特許第5770192号(P5770192)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5770192青色発光蛍光体及び該青色発光蛍光体を用いた発光装置
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  • 特許5770192-青色発光蛍光体及び該青色発光蛍光体を用いた発光装置 図000005
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5770192
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】青色発光蛍光体及び該青色発光蛍光体を用いた発光装置
(51)【国際特許分類】
   C09K 11/59 20060101AFI20150806BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20150806BHJP
【FI】
   C09K11/59CPR
   H01L33/00 410
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-532999(P2012-532999)
(86)(22)【出願日】2011年9月7日
(86)【国際出願番号】JP2011070354
(87)【国際公開番号】WO2012033122
(87)【国際公開日】20120315
【審査請求日】2014年2月10日
(31)【優先権主張番号】特願2010-199702(P2010-199702)
(32)【優先日】2010年9月7日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000119988
【氏名又は名称】宇部マテリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074675
【弁理士】
【氏名又は名称】柳川 泰男
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 徹
(72)【発明者】
【氏名】山内 正人
(72)【発明者】
【氏名】野口 誠司
(72)【発明者】
【氏名】福田 晃一
(72)【発明者】
【氏名】植木 明
【審査官】 内藤 康彰
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−306675(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/091603(WO,A1)
【文献】 特開2007−051177(JP,A)
【文献】 特開2003−041246(JP,A)
【文献】 特開昭63−132991(JP,A)
【文献】 特開2009−256558(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K11/00−11/89
H01L33/00−33/64
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基本組成式がSr3-xMgSi28:Eux(但し、xは0.008〜0.110の範囲の数値)となるように、ストロンチウム源粉末、マグネシウム源粉末、ケイ素源粉末、及びユウロピウム源粉末を混合して得られた粉末混合物をフッ素化合物もしくは塩素化合物の存在下で焼成して得られ、メルウィナイトと同じ結晶構造を有する蛍光体であって、入射角がθのCuKα線を用いて測定された、回折角2θが20〜130度の範囲のX線回折パターンからLe Bail法により求められる結晶格子歪みが0.080%以下である、通電により波長350〜430nmの光を発光する半導体発光素子と、該半導体発光素子にて発光した光で励起させると青色を発光する青色発光材料とを含む発光装置の青色発光材料用の青色発光蛍光体。
【請求項2】
結晶格子歪みが、0.025〜0.080%の範囲にある請求項1に記載の青色発光蛍光体。
【請求項3】
通電により波長350〜430nmの光を発光する半導体発光素子と、該半導体発光素子にて発光した光で励起させると青色を発光する青色発光材料とを含む発光装置であって、青色発光材料が請求項1に記載の青色発光蛍光体である発光装置。
【請求項4】
青色発光蛍光体の結晶格子歪みが、0.025〜0.080%の範囲にある請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
青色発光蛍光体が、透明材料に分散された状態で半導体発光素子の周囲に配置されている請求項3に記載の発光装置。
【請求項6】
透明材料に、さらに半導体発光素子にて発光した光で励起させると緑色を発光する緑色発光蛍光体と、半導体発光素子にて発光した光で励起させると赤色を発光する赤色発光蛍光体とが分散されている請求項5に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、白色LEDの青色発光材料として有用なケイ酸系青色発光蛍光体に関し、特に特にEuで付活したSr3MgSi28:Euの基本組成式を有し、メルウィナイト結晶構造を持つ青色発光蛍光体に関する。
