特許第5770189号(P5770189)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5770189
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】超音波診断装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/08 20060101AFI20150806BHJP
   A61B 8/14 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
   A61B8/08
   A61B8/14
【請求項の数】12
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-526442(P2012-526442)
(86)(22)【出願日】2011年7月20日
(86)【国際出願番号】JP2011066406
(87)【国際公開番号】WO2012014739
(87)【国際公開日】20120202
【審査請求日】2014年6月25日
(31)【優先権主張番号】特願2010-168400(P2010-168400)
(32)【優先日】2010年7月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153498
【氏名又は名称】株式会社日立メディコ
(72)【発明者】
【氏名】猪上 慎介
(72)【発明者】
【氏名】林 哲矢
【審査官】 冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/026823(WO,A1)
【文献】 特開2008−259605(JP,A)
【文献】 特開2008−220802(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 − 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に超音波を送受信して取得された超音波画像データに基づいて生成された弾性ボリュームデータが格納される記憶部と、
前記弾性ボリュームデータが占める空間に関心領域を設定する入力部と、
前記関心領域のボクセルの弾性値に基づいて設定される設定弾性範囲内のボクセル値を有するボクセル群を前記弾性ボリュームデータから抽出する抽出部と、
該抽出部により抽出されたボクセル群の弾性ボリュームデータ又は該ボクセル群を除いた弾性ボリュームデータをボリュームレンダリングして3次元弾性画像を生成する3次元弾性画像作成部と、
該3次元弾性画像作成部により生成された3次元弾性画像を表示する画像表示部を含んでなり
前記抽出部は、前記関心領域の中心座標と、前記中心座標に位置するボクセルに連続的に繋がるボクセルを抽出して前記ボクセル群とすることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波診断装置において、
さらに、前記入力部により設定される直交3断面における前記弾性ボリュームデータの3断面弾性画像を生成して前記画像表示部に表示させる断面画像生成部を備え、
前記入力部は、前記画像表示部に表示される前記3断面弾性画像のいずれかで前記関心領域を入力設定することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項3】
請求項2に記載の超音波診断装置において、
前記3次元弾性画像と前記3断面弾性画像は、画素の弾性値に応じて色調が変換されたカラー弾性画像であることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項4】
請求項2に記載の超音波診断装置において、
前記断面画像生成部は、前記抽出部で抽出されたボクセル群の弾性ボリュームデータ又は該ボクセル群を除いた弾性ボリュームデータの前記直交3断面における抽出3断面弾性画像を生成し、前記3断面弾性画像に合成して前記画像表示部に表示することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項5】
請求項2に記載の超音波診断装置において、
前記入力部は、前記画像表示部に表示される前記3断面弾性画像上で設定した前記関心領域を拡張又は縮小可能に形成され、
前記抽出部は、拡張又は縮小された関心領域について前記ボクセル群の再抽出を行い、
前記3次元弾性画像作成部は、再抽出されたボクセル群について3次元弾性画像を生成することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項6】
請求項1に記載の超音波診断装置において、
前記抽出部は、前記入力部により複数の前記関心領域が設定されたとき、各関心領域に含まれるボクセル群を抽出し、
前記3次元弾性画像作成部は、前記抽出部により抽出されたボクセル群の弾性ボリュームデータ又は該ボクセル群を除いた弾性ボリュームデータをボリュームレンダリングして3次元弾性画像を生成して、前記画像表示部に表示させることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項7】
請求項1に記載の超音波診断装置において、
前記抽出部は、前記入力部により複数の前記関心領域が設定されたとき、各関心領域に含まれる複数のボクセルの弾性値の平均値を求め、該平均値を基準として設定された上限値と下限値を有する弾性範囲に含まれるとともに、各関心領域の中心座標と前記中心座標に位置するボクセルに連続的に繋がるボクセルをボクセル群として抽出し、
