特許第5770222号(P5770222)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5770222
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】間接活線工事用先端工具
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/02 20060101AFI20150806BHJP
【FI】
   H02G1/02
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-128452(P2013-128452)
(22)【出願日】2013年6月19日
(65)【公開番号】特開2015-6025(P2015-6025A)
(43)【公開日】2015年1月8日
【審査請求日】2014年3月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】森山 裕之
【審査官】 神田 太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−009248(JP,A)
【文献】 特開平10−283865(JP,A)
【文献】 特開2004−058196(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用途の異なる先端工具を共用可能な絶縁操作棒を用いて、下方に延びるボルト部材にナット及びナット脱落防止キャップを着脱自在な間接活線工事用先端工具であって、
中心に原動軸を設けた原動歯車から中心に従動軸を設けた従動歯車に回転を伝動する歯車伝動装置を内装する直方体状の歯車箱と、
前記歯車箱の一方の面から突出する前記原動軸の先端部に固定し、前記絶縁操作棒の先端部と連結可能な円筒状の接続金具と、
前記歯車箱の他方の面から突出する前記従動軸の先端部に固定し、前記ナット及び前記ナット脱落防止キャップを収容可能に端面が開口した筒形ホルダと、を備え、
前記筒形ホルダは、
前記ボルト部材が軸方向に移動可能な中心開口と、
前記中心開口と中心軸を共有し、前記ナット脱落防止キャップの胴部が嵌合する円形開口と、
前記円形開口の端縁に形成され、前記ナット脱落防止キャップに設けた鍔部が載置可能な段差と、
前記ナットが前記ナット脱落防止キャップに載置されると共に、前記段差が底面となるように、前記ナットを回り止め可能に嵌合する嵌合穴と、を有する間接活線工事用先端工具。
【請求項2】
前記歯車箱に内装し、前記原動歯車から前記従動歯車に回転を伝動する中間歯車を更に備える請求項1記載の間接活線工事用先端工具。
【請求項3】
前記歯車箱は、内部に空洞を有し、分割可能に結合した一対の分割フレームからなる請求項1又は2記載の間接活線工事用先端工具。
【請求項4】
前記歯車箱は、少なくとも側面からの衝撃に対して変形が困難な剛体からなる請求項1から3のいずれかに記載の間接活線工事用先端工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間接活線工事用先端工具に関する。特に、絶縁操作棒などの間接活線工具の先端部に設けた先端工具であって、電柱に設けた腕金に固定されたピン碍子などのボルト部材に締結したナット、及びナット脱落防止キャップを着脱可能な間接活線工事用先端工具の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
高圧配電線を無停電で配電工事を行う活線作業には、直接活線工法と間接活線工法の二通りがある。直接活線工法は、作業者が高圧ゴム手袋などの保護具を着用して、通電中の高圧配電線に直接触れて配電工事を行う。一方、間接活線工法は、作業者が絶縁操作棒(ホットスティック)などを用いて、通電中の高圧配電線に直接触れることなく配電工事を行うことができる。
【0003】
一般に、絶縁操作棒は、長尺の操作棒とこの操作棒の先端部に取り付けた配電作業用工具(以下、先端工具という)で構成している。そして、絶縁操作棒は、高圧配電線を把持、又は切断するなど、作業目的に対応して、先端工具を交換できるように構成している。