【背景技術】
【0002】
白色LEDランプは、液晶ディスプレイパネルのバックライトや照明灯として実用化されている。この白色LEDとしては、従来より、通電により青色光を放出する半導体発光素子と黄色発光蛍光体とを組み合わせて、半導体発光素子からの青色光と、その青色光で黄色発光蛍光体を励起することによって発生した黄色光との混色により白色光を得る二色混色タイプのものが広く利用されている。しかしながら、この二色混色タイプの白色LEDが発する白色光は純度が低いという問題がある。このため、最近では、通電により波長350〜430nmの光を発光する半導体発光素子と、青色発光蛍光体、緑色発光蛍光体そして赤色発光蛍光体の三種類の蛍光体を組み合わせて、半導体発光素子からの光で、それぞれの蛍光体を励起することによって発生した青色光と緑色光及び赤色光の三色の混色により白色光を得る三色混色タイプの白色LEDの開発が行なわれている。
【0003】
白色LEDランプは、一般に半導体発光素子と、該半導体発光素子を覆うように配置された蛍光体層とからなる。蛍光体層は、蛍光体が分散された透明材料からなる。透明材料としては、シリコーン樹脂などの熱可塑性樹脂が利用されている。蛍光体層は、蛍光体と透明材料との混合物を加熱して、透明材料を一旦軟化させた後、冷却して硬化させることにより製造するのが一般的である。
【0004】
青色発光蛍光体としては、Sr3MgSi28の基本組成式を有し、メルウィナイト(Ca3MgSi28)と同じ結晶構造を有するケイ酸塩化合物を二価のEuで付活した青色発光蛍光体(以下、SMS青色発光蛍光体とも言う)が知られている。このSMS青色発光蛍光体については、プラズマディスプレイパネルや上記三色混色タイプの白色LEDの青色発光材料として利用することが検討されている(特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1には、白色LEDランプの青色発光材料として、主結晶としてEuを含むM13MgSi28型結晶(但し、M1はSrとBa)、そして第2結晶としてM12MgSi27型結晶を含有する青色発光蛍光体を用いることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−280793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
白色LEDランプのように、通電により波長350〜430nmの光を発光する半導体発光素子と、該半導体発光素子にて発光した光で励起させると可視光を発光する蛍光体とを含む発光装置に用いる蛍光体は、波長350〜430nmの光による励起によって高い発光強度を示すことが要求される。また、蛍光体層の製造時の加熱により、蛍光体の発光強度が低下しないように、熱に対する安定性が高いことも要求される。
従って、本発明の目的は、波長350〜430nmの光で励起させたときの発光強度が高く、熱に対する安定性が高い青色発光蛍光体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、基本組成式がSr3-xMgSi28:Euxで表される基本組成式のxが0.008〜0.110の範囲にあり、かつ入射角がθのCuKα線を用いて測定された回折角2θが20〜130度の範囲にあるX線回折パターンからLe Bail法により求められる結晶格子歪みが0.080%以下にある青色発光蛍光体は、波長350〜430nmの光で励起させると、ピーク波長が435〜480nmの波長範囲にある青色光を高い発光強度で発光し、さらに熱に対する高い安定性とを示すことを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
従って、本発明は、基本組成式がSr3-xMgSi28:Eux(但し、xは0.008〜0.110の範囲の数値)で示され、メルウィナイトと同じ結晶構造を有し、入射角がθのCuKα線を用いて測定された、回折角2θが20〜130度の範囲のX線回折パターンからLe Bail法により求められる結晶格子歪みが0.080%以下である、通電により波長350〜430nmの光を発光する半導体発光素子と、該半導体発光素子にて発光した光で励起させると青色を発光する青色発光材料とを含む発光装置の青色発光材料用の青色発光蛍光体にある。結晶格子歪みは、0.025〜0.080%の範囲にあることが好ましい。
【0010】
本発明はさらに、通電により波長350〜430nmの光を発光する半導体発光素子と、該半導体発光素子にて発光した光で励起させると青色を発光する青色発光材料とを含む発光装置であって、青色発光材料が、基本組成式がSr3-xMgSi28:Eux(但し、xは0.008〜0.110の範囲の数値)で示され、メルウィナイトと同じ結晶構造を有し、入射角がθのCuKα線を用いて測定された、回折角2θが20〜130度の範囲のX線回折パターンからLe Bail法により求められる結晶格子歪みが0.080%以下である青色発光蛍光体である発光装置にもある。