前記3次元弾性画像作成部は、前記抽出部により抽出されたボクセル群の弾性ボリュームデータ又は該ボクセル群を除いた弾性ボリュームデータをボリュームレンダリングして3次元弾性画像を生成して、前記画像表示部に表示させることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項8】
請求項6に記載の超音波診断装置において、
前記3次元弾性画像作成部は、設定された2つの前記関心領域のうちボクセルの弾性値の平均値の小さい方をボリュームレンダリングする際、不透明度を小さくして前記3次元弾性画像を生成することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項9】
請求項1に記載の超音波診断装置において、
抽出された弾性ボリュームデータにマスキングを行い、マスキング領域を出力する選択ボリューム演算部を備え、前記3次元弾性画像作成部はマスキング領域のみボリューム編集作業を行うことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項10】
請求項6に記載の超音波診断装置において、
前記3次元弾性画像作成部は、設定された2つの前記関心領域のうちボクセルの弾性値の平均値の大きい方をボリュームレンダリングする際、不透明度を小さくして前記3次元弾性画像を生成することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項11】
請求項8記載の超音波診断装置において、
前記弾性値は、弾性率又は粘性であることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項12】
請求項10記載の超音波診断装置において、
前記弾性値は、歪み又は変位であることを特徴とする超音波診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を利用して被検体内の診断部位について超音波画像を表示する超音波診断装置に関し、特に、歪みあるいは弾性率などの弾性画像を3次元弾性画像として表示する超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は、超音波を利用して被検体内の生体組織の超音波反射率を計測し、超音波反射率を輝度に変換した診断部位の反射率断層画像を生成して画像表示するものの他に、様々な超音波画像を画像表示して診断に資するものが提案されている。例えば、被検体内の濃淡断層画像を間隔をあけて複数枚取得して断層ボリュームデータを構築し、それらの複数枚の濃淡断層画像に基づいて3次元断層画像を構築して画像表示するものが提案されている。この3次元断層画像によれば、生体組織を3次元的に把握可能である。しかし、従来の白黒等の濃淡3次元断層画像は、ボリュームレンダリングによる構築の際に、例えば関心部位の視線方向の手前に他の部位のボリュームデータが存在すると、関心部位が見えない、あるいは見にくいといった問題があった。
【0003】
そこで、3次元断層画像において例えば血管を指定することにより、ボリュームレンダリングにより指定された血管の画像を連続体として表示する手法が提案されている(例えば、特許文献1)。また、断層ボリュームデータ中に設定された関心領域のボクセル値の平均値を求め、入力設定されるボクセル値の上限値及び下限値に基づいて、ボクセル値が設定範囲内の隣接するボクセルを同一領域として順次抽出して、所望部位のボリューム(塊り)に係る3次元画像を表示することが提案されている(例えば、特許文献2)。
【0004】
一方、同一部位について撮像した一対の濃淡断層画像データの相関を取り、生体組織の移動量例えば変位を空間微分して歪みを計測したり、組織状診断として生体組織に対して圧力変化を与えて弾性率を計測して、歪みあるいは弾性率などの弾性画像を生成して表示することが行われている。弾性画像は、生体組織の歪み量や弾性率に応じて赤や青その他の色相情報を付与して表示するものであり、主に生体組織の硬い部位を表示させることにより、容易に腫瘍の広がりや大きさを診断することができる(例えば、特許文献3)。また、3次元濃淡画像と同様に、空間的に連続した断層位置において歪みあるいは弾性率等の弾性値を求めて、弾性ボリュームデータを構築し、これに基づいて3次元弾性画像を構築して画像表示することも、提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7-178090号公報
【特許文献2】特開平7-299060号公報
【特許文献3】特開2000-60853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、弾性画像においては、元々、腫瘍のような硬い部位を把握することが狙いであり、3次元弾性画像においても腫瘍のような硬い部位の塊りの位置及び塊りの広がりを把握することが狙いである。しかし、腫瘍のような組織は、一般に周囲の軟らかい組織に内包された3次元弾性画像が表示されるため、硬い部位が軟らかい部位に隠されて見難いという問題がある。また、被検体組織を変位させるための圧迫力により表在部分が硬くなり、所望部位以外も硬く表示されることがあり、所望の硬さ部位を一目して把握することが困難である。
【0007】
