(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(i)少なくとも1つの正孔輸送材料と、(ii)少なくとも1つのテトラキス(ハロゲン化アリール)ホウ酸銀ドーパントとの反応生成物を含む少なくとも1つの固体粉末を含む、組成物。
少なくとも1つの陰極、少なくとも1つの陽極、陰極と陽極との間に配置された少なくとも1つの発光層、発光層と陽極または陰極との間の少なくとも1つの正孔注入層を含むデバイスであって、正孔注入層が請求項1〜20のいずれか一項記載の組成物を含む、デバイス。
【発明を実施するための形態】
【0030】
詳細な説明
序論
本明細書において引用するすべての参照文献は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0031】
2009年4月10日提出の米国特許公報第2009/0256117号(譲受人:Plextronics, Inc.)は、一連のポリマー、ドーピングシステム、およびデバイスを記載し、その作業実施例、図面、共役ポリマー、ドーパント、および特許請求の範囲を含めて、参照により本明細書に組み入れられる。
【0032】
2009年12月18日提出の米国特許仮出願第61/287,977号は、共役ポリマー、コポリマー、およびドーパントの他の有用な態様を記載している。
【0033】
米国特許第7,569,159号は、正孔注入層および正孔輸送層ならびに関連するデバイスを記載している。
【0034】
米国特許公報第2008/0248313号(2007年7月13日提出)は、正孔注入層および正孔輸送層ならびに関連するデバイスにおいて用いられるスルホン化材料を記載した。
【0035】
米国特許公報第2006/0078761号および第2006/0076050号(2005年9月26日提出)は、エレクトロルミネッセントおよび光起電力デバイスにおいて用いられる共役ポリマーを記載している。
【0036】
有機電子デバイスにおいて用いられる共役ポリマーは、例えば、国際公開公報第2009/152,165号(2009年12月17日公開);国際公開公報第2009/111,675号(2009年9月11日公開);国際公開公報第2009/111,339号(2009年9月11日公開)においても記載されている。
【0037】
OLEDディスプレイおよび材料は、例えば、Organic Light-Emitting Materials and Devices, Li and Meng (Eds.), 2006において記載されている。
【0038】
有機材料および/またはドーパントの他の例には下記が含まれる:EP 1725079;US 2007/0207341;国際公開公報第2009/102027号;国際公開公報第2009/158069号;米国特許第5,853,906号;米国特許第5,999,780号;およびNielsen et al., J. Am. Chem. Soc., 2008, 130, 9734-9746。
【0039】
溶液中の共役ポリマー、例えば、ポリチオフェンのドーピングはしばしば、そのドープされた形での限られた溶解性ゆえに除外されていた。1つの解決法は、ポリマーから金属塩への自発的な電子移動が起こる、共役ポリマーおよび金属塩ドーパントを含む組成物の使用である。その結果、ドープされた共役ポリマー、例えば、その酸化型のポリマー、またはp型共役ポリマーと、結合したアニオンおよび遊離金属が生じる。そのようなシステムは、サーモクロミズムの安定性増大を示しうる。いかなる特定の理論にも限定されないが、ドープされた形の共役ポリマーの、温度の関数としての色中立性の程度は、銀塩のアニオン部分に依存するようである。例えば、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸アニオンを含む、本明細書に記載の態様は、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロリン酸、ビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)などの他のアニオンに対して顕著な改善を示す。
【0040】
超原子価ヨードニウム、スルホニウムまたはオキソニウムなどの通常の有機酸化剤は、望ましくない副反応および分解を引き起こしうる、フリーラジカル反応性種を生成しうるため、共役ポリマーのドーピングにとって望ましくない。本明細書に記載の少なくとも1つの態様のドーパントの使用は、単純なろ過または金属イオン封鎖法によって除去しうる、温和なゼロ価の銀のみを生成する。加えて、本明細書に記載の少なくとも1つの態様のドーパントは非プロトン性で、共役ポリマーのドーピングを開始するためにさらなる酸を必要としない。
【0041】
例えば、Kido et al., Polymers for Advanced Technologies, 2002, 13(8), 601に記載されている、トリス(4-ブロモフェニル)アンモニウミルヘキサクロロアンチモン酸塩のようなアンモニウミル塩により共役ポリマーをドープすると、HILの性能に影響をおよぼしうる、トリ(4-ブロモフェニル)アミンなどの非揮発性残基を有するポリマーを生じる。これらの非揮発性残基は、ドープされた共役ポリマーから形成される薄膜中に残留する。しかし、共役ポリマーをドープするために本明細書に記載の少なくとも1つの態様のドーパントを使用することで、非揮発性残基がない、純粋な、ドープされた共役ポリマーが得られる。
【0042】
正孔輸送材料
正孔輸送材料は当技術分野において公知で、市販されている。それらは、例えば、低分子量材料または高分子量材料でありうる。それらは共役ポリマーでありうる。例えば、正孔輸送材料は直鎖共役ポリマー、共役ポリマーブラシ、主鎖または側鎖に正孔輸送部分を含むポリマー、ならびに架橋可能および非架橋小分子でありうる。本明細書において記載し、例示する構造は、ポリマー骨格または側鎖中に組み込むことができる。
【0043】
正孔輸送および/または共役ポリマーの例には、例えば、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフラン、ポリセレノフェン、ポリテルロフェン、ポリアニリン、ポリアリールアミン、およびポリアリーレン(例えば、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、およびポリフルオレン)が含まれる。
