(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5770220
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】軽量消音器
(51)【国際特許分類】
F01N 1/08 20060101AFI20150806BHJP
F01N 1/00 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
F01N1/08 K
F01N1/00 E
F01N1/08 L
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-124526(P2013-124526)
(22)【出願日】2013年6月13日
(65)【公開番号】特開2013-256953(P2013-256953A)
(43)【公開日】2013年12月26日
【審査請求日】2013年6月13日
(31)【優先権主張番号】10 2012 209 932.8
(32)【優先日】2012年6月13日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513212291
【氏名又は名称】エーバーシュペッヒャー・エグゾースト・テクノロジー・ゲーエムベーハー・ウント・コンパニー・カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルク ヴィルト
(72)【発明者】
【氏名】ベルント ミュラー
【審査官】
中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−155366(JP,A)
【文献】
特開2006−63849(JP,A)
【文献】
英国特許出願公開第2352480(GB,A)
【文献】
米国特許第6199659(US,B1)
【文献】
特開平8−246842(JP,A)
【文献】
特開平9−242526(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 1/08
F01N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の内燃機関の排気装置用の消音器(1)であって、
ハウジング(2)を備え、該ハウジングが自身の周方向(U)に延びるハウジングシェル(3)を有し、
複数層の板金壁を重ね合わせて平らに構成される複合板(6)を備え、該複合板が前記ハウジングシェル(3)の一部を形成し、
シェルフード(9)を備え、該シェルフードが前記複合板(6)に取り付けられて前記複合板(6)を補完することによって前記ハウジングシェル(3)が構成され、
少なくとも1つの仕切り空間(8)を有するハウジング内空間(4)を備え、該ハウジング内空間が前記ハウジング(2)に取り囲まれており、
自立型の支持構造(5)を備え、該支持構造に前記ハウジング内空間(4)内に少なくとも一部が収められた配管(7)が支持されていることを特徴とする消音器。
【請求項2】
請求項1に記載の消音器(1)において、
前記シェルフード(9)は、1枚の前記複合板(6)への固定のために、前記消音器(1)の縦断面視において前記ハウジング内空間(4)から外に向かって延びる、または前記ハウジング内空間(4)内に向かって延びる、2つの縁部(25)を備える。
【請求項3】
請求項2に記載の消音器(1)において、
1枚の前記複合板(6)は、前記消音器(1)の縦断面視においてその長手方向(L)の両端に、第1および第2の端部(26)を備え、前記複合板(6)は該両端部(26)において、該両端部(26)間の領域における厚さ(D)より小さな厚さ(D1)を有し、
1枚の前記複合板(6)は前記両端部(26)において、前記両端部(26)に対応する前記シェルフード(9)の前記縁部(25)にリベット止めされる。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の消音器(1)において、
前記複合板(6)は前記シェルフード(9)に、溶接、接着、または半田/ろう付けで接合される。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の消音器(1)において、
前記自立型支持構造(5)は少なくとも1枚の中間壁(21)を含む。
【請求項6】
請求項5に記載の消音器(1)において、
少なくとも1枚の前記中間壁(21)は追加して設けられた複合板または板金壁からなる。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の消音器(1)において、
前記シェルフード(9)は第1および第2の貫通孔(15、16)を備え、
前記配管(7)は少なくとも1本の導入管(17)および1本の排出管(18)を含み、該導入管および該排出管はそれぞれ導入開口(19)および排出開口(20)を有するとともに前記第1および第2の貫通孔(15、16)を介して外部から前記ハウジング内空間(4)内へ導かれ、該導入開口および該排出開口は少なくとも1つの前記仕切り空間(8)内に配置されている。
