特許第5770217号(P5770217)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5770217
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】定着装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20150806BHJP
【FI】
   G03G15/20 555
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-89241(P2013-89241)
(22)【出願日】2013年4月22日
(65)【公開番号】特開2014-211597(P2014-211597A)
(43)【公開日】2014年11月13日
【審査請求日】2014年2月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000235
【氏名又は名称】特許業務法人 天城国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菊地 和彦
【審査官】 八木 智規
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−316540(JP,A)
【文献】 特開2005−234000(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電層を備えるエンドレスの発熱部と、
前記導電層に誘導電流を発生する誘導電流発生部と、
前記発熱部を介して前記誘導電流発生部と対向する位置にある感温磁性体と、
前記感温磁性体を介して前記発熱部と対向する位置にある磁性板とを備え
前記誘導電流発生部は、磁束発生部と、スリット状の磁性体を前記磁束発生部の長手方向の中心線を軸対称として交互に複数配置して、前記磁束発生部の磁束を片翼ずつ交互に規制する第1の磁束規制部と、前記第1の磁束規制部の両側に配置され、前記中心線を軸対称として前記磁束発生部の両翼の磁束を規制する第2の磁束規制部とを備え、
前記感温磁性体は、前記第2の磁束規制部より突出する幅を備え、
前記磁性板は、前記第1の磁束規制部の幅と等しい幅を備えることを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記磁性板は、前記発熱部の長手方向に複数段の幅を備えることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記磁性板は、前記感温磁性体との間にギャップを備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記画像を前記記録媒体に定着する請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の定着装置とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、複写機、プリンタ或いは複合機等に搭載される定着装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタ等の画像形成装置に使用する定着装置として、電磁誘導加熱(IH)方式により導電層を発熱して定着ベルトを加熱する定着装置がある。IH方式の定着装置では消費エネルギーを節約するために、例えば定着ベルトの熱容量を小さくする。定着ベルトの熱容量が小さい場合に、定着ベルトの幅方向に生じる発熱量のばらつきを低減し且つ定着ベルトの熱量の不足を補助する整磁合金を用いる定着装置がある。
【0003】
整磁合金を備える定着装置では、高速プリント時に整磁合金が加熱してキュリー温度に近づいた場合に、整磁合金の磁気特性が低下する。整磁合金の磁気特性の低下により定着ベルトの温度が低下すると、IHの駆動回路は、定着ベルトの温度を上げようとしてIHコイルに高周波電流を流し続ける。高周波電流を流し続けた場合、駆動回路のInsulated Gate Bipolar Transistor(IGBT)等の素子に掛かる負荷が大きくなり、駆動回路の素子を破損する恐れを生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−22446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、消費エネルギーを節約して所望の定着温度を幅方向に均等に維持し、かつ高速にて良質の定着画像を得る定着装置及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するために、実施形態の定着装置は、導電層を備えるエンドレスの発熱部と、前記導電層に誘導電流を発生する誘導電流発生部と、前記発熱部を介して前記誘導電流発生部と対向する位置にある感温磁性体と、前記感温磁性体を介して前記発熱部と対向する位置にある磁性板とを備え、前記誘導電流発生部は、磁束発生部と、スリット状の磁性体を前記磁束発生部の長手方向の中心線を軸対称として交互に複数配置して、前記磁束発生部の磁束を片翼ずつ交互に規制する第1の磁束規制部と、前記第1の磁束規制部の両側に配置され、前記中心線を軸対称として前記磁束発生部の両翼の磁束を規制する第2の磁束規制部とを備え、前記感温磁性体は、前記第2の磁束規制部より突出する幅を備え、前記磁性板は、前記第1の磁束規制部の幅と等しい幅を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態の定着装置を搭載したMFPを示す概略構成図。
