(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
<<第一の実施形態>>
以下、本発明を適用する第一の実施形態について説明する。以下、本発明の実施形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0018】
まず、本実施形態のMRI装置について説明する。
図1は、本実施形態のMRI装置10の一例の全体構成を示すブロック図である。本図に示すように、本実施形態のMRI装置10は、NMR現象を利用して被検体1の断層画像を得るもので、静磁場発生系2と、傾斜磁場発生系3と、シーケンサ4と、送信系5と、受信系6と、情報処理系7と、を備える。
【0019】
静磁場発生系2は、被検体1の周りの空間にその体軸方向または体軸と直交する方向に均一な静磁場を発生させるもので、被検体1の周りに配置される永久磁石方式または常電導方式あるいは超電導方式の磁場発生手段により構成される。なお、被検体1の周りの空間に、その体軸と直交する方向に静磁場を発生させるものを、垂直磁場方式とよび、体軸方向に静磁場を発生するものを水平磁場方式と呼ぶ。
【0020】
傾斜磁場発生系3は、X、Y、Zの3軸方向に巻かれた傾斜磁場コイル31と、それぞれの傾斜磁場コイルを駆動する傾斜磁場電源32とから成り、後述のシ-ケンサ4からの命令に従ってそれぞれのコイルの傾斜磁場電源32を駆動することにより、X、Y、Zの3軸方向の成分を有する傾斜磁場パルスを被検体1に印加する。例えば、X、Y、Zのいずれかの1方向にスライス方向傾斜磁場パルス(Gs)を印加して被検体1に対するスライス面を設定し、残り2つの方向に位相エンコード方向傾斜磁場パルス(Gp)と周波数エンコード方向傾斜磁場パルス(Gf)を印加して、エコー信号にそれぞれの方向の位置情報をエンコードする。
【0021】
送信系5は、被検体1の生体組織を構成する原子の原子核スピンに核磁気共鳴を起こさせるために高周波磁場(RF)パルスを印加するもので、高周波発振器(シンセサイザ)52と変調器53と高周波増幅器54と送信側の高周波コイル(送信コイル)51とを備える。高周波発振器52から出力された高周波パルスは、シーケンサ4からの指令によるタイミングで変調器53により振幅変調され、高周波増幅器54で増幅された後、被検体1に近接して配置された送信コイル51に供給され、被検体1にRFパルスとして印加される。
【0022】
受信系6は、被検体1の生体組織を構成する原子核スピンの核磁気共鳴により放出されるNMR信号(エコー信号)を検出するもので、受信側の高周波コイル(受信コイル)61と増幅器62と直交位相検波器63とA/D変換器64とを備える。送信コイル51から印加されたRFパルスによって誘起される被検体1の応答のエコー信号は、被検体1に近接して配置された受信コイル61で検出され、増幅器62で増幅された後、シーケンサ4からの指令によるタイミングで直交位相検波器63により直交する二系統の信号に分割され、それぞれがA/D変換器64でディジタル量に変換されて、受信信号として情報処理系7に送られる。
【0023】
シーケンサ4は、RFパルスと傾斜磁場パルスとを所定の撮影シーケンスに従って繰り返し印加する制御手段で、情報処理系7の制御で動作し、被検体1の断層画像のデータ収集に必要な種々の命令を送信系5、傾斜磁場発生系3、および受信系6に送る。撮影シーケンスは、計測の目的に従って予め作成され、プログラムおよびデータとして情報処理系7内の後述する記憶装置72等に格納される。
【0024】
情報処理系7は、MRI装置10全体の動作の制御、信号処理、画像再構成処理等を行うもので、CPU71、ROM、RAMなどの記憶装置72、光ディスク、磁気ディスク等の外部記憶装置73と、ディスプレイ等の表示装置74と、マウス、トラックボール、キーボード等の入力装置75とを備える。受信系6から受信信号が入力されると、CPU71が信号処理、画像再構成処理を実行し、その結果として得られる被検体1の断層画像を表示装置74に表示すると共に、記憶装置72または外部記憶装置73に記録する。また、情報処理系7は、予め記憶装置72等に格納されているパルスシーケンスとユーザによって設定される撮影パラメータとにより構成される撮影シーケンスに従って、シーケンサ4に指令を与える。
【0025】
なお、
図1において、送信コイル51と受信コイル61と傾斜磁場コイル9とは、被検体1が挿入される静磁場発生系2の静磁場空間内に、垂直磁場方式であれば被検体1に対向して、水平磁場方式であれば被検体1を取り囲むようにして設置される。また、受信コイル61は、被検体1に対向して、或いは取り囲むように設置される。
【0026】
なお、ここでは、送信コイル51と受信コイル61とを別個に設ける場合を例示しているが、これに限られない。例えば、
51もしくは61の高周波コイルで、両機能を兼用させるよう構成してもよい。
【0027】
以上の構成を有するMRI装置10は、撮影対象スピン種の密度の空間分布や、励起状態の緩和現象の空間分布を画像化することで、人体頭部、腹部、四肢等の形態または、機能を2次元もしくは3次元的に撮影する。なお、現在臨床で普及している撮影対象スピン種は、被検体の主たる構成物質であるプロトンである。
【0028】
本実施形態では、エコー時間(TE)の異なる複数の画像を、マルチエコー撮像により取得する。本実施形態の情報処理系7は、予め記憶装置72に格納されるマルチエコー撮像を実現可能なパルスシーケンスと、ユーザから入力装置75を介して入力された撮像パラメータとから、本実施形態の撮像シーケンスを生成する。特に、本実施形態では、エコートレインを構成するエコー信号群の、各k空間軌跡上の配置順を決定する。そして、決定した配置順で各エコー信号が配置されるよう、エコー信号群のk空間上の配置を規定する傾斜磁場印加量を決定し、撮像シーケンスとする。
【0029】
本実施形態の撮像シーケンス生成の説明に先立ち、マルチエコー撮像で用いるパルスシーケンスの一例を説明する。
図2は、その一例の2D-FSEシーケンス200である。
本図において、RF、Gs、Gp、Gf、AD、Echoはそれぞれ、RFパルス、スライス傾斜磁場、位相エンコード傾斜磁場、周波数エンコード傾斜磁場、AD変換、エコー信号の軸を表す。なお、ここでは、一例として、1回の励起RFパルス毎に、6個のエコー信号群を収集する場合を例示する。なお、前述のように、1の励起RFパルス印加後、1TR(繰り返し時間)間に取得するエコー信号群を、エコートレインと呼ぶ。また、エコートレインを構成するエコー信号の数をエコートレイン数(ETL)と呼ぶ。この例では、エコートレイン数は6である。
