(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明に係るホールドアストッパの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、且つ、容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0009】
〔実施形態〕
図1は、実施形態に係るホールドアストッパでホールドアを固定可能なホールドアヘッダ部の構成を示す説明図である。
図2は、
図1のA−A矢視図である。同図に示すホールドアヘッダ部15は、エレベータの乗り場(図示省略)に設置され、エレベータの利用者が乗りかご(図示省略)に乗降する際に開閉するホールドア10を開閉させるための作動部を構成している。即ち、ホールドアヘッダ部15は、ホールドア10を開閉可能に保持している。このホールドア10は、開閉時に異なる速度で同じ方向に開閉する2種類のドアからなり、開閉時に相対的に高速で開閉する高速側ドア11と、高速側ドア11よりも低速で開閉する低速側ドア12とからなる。この高速側ドア11と低速側ドア12とは、ホールドア10を閉じる際には、高速側ドア11と低速側ドア12とが開閉方向に並ぶことにより、乗りかご内と乗り場とを遮断することが可能になっている。一方、ホールドア10を開いた際には、高速側ドア11と低速側ドア12とが重なる状態で、乗りかご内と乗り場との連通路から退避することにより、乗りかごに対する利用者の乗降を可能にすることができる。
【0010】
このホールドア10は、ホールドア10の上部に設置されるホールドアヘッダ部15に連結されることにより、開閉可能に設けられている。ホールドアヘッダ部15は、ホールドア10が開閉する際における軌道となるハンガーレール20を有しており、ホールドア10の開閉方向である水平方向に延在している。このハンガーレール20は、高速側ドア11と低速側ドア12とに対応してそれぞれ設けられており、高速側ドア11用のハンガーレール20である高速側レール21と、低速側ドア12用のハンガーレール20である低速側レール22と、が設けられている。これらの高速側レール21と低速側レール22とでは、低速側レール22よりも高速側レール21の方が長くなっており、ホールドア10の開閉方向における高速側ドア11の幅と同程度、高速側レール21の方が長くなっている。
【0011】
図3は、
図1のB−B断面図である。
図4は、
図1のC−C断面図である。
図5は、
図1のD−D断面図である。ホールドアヘッダ部15は、筐体であるヘッダケース16を有しており、ハンガーレール20は、このヘッダケース16に取り付けられている。このヘッダケース16は、低速側レール22が位置する側から、ハンガーレール20等の上方部分にかけて配設されている。さらに、ヘッダケース16の上方付近における、低速側レール22が位置する側の反対側の部分には、下方に向かった所定の範囲を覆うヘッダーカバー17が取り付けられている。
【0012】
また、ハンガーレール20である高速側レール21と低速側レール22とは、ホールドア10の厚さ方向に並べると共に、一端側の位置を揃えた状態でヘッダケース16に取り付けられている。ハンガーレール20の取り付けは、ボルト28を用いて行うと共に、ボルト28が通るカラーを使用することにより、高速側レール21と低速側レール22とを所定の位置関係にして取り付ける。
【0013】
例えば、低速側レール22は、ヘッダケース16の壁面に取り付けると共に、低速側レール22とヘッダケース16との間には、低速側カラーを配設することにより、低速側レール22はヘッダケース16との間に所定の間隔をあけて取り付けられる。具体的には、低速側レール22における、高速側レール21の端部と揃っている側の端部とヘッダケース16との間には、第1低速側カラー23を配設する。また、低速側レール22における第1低速側カラー23が位置する側の端部の反対側の端部とヘッダケース16との間には、第1低速側カラー23と同じ長さの第2低速側カラー24を配設する。
【0014】
また、高速側レール21と低速側レール22とは、双方の間に中間カラーを配設することにより、所定の間隔をあけて取り付けられている。具体的には、低速側レール22の長さ方向における第1低速側カラー23が配設される位置での高速側レール21と低速側レール22との間には、第1中間カラー25を配設し、第2低速側カラー24が配設される位置では、第2中間カラー26を配設する。これにより、高速側レール21と低速側レール22とは、第1中間カラー25や第2中間カラー26の長さの分、間隔があけられる。
【0015】