図2】第1の実施態様のIHコイルユニットの制御ブロックを含む定着装置を示す概略構成図。
図3】第1の実施態様のIHコイルユニットを示す概略斜視図。
図4】第1の実施態様のIHコイルユニット及び定着ベルトの温度の関係を示す概略説明図。
図5】第1の実施態様のIHコイルユニットの制御を主体とする制御系を示す概略ブロック図。
図6】第1の実施形態の整磁合金層に用いる整磁合金部材の磁気特性を説明するグラフ。
図7】第1の実施形態のIHコイルユニットの磁束による定着ベルト、整磁合金層及び磁性板への磁路を示す概略説明図。
図8】第1の実施形態の磁性板側から見た磁性板、整磁合金層、定着ベルト及びIHコイルユニットの配置を示す概略説明図。
図9】第2の実施形態の磁性板側から見た磁性板、整磁合金層、定着ベルト及びIHコイルユニットの配置を示す概略説明図。
図10】第2の実施態様のIHコイルユニット及び磁性板のエッジ部と、定着ベルトの温度の関係を示す概略説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の定着装置を図1乃至図7を参照して説明する。図1は、実施形態の画像形成装置の一例であるMFP(Multi-Function Peripherals)10を示す。MFP10は、例えば、スキャナ12、コントロールパネル13、給紙カセット部16、給紙トレイ17、プリンタ部18および排紙部20を備える。MFP10は、本体制御回路101を制御して、MFP10全体を制御するCPU100を備える
スキャナ12は、プリンタ部18で画像形成するための原稿画像を読み取る。コントロールパネル13は、例えば入力キー13aとタッチパネル式の表示部13bを備える。入力キー13aは例えばユーザによる入力を受け付ける。表示部13bは例えばユーザによる入力を受け付け、或いはユーザへの表示を行う。
【0010】
給紙カセット部16は、記録媒体であるシートPを収納する給紙カセット16a及び給紙カセット16aからシートPを取り出すピックアップローラ16bを備える。給紙カセット16aは、未使用のシートP1或いはリユースのシート(例えば画像を消色処理により消色したシート)P2等を給紙可能である。給紙トレイ17は、ピックアップローラ17aにより未使用のシートP1或いはリユースのシートP2を給紙可能である。
【0011】
プリンタ部18は、中間転写ベルト21を備える。プリンタ部18は、駆動部を備えるバックアップローラ40、従動ローラ41及びテンションローラ42で中間転写ベルト21を支持して、矢印m方向に回転する。
【0012】
プリンタ部18は中間転写ベルト21の下側に沿って並列に配置される、Y(イエロ)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の4組の画像形成ステーション22Y、22M、22C及び22Kを備える。プリンタ部18は、各画像形成ステーション22Y、22M、22C及び22Kの上方に、補給カートリッジ23Y、23M、23C及び23Kを備える。
【0013】
補給カートリッジ23Y、23M、23C或いは23Kは、Y(イエロ)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の、補給用のトナーを夫々収納する。
【0014】
例えばY(イエロ)の画像形成ステーション22Yは、矢印n方向に回転する感光体ドラム24の周囲に、帯電チャージャ26、露光走査ヘッド27、現像装置28、及び感光体クリーナ29を備える。Y(イエロ)の画像形成ステーション22Yは、中間転写ベルト21を介して、感光体ドラム24と対向する位置に1次転写ローラ30を備える。
【0015】
M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の3組の画像形成ステーション22M、22C及び22Kは、Y(イエロ)の画像形成ステーション22Yと同様の構成を備える。M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の3組の画像形成ステーション22M、22C及び22Kの構成についての詳細な説明を省略する。
【0016】
各画像形成ステーション22Y、22M、22C或いは22Kでは、感光体ドラム24を帯電チャージャ26で帯電後、露光走査ヘッド27により露光して、感光体ドラム24上に夫々静電潜像を形成する。現像装置28は、夫々Y(イエロ)、M(マゼンタ)、C(シアン)或いはK(ブラック)のトナーと、キャリアとからなる二成分の現像剤を用いて感光体ドラム24上の静電潜像を現像する。現像に用いるトナーは、例えば非消色のトナー或いは消色トナーを用いる。
【0017】
消色トナーは例えば所定の消色温度以上に加熱することにより消色可能なトナーである。消色トナーは、例えばバインダー樹脂に、色材を含有させてなる。色材は少なくとも呈色性化合物、顕色剤及び消色剤から構成される。色材は必要に応じて、変色温度調節剤などを適宜組み合わせて、ある一定の温度以上で発色が消えるような構成を選択できる。消色トナーを用いて形成したトナー画像を所定の消色温度以上に加熱すると、消色トナー中の呈色性化合物と顕色剤とが解離してトナー画像を消色する。
【0018】
色材を構成する呈色性化合物としては、例えばジフェニルメタンフタリド類等のロイコ染料が一般的によく知られたものとして使われる。ロイコ染料は、顕色剤により発色することが可能な電子共与性の化合物である。
【0019】
色材を構成する顕色剤は、例えばフェノール類、フェノール金属塩類等、ロイコ染料にプロトンを与える電子受容性の化合物である。
【0020】