【0044】
数平均分子量は、例えば、約1,000から約500,000、または約5,000から約100,000、または約10,000から約50,000でありうる。
【0045】
ポリマー正孔輸送材料のいくつかの例には下記が含まれる:
【0046】
上記の構造において、基R1およびR2は、互いに独立に、例えば、アルキル、アルコキシ、およびポリエーテル基を含む、置換されていてもよいC1〜C25基、またはC2〜C10基を含む、公知の側基でありうる。基R1およびR2についての他の記載は以下に提供する。基は電子吸引基または電子供与基でありうる。それらは水素でもありうる。側基は溶解性を提供しうる。nの値は、例えば、5〜10,000、または10〜5,000、または20〜1,000でありうる。
【0047】
正孔輸送材料のさらなる例には下記が含まれる:
正孔輸送ポリマー
他の例には下記が含まれる:
【0048】
正孔輸送材料は、例えば、2010年11月18日公開の米国特許公報第2010/0292399号;2010年5月6日公開の第2010/010900号;および2010年5月6日公開の第2010/0108954号にも記載されている。
【0049】
正孔輸送材料の一例は、ポリ(9,9-ジオクチルフルオレン-コ-N-(4-ブチルフェニル)ジフェニルアミン)(TFB)である。
【0050】
共役ポリマー
正孔輸送材料の1つの特定の例は共役ポリマーであり、組成物は少なくとも1つの共役ポリマーを含みうる。有機電子デバイスにおけるその使用を含む共役ポリマーは、当技術分野において公知である。例えば、Friend, 「Polymer LEDs,」 Physics World, November 1992, 5, 11, 42-46を参照されたく;例えば、Kraft et al., 「Electroluminescent Conjugated Polymers-Seeing Polymers in a New Light,」 Angew. Chem. Int. Ed. 1998, 37, 402-428を参照されたい。加えて、これらのポリマーのファミリーおよびこれらのポリマー系の誘導体を含む、ポリアセチレン、ポリ(p-フェニレン)、ポリ(p-フェニレンスルフィド)、ポリピロール、およびポリチオフェンを含む、導電性または共役ポリマーは、The Encyclopedia of Polymer Science and Engineering, Wiley, 1990, pages 298-300において記載されており、その内容は全体が参照により本明細書に組み入れられる。この参考文献はまた、ブロックコポリマー形成を含むポリマーの混和および共重合を記載している。
【0051】
共役ポリマーは、ポリチオフェンを含む任意の共役ポリマーでありえ、ホモポリマー、コポリマー、またはブロックコポリマーでありうる。側基を有する位置規則性ポリチオフェンを含む、合成法、ドーピング、およびポリマーの特徴付けは、例えば、McCulloughらへの米国特許第6,602,974号およびMcCulloughらへの第6,166,172号において提供され、その内容は全体が参照により本明細書に組み入れられる。さらなる記載は、論文「The Chemistry of Conducting Polythiophenes,」 by Richard D. McCullough, Adv. Mater. 1998, 10, No. 2, pages 93-116、およびその中の引用文献において見いだすことができ、その内容は全体が参照により本明細書に組み入れられる。当業者が用いることができる別の参考文献は、Handbook of Conducting Polymers, 2
nd Ed. 1998, Chapter 9, by McCullough et al., 「Regioregular, Head-to-Tail Coupled Poly(3-alkylthiophene) and its Derivatives,」 pages 225-258であり、その内容は全体が参照により本明細書に組み入れられる。この参考文献はまた、第29章、823〜846ページにおいて、「Electroluminescence in Conjugated Polymers」を記載し、その内容は全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0052】
ポリチオフェンは、例えば、Roncali, J., Chem. Rev. 1992, 92, 711; Schopf et al., Polythiophenes: Electrically Conductive Polymers, Springer: Berlin, 1997においてさらに記載されている。同様に、例えば、米国特許第4,737,557号および第4,909,959号も参照されたい。
【0053】
ポリマー半導体は、例えば、「Organic Transistor Semiconductors」 by Katz et al., Accounts of Chemical Research, vol. 34, no. 5, 2001, 365〜367ページを含む359ページにおいて記載されており、その内容は全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0054】
共役ポリマーは、例えば、ブロックコポリマーを含むコポリマーでありうる。ブロックコポリマーは、例えば、Block Copolymers, Overview and Critical Survey, by Noshay and McGrath, Academic Press, 1977において記載されている。例えば、この文献は、A-Bジブロックコポリマー(第5章)、A-B-Aトリブロックコポリマー(第6章)、および-(AB)
n-マルチブロックコポリマー(第7章)を記載しており、これらは本発明のブロックコポリマータイプの基礎を形成しうる。
【0055】
