(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5770249
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】従動機構の傾きを画像計測装置を用いて計測する手段を備えた射出成形機
(51)【国際特許分類】
B29C 45/17 20060101AFI20150806BHJP
B29C 45/76 20060101ALI20150806BHJP
B29C 45/64 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
B29C45/17
B29C45/76
B29C45/64
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-242836(P2013-242836)
(22)【出願日】2013年11月25日
(65)【公開番号】特開2015-100990(P2015-100990A)
(43)【公開日】2015年6月4日
【審査請求日】2014年12月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】分部 修一
【審査官】
今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−148124(JP,A)
【文献】
特開2012−245744(JP,A)
【文献】
特開平07−016901(JP,A)
【文献】
特開2010−284931(JP,A)
【文献】
特開2007−210125(JP,A)
【文献】
特開2011−005796(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/17
B29C 45/64
B29C 45/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転運動を直線運動に変換する複数の従動機構を有する動力伝達機構と、前記動力伝達機構が装着されている可動部材と、前記動力伝達機構を駆動するモータを有し、
前記動力伝達機構と、前記動力伝達機構が装着されている可動部材と前記動力伝達機構を駆動するモータは、可動側金型を搭載する可動プラテンに搭載される
射出成形機において、
前記可動部材を撮像し、該撮像された前記可動部材の前記可動プラテンに対する傾きを計測する画像計測装置と、前記画像計測装置により計測された前記可動部材の傾きの値が予め設定された許容値を超えた場合には、前記動力伝達機構に異常が発生したことを知らせる異常信号出力手段と、
を備えたことを特徴とする射出成形機。
【請求項2】
前記可動部材が正常な状態の時に前記画像計測装置により撮像された前記可動部材の画像を正常画像として記憶する正常画像記憶手段と、
を備え、
前記画像計測装置は、成形サイクルの所定回数毎に撮像した前記可動部材の画像と前記正常画像記憶手段に記憶された正常画像を比較して前記可動部材の傾きを求めることを特徴とする請求項1に記載の射出成形機。
【請求項3】
回転運動を直線運動に変換する複数の従動機構を有する動力伝達機構と、前記動力伝達機構が装着されている可動部材と、前記動力伝達機構を駆動するモータと、前記モータの回転運動を前記複数の従動機構に伝達するベルトと、前記可動部材を撮像し、該撮像された前記可動部材の傾きを計測する画像計測装置を有し、
前記動力伝達機構と、前記動力伝達機構が装着されている可動部材と前記動力伝達機構を駆動するモータと、前記モータの回転運動を前記複数の従動機構に伝達するベルトは、前可動側金型を搭載する可動プラテンに搭載される射出成形機の前記従動機構の前記ベルトの歯とび検出方法において、
前記可動部材の前記可動プラテンに対する傾きを計測する第1ステップと、
前記計測した前記可動部材の傾きと予め設定された許容値と比較する第2ステップと、
前記第2ステップによる比較の結果、前記可動部材の傾きが前記予め設定された許容値を超えた場合、前記ベルトの歯とびと判断する第3ステップと、
を有することを特徴とする射出成形機の歯とび検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形機に関し、特に、従動機構の傾きを画像計測装置を用いて計測する手段を備えた射出成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形機を用いて成形品の製造を行うとき、成形条件の誤設定または作業者の誤操作またはそれらの両方により、回転運動を直線運動に変換する複数の従動機構を有する動力伝達機構において、各従動機構の駆動力に差異が発生する場合がある。この駆動力の差がある閾値を超えた場合には、その駆動力を調整しなければならない。その理由は、駆動力の差により、従動機構の構成要素であるボールねじやベアリング等に不具合が生じるからである。