色材を構成する消色剤は、呈色性化合物、顕色剤および消色剤の3成分系において、熱により呈色化合物と顕色剤による発色反応を阻害し、無色にすることができるものであれば公知のものを用いることができる。例えばアルコール類、エステル類等の温度ヒステリシスを利用する消去剤は、発色消色機構として瞬間消去性において優れている。温度ヒステリシスを利用した発色消色機構では、発色した消色トナーを、特定の消色温度以上に加熱して消色することができる。例えば消色トナーは、比較的低い温度でシートに定着でき、定着温度よりも例えば10℃程度高い温度で消色する。
【0021】
バインダー樹脂は、配合される色材の消色温度より低い温度で定着できるような低融点あるいはガラス転移点温度Tgが低い樹脂であれば、特に種類を制限されるものではない。バインダー樹脂としては、例えばポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂他がある。これらバインダー樹脂は、配合される色材に合わせて適宜選択可能である。
【0022】
1次転写ローラ30は、感光体ドラム24に形成されるトナー像を中間転写ベルト21に1次転写する。各画像形成ステーション22Y、22M、22C或いは22Kは、1次転写ローラ30により、中間転写ベルト21上に、Y(イエロ)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)のトナー像を順次重ねてカラートナー像を形成する。感光体クリーナ29は、1次転写後に感光体ドラム24に残留するトナーを除去する。
【0023】
プリンタ部18は、中間転写ベルト21を介してバックアップローラ40と対向する位置に2次転写ローラ32を備える。2次転写ローラ32は、シートPに、中間転写ベルト21上のカラートナー像を一括2次転写する。シートPは、中間転写ベルト21上のカラートナー像に同期して、搬送路33に沿って給紙カセット部16或いは手差し給紙トレイ17から給紙される。ベルトクリーナ43は、2次転写後に中間転写ベルト21に残留するトナーを除去する。中間転写ベルト21、4組の画像形成ステーション22Y、22M、22C及び22K、2次転写ローラ32は画像形成部を構成する。
【0024】
プリンタ部18は、搬送路33に沿って、レジストローラ33a、定着装置34及び排紙ローラ36を備える。プリンタ部18は、定着装置34の下流に分岐部37及び反転搬送部38を備える。分岐部37は、定着後のシートPを、排紙部20或いは反転搬送部38に分岐する。両面プリントであれば、反転搬送部38は、分岐部37に分岐されるシートPを、レジストローラ33a方向に反転搬送する。
【0025】
これらの構成によってMFP10はプリンタ部18で、シートPに定着トナー画像を形成して、排紙部20に排紙する。
【0026】
画像形成装置はタンデム方式に限らないし、現像装置の数も限定されない。画像形成装置は、感光体から直接記録媒体にトナー像を転写するものであっても良い。
【0027】
次に定着装置34について詳述する。図2に示すように定着装置34は、発熱部である定着ベルト50、プレスローラ51及び誘導電流発生部である電磁誘導加熱コイルユニット(以下IHコイルユニットと略称する。)52を備える。定着ベルト50は、内部にニップパッド53、感温磁性体である整磁合金層70、磁性板71、シールド76を備える。定着ベルト50は、内部にセンターサーミスタ61、エッジサーミスタ62、サーモスタット63及びニップパッド53を支持するステイ77を備える。
【0028】
定着ベルト50は、プレスローラ51に従動もしくは独立して矢印u方向に回転する。定着ベルト50は、導電層である発熱層50aを備える多層構造である。定着ベルト50は、内周側から外周側に向かって、例えば発熱層50a、弾性層、離型層の順に積層する。定着ベルト50は、発熱層50aを備えていれば、層構造を限定されない。定着ベルト50は急速なウォーミングアップを可能にするために、発熱層50aを薄層化し低熱容量化する。発熱層50aが低熱容量化される定着ベルト50は、ウォーミングアップに必要な時間を短縮し、消費エネルギーを節約する。
【0029】
定着ベルト50の発熱層50aは、例えばニッケル(Ni)、鉄(Fe)、ステンレス、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)で構成する。発熱層50aは2種類以上の合金を用いても良いし、2種以上の金属を層状に重ねて構造しても良い。発熱層50aは、IHコイルユニット52が発生する磁束により渦電流を生じる。渦電流と発熱層50aの抵抗値により発熱層50aはジュール熱を発生し、定着ベルト50を加熱する。定着ベルト50の弾性層は、例えばシリコーンゴム等の弾性体からなる。定着ベルト50の離型層は、例えばフッ素樹脂からなる。定着ベルトの形状は限定されない。
【0030】
センターサーミスタ61、エッジサーミスタ62は、定着ベルト50の温度を検知する。定着ベルト50の温度は非接触のセンサを用いて検知しても良い。サーモスタット63は、定着装置34の異常発熱を検知する。
【0031】
ニップパッド53は、定着ベルト50の内周面をプレスローラ51側に押圧して、定着ベルト50とプレスローラ51の間にニップ54を形成する。ニップパッド53は、例えば耐熱性のポリフェニレンサルファド樹脂(PPS)、液晶ポリマ(LCP)、フェノール樹脂(PF)等で形成する。ニップパッド53は、例えば耐熱性の定着ベルト50とニップパッド53の間に、例えば摺動性が良く耐摩耗性の良いシートを介在し、あるいはフッ素樹脂からなる離型層を備える。シートあるいは離型層により、定着ベルト50とニップパッド53の間の摩擦抵抗を小さくする。