【0004】
例えば、ピン碍子は、バインド線を用いて、高圧配電線を碍子部に保持している。このピン碍子は、電柱に設けた腕金にボルト部材を挿通している。そして、ボルト部材に下方からナットを締結することで、ピン碍子を腕金に固定している。
【0005】
上述したピン碍子のボルト部材に締結したナットには、合成樹脂からなるナット脱落防止キャップが被せられている。このナット脱落防止キャップは、絶縁操作棒の先端部に取り付けたナット脱落防止キャップ着脱具により取り外しできることが知られている。又、ピン碍子のボルト部材に締結したナットは、絶縁操作棒の先端部に取り付けたナット回し器により取り外しできることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−245024号公報(段落[0015]、図4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1による工法は、ナット脱落防止キャップ着脱具を用いて、ボルト部材からナット脱落防止キャップを取り外した後に、ナット回し器を用いて、ボルト部材からナットを取り外している。
【0008】
又、特許文献1による工法は、ナット回し器を用いて、ボルト部材にナットを取り付けた後に、ナット脱落防止キャップ着脱具を用いて、ボルト部材にナット脱落防止キャップを取り付けている。
【0009】
したがって、特許文献1による工法は、絶縁操作棒を二本用意するか、先端工具を交換するなど、作業効率が優れないという問題がある。又、ナット脱落防止キャップを取り付けることを忘れ易いという問題がある。ピン碍子などに設けたボルト部材にナット及びナット脱落防止キャップを同時に着脱自在な、間接活線工事用先端工具が求められている。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0010】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、ピン碍子などに設けたボルト部材にナット及びナット脱落防止キャップを同時に着脱自在な、間接活線工事用先端工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、歯車伝動装置を内装する歯車箱の一方の面から突出する原動軸の先端部に共用操作棒の先端部が連結可能な円筒状の接続金具を設け、歯車箱の他方の面から突出する従動軸の先端部にナット及びナット脱落防止キャップを収容可能な筒形ホルダを設け、共用操作棒をその軸回りに回転することで、ボルト部材にナット及びナット脱落防止キャップを同時に着脱できることを見出し、これに基づいて、以下のような新たな間接活線工事用先端工具を発明するに至った。
【0012】
(1)本発明による間接活線工事用先端工具は、用途の異なる先端工具を共用可能な絶縁操作棒を用いて、下方に延びるボルト部材にナット及びナット脱落防止キャップを着脱自在な間接活線工事用先端工具であって、中心に原動軸を設けた原動歯車から中心に従動軸を設けた従動歯車に回転を伝動する歯車伝動装置を内装する直方体状の歯車箱と、前記歯車箱の一方の面から突出する前記原動軸の先端部に固定し、前記絶縁操作棒の先端部と連結可能な円筒状の接続金具と、前記歯車箱の他方の面から突出する前記従動軸の先端部に固定し、前記ナット及び前記ナット脱落防止キャップを収容可能に端面が開口した筒形ホルダと、を備え、前記筒形ホルダは、前記ボルト部材が軸方向に移動可能な中心開口と、前記中心開口と中心軸を共有し、前記ナット脱落防止キャップの胴部が嵌合する円形開口と、前記円形開口の端縁に形成され、前記ナット脱落防止キャップに設けた鍔部が載置可能な段差と、前記ナットが前記ナット脱落防止キャップに載置されると共に、前記段差が底面となるように、前記ナットを回り止め可能に嵌合する嵌合穴と、を有する。
【0013】
(2)前記歯車箱に内装し、前記原動歯車から前記従動歯車に回転を伝動する中間歯車を更に備えることが好ましい。
【0014】