また、高速側レール21における第1中間カラー25が位置する側の端部の反対側の端部には、低速側レール22が取り付けられるヘッダケース16の壁面との間に、高速側カラー27が配設されている。この高速側カラー27は、第1低速側カラー23と第1中間カラー25の長さ、及び低速側レール22の厚さを足した長さになっており、これにより高速側レール21は、低速側レール22に対して平行に配設されている。
【0016】
ホールドア10は、このハンガーレール20に沿って水平方向に移動可能に、ハンガー30を介して吊り下げられている。詳しくは、高速側ドア11は、この高速側ドア11用のハンガー30である高速側ハンガー31に上端が連結されることにより高速側ハンガー31に吊り下げられており、高速側ハンガー31は、高速側レール21の上面に接触しながら回転するハンガーローラ35を複数備えている。同様に、低速側ドア12は、この低速側ドア12用のハンガー30である低速側ハンガー32に上端が連結されることにより低速側ハンガー32に吊り下げられており、低速側ハンガー32は、低速側レール22の上面に接触しながら回転するハンガーローラ35を複数備えている。
【0017】
これにより、高速側ハンガー31や低速側ハンガー32は、高速側ドア11や低速側ドア12を高速側レール21や低速側レール22に沿って移動可能に吊り下げている。また、高速側ハンガー31と低速側ハンガー32とには、共に高速側レール21や低速側レール22の下方側に、ホールドア10の外れ防止や開閉時の振れ防止を行うエキセントリックローラ36が備えられている。
【0018】
また、低速側ハンガー32における第1低速側カラー23が位置する側の端部付近には、ホールドア10の保守作業時に用いる穴であるストッパ用穴33が形成されている。詳しくは、ストッパ用穴33は、低速側ハンガー32において、ホールドア10を閉じた際に高速側ハンガー31が位置する側の端部の反対側の端部付近に、低速側ハンガー32に対してハンガーローラ35の軸方向と同じ方向にあけられた穴になっている。
【0019】
ホールドアヘッダ部15は、ホールドア10の開閉時に高速側ドア11と低速側ドア12とで開閉速度を異ならせる変速機構が備えられており、変速機構は、シーブ40と、操作シーブ支持部43と、ロープ45と、複数のロープ止めとにより構成されている。このうち、操作シーブ支持部43は、低速側ハンガー32に連結されており、低速側ハンガー32の上方で、ホールドア10の開閉方向に延在している。
【0020】
シーブ40は、操作シーブ支持部43によって支持されており、ホールドア10の開閉方向における操作シーブ支持部43の両端の2箇所に配設されている。この2つのシーブ40は、共に軸方向が鉛直になる向きで、軸受41とカラー42とが用いられることにより、回転自在に配設されている。
【0021】
2つのシーブ40間には、ロープ45が巻き掛けられており、このためロープ45は、高速側レール21や高速側ハンガー31に近い側に位置する部分と、低速側レール22や低速側ハンガー32に近い側に位置する部分とが、平行な状態で並ぶことになる。このロープ45のうち、高速側レール21や高速側ハンガー31に近い側に位置する部分は、高速側ロープ止め46によって高速側ハンガー31に連結されている。これに対し、2つのシーブ40間に延在するロープ45のうち、低速側レール22や低速側ハンガー32に近い側に位置する部分は、ケース側ロープ止め47によってヘッダケース16に連結されている。
【0022】
また、高速側ハンガー31には、リール式のドアクローザ50が取り付けられている。このドアクローザ50は、ホールドア10の開閉方向に直交する回転軸を中心として回転可能にボルト51よって高速側ハンガー31に取り付けられている。このドアクローザ50には、ワイヤ52が巻き掛けられており、ワイヤ52の先端は、ヘッダケース16における、第1低速側カラー23や第1中間カラー25が位置する側の端部の反対側の端部に付近に接続されている。
【0023】
また、ドアクローザ50には、ワイヤ52を巻き取る巻取り機構が備えられており、ワイヤ52に対して、常に巻き取る方向の付勢力を付与している。このため、ドアクローザ50には、ワイヤ52におけるヘッダケース16への接続部分に近付く方向の力が発生しており、ドアクローザ50が取り付けられる高速側ハンガー31に対して、この力を付与している。
【0024】
また、ホールドアヘッダ部15には、ホールドア10の戸閉時にはロックがかかることにより閉じた状態を維持し、乗りかごが着床した際に、乗りかご側の係合部材と係合することによりロックが解除されるインターロック56が設けられている。ホールドア10は、エレベータの通常の運転時には、このインターロック56により、乗りかごが着床した場合にのみ、戸開することが可能になっている。
