 回転バネ
34 バネディスク
35 圧力面
36 圧力面
37 凹部
38 端部
39 凹部
40 面部分
300 肩部
301 案内要素
302 ハウジング
303 凹部
304 ネジ山
305 ネジ
S ギャップ