【0030】
2D-FSEシーケンス200では、まず、撮影面内のスピンに高周波磁場を与える励起RFパルス201とともに、スライス選択傾斜磁場パルス202を印加する。スライス選択傾斜磁場パルス202の印加直後に、スライス選択傾斜磁場パルス202により拡散したスピンの位相を戻すためのスライスリフェーズパルス203と、エコー信号を生成させるために予めスピンの位相を分散させる周波数ディフェーズ傾斜磁場パルス204とを印加する。その後、スピンをスライス面内で反転するための反転RFパルス205を繰り返し印加する。そして、反転RFパルス205の印加毎に、スライスを選択するスライス選択傾斜磁場パルス206、位相エンコード傾斜磁場パルス207、および周波数エンコード傾斜磁場パルス208を印加し、サンプリングウインド209のタイミングで、エコー信号210を収集する。ここでは、上述のように、エコートレイン数が6個の例であるため、反転RFパルス205を6回印加する。なお、エコー信号群210を構成する各エコー信号は、通常、各サンプリングウインド209のタイミングで、それぞれ、128、256、512、1024個のいずれかのサンプリングデータからなる時系列信号として収集される。
【0031】
1の励起RFパルス201の印加から、次の励起RFパルス201の印加までの時間間隔をTR211と呼ぶ。また、FSEシーケンスでは、1のTR内での励起RFパルスの印加から全エコー信号群の収集までを単位計測(ショット)と呼ぶ。2D-FSEシーケンス200を用いる撮影では、ショットをTR211毎に位相エンコード傾斜磁場パルス207群の印加量を変えながら繰り返し、時間間隔212毎に画像に必要な全てのエコー信号210を収集する。収集するエコー信号の数は、通常、1枚の画像あたり、64、128、256、512等の値が選ばれる。
【0032】
ここで、同一のTR211内で何番目に取得されたエコー信号であるかを示す番号を、エコー番号と呼ぶ。また、エコー番号がNのエコー信号を、N番目のエコー信号と呼ぶ。
【0033】
また、エコートレインは、そのエコートレインを構成するエコー信号を、k空間軌跡上の各配置グループに、どのような順序で並べるか(エコー配置順)により種類分けされる。k空間の軌跡上の配置グループとは、エコートレイン毎の、各エコー信号を配置するk空間の軌跡方向の所定幅を持った領域である。なお、k空間軌跡上の原点(k
traj=0)は、k空間上の原点を含む配置グループ内の点として定義する。以下、エコー配置順が同じエコートレインを同種のエコートレインという。逆に、エコー配置順が異なるエコートレインを、エコートレインの種類が異なるという。
【0034】
なお、1のエコートレイン210を構成する各エコー信号のk空間軌跡上の配置位置は、傾斜磁場印加量(
図2の例では、位相エンコード傾斜磁場パルス207の印加量)により定まる。このとき、位相エンコード傾斜磁場パルスの印加量が小さいものほどk空間軌跡上の低空間周波数領域に配置される。従って、エコー配置順を定めることは、すなわち、パルスシーケンスにおける、1ショット内の傾斜磁場印加量の変化のさせ方を決定することとなる。
【0035】
また、3D撮像の場合、上記FSEシーケンス200を、さらに、スライス選択傾斜磁場パルス202の印加量を変えながら繰り返し、スライス方向に画像を収集する。このようなスキャン(ラスタスキャン)の場合のk空間の
yz平面(位相―スライス平面)上の軌跡を
図3に示す。
【0036】
なお、マルチエコー撮像に用いられるパルスシーケンスには上述のFSE法以外にもEPI法などがある。本実施形態は、これらに限らず、マルチエコー撮像を実現する全ての撮像法に適用できる。
【0037】
本実施形態では、TEの異なる複数のコントラストの画像を取得する。このため、本実施形態では、取得する画像のコントラスト毎に、最適なエコー配置順のエコートレインでそれぞれの画像を再構成するk空間の低空間周波数領域を充填する。このとき、各エコートレインのエコー配置順を工夫することにより、エコー信号を共有しつつ、各k空間内での各エコー信号のTEの連続性を確保する。これにより、エコー信号のエコー時間或いは信号強度など信号の性質の連続性が確保される。以後、本明細書では、エコー時間がTEのコントラストを持つ画像をTE画像と呼ぶ。また、当該画像を再構成するk空間の低空間周波数領域を充填するエコー配置順のエコートレインを、TE画像用エコートレインと呼ぶ。
【0038】
図4は、本実施形態の情報処理系7の機能ブロック図である。本図に示すように、本実施形態の情報処理系7は、このような撮像を実現する撮像シーケンスを生成し、撮像を実行するため、撮像条件設定部310と、シーケンス決定部320と、撮像部330と、画像再構成部340と、を備える。
【0039】
撮像条件設定部310は、入力装置を介してユーザから入力される撮像パラメータを受け付ける。撮像パラメータには、各エコートレインを構成するエコー信号数、取得したい画像のコントラストを得るエコー時間、などが含まれる。
【0040】
シーケンス決定部320は、撮像条件設定部310で受け付けた撮像パラメータに基づき、撮像シーケンスを決定する。本実施形態のシーケンス決定部320は、複数の異なるコントラストの画像の再構成に用いる各k空間が、エコーシェアを行いながらもエコー信号間のTEの連続性を維持して充填されるよう、各エコートレインのエコー配置順および各エコートレインを構成する各エコー信号を充填するk空間を決定する。
【0041】
シーケンス決定部320は、上記機能を実現するため、エコー配置決定部321と充填空間決定部323とを備える。また、エコー配置決定部321は、エコー接続点決定部322を備え、連続的なエコー配置を可能とする。
【0042】
以下、エコー配置順の異なる複数のエコートレインのエコー信号で1のk空間を充填する場合、エコートレインを接続すると呼び、接続する際、それぞれのエコートレインの、他のエコートレインと隣接する端部をエコー接続点と呼ぶ。本実施形態では、各エコートレインを構成するエコー信号のエコー番号でエコー接続点を特定する。また、エコー番号が昇順になる方向を配置方向と呼ぶ。
【0043】
エコー配置決定部321は、エコートレインを構成する各々のエコー信号の、k空間の1の軌跡上での並べ方をエコー配置順として決定する。なお、シーケンス決定部320は、このエコー配置順に従って、当該エコートレイン収集時の傾斜磁場印加量の与え方(変化のさせ方)を決定する。エコー配置順は、最もTEの短いコントラストの画像用のk空間の低空間周波数領域に充填するエコートレインから決定する。このエコートレインを基準エコートレインと呼び、基準エコートレイン以外のエコートレインを他のエコートレインと呼ぶ。