ポリチオフェンを含むさらなるブロックコポリマーは、例えば、Francois et al., Synth. Met. 1995, 69, 463-466、その内容は全体が参照により本明細書に組み入れられる;Yang et al., Macromolecules 1993, 26, 1188-1190;Widawski et al., Nature (London), vol. 369, June 2, 1994, 387-389;Jenekhe et al., Science, 279, March 20, 1998, 1903-1907;Wang et al., J. Am. Chem. Soc. 2000, 122, 6855-6861;Li et al., Macromolecules 1999, 32, 3034-3044;Hempenius et al., J. Am. Chem. Soc. 1998, 120, 2798-2804において記載されている。
【0056】
側基を有する導電性ポリマーを可溶化するために用いることができる置換基には、例えば、C1からC25基を含むアルコキシおよびアルキル、ならびに例えば酸素および窒素を含むヘテロ原子系が含まれる。特に、少なくとも3個の炭素原子または、少なくとも5個の炭素原子を有する置換基を用いることができる。混合置換基を用いることもできる。置換基は、非極性、極性または官能性有機置換基でありうる。側基は置換基Rと呼ばれ、それは例えばアルキル、過ハロアルキル、ビニル、アセチレン、アルコキシ、アリールオキシ、ビニルオキシ、チオアルキル、チオアリール、ケチル、チオケチルでありえ、任意に水素以外の原子によって置換されうる。
【0057】
共役ポリマーは、複素環式モノマー反復単位を含むことができ、複素環式ポリマーが特に好ましい。特に好ましい系は、ポリチオフェン系、位置規則性ポリチオフェン系、3-置換ポリチオフェン系、および3,4-二置換ポリチオフェン系である。いくつかの態様において、共役ポリマーは、3位もしくは4位のいずれか、または両方にアルコキシ置換基を含む少なくとも1つのポリチオフェンを含む。
ポリマーは、Plextronics, Inc., Pittsburgh, PAから得られ、例えばPLEXCORE、Plexcoat、および類似の材料などのポリチオフェン系ポリマーを含む。
【0058】
3-置換ポリチオフェン
共役ポリマー、ならびにこのポリマーを用いた配合物およびデバイスの1つの重要な例は、3-置換ポリチオフェンである。好ましくは、3-置換ポリチオフェンは、ポリ(3-アルコキシチオフェン)であってもよい。本明細書において用いられるポリ(3-アルコキシチオフェン)において、アルコキシ側基はチオフェンに酸素原子を介して結合され、その他の原子は置換基において、アルコキシ基が、例えば、ポリエーテルであるように存在しうる。例えば、本明細書において用いられるアルコキシ基は、例えば、メトキシエトキシエトキシ基でありうる。
【0059】
共役ポリマーは、位置不規則性または位置規則性材料でありうる。位置規則性度は、例えば、約0から100%、または約25から99.9%、または約50から98%でありうる。
【0060】
特に、共役ポリマー、ならびにこのポリマーを用いた配合物およびデバイスの別の重要な例は、位置規則性ポリチオフェンである。好ましくはポリチオフェンの位置規則性は、例えば、少なくとも約85%、または少なくとも約95%、または少なくとも約98%であってもよい。いくつかの態様において、位置規則性度は少なくとも約70%、または少なくとも約80%でありうる。さらに他の態様において、位置規則性ポリチオフェンは少なくとも約90%の位置規則性度、または少なくとも約98%の位置規則性度を有する。
【0061】
ポリ(3-アルコキシチオフェン)の一例は下記によって表すことができる:
【0062】
3,4-二置換ポリチオフェン
共役ポリマー、ならびにこのポリマーを用いた配合物およびデバイスの1つの重要な例は、3,4-二置換ポリチオフェンである。好ましくは、3,4-二置換ポリチオフェンは、前述のとおりアルコキシ側基が複数のヘテロ原子を含みうるポリ(3,4-ジアルコキシチオフェン)であってもよく、ポリ(3,4-ジアルコキシチオフェン)は、例えば、ポリ(3,4-ジ-ポリエーテル)-チオフェンでありうる。ポリエーテルは、複数のエーテル基を有する分子である。アルコキシおよびポリエーテル側基は、ポリマー骨格鎖に対して電子を供与することができる。
【0063】
3,4-二置換ポリチオフェンは、対称なモノマー反復単位を有してもよい。しばしば、3,4-二置換ポリチオフェンは、反復単位として、酸素原子が二置換チオフェンの3および4位に直接連結し、2および5位を通して重合した、3,4-置換チオフェンを含む。置換基は、例えば、直鎖または分枝炭素鎖、例えば、鎖における炭素原子の1、2、3、4、5個または6個が酸素および/または窒素などのヘテロ原子で置き換えられていてもよい、C1からC25基を含む、アルコキシおよびポリエーテルを含みうる側基を有する3,4-置換チオフェンを可溶化するために用いることができる。
【0064】
共役ポリマーは、2,5-ジブロモ-3,4-ビス(2-(2-ブトキシエトキシ)エトキシ)チオフェン、または2,5-ジブロモ-3,4-ビス(2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ)チオフェン;2,5-ジブロモ-3,4-ビス(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)チオフェン;2,5-ジブロモ-3,4-ビス(2-(2-ブトキシエトキシ)エトキシ)チオフェン;2,5-ジブロモ-3,4-ビス(2-(2-ブトキシブトキシ)ブトキシ)チオフェン;および2,5-ジブロモ-3,4-ビス(2-(2-メトキシメトキシ)メトキシ)チオフェンなどの、モノマー単位の重合によって調製してもよい。
【0065】
任意の公知の重合法を用いて、3,4-二置換ポリチオフェンを得てもよい。典型的に、ポリマー自体は、ニッケル触媒を用いてのジアルコキシチオフェンまたはジポリエーテルチオフェンの2,5-ジブロモ誘導体のGRIM重合によって得ることができる。
【0066】