(3)前記歯車箱は、内部に空洞を有し、分割可能に結合した一対の分割フレームからなることが好ましい。
【0015】
(4)前記歯車箱は、少なくとも側面からの衝撃に対して変形が困難な剛体からなることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明による間接活線工事用先端工具は、ナット脱落防止キャップ、ナットの順番で筒形ホルダに収容し、絶縁操作棒を操作して、ナットをボルト部材に当接し、絶縁操作棒を軸回りに一方の方向に回転することで、ナット及びナット脱落防止キャップを同時にボルト部材に取りつけることができる。
【0017】
又、本発明による間接活線工事用先端工具は、絶縁操作棒を操作して、筒形ホルダをボルト部材に挿入し、嵌合穴にナットを嵌合した状態で絶縁操作棒を軸回りに他方の方向に回転することで、ナット及びナット脱落防止キャップを同時にボルト部材から取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態による間接活線工事用先端工具の構成を示す斜視図である。
図2】前記実施形態による間接活線工事用先端工具の構成を示す平面図である。
図3図2のA−A矢視断面図である。
図4図3のB−B矢視断面図である。
図5】前記実施形態による間接活線工事用先端工具の構成を示す斜視分解組立図である。
図6】前記実施形態による間接活線工事用先端工具を先端部に連結する絶縁操作棒の構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
[間接活線工事用先端工具の構成]
最初に、本発明の一実施形態による間接活線工事用先端工具の構成を説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態による間接活線工事用先端工具の構成を示す斜視図である。図2は、前記実施形態による間接活線工事用先端工具の構成を示す平面図である。図3は、図2のA−A矢視断面図である。図4は、図3のB−B矢視断面図である。
【0021】
図5は、前記実施形態による間接活線工事用先端工具の構成を示す斜視分解組立図である。図6は、前記実施形態による間接活線工事用先端工具を先端部に連結する絶縁操作棒の構成を示す正面図である。
【0022】
(全体構成)
図1から図5を参照すると、本発明の一実施形態による間接活線工事用先端工具(以下、先端工具と略称する)10は、直方体状の歯車箱1、円筒状の接続金具2、及び筒形ホルダ3を備えている。
【0023】
図1から図5を参照すると、歯車箱1は、原動歯車2g、中間歯車4g、及び従動歯車3gで歯車列を構成した歯車伝動装置10gを内装している(図3又は図4参照)。原動歯車2gは、中心に原動軸21を設けている。従動歯車3gは、中心に従動軸31を設けている。中間歯車4gを介して、原動歯車2gの回転を従動歯車3gに伝動できる。
【0024】
図1から図5を参照すると、接続金具2は、歯車箱1の一方の面から突出する原動軸21の先端部に固定されている。接続金具2は、絶縁操作棒7の先端部と連結できる(図6参照)。筒形ホルダ3は、歯車箱1の他方の面から突出する従動軸31の先端部に固定されている。筒形ホルダ3は、ナット9n及びナット脱落防止キャップ9cを収容可能に端面が開口されている(図1又は図3参照)。
【0025】
(筒形ホルダの構成)
図1又は図3を参照すると、筒形ホルダ3は、中心開口31h、円形開口32h、段差33d、及び嵌合穴33hを有している。中心開口31hには、ボルト部材9bを軸方向に移動できる。円形開口32hは、中心開口31hと中心軸を共有し、ナット脱落防止キャップ9cの胴部92cを嵌合できる。段差33dは、円形開口32hの端縁に形成され、ナット脱落防止キャップ9cに設けた鍔部91cを載置できる。嵌合穴33hには、ナット9nがナット脱落防止キャップ9cに載置されると共に、段差33dが底面となるように、ナット9nを回り止め可能に嵌合できる。
【0026】