【0025】
さらに、ホールドアヘッダ部15には、ホールドア10の戸開状態や戸閉状態を検出するスイッチボックス55が設けられている。スイッチボックス55は、エレベータの各部を制御する制御盤(図示省略)に接続されており、ホールドア10の開閉状態を示す信号を、この制御盤に出力することが可能になっている。
【0026】
図6は、実施形態に係るホールドアストッパの平面図である。
図7は、
図6のE−E矢視図である。
図8は、
図6のF−F矢視図である。ホールドア10の保守点検時に用いるホールドアストッパ60は、
フック部材61と平板65とより構成されている。このうち、
フック部材61は、フック状に曲げられることにより他の部材に引っ掛けることができるフック部62を有
している。換言すると、
フック部材61は、J字状の形状で形成されており、J字状に曲がっている部分であるフック部62は、低速側ハンガー32のストッパ用穴33に通すことができる太さになっている。また、このフック部62は、曲がっている部分の内側に、少なくとも第2中間カラー26が入り込むことができる大きさで曲げられている。
【0027】
また、平板65は、長方形の板状の形状で形成される板部材になっており、長手方向が平板65の長手方向になり、板の厚さ方向に貫通する穴である長穴66が形成されている。この平板65は、J字状に形成される
フック部材61の直線部分である直線部63に連結される。詳しくは、
フック部材61には、J字の形状の平面視において直線部63に直交する貫通穴64が当該直線部63に2つ形成されており、2つの貫通穴64は、直線部63におけるフック部62が位置する側と、直線部63の先端側とに並んで形成されている。直線部63に形成される2つの貫通穴64には、共にボルト71を挿通可能になっている。
【0028】
このように
フック部材61の穴に通されるボルト71には、それぞれ2つのナットを螺合させてロックナットとして使用することにより、任意の位置で固定することが可能になっている。2つのナットは、例えば、各ボルト71において内側に位置するナットはフランジ付ナット73を使用し、各ボルト71において外側に位置してフランジ付ナット73を任意の位置で固定するためのナットとして、通常のナット72を用いるのが好ましい。
【0029】
平板65は、
フック部材61の直線部63の先端側に位置する貫通穴64と、平板65の長穴66とに対し、1つのボルト71を挿通してフランジ付ナット73とナット72とを螺合させることにより、
フック部材61に連結する。即ち、
フック部材61の直線部63の先端側に位置する貫通穴64に挿通するボルト71と、このボルト71に螺合するフランジ付ナット73とナット72とは、
フック部材61と平板65とを連結すると共に、
フック部材61と平板65との相対的な角度を変化させて双方を固定することができる連結部材70として構成されている。
【0030】
このホールドアストッパ60を構成する各部は、ホールドアストッパ60の使用形態により、ホールドアヘッダ部15の固定側に係止する固定側係止部、またはハンガー30に係止することによりハンガー30の移動を規制する移動側係止部として機能する。
【0031】
具体的には、ホールドアストッパ60は、ホールドアヘッダ部15に対して、ホールドア10の開閉方向におけるハンガー30の両側に装着することにより、ホールドア10を固定することが可能になっている。その際に、ホールドア10の開閉方向における一端側での固定側係止部は、他端側では移動側係止部として機能し、ホールドア10の開閉方向における一端側での移動側係止部は、他端側では固定側係止部として機能することが可能になっている。例えば、
フック部材61は、ホールドア10の開閉方向における一端側では固定側係止部として機能し、他端側では移動側係止部として機能する。このように、ホールドアストッパ60は、ホールドア10の開閉方向における両側で、ホールドアストッパ60を構成する部材によって固定側係止部と移動側係止部とが入れ替えられて使用することが可能になっている。
【0032】
この実施形態に係るホールドアストッパ60は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。エレベータの運転時は、エレベータの利用者が、各階の乗り場や乗りかご内に設置される操作盤(図示省略)に対して呼び登録や行先登録の操作を行うことにより、利用者が要求する階床間を乗りかごが移動する。利用者は、このように移動する乗りかごに乗降することにより、階床間を移動する。
【0033】