対称なモノマーのGRIM重合は、例えば、Campos et al., Photovoltaic Activity of a PolyProDOT Derivative in a Bulk Heterojunction Solar Cell, Solar Energy Materials & Solar Cells, August 2006に記載されている。
【0067】
共役ポリマーは、ポリ(3,4-ビス(2-(2-ブトキシエトキシ)エトキシ)チオフェン)-2,5-ジイル、ポリ(3,4-ビス(2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ)チオフェン)-2,5-ジイル;ポリ(3,4-ビス(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)チオフェン)-2,5-ジイル;ポリ(3,4-ビス(2-(2-ブトキシエトキシ)エトキシ)チオフェン)-2,5-ジイル;ポリ(3,4-ビス(2-(2-ブトキシブトキシ)ブトキシ)チオフェン)-2,5-ジイル;およびポリ(3,4-ビス(2-(2-メトキシメトキシ)メトキシ)チオフェン)-2,5-ジイルなどの、3,4-二置換ポリチオフェンでありうる。
【0068】
典型的に、共役ポリマーは、下記によって表される3,4-二置換ポリチオフェンでありうる:
式中独立に、R
1は置換されていてもよいアルコキシ基または、例えば、アルコキシアルコキシアルコキシ部分などのアルコキシヘテロ原子基でありえ、かつ独立にR
2は、例えば、アルコキシアルコキシアルコキシ部分などの置換されていてもよいアルコキシ基アルコキシヘテロ原子基でありえ;または
独立にR
1は置換されていてもよいアルキル、および置換されていてもよいアリールオキシでありえ、かつ独立にR
2は置換されていてもよいアルキル、および置換されていてもよいアリールオキシでありうる。任意の置換のための置換基の例には、ヒドロキシル、フェニル、およびさらなる置換されていてもよいアルコキシ基が含まれる。アルコキシ基は次にヒドロキシル、フェニル、またはアルコキシ基で置換されていてもよく;または
独立にR
1は置換されていてもよいアルキレンオキシドでありえ、かつ独立にR
2は置換されていてもよいアルキレンオキシドでありうる。置換基は例えばヒドロキシル、フェニル、またはアルコキシ基でありえ;または
独立にR
1は置換されていてもよいエチレンオキシドもしくは置換されていてもよいプロピレンオキシドまたは他の低級アルキレンオキシ単位でありえ、かつ独立にR
2は置換されていてもよいエチレンオキシドもしくは置換されていてもよいプロピレンオキシドまたは他の低級アルキレンオキシ単位でありうる。置換基は例えばヒドロキシル、フェニル、またはアルコキシ基でありえ;または
独立にR
1は例えばメチレンまたはエチレンなどの置換されていてもよいアルキレンでありえ、置換基は例えばエチレンオキシまたはプロピレンオキシなどの置換されていてもよいアルキレンオキシであり;置換基は例えばヒドロキシル、フェニル、またはアルコキシでありえ、かつ独立にR
2は例えばメチレンまたはエチレンなどの置換されていてもよいアルキレンでありえ、置換基は例えばエチレンオキシまたはプロピレンオキシなどの置換されていてもよいアルキレンオキシであり;置換基は例えばヒドロキシル、フェニル、またはアルコキシでありうる。
【0069】
加えて、置換基R
1およびR
2は、アルコキシまたはフェノキシなどの酸素原子によってチオフェンに連結することができ、ここで置換基は対応するアルコールまたはフェノールによってそれぞれ特徴づけることができる。例えば、アルコールは直鎖または分枝鎖でありえ、C2〜C20、またはC4〜C18、またはC6からC14炭素原子を有しうる。アルコールは例えばアルキルアルコール、またはエチレングリコール、またはプロピレングリコール、またはジエチレングリコール、またはジプロピレングリコール、またはトリプロピレングリコールでありうる。さらなる例はモノエチレングリコールエーテルおよびアセテート、ジエチレングリコールエーテルおよびアセテート、トリエチレングリコールエーテルおよびアセテートなどでありうる。酸素原子を通してチオフェン環に連結しうるアルコールの例には、ヘキシルセロソルブ、Dowanol PnB、エチルカルビトール、Dowanol DPnB、フェニルカルビトール、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール、Dowanol DPM、ジイソブチルカルビノール、2-エチルヘキシルアルコール、メチルイソブチルカルビノール、Dowanol Eph、Dowanol PnP、Dowanol PPh、プロピルカルビトール、ヘキシルカルビトール、2-エチルヘキシルカルビトール、Dowanol DPnP、Dowanol TPM、メチルカルビトール、Dowanol TPnBが含まれる。商品名は当技術分野において周知である。様々なアルコキシおよびポリエーテル置換基を含むポリチオフェン置換基および配合物は、例えば2007年7月13日提出の米国特許出願第11/826,394号(米国特許公報第2008/0248313号)において記載されている。
【0070】
重合度「n」は特に制限されないが、例えば2〜500,000または5〜100,000または10〜10,000、または10〜1,000、10〜500、または10〜100でありうる。多くの場合に、ポリマーは約5,000から100,000g/molの間の数平均分子量を有する。いくつかの態様において、Rはモノアルコキシ、ジアルコキシ、トリアルコキシ、またはテトラアルコキシ基でありえ、かつ共役ポリマーはポリ(3,4-ジアルコキシチオフェン)またはポリ(3,4-ジポリエーテルチオフェン)である。
【0071】
側基の例はブトキシエトキシ(エトキシ)基であり、ポリマーはポリ(3,4-ビス(2-(2-ブトキシエトキシ)エトキシ)チオフェン-2,5-ジイル)でありうる。
【0072】
任意のマトリックス材料
少なくとも1つの態様において、透明な正孔注入層(HIL)または正孔輸送層(HTL)を形成するために、マトリックス材料を組成物に組み込んでもよい。光の透過は重要であり、より厚い薄膜での良好な透過は特に重要である。例えば、約400〜800nmの波長を有する光の約85%から約90%またはそれ以上を透過しうる(すなわち、%T>85〜90%)HILまたはHTLを調製することができる。