本発明の目的は、設定した弾性値を有する生体組織の塊りの3次元弾性画像を表示することができる超音波診断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決する本発明の超音波診断装置は、被検体に超音波を送受信して取得された超音波画像データに基づいて生成された弾性ボリュームデータが格納される記憶部と、前記弾性ボリュームデータが占める空間に関心領域を設定する入力部と、前記関心領域のボクセルの弾性値に基づいて設定される設定弾性範囲内のボクセル値を有するボクセル群を前記弾性ボリュームデータから抽出する抽出部と、該抽出部により抽出されたボクセル群の弾性ボリュームデータ又は該ボクセル群を除いた弾性ボリュームデータをボリュームレンダリングして3次元弾性画像を生成する3次元弾性画像作成部と、該3次元弾性画像作成部により生成された3次元弾性画像を表示する画像表示部を含んでなり、前記抽出部は、前記関心領域の中心座標と、前記中心座標に位置するボクセルに連続的に繋がるボクセルを抽出して前記ボクセル群とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、設定した弾性を有する生体組織の塊りの3次元弾性画像を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る超音波診断装置のブロック構成図
図2】本発明の3次元弾性画像の構築に係る実施例1の画像表示例を説明する図
図3】本発明の実施例1の途中の画像表示例を説明する図
図4】本発明の3次元弾性画像の構築に係る実施例3の画像表示例を説明する図
図5】本発明の3次元弾性画像の構築に係る実施例4の画像表示例を説明する図
図6】本発明の3次元弾性画像の構築に係る実施例5の画像表示例を説明する図
図7】実施例5の変形例の画像表示例を説明する図
図8】本発明の3次元弾性画像の構築に係る実施例6の画像表示例を説明する図
図9】本発明の3次元弾性画像の構築に係る実施例7の基本の考え方を説明する図
図10図9の実施例7の3次元弾性画像の構築により生成される画像表示例を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の超音波診断装置の一実施形態のブロック構成図であり、3次元弾性画像の生成法に特徴を有する。図1に示すように、超音波診断装置は、被検体1に当接させて用いる超音波探触子2と、超音波探触子2を介して被検体1に時間間隔をおいて繰り返し超音波を送信する送信部3と、被検体1から発生する時系列の反射エコー信号を受信する受信部4と、送信部3と受信部4の送信と受信を切り換える制御を行なう送受信制御部5と、受信部4で受信された反射エコー信号を整相加算してRF信号フレームデータを生成する整相加算部6とが備えられている。これらの送信部3、受信部4、送受信制御部5及び整相加算部6により、送受信部が形成されている。
【0020】
整相加算部6で生成されたRF信号フレームデータに基づいて2次元断層画像を構成する断層画像構成部7と、断層画像構成部7で構成された2次元断層像を取得位置と合わせて記憶する2次元断層像記憶部35と、2次元断層像記憶部に記憶した2次元断層画像と2次元断層画像の取得位置に基づいて3次元座標変換を行ない、断層ボリュームデータを生成する断層ボリュームデータ作成部36と、断層ボリュームデータの輝度と不透明度に基づいてボリュームレンダリングを行ない3次元断層画像を構成する断層ボリュームレンダリング部38と、断層ボリュームデータ作成部36で作成された断層ボリュームデータから任意断面の白黒断層像を作成する断層マルチフレーム構成部46と、弾性情報演算部32で演算した歪み又は弾性率の弾性値から2次元弾性画像を構成する弾性画像構成部34と、弾性画像構成部34で構成される2次元弾性画像と、その取得位置を記憶する2次元弾性像記憶部39と、2次元弾性像記憶部39に記憶された2次元弾性像とその取得位置に基づいて3次元座標変換を行ない、弾性ボリュームデータを生成する弾性ボリュームデータ作成部40と、弾性ボリュームデータの弾性値と不透明度に基づいてボリュームレンダリングを行い、3次元弾性画像を構成する弾性ボリュームレンダリング部42と、弾性ボリュームデータ作成部40で作成された弾性ボリュームデータから任意断面の2次元弾性画像を作成する弾性マルチフレーム構成部48と、2次元断層画像と2次元弾性画像とを合成したり、3次元断層画像と3次元弾性画像とを合成したりする切替合成部12と、切替合成部12で合成された合成画像、2次元断層画像等を表示する画像表示器13とが備えられている。
【0021】
超音波探触子2は、複数の振動子を配設して形成されており、電子的にビーム走査を行って被検体1に振動子を介して超音波を送受信する機能を有している。これに代えて、超音波探触子2は、矩形又は扇形をなす複数の振動子からなり、複数の振動子の配列方向と直交する方向に振動子を機械的に振り、超音波を3次元に送受信することができる。なお、超音波探触子2は、複数の振動子が2次元配列され、超音波の送受信を電子的に制御することができるものでもよい。要は、超音波探触子2は、超音波送受信面(スキャン面)を短軸方向、つまり、複数の振動子が配列された長軸方向に直交する方向に走査して、被検体1の所定範囲のボリュームの反射エコー信号を計測可能なもので、スキャン面における超音波ビームの走査角度θと、短軸方向における超音波ビームの振れ角度φを計測できるようになっていればよい。そして、超音波探触子2は、振れ角度φを変化させながら、送受信部によってスキャン面に超音波ビームを走査するとともに、被検体1からの反射エコー信号を受信するようになっている。
【0022】