乗りかごが乗り場に着床した際には、ホールドアヘッダ部15に設けられるインターロック56と、乗りかご側の係合部材とが係合することにより、インターロック56によるホールドア10のロックが解除される。また、乗りかごが乗り場に着床した際には、乗りかごのドアとホールドア10との双方に設けられる係合部材(図示省略)同士が係合することにより、乗りかごのドアの開閉に伴って、ホールドアも開閉する。
【0034】
このホールドア10の開閉は、ハンガーローラ35がハンガーレール20上で転動しながらハンガーレール20に沿ってハンガー30が水平方向に移動することにより、ホールドア10もハンガー30と共に水平方向に移動する。その際に、高速側ハンガー31には、シーブ40に巻き掛けられているロープ45が高速側ロープ止め46によって連結されており、低速側ハンガー32には、シーブ40を支持する操作シーブ支持部43が取り付けられている。このため、高速側ハンガー31と低速側ハンガー32との移動は、ロープ45やシーブ40の移動を介して、双方の間で伝達される。
【0035】
詳しくは、低速側ハンガー32は、操作シーブ支持部43が取り付けられることによりシーブ40と同じ速度で、シーブ40と一体となって低速側レール22に沿って移動する。これに対し、高速側ハンガー31は、高速側ロープ止め46によってロープ45に連結されているため、高速側ハンガー31は、高速側ロープ止め46が位置する部分のロープ45と同じ速度で高速側レール21に沿って移動する。ロープ45は、低速側ハンガー32に近い側に位置する部分は、ケース側ロープ止め47によってヘッダケース16に連結されているため、操作シーブ支持部43と共にシーブ40が移動する際には、ロープ45はシーブ40に対して相対的に回転をする。
【0036】
このため、シーブ40の移動時には、ロープ45における高速側ロープ止め46側の部分は、シーブ40の移動方向と同じ方向に、シーブ40の移動速度の2倍の速度で移動する。このため、高速側ハンガー31は、低速側ハンガー32の移動方向と同じ方向に、低速側ハンガー32の移動速度の2倍の速度で移動する。これにより、ホールドア10の開閉時には、高速側ドア11は、低速側ドア12の開閉速度の2倍の速度で開閉する。このホールドア10は、戸閉時は高速側ドア11と低速側ドア12とが開閉方向に並ぶことにより戸閉状態になる。一方、戸開時は、高速側ドア11と低速側ドア12とが、乗りかご内と乗り場との連通路から退避して重なった状態になるが、ホールドア10は、高速側ドア11が低速側ドア12に対して2倍の速度で開閉することにより、戸開状態になる。
【0037】
これらのように作動するエレベータは、定期的に、または不具合が発生した場合等に保守作業を行うが、この保守作業は、エレベータの運転を停止させて、各部の点検作業や部品の交換作業を行う。この保守作業では、ホールドア10についても必要に応じて行う。次に、ホールドア10について保守作業を行う場合について説明する。
【0038】
ホールドア10について保守作業を行う際には、ホールドア10は、全開の戸開状態でホールドアヘッダ部15にホールドアストッパ60を装着し、ホールドアストッパ60でホールドア10を固定した状態で行う。このホールドアヘッダ部15へのホールドアストッパ60の装着は、乗りかごから行う。
【0039】
このため、ホールドア10を固定する際には、ホールドアストッパ60をホールドアヘッダ部15に装着するために、まず、乗りかご上からホールドアストッパ60をホールドアヘッダ部15に装着できる位置に、乗りかごを移動させる。即ち、ホールドアヘッダ部15が乗りかご上の作業者に対して露出する位置に乗りかごを移動させる。
【0040】
作業者が乗りかごに乗り込んだ状態で、作業者の位置に対してホールドアヘッダ部15が露出する位置まで乗りかごを移動させたら、ホールドア10を全開にし、ホールドアストッパ60をホールドアヘッダ部15に装着する。このホールドアストッパ60は、戸開状態のハンガー30における、ハンガー30の移動方向の両側から、ハンガー30の移動を規制するように装着する。
【0041】
図9は、戸開状態時にハンガーが位置する側のホールドアヘッダ部の平面詳細図である。ハンガー30を戸開方向に移動させる際の移動方向の先端側にホールドアストッパ60を取り付ける際には、まず、ホールドアストッパ60が有する
フック部材61のフック部62を、低速側ハンガー32のストッパ用穴33に通す。即ち、ハンガー30に対して第1低速側カラー23や第1中間カラー25(共に
図2参照)の近傍でホールドアストッパ60を取り付ける際には、
フック部材61のフック部62を、低速側ハンガー32のストッパ用穴33に対して、高速側ハンガー31が位置する側から通す。これにより、ホールドアストッパ60の
フック部材61を、低速側ハンガー32のストッパ用穴33に引っ掛け、
フック部材61で低速側ハンガー32を係止する。ホールドア10を開く方向におけるハンガー30の先端側では、