【0044】
まず、各エコートレインを、所望のコントラストを得るTEに最も近いタイミングで取得するエコー信号に対するk空間軌跡上の座標が0(k
traj=0)となるよう連続的に配置する。このとき、他のエコートレインは、基準エコートレインに対して非振動セントリックに、基準エコートレインのエコー信号と同番号のエコー信号が、k空間の軌跡上で同配置グループまたは隣接する配置グループとなるまで連続的に配置する。
【0045】
ここで、基準エコートレインに対して非振動セントリックに配置するとは、基準エコートレインの一番目のエコー信号が配置される配置グループに、基準エコートレインの配置方向とは逆方向に隣接する配置グループから、同配置方向とは逆方向にシーケンシャルに配置することをいう。
【0046】
ここで、エコー接続点決定部322は、他のエコートレインにおいて、エコー配置決定部321が決定したエコー配置順において、基準エコートレインの同番号のエコー信号とk空間の軌跡上で同配置グループまたは隣接する配置グループに配置されるエコー信号を、エコー接続点と決定する。
【0047】
なお、エコー配置順の決定に関係するパラメータにはTE、エコーシフト、IET(Inter Echo Time)、ETL、位相エンコード数、スライスエンコード数といった多くのものがあり、TEを指定しなくても他のパラメータ(エコーシフトとIETなど)を指定することでTEが決まることもある。以下の例では、TEが指定されるケースを説明するが、TE以外のパラメータを指定する場合も、それらのパラメータからTEを決定することで、以下の例に帰着できる。
【0048】
また、画像のTEを本願ではk
traj=0でのエコー時間と定義しているが、別の定義を用いることもある。(例えば、FA変調を行う場合の、contrast equivalent TE。このTEは、k
traj=0でのエコー時間とならない。)しかし、そのような場合でも、エコー配置を決定するための情報が揃っている限り、本願でのTEを決定できることになるので、やはり以下の例に帰着できる。
【0049】
具体例として、指定されたTEからエコー配置順を決定する場合について説明する。まず、最もTEが短いコントラストの画像を得るよう、当該画像用のエコートレイン(基準エコートレイン)のエコー配置順を決定する。ここでは、当該TEに最も近いタイミングで取得するエコー信号に対するエンコード量が0となるよう決定する。すなわち、当該TEに最も近いタイミングで取得するエコー信号をk空間軌跡上の原点(k
traj=0)を含む配置グループに配置する。そして、その他のエコー信号は、k空間軌跡上にシーケンシャルに配置する。
【0050】
次に、他のエコートレインのエコー配置順を決定する。他のエコートレインは、基本的に、基準エコートレインに対し、非振動セントリックに配置する。また、各コントラストのTEで取得するエコー信号がk空間軌跡上の原点(k
traj=0)を含む配置グループに配置され、かつ、エコー接続点で折り返すよう配置する。
【0051】
充填空間決定部323は、エコー配置決定部321がエコー配置順を決定した各エコートレインを構成するエコー信号について、それぞれ、充填するk空間を決定する。すなわち、いずれのコントラストの画像を再構成するために用いるか、を決定する。本実施形態では、複数のエコートレインのエコー信号を、エコー接続点決定部322が決定したエコー接続点で接続し、エコーシェアを行い、k空間を充填する。
【0052】
具体的には、各エコートレインについて、当該コントラストの画像用のエコートレイン内のエコー信号群で、k空間軌跡上の原点(k
traj=0)のエコー信号を含み、エコー番号が連続するエコー信号群を、エコー接続点または端部まで、それぞれ、各コントラスト用のk空間に充填するよう決定する。次に、充填した一連のエコー信号群の端部のエコー信号に連続するエコー信号群が、当該コントラストの画像用のエコートレイン以外のエコートレインにある場合、それらのエコー信号群を、当該コントラストの画像用のk空間に充填するよう決定する。連続するエコー信号群の有無は、エコー接続点の有無で判別する。具体例は後述する。
【0053】
撮像部330は、シーケンス決定部320が決定した撮像シーケンスに従って、シーケンスを実行する。そして、所望のコントラスト毎に予め用意されたk空間であって、充填空間決定部323が決定したk空間に、得られたエコー信号を充填する。画像再構成部340は、充填された各k空間のエコー信号から、画像を再構成する。
【0054】
以下、シーケンス決定部320により撮像シーケンスおよび取得したエコー信号の充填k空間を決定し、撮像を行う、本実施形態の撮像処理の流れを説明する。
図5は、本実施形態の撮像処理の流れを説明するための図である。以下、撮像処理は、ユーザが撮像条件を入力したことをきっかけに、または、ユーザが撮像条件を入力し、撮像開始の指示を行うことをきっかけに開始する。
【0055】
撮像条件設定部
310は、ユーザが入力装置75を介して入力した撮像条件を受け付ける(ステップS501)。このとき、撮像条件には、取得する画像のコントラストを特定するエコー時間(TE)、取得する各エコートレインのエコートレイン数(ETL)が含まれる。
【0056】
エコー配置決定部321は、受け付けた撮像条件を用い、各エコートレインのエコー配置順を決定する(ステップS502)。
【0057】
エコー配置順を決定する際、エコー接続点決定部322は、他のエコートレイン毎に、エコー接続点を決定し、エコートレインに対応づけて記憶する(ステップS503)。
【0058】
次に、充填空間決定部323は、決定したエコー配置順とエコー接続点とに基づき、各エコー信号の充填k空間を決定する(ステップS504)。
【0059】
そして、シーケンス決定部320は、決定したエコー配置順を実現するよう、撮像シーケンスを決定する(ステップS505)。ここでは、各エコートレイン取得時の傾斜磁場印加量の与え方を決定する。そして、撮像部330は、決定した撮像シーケンスに従って、シーケンサ4に各部を動作させて撮像を実行し(シーケンス実行)、取得した各エコー信号を、ステップS504で決定したk空間に充填する(ステップS506)。画像再構成部340は、各k空間データからそれぞれ画像を再構成する(ステップS507)。
【0060】
