【発明が解決しようとする課題】
【0005】
加えて、エアバッグドアフラップの補強部およびヒンジ機能を製造するために、異なる方法が用いられる。本発明は、エアバッグシステムのエアバッグドアフラップへ適用することができる。このエアバッグドアフラップは、ストラップヒンジ型の可撓性ヒンジソリューションによって内部パネリング部へと接続される。エアバッグドアフラップの機能的な開口および揺動を確実に行うために、ヒンジ領域内においてストラップヒンジを余分な長さだけ伸長させる必要がある。ストラップヒンジを長くすることにより、エアバッグドアフラップを回転させることができる。ストラップヒンジは必ずしも成型されない。
【0006】
従来技術においては、例えば、対象領域中のケーブルにより、内部パネリング部、例えば、計器盤上において、エアバッグドアフラップを自由に動かすことを可能にするソリューションが知られている。これと同時に、剛性ピンの破断により、ケーブルを必要分さらに長くすることができる。
【0007】
これらおよび類似のヒンジソリューションについて、例えば、ヨーロッパ特許第1062127号公報、フランス特許第2957871号公報、イギリス特許第2438748号公報、国際公開第03082632号公報および国際公開03082635号公報に開示されている。
【0008】
加えて、ドイツ特許公開第102006049316号公報において、自動車用の内部パネリング部が開示されている。この内部パネリング部において、エアバッグドアフラップのための可撓性支持手段が設けられる。この可撓性支持手段の側部領域は展開可能であり、その結果、開口エアバッグドアフラップの動きが制限される。
【0009】
計器盤上のエアバッグドアフラップが、国際公開第2007147966号公報に開示されている。エアバッグドアフラップは、可撓性材料製のヒンジによって保持される。可撓性材料は布またはニットによって構成され得、平坦な可撓性材料に複数の折り目を付けることにより、ヒンジの延長化が可能となる。
【0010】
剛性の金属接続を用いたエアバッグシステムの欠陥として、重量が有る点と、変形を回避するために、運搬部と形状を適合させた様態で接続する必要がある点とがある。そのため、これらのシステムの場合、ドアフラップを開口させるために必要な弾性を達成するためには、事前形成されたヒンジおよび/または金型が必要となる。知られている可撓性ヒンジソリューションの欠点として、折り目または隆起によって可撓性ヒンジ材料を伸長させた場合、延長化を高精度かつ信頼性が高い状態で予測することが困難になるため、ヒンジ効果を充分に再現可能な様態で設計することができなくなる場合が往々にしてある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、エアバッグドアフラップ付き内部パネリング部を提供することである。この内部パネリング部は、従来のヒンジおよびドアフラップ補強部システムと対照的に、技術的製造についてより容易かつより低コストに行うことが可能である。さらなる要素により、長尺化が可能となり、ヒンジ長さの変更の特徴付けのためのより良い機会が得られる。
【0012】
問題は、特許請求項1の特徴によって解消される。さらなる発展が、従属請求項中に記載される。
【0013】
詳細には、本発明による解決法は、エアバッグドアフラップ付き内部パネリング部によって提供される。このエアバッグドアフラップは、可撓性ストラップヒンジにより、開口状態でヒンジ領域内の内部パネリング部へと回転可能に取付け固定される。この解決策は、ヒンジ領域内に配置されたリブにより、特徴付けられる。このヒンジにより、ストラップヒンジの長さ(X)の変化が規定される。本発明によれば、このリブの要素は、異なる機能および効果を示すことができる。
【0014】
本発明の第1の実施形態によれば、このリブは変形リブとして構成され、この変形リブは、内部パネリング部またはエアバッグリテーナの内側に配置され、この内部パネリング部またはエアバッグリテーナから懸下される。このストラップヒンジは、変形リブの上方において、内部パネリング部またはエアバッグリテーナの内側上に延びる。その結果、このストラップヒンジは、このリブの外形を先ず内側に追随した後、外側に追随する。この経路により、ストラップヒンジの長さを余分に長くすることができ、この余分な長さにより、エアバッグ展開時においてストラップヒンジを利用することが可能になる。
【0015】
本発明の第1の実施形態のさらなる展開によれば、この結果、リブが圧縮される。変形リブはこれにより圧縮リブとして構成され、この圧縮リブは、圧縮可能材料によって構成される。内部パネリング部上にストラップヒンジの引張負荷がかかった場合、圧縮リブが変形して、ストラップヒンジが伸長(X)だけ長くなる。このような長さの変化が発生すると、このリブの圧縮により、ストラップヒンジは、ヒンジ領域内のエアバッグドアフラップの内側のより近隣に延びる。ストラップヒンジは、端部に来ると、乗員コンパートメントから離隔する下面または内部パネリング部の内側に固定され、他方側においてエアバッグドアフラップに固定される。エアバッグが展開され、エアバッグドアフラップが外方に圧縮されると、ストラップヒンジが締め付けられて圧縮リブが圧縮され、これにより、長さ変化が発生し、ストラップヒンジによる妨害を受けることなくエアバッグドアフラップを折り畳むことが可能になる。圧縮リブは好適には、本質的に引張方向に配置される。
【0016】
本発明の第1の実施形態の別のさらなる展開は、座屈リブとして構成された変形リブを含む。座屈リブは好適にはリブのベース部においてよじれる。ストラップヒンジの引張負荷により、エアバッグの展開に起因して内部パネリング部において座屈リブが破断し、これにより、ストラップヒンジの長さは、上記した様態と同様に伸長(X)だけ長くなる。この実施形態において、リブは圧縮されるのではなく屈曲してパチリと折れ、その結果長さが変化、すなわち、高さが低減して、ストラップヒンジをさらに長くすることができる。座屈リブは好適には、本質的に引張方向を横断する方向に配置される。