フック部材61は、このように低速側ハンガー32に形成されるストッパ用穴33に引っ掛けることにより低速側ハンガー32に係止する移動側係止部として機能する。
【0042】
ホールドアストッパ60は、
フック部材61側、或いは平板65側が、ハンガー30を開方向に移動させる際の移動方向側に位置する向きにし、連結部材70を、ヘッダケース16の外側に出す。この状態で、連結部材70が有するフランジ付ナット73のフランジ部を、ヘッダケース16の外面における、ホールドアストッパ60が位置する側の端部に引っ掛ける。
【0043】
詳しくは、連結部材70のボルト71は、ハンガーレール20をヘッダケース16に取り付けるボルト28(
図2参照)と同じ向きにし、フランジ付ナット73を、ヘッダケース16におけるハンガーレール20が位置する面の反対側の面側に位置させ、この面の端部にフランジ付ナット73のフランジを引っ掛ける。ホールドア10を開く方向におけるハンガー30の先端側では、連結部材70は、このようにヘッダケース16の外面におけるホールドア10を閉じる方向の反対側の面に当接させることにより、ヘッダケース16に係止する固定側係止部として機能する。
【0044】
ホールドアストッパ60は、これらにより、低速側ハンガー32のストッパ用穴33に引っ掛けられているホールドアストッパ60の、ホールドア10の戸閉時のハンガー30の移動方向への移動を規制し、戸閉方向への低速側ハンガー32の移動を規制する。
【0045】
図10は、戸開状態時における第2中間カラー付近の斜視図である。ホールドア10の戸開状態におけるハンガー30の、戸開方向への移動方向の反対側にホールドアストッパ60を取り付ける際には、ホールドアストッパ60は、第2中間カラー26(
図2参照)に引っ掛ける。即ち、ホールドアストッパ60が有する
フック部材61のフック部62を、第2中間カラー26に引っ掛ける。ホールドア10を開く方向におけるハンガー30の後端側では、
フック部材61は、ハンガーレール20をヘッダケース16に連結する部材である第2中間カラー26に係止する固定側係止部として機能する。
【0046】
ここで、高速側ハンガー31は、ホールドア10の全開状態では、第2中間カラー26の位置よりも、第1中間カラー25側に位置する状態になる。第2中間カラー26に引っ掛けたホールドアストッパ60は、高速側ハンガー31が第2中間カラー26より第1中間カラー25側に位置する状態で、平板65を
フック部材61から高速側ハンガー31が位置する方向に向けて角度を変化させて固定する。
【0047】
即ち、
フック部材61に対する平板65の角度を、平板65が
フック部材61から高速側ハンガー31が位置する側に向かう角度にした状態で、連結部材70のナット72とフランジ付ナット73とを締め込むことによって、平板65をその角度で固定する。これにより、高速側ドア11が戸開方向に移動し、高速側ハンガー31が同方向に移動した場合には、高速側ハンガー31は平板65に当接する。ホールドア10を開く方向におけるハンガー30の後端側では、平板65は、ホールドア10が閉じられる際の高速側ハンガー31の移動方向側に位置して高速側ハンガー31に当接することにより高速側ハンガー31に係止する移動側係止部として機能する。
【0048】
なお、平板65は、長穴66内における連結部材70のボルト71の位置を調節することにより、
フック部材61に対する平板65の相対的な位置を調節し、
フック部材61を第2中間カラー26に引っ掛けた状態で、高速側ハンガー31に当接するようにするのが好ましい。
【0049】
平板65を有するホールドアストッパ60は、
フック部材61が第2中間カラー26に引っ掛けられており、ホールドア10の開閉方向の移動が規制されている。このため、第1中間カラー25が位置する側から平板65に当接した高速側ハンガー31も、このホールドアストッパ60により、それ以上の戸閉方向への移動、即ち、高速側カラー27(
図2参照)が位置する方向への移動が規制される。
【0050】
これらにより、低速側ハンガー32は、ストッパ用穴33に引っ掛けられたホールドアストッパ60により、戸閉方向への移動が規制され、高速側ハンガー31は、第2中間カラー26に引っ掛けられたホールドアストッパ60により、戸閉方向への移動が規制される。従って、ハンガー30に吊り下げられているホールドア10は、戸閉方向への移動が規制されるため、戸開状態のホールドア10は戸閉しなくなり、戸開状態で固定される。
【0051】
次に、ホールドアストッパ60を使用してホールドア10を固定し、エレベータの保守作業を行う場合の手順について説明する。