以下、エコー配置決定部321とエコー接続点決定部322とによりエコー配置順および充填k空間を決定する手順を具体例を挙げて説明する。ここでは、2種のエコートレインでk空間を充填し、コントラストの異なる画像を2種取得する場合を例にあげて説明する。2種のエコートレインを、エコートレインA、エコートレインBとし、それぞれ、エコートレイン数を9とする。また、2種の異なるコントラストのエコー時間TEを、それぞれ、TE1、TE2(TE1<TE2)とする。TE1は、1番目のエコー信号を取得するタイミング、TE2は、6番目のエコー信号を取得するタイミングとする。エコートレインAは、TE1画像用、エコートレインBは、TE2画像用とする。
【0061】
図6は、この場合の各エコートレインのエコー配置順を説明するための図である。本図のk
traj軸は、k空間の軌跡を示す。例えば、上記
図3のky軸に平行な各軌跡である(以下、各図において同様。)。また、黒丸が各エコー信号で、付与されている番号がエコー番号である。
【0062】
TE1<TE2であるため、エコートレインAが基準エコートレインとなる。従って、エコー配置決定部321は、まず、エコートレインAのエコー配置順を決定する。エコートレインAのエコー配置順は、k空間軌跡上でエコー番号が昇順となるシーケンシャル配置で、かつ、TE1に最も近いタイミングで取得されるエコー信号がk空間軌跡上の原点(k
traj=0)を含む配置グループに配置されるよう決定される。ここでは、1番目のエコー信号を取得するタイミングがTE1なので、
図6に示すように、1番目のエコー信号がk空間軌跡上の原点(k
traj=0)を含む配置グループに配置されるようk空間軌跡上に昇順にシーケンシャルに配置する(411)。端部の配置グループ(6番目のエコー信号)まで配置したら、反対側の端部の配置グループに戻り、7番目のエコー信号から同方向に同順に配置する(412)。
【0063】
次に、エコー配置決定部321は、他のエコートレインとなるエコートレインBのエコー配置順を決定する。エコートレインBのエコー配置順は、上述のように、エコートレインAに対し、非振動セントリックで、かつ、TE2に最も近いタイミングで取得されるエコー信号(6番目のエコー信号)がk
traj=0の配置グループに配置されるよう決定される。
【0064】
具体的には、エコー配置決定部321は、k空間軌跡上でエコー番号が降順となるシーケンシャル配置で、かつ、6番目のエコー信号がk空間軌跡上の原点(k
traj=0)を含む配置グループに配置されるよう、k空間軌跡上でエコー番号降順に9番目のエコー信号からシーケンシャルに配置していく(421)。このとき、エコートレインBの各エコー信号を、k空間軌跡上の同じ配置グループまたは隣接する配置グループのエコー番号が、エコートレインAのエコー番号と合致するまで配置する。
図6では、4番目のエコー信号まで配置する。
【0065】
ここで、エコー接続点決定部322は、この4番目のエコー信号を、エコートレインBとのエコー接続点と決定し、エコートレインBに対応づけて記憶する。また、エコートレインBの9番目のエコー信号も、エコートレインAの9番目のエコー信号と連続するため、接続点と決定し、エコートレインBに対応づけて記憶する。
【0066】
エコー配置決定部321は、エコー接続点以前のエコー信号、すなわち、1番目から3番目のエコー信号を、エコートレインAの1番目のエコー信号が配置される配置グループに、エコートレインAの配置方向と逆方向に隣接する配置グループから、k空間軌跡上で逆方向にインクリメントしながら配置する(422)。
【0067】
ここで、1番目のエコー信号について、エコートレインAとエコートレインBとは非振動セントリックに配置されているため、エコートレインAの1番目のエコー信号は、エコートレインBの1番目のエコー信号に連続する。従って、エコートレインAの1番目のエコー信号もエコー接続点と決定し、エコートレインAに対応づけて記憶する。
【0068】
以上のように、エコー配置順を決定後、充填空間決定部323は、各エコー信号をいずれのコントラストの画像用のk空間に充填するかを決定する。ここでは、充填空間決定部323は、いずれの画像にいずれのエコー信号を用いるかを決定する。そして、各エコー信号の充填k空間を決定する。この決定手法を
図7を用いて説明する。
【0069】
TE1画像には、まず、エコートレインAの先頭から6番目までのエコー信号群(411)を使用する。これは、エコートレインAのエコー信号群が、TE1画像用のエコートレインのエコー信号群であり、TE1に最も近いタイミングで取得されるエコー信号がk空間軌跡上の原点(k
traj=0)を含む配置グループに配置される一連のエコー信号群だからである。また、エコートレインAの接続点として1番目のエコートレインが記憶されているため、それに連続するエコートレインBの1番目のエコー信号から始まる一連のエコー信号群(422)も、TE1画像に用いる。
【0070】
従って、エコートレインAの先頭から6番目までのエコー信号群(411)およびエコートレインBの1番目のエコー信号から始まる一連のエコー信号群(422)の充填k空間をTE1画像用に用意されたk空間と決定する。以下、同様とする。
【0071】
TE2画像には、まず、エコートレインBのエコー接続点から最後までのエコー信号群(421)を使用する。エコートレインBのエコー信号群は、TE2画像用のエコートレインのエコー信号群であり、TE2に最も近いタイミングで取得されるエコー信号がk空間軌跡上の原点(k
traj=0)を含む配置グループに配置される一連のエコー信号群だからである。また、エコートレインBの接続点として、4番目のエコートレインと9番目のエコートレインとが記憶されているため、これらに連続するエコートレインAの4番目から6番目(端部)までのエコー信号群およびエコートレインAの7番目(端部)から9番目のエコー信号群(412)もTE2画像に使用する。なお、エコートレインAの4番目から6番目までのエコー信号群は、TE1画像とTE2画像とで共有する。
【0072】
この例の場合、TE1画像用のk空間には、左側の3エコー分、エコー信号が充填されない。このような領域は、ゼロフィルまたは推定により充填する。また、取得した全てのエコー信号を画像再構成に使用しなくてもよい。
【0073】
次に、3種のエコートレインでk空間を充填し、コントラストの異なる画像を3種取得する場合を例にあげて説明する。3種のエコートレインを、それぞれエコートレインA、エコートレインB、エコートレインCとし、それぞれ、エコートレイン数は、11、9、11とする。また、取得する3種の異なるコントラストのエコー時間TEを、それぞれ、TE1、TE2、TE3(TE1<TE2<TE3)とする。また、TE1は、1番目のエコー信号を取得するタイミング、TE2は、6番目のエコー信号を取得するタイミング、TE3は、10番目のエコー信号を取得するタイミングとする。また、エコートレインAは、TE1画像用、エコートレインBは、TE2画像用、エコートレインCは、TE3画像用とする。