【0073】
1つの態様において、HIL層は、例えば、約5nmから約500nm、または約5nmから約150nm、または約20nmから約100nm、または約20nmから約60nmの厚さを有する。厚さの別の範囲は、例えば、約60nmから約200nmである。
【0074】
したがって、本態様のさらなる長所は、中等度の厚さを有する実質的に透明なHILまたはHTLの形成でありうる。厚いHILまたはHTLを用いて、操作電圧に不都合な影響をおよぼすことなく、半導体デバイスにおけるショートをなくすこともできる。
【0075】
いくつかの態様において、組成物は少なくとも1つのマトリックス材料を含む。マトリックス材料は、低分子量または高分子量の材料でありうる。マトリックス材料は、例えば、共役ポリマーとは異なる合成ポリマーでありうる。例えば、2006年8月10日公開の米国特許公報第2006/0175582号を参照されたい。合成ポリマーは、例えば、炭素骨格を含みうる。いくつかの態様において、合成ポリマーは、酸素原子または窒素原子を含む少なくとも1つのポリマー側基を有する。合成ポリマーはルイス塩基であってもよい。典型的に、合成ポリマーは炭素骨格を含み、25℃よりも高いガラス転移温度を有する。合成ポリマーは、25℃以下のガラス転移温度および25℃よりも高い融点を有する半晶質または結晶質ポリマーであってもよい。合成ポリマーは酸性基を含んでいてもよい。加えて、共役ポリマーは酸性基を含んでいてもよい。いくつかの態様において、共役ポリマーおよび第二のポリマーはいずれも酸性基を含む。
【0076】
第二のポリマーでありうるマトリックス材料は、平坦化剤でありうる。マトリックス材料または平坦化剤は、例えば、ポリ(スチレン)もしくはポリ(スチレン)誘導体、ポリ(酢酸ビニル)もしくはその誘導体、ポリ(エチレングリコール)もしくはその誘導体、ポリ(エチレン-コ-酢酸ビニル)、ポリ(ピロリドン)もしくはその誘導体(例えば、ポリ(1-ビニルピロリドン-コ-酢酸ビニル))、ポリ(ビニル ピリジン)もしくはその誘導体、ポリ(メタクリル酸メチル)もしくはその誘導体、ポリ(アクリル酸ブチル)、ポリ(アリールエーテルケトン)、ポリ(アリールスルホン)、ポリ(アリールエーテルスルホン)、ポリ(エステル)もしくはその誘導体、またはその組み合わせなどの有機ポリマーなどのポリマーまたはオリゴマーからなってもよい。
【0077】
より一般的には、マトリックス材料または平坦化剤は、CH
2CHArなどのモノマーから構築されるポリマーまたはオリゴマーからなりえ、ここでAr=任意のアリールまたは官能基化アリール基、イソシアネート、エチレンオキシド、共役ジエン、CH
2CHR
1R(ここでR
1=アルキル、アリール、またはアルキル/アリール官能基であり、かつR=H、アルキル、Cl、Br、F、OH、エステル、酸、またはエーテルである)、ラクタム、ラクトン、シロキサン、およびATRPマクロ開始剤である。平坦化剤はまた、置換されていてもよい縮合芳香環または置換されていてもよい多環式芳香族炭化水素側基を含むポリマーでもありうる。加えて、以下に記載する正孔輸送化合物も平坦化剤でありうる。
【0078】
他の態様において、マトリックス材料または平坦化剤は、例えば、少なくとも1つの半導体マトリックス成分からなっていてもよい。半導体マトリックス成分は前述の共役ポリマーとは異なる。半導体マトリックス成分は、正孔輸送化合物などの半導体小分子、または典型的には主鎖および/もしくは側鎖中に正孔輸送単位を含む反復単位からなる半導体ポリマーでありうる。半導体マトリックス成分は中性型でもよく、またはドープされていてもよく、かつ典型的にはトルエン、クロロホルム、THF、アセトニトリル、シクロヘキサノン、アニソール、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン、安息香酸エチルおよびその混合物などの有機溶媒に可溶性である。
【0079】
マトリックス成分として用いるのに適した半導体小分子、正孔輸送材料、およびポリマーの例は、Marksらにより、「Hole Transport Layer Compositions and Related Diode Devices」なる表題の米国特許出願公報第2005/0147846 A1号において;およびMathaiらにより、2009年10月26日提出の米国特許出願第12/605,768号において記載されており、その内容は全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0080】
ドーパント
ドーパントは当技術分野において公知で、ドーピング反応において共役ポリマーと反応することができる。ドーパントはイオン化合物でありうる。ドーパントはカチオンおよびアニオンを含みうる。
【0081】
イオン化合物のカチオンは、例えば、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、またはAuでありうる。
【0082】
イオン化合物のカチオンは、例えば、金、モリブデン、レニウム、鉄、および銀カチオンでありうる。
【0083】
イオン化合物のアニオンは、例えば、置換されていてもよいテトラアリールホウ酸アニオン、またはハロゲン化テトラアリールホウ酸アニオン、またはテトラキスペンタフルオロフェニルホウ酸アニオン(TPFB)を含む、全芳香族またはヘテロ芳香族アニオンでありうる。
【0084】
アニオンの例には下記によって表される構造が含まれる:
式中独立に、R
1からR
10のそれぞれはH、アルキル、ペルフルオロアルキル(C1〜C10)、ポリエーテル、F、Cl、Br、I、CN、置換されていてもよいフェニル、または置換されていてもよいナフチルであり;「A」はホウ素、ガリウム、リン、アンチモン、SO
3またはCO
2であり;XはF、Cl、Br、IまたはCNであり;nは0から6であり;かつmは≦6-nである。1つの態様において、nは1から6でありうる。
【0085】
他の態様において、アニオンは下記によって表される構造の少なくとも1つでありうる:
式中独立に、R
1からR