【請求項8】
請求項5又は請求項6に記載の消音器(1)において、
前記シェルフード(9)は第1および第2の貫通孔(15、16)を備え、
前記配管(7)は少なくとも1本の導入管(17)および1本の排出管(18)を含み、該導入管および該排出管はそれぞれ導入開口(19)および排出開口(20)を有するとともに前記第1および第2の貫通孔(15、16)を介して外部から前記ハウジング内空間(4)内へ導かれ、該導入開口および該排出開口は少なくとも1つの前記仕切り空間(8)内に配置され、
少なくとも1枚の前記中間壁(21)は第1および第2の端部(22、23)を備え、該第1の端部が前記複合板(6)に支持される一方、該第2の端部がシェルフード(9)に支持され、
前記中間壁(21)は、前記第1および第2の端部(22、23)の間の領域において少なくとも1つの貫通孔(24)を備え、該貫通孔に少なくとも1本の前記導入管(17)または少なくとも1本の前記排出管(18)が通される。
【請求項9】
自動車の内燃機関(28)の排気装置(27)であって、
排気装置(27)からの排気ガスの排出のための排気管(30)と、
請求項7又は請求項8に記載の消音器(1)と、
を備え、
前記配管(7)の前記導入管(17)が、前記排気管(30)と流体流通可能に接続されていることを特徴とする排気装置。
【請求項10】
自動車の内燃機関(28)であって、
燃焼室(29)と、
請求項9に記載の排気装置(27)と、
を備え、
前記燃焼室(29)が前記排気装置(27)と接続管(31)を介して流体流通可能に接続されていることを特徴とする内燃機関。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内燃機関、特に自動車の内燃機関、の排気装置用の消音器(サイレンサー、マフラー)に関する。本発明はまたそのような消音器を備えた排気装置(エキゾーストシステム)、さらにはそのような排気装置を備えた内燃機関(エンジン)に関する。
【背景技術】
【0002】
消音器は通常、ハウジングを備え、このハウジング内に消音空間を有する。消音器はまた少なくとも1本の導入管と少なくとも1本の排出管を備える。これら導入管と排出管を介して消音器は排気装置の他の部分と流体流通可能に接続可能である。さらに消音器には少なくとも1つの固定部材を設けてもよく、これによって消音器はそれを保持する構造体、例えば自動車の内燃機関、に固定可能である。自動車での実際の使用において、排気装置は通常自動車の底部に配置される。底部の配置スペースは比較的限られているので、消音器は比較的扁平に設計されることがある。その場合消音器のハウジングは少なくとも1面の平面領域を有し、消音器を取り付けた際にその平面領域が例えば自動車の底部または路面と対向するよう構成される。
【0003】
消音器を設けた自動車の燃料消費を低減するためには、自動車の重量を可能な限り減らすのが有効である。したがって自動車用に設計された消音器においても、これをできるだけ軽量に、すなわち壁部を薄くして、製作することが求められる。ここで上述のような少なくとも1面の平面領域を有するハウジングは不利である。そのような平面領域の壁部を薄くすればするほど振動が発生しやすくなり、結果として消音器の作動中に騒音が発生したり、特に機械的な固定箇所において破損が生じたりすることがあるからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は冒頭で述べたタイプの消音器について改善された実施形態、特に軽量設計に適した実施形態、を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、本発明によれば、独立請求項に記載の構成により達せられる。より好ましい構成は従属請求項に記載のとおりである。
【0006】
本発明によれば、消音器は少なくとも1枚の複合板を備え、この複合板が消音器のハウジングのハウジングシェルの一部を形成する。消音器はさらに自立型の支持構造を備え、この支持構造によって、少なくとも一部がハウジングの内部空間に配置される配管が支持される。この配管は例えば少なくとも1本の排気ガス導入管および少なくとも1本の排気ガス排出管を含む。これら導入管および排出管を介して、内燃機関の排気装置からの、消音されるべき音響を含んだ排気ガスが消音器に導入され、処理後はそこから排出される。本発明の消音器によれば、内燃機関の排気装置または内燃機関自身に由来する様々な力や曲げモーメント(トルク)を配管で吸収しつつ消音器を通過させることができる。
【0007】
こうすることで、上述の力や曲げモーメントが消音器のハウジング内に伝わることが回避されるので、ハウジングの壁部をそれだけ薄くすることが可能になる。一方で自立型の支持構造により、配管は消音器のハウジングに対して機械的に安定して支持される。
【0008】