【0017】
本発明の第2の実施形態によれば、リブは、ガイドリブとして構成される。ガイドリブは、エアバッグリテーナを内部パネリング部内部へと接続させる。ストラップヒンジは、内部パネリング部とエアバッグリテーナとの間に延び、ガイドリブによって誘導される。これと同時に、ガイドリブは、凹部の領域内においてストラップヒンジを貫通する。ストラップヒンジ内の凹部の長手方向範囲は、長さ(X)の変化量と、ガイドリブの長手方向範囲との合計に対応する。凹部は、引張方向において一種のスリットまたはスロットとして構成され、ストラップヒンジは、引張方向において規定されたクリアランス内において移動することができる。
【0018】
本発明の第3の実施形態は、エアバッグリテーナ上のクランプリブとして構成されたリブを含む。ストラップヒンジは、クランプリブと内部パネリング部内側との間に配置され、堅固にしっかりと堅固にクランプされる。そのため、エアバッグドアフラップが開口すると、ストラップヒンジにおける引張力はクランプ力および摩擦力よりも大きくなり、ストラップヒンジの伸長(X)が発生する。伸長(X)は、力の大きさによって規定される。
【0019】
好適には、複数のリブが、内部パネリング部のヒンジ領域およびストラップヒンジに配置される。
【0020】
本発明の特に好適な実施形態によれば、本発明の第2の実施形態および第3の実施形態は、共に用いられる。同時に、ガイドリブおよびクランプリブが、ヒンジ領域内に配置される。このガイドリブの利用により、長さ(X)を高精度に指定された長さで有利に変更することが可能な利点と、また、クランプリブにおけるクランプ力および摩擦力に合わせて、ドアフラップの開口特性に有利に影響を与えることも可能となる利点とを組合わせることができる。
【0021】
有利なことに、ガイドリブおよびクランプリブは、ストラップヒンジを横断するように交互に配置される。
【0022】
本発明の特に好適な実施形態は、極めて軽量の織物シートによって構成されたストラップヒンジを含む。
【0023】
提示される解決策の構造的特徴により、多様な機能のリブを軽量織物シートと共に用いることにより、従来のエアバッグドアフラップシステムと比較して大幅な重量低減が達成可能になる。
【0024】
よって、本発明の中心的概念は、エアバッグドアフラップのためのヒンジソリューションを設計することを含む。このヒンジソリューションは、可撓性ストラップヒンジおよび特定の構造リブ特徴を用いてストラップヒンジの長さを制御し、これにより、エアバッグドアフラップの開口特性の効果を制御する。
【0025】
ストラップヒンジ、すなわち、織物シートの延長化/変位の特性の効果は、クランプリブとして指定された摩擦要素から得られる。この原理を実行することにより、織物シートがエアバッグリテーナと内部パネリング部との間でクランプされる。リブ高さによって規定される発生した摩擦およびクランプ効果により、織物シートの運動特性に影響を与え、織物シートの運動特性を制御することができる。ヒンジ点の変位は、自由経路「X」とも示す、長さの特定の変化により、可能となる。
【0026】
ストラップヒンジの長さ変化は一般的には、ストラップヒンジの弾性として理解されない。ストラップヒンジは明らかに可撓性を有するが、極めてわずかにしか伸長することができない。長さの変化は、ストラップヒンジのための余分な長さの特定の提供(specified provision)と結果的に常に関連付けられ、エアバッグ展開時におけるヒンジの最適な機能のために作動される。
【0027】
リブが、発明の特定の要素により、長さ(X)の変化として設計される余分な長さを生じさせるように作動する。
【0028】
これらのリブは、織物シートのヒンジ領域内に配置され、つぶすことまたは歪めることにより、最適なヒンジ機能に必要な織物シートの余分な長さが得られる。織物シートは、事前仕様無く届けられたままの状態で使用され、取り付け状態において、予め決められた構造上に粘着される。これは通常、内部パネリング部の下面およびエアバッグドアフラップ上において行われる。
【0029】
エアバッグが展開してエアバッグドアフラップが回転すると、織物シートが長手方向に牽引されて、力が要素に付加され、その結果、要素に歪曲が発生して、これとともに織物シートの長さが変化する。
【0030】
本発明の利点は、金属プレートを用いているためより困難でありかつ機械的ヒンジソリューションに起因してより高コストである従来のシステムの場合よりも大幅な重量低減が可能な点である。
【0031】
本提案の技術的解決策は、金属製のシステムよりも約10倍軽量であり、熱可塑性物質の射出成型部品製の比較可能なシステムよりも4倍軽量である。
【0032】
溶接された射出成型部品を用いたシステムと対照的に、軽量の合成織物シートは極めて低剛性であり、運搬部の形状により良好に適合する、すなわち、合成織物シートが内部パネリング部に固定された場合において当該内部パネリング部により良好に適合する。その結果、運搬部(carrier part)の変形が回避される。これらの特異的に構築されたリブにより、合成織物シートの必要な長さ変化が確保される。
【0033】
本解決策のさらなる大きな利点として、開口特性がある。開口特性は、高精度に決定することが可能な長さ変化を生じさせる種類および発生様態と関連付けられる。
【0034】
本発明の実施形態のさらなる詳細、特徴および利点は、以下の例示的実施形態の説明を添付図面と共に参照すれば明らかとなる。