特許第5770230号(P5770230)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5770230自動車用のエアバッグドアフラップを備えた内部パネリング部
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5770230
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】自動車用のエアバッグドアフラップを備えた内部パネリング部
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/215 20110101AFI20150806BHJP
【FI】
   B60R21/215
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-162195(P2013-162195)
(22)【出願日】2013年8月5日
(65)【公開番号】特開2014-34390(P2014-34390A)
(43)【公開日】2014年2月24日
【審査請求日】2013年8月6日
(31)【優先権主張番号】10 2012 107 234.5
(32)【優先日】2012年8月7日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】505450755
【氏名又は名称】ビステオン グローバル テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159846
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 尚
(72)【発明者】
【氏名】ラース ビーク
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン ブレット
(72)【発明者】
【氏名】ポール ピケット
【審査官】 三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−341458(JP,A)
【文献】 特開平09−030357(JP,A)
【文献】 特開2007−137244(JP,A)
【文献】 欧州特許第01062127(EP,B1)
【文献】 英国特許第02438748(GB,B)
【文献】 国際公開第03/082632(WO,A2)
【文献】 国際公開第03/082635(WO,A2)
【文献】 国際公開第2007/147966(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/16 − 21/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアバッグドアフラップ(1)を備えた内部パネリング部(4)であって、前記エアバッグドアフラップ(1)は、開状態において、ヒンジ領域(2)内において可撓性ストラップヒンジ(3)によって前記内部パネリング部(4)に対して回転可能に取付けられ、リブ(8、9、10)が前記ヒンジ領域(2)内に配置され、前記ストラップヒンジ(3)の長さ(X)の変化によって規定され、前記リブはガイドリブ(9)として構成され、前記ガイドリブ(9)は、エアバッグリテーナ(5)を前記内部パネリング部(4)の内側へ堅固に接続され、前記ストラップヒンジ(3)は前記内部パネリング部(4)と前記エアバッグリテーナ(5)との間に延び、前記ガイドリブ(9)は、凹部(11)の領域内において前記ストラップヒンジ(3)を貫通し、前記凹部(11)の長手方向範囲は、前記長さ(X)の変化と、前記ガイドリブ(9)の長手方向範囲との合計に対応する、内部パネリング部(4)。
【請求項2】
エアバッグドアフラップ(1)を備えた内部パネリング部(4)であって、前記エアバッグドアフラップ(1)は、開状態において、ヒンジ領域(2)内において可撓性ストラップヒンジ(3)によって前記内部パネリング部(4)に対して回転可能に取付けられ、リブ(8、9、10)が前記ヒンジ領域(2)内に配置され、前記ストラップヒンジ(3)の長さ(X)の変化によって規定され、前記リブは、前記エアバッグリテーナ(5)上のクランプリブ(10)として構成され、前記ストラップヒンジ(3)は、前記クランプリブ(10)と前記内部パネリング部(4)の内側との間に配置されて堅固にクランプされ、これにより、前記エアバッグドアフラップ(1)が開口すると、前記ストラップヒンジ(3)において前記引張力が前記クランプ力を上回り、前記ストラップヒンジ(3)の長さ(X)の変化が生じる、内部パネリング部(4)。
【請求項3】
複数のリブ(8、9、10)が前記ヒンジ領域(2)内に配置される、請求項1又は2に記載の内部パネリング部(4)。