配管の導入管から消音器に伝わった力や曲げモーメントは自立型の支持構造を介して直接配管の排出管に伝わりそこから消音器外に放出されるので、消音器のハウジングはそのような力や曲げモーメントを吸収するに及ばない。消音器を自動車の底部に取り付ける際に、上述の本発明の構成における複合板を利用する。この複合板は自動車の底部への消音器の固定に最適化され、平らに構成されてはいるが、極めて高い機械的安定性を有する。このため本発明の消音器は、空間的に極めて限られた自動車内の配置スペースにでも取り付け可能であり、必要であればそれに適するように扁平に構成することができる。複合板は板金壁を複数層(例えば4層から5層)重ね合わせたもので、各層の厚さは0.1mm程度であり、そのような複合板は厚さが1.5mm程度の従来の板金壁一枚と比べて格段に軽いので、広い領域の補強にとりわけ適している。消音器に(従来の板金壁の代わりに)複合板を用いることにより、重量を大幅に削減できる。したがって本発明の消音器は軽量に製作でき、しかも消音器に伝わる力や機械的な曲げモーメントの吸収および伝達に必要な機械的安定性を有する。
【0009】
好ましくは、上述の少なくとも1枚の複合板が自立型の支持構造の一部を形成するようにする。そうすれば、消音器に伝わった力や曲げモーメントを自立型の支持構造を介して例えば配管の排出管へ効率よく伝達させることができる。
【0010】
上記に代えてまたは加えて、自立型の支持構造が少なくとも1枚の中間壁を含むようにする。そのような中間壁を利用して配管を自立型の支持構造に支持させることができる。これにより消音器の機械的安定性が向上する。
【0011】
好ましくは、消音器にシェルフードを設け、このシェルフードが第1の複合板を補完することによって本発明の消音器のハウジングのハウジングシェルが構成されるようにする。そうすると、消音器のハウジング全体が第1の複合板とそのようなシェルフードとで構成されることになる。これにより、機械的に安定でありながらも製造が極めて容易な消音器を得ることができ、そのような消音器の製造コストを比較的低く抑えることができる。
【0012】
上記に代えて、消音器に第2の複合板を設けてこれにも自立型支持構造の一部を形成させ、加えて第1および第2の板金壁を設けてこれらが共に第1の複合板を補完することによってハウジングシェルが構成されるようにしてもよい。そうすれば、第2の複合板もまた自立型支持構造の一部として消音器内に伝わった力やモーメントを吸収、伝達できるので、本発明の消音器の機械的安定性が向上する。第1および第2の板金壁は荷重を受ける機能を免れ、また消音器内に伝わった力を吸収する必要もなくなるので、それらを薄く、したがってより軽量かつ低コストに、作製することができる。
【0013】
機械的安定性に特に配慮して、第1および第2の複合板同士、ならびに第1および第2の板金壁同士を消音器の横断面視において互いにほぼ対向するように配置してもよい。
【0014】
さらに、消音器に第1および第2の端壁を設け、これらがハウジングシェルを補完することによってハウジングが構成されるようにしてもよい。この場合第1および第2の端壁はハウジングシェルに接着、半田/ろう付け、または溶接によって接合され、ハウジングシェルはそれら両端壁と共に気密なハウジングを構成する。これらの端壁も荷重を受ける機能を免れるので、それら薄い板金壁として作製することができる。
【0015】
製造容易性と軽量性に特に配慮して、シェルフードを第1および/または第2の端壁と一体に構成してもよい。これにより、シェルフードと第1および第2の端壁とが合わさって単一の部材となり、これをフードのような形で複合板に、特に溶接によって、接合することができる。第1および第2の端壁と一体に構成されたシェルフードはシェル(貝殻)状に形成される。
【0016】
複合板へのシェルフードの機械的に安定した取り付けに特に配慮して、好ましくは、シェルフードに、少なくとも1枚の複合板への取り付けのために、消音器の縦断面視においてハウジング内空間から外に向かって延びる、またはハウジング空間内に向かって延びる、2つの縁部を設けてもよい。
【0017】
製造容易性に特に配慮して、2枚の板金壁の少なくとも一方を第1または第2の端板と一体に構成してもよい。
【0018】
本発明の消音器によって消音されるべき音響を効率よく消音器に導入するため、第1および/または第2の端壁には第1および第2の貫通孔を設けてもよい。配管は少なくとも1本の導入管と少なくとも1本の排出管を含み、これらはそれぞれ導入開口と排出開口を有する。導入管と排出管は、導入開口と排出開口が消音器内の少なくとも1つの仕切り空間内に配置されるような形で、第1および第2の貫通孔を介して外からハウジング内空間へ導かれる。
【0019】
本発明の消音器の機械的安定性をさらに向上させ、特に強い力や曲げモーメントが消音器内に伝わってきてもそれを吸収できるように、前述の少なくとも1枚の中間壁に第1および第2の端部を設け、第1の端部を第1の複合板に支持させ、第2の端部を第2の複合板またはシェルフードに支持させてもよい。中間壁の、両端部間の領域に少なくとも1つの貫通孔を設け、そこに少なくとも1本の導入管または少なくとも1本の排出管を通す。このようにすれば、消音器内で導入管または排出管を機械的に特に安定して支持することができる。