【0003】
従動機構の駆動装置としてモータが直結されている場合には、モータの出力を調整すれば良い。しかし、1つのモータでタイミングベルト等を介して複数の従動機構を駆動する場合には、ひずみゲージ等の駆動力検出手段を従動機構の駆動装置に装着し、駆動装置の駆動力を測定する手段を装着しなければならないか、もしくは、従動機構の駆動装置のそれぞれにセンサ等を設けて、取付られたセンサによりタイミングベルトと従動機構のプーリの噛みあい関係を調べなければ、従動機構の駆動力に差異があるかどうかがわからない。
【0004】
特許文献1には、従動機構の駆動装置としてモータが直結され、複数の軸により駆動対象を進退する機構を備えた射出成形機において、各軸の軸力を検出し、各軸の軸力に差が発生している場合にこれを調整して、各軸間の負荷バランスの均衡を図ることができる射出成形機の技術が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、1つのモータからタイミングベルトを介して複数の従動軸に対して駆動力が伝達され、前記複数の従動軸の回転により可動部が移動される成形装置において、従動プーリの歯とびを検出することが可能な成形装置の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−136961号公報
【特許文献2】特開2010−284931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術で説明したように、モータと複数の従動機構を有する駆動装置とをベルト等の伝動手段で結合し駆動する場合には、ひずみゲージ等で駆動力を検出する。エジェクタ機構のように、ひずみゲージなどの検出器を取りつけるスペースが限られており、また各駆動装置は動くために取付方法も考慮しなければならない。また、複数の駆動装置にセンサを取付け、センサにより従動機構と駆動装置とのズレを計測することにより、歯とびと判断する方法があるが、ひずみゲージと同様にセンサの取付方法を考慮しなければならない。
【0008】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決するために、画像計測装置を用いて動力伝達機構の異常を検出する手段を備えた射出成形機を提供することである。そして、前記動力伝達機構の異常を検出する手段を用いて射出成形機の歯とび検出方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願の請求項1に係る発明は、回転運動を直線運動に変換する複数の従動機構を有する動力伝達機構と、前記動力伝達機構が装着されている可動部材と、前記動力伝達機構を駆動するモータを有
し、前記動力伝達機構と、前記動力伝達機構が装着されている可動部材と前記動力伝達機構を駆動するモータは、可動側金型を搭載する可動プラテンに搭載される射出成形機において、前記可動部材を撮像し、該撮像された前記可動部材の
前記可動プラテンに対する傾きを計測する画像計測装置と、前記画像計測装置により計測された前記可動部材の傾きの値が予め設定された許容値を超えた場合には、前記動力伝達機構に異常が発生したことを知らせる異常信号出力手段と、を備えたことを特徴とする射出成形機である。
請求項2に係る発明は、前記可動部材が正常な状態の時に前記画像計測装置により撮像された前記可動部材の画像を正常画像として記憶する正常画像記憶手段と、を備え、前記画像計測装置は、成形サイクルの所定回数毎に撮像した前記可動部材の画像と前記正常画像記憶手段に記憶された正常画像を比較して前記可動部材の傾きを求めることを特徴とする請求項1に記載の射出成形機である。
【0010】
請求項3に係る発明は、回転運動を直線運動に変換する複数の従動機構を有する動力伝達機構と、前記動力伝達機構が装着されている可動部材と、前記動力伝達機構を駆動するモータと、前記モータの回転運動を前記複数の従動機構に伝達するベルトと
、前記可動部材を撮像し、該撮像された前記可動部材の傾きを計測する画像計測装置を有