【請求項4】
ガイドリブ(9)およびクランプリブ(10)が前記ヒンジ領域(2)内に配置される、請求項3の何れか1項に記載の内部パネリング部(4)。
【請求項5】
前記ガイドリブ(9)および前記クランプリブ(10)は、前記ストラップヒンジ(3)の横断方向において交互に配置される、請求項に記載の内部パネリング部(4)。
【請求項6】
前記ストラップヒンジ(3)は織物シートで実施される、請求項1〜5の何れか1項に記載の内部パネリング部(4)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアバッグシステムを備えた自動車用のエアバッグドアフラップを備えた内部パネリング部に関する。
【背景技術】
【0002】
現代のエアバッグシステムにおけるエアバッグドアフラップは、内部パネリングと一体化され、ヒンジソリューションによって内部パネリング部へと接続される。その結果、エアバッグが展開してエアバッグドアフラップが開口し、これらのフラップはヒンジによって同時に保持され、乗員コンパートメント中へと飛び出すことが無くなる。これらのフラップが制御されない場合、車両乗員に外傷が発生し得る。
【0003】
エアバッグドアフラップのための多様な技術と、ヒンジ領域の補強とが、従来技術において知られている。例えば、エアバッグドアフラップは、運搬部/基板へ固定された金属プレートとして実行される。あるいは、エアバッグドアフラップは、射出成型によって運搬部/基板へと溶接された軟質材料によって構成されるか、または、溶接される溶射布または溶射金属システムによって構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】ヨーロッパ特許第1062127号公報
【特許文献2】フランス特許第2957871号公報
【特許文献3】イギリス特許第2438748号公報
【特許文献4】国際公開第03082632号公報
【特許文献5】国際公開第03082635号公報
【特許文献6】ドイツ特許公開第102006049316号公報
【特許文献7】国際公開第2007147966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
加えて、エアバッグドアフラップの補強部およびヒンジ機能を製造するために、異なる方法が用いられる。本発明は、エアバッグシステムのエアバッグドアフラップへ適用することができる。このエアバッグドアフラップは、ストラップヒンジ型の可撓性ヒンジソリューションによって内部パネリング部へと接続される。エアバッグドアフラップの機能的な開口および揺動を確実に行うために、ヒンジ領域内においてストラップヒンジを余分な長さだけ伸長させる必要がある。ストラップヒンジを長くすることにより、エアバッグドアフラップを回転させることができる。ストラップヒンジは必ずしも成型されない。
【0006】
従来技術においては、例えば、対象領域中のケーブルにより、内部パネリング部、例えば、計器盤上において、エアバッグドアフラップを自由に動かすことを可能にするソリューションが知られている。これと同時に、剛性ピンの破断により、ケーブルを必要分さらに長くすることができる。
【0007】
これらおよび類似のヒンジソリューションについて、例えば、ヨーロッパ特許第1062127号公報、フランス特許第2957871号公報、イギリス特許第2438748号公報、国際公開第03082632号公報および国際公開03082635号公報に開示されている。
【0008】
加えて、ドイツ特許公開第102006049316号公報において、自動車用の内部パネリング部が開示されている。この内部パネリング部において、エアバッグドアフラップのための可撓性支持手段が設けられる。この可撓性支持手段の側部領域は展開可能であり、その結果、開口エアバッグドアフラップの動きが制限される。
【0009】
計器盤上のエアバッグドアフラップが、国際公開第2007147966号公報に開示されている。エアバッグドアフラップは、可撓性材料製のヒンジによって保持される。可撓性材料は布またはニットによって構成され得、平坦な可撓性材料に複数の折り目を付けることにより、ヒンジの延長化が可能となる。
【0010】