【0032】
プレスローラ51は、例えば芯金の周囲に、耐熱性のシリコンスポンジ或いはシリコーンゴム層等を備え、表面に例えばPFA樹脂等のフッ素系樹脂からなる離型層を備える。プレスローラ51は加圧機構51aにより高い圧力でニップパッド53に加圧する。プレスローラ51は、本体制御回路101に制御されるモータ駆動回路51cに駆動されるモータ51bにより矢印q方向に回転する。
【0033】
図3及び図4に示すようにIHコイルユニット52は、磁束発生部であるコイル56を備える。IHコイルユニット52は、定着ベルト50の外周にあって、コイル56が定着ベルト50に対向する。IHコイルユニット52は、コイル56が発生する磁束を片翼ずつ交互に規制する第1の磁束規制部である第1のコア57を備える。第1のコア57は、コイル56からの磁束を、第1の磁束集中力で定着ベルト50方向に集中する。IHコイルユニット52は、第1のコア57の両側に、コイル56が発生する両翼の磁束を規制する第2の磁束規制部である第2のコア58を備える。
【0034】
第2のコア58は、コイル56からの磁束を、第2の磁束集中力で定着ベルト50方向に集中する。第2の磁束集中力は、第1の磁束集中力より大きい。IHコイルユニット52は、定着ベルト50が矢印u方向に回転する間、IHコイルユニット52に対向する定着ベルト50の発熱層50aに誘導電流を発生する。
【0035】
コイル56は、例えば、絶縁材である耐熱性のポリアミドイミドで被覆した銅線材を複数本束ねたリッツ線を用いる。コイル56は、導電性のコイルを周回してなり、左右の翼56a、56bの中央に窓部56cを形成する。窓部56cの中央は、コイル56の長手方向の中心線56dとなる。
【0036】
コイル56は、インバータ駆動回路68からの高周波電流の印加により磁束を発生する。インバータ駆動回路68は、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)素子68aを備える。IH制御回路67は本体制御回路101を介して、センターサーミスタ61及びエッジサーミスタ62の検知結果に応じて、インバータ駆動回路68が出力する高周波電流の大きさを制御する。
【0037】
定着ベルト50を発熱させるIHコイルユニット52の制御を主体とする制御系110について図5を参照して詳述する。制御系110は、例えばMFP10全体を制御するCPU100、リードオンリーメモリ(ROM)100a、ランダムアクセスメモリ(RAM)100b、本体制御回路101、IH回路120を備える。制御系110は、IH回路120により、IHコイルユニット52に電力を供給する。IH回路120は、整流回路121、IH制御回路67、インバータ駆動回路68、電流検知回路122を備える。
【0038】
IH回路120は、リレー112を介して商用交流電源111から入力される電流を整流回路121で整流してインバータ駆動回路68に供給する。リレー112は、サーモスタット63が切れた場合に、商用交流電源111からの電流を遮断する。インバータ駆動回路68は、IGBT68aのドライブIC68b、サーミスタ68cを備える。サーミスタ68cは,IGBT68aの温度を検知する。サーミスタ68cが、IGBT68aの温度上昇を検知した場合は、本体制御回路101はファン102を駆動して、IGBT68aの冷却を図る。
【0039】
IH制御回路67はセンターサーミスタ61及びエッジサーミスタ62の検知結果に応じて、ドライブIC68bを制御して、IGBT68aの出力を制御する。電流検知回路122は、IGBT68aの出力を検知してIH制御回路67にフィードバックする。IH制御回路67は、電流検知回路122の検知結果により、コイル56への供給電力が一定となるよう、ドライブIC68bをフィードバック制御する。
【0040】
第1のコア57及び第2のコア58は、定着ベルト50に対向するコイル56の背面を覆って、コイル56が発生する磁束を定着ベルト50方向に集中させる。第1のコア57及び第2のコア58は、コイル56が発生する磁束が背面方向に漏れるのを防止してコイル56からの磁束を定着ベルト50方向に集中する効率を向上する。
【0041】
第1のコア57は、磁性体からなる片翼スリット57aをコイル56の長手方向の中心線56dを軸対称として千鳥状に交互に複数配置してコイル56の背面を片翼ずつ覆う。第2のコア58は、コイル56の両翼にまたがる磁性体からなる両翼スリット58aを例えば3個隣接しコイル56の背面の両翼を覆う。片翼スリット57a及び両翼スリット58aは、例えばニッケル−亜鉛合金(Ni−Zn)あるいはマンガン−ニッケル合金(Mn−Ni)等の磁性材料で形成する。
【0042】
IHコイルユニット52により、定着ベルト50を加熱した場合の、の長手方向における温度測定結果を、図4の実線Aに示す。定着ベルト50は、IHコイルユニット52の両側の第2のコア58に対向する領域J、Kで温度上昇を得られた。定着装置34は、シートP端部で定着不良を生じることなく、定着ベルト50の長手方向全長に渡り、良好な定着を得られる。
【0043】
(比較例1)として、IHコイルユニットの全長を片翼のコアのみで形成した場合の、定着ベルト50の長手方向における温度を測定した結果、図4の破線Bを得た。(比較例1)では、定着ベルト50は、IHコイルユニットの両側に対応する位置Q、Rで温度のダレ(低下)を生じる。位置Q、Rにおける温度のダレにより、比較例1の定着装置は、シートP端部での定着不良を生じる恐れがある。第1の実施形態では、両翼の第2のコア58を設けることにより、IHコイルユニット52の端部に対応する領域にて、定着ベルト50の温度のダレを原因とする定着不良を生じるのを防止する。