【0074】
図8は、この場合のエコー配置順決定法と充填k空間決定法とを説明するための図である。本例でも、TE1<TE2<TE3であるため、エコートレインAが基準エコートレインとなる。そして、エコートレインBおよびエコートレインCが他のエコートレインとなる。
【0075】
エコー配置決定部321は、まず、エコートレインAおよびエコートレインBのエコー配置順を、上記2種の場合と同様の手順でそれぞれ決定する。ただし、エコートレインAは、11番目のエコー信号まで配置する。このとき、エコー接続点決定部322も同様にエコー接続点を決定し、記憶する。
【0076】
次に、エコー配置決定部321は、エコートレインCのエコー配置順を決定する。エコートレインCのエコー配置順は、エコートレインB同様、エコートレインAに対し、非振動セントリックで、かつ、TE3に最も近いタイミングで取得されるエコー信号(10番目のエコー信号)がk空間軌跡上の原点(k
traj=0)を含む配置グループに配置されるよう決定される。
【0077】
すなわち、k空間軌跡上でエコー番号が降順となるシーケンシャル配置で、かつ、10番目のエコー信号がk空間軌跡上の原点(k
traj=0)を含む配置グループに配置されるようk空間軌跡上で逆方向にエコー番号降順に11番目のエコー信号からシーケンシャルに配置する。このとき、エコートレインCの各エコー信号は、k空間軌跡上の同じ配置グループまたは隣接する配置グループでエコートレインAのエコー信号のエコー番号と合致するまで配置する。
図8では、6番目のエコー信号まで配置する。
【0078】
ここで、エコー接続点決定部322は、この6番目のエコー信号を、エコートレインCのエコー接続点と決定し、エコートレインCに対応づけて記憶する。また、エコートレインCの11番目のエコー信号も、エコートレインAの11番目のエコー信号と接続するため、エコー接続点と決定し、エコートレインCに対応づけて記憶する。
【0079】
エコー配置決定部321は、エコートレインCのエコー接続点以前のエコー信号、すなわち、1番目から5番目のエコー信号を、エコートレインAの1番目のエコー信号が配置される配置グループにk空間軌跡上で逆方向に隣接する配置グループから、k空間軌跡上で逆方向にインクリメントしながら配置する。
【0080】
以上のように、エコー配置順を決定後、充填空間決定部323は、各エコー信号について、いずれの画像に用いるかを決定し、充填するk空間を決定する。この手法を同じく
図8を用いて説明する。
【0081】
TE1画像およびTE2画像は、上記2種のエコートレインを使用する場合と同様である。ただし、TE1画像には、さらに、エコートレインCの第4番目および第5番目のエコー信号を用いてもよい。あるいは、エコートレインBの1から3番目のエコー信号の代わりに、エコートレインCの1から3番目のエコー信号を用いてもよい。あるいは、両方の信号を平均してSNRを稼いでも良い。
【0082】
TE3画像には、まず、エコートレインCのエコー接続点から最後までのエコー信号群を使用する。これは、エコートレインCのエコー信号群が、TE3画像用のエコートレインのエコー信号群であり、TE3に最も近いタイミングで取得されるエコー信号がk空間軌跡上の原点(k
traj=0)を含む配置グループに配置される一連のエコー信号群だからである。また、エコートレインCのエコー接続点として、6番目のエコー信号と11番目のエコー信号とが記憶されているため、これらに連続するエコートレインAの6番目(端部)のエコー信号およびエコートレインAの7番目(端部)から11番目のエコー信号群もTE3画像に使用する。なお、エコートレインAの6番目のエコー信号はTE1画像とTE3画像とで共有する。また、エコートレインAの7番目から9番目のエコー信号は、TE2画像とTE3画像とで共有する。
【0083】
なお、本例においても、取得した全てのエコー信号を画像再構成に使用しなくてもよい。
【0084】
また、本例において、エコートレインBのエコートレイン数(ETL)を9としたが、11としても良い。その場合、エコー配置決定部321は、エコートレインBの10番目および11番目のエコー信号をエコートレインAと同様に配置する。同様に配置するとは、エコートレインAの10番目および11番目のエコー信号と、それぞれ同じ配置グループに配置することである。また、充填空間決定部323は、エコートレインBの10番目および11番目のエコー信号をエコートレインAと同様に充填する。すなわち、TE3画像に使用する。
【0085】
また、同配置グループに重複して配置されるエコー信号は一つだけ使用しても良いし、平均してSNRを稼いでも良い。
【0086】
なお、撮像部330は、シーケンス決定部320が決定したエコートレイン毎の撮像シーケンスを実行し、画像を取得する。これらのエコートレインの取得順に制約はない。また、一般に、k空間は、各エコートレインをそれぞれ複数ショット実行し充填する。各ショットの実行順も任意である。
【0087】
図9に、一例として、
図8に示す3種のエコートレイン(エコートレインA、エコートレインB、エコートレインC、それぞれ、A、B,Cと表記する。)で、TE1、TE2、TE3の各コントラストの画像を取得する場合であって、各k空間がそれぞれ3ショットのエコートレインで充填される様子を示す。本図において、実線は各エコートレインの1ショット目、破線は2ショット目、点線は3ショット目を示す。各k空間の各配置グループは、3ラインで構成される。また、矢印は、各エコートレインのエコー番号昇順のエコー配置順を示す。
【0088】
図10および
図11は、このときの各エコートレインの各ショットの取得順の例を説明するための図である。
図10に示すように、各エコートレインについて、それぞれ全ショットを取得後、次のエコートレインを取得するよう構成してもよい。また、
図11に示すように、各エコートレインについて、1ショット取得毎に次のエコートレインの1ショットを取得するよう構成してもよい。もちろん、取得順はこれらに限られない。
【0089】