送信部3は、超音波探触子2の振動子を駆動して超音波を発生させるための送波パルスを生成する。送信部3は、送信される超音波の収束点をある深さに設定する機能を有している。また、受信部4は、超音波探触子2で受信した反射エコー信号について所定のゲインで増幅してRF信号すなわち受信信号を生成するものである。超音波送受信制御部5は、送信部3や受信部4を制御するためのものである。整相加算部6は、受信部4で増幅されたRF信号を入力して位相制御し、一点又は複数の収束点に対し超音波受波ビームを形成して、断層画像データであるRF信号フレームデータを生成するものである。
【0023】
断層画像構成部7は、整相加算部6からのRF信号フレームデータに基づいて被検体の濃淡断層画像、例えば白黒断層画像を構成する。つまり、断層画像構成部7は、画像系制御部44の設定条件に基づいて、整相加算部6から出力されるRF信号フレームデータを入力してゲイン補正、ログ圧縮、検波、輪郭強調、フィルタ処理等の信号処理を行ない、2次元断層画像を構成する。また、変位計測部30で計測された変位情報から歪み又は弾性率などの弾性値を求める弾性情報演算部32と、弾性情報演算部32で演算した弾性値からカラー弾性画像を構成する弾性画像構成部34を備えている。弾性画像構成部34で構成されたカラー弾性画像は2次元弾性画像記憶部39に格納される。
【0024】
2次元弾性画像記憶部39に格納された弾性画像データ、あるいはその弾性画像データに基づいて生成される画像データは、画像表示器13の表示に合うように切替合成部12で変換するようになっている。また、図1の超音波診断装置の構成要素を制御するCPUからなる画像系制御部44と、画像系制御部44に指示を与えるインターフェース部43が設置されている。インターフェース部43では、検査者により弾性画像の色合い、関心領域(ROI)、フレームレート等を可変制御するようになっている。また、圧力計測部49は、弾性値を計測する際に被検体1の生体組織に加えられる圧力を計測するようになっている。生体組織に圧力を加える方法は周知の方法を適用でき、例えば、超音波探触子2の超音波送受面を被検体1に対して押し引きする方法、超音波探触子2を介して被検体1に錘の落下衝撃を付与する方法、機械的あるいは液体バルーンにより圧迫を加える方法、音圧の高い超音波パルスの衝撃を与える方法、被検体1自体の拍動などの体動を利用する方法が知られている。これらの力を加える方法の選択に合わせて圧力計測部49における圧力計測の方法を採用する。
【0025】
RF信号フレームデータ選択部28は、RF信号フレームデータ記憶部27に格納された整相加算部6からの複数のRF信号データから2つ1組のRF信号フレームデータを選び出すものである。例えば、RF信号フレームデータ記憶部27は、整相加算部6から時系列すなわち画像のフレームレートに基づいて生成されるRF信号データをフレームメモリ内に順次確保し、画像系制御部44からの指令に応じて現在確保されたRF信号フレームデータ(N)を第1のデータとしてRF信号フレームデータ選択部28で選択すると同時に、時間的に過去に確保されたRF信号フレームデータ群(N-1、N-2、N-3…N-M)の中から1つのRF信号フレームデータ(X)を選択するものである。なお、ここでN、M、XはRF信号フレームデータに付されたインデックス番号であり、自然数とする。
【0026】
変位計測部30は、1組のRF信号フレームデータから生体組織の変位などを求めるものである。例えば、変位計測部30は、RF信号フレームデータ選択部28により選択された1組のRF信号フレームデータ(N)とRF信号フレームデータ(X)から1次元或いは2次元相関処理を行って、断層画像の各点に対応する生体組織おける変位や移動ベクトルすなわち変位の方向と大きさに関する1次元又は2次元変位分布を求める。ここで、移動ベクトルの検出にはブロックマッチング法を用いる。ブロックマッチング法とは、画像を例えばN×N画素からなるブロックに分け、関心領域内のブロックに着目し、着目しているブロックに最も近似しているブロックを前のフレームから探し、これを参照して予測符号化すなわち差分により標本値を決定する処理である。
【0027】
歪みのデータは、生体組織の移動量例えば変位を空間微分することによって算出される。また、弾性率のデータは、圧力の変化を移動量の変化で除することによって計算される。例えば、変位計測部30により計測された変位をΔL、圧力計測部49により計測された圧力をΔPとすると、歪み(S)は、ΔLを空間微分することによって算出することができるから、S=ΔL/ΔXという式を用いて求められる。また、弾性率データのヤング率Ymは、Ym=(ΔP)/(ΔL/L)という式によって算出される。このヤング率Ymから断層画像の各点に相当する生体組織の弾性率が求められるので、2次元の弾性画像データを連続的に得ることができる。なお、ヤング率とは、物体に加えらえた単純引張り応力と、引張りに平行に生じるひずみに対する比である。
【0028】
弾性画像構成部34は、フレームメモリと画像処理部とを含んで構成されており、弾性情報演算部32から時系列に出力される弾性フレームデータをフレームメモリに確保し、確保されたフレームデータを画像処理部により画像処理を行うものである。弾性画像は、弾性フレームデータに基づいて光の3原色すなわち赤(R)、緑(G)、青(B)に変換されカラー像として画像表示器13で表示される。例えば、歪みが大きい弾性データを赤色コードに変換すると同時に、歪みが小さい弾性データを青色コードに変換する。なお、赤(R)緑(G)青(B)の階調は256段階有し、255は最大輝度で表示すること、逆に0は全く表示されないことを意味する。