【0044】
整磁合金層70は、定着ベルト50の内周面と間隙G1を隔てて、定着ベルト50の内周面に沿って円弧形状に形成される。整磁合金層70は、磁性特性が温度によって変化する整磁合金部材により構成され、キュリー温度Tcを境に強磁性体から常磁性(非磁性)体に転移する。
【0045】
整磁合金部材は、図6の実線Cに示すように、キュリー温度Tc付近で磁性特性が急激に変化する。整磁合金部材のキュリー温度Tcは、部材により異なる。整磁合金部材は、低温領域αでは透磁率が高い強磁性体の特性を示し、温度の上昇とともに透磁率が上昇する。整磁合金部材は、キュリー温度Tcに近づく移行領域βでは温度の上昇に比例するよう透磁率が急激に低下する。整磁合金部材は、キュリー温度Tcに達すると、透磁率が実質的にゼロの常磁性体の特性を示し、誘導電流を発生しない。
【0046】
整磁合金層70を例えばキュリー温度Tcが200℃の鉄−ニッケル整磁合金部材で構成する。整磁合金層70の温度がキュリー温度Tc未満の低温領域αであれば、整磁合金層70は強磁性体の特性を示し、IHコイルユニット52が発生する磁束による誘導電流により発熱する。低温領域αの整磁合金層70は、IHコイルユニット52による定着ベルト50の発熱層50aによる発熱とともに、定着ベルト50の加熱を補助する。整磁合金層の材質、キュリー温度等、限定されない。
【0047】
ウォーミングアップ時、整磁合金層70はIHコイルユニット52からの磁束により発熱して、定着ベルト50の発熱層50aによる加熱とともに、定着ベルト50の加熱を補助する。整磁合金層70は、定着ベルト50のウォーミングアップを加速する。プリント時、整磁合金層70は、キュリー温度Tcに達していなければ、定着ベルト50の発熱層50aによる加熱とともに、定着ベルト50の加熱を補助して、定着温度を維持する。
【0048】
整磁合金層70の温度が移行領域βに達すると、整磁合金層70を流れる磁束は急激に減少する。移行領域βでは、整磁合金層70の発熱量は低減する。整磁合金層70の温度がキュリー温度Tcに達すると、整磁合金層70は透磁率が実質的にゼロの常磁性体の特性を示し、発熱を停止する。連続通紙時に、例えば非通紙領域で定着ベルト50が昇温して整磁合金層70がキュリー点に到達すると整磁合金層70は誘導電流を発生せず、定着ベルトの過度の昇温を防止する。
【0049】
整磁合金層70は可逆性を備える。整磁合金層70の温度がキュリー温度Tc未満に低下すると、整磁合金層70は常磁性体から強磁性体に復帰する。
【0050】
磁性板71は、整磁合金層70の内周面と間隙G2を隔てて、整磁合金層70の内周面に沿って円弧形状に形成される。磁性板71は、例えば鉄(Fe)、ニッケル(Ni)等の磁性特性を備える部材により構成される。磁性板71は、磁性板71の温度にかかわらず一定の磁性特性を示す。
【0051】
磁性板71は、IHコイルユニット52が発生する磁束により渦電流を生じて発熱する。磁性板71は、IHコイルユニット52による定着ベルト50の発熱層50aによる発熱及び整磁合金層70の発熱とともに、定着ベルト50の加熱を補助する。磁性板71と整磁合金層70のギャップG2は、磁性板71の発熱が整磁合金層70に直接熱伝導するのを防止する。ギャップG2は、磁性板71から整磁合金層70への熱伝導を遅らせて、整磁合金層70がキュリー温度Tcに達するのを遅らせる。
【0052】
図7に示すように、IHコイルユニット52が発生する磁束は定着ベルト50の発熱層50aに誘導される第1の磁路81を形成する。さらにIHコイルユニット52が発生する磁束は、整磁合金層70に誘導される第2の磁路82及び磁性板71に誘導される第3の磁路83を形成する。
【0053】
磁性板71は、定着ベルト50のウォーミングアップ時、整磁合金層70とともに定着ベルト50の発熱層50aによる発熱を補助して、ウォーミングアップを加速する。磁性板71は、プリント時、整磁合金層70とともに定着ベルト50の発熱層50aによる発熱を補助して、定着温度を維持する。磁性板71は、整磁合金層70の温度がキュリー温度Tc温度に達した後も、IHコイルユニット52が発生する磁束により発熱して、定着ベルト50の発熱を補助する。
【0054】
図8に示すように、磁性板71は階段状に複数幅を備える。例えば、磁性板71の1段目71aは、JIS規格A4Rサイズとレターサイズをカバーする幅に形成される。磁性板71の2段目71bは、JIS規格B5Rサイズをカバーする幅に形成される。磁性板71の3段目71cは、JIS規格A5Rサイズをカバーする幅に形成される。
【0055】
磁性板71を階段状に形成して、定着ベルト50の長手方向における磁性板71の発熱量を調整する。小サイズのシートPを連続定着した場合に、非通紙領域における磁性板71の発熱量を小さくして、非通紙領域にて定着ベルト50が過度の発熱するのを防止する。磁性板71の形状は限定されない。非通紙領域における過度の発熱を防止可能であれば、階段状の複数幅を備えるものでなくても良い。
【0056】
センターサーミスタ61に対応する位置にて磁性板71の中央領域に切り欠き部71dを形成する。切り欠き部71dは、磁性板71の発熱がセンターサーミスタ61の検知結果に影響するのを防止する。切り欠き部71dを形成することにより、センターサーミスタ61は、定着ベルト50のセンタ領域の温度を高精度で検知する。
【0057】