図11は、実施形態に係るホールドアストッパを用いてエレベータの保守作業を行う場合の手順を示すフロー図である。ホールドアストッパ60を用いてエレベータの保守作業を行う場合には、まず、乗りかごを移動させる(ステップST11)。つまり、エレベータの運転を停止して保守点検を行う準備をし、乗りかご上からホールドアストッパ60をホールドアヘッダ部15に装着できる位置に、乗りかごを移動させる。
【0052】
次に、ホールドアストッパ60でホールドア10を固定する(ステップST12)。即ち、ホールドア10を全開にし、この状態のハンガー30における、ハンガー30の移動方向の両側から、ハンガー30の移動を規制するようにホールドアストッパ60を装着する。このようにホールドアストッパ60を装着して、ハンガー30の移動を規制することにより、ハンガー30に吊り下げられているホールドア10を固定する。
【0053】
ホールドア10を固定したら、保守作業を開始する(ステップST13)。つまり、ホールドア10は開いた状態で固定されているため、作業者は、ホールドア10が突然閉まることを心配することなく、ホールドア10周りの保守作業を行うことができる。
【0054】
保守作業を行うことによって作業が完了したら(ステップST14)、次に、ホールドアストッパ60を取り外す(ステップST15)。即ち、ハンガー30の移動方向における両側から装着したホールドアストッパ60を取り外すことにより、ハンガー30を移動可能にし、ホールドア10を開閉可能な状態にして、作業を終了する。
【0055】
以上の実施形態に係るホールドアストッパ60は、
フック部材61を、ホールドアヘッダ部15の固定側、或いはハンガー30のうち一方に係止し、平板65と連結部材70とのうちいずれか1つを、ホールドアヘッダ部15の固定側、或いはハンガー30のうち他方に係止することにより、ホールドア10を吊り下げるハンガー30を固定することができる。この結果、ホールドア10の上部でドアを固定することができる。また、これにより、ホールドア10の上部廻りの点検や整備を、安全に、且つ、迅速に行うことができる。
【0056】
また、ホールドアストッパ60は、ホールドア10の開閉方向における両側で、ホールドアストッパ60を構成する部材によって固定側係止部としての機能する部分と、移動側係止部としての機能する部分とを入れ替えて使用することができるので、1つの形態のホールドアストッパ60を複数箇所に用いることができる。これにより、ホールドア10を固定する際に、ホールドアストッパ60を装着する位置によって異なる形態のホールドアストッパ60を用いる必要がなく、ホールドアストッパ60の共用化を図ることができる。この結果、ホールドア10の上部でドアを固定する際の製造コストを抑えることができる。
【0057】
また、ホールドア10を開く方向におけるハンガー30の先端側では、連結部材70をヘッダケース16に係止し、
フック部材61を低速側ハンガー32のストッパ用穴33に引っ掛けて係止することにより、低速側ハンガー32の移動を容易に規制することができる。この結果、ホールドア10の上部でより容易にドアを固定することができる。
【0058】
また、ホールドア10を開く方向におけるハンガー30の後端側では、
フック部材61は第2中間カラー26に係止し、平板65は、ホールドア10が閉じられる際の高速側ハンガー31の移動方向側で高速側ハンガー31に当接して係止することにより、高速側ハンガー31の移動を容易に規制することができる。この結果、ホールドア10の上部でより容易にドアを固定することができる。
【0059】
〔変形例〕
なお、上述した実施形態では、ホールドア10を開く方向におけるハンガー30の先端側では、低速側ハンガー32の移動を規制し、ホールドア10を開く方向におけるハンガー30の後端側では、高速側ハンガー31の移動を規制しているが、これらは反対でもよい。つまり、ホールドア10を開く方向におけるハンガー30の先端側で高速側ハンガー31の移動を規制し、ホールドア10を開く方向におけるハンガー30の後端側で低速側ハンガー32の移動を規制してもよい。
【0060】
また、上述した実施形態では、ホールドア10を開く方向におけるハンガー30の先端側では、連結部材70が有するフランジ付ナット73をヘッダケース16に引っ掛けているが、直線部63におけるフック部62側のボルト71に螺合するフランジ付ナット73をヘッダケース16に引っ掛けてもよい。ヘッダケース16に引っ掛ける部材は、
フック部材61をハンガー30に引っ掛けた状態で、ヘッダケース16に係止してハンガー30の移動を規制することができる部材であれば、実施形態以外の形態であってもよい。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。