以上説明したように、本実施形態によれば、各エコートレインを構成するエコー信号が各コントラスト画像用のk空間に上述のように充填される。従って、エコーシェアの開始点に、エコー信号を共有するエコートレインの同じエコー番号のエコーが接続される。このため、エコートレイン間でエコーを共有する場合であっても、各k空間においてエコー信号のエコー時間又は信号強度の連続性が確保される。これにより、エコーシェア時のエコー配置の不連続による画質の低下を防ぐことができる。従って、本実施形態によれば、画質の劣化なく1コントラスト画像あたりの撮像時間を減少させることができる。または、1コントラスト
画像あたりの撮像時間の増加無しに、エコートレイン数を減少させ、画質を改善することができる。
【0090】
特に、本実施形態では、3次元撮像などエコートレインが長いときのマルチエコーマルチコントラスト撮像に最適である。一般に、エコートレインの長さに応じて共有するエコー信号数を多くしないとエコーシェアの効果が小さくなる。しかし、共有するエコー信号数が多い場合、単純にエコーシェアを行うと、k空間上に配置されたエコー信号のエコー時間(信号強度)が不連続になり画質が劣化する。しかし、本実施形態によれば、エコー配置の連続性を維持しながらコントラスト間で複数のエコー信号をシェアするため、全体のエコートレイン数の増加を抑えつつ、画質の劣化を避けることができる。
【0091】
なお、上記実施形態では、パルスシーケンスがFSEであり、k空間軌跡がラスタスキャンである場合を例にあげて説明しているが、k空間軌跡は、これに限られない。例えば、k空間軌跡は、
図12に示すラジアルスキャン、
図13に示すスパイラルスキャンであってもよい。これらの場合、上記k
traj軸は、
図12ではkr、
図13では各スパイラルラインである。また、非特許文献1のように一般的な軸で表現できない場合でも、k
trajは軌跡として定義できる。
【0092】
どのようなk空間軌跡であっても、非振動セントリックな配置とは、開始点(1番目のエコー信号)を配置するk空間上の配置グループが隣接し、それぞれ、他方のエコートレインの開始点とはk
traj軸について逆方向にシーケンシャルに配置されるような配置である。また、コントラストを決定するエコー信号は、k空間軌跡上の原点(k
traj=0)を含む配置グループに配置されるエコー信号である。
【0093】
また、上記実施形態では、取得するコントラスト数に応じたエコートレインを収集しk空間を充填する場合を例にあげて説明しているが、充填に用いるエコートレインの数はこれに限られない。例えば、取得するコントラスト数が3以上の場合、コントラスト数より少ない数のエコートレインであってもよい。
【0094】
一例として、取得する画像が3種で、2種のエコートレインでそれぞれのk空間を充填する場合を例にあげて説明する。2種のエコートレインを、エコートレインA、エコートレインBとし、それぞれ、エコートレイン数を12とする。また、3種の異なるコントラストのエコー時間TEを、それぞれ、TE1、TE2、TE3(TE1<TE2<TE3)とする。TE1は、1番目のエコー信号を取得するタイミング、TE2は、6番目のエコー信号を取得するタイミング、TE3は、11番目のエコー信号を取得するタイミングとする。エコートレインAは、TE1画像用、エコートレインBは、TE2画像およびTE3画像用とする。
【0095】
図14は、この場合のエコー配置順およびエコー接続点を説明するための図である。この場合も、TE1<TE2であるため、エコートレインAが基準エコートレインとなる。
従って、エコー配置決定部321は、まず、エコートレインAのエコー配置順を決定する。なお、エコートレインAのエコー配置順は、上記
図6および
図8を用いて説明したとおりである。ただし、エコー番号12まで配置する。また、エコー接続点決定部322によるエコー接続点の決定方法も、上記実施形態と同じである。
【0096】
次に、エコー配置決定部321は、他のエコートレインとなるエコートレインBのエコー配置順を決定する。エコートレインBのエコー配置順は、基本的に上記実施形態同様、エコートレインAに対し、非振動セントリックで、かつ、TE2に最も近いタイミングで取得されるエコー信号(6番目のエコー信号)がk空間軌跡上の原点(k
traj=0)を含む配置グループに配置されるよう決定される。ここでは、さらに、TE3に最も近いタイミングで取得されるエコー信号(11番目のエコー信号)もk空間軌跡上の原点(k
traj=0)を含む配置グループに配置されるよう決定する。
【0097】
具体的には、エコー配置決定部321は、k空間軌跡上でエコー番号が降順となるシーケンシャル配置で、かつ、6番目のエコー信号がk空間軌跡上の原点(k
traj=0)を含む配置グループに配置されるよう、k空間軌跡上でエコー番号降順に6番目のエコー信号からシーケンシャルに配置していく。このとき、エコートレインBの各エコー信号を、k空間軌跡上の同じ配置グループまたは隣接する配置グループのエコー番号が、エコートレインAのエコー信号のエコー番号と合致するまで配置する。
図14では、4番目のエコー信号まで配置する。
【0098】
また、k空間軌跡上でエコー番号昇順に6番目のエコー信号からシーケンシャルに、同じ配置グループまたは隣接する配置グループで、エコートレインAのエコー信号のエコー番号と合致するまで配置する。
図14では、9番目のエコー信号まで配置する。
【0099】
そして、k空間軌跡上でエコー番号が降順となるシーケンシャル配置で、かつ、11番目のエコー信号がk空間軌跡上の原点(k
traj=0)を含む配置グループに配置されるよう
10番目のエコー信号から
12番目のエコー信号まで配置する。
【0100】
ここで、エコー接続点決定部322は、この4番目のエコー信号を、エコートレインBとのエコー接続点と決定し、エコートレインBに対応づけて記憶する。また、エコートレインBの9番目のエコー信号も、エコートレインAの9番目のエコー信号と連続するため、接続点と決定し、エコートレインBに対応づけて記憶する。また、12番目のエコー信号も、エコートレインAの12番目のエコー信号と連続するため、接続点と決定し、エコートレインBに対応づけて記憶する。
【0101】
以上のように、エコー配置を決定後、充填空間決定部323は、各エコー信号について、いずれの画像に用いるかを決定し、充填するk空間を決定する。この手法を同じく
図14を用いて説明する。TE1画像およびTE2画像は、
図7で説明した2種のエコートレインを使用する場合と同様である。
【0102】
TE3画像には、まず、エコートレインBの10番目から12番目のエコー信号群を使用する。これは、エコートレインBのエコー信号群が、TE3画像用のエコートレインのエコー信号群でもあり、TE3に最も近いタイミングで取得されるエコー信号がk空間軌跡上の原点(k