図8に示すように、磁性板71の1段目71aの幅は、IHコイルユニット52の第1のコア57の配置領域とほぼ同等幅である。整磁合金層70の幅γは、IHコイルユニット52の幅δより広い。エッジサーミスタ62は、定着ベルト50の長手方向において、第2のコア58の端部58bと整磁合金層70の端部70aの間に対応する位置に配置される。エッジサーミスタ62を、第2のコア58の端部58bより外側に配置することにより、第2のコア58による温度上昇領域を回避して定着ベルト50の温度を検知する。エッジサーミスタ62は、第2のコア58の影響を受けずに、定着ベルト50の端部の温度を検知する。エッジサーミスタ62は、定着ベルト50のエッジ領域の温度を高精度で検知する。
【0058】
シールド76は、例えばアルミニウム(Al)、銅(Cu)等の非磁性部材により構成される。シールド76は、IHコイルユニット52からの磁束をシールドし、磁束が、定着ベルト50内部のステイ77或いはニップパッド53等に影響するのを防止する。
【0059】
定着装置34の作用について述べる。
【0060】
(ウォーミングアップ時)
ウォーミングアップ時、定着装置34は、プレスローラ51を矢印q方向に回転して、定着ベルト50を矢印u方向に従動回転する。インバータ駆動回路68による高周波電流の印加によりIHコイルユニット52は、定着ベルト50方向に磁束を発生する。
【0061】
IHコイルユニット52の磁束は、定着ベルト50の発熱層50aを通る第1の磁路81に誘導されて、発熱層50aを発熱する。定着ベルト50を透過したIHコイルユニット52の磁束は、整磁合金層70を通る第2の磁路82に誘導されて、整磁合金層70を発熱する。更に整磁合金層70を透過したIHコイルユニット52の磁束は、磁性板71を通る第3の磁路83に誘導されて、磁性板71を発熱する。
【0062】
整磁合金層70の発熱は、間隙G1を介して定着ベルト50に熱伝道する。磁性板71の発熱は、間隙G2及び間隙G1を介して定着ベルト50に熱伝導する。整磁合金層70及び磁性板71から定着ベルト50への熱伝導は、定着ベルト50の急速なウォーミングアップを助長する。IH制御回路67は、センターサーミスタ61或いはエッジサーミスタ62の検知結果から、駆動回路インバータをフィードバック制御する。インバータ駆動回路68は、コイル56に所要の電流を供給する。
【0063】
(定着操作時)
定着ベルト50が定着温度に達して、ウォーミングアップを終了すると、MFP10はプリント操作を開始する。MFP10は、プリンタ部18でシートPにトナー像を形成して、シートPを定着装置34方向に搬送する。
【0064】
MFP10は、トナー像が形成されたシートPを、定着温度に達した定着ベルト50とプレスローラ51との間のニップ54に通して、トナー像をシートPに定着する。定着を行う間IH制御回路67は、IHコイルユニット52をフィードバック制御して定着ベルト50を定着温度に保持する。
【0065】
定着操作により、定着ベルト50はシートPに熱を奪われる。高速にて連続して定着操作を行った場合等では、シートPに奪われる熱量が大きく、低熱容量の定着ベルト50は定着温度を保持できない恐れを生じる。整磁合金層70及び磁性板71から定着ベルト50への熱伝導は、定着ベルト50の内周から定着ベルト50を加熱して、定着ベルト50の発熱量の不足を補う。整磁合金層70及び磁性板71から定着ベルト50への熱伝導により定着ベルト50を加熱して、高速での連続定着操作時においても、定着ベルト50の温度を定着温度に保持する。
【0066】
(整磁合金層70がキュリー温度に達した場合)
例えば高速にて連続して定着操作を行った場合、定着ベルト50を定着温度に保持しようとすると、整磁合金層70は次第に温度上昇する。整磁合金層70の温度がキュリー温度Tcに近づく移行領域βに達すると、整磁合金層70の透磁率は急激に低下する。更に整磁合金層70は、キュリー温度Tcに達すると、透磁率が実質的にゼロになり、発熱量はゼロになる。
【0067】
整磁合金層70がキュリー温度Tcに達すると、整磁合金層70から定着ベルト50への熱伝導はゼロとなる。整磁合金層70がキュリー温度Tcに達した場合、定着ベルト50を透過したIHコイルユニット52の磁束は、整磁合金層70を透過して、磁性板71に誘導される。
【0068】
整磁合金層70がキュリー温度Tcに達した場合、IHコイルユニット52の磁束による磁性板71の発熱が、間隙G2及び間隙G1を介して定着ベルト50に熱伝導する。整磁合金層70がキュリー温度Tcに達して、整磁合金層70の発熱がゼロとなった場合には、磁性板71の発熱により、定着ベルト50の加熱を補助する。高速での連続定着操作時に整磁合金層70がキュリー温度Tcに達した場合は、磁性板71の発熱により、定着ベルト50の温度を定着温度に保持する。
【0069】
整磁合金層70がキュリー温度Tcに達して発熱しない場合でも、センターサーミスタ61或いはエッジサーミスタ62は、定着ベルト50が定着温度を保持することを検知する。整磁合金層70が発熱しない場合でも、IH制御回路67は、整磁合金層70が発熱する場合とほぼ同等にインバータ駆動回路68を制御する。整磁合金層70が発熱しない場合でも、インバータ駆動回路68は、定着ベルト50の温度を上げるために、高周波電流を増大かつ供給を続ける必要がない。整磁合金層70が発熱しない場合でも、磁性板72の発熱により定着ベルト50の温度を定着温度に保持して、インバータ駆動回路68のIGBT素子68a等に掛かる負荷が増大するのを防止する。
【0070】
整磁合金層70がキュリー温度Tcに達した後、定着ベルト50が異常発熱した場合、サーモスタット63が切れる。サーモスタット63が切れると、リレー112は商用交流電源111から整流回路121への電流を遮断する。CPU100は、IH制御回路67からのIHコイルユニット52への電力供給を遮断し、定着装置34の過度の発熱を停止する。