【0020】
特に好ましくは、少なくとも1枚の中間壁を、追加して(第1および第2の複合板に加えて)設けた複合板としてもよい。この場合、追加して設けた複合板により、本発明の消音器において特に優れた機械的安定性が得られる。それに代えて少なくとも1枚の中間壁を板金壁としてもよい。この形態は特に、機械的安定性の向上に中間壁を利用したくない場合に好ましい。たとえば板金壁を純然たる隔壁として設けてハウジング内空間を2つの分室に仕切ることにより消音器に導かれた音響を特に効果的に消音したい場合などである。
【0021】
容易かつ低コストな製造に特に配慮して、第1の複合板を第2の複合板あるいはシェルフードに溶接、接着、または半田/ろう付けで接合してもよい。
【0022】
複合板をシェルフードに特に確実に固定するために、少なくとも1枚の複合板の、消音器の縦断面視においてその長手方向の両端に、第1および第2の端部を設け、複合板のこれら両端部における厚さを、両端部間の領域における厚さより小さくしてもよい。そして複合板をその両端部において、これら両端部に対応するシェルフードの縁部にリベット止めしてもよい。
【0023】
本発明によればまた、排気装置、特に自動車の内燃機関の排気装置は、排気装置からの排気ガスの排出のための排気管と、上述の様々な特徴の1つ以上を含む構成を有する消音器、を備える。この場合、消音器の配管の導入管が排気装置の排気管と流体流通可能に接続される。
【0024】
本発明によればさらに、内燃機関は、燃焼室と、上述の様々な特徴の1つ以上を含む構成を有する排気装置を備え、内燃機関の燃焼室が接続管を介して排気装置と流体流通可能に接続される。
【0025】
本発明の他の重要な特徴や効果は、従属請求項、図面、および図面に基づいた本明細書内の記載の該当箇所から理解されるとおりである。
【0026】
上に述べた、また下にこれから述べるいずれの特徴も、具体的に言及されている組み合わせ以外のどのような組み合わせでも、あるいは単独でも、本発明の範囲を逸脱しない限り実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図4】
図3に示す消音器の切断線IV−IV沿いの断面図。
【
図5】
図3に示す消音器の切断線V−V沿いの断面図。
【
図8】排気装置あるいは内燃機関の一部として用いられた本発明の消音器を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の好ましい実施形態を、図面を参照しながら以下に詳細に説明する。
【0029】
図1および
図2に本発明の消音器1の一実施形態を示す。
図1は消音器1の縦断面図、
図2は消音器1の側面図である。
【0030】
消音器1はハウジング2を備え、ハウジング2は自らの周方向Uに延びるハウジングシェル3を備える。消音器1はさらに、少なくとも1つの仕切り空間8からなりハウジング2に取り囲まれたハウジング内空間4と、自立型の支持構造5と、第1の複合板6とを備える。第1の複合板6はここではハウジング殻3の一部を形成している。支持構造5には配管7が支持されており、この配管7はその一部がハウジング内空間4内に配されているものである。消音器1はさらにシェルフード9を備え、シェルフード9が第1の複合板6を補完してハウジングシェル3を構成している(
図2参照)。第1の複合板6はシェルフード9に、溶接、接着、または半田/ろう付けで接合されている。
【0031】
図2から分かるように、シェル(貝殻)状のシェルフード9は第1の複合板6を補完することによりハウジングシェル3を構成するにとどまらず、ハウジング2全体をも構成している。このようにすることで、ハウジングシェル3を補完する目的で端壁を別途設ける必要がなくなり、その結果本発明の消音器1の構造および製造が簡略化される。別の見方をすれば、シェルフード9はその両端においてそれぞれ第1および第2の端壁が一体に接合されたものと考えてもよい。
【0032】
図1に示す実施形態の変形例を
図3に示す。変形例の消音器1´はシェルフード9に代えて、これも支持構造の一部を形成する第2の複合板10´と、第1および第2の板金壁11´、12´とを備える。これらは共に第1の複合板6´を補完してハウジングシェル3´を構成する。
図3の消音器1´の切断線IV沿いの断面を
図4に示す。
図3の消音器1´の切断線V沿いの断面を
図5に示す。
【0033】
第1および第2の複合板6´、10´同士、ならびに第1と第2の板金壁11´、12´同士は、消音器1´の横断面視(
図4参照)において互いにほぼ対向するように配置するのが好ましいが、基本的にはそれ以外のいかなる配置も可能である。
【0034】
図3〜