剛性の金属接続を用いたエアバッグシステムの欠陥として、重量が有る点と、変形を回避するために、運搬部と形状を適合させた様態で接続する必要がある点とがある。そのため、これらのシステムの場合、ドアフラップを開口させるために必要な弾性を達成するためには、事前形成されたヒンジおよび/または金型が必要となる。知られている可撓性ヒンジソリューションの欠点として、折り目または隆起によって可撓性ヒンジ材料を伸長させた場合、延長化を高精度かつ信頼性が高い状態で予測することが困難になるため、ヒンジ効果を充分に再現可能な様態で設計することができなくなる場合が往々にしてある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、エアバッグドアフラップ付き内部パネリング部を提供することである。この内部パネリング部は、従来のヒンジおよびドアフラップ補強部システムと対照的に、技術的製造についてより容易かつより低コストに行うことが可能である。さらなる要素により、長尺化が可能となり、ヒンジ長さの変更の特徴付けのためのより良い機会が得られる。
【0012】
問題は、特許請求項1の特徴によって解消される。さらなる発展が、従属請求項中に記載される。
【0013】
詳細には、本発明による解決法は、エアバッグドアフラップ付き内部パネリング部によって提供される。このエアバッグドアフラップは、可撓性ストラップヒンジにより、開口状態でヒンジ領域内の内部パネリング部へと回転可能に取付け固定される。この解決策は、ヒンジ領域内に配置されたリブにより、特徴付けられる。このヒンジにより、ストラップヒンジの長さ(X)の変化が規定される。本発明によれば、このリブの要素は、異なる機能および効果を示すことができる。
【0014】
本発明の第1の実施形態によれば、このリブは変形リブとして構成され、この変形リブは、内部パネリング部またはエアバッグリテーナの内側に配置され、この内部パネリング部またはエアバッグリテーナから懸下される。このストラップヒンジは、変形リブの上方において、内部パネリング部またはエアバッグリテーナの内側上に延びる。その結果、このストラップヒンジは、このリブの外形を先ず内側に追随した後、外側に追随する。この経路により、ストラップヒンジの長さを余分に長くすることができ、この余分な長さにより、エアバッグ展開時においてストラップヒンジを利用することが可能になる。
【0015】
本発明の第1の実施形態のさらなる展開によれば、この結果、リブが圧縮される。変形リブはこれにより圧縮リブとして構成され、この圧縮リブは、圧縮可能材料によって構成される。内部パネリング部上にストラップヒンジの引張負荷がかかった場合、圧縮リブが変形して、ストラップヒンジが伸長(X)だけ長くなる。このような長さの変化が発生すると、このリブの圧縮により、ストラップヒンジは、ヒンジ領域内のエアバッグドアフラップの内側のより近隣に延びる。ストラップヒンジは、端部に来ると、乗員コンパートメントから離隔する下面または内部パネリング部の内側に固定され、他方側においてエアバッグドアフラップに固定される。エアバッグが展開され、エアバッグドアフラップが外方に圧縮されると、ストラップヒンジが締め付けられて圧縮リブが圧縮され、これにより、長さ変化が発生し、ストラップヒンジによる妨害を受けることなくエアバッグドアフラップを折り畳むことが可能になる。圧縮リブは好適には、本質的に引張方向に配置される。
【0016】
本発明の第1の実施形態の別のさらなる展開は、座屈リブとして構成された変形リブを含む。座屈リブは好適にはリブのベース部においてよじれる。ストラップヒンジの引張負荷により、エアバッグの展開に起因して内部パネリング部において座屈リブが破断し、これにより、ストラップヒンジの長さは、上記した様態と同様に伸長(X)だけ長くなる。この実施形態において、リブは圧縮されるのではなく屈曲してパチリと折れ、その結果長さが変化、すなわち、高さが低減して、ストラップヒンジをさらに長くすることができる。座屈リブは好適には、本質的に引張方向を横断する方向に配置される。
【0017】
本発明の第2の実施形態によれば、リブは、ガイドリブとして構成される。ガイドリブは、エアバッグリテーナを内部パネリング部内部へと接続させる。ストラップヒンジは、内部パネリング部とエアバッグリテーナとの間に延び、ガイドリブによって誘導される。これと同時に、ガイドリブは、凹部の領域内においてストラップヒンジを貫通する。ストラップヒンジ内の凹部の長手方向範囲は、長さ(X)の変化量と、ガイドリブの長手方向範囲との合計に対応する。凹部は、引張方向において一種のスリットまたはスロットとして構成され、ストラップヒンジは、引張方向において規定されたクリアランス内において移動することができる。
【0018】
本発明の第3の実施形態は、エアバッグリテーナ上のクランプリブとして構成されたリブを含む。ストラップヒンジは、クランプリブと内部パネリング部内側との間に配置され、堅固にしっかりと堅固にクランプされる。そのため、エアバッグドアフラップが開口すると、ストラップヒンジにおける引張力はクランプ力および摩擦力よりも大きくなり、ストラップヒンジの伸長(X)が発生する。伸長(X)は、力の大きさによって規定される。
【0019】