【0071】
第1の実施形態によると、整磁金属層70の内周にギャップG2を隔てて、磁性板71を配置する。高速での連続定着時等に、整磁金属層70がキュリー温度Tcに達して、発熱を停止した場合でも、磁性板71が発熱して定着ベルト50の加熱を補助する。整磁金属層70が発熱を停止した場合に、発熱層50aの発熱量を高めようとして、インバータ駆動回路68が高周波電流を増大し、或いは流し続ける必要がない。整磁金属層70が発熱を停止した場合に、IGBT素子68a等に過大な負荷が掛かるのを回避する。整磁金属層70が発熱を停止した場合に、過大な負荷によりインバータ駆動回路68が加熱し破損するのを防止して良好な定着性能を得る。
【0072】
ギャップG2により磁性板71の発熱は直接整磁合金層70に熱伝導されず、磁性板71の発熱による整磁合金層70の加熱を遅らせることができる。磁性板71を階段状に形成して、磁性板71の発熱量を調整し、磁性板71の発熱により非通紙領域における定着ベルト50が過度に発熱するのを防止する。磁性板71の中央領域に切り欠き部71dを形成して、磁性板71の発熱がセンターサーミスタ61の検知結果に影響するのを防止する。
【0073】
第1の実施形態によると、IHコイルユニット52の長手方向の中央領域では、片翼スリット57aを千鳥状に配置してIHコイルユニット52の軽量化を得る。片翼スリット57aの両側に両翼スリット58aを配置してIHコイルユニット52の両側での磁束の集中を高める。IHコイルユニット52の端部に対応する領域にて、定着ベルト50の温度がダレを防止して、所望の定着温度を保持する。定着装置34の端部にて定着ベルト50の温度のダレを原因とする定着不良の発生を防止する。
【0074】
エッジサーミスタ62を、第2のコア58の端部58bと整磁合金層70の端部70aとの間の領域に対応する位置に配置して、定着ベルト50のエッジ領域の温度を高精度に検知する。
【0075】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の定着装置を、図9及び図10を参照して説明する。第2の実施形態は、第1の実施形態における磁性板に更に補助発熱部を配置するものである。第2の実施形態にあって、前述の第1の実施形態で説明した構成と同一構成については同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0076】
第2の実施形態の磁性板73は、整磁合金層70の内周面と間隙G2を隔てて、整磁合金層70の内周面に沿って円弧形状に形成される。電磁誘導による磁性板73の温度上昇率を、整時合金層70の温度上昇率より大きく設定する。図9に示すように、時磁性板73は定着ベルト50の長手方向において、階段状に複数幅を備える。例えば、磁性板73の1段目73aは、JIS規格A4Rサイズとレターサイズをカバーする幅に形成される。磁性板73の2段目73bは、JIS規格B5Rサイズをカバーする幅に形成される。磁性板73の3段目73cは、JIS規格A5Rサイズをカバーする幅に形成される。
【0077】
磁性板73の幅を複数の階段状に形成して、定着ベルト50の長手方向における磁性板73の発熱量を調整する。小サイズのシートPを連続定着した場合に、非通紙領域における磁性板73の発熱量を小さくして、非通紙領域にて定着ベルト50が過度の発熱するのを防止する。磁性板73、センターサーミスタ61に対応する位置である中央領域に切り欠き部73dを形成する。
【0078】
磁性板73は、1段目73aの両側に補助発熱部であるエッジ部78を配置する。エッジ部78は、IHコイルユニット52の長手方向の第1のコア57と第2のコア58とにまたがる領域で、IHコイルユニット52に対向する。第1のコア57と第2のコア58との境界領域に対応する位置において、定着ベルト50の発熱層50aの発熱量が低減する。エッジ部78は、第1のコア57と第2のコア58との境界領域にまたがる領域で発熱する。
【0079】
エッジ部78は、第1のコア57と第2のコア58との境界領域に対応する定着ベルト50の加熱を補助する機能と、整磁合金層70の昇温を助長する機能とを備える。
【0080】
例えば内周にエッジ部の無い磁性板を配置した定着ベルト50を用いて、長手方向における定着ベルト50の温度を測定すると、図10の破線Eで示す結果を得る。エッジ部を備えない磁性板を用いた場合、定着ベルト50は、第1のコア57と第2のコア58の境界位置S及びTで温度低下を生じる。境界位置S、Tにおける温度低下により、比較例2の定着装置は、境界位置S、Tでの定着不良を生じる恐れがある。
【0081】
第2の実施形態のエッジ部78を備える磁性板73を配置した定着ベルト50にて、長手方向における定着ベルト50の温度を測定すると、図10の実線Dに示す結果を得る。エッジ部78の発熱により、定着ベルト50は、第1のコア57と第2のコア58の境界位置S、Tにおいても温度低下を生じない。定着ベルト50は長手方向の全長に渡り所望の定着温度を得る。定着装置34は、第1のコア57と第2のコア58の境界位置S、Tにおいて定着不良を生じることなく、定着ベルト50の長手方向全長に渡り良好な定着を得る。
【0082】
更にエッジ部78は、整磁合金層70の昇温を助長して、エッジサーミスタ62の検知領域における定着ベルト50の過度の昇温を防止する。両翼の第2のコア58と対向する領域J、Kの定着ベルト50の温度上昇率は、片翼の第1のコア57と対向する領域の定着ベルト50の温度上昇率より大きい。例えば、第2のコア58と対向する領域J、Kの定着ベルト50が急激に温度上昇する一方、整磁合金層70がキュリー温度に達するのが遅れると、整磁合金層70は定着ベルト50の昇温防止を果たせない。