し、前記動力伝達機構と、前記動力伝達機構が装着されている可動部材と前記動力伝達機構を駆動するモータと、前記モータの回転運動を前記複数の従動機構に伝達するベルトは、前可動側金型を搭載する可動プラテンに搭載される射出成形機の前記従動機構の前記ベルトの歯とび検出方法において、前記可動部材の
前記可動プラテンに対する傾きを計測する第1ステップと、前記計測した前記可動部材の傾きと予め設定された許容値と比較する第2ステップと、前記第2ステップによる比較の結果、前記可動部材の傾きが前記予め設定された許容値を超えた場合、前記ベルトの歯とびと判断する第3ステップと、を有することを特徴とする射出成形機の歯とび検出方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、画像計測装置を用いて動力伝達機構の異常を検出する手段を備えた射出成形機を提供できる。そして、前記動力伝達機構の異常を検出する手段を用いて射出成形機の歯とび検出方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】可動部材の傾きを測定する手段を備えた射出成形機の要部を説明する図である。
【
図2】成形品の突き出し時に、エジェクタプレートに加わる力を説明する図である。
【
図3】可動部材と基準プレートとの所定箇所の間隔を測定し可動部材の傾きを計測する例を説明する図である。
【
図4】毎ショットに可動部材(エジェクタプレート)の傾きを確認する処理のフローを説明する図である。
【
図5】正常画像と現在の画像との比較により可動部材の傾きを計測する例を説明する図である。
【
図6】正常画像と現在の画像との可動部材(エジェクタプレート)とを比較して可動部材(エジェクタプレート)の傾きを確認する処理のフローを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1は可動部材の傾きを測定する手段を備えた射出成形機の要部を説明する図である。
図1では、エジェクト機構における動力伝達機構の異常検出機能を備えた射出成形機の要部を示している。射出成形機は、樹脂を金型内に射出するための射出部,金型を型締するための型締部,射出成形機の全体を制御する制御装置と、を備えている。以下の説明では、型締部をもとに本発明の実施形態を説明する。なお、射出成形機の全体を制御する制御装置は、従来公知の装置と同様に、プロセッサ、メモリ、表示装置、信号の入力装置を備えている。
【0014】
固定プラテン1とリアプラテン2は複数のタイバー4によって連結されており、可動プラテン3がタイバー4に沿って移動可能に設置されている。固定プラテン1に固定側金型5aが、可動プラテン3に可動側金型5bが、それぞれ取り付けられている。リアプラテン2には型開閉機構7が設置され型開閉機構7はトグル機構8を介して可動プラテン3を駆動し固定側金型5a,可動側金型5bの開閉と型締を行う。リアプラテン2は型厚調整モータ9によって固定プラテン1に対して前後進し、金型の厚みに応じた位置を設定できる。
【0015】
また、可動プラテン3には成形品突き出しを行うエジェクタ機構6が設置されている。エジェクタ機構6の成形品突き出し動作を次に説明する。エジェクタ用サーボモータ10に結合された駆動側プーリ11と2本のボールネジ14a,14bに結合された2個の従動側プーリ12a,12bに歯付きベルト13が掛けられており、ボールネジ14a,14bの軸はベアリングハウジング16a,16bを介して可動プラテン3に回転自在に固定されている。ベアリングハウジング16a,16b内には、従動側ベアリング17a,17bが装着されている。
【0016】
ボールネジ14a,14bのナットはエジェクタプレート(ノックアウトバー)15というプレートに結合されており、エジェクタプレート(ノックアウトバー)15にはエジェクタピン18が何本か取り付けられている。エジェクタ用サーボモータ10が回転すると、駆動側プーリ11が回転し、駆動側プーリ11に掛けられた歯付きベルト13が回転し、歯付きベルト13の回転によって、従動側プーリ12a,12bを回転させる。従動側プーリ12a,12bの回転によってボールネジ14a,14bが回転し、ナットに結合されたエジェクタプレート(ノックアウトバー)15は軸方向に前後進する。エジェクタプレート(ノックアウトバー)15に取り付けられたエジェクタピン18が軸方向に前後進し、可動側金型5b内の金型側エジェクタプレート19を前後進させ、金型側エジェクタプレート19に取り付けられたピンが成形品を付き出す。
【0017】