図1又は図3を参照して、先端工具10は、ナット脱落防止キャップ9c、ナット9nの順番で筒形ホルダ3に収容し、絶縁操作棒7を操作して、ナット9nをボルト部材9bに当接し、絶縁操作棒7を軸回りに一方の方向に回転することで、ナット9n及びナット脱落防止キャップ9cを同時にボルト部材9bに取りつけることができる。
【0027】
又、図1又は図3を参照して、先端工具10は、絶縁操作棒7を操作して、筒形ホルダ3をボルト部材9bに挿入し、嵌合穴33hにナット9nを嵌合した状態で絶縁操作棒7を軸回りに他方の方向に回転することで、ナット9n及びナット脱落防止キャップ9cを同時にボルト部材9bから取り外すことができる。
【0028】
(歯車箱の構成)
図1から図5を参照すると、歯車箱1は、内部に空洞を有し、分割可能に結合した一対の分割フレーム1a・1bで構成している。原動歯車2g、中間歯車4g、及び従動歯車3gで歯車列を構成した歯車伝動装置10gを内装できるように、一対の分割フレーム1a・1bを複数のボルト部材で固定することが好ましい。
【0029】
図1を参照して、歯車箱1は、少なくとも側面からの衝撃に対して変形が困難な剛体からなることが好ましい。図3に示すように、筒形ホルダ3の内部にナット9nを嵌合した状態で、図示しない絶縁操作棒の先端部に設けたハンマー工具5(図1参照)で歯車箱1の一方の端部の側面を打ち付けることで、ボルト部材9bに緊締したナット9nが緩む方向に歯車箱1を回動できる。歯車箱1は、ハンマー工具5の衝撃に対して変形が困難な剛体からなることが好ましく、ハンマー工具5の衝撃に対して破損しないように構成することが好ましい。
【0030】
図1から図5を参照して、一対の分割フレーム1a・1bは、アルミニウム合金を成形することが好ましく、アルミニウム合金板を切削加工してもよい。一対の分割フレーム1a・1bの一方の端部には、原動軸21を回転可能に両端支持する一組の軸受部材21a・21bを設けている。又、一対の分割フレーム1a・1bの他方の端部には、従動軸31を回転可能に両端支持する一組の軸受部材31a・31bを設けている。更に、一対の分割フレーム1a・1bの中間部には、中間歯車4gも回転軸41を回転可能に両端支持する一組の軸受部材41a・41bを設けている。
【0031】
図1から図5を参照して、一組の軸受部材21a・21b、一組の軸受部材31a・31b、及び一組の軸受部材41a・41bは、銅合金などからなることが好ましく、一対の分割フレーム1a・1bの外面から圧入して固定することが好ましい。
【0032】
(絶縁操作棒の構成)
図6を参照すると、絶縁操作棒7は、工具部71、柄部72、及び把持部73を備えている。工具部71は、先端工具10の一方に端部に突出した接続金具2(図1参照)に着脱可能となっている。把持部73は、作業員が把持し易いように滑り止めが施されている。柄部72は、工具部71と把持部73とを連結し、長尺の管体からなっている。
【0033】
図6を参照すると、柄部72の中間部には、円錐体状の水切り鍔7aを取り付けている。水切り鍔7aは、工具部71から進出する雨水を堰き止めることができる。又、柄部72と把持部73との接続部には、円錐体状の限界鍔7bを取り付けている。限界鍔7bの取付け位置は、絶縁性を考慮して安全に作業できる限界を示している。
【0034】
図1又は図6を参照すると、工具部71は、軸部71a、一対のピン71b・71b、及び突起71cを有している。軸部71aは、柄部72の軸方向に突出している。一対のピン71b・71bは、相反する向きに軸部71aの外周から突出している。突起71cは、軸部71aの先端面から突出するように、工具部71に内蔵された圧縮コイルばねによって、力を付勢されている。
【0035】
(接続金具の構成)
図1を参照すると、接続金具2は、底面が開口された円筒状に形成している。接続金具2には、工具部71の軸部71aが嵌合する軸穴20hを開口している。又、接続部81には、一対のピン71b・71bを回動することにより係合するT字状の溝20tを有している。
【0036】
図1を参照して、工具部71の軸部71aを接続金具2の軸穴20hに挿入して、所定角度、回動すると、突起71cに付勢されて、一対のピン71b・71bをT字状の溝20tに嵌合できる。図6に示した絶縁操作棒7は、共用操作棒と呼ばれ、用途の異なる先端工具を接続できる。又、図1に示したロック構造は、ツイストロックと呼ばれている。