【0029】
ここで、超音波探触子2は、超音波の送受信と同時に送受信方向(θ、φ)を計測することができ、断層ボリュームデータ作成部36は、2次元断層画像の取得位置に相当する送受信方向(θ、φ)に基づいて、複数の2次元断層画像について3次元変換を行ない、断層ボリュームデータを生成する。断層ボリュームレンダリング部38は、断層ボリュームデータから3次元断層画像を構成する次式(1)〜(3)を用いてボリュームレンダリングを行なう。
【0030】
Cout(i)=Cout(i-1)+(1-Aout(i-1))・A(i)・C(i)・S(i) -(1)
Aout(i)=Aout(i-1)+(1-Aout(i-1))・A(i) -(2)
A(i)=BOpacity[C(i)] -(3)
C(i)は作成される2次元投影面上のある点から3次元断層画像を見た場合、視線上i番目に存在するボクセルの輝度値である。Cout(i)は、出力されるピクセル値である。例えば、視線上にNボクセルの輝度値が並んだとき、i=0〜N-1までを積算した輝度値Cout(N-1)が最終的に出力されるピクセル値となる。Cout(i-1)はi-1番目までの積算値を示す。
【0031】
また、A(i)は視線上i番目に存在する輝度値の不透明度であり、上記(3)に示すとおり、0〜1.0の値をとる断層不透明度テーブル(断層オパシティテーブル)である。断層不透明度テーブルは、輝度値から不透明度を参照することによって、出力する2次元投影面(3次元断層画像)上への寄与率を決定する。
【0032】
S(i)は、輝度C(i)とその周辺の画素値より求めた勾配より算定される陰影付けのための重み成分で、例えば、光源とボクセルiを中心とした面の法線が一致する場合、もっとも強く反射するため1.0が与えられ、光源と法線が直交する場合には0.0が与えられるなどの強調効果を示す。
【0033】
Cout(i)Aout(i)は、ともに0を初期値としている。上記(2)に示されるように、Aout(i)はボクセルを通過するたびに積算され1.0に収束される。よって、上記(1)に示されるようにi-1番目までの不透明度の積算値Aout(i-1)が約1.0となった場合、i番目以降の輝度値C(i)は出力画像に反映されない。
【0034】
断層マルチフレーム構成部46は、断層ボリュームデータから任意に設定される断面位置の断面断層画像を構築する。断面位置は操作者がインターフェース部43を用いて任意に設定可能であり、設定された断面位置は画像系制御部44を通して断層マルチフレーム構成部46に出力される。なお、断面位置は複数設定でき、断層マルチフレーム構成部46は複数の断面位置に対して、複数の断面断層画像を出力する。
【0035】
変位計測部30は、RF信号フレームデータ記憶部27に記憶された複数のRF信号フレームデータからRF信号フレームデータ選択部28が選択した1組のRF信号フレームデータから、生体組織の変位を計測する。そして、弾性情報演算部32は、計測した変位に基づいて弾性値を演算し、弾性画像構成部34は弾性情報演算部32から得られる弾性値に基づいて2次元弾性画像データを構成する。ここで、弾性値とは、歪み、弾性率、変位、粘性、歪み比等のいずれかの弾性情報を適用することができる。
【0036】
3次元走査が可能な超音波探触子2の場合は、RF信号フレームデータが複数の振動子の配列方向と直交する方向に空間的に連続して得られるので、弾性画像もそれに応じて得られる。空間的に連続して得られた2次元弾性画像とその取得位置を2次元弾性画像記憶部39において記憶する。弾性ボリュームデータ作成部40は、2次元弾性画像記憶部39で記憶された2次元弾性画像と、取得位置に相当する送受信方向(θ、φ)に基づいて、複数の2次元弾性画像について3次元変換を行ない、弾性ボリュームデータを生成する。
【0037】
弾性ボリュームレンダリング部42は、弾性ボリュームデータについて下記式(4)〜(6)を用いてボリュームレンダリングを行ない、3次元弾性画像を作成する。
【0038】
Eout(i)=Eout(i-1)+(1-Aout(i-1))・A(i)・E(i)・S(i)-(4)
Aout(i)=Aout(i-1)+(1-Aout(i-1))・A(i) -(5)
A(i)=EOpacity[E(i)] -(6)
ここで、E(i)は作成される2次元投影面上のある点から3次元弾性画像を見た場合の視線上i番目に存在する弾性値である。Eout(i)は、出力されるピクセル値である。例えば、視線上にNボクセルの弾性値が並んだとき、i=0〜N-1まで弾性値を積算した積算値Eout(N-1)が最終的に出力されるピクセル値となる。Eout(i-1)はi-1番目までの積算値を示す。また、A(i)は視線上i番目に存在する弾性値の不透明度であり、予めテーブルとして設定された式(6)に示す弾性不透明度である。
【0039】
S(i)は弾性値E(i)とその周辺の弾性値より求めた勾配より算定される陰影付けのための重み成分で、例えば、光源とボクセルiを中心とした面の法線が一致する場合、もっとも強く反射するため1.0が与えられ、光源と法線が直交する場合には0.0が与えられるなどの強調効果を示す。
【0040】
Eout(i)Aout(i)はともに0を初期値とし、式(5)に示される様にAout(i)はボクセルを通過するたびに積算され1.0に収束する。よって、式(4)に示されるようにi-1番目までのボクセルの不透明度の積算値Aout(i-1)が約1.0となった場合、i番目以降のボクセル値E(i)は出力画像に反映されない。