好適には、複数のリブが、内部パネリング部のヒンジ領域およびストラップヒンジに配置される。
【0020】
本発明の特に好適な実施形態によれば、本発明の第2の実施形態および第3の実施形態は、共に用いられる。同時に、ガイドリブおよびクランプリブが、ヒンジ領域内に配置される。このガイドリブの利用により、長さ(X)を高精度に指定された長さで有利に変更することが可能な利点と、また、クランプリブにおけるクランプ力および摩擦力に合わせて、ドアフラップの開口特性に有利に影響を与えることも可能となる利点とを組合わせることができる。
【0021】
有利なことに、ガイドリブおよびクランプリブは、ストラップヒンジを横断するように交互に配置される。
【0022】
本発明の特に好適な実施形態は、極めて軽量の織物シートによって構成されたストラップヒンジを含む。
【0023】
提示される解決策の構造的特徴により、多様な機能のリブを軽量織物シートと共に用いることにより、従来のエアバッグドアフラップシステムと比較して大幅な重量低減が達成可能になる。
【0024】
よって、本発明の中心的概念は、エアバッグドアフラップのためのヒンジソリューションを設計することを含む。このヒンジソリューションは、可撓性ストラップヒンジおよび特定の構造リブ特徴を用いてストラップヒンジの長さを制御し、これにより、エアバッグドアフラップの開口特性の効果を制御する。
【0025】
ストラップヒンジ、すなわち、織物シートの延長化/変位の特性の効果は、クランプリブとして指定された摩擦要素から得られる。この原理を実行することにより、織物シートがエアバッグリテーナと内部パネリング部との間でクランプされる。リブ高さによって規定される発生した摩擦およびクランプ効果により、織物シートの運動特性に影響を与え、織物シートの運動特性を制御することができる。ヒンジ点の変位は、自由経路「X」とも示す、長さの特定の変化により、可能となる。
【0026】
ストラップヒンジの長さ変化は一般的には、ストラップヒンジの弾性として理解されない。ストラップヒンジは明らかに可撓性を有するが、極めてわずかにしか伸長することができない。長さの変化は、ストラップヒンジのための余分な長さの特定の提供(specified provision)と結果的に常に関連付けられ、エアバッグ展開時におけるヒンジの最適な機能のために作動される。
【0027】
リブが、発明の特定の要素により、長さ(X)の変化として設計される余分な長さを生じさせるように作動する。
【0028】
これらのリブは、織物シートのヒンジ領域内に配置され、つぶすことまたは歪めることにより、最適なヒンジ機能に必要な織物シートの余分な長さが得られる。織物シートは、事前仕様無く届けられたままの状態で使用され、取り付け状態において、予め決められた構造上に粘着される。これは通常、内部パネリング部の下面およびエアバッグドアフラップ上において行われる。
【0029】
エアバッグが展開してエアバッグドアフラップが回転すると、織物シートが長手方向に牽引されて、力が要素に付加され、その結果、要素に歪曲が発生して、これとともに織物シートの長さが変化する。
【0030】
本発明の利点は、金属プレートを用いているためより困難でありかつ機械的ヒンジソリューションに起因してより高コストである従来のシステムの場合よりも大幅な重量低減が可能な点である。
【0031】
本提案の技術的解決策は、金属製のシステムよりも約10倍軽量であり、熱可塑性物質の射出成型部品製の比較可能なシステムよりも4倍軽量である。
【0032】
溶接された射出成型部品を用いたシステムと対照的に、軽量の合成織物シートは極めて低剛性であり、運搬部の形状により良好に適合する、すなわち、合成織物シートが内部パネリング部に固定された場合において当該内部パネリング部により良好に適合する。その結果、運搬部(carrier part)の変形が回避される。これらの特異的に構築されたリブにより、合成織物シートの必要な長さ変化が確保される。
【0033】
本解決策のさらなる大きな利点として、開口特性がある。開口特性は、高精度に決定することが可能な長さ変化を生じさせる種類および発生様態と関連付けられる。
【0034】
本発明の実施形態のさらなる詳細、特徴および利点は、以下の例示的実施形態の説明を添付図面と共に参照すれば明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1a】従来技術によるエアバッグドアフラップのためのヒンジ締結原理を示す図である。
図1b】従来技術によるエアバッグドアフラップのためのヒンジ締結原理を示す図である。
図1c】従来技術によるエアバッグドアフラップのためのヒンジ締結原理を示す図である。
図2a】内部パネリング部上のエアバッグドアフラップ締結システムを示す図である。