9は、例えば、H、アルキル、ペルフルオロアルキル(C1〜C10)、ポリエーテル、F、Cl、Br、I、CN、置換されていてもよいフェニル、または置換されていてもよいナフチルでありえ;「A」はホウ素、ガリウム、リン、またはアンチモンでありえ;かつnはn=1から6でありうる。例えば:Aがホウ素またはガリウムである場合、nは4であり;Aがリンまたはアンチモンである場合、nは6である。
【0086】
さらなる態様において、ドーパントはアルキル、アリール、およびヘテロアリールスルホン酸塩ならびにアルキル、アリール、およびヘテロアリールカルボン酸塩を含むスルホン酸塩またはカルボン酸塩でありうる。例えば、上の12の構造中のAは、ホウ素、ガリウム、リン、またはアンチモンに加えて、スルホン酸基またはカルボン酸基でありうる。これら12の構造のスルホン酸塩およびカルボン酸塩態様に関して、nの値は1でありうる。
【0087】
スルホン酸塩およびカルボン酸塩ドーパントの例には、安息香酸塩化合物、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ヘプタフルオロ酪酸塩、ヘキサフルオロアンチモン酸塩、ヘキサフルオロヒ酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ペンタフルオロプロピオン酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、および/またはトリフルオロホウ酸塩が含まれる。例には(2-ニトロフェニル)トリフルオロホウ酸塩、ベンゾフラザン-5-トリフルオロホウ酸塩、ピリミジン-5-トリフルオロホウ酸塩、ピリジン-3-トリフルオロホウ酸塩、および2,5-ジメチルチオフェン-3-トリフルオロホウ酸塩が含まれる。
【0088】
他の態様において、アニオンは複数のアリール基を含んでいてもよい。例えば、複数のアリール基を含むアニオンは下記によって表すことができる:
式中、独立に、R
1からR3はH、アルキル、ペルフルオロアルキル(C1〜C10)、ポリエーテル、F、Cl、Br、I、CN、置換されていてもよいフェニル、または置換されていてもよいナフチルでありえ;かつnはn=1から3でありうる。
【0089】
1つの好ましい態様において、ドーパントはテトラキス(ペンタフルオロフェニル)-ホウ酸銀を含み、下記によって表される:
【0090】
共役ポリマーをドーパントと混合することができる。反応は、当技術分野において公知のとおり、混合によって起こりうる。特に、共役ポリマーをドーパントによってドープすることができる。ドーパントは、例えば、共役ポリマーによって1つまたは複数の電子移動反応を起こし、それによりドープされた共役ポリマーを生じる材料でありうる。ドーパントは、適した電荷平衡対アニオンを提供するように選択することができる。例えば、ドーパントはポリマーから金属塩などのカチオン-アニオンドーパントへの自発的な電子移動を起こし、酸化型の共役ポリマーならびに結合したアニオンおよび遊離金属をあとに残しうる。例えば、Lebedev et al., Chem. Mater., 1998, 10, 156-163を参照されたい。本明細書において論じるとおり、共役ポリマーおよびドーパントは、反応してドープされたポリマーを形成する成分を指しうる。ドーピング反応は、電荷担体が生じる電荷移動反応でありえ、反応は可逆的または非可逆的でありうる。ドーパントは当技術分野において公知である。例えば、米国特許第7,070,867号;または米国特許出願公報第2005/0123793号;および第2004/0113127号を参照されたい。
【0091】
アニオンTPFBは当技術分野において公知である。例えば、Hijazi et al., European J. Inorganic Chemistry, 2008, 18, 2892-2898;Ogawa et al., Organometallics, 2005, 24(20), 4842-4844;Kuprat et al., Organometallics, 2010, 29(6), 1421-1427(AgTPFBはLiTPFBよりも安定性が低いと示唆している)を参照されたい。TPFBは、一価および二価カチオンを含む様々なカチオンと複合体形成することができ、アセトニトリル、塩化メチレン、ジエチルエーテル、ペンタン、ベンゼン、またはトルエンなどの極性および非極性リガンドと配位または複合体形成することもできる。
【0092】
1つの態様において、ドーパントはテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸銀などの銀塩であってもよい。銀イオンは銀金属および導電性ポリマーの間で電子移動を起こしうる。例えば、Lebedev et al., Chem. Mater., 1998, 10, 156-163を参照されたい。
【0093】
最終的な配合物において、組成物は、元の成分の組み合わせとは明確に異なりうる(すなわち、共役ポリマーおよび/または酸化還元ドーパントは、混合前と同じ形で最終組成物中に存在してもしなくてもよい)。
【0094】
いくつかの態様は、ドーピング工程からの反応副産物を除去することができる。例えば、銀などの金属はろ過によって除去することができる。
【0095】
EP 1725079および/またはUS 2007/0207341に記載のヨードニウム塩および他のドーパントカチオンなどのカチオンを組成物から除外することができる。例えば、[BF
4]、[PF
6]、およびビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)などの、完全に芳香族アニオンではないアニオンなどのアニオンを除外することができる。
【0096】
ドーパントのためのさらなる態様は、米国特許第7,785,740号(「Overcharge Protection for Electrochemical Salts」)において見られる、アニオンを含む化合物および塩を含み、その内容は全体が参照により本明細書に組み入れられる。(Qとして)ホウ酸およびヘテロホウ酸クラスターを含み、Mがカチオンであり、かつaが1または2のような整数でありうる、M