【0041】
弾性マルチフレーム構成部48は、検査者がインターフェース部43から入力設定される直交3断面の設定断面に対応する断面弾性画像を、弾性ボリュームデータから切り出して設定断面における断面弾性画像を構築する。インターフェース部43から設定された断面位置は画像系制御部44を通して弾性マルチフレーム構成部48に出力される。なお、断面位置は複数設定でき、弾性マルチフレーム構成部48は複数の断面位置に対して、複数の弾性断層画像を出力する。
【0042】
切替合成部12は、フレームメモリと、画像処理部と、画像選択部とを備えて構成されている。ここで、フレームメモリは、断層ボリュームレンダリング部38からの3次元断層画像と、断層マルチフレーム構成部46からの断面断層画像と、弾性ボリュームレンダリング部42からの3次元弾性画像と弾性マルチフレーム構成部48からの断面弾性画像とを格納するものである。また、画像処理部は、フレームメモリに確保された3次元断層画像と3次元弾性画像とを、又は断面断層画像と断面弾性画像とを画像系制御部44の指令に応じて設定割合で加算して合成するものである。合成画像の各画素の輝度情報及び色相情報は、白黒断層画像とカラー弾性画像の各情報を設定割合で加算したものとなる。さらに、画像選択部は、フレームメモリ内の3次元断層画像と3次元弾性画像とを、又は断面断層画像と断面弾性画像とを及び画像処理部の合成画像データのうちから画像表示器13に表示する画像を画像系制御部44の指令に応じて選択するものである。なお、断層画像と弾性画像とを合成せずに別々に表示させてもよい。
【0043】
以下、本発明の超音波診断装置の特徴である選択座標演算部51、選択弾性値演算部52、選択ボリューム演算部53の詳細構成を、及び3次元弾性画像の構築手順と共に、実施例1〜7に基づいて説明する。なお、実施例に共通な事項として、断面弾性画像及び3次元弾性画像はいずれもカラー弾性画像として構築されるから、3次元弾性画像の表示領域には弾性値に応じて異なる色調のカラーバーが表示される。すなわち、3次元弾性画像と3断面弾性画像は、画素の弾性値に応じて色調が変換されたカラー弾性画像である。
【実施例1】
【0044】
図2に、本実施例1の表示画像の一例を示す。図示のように4面の画像が並べて表示されている。図において、右下の画像は、3次元弾性画像であり、その他の画像は直交3断面(Y-Z,Z-X,Y-X)における3つの断面弾性画像(弾性MPR)である。図示例は、3次元弾性画像に示すように、軟らかいボリューム101に角柱状の硬いボリューム102と球状の硬いボリューム103を内包する弾性ボリュームデータの例である。ここで、ボリュームとは、生体組織の塊りを意味するものとする。また、角柱状の硬いボリューム102と球状の硬いボリューム103は同じ硬さのボリュームとする。弾性ボリュームデータは直交3軸のXYZ座標で表されるものとする。操作者は、画像表示器13に表示された任意の弾性MPR像106上に、インターフェース部43を介して関心領域104を設定する。ここで、弾性MPR像105がY軸に垂直に交わるZ-X面で表され、そのY座標はY=jであるとする。
【0045】
選択座標演算部51は、インターフェース部43で設定した例えば円形の関心領域104の中心座標を、弾性MPR像105上の座標で演算する。関心領域104の弾性MPR像105上での中心座標を(Z,X)=(k,i)とする。選択座標演算部51は、中心座標(Z,X)=(k,i)と弾性MPR像105の断面位置Y=jから、弾性ボリュームデータにおける関心領域104の中心座標(X,Y,Z)=(i,j,k)を算出する。なお、関心領域104の中心座標の算出には、どのような方法を用いてもよい。
【0046】
次に、選択弾性値演算部52は、インターフェース部43で設定した関心領域104内に含まれるボクセルがとる弾性値の範囲を出力する。例えば、関心領域104が(n,l)≦(Z,X)≦(N,L)の座標範囲にあるとき、座標(Z,X)=(k,i)における歪み値をs(k,i)とすると、下記式で歪み値sの平均値msと分散値vsを求める。
選択弾性値演算部52は、(ms-vs)から(ms+vs)の範囲を設定弾性範囲として出力する。
なお、歪み値s以外の弾性率、変位、粘性、歪み比等の他の弾性値を用いてもよいことは言うまでもない。また、関心領域内の弾性値の平均値、分散値以外の統計的特徴値、例えば最大値や最小値を用いて設定弾性範囲を算出してもよい。
【0047】
選択ボリューム演算部53では、図3に示すように、まず弾性ボリュームデータ中で選択弾性値演算部52から出力された設定弾性範囲(ms-vs)から(ms+vs)に含まれる弾性値をもつ弾性ボリュームデータ107をボクセル群として抽出する。さらに、抽出された弾性ボリュームデータ107のうち、選択座標演算部51から出力された中心座標位置(i,j,k)を含む弾性ボリュームデータのボクセル群のみを抽出する。実施例1では関心領域104の中心座標を含むボリュームは角柱状の硬いボリューム102なので、角柱状の硬いボリューム102が、抽出弾性ボリュームとして抽出される。
【0048】
本実施例は、上述した例に限られるものではなく、設定された関心領域により定まる設定弾性範囲のボクセルを抽出されたボリューム(ボクセル群)を除いた弾性ボリュームデータについて、ボリュームレンダリングして3次元弾性画像を生成表示することができる。これにより、例えば、視線方向の手前にある障害となるボリュームに関心領域を設定すれば、障害となるボリュームが除去された3次元弾性画像が表示されるから、検査者の作業効率が向上する場合がある。