traj=0)を含む配置グループに配置される一連のエコー信号群だからである。また、エコートレインBの接続点として12番目のエコートレインが記憶されているため、これに連続するエコートレインAの12番目のエコー信号から始まる一連のエコー信号群もTE3画像に使用する。
【0103】
本例においても、エコートレインAの4番目から6番目までのエコー信号は、TE1画像とTE2画像とで共有する。また、エコートレインAの7番目から9番目のエコー信号は、TE2画像とTE3画像とで共有する。
【0104】
このように2種のエコートレインで3種の画像を取得する場合、上述のように、TE3が第二のエコー接続点より大きい場合に限られるという制約がある。しかし、より少ないエコートレインで所望数の異なるコントラストの画像を、エコー配置の不連続による画像の劣化なく取得できる。従って、高速に、高品質の画像を得ることができる。
【0105】
<<第二の実施形態>>
次に、本発明を適用する第二の実施形態を説明する。第一の実施形態では、エコー時間が連続するエコー信号のみ使用し、k空間を充填している。本実施形態では、所定の条件を満たす場合、連続しないエコー信号もk空間の充填に使用する。
【0106】
本実施形態では、連続しないエコー信号を使用してk空間を充填する場合、当該不連続箇所を補正する。これを実現するため、本実施形態のシーケンス決定部320Aは、
図15に示すように、第一の実施形態のシーケンス決定部320が有する構成に加え、さらに、不連続点通知部324を備える。また、画像再構成部340は、不連続点補正部341をさらに備える。また、各エコー信号を充填するk空間を決定する充填空間決定部323Aの構成も異なる。以下、各構成の詳細について、第一の実施形態と異なる点に主眼をおいて説明する。
【0107】
本実施形態の充填空間決定部323Aは、エコー配置決定部321が第一の実施形態と同様の手順で各エコートレインのエコー配置順を決定すると、第一の実施形態同様、各エコートレインを構成するエコー信号群それぞれを充填するk空間を決定する。
【0108】
本実施形態では、所定の条件を満たす場合、k空間軌跡上でエコー信号の信号強度が不連続であっても、すなわち、エコー接続点以外であっても、エコートレイン間でエコー信号を接続し、エコー信号をk空間の充填に使用する。エコー信号強度が不連続なエコー接続点でエコー信号を接続して使用する条件は、原点対称の領域に、連続するエコー信号が配置されていることである。
【0109】
不連続点通知部
324は、充填空間決定部323Aが決定したk空間配置の中で、エコー接続点以外での接続箇所、すなわち、エコー信号の信号強度が不連続な箇所を判別し、画像再構成部の不連続点補正部341に通知する。判別はエコー番号で行う。なお、通知するエコー番号は、不連続な点のみであってもよいし、不連続な点から次の接続点または端部までの全てのエコー番号であってもよい。
【0110】
不連続点補正部341は、通知を受けた不連続点から次の接続点または端部までのエコー信号に対し補正を施し、補正後のエコー信号でk空間を更新する。補正は、各エコー信号をA/D変換器64で変換後に行う。補正は、原点対称の信号値を利用して不連続が解消されるように行う。例えば、位相補正を行った後に信号強度比で補正する。ここで、位相補正は、例えば、エコートレインAの低空間周波数領域のエコー信号の位相からエコートレインBの低空間周波数領域のエコー信号の位相を減算するなど一般的な手法で算出する。
【0111】
信号強度比での補正の具体的な方法は以下の通りである。
【0112】
まず、補正対象のエコー信号(複素数)をS1とし、そのエコー信号の、基準のエコー信号に対する信号強度比をR1とする。補正対象のエコー信号に対して原点対称の領域のエコー信号(複素数)をS2とし、そのエコー信号の基準のエコー信号に対する信号強度比をR2とする。
【0113】
基準のエコー信号とは、例えば、R1用には不連続点に隣接する、補正の必要の無いエコー信号、R2用にはその原点対称のエコー信号、とすることができる。または、基準のエコー信号としてこれらのエコー信号の値を直接用いるのではなく、関数フィッティングや移動平均処理などした後の値を用いてR1、R2を計算しても良い。
【0114】
これらの信号強度比を用い、補正後のエコー信号(複素数)S1’は、以下の式(1)で求められる。
【0115】
S1’=S1×(R2÷R1) (1)
画像再構成部340は、更新後のk空間データから画像を再構成する。
【0116】
本実施形態の情報処理系7による撮像処理の流れを説明する。
図16は、本実施形態の撮像処理の流れを説明するための図である。以下、本実施形態においても、撮像処理は、ユーザが撮像条件を入力したことをきっかけに、または、ユーザが撮像条件を入力し、撮像処理の指示を行うことをきっかけに開始する。
【0117】
撮像条件設定部
310は、ユーザが入力装置75を介して入力した撮像条件を受け付ける(ステップS701)。このとき、撮像条件には、取得する画像のコントラストを特定するエコー時間(TE)、取得する各エコートレインのエコートレイン数(ETL)が含まれる。
【0118】
エコー配置決定部321は、受け付けた撮像条件を用い、各エコートレインのエコー配置順を決定する(ステップS702)。
【0119】
エコー配置順を決定する際、エコー接続点決定部322は、他のエコートレイン毎に、エコー接続点を決定し、エコートレインに対応づけて記憶する(ステップS703)。
【0120】
エコー配置順およびエコー接続点が決定すると、充填空間決定部323Aは、決定したエコー配置順とエコー接続点とに基づき、各エコー信号の充填k空間を決定する(ステップS704)。そして、不連続点通知部324は、充填空間決定部323Aが決定した結果において、エコー接続点以外の接続箇所があるか否かを判別し、ある場合、不連続点補正部341に通知する(ステップS705)。なお、本処理は、ステップS704の後、後述の不連続点補正部341による補正処理の前であれば、いずれのタイミングで行ってもよい。
【0121】
充填k空間が決定すると、シーケンス決定部320Aは、決定したエコー配置順を実現するよう、撮像シーケンスを決定する(ステップS706)。そして、撮像部330は、決定した撮像シーケンスに従って、シーケンサ4に各部を動作させ、撮像を実行し、取得した各エコー信号を決定したk空間に充填し、A/D変換を施す(ステップS707,S708)。不連続点補正部341は、A/D変換後の充填結果に補正を施す(ステップS709)、画像再構成部340は、補正後の各k空間データからそれぞれ画像を再構成する(ステップS710)。
【0122】