aQ過電荷保護塩が記載されている。さらなる態様において、塩のアニオンは(B
10F
xZ
10-x)
2-および(B
12F
xZ
12-x)
2-と表すことができ、ここでZはH、Cl、Br、またはORを表すことができ、ここでRは、例えば、H、C
1-8アルキルもしくはフルオロアルキル、またはC
1-3アルキルもしくはフルオロアルキルでありうる。xの値は、例えば、4〜12、または7〜12、または7〜11でありうる。塩の混合物を用いることができる。
【0097】
熱安定性
薄膜層および薄膜層を含むデバイスの熱安定性は重要である。銀塩ドーパント、例えば、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸銀(AgTPFB)などのいくつかのドーパントは、熱安定性の上昇を提供しうる。リチウムは共役ポリマーのドーピングを低下させ、またはドープしないため、リチウム塩は望ましくない。リチウム塩の還元能力は銀塩よりもはるかに低い。したがって、本態様において、銀塩、例えば、AgTPFBが好ましい。
【0098】
銀塩の安定性は加工法に依存しうる。例えば、AgTPFBは、好ましくは、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸リチウム(LiTPFB)および硝酸銀をアセトニトリルに溶解し、続いて水中で沈澱させることによる、複分解によって調製する。特定の理論に制限されることなく、そのような複分解反応において、アセトニトリルは銀に複合体形成し、それによりその光分解安定性を改善しうる。
【0099】
1つの局面において、安定性は光分解安定性または変色に対する安定性と考えてもよい。LiTPFBの複分解およびアセトニトリルへの溶解により調製した安定なAgTPFBは、周囲条件において変色しない白色粉末として得られる。一方、アセトニトリルなしで調製した不安定なAgTPFBは24時間以内に褐変し始め、変色し続ける。
【0100】
別の局面において、安定性は熱安定性と考えてもよく、熱重量分析によって測定することができる。安定なAgTPFBの6つの例示的試料(番号EX 1からEX 6)を、前述のとおり、LiTPFBの複分解およびアセトニトリルへの溶解と、続く水中での沈澱により調製した。LiTPFBの比較例(番号CE-1)も調製した。
図1に示すとおり、試料EX 1からEX 6はより広い温度範囲の全域でより良好な熱安定性を示す。例えば、EX 1からEX 6は0から150Tの温度範囲の全域で約5%未満の重量変化を起こす。一方、試料CE-1は低温、例えば約25℃で熱不安定特性を示すため、熱的に安定性が低い。
【0101】
したがって、本態様の銀塩ドーパントに関して、リチウムの量は検出限界よりも低いレベルに減らすことができる。
【0102】
溶媒系
溶媒系を、陽極または発光層などのデバイスにおける他の層との使用および加工のために適合させることができる。水性および非水性溶媒系を用いることができる。
【0103】
異なる溶媒を現在の溶媒系において用いることができる。典型的に、用いる溶媒は有機非極性溶媒である。より典型的には、用いる溶媒は、非プロトン性非極性溶媒である。非プロトン性非極性溶媒を用いることは、少なくともいくつかの例において、プロトンに対して感受性であるエミッター技術によるデバイスの寿命延長というさらなる利点を提供しうる。そのようなデバイスの例にはPHOLEDが含まれる。
【0104】
本発明の溶媒系において用いる一般的な溶媒には、例えば、芳香族が含まれる。テトラヒドロフラン、クロロホルム、または芳香族炭化水素型などの溶媒を用いる。さらなる溶媒には、テトラヒドロピラン(THP)、クロロホルム、アルキル化ベンゼン、ハロゲン化ベンゼン、NMP、DMF、DMAc、DMSO、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、クロロホルム、ジクロロメタン、アセトニトリル、アセトン、THF、ジオキサン、ジオキサン、酢酸エチル、安息香酸エチル、炭酸ジメチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、3-メトキシプロピオニトリル、3-エトキシプロピオニトリルまたはその組み合わせが含まれる。共役ポリマーは典型的に非常に溶解性であり、これらの溶媒中で非常に処理可能性が高い。
【0105】
環境に適応するように、1つまたは複数の非ハロゲン化溶媒を選択してもよい。ハロゲン化溶媒は実質的にまたは完全に除外しうる(例えば、総溶媒担体の10体積%未満、または5体積%未満、または1体積%未満、または0.1体積%未満で用いる)。そのようなさらなる因子を考慮して、例えば、Chereinisnoff, N.P, Industrial Solvents Handbook, 2
nd Ed. (Marcel Dekker, New York, 2003);Ash, M, Handbook of Solvents, 2
nd Ed. (Syapse Information Resources, 2003);Wypych, G., Handbook of Solvents (Chemical) (Noyes Publications, 2000);Hansen, C.M., Durkee, J. and Kontogeorgis, G, Hanson Solubility Parameters: A User's Handbook (Taylor and Francis, 2007)などの参考文献を参照することは有用でありえ、これらはすべて全体が参照により本明細書に組み入れられる。複数の溶媒を含む溶媒系の選択に関する、より詳細な説明に関しては、そ2008年8月20日提出のU.S. 61/090,464(043419-0256)を参照されたく、その内容は全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0106】
または、溶媒系において用いるために複数の溶媒を選択することは有用でありうる。
【0107】
共役ポリマーを可溶化する、共役ポリマーを膨潤させる、またはポリマーの非溶媒系としても作用する他の溶媒も考慮してもよい。最後の物は、ぬれ、粘性、形態制御などのインク特性を改変するために様々な量で溶媒系に含まれてもよい。