【0049】
なお、本実施例は、3次元弾性画像に限られるものではなく、選択ボリューム演算部53で抽出したボリュームの座標を断層ボリュームデータに適応し、抽出した弾性ボリュームデータに対応する断層ボリュームデータのみを抽出し、レンダリングを行って、3次元断層画像を表示することもできる。
【0050】
すなわち、本実施例によれば、被検体に超音波を送受信して取得された超音波画像データに基づいて生成された弾性ボリュームデータが格納される記憶部と、弾性ボリュームデータが占める空間に関心領域を設定する入力部と、関心領域のボクセルの弾性値に基づいて設定される設定弾性範囲内のボクセル値を有するボクセル群を弾性ボリュームデータから抽出する抽出部と、抽出部により抽出されたボクセル群の弾性ボリュームデータ又はボクセル群を除いた弾性ボリュームデータをボリュームレンダリングして3次元弾性画像を生成する3次元弾性画像作成部と、3次元弾性画像作成部により生成された3次元弾性画像を表示する画像表示部を含んでなる。
【0051】
また、本実施例によれば、抽出部は、関心領域の中心座標と、中心座標に位置するボクセルに連続的に繋がるボクセルを抽出してボクセル群とする。
【0052】
また、本実施例によれば、入力部により設定される直交3断面における弾性ボリュームデータの3断面弾性画像を生成して画像表示部に表示させる断面画像生成部を備え、入力部は、画像表示部に表示される3断面弾性画像のいずれかで関心領域を入力設定する。
【0053】
本実施例によれば、断面画像生成部は、抽出部で抽出されたボクセル群の弾性ボリュームデータ又はボクセル群を除いた弾性ボリュームデータの直交3断面における抽出3断面弾性画像を生成し、3断面弾性画像に合成して画像表示部に表示する。
【実施例2】
【0054】
本実施例2は、選択弾性値演算部52において、設定弾性範囲の演算に外部からの入力値を用いる手法である。例えば、図2の関心領域104の弾性値の平均値のみを算出し、インターフェース部43を用いて操作者が実施例1の「±vs」に対応する上下限値Lsを入力して設定弾性範囲を可変設定することを可能にした実施例である。これによれば、ms±Lsの設定弾性範囲により弾性値の広がりを自由に調整できるから、特定の硬さの部位の3次元弾性画像を観察できる。
【実施例3】
【0055】
図4に、本実施例3の表示画像の一例を示す。図示のように、実施例1により、関心領域108が設定され、抽出3次元弾性画像109が表示されている。このとき、弾性ボリュームデータ作成部40は抽出したボリュームの座標情報を弾性マルチフレーム構成部48に出力する。これにより、弾性マルチフレーム構成部48は、実施例1の弾性MPR像に加えて、抽出したボリュームの断面画像を抽出領域110として出力する。これにより、切替合成部12は、実施例1の弾性MPR像に抽出領域110を重畳する。なお、重畳表示の方法は、抽出したボリュームの断面像の輪郭のみを表示してもよく、また、抽出したボリュームのみ異なる色で表示する手法でもよい。
【0056】
また、実施例1の弾性MPR像を削除して、抽出領域110のみを表示するようにしてもよい。
【実施例4】
【0057】
図5に本実施例4の表示画像の一例を示す。同図(a)に示すように、実施例1と同様に、設定された関心領域に繋がる設定弾性範囲で抽出された弾性ボリューム112が抽出され、実施例3を適用したときに弾性MPR像上に抽出領域113が表示されている。ところが、弾性MPR像上に像114に該当する弾性ボリュームは設定された関心領域の設定弾性範囲に含まれなかったため、表示されないことがある。
【0058】
本実施例は、このような場合に対応可能な例である。インターフェース部43は、抽出領域113の境界を任意に変更可能な機能を備えている。つまり、操作者がインターフェース部43を操作して、抽出領域を同図(b)の抽出領域115のように拡張させることができるようになっている。これにより、選択座標演算部51は拡張された抽出領域115の座標(i,j,k)(i=l〜L,j=m〜M,k=n〜N)を演算する。そして、選択弾性値演算部52は拡張された抽出領域114の設定弾性範囲を演算する。選択ボリューム演算部53は拡張された抽出領域の座標(i,j,k)(i=l〜L,j=m〜M,k=n〜N)をもつボクセルと隣接し、かつ拡張された設定弾性範囲に含まれるボクセルを追加し、拡張された抽出ボリューム116を表示する。なお、拡張に限らず、抽出領域の縮小操作も可能にすることは言うまでもない。
【0059】
すなわち、本実施例によれば、入力部は、画像表示部に表示される3断面弾性画像上で設定した関心領域を拡張又は縮小可能に形成され、抽出部は、拡張又は縮小された関心領域についてボクセル群の再抽出を行い、3次元弾性画像作成部は、再抽出されたボクセル群について3次元弾性画像を生成することを特徴とする超音波診断装置が提供される。
【実施例5】
【0060】
図6に、本実施例5の表示画像の一例を示す。図6(a)に示すように、インターフェース部43から、弾性MPR像118上に、2つの関心領域119及び関心領域120が設定された場合の例である。選択座標演算部51は関心領域119及び関心領域120のそれぞれの中心座標を演算する。関心領域119の中心座標をA(i,j,k)、関心領域120の中心座標をB(s,t,u)とする。選択弾性値演算部52は関心領域119及び関心領域120のそれぞれについて設定弾性範囲を演算する。関心領域119の設定弾性範囲をA(s)〜A(s’)、関心領域120の設定弾性範囲をB(s)〜B(s’)とする。但し、A(s)<A(s’)、B(s)<B(s’)である。