【0011】
本発明の上記発光装置の好ましい態様は、次の通りである。
(1)青色発光蛍光体の結晶格子歪みが、0.025〜0.080%の範囲にある。
(2)青色発光蛍光体が、透明材料に分散された状態で半導体発光素子の周囲に配置されている。
(3)上記(2)の透明材料に、さらに半導体発光素子にて発光した光で励起させると緑色を発光する緑色発光蛍光体と、半導体発光素子にて発光した光で励起させると赤色を発光する赤色発光蛍光体とが分散されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の青色発光蛍光体は、波長350〜430nmの光で励起させたときの青色光の発光強度が高く、熱に対する安定性が高い。このため、本発明の青色発光蛍光体は、白色LEDランプのような、通電により波長350〜430nmの光を発光する半導体発光素子と、該半導体発光素子にて発光した光で励起させると青色を発光する青色発光材料とを含む発光装置の青色発光材料として有利に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に従う発光装置(白色LED)の一例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の青色発光蛍光体は、基本組成式がSr3-xMgSi28:Eux(但し、xは0.008〜0.110の範囲の数値)で示され、メルウィナイトと同じ結晶構造を有する。xは、0.008〜0.095の範囲の数値であることが好ましく、0.008〜0.070の範囲の数値であることが特に好ましい。
【0015】
本発明の青色発光蛍光体は、CuKα線を用いて測定された2θが20〜130度の範囲にあるX線回折パターンからLe Bail法により求められる結晶格子歪みが0.080%以下にある。結晶格子歪みは、0.025〜0.080%の範囲にあることが好ましく、0.040〜0.070%の範囲にあることがより好ましい。
【0016】
本発明において結晶格子歪みは、CuKα線を用いて測定された2θが20〜130度の範囲にあるX線回折パターン中のメルウィナイト結晶構造を有する青色発光蛍光体に起因する回折ピークから求めた値である。すなわち、本発明において規定する結晶格子歪みは、理想的な青色発光蛍光体結晶の網面間隔からのずれの大きさを意味する。
【0017】
本発明では結晶格子歪みをLe Bail法により求める。本発明においてLe Bail法とは、X線回折パターン中の回折ピークのθと強度と半値幅(FWHM)とから、Le Bailフィッティング法により、Cagliottiの式のパラメータU、V、Wを得て、得られたパラメータのUとWとから、Pseudo−Voigt関数により、結晶格子歪み(%)を算出する方法である。
【0018】
青色発光蛍光体の結晶格子歪みを求める際には、X線回折装置に由来する半値幅の拡がりを、格子歪みを持たないX線回折用標準試料を用いて校正する。青色発光蛍光体の結晶格子歪みは、例えば、以下のようにして求めることができる。
【0019】
まず、青色発光蛍光体とX線回折用標準試料とについて、CuKα線を用いて2θが20〜130度の範囲にあるX線回折パターンを測定する。X線回折パターンは、粉末X線回折法を用いて測定する。
【0020】
次に、青色発光蛍光体とX線回折用標準試料のX線回折パターン中の回折ピークのθと強度と半値幅(FWHM)とから、Le Bailフィッティング法により、下記の式(I)で定義されるCagliottiの式のパラメータU、V、Wを得る。
【0021】
FWHM=(Utan2θ+Vtanθ+W)1/2 (I)
【0022】
但し、FWHMは回折ピークの半値幅、θは回折ピークのブラッグ角、Uは結晶格子歪みに関するパラメータ、VとWは結晶子に関するパラメータである。
【0023】
そして、得られた青色発光蛍光体とX線回折用標準試料のパラメータのUとWとから、下記の式(II)で定義されるPseudo−Voigt関数により、結晶格子歪み(%)を算出する。
【0024】
【数1】
【0025】
但し、UiとWiは、青色発光蛍光体のパラメータUとW、UstdとWstdは、X線回折用標準試料のパラメータUとWである。
【0026】
本発明のSMS青色発光蛍光体は、メルウィナイト結晶構造が維持される範囲であれば、金属元素のモル比が基本組成式のモル比から外れていてもよい。SMS青色発光蛍光体の金属元素のモル比は、Mgのモル量を1としたときに、SrとEuの合計量が2.9〜3.1の範囲にあって、Siが1.9〜2.1の範囲にあることが好ましい。
【0027】
本発明のSMS青色発光蛍光体はBaやCaを含有していてもよい。但し、Baの含有量は、Mgの含有量を1モルとしたときに一般に0.4モル以下、好ましくは0.2モル以下、より好ましくは0.08モル以下、特に好ましくは0.01モル以下である。Caの含有量は、一般に0.08モル以下、好ましくは0.01モル以下である。