図5に示す変形例では、第1および第2の板金壁11´、12´が第1および第2の端壁13´、14´をも形成し、これらがハウジングシェル3´を補完してハウジング2´を構成している。すなわち、板金壁11´、12´および端壁13´、14´は一体に構成されて、全体として枠状の、U字状の輪郭を持つ構造をなしている(
図4および
図5参照)。変形例として、板金壁11´、12´および端壁13´、14´をそれぞれ別々に作製して溶接で接合してもよい。板金壁11´、12´および端壁13´、14´は複合板6´、10´に接着または半田/ろう付けで接合される。
【0035】
図1および
図2に戻って、シェルフード9には第1および第2の貫通孔15、16が設けられ、消音器1の配管7は、それぞれ導入開口19および排出開口20を有する導入管17および排出管18を備える。導入管17および排出管18はそれぞれ第1および第2の貫通孔15、16を介して外部からハウジング内空間4内へ導かれている。導入開口19および排出開口20は仕切り空間8内に配置される。同様の構成が
図3〜
図5に示す変形例にも設けられている。そこでは第1および第2の貫通孔15´、16´ は第1および第2の端壁13´、14´に設けられる(
図3参照)。
【0036】
機械的安定性の更なる向上を目指して、
図1、
図3、および
図5に示すように、消音器1、1´に2つの中間壁21、21´を設け、これらそれぞれに第1および第2の端部22、23、22´、23´を設けるとよい。第1の端部22、22´は第1の複合板6、6´に支持され、第2の端部23、23´はシェルフード9(
図1参照)または第2の複合板10´(
図4参照)に支持される。中間壁21、21´は複合板6、6´、10´に接着または半田/ろう付けで接合され、シェルフード9、板金壁11´、12´、および端壁13´、14´に溶接で接合される。
【0037】
中間壁21、21´の、第1および第2の端部の間の領域に貫通孔24、24´が設けられ、そこに導入管17、17´および排出管18、18´が通されている。言うまでもなく、消音器1、1´に設ける中間壁の数は2に限られない。
【0038】
図1、
図3、および
図5においては、中間壁21、21´は薄い板金壁として構成されている。それらの材質として、中間壁21、21´の追加によってどの程度の機械的補強を得たいかに応じて、機械的安定性を採るなら複合板を、製造コストの低減をとるなら薄い板金壁を用いればよい。それらを組み合わせて、例えば、中間壁21、21´の一部を複合板で、一部を板金壁で構成することも可能である。
【0039】
上述の実施形態の変形例として、少なくとも1枚の複合板6、6´および/または少なくとも1枚の中間壁21,21´が支持構造5の一部を形成するように構成してもよい。
【0040】
図1に示すように、複合板6へのシェルフード9の特に安定した固定のために、シェルフード9に、消音器1の縦断面視においてハウジング内空間4から外に向かって延びる2つの縁部25を設てもよい。言うまでもなく、他の変形例として、縁部25を内へ、ハウジング内空間4内に向かって延びるように構成してもよい。
【0041】
上記に代えてあるいは加えて、複合板6、6´の、消音器1の縦断面視において消音器1の長手方向Lの両端に、第1および第2の端部26を設けてもよい。複合板6はこれら両端部26において、両端部26間の領域における厚さDより小さな厚さD1を有する。これを
図6の模式図に示す。
図6は複合板6の端部26の一方を示す。変形例として、端部26を、シェルフード9の縁部25を挟み込む折り返し部として構成してもよい。これを
図7の概略図に示す。この場合さらに、端部26の領域において、シェルフード9を複合板6に接着または半田/ろう付けで固定してもよい。言うまでもなく、反対にシェルフード9の縁部25のほうを、複合板6の端部26を挟み込む折り返し部として構成してもよい。
【0042】
図6から分かるように、複合板6をシェルフード9に特に安定に固定するために、縁部25および端部26の領域においてリベット32で止めてもよい(
図6参照)。
【0043】
図8の概略図に示すように、消音器1を排気装置27、特に自動車の内燃機関の排気装置27、の一部として用いることができる。排気装置27はそれから排気を排出するための排気管30を備えており、この排気管30が消音器1の導入管17と流体流通可能に接続される。排気装置27は、燃焼室29を備えた内燃機関28の一部であって、内燃機関28の燃焼室29は接続管31を介して排気装置27と流体流通可能に接続されている。
【符号の説明】
【0044】
1、1´ 消音器
2、2´ ハウジング
3、3´ ハウジングシェル
4 ハウジング内空間
5 支持構造
6、6´、10´ 複合板
7 配管
8 仕切り空間
9 シェルフード
11´、12´ 板金壁
13´、14´ 端壁
15、15´、16、16´ 貫通孔
17、17´ 導入管
18、18´ 排出管
19、19´ 導入開口
20、20´ 排出開口
21、21´ 中間壁
22、22´、23、23´ 端部
24、24´ 貫通孔
25 縁部
26 端部
27 排気装置
28 内燃機関
29 燃焼室
30 排気管
31 接続管
32 リベット