成形品を突き出す際にエジェクタピン18は成形品より反力を受ける。エジェクタピン18が受けた荷重はエジェクタプレート(ノックアウトバー)15、ボールネジ14a,14bを介してベアリングハウジング16a,16bに伝わる。この際、ベアリングハウジング16a,16bは荷重に比例したひずみを生じる。機械の組立の際に2つのボールネジ14a,14bにかかる荷重が均等となるように、エジェクタプレート(ノックアウトバー)15と可動プラテン3の金型面とが平行になるよう調整してあるため、ベアリングハウジング16a,16bのひずみは均等になっている。
【0018】
ところが、一方のボールネジで歯付きベルトの歯とび等の異常があった際は、エジェクタプレート(ノックアウトバー)15と可動プラテン3の金型面との平行が崩れる(つまり正常な状態に比べて傾く)。すると、
図2に示すように、成形品を突き出す際の反力Fの他に、傾いたエジェクタプレート(ノックアウトバー)15が平行に戻されようとするモーメントMによる反力F
Mが加わり、2本のボールネジ14a,14bにかかる荷重が均等ではなくなる。そのため、ベアリングハウジング16a,16bのひずみも均等ではなくなる。
【0019】
エジェクタプレート15の可動プラテン3の金型面との平行が崩れた状態、つまり、該エジェクタプレート15の傾きを測定すれば、歯付きベルトの歯とびが発生したことを検出することができる。
【0020】
そこで、本発明の実施形態では、エジェクタプレート15の傾きを測定するために、画像計測装置20を用いる。画像計測装置20は、エジェクタプレート15を撮像可能な、射出成形機の上面または下面、操作側または反操作側に設置する。画像計測装置20は、撮像したエジェクタプレート15の画像を基に、エジェクタプレート15の傾きを計算により求める。なお、エジェクタプレート15の傾きとは金型取り付け面に対する傾きである。制御装置30は、射出成形機の全体を制御し、射出成形サイクルを実行する。エジェクタプレート15の傾きの計算機能を制御装置30に持たせてもよい。
【0021】
制御装置30は、画像計測装置により計算して求めたエジェクタプレート15の傾きが、入力装置31によりあらかじめ設定した設定値を超えた場合には、異常検出信号を発信する。制御装置30が発信した異常信号は、アラームランプ等の警報装置32が受け取り、ランプ点灯などにより作業者に異常を知らせたり、制御装置30の内部で受け取られ、制御装置30が制御している機械を強制停止する処理を行うのに使用されたりする。
【0022】
エジェクタプレート15を画像計測することにより、複数の従動機構の駆動装置が取り付けられているエジェクタプレート15の傾きは、下記の(1)、(2)に説明する方法により計測することができる。
【0023】
(1)可動部材と基準プレートとの所定箇所の間隔を測定し可動部材の傾きを計測
図3は可動部材の傾きの計測例である。可動部材の一例であるエジェクタプレート15の傾きを計測する。
図3で示されるように被駆動プレートと被駆動プレートの移動方向と直角に従動機構が固定されている基準プレートの間の2点間の距離を測定する。被駆動プレートであるところのエジェクタプレート15と基準プレートであるところの可動プラテン3のボールねじ取付座面3a間の距離を測定する。エジェクタプレート15の可動プラテン3のボールねじ取付座面3aに対する傾きを測定するために、図示されるように、エジェクタプレート15の異なる2つの箇所(計測位置P1と計測位置P2)における可動プラテン3のボールねじ取付座面3aとの間の距離を測定する。
【0024】
エジェクタプレート15が可動プラテン3のボールねじ取付座面3aに対して傾いていない場合(正常な状態)、計測位置P1と計測位置P2におけるエジェクタプレート15と可動プラテン3のボールねじ取付座面3aとの離間距離は両者ともTである。一方のボールねじで歯とびが発生した場合、エジェクタプレート15が移動方向に対して傾く。このため、例えば
図3に示されるように、計測位置P1での離間距離がT−ΔTと、計測位置P2での離間距離がT−ΔTとなる。
【0025】
したがって、画像計測装置20によって、計測位置P1と計測位置P2におけるエジェクタプレート15と可動プラテン3のボールねじ取付座面3aとの間の離間距離を撮像する。画像計測装置20において、計測位置P1と計測位置P2における離間距離を求め、それらの離間距離を比較することにより、エジェクタプレート15が傾いているかいないかを判断するまで行う。そして、判断結果を制御装置30に送る。なお、画像計測装置20は単に撮像手段として用い、離間距離の算出および傾きの判断を制御装置30で実行するようにしてもよい。
【0026】