【0028】
本発明の青色発光蛍光体は、例えば、ストロンチウム源粉末、マグネシウム源粉末、ケイ素源粉末及びユウロピウム源粉末の各原料粉末を混合して得られた粉末混合物を、フッ素化合物もしくは塩素化合物の存在下で焼成することによって製造することができる。
【0029】
ストロンチウム源粉末、マグネシウム源粉末、ケイ素源粉末及びユウロピウム源粉末の各原料粉末はそれぞれ、酸化物粉末であってもよいし、水酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩(塩基性炭酸塩を含む)、硝酸塩、シュウ酸塩などの加熱により酸化物を生成する化合物の粉末であってもよい。原料粉末はそれぞれ一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0030】
原料粉末は、純度が99質量%以上であることが好ましい。特に、マグネシウム源粉末は、純度が99.95質量%以上であることが好ましい。
【0031】
ストロンチウム源粉末、マグネシウム源粉末、ケイ素源粉末及びユウロピウム源粉末の配合割合は、粉末混合物中のストロンチウムとユウロピウムとの合計量を3モルとして、一般にマグネシウムが0.9〜1.1モルの範囲、ケイ素が1.9〜2.1モルの範囲となる割合である。
【0032】
フッ素化合物及び塩素化合物は、粉末の状態で粉末混合物に添加されていることが好ましい。フッ素化合物粉末及び塩素化合物粉末は、ストロンチウム、マグネシウム、ケイ素及び/又はユウロピウムのフッ化物もしくは塩化物の粉末であることが好ましく、ストロンチウムのフッ化物もしくは塩化物の粉末であることが特に好ましい。フッ素化合物粉末及び塩素化合物粉末の添加量は、粉末混合物中のストロンチウムとユウロピウムとの合計量を3モルとして、フッ素もしくは塩素の量が0.02〜0.5モルの範囲となる量であることが好ましい。
【0033】
原料粉末の混合方法には、乾式混合法及び湿式混合法のいずれかの方法を採用することができる。湿式混合法で原料粉末を混合する場合は、回転ボールミル、振動ボールミル、遊星ミル、ペイントシェーカー、ロッキングミル、ロッキングミキサー、ビーズミル、撹拌機などを用いることができる。溶媒には、水や、エタノール、イソプロピルアルコールなどの低級アルコールを用いることができる。
【0034】
粉末混合物の焼成は、0.5〜5.0体積%の水素と99.5〜95.0体積%の不活性気体とからなる還元性気体の雰囲気下にて行なう。不活性気体の例としては、アルゴン及び窒素を挙げることができる。焼成温度は、一般に900〜1300℃の範囲、好ましくは1100〜1200℃の範囲である。焼成時間は、一般に0.5〜100時間の範囲である。
【0035】
原料粉末に加熱により酸化物を生成する化合物の粉末を用いる場合には、還元性気体雰囲気下で焼成する前に、粉末混合物を大気雰囲気下にて、600〜850℃の温度で0.5〜100時間仮焼することが好ましい。
【0036】
焼成により得られた青色発光蛍光体は、必要に応じて分級処理、塩酸や硝酸などの鉱酸による酸洗浄処理、ベーキング処理を行なってもよい。
【0037】
次に本発明のSMS青色発光蛍光体を用いた発光装置について、白色LEDを例にとり添付図面の図1を参照しながら説明する。
【0038】
図1は、本発明のSMS青色発光蛍光体を用いた白色LEDの一例の断面図である。図1において、白色LEDは、基板1、基板1の上に接着材2により固定された半導体発光素子3、基板1の上に形成された一対の電極4a、4b、半導体発光素子3と電極4a、4bとを電気的に接続するリード線5a、5b、半導体発光素子3を被覆する樹脂層6、樹脂層6の上に設けられた蛍光体層7、そして樹脂層6と蛍光体層7の周囲を覆う光反射材8、そして電極4a、4bと外部電源(図示せず)とを電気的に接続するための導電線9a、9bからなる。蛍光体層7は、SMS青色発光蛍光体と緑色発光蛍光体と赤色発光蛍光体とが分散された透明材料から形成される。透明材料としては、ガラスやシリコーン樹脂を使用できる。図1の白色LEDにおいて、導電線9a、9bを介して電極4a、4bに電圧を印加して、半導体発光素子3に通電する(即ち、電気エネルギーを付与する)と、半導体発光素子3が発光して波長350〜430nmの範囲にピークを有する発光光が発生し、この発光光が蛍光体層7中の各色発光蛍光体を励起させることによって青色、緑色及び赤色の可視光が生成する。そして、それらの青色光、緑色光及び赤色光の混色により白色光が生成する。
【0039】
半導体発光素子3の例としては、AlGaN系半導体発光素子を挙げることができる。樹脂層6の材料の例としてはシリコーン樹脂を挙げることができる。蛍光体層7に分散されている緑色発光蛍光体の例としては、(Ca,Sr,Ba)2SiO4:Eu2+、BaMgAl1017:Eu2+,Mn2+、α−SiAlON:Eu2+、β−SiAlON:Eu2+、ZnS:Cu,Alを挙げることができる。赤色発光蛍光体の例としては、Y22S:Eu2+、La23S:Eu2+、(Ca,Sr,Ba)2Si58:Eu2+、CaAlSiN3:Eu2+、Eu229、(Ca,Sr,Ba)2Si58:Eu2+,Mn2+、CaTiO3:Pr3+,Bi3+、(La,Eu)2312を挙げることができる。