図2b】内部パネリング部上のエアバッグドアフラップ締結システムを示す図である。
図3a】圧縮リブの断面を示す図である。
図3b】圧縮リブの断面を示す図である。
図4a】座屈リブの断面を示す図である。
図4b】座屈リブの断面を示す図である。
図5a】ガイドリブおよびストラップヒンジの断面を示す図である。
図5b】ガイドリブおよびストラップヒンジの断面を示す図である。
図6】クランプリブ断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1a、図1bおよび図1cにおいて、従来技術による、エアバッグドアフラップのためのヒンジ締結の原理を示す。
【0037】
図1aは、エアバッグドアフラップ1を示す。エアバッグドアフラップ1は、自動車の内部パネリング部4内に一体化される。エアバッグドアフラップ1の下面は、ストラップヒンジ3へと接続される。ストラップヒンジ3は、内部パネリング部4上で回転点6の上方に延び、回転点6へ固定接続される。
【0038】
図1bは、エアバッグ展開後(図示せず)のエアバッグドアフラップ1を示す。エアバッグドアフラップ1は、ストラップヒンジ3の回転点6周囲において回転し、ストラップヒンジ3によって保持される。可撓性ストラップヒンジ3のヒンジ領域2により、エアバッグドアフラップ1の回転が可能となる。
【0039】
図1cに示すように、従来技術の場合、余分な長さのストラップヒンジ3がヒンジ領域2内において保持および準備され、長さは例えば折り畳まれた形で供給され、これにより、ストラップヒンジ3の材料からの抵抗を引き起こすことなく、エアバッグドアフラップ1が回転点6周囲において回転することが可能になる。実際には、ストラップヒンジ3の余分な長さをヒンジ領域2内で再現可能に寸法合わせできることが望ましく、結果として、エアバッグドアフラップ1の開口特性を高精度に事前決定可能に設計することができることが望ましい。
【0040】
図2aおよび図2bは、内部パネリング部4における2つのエアバッグドアフラップ締結システムを示す。
【0041】
図2aは、実施形態を俯瞰図で示す。この実施形態を図3aおよび図3b中に詳細に示す。内部パネリング部4が有する領域内に、エアバッグドアフラップ1が設けられる。エアバッグドアフラップ1は、エアバッグ出口カバーとしても指定される。エアバッグドアフラップ1は例えば所定の破断点によって内部パネリング部4へと接続され、別個の部分としてではなく、車両乗員に向かって外方に向いている。エアバッグが展開されると、エアバッグドアフラップ1は内部パネリング部4から飛び出す。これと同時に、飛び出したエアバッグドアフラップ1は、車両乗員に対して危険性を発生させない。なぜならば、エアバッグドアフラップ1はヒンジによって保持されており、ヒンジ領域2内の回転点6の周囲において誘導された回転運動を行うからである。ヒンジそのものは、ストラップヒンジ3によって形成される。ストラップヒンジ3は、長手方向範囲において、縁領域の断面が図示されており、締結領域7によって内部パネリング部4およびエアバッグドアフラップ1へと接続される。変形リブ8は、ヒンジ領域2内の内部パネリング部4上に形成され、エアバッグリテーナ5と接触する。織物シートとして構成されたストラップヒンジ3は、内部パネリング部4の下面上においてエアバッグドアフラップ1に沿って延び(run)、締結領域7内において内部パネリング部4の下面に固着される。エアバッグが展開されると、エアバッグドアフラップ1は内部パネリング部4から飛び出すが、ストラップヒンジ3において保持される。ストラップヒンジ3は、締結領域7内において例えば溶接によって内部パネリング部4へと接続される。その結果、エアバッグドアフラップ1は回転インパルス(a rotational impulse)を受け、回転点6の周囲を反時計回りに回転する。この回転運動を妨害無く実行するためには、ストラップヒンジ3の長さ変化が必要であり、ストラップヒンジ3の長さ変化は、ストラップヒンジ3の引張負荷(a tensile load)と、ストラップヒンジ3と関連付けられた変形リブ8の変形とによる、余分な長さ(an extra length)(X)によって提供される。
【0042】
この作動モードと同様に、エアバッグドアフラップ締結システムが図2bに図示される。図2bは、図2aの実施形態と異なり、ヒンジ領域要素内においてクランプリブの形で示される。この実施形態を、必要であれば図5aおよび図5bの実施形態と関連して図6に示す。
【0043】