【0061】
選択ボリューム演算部53は関心領域119及び関心領域120のそれぞれについて該当するボリュームを抽出する。つまり、図6(b)に示すように、設定弾性範囲A(s)〜A(s’)に含まれる弾性値を持ち、かつ中心座標位置A(i,j,k)を含む抽出弾性ボリューム121と、設定弾性範囲B(s)〜B(s’)に含まれる弾性値を持ち、かつ中心座標位置B(s,t,u)を含む抽出弾性ボリューム122を抽出して表示する。
【0062】
この場合において、図7に示すように、関心領域123及び124の設定弾性範囲に含まれ、かつ関心領域124の座標を含む抽出弾性ボリューム125のみを抽出して表示するようにすることができる。また、本実施例では2つの関心領域を設定した場合を説明したが、2つ以上の複数の関心領域を設定した場合も同様の処理を行うことができる。
【0063】
すなわち、本実施例は、抽出部は、入力部により複数の関心領域が設定されたとき、各関心領域に含まれるボクセル群を抽出し、3次元弾性画像作成部は、抽出部により抽出されたボクセル群の弾性ボリュームデータ又は該ボクセル群を除いた弾性ボリュームデータをボリュームレンダリングして3次元弾性画像を生成して、画像表示部に表示させる。
【0064】
また、本実施例は、抽出部は、入力部により複数の関心領域が設定されたとき、各関心領域に含まれる複数のボクセルの弾性値の平均値を求め、平均値を基準として設定された上限値と下限値を有する弾性範囲に含まれるとともに、各関心領域の中心座標と中心座標に位置するボクセルに連続的に繋がるボクセルをボクセル群として抽出し、3次元弾性画像作成部は、抽出部により抽出されたボクセル群の弾性ボリュームデータ又は該ボクセル群を除いた弾性ボリュームデータをボリュームレンダリングして3次元弾性画像を生成して、画像表示部に表示させる。
【実施例6】
【0065】
図8に、本実施例6の表示画像の一例を示す。図8(a)に示すように、インターフェース部43において、例えば二箇所の関心領域126と127が選択された場合の例である。選択座標演算部51と、選択弾性値演算部52と、選択ボリューム演算部53は、実施例5と同様に演算を行い、抽出弾性ボリューム128と129を抽出する。この場合において、例えば関心領域126の弾性値の平均値が、関心領域127の弾性値の平均値よりも小さいものとする。この場合、弾性ボリュームレンダリング部42は、弾性値の平均値が小さい抽出弾性ボリューム128をレンダリングする際に、不透明度を小さくしてレンダリングする。これにより、弾性値の平均値が小さいボリュームを若干透明に表示することができる。この場合、弾性値として、弾性率、粘性等が考えられる。なお、弾性値の平均値に代えて、弾性値の最大値などにより、不透明度を調整するようにしてもよい。また、弾性値の平均値が大きい抽出弾性ボリュームをレンダリングする際に不透明度を小さくしてもよい。この場合、弾性値として、歪み、粘性等が考えられる。
【実施例7】
【0066】
図9、10に、本実施例7の表示画像の一例を示す。図9(a)に示すように、抽出弾性ボリューム130が抽出された。選択ボリューム演算部53は、図9(b)のように、抽出された弾性ボリューム130が存在するボクセルに「1」、存在しないボクセルに「0」を設定したボリュームマスク131を形成して出力する。弾性ボリュームレンダリング部42は抽出されていないボリュームも含めて、ボリュームレンダリングを行って、図10のように表示する。
【0067】
具体的には、インターフェイス部43を介して操作者は図10(b)に示すように、3次元弾性画像のXY面を断面位置133から断面位置134まで押し込む。弾性ボリュームレンダリング部42は、断面位置133から断面位置134に含まれるボクセルで、かつボリュームマスク131において「0」を有するボクセルの弾性値を「0」とし、図10(c)のように、ボリューム135を表示する。これにより、関心領域を設定して抽出したボリュームは残したまま、周囲のボリュームの断面との関係が観察可能となる。本実施例のボリュームマスク131の考え方は、除去以外の編集にも適用することができる。また、ボリュームマスク131において「1」を有する位置に対応するボクセルに対して編集を行うようにすることができる。
すなわち、抽出された弾性ボリュームデータにマスキングを行い、マスキング領域を出力する選択ボリューム演算部を備え、前記3次元弾性画像作成部はマスキング領域のみボリューム編集作業を行う。
【符号の説明】
【0068】
1 被検体、2 超音波探触子、3 送信部、4 受信部、5 超音波送受信制御部、6 整相加算部、7 断層画像構成部、12 切替合成部、13 画像表示器、27 RF信号フレームデータ記憶部、28 RF信号フレームデータ選択部、30 変位計測部、32 弾性情報演算部、34 弾性画像構成部、35 2次元断層画像記憶部、36 断層ボリュームデータ作成部、38 断層ボリュームレンダリング部、39 2次元弾性画像記憶部、40 弾性ボリュームデータ作成部、42 弾性ボリュームレンダリング部、43 インターフェース部、44 画像系制御部、46 断層マルチフレーム構成部、47 短軸走査位置制御部、48 弾性マルチフレーム構成部、51 選択座標演算部、52 選択弾性値演算部、53 選択ボリューム演算部
図1
図2
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図8
図9
図10