【実施例】
【0040】
[実施例1〜6、比較例1]
SrCO3粉末(純度99.99質量%、平均粒子径2.73μm)、SrCl2粉末(純度99.99質量%)、SrF2粉末(純度99.5質量%)、塩基性MgCO3粉末(4MgCO3・Mg(OH)2・4H2O粉末、純度99.99質量%、平均粒子径11.08μm)、SiO2粉末(純度99.9質量%、平均粒子径3.87μm)、Eu23粉末(純度99.9質量%、平均粒子径2.71μm)をそれぞれ、下記表1に記載のモル量にて秤量した。なお、各原料粉末の平均粒子径は、いずれもレーザー回折散乱法により測定した値である。
【0041】
【表1】
【0042】
秤量した各原料粉末を、純水750mLと共にボールミルに投入し、24時間湿式混合した後、加熱により水分を除去して、粉末混合物を得た。得られた粉末混合物をアルミナ坩堝に入れて、大気雰囲気にて、800℃の温度で3時間焼成し、次いで、室温まで放冷した後、2体積%水素−98体積%アルゴンの混合ガス雰囲気にて、1200℃の温度で3時間焼成して、粉末焼成物を得た。得られた粉末焼成物を、目開き20μmのポリアミド製篩にて湿式篩分けし、粗大粒子を除去した後、乾燥した。
【0043】
実施例1〜6及び比較例1で得られた粉末焼成物について、X線回折パターンと波長395nmの紫外線励起による発光スペクトルとを測定した。その結果、実施例1〜6及び比較例1で得られた粉末焼成物はいずれもメルウィナイト結晶構造を有し、紫外線励起により青色の発光を示す青色発光蛍光体であることが確認された。
【0044】
実施例1〜6及び比較例1で得られた青色発光蛍光体について、下記の方法により、結晶格子歪み、初期発光強度、加熱処理後の発光強度維持率を測定した。これらの結果を、青色発光蛍光体の組成と共に下記の表2に示す。
【0045】
[結晶格子歪みの測定]
青色発光蛍光体とX線回折用標準試料[NIST(National Institute of Standards and Technology)のLaB6粉末]のX線回折パターンを測定する。測定条件は、X線回折装置:X’PertProMPD、スペクトリス(株)製、X線:CuKα、検出器:X’Clelerator(モノクロメータ付)、管電圧:45kV、管電流:40mA、測定範囲:2θ=20〜130度、ステップサイズ:0.0167度、発散スリット:1/2度固定スリット、走査速度:25.06度/分とする。
青色発光蛍光体と標準試料のX線回折パターンから、X線回折装置に付属のソフトウェア[X’Pert Highscore Plus(Ver2.2)]を用いて、Le Bail法により結晶格子歪みを算出する。
【0046】
[初期発光強度の測定]
青色発光蛍光体に波長395nmの紫外光を照射して、発光スペクトルを測定する。得られた発光スペクトルの最大ピーク値を求め、これを初期発光強度とする。なお、表2中の値は、比較例1で得られた青色発光蛍光体の初期発光強度を100とした相対値である。
【0047】
[加熱処理後の発光強度維持率の測定]
青色発光蛍光体を500℃の温度で1時間加熱した後、室温まで放冷する。放冷後の青色発光蛍光体に波長395nmの紫外光を照射して、発光スペクトルを測定する。得られた発光スペクトルの最大ピーク値を求め、上記の初期発光強度に対する百分率を算出し、これを発光強度維持率とする。
【0048】
[比較例2]
特開2009−280793号公報の実施例1に記載されている方法に従って、炭酸バリウム粉末、炭酸ストロンチウム粉末、酸化マグネシウム粉末、二酸化ケイ素粉末及び酸化ユウロピウムを、M3-aEuaMgSib8の組成式において、MがBa0.26Sr0.74で、aが0.20、bが1.95となるように調合し、さらに塩化アンモニウムを、Mgを1モルとしたときに0.15モルとなる割合にて添加して混合し、大気雰囲気下1050℃で3時間仮焼し、冷却した。その後、2体積%水素−98体積%アルゴンの混合ガス雰囲気にて、1250℃の温度で9時間焼成して、組成M2.8MgSi1.958:Eu0.20(M=Ba0.26Sr0.74)の青色発光蛍光体を製造した。得られた青色発光蛍光体について、結晶格子歪みと初期発光強度を測定した。その結果を表2に示す。
【0049】
【表2】
注)組成は、原料粉末の配合量により算出した値である。
【0050】
表2の結果から明らかなように、結晶格子歪みが0.080%以下にある、本発明の青色発光蛍光体(実施例1〜6)はいずれも、結晶格子歪みが0.12%の青色発光蛍光体(比較例1)と比較して、初期発光強度が高く、また加熱処理後の発光強度維持率が高く、熱安定性にも優れている。
【符号の説明】
【0051】
1 基板
2 接着材
3 半導体発光素子
4a、4b 電極
5a、5b リード線
6 樹脂層
7 蛍光体層
8 光反射材
9a、9b 導電線
図1