【0037】
(原動軸及び原動歯車の構成)
図5を参照すると、原動軸21は、正四角柱状に形成された回り止用の軸部211を基端部側に形成している。一方、原動歯車2gは、軸部211に嵌合する正四角状の嵌合穴21gを中心部に開口している。軸部211を嵌合穴21gに圧入することで、接続金具2の回転を原動歯車2gに確実に伝達できる。又、原動軸21は、雄ねじ部212を先端部側に形成している。雄ねじ部212に一組のナット21n・21nを締結することで、原動軸21のスラスト方向(軸方向)の移動量が規制される(図3参照)。
【0038】
(従動軸及び従動歯車の構成)
図5を参照すると、従動軸31は、正四角柱状に形成された回り止用の軸部311を基端部側に形成している。一方、従動歯車3gは、軸部311に嵌合する正四角状の嵌合穴31gを中心部に開口している。軸部311を嵌合穴31gに圧入することで、従動歯車3gの回転を筒形ホルダ3に確実に伝達できる。又、従動軸31は、雄ねじ部312を先端部側に形成している。雄ねじ部312に一組のリングナット31n・31nを締結することで、従動軸31のスラスト方向(軸方向)の移動量が規制される(図3参照)。
【0039】
[間接活線工事用先端工具の作用]
次に、実施形態による先端工具10の操作方法を説明しながら、先端工具10の作用及び効果を説明する。
【0040】
図1図3を参照して、予め、ナット脱落防止キャップ9c、ナット9nの順番でナット脱落防止キャップ9c及びナット9nを筒形ホルダ3に収容しておく。次に、絶縁操作棒7の先端部に接続金具2を連結し、絶縁操作棒7を操作して先端工具10を持ち上げ、下方に延びるボルト部材9bにナット9nを当接する。次に、図6を参照して、把持部73を軸回りに一方の方向に回転することで、ナット9n及びナット脱落防止キャップ9cを同時にボルト部材9bに取りつけることができる(図3参照)。
【0041】
図1から図5を参照すると、先端工具10は、原動歯車2gから従動歯車3gに回転を伝動する中間歯車4gを更に備えているので、絶縁操作棒7を軸回りに回転する方向とナット9nをボルト部材9bに締結する方向が一致するので、操作性に優れ便利である。なお、ナット9n及びナット脱落防止キャップ9cをボルト部材9bから取り外す場合も同様である。
【0042】
一方、図3を参照して、ナット9n及びナット脱落防止キャップ9cをボルト部材9bから取り外す場合には、絶縁操作棒7を操作して、筒形ホルダ3をボルト部材9bに挿入し、嵌合穴33hにナット9nを嵌合した状態で絶縁操作棒7を軸回りに他方の方向に回転することで、ナット9n及びナット脱落防止キャップ9cを同時にボルト部材9bから取り外すことができる。
【0043】
本発明による間接活線工事用先端工具は、次のような効果が奏される。
(1)ナット及びナット脱落防止キャップを同時にボルト部材に取りつけることができる。
(2)ナット脱落防止キャップの取り付け忘れを防止できる。
(3)絶縁操作棒を二本用意する必要がなくなり、一般的に使用される共用の絶縁操作棒を利用できる。
(4)ハンマー工具で歯車箱の一方の端部の側面を打ち付けることで、ボルト部材に緊締したナットが緩む方向に歯車箱を回動できる。
【0044】
本発明は、絶縁操作棒などを用いて、無停電状態の高圧配電線を間接的に活線工事できる間接活線工事用先端工具を開示したが、本発明の先端工具は、間接活線工事用に限定されることなく、他の分野でも応用されることが期待される。
【符号の説明】
【0045】
1 歯車箱
2 接続金具
2g 原動歯車
3 筒形ホルダ
3g 従動歯車
7 絶縁操作棒
9b ボルト部材
9c ナット脱落防止キャップ
9n ナット
10 先端工具(間接活線工事用先端工具)
10g 歯車伝動装置
21 原動軸
31 従動軸
31h 中心開口
32h 円形開口
33d 段差
33h 嵌合穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6