【0083】
第2のコア58と対向する領域J、Kでは、整磁合金層70がキュリー温度に達する前に、定着ベルト50が過度に温度上昇してしまう恐れを生じる。定着ベルト第2のコア58と対向する領域J、Kにあるエッジサーミスタ62が、定着ベルト50の過度の昇温を検知すると、MFP10は、インバータ駆動回路68を中断して、ウェイト状態となる。このためエッジ部78が無い場合には、第2のコア58と対向する領域J、Kでの定着ベルト50の過度の昇温により、MFP10がウェイトを生じ易くなる。
【0084】
これに対して整磁合金層70より温度上昇率の大きいエッジ部78は、第2のコア58と対向する領域J、Kで整磁合金層70より高速に温度上昇して、整磁合金層70の加熱を助長する。エッジ部78からの加熱により整磁合金層70は、温度上昇を速められて、キュリー温度に速く到達する。整磁合金層70が速くにキュリー温度に到達することにより、第2のコア58と対向する領域J、Kの定着ベルト50が過度に昇温するのを抑えて、MFP10がウェイト状態になるのを防止する。
【0085】
定着ベルト50の長手方向におけるエッジ部78のサイズは限定されない。定着ベルト50の長手方向におけるエッジ部78の幅が長くなるにつれ、第2のコア58と対向する領域J、Kの定着ベルト50の温度は例えば図10の破線Fに示すようにかさ上げされる。第2のコア58と対向する領域J、Kで定着ベルト50の温度がかさ上げされると、エッジサーミスタ62は定着ベルト50の温度上昇を検知して、MFP10をウェイト状態とする恐れがある。
【0086】
定着ベルト50の長手方向において、エッジ部78の端部が第2のコア58の半部程度まで来るようにすれば、エッジ部78による定着ベルト50の温度のかさ上げを押さえられる。したがって定着ベルト50の温度のかさ上げによるMFP10のウェイトを抑えるには、エッジ部78のサイズを第2のコア58の半部程度までとするのが好ましい。またエッジ部78は磁性板73と一体でなく、磁性板73とは別に設けても良い。
【0087】
第2の実施形態によると、第1の実施形態と同様に、整磁金属層70が発熱を停止した場合でも、磁性板73が発熱して定着ベルト50の加熱を補助する。整磁金属層70が発熱を停止した場合に、IGBT素子68a等に過大な負荷が掛かるのを回避して、インバータ駆動回路68の破損を防止して良好な定着性能を得る。
【0088】
第2の実施形態によると、第1の実施形態と同様に、ギャップG2により、磁性板73による整磁合金層70の加熱を遅らせる。また磁性板73を階段状にして、定着ベルト50の非通紙領域が過度の発熱するのを防止する。磁性板73の中央領域に切り欠き部73dを形成して、センターサーミスタ61による定着ベルト50の温度検知精度を向上する。
【0089】
第2の実施形態によると、第1の実施形態と同様に、第1のコア57によりIHコイルユニット52の軽量化を得る。第1のコア57の両側に第2のコア58を配置して、IHコイルユニット52の端部に対応する領域で定着ベルト50を定着温度に保持する。定着装置34の端部での定着不良の発生を防止する。エッジサーミスタ62を、第2のコア58の端部58bと整磁合金層70の端部70aの間に対応する位置に配置して、定着ベルト50のエッジ領域の温度検知高精度を向上する。
【0090】
第2の実施形態によると、定着ベルト50を介してIHコイルユニット52に対向し、第1のコア57と第2のコア58とにまたがる領域にエッジ部78を設ける。第1のコア57と第2のコア58との境界領域にまたがる領域で定着ベルト50の加熱を補助する。第1のコア57と第2のコア58との境界領域での定着ベルト50の温度低下を防止する。定着ベルト50の長手方向全長に渡り所望の定着温度を維持する。定着装置34は、定着ベルト50の長手方向全長に渡り良好な定着を得る。
【0091】
第2の実施形態によると、エッジ部78により、整磁合金層70を加熱して、整磁合金層70がキュリー温度に達する速度を助長する。磁束集中力の大きい第2のコア58と対向する領域J、Kで温度上昇率が大きくなる定着ベルトの過度の昇温を防止して、MFP10がウェイト状態になるのを防止してプリント生産効率を向上する。
【0092】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、感温磁性体が発熱を停止した場合でも、磁性板が発熱して発熱部の加熱を補助する。感温磁性体の発熱停止時にIHの駆動回路に過大な負荷が掛かるのを回避して、駆動回路が破損するのを防止する。更に定着ベルトを凹凸状に形成して、非通紙領域の過度の発熱を防止し、或いは定着ベルトの温度検知精度を向上する。また片翼の第1の磁束規制部を軸対象に交互に配置して誘導電流発生部の軽量化を得る。更に第1の磁束規制部の両側に両翼の第2の磁束規制部を配置して、定着装置の端部での定着不良を防止する。
【0093】
この発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0094】
34…定着装置
50…定着ベルト
50a…発熱層
52…IHコイルユニット
56…コイル
57…第1のコア
58…第2のコア
61…センターサーミスタ
62…エッジサーミスタ
63…サーモスタット
67…IH制御回路
68…インバータ駆動回路
70…整磁合金層
71…磁性板
78…エッジ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10