第一の実施形態で説明した、2種のコントラストの画像を、2種のエコートレインから再構成する場合を例にあげて、本実施形態のエコー配置順を決定する手法および補正手法を具体的に説明する。
図17は、本実施形態の各エコートレインの配置順および充填k空間を説明するための図である。
【0123】
本実施形態のエコー配置決定部321によるエコー配置順決定の手法は、第一の実施形態と同様である。しかし、本実施形態の充填空間決定部323Aは、第一の実施形態では、エコー時間が不連続なためTE1画像用のk空間には充填しなかった、エコートレインAの7番目から9番目のエコー信号(412)も、当該k空間に充填するよう決定する。
【0124】
すなわち、本実施形態の充填空間決定部323Aは、原点
対称の領域にエコートレインAの連続する4番目から6番目のエコー信号があるため、エコートレインBの3番目のエコー信号とエコートレインAの9番目のエコー信号とは、エコー接続点ではないが、ここでエコートレインAとエコートレインBとを接続する。
【0125】
図17のように決定したTE1画像のk空間配置を、k空間軌跡上に示したものが
図18である。本図に示すように、エコートレインAの9番目のエコー信号と、エコートレインBの3番目のエコー信号とが隣接し、ここが不連続点となる。
【0126】
不連続点通知部324は、不連続点補正部341にこの不連続点を通知し、不連続点補正部341は、原点対象のエコー信号(ここでは、エコートレインAの4番目から6番目のエコー信号)を用いてエコートレインAの7番目から9番目のエコー信号の信号強度を、上記式(1)を用いて補正する。補正で用いる原点対象のエコー信号は、連続、すなわち、滑らかに配置されている。
【0127】
以上説明したように、本実施形態によれば、第一の実施形態同様、エコートレイン間でエコーを共有する場合であっても、エコー配置の不連続による画質の低下を防ぐことができる。従って、本実施形態によれば、画質の劣化なく1コントラスト画像あたりの撮像時間を減少させることができる。または、1コントラストあたりの撮像時間の増加無しに、エコートレイン数を減少させ、画質を改善することができる。
【0128】
さらに、本実施形態によれば、一部不連続な領域が残る場合は、k空間上で対称な領域の連続的なデータから補正する。従って、第一の実施形態に比べ、使用するエコー信号が増加するため、より短時間に画像を得ることができる。
【0129】
以上の各実施形態の説明で明確になった本発明を纏めて説明すると以下のとおりとなる。即ち、本発明のMRI装置は、撮像パラメータにより規定されるパルスシーケンスに従って各部を動作させ、収集した複数のエコートレインから、エコー信号を共有しながら複数の異なるコントラストの画像を再構成する装置であって、各コントラストの画像を再構成するエコー信号を充填するk空間それぞれにおいてエコー信号のエコー時間又は信号強度の連続性が維持されるよう、前記複数のエコートレインを構成する各エコー信号のk空間の軌跡上のエコー配置順および充填するk空間を決定し、当該決定したエコー配置順で各k空間の軌跡上にエコー信号が配置されるようにパルスシーケンスを決定するシーケンス決定手段、を備えることを特徴とする。
【0130】
好ましくは、シーケンス決定手段は、エコー配置順を決定するエコー配置決定手段と、各エコー信号それぞれについて充填するコントラスト毎のk空間を決定する充填k空間決定手段と、を備え、エコー配置決定手段は、エコー信号を共有する両k空間それぞれにおいてエコー信号のエコー時間が連続するよう、共有を開始するエコー信号を接続点として決定するエコー接続点決定手段を備え、エコートレイン毎に、所望のコントラスト時間のエコー信号を、当該コントラスト用のk空間の軌跡上の最も低空間周波数領域に配置し、かつ、基準とするエコートレイン以外のエコートレインを、接続点まで配置する。
【0131】
また、好ましくは、エコー配置決定手段は、エコートレイン毎に、基準とするエコートレイン以外のエコートレインを、基準とするエコートレインに対して非振動セントリックに、接続点まで配置する。
【0132】
また、好ましくは、基準とするエコートレイン以外のエコートレインの接続点以降を、シーケンシャルに配置する。
【0133】
また、好ましくは、エコー接続点決定手段は、基準とするエコートレイン以外のエコートレインのエコー信号であって、同じエコー時間に取得した基準とするエコートレインのエコー信号がk空間軌跡上の同じ位置または隣接する位置に配置されるエコー信号を、接続点と決定する。
【0134】
また、好ましくは、各k空間に充填されたエコー信号からそれぞれ画像を再構成する画像再構成手段をさらに備え、充填k空間決定手段は、充填されたエコー信号の中の、エコー時間が不連続なエコー信号を画像再構成手段に通知し、画像再構成手段は、不連続に配置されたエコー信号の信号強度を補正後、画像を再構成する。
【0135】
また、好ましくは、収集するエコートレインの数であって、互いにエコー配置が異なるエコートレインの数は、取得する画像数に合致する。
【0136】
また、好ましくは、収集するエコートレインの数であって、互いにエコー配置が異なるエコートレインの数は、取得する画像数より少ない。
【0137】
また、本発明のマルチエコーマルチコントラスト撮像法は、複数のエコー信号から成るエコーとレインを計測するパルスシーケンスを複数回動作させて収集した複数のエコートレインから、エコー信号を共有しながら複数の異なるコントラストの画像を再構成する方法であって、各コントラストの画像を再構成するエコー信号を充填するk空間それぞれにおいてエコー信号のエコー時間又は信号強度の連続性が維持されるよう、複数のエコートレインを構成する各エコー信号のk空間の軌跡上のエコー配置順および充填するk空間を決定するステップと、決定したエコー配置順で各k空間の軌跡上にエコー信号が配置されるようにパルスシーケンスを決定するシーケンス決定ステップと、を備えることを特徴とする。
【0138】
また、好ましくは、シーケンス決定ステップは、エコー配置順を決定するエコー配置決定ステップと、各エコー信号それぞれについて充填するコントラスト毎のk空間を決定する充填k空間決定ステップと、を備え、エコー配置決定ステップは、エコー信号を共有する両k空間それぞれにおいてエコー信号のエコー時間が連続するよう、共有を開始するエコー信号を接続点として決定するエコー接続点決定ステップを備え、エコートレイン毎に、所望のコントラスト時間のエコー信号を、当該コントラスト用のk空間の軌跡上の最も低空間周波数領域に配置し、かつ、基準とするエコートレイン以外のエコートレインを、接続点まで配置する。