図4は毎ショットに可動部材(エジェクタプレート)の傾きを確認する処理のフローを説明する図である。以下、各ステップに従って説明する。
●[ステップsa01]エジェクタプレートの傾きを確認する。このエジェクタプレート15の確認(つまり、エジェクタプレート15の傾き値を求める。)は上述の手法によって行う。
●[ステップsa02]エジェクタプレートの傾き値が予め設定された許容値を超えているか否かを判断し、超えている場合(YES)にはステップsa03へ移行し、超えていない場合(NO)にはステップsa04へ移行する。
●[ステップsa03]警報を出し、機械を停止する。
●[ステップsa04]射出・保圧・計量(冷却)・型開・突出の各工程を実行し一成形サイクルを終了する。
●[ステップsa05]成形サイクルを継続するか否かを判断し、継続する場合(YES)にはステップsa01に戻り処理を継続し、継続しない場合(NO)には処理を終了する。
【0027】
(2)正常画像と現在の画像との比較により可動部材の傾きを計測
図5で示されるように最初に調整直後の従動機構が固定されているプレート(エジェクタプレート15)の画像を正常画像とし、稼動後の現在のプレート画像を重ね合わせ、2つの画像を比較し、画像のズレを測定することで、可動部材の傾きを計測することができる。
【0028】
画像計測装置20は、エジェクタプレート15が正常な姿勢にあるときの画像(正常画像)を予め撮像し、図示しない画像計測装置20のメモリに格納しておく。次に、毎回の成形サイクルにおいて、一成形サイクルが終了した所定の時期に、エジェクタプレート15を画像計測装置20により撮像する。画像計測装置20は、エジェクタプレート15の予め記憶した正常画像と毎成形サイクルで撮像されるエジェクタプレート15の撮像画像とを比較して、エジェクタプレート15の傾きを求める。なお、エジェクタプレート15の正常画像とエジェクタプレート15の毎回の撮像画像とを比較し、エジェクタプレート15の傾きを求める機能を制御装置30に持たせてもよい。
【0029】
図6は正常画像と現在の画像との可動部材(エジェクタプレート)とを比較して可動部材(エジェクタプレート)の傾きを確認する処理のフローを説明する図である。以下、各ステップに従って説明する。
●[ステップsb01]可動部材の正常画像と現在の画像とを比較しエジェクタプレートの傾きを確認する。
●[ステップsb02]エジェクタプレートの傾き値が予め設定された許容値を超えているか否かを判断し、超えている場合(YES)にはステップsb03へ移行し、超えていない場合(NO)にはステップsb04へ移行する。
●[ステップsb03]警報を出し、機械を停止する。
●[ステップsb04]射出・保圧・計量(冷却)・型開・突出の各工程を実行し一成形サイクルを終了する。
●[ステップsb05]成形サイクルを継続するか否かを判断し、継続する場合(YES)にはステップsb01に戻り処理を継続し、継続しない場合(NO)には処理を終了する。
【0030】
可動部材の傾きは、(1)または(2)または両者で求めた可動部材の傾きの計測値から判断することができる。(1)または(2)またはその両者による可動部材の傾きの計測値が、予め設定された許容値を超えている場合に歯とびと判断して、警報を出し、正常な状態に復帰することが可能となる。
【0031】
上述した本発明の実施形態では、射出成形機に備わったエジェクタ機構のボールネジ14の場合を説明したが、型締軸や射出軸のボールネジであっても同様に本発明を適用することができる。また、本発明の実施形態では、モータとボールネジをプーリ,ベルトによって連結しているが、チェーンとスプロケットによる連結やギアによる連結にも適用できる。また、ボールネジの本数は3本以上の場合にも本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0032】
1 固定プラテン
2 リアプラテン
3 可動プラテン
3a ボールねじ取付座面
4 タイバー
5a 固定側金型
5b 可動側金型
6 エジェクタ機構
7 型開閉機構
8 トグル機構
9 型厚調整モータ
10 エジェクタ用サーボモータ
11 駆動側プーリ
12a 従動側プーリ
12b 従動側プーリ
13 歯付きベルト
14a 従動側ボールネジ
14b 従動側ボールネジ
15 金型側エジェクタプレート
16a ベアリングハウジング
16b ベアリングハウジング
17a 従動側ベアリング
17b 従動側ベアリング
18 エジェクタピン
19 エジェクタプレート
20 画像計測装置
30 制御装置
31 入力装置
32 警報装置