図3aおよび図3bは、変形リブの特定の実施形態を圧縮リブ8.1として示す。圧縮リブ8.1は、内部パネリング部4上に形成される。図示の例において、圧縮リブ8.1は、結果的に内部パネリング部4と同じ材料によって構成される。しかし、状況によっては、圧縮リブ8.1を内部パネリング部4よりもさらに容易に圧縮可能な材料で構成すると有利である。特に適切な材料としては、小さな力で圧縮させることが可能な発泡材料タイプの合成物質(synthetic substances of the foam-material type)がある。圧縮リブ8.1としての機能に基づいたリブの概念は、その幅よりも大きな高さは絶対的に示すことのない、長手方向範囲および伸長方向の領域として理解されるべきである。この場合、圧縮リブ8.1は、断面に沿って長手方向範囲内に配置される。
【0044】
図3aに示す圧縮リブ8.1は、請求項に記載されていない状態にあり、ストラップヒンジ3は、圧縮リブ8.1の外形に追随し、内部パネリング部4の内側上に延びた後、エアバッグドアフラップ1の内側へと再度戻るように飛び出す。図示の例示的実施形態において、圧縮リブ8.1は、エアバッグリテーナ5においてその上に延びているストラップヒンジ3と共に支持される。図3bに示す圧縮リブ8.1は、エアバッグ展開後の請求項に記載のような状態にある。ストラップヒンジ3は、エアバッグドアフラップ1の回転運動の開始に起因して引張負荷に対して圧縮リブ8.1を圧縮し、外形変化により、エアバッグドアフラップ1の抵抗低減回転運動に必要とされる余分な長さを発生させる。変形した圧縮リブ8.1の外形の変化は、エアバッグリテーナ5から圧縮リブ8.1への距離によって視覚化される。
【0045】
変形例として、圧縮リブ8.1をエアバッグリテーナ5に配置することができる。
【0046】
座屈リブ8.2としての変形リブの実施形態を図4aおよび図4bに示す。
【0047】
座屈リブ8.2は、前記回転方向に対して垂直であるため、内部パネリング部4においてその長手方向を横断する方向に射出(injected)される。織物シート3として実施されるストラップヒンジは、取り付け状態において、座屈リブ8.2のリブ構造に固着し、その構造は、エアバッグリテーナ5によって支持される。リブベース上の面取り(chamfer)(詳細は図示せず)により、座屈リブ8.2を特定に屈曲させて折れる(snapping off)ことが可能となり、これにより、エアバッグ展開により引張負荷が発生した際、織物シート3のさらなる移動をさせることが可能になる。
【0048】
座屈リブ8.2が耐え切れなくなって折れることによって得られるストラップヒンジ3の余分な長さ(X)を図4Bに示す。
【0049】
変形例として、座屈リブ8.2はエアバッグリテーナ5に配置することができる。
【0050】
図5aおよび図5bは、ガイドリブ9およびストラップヒンジ3、エアバッグドアフラップ1、ならびに内部パネリング部4の断面図である。内部パネリング部4は、ガイドリブ9へとしっかりと堅固に接続される。ガイドリブ9は、エアバッグリテーナ5へしっかり固定して接続される。
【0051】
図5bの平面図において、ガイドリブ9を通る水平方向の長手方向断面においてストラップヒンジ3が図示される。凹部11は、ストラップヒンジ3の引張負荷の長手方向においてスリットまたはスロットの形で配置される。これらの凹部11をガイドリブ9が貫通し、ガイドリブ9の周囲を、ストラップヒンジが長手方向方向において移動することができるので、余分な長さ(X)の長さの量について差異が生じる。
【0052】
図6において、リブがクランプリブ10として図示されている。この要素は、ストラップヒンジ3の長さを延長させるという特性を規定するのに役立つ。
【0053】
このさらなる選択肢は、ストラップヒンジ3を特定に解放して、クランプによって可能なヒンジ点を変位させることに基づく。ここで、変位特性を調節および規定するために、異なるパラメータを用いることが可能になる。これは、例えば、織物シート3とエアバッグリテーナ5との間の摩擦によって可能となる。さらに、クランプリブ10の高さおよび材料特性により、クランプリブ10と内部パネリング部4との間の両者間に設けられた織物シート3上において作動するクランプ力が規定される。
【0054】
クランプリブ10は、織物シート3とエアバッグリテーナ5との間に摩擦が存在するように実行され、長さXの変化および織物シート3の変位の特性に大きな影響を与える。
【符号の説明】
【0055】
1 エアバッグドアフラップ、エアバッグ出口カバー
2 ヒンジ領域
3 ストラップヒンジ、織物シート
4 内部パネリング部
5 エアバッグリテーナ
6 回転点
7 締結領域、織物シート
8 変形リブ
8.1 圧縮リブ
8.2 座屈リブ
9 ガイドリブ
10 クランプリブ
11 凹部
図1a
図1b
図1c
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b
図5a
図5b
図6