【0108】
考慮すべき溶媒には、アニソール、エトキシベンゼン、ジメトキシベンゼンなどのエーテル(C1〜C10アルキル鎖によって置換されていてもよい)および下記などのグリコールエーテル:1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、1,2-ジブトキシエタンなどのエチレングリコールジエーテル;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのジエチレングリコールジエーテル;プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテルなどのプロピレングリコールジエーテル;ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテルなどのジプロピレングリコールジエーテル;同様に、前述のエチレングリコールおよびプロピレングリコールエーテルの高級類縁体(トリ-およびテトラ-)が含まれてもよい。
【0109】
エチレングリコールモノエーテルアセテートおよびプロピレングリコールモノエーテルアセテートなどのさらに他の溶媒を考慮することができ、ここでエーテルは、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシルから選択することができる。ジ-、トリ-、およびテトラ-などの上記の一覧の高級グリコールエーテル類縁体。例には、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、2-エトキシエチルアセテート、2-ブトキシエチルアセテートが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0110】
可能性があるさらに他の溶媒には、アセトニルアセトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソブテニルケトン、2-ヘキサノン、2-ペンタノン、アセトフェノン、エチルフェニルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルエチルケトンなどの脂肪族および芳香族ケトンが含まれる。いくつかの態様において、これらの溶媒を避ける。いくつかの態様において、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、およびアセトンなどの、ケトンのアルファに位置する炭素上のプロトンを有するケトンを避ける。
【0111】
可能性があるさらなる溶媒には、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシド、アセトニトリル、ベンゾニトリル、炭酸エチレン、炭酸プロピレンなどが含まれる。
【0112】
他の例には、例えば、テトラヒドロピラン(THP)などの環状エーテルが含まれる。溶媒の重合が回避されうるように溶媒を用いることができる。別の例は、メトキシプロプリオニトリルである。
【0113】
溶媒の好ましい群はトルエン、キシレン、テトラレン、メシチレン、フェネトール、4-メチルアニソール、アニソール、テトラヒドロピラン、3-メトキシプロピオニトリル、3-エトキシプロピオニトリル、安息香酸メチル安息香酸エチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、1,2-ジメトキシエタン、およびジエチレングリコールジエチルエーテル、ならびにその組み合わせである。他の好ましい溶媒の組み合わせは作業実施例の項に示す。
【0114】
基板のぬれ性、溶媒除去の容易さ、粘性、表面張力、および噴射性などのインク特性を改善するために、1つまたは複数の溶媒を様々な比率で用いることができる。
【0115】
共役ポリマー、ドーパント、および溶媒を含む組成物を、最終デバイスの電子特性を改善するために用いる電極またはさらなる層を任意に含む基板上の薄膜としてキャストおよびアニールさせることができる。薄膜は、デバイスの製造中に続いてコーティングまたは蒸着する層のためのインクにおける溶媒でありうる、有機溶媒に対して抵抗性であってもよい。薄膜は、デバイスの製造中に続いてコーティングまたは蒸着する層のためのインクにおける溶媒でありうる、トルエンに対して抵抗性であってもよい。
【0116】
1つの態様において、HIL層を熱的にアニールさせる。1つの態様において、HIL層を約25℃から約250℃の温度で熱的にアニールさせる。1つの態様において、HIL層を約25℃から約250℃の温度および10
-6から760torrの減圧で熱的にアニールさせる。1つの態様において、HIL層を約90℃から約170℃の温度で約5から約15分間熱的にアニールさせる。1つの態様において、HIL層を加熱して溶媒を除去する。
【0117】
薄膜の形成は、例えばスピンコーティング、ディップキャスティング、ディップコーティング、スロットダイコーティング、インクジェットプリンティング、グラビアコーティング、ドクターブレーディング、および例えば有機電子デバイスの製造に関して当技術分野において公知の任意の他の方法を含む、当技術分野において公知の方法によって行うことができる。
【0118】
量
1つの態様において、組成物は、約40重量%から75重量%の間の共役ポリマーおよび約25重量%から55重量%の間のドーパントを含む。別の態様において、組成物は、約50%から65%の間の共役ポリマーおよび約35%から50%の間のドーパントを含む。典型的に、共役ポリマーの重量による量は、ドーパントの重量による量より大きい。共役ポリマーは前述の任意の共役ポリマーでありうる。典型的に、反復単位は3-置換ポリチオフェンまたは3,4-二置換ポリチオフェンである。典型的に、ドーパントは、約0.25から0.5m/ruの量のテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸銀などの銀塩でありえ、ここでmは塩のモル量であり、ruは共役ポリマー反復単位のモル量である。
【0119】
いくつかの態様において、組成物は溶媒または溶媒担体を含む。典型的に、溶媒または溶媒担体を含む態様において、組成物は少なくとも95重量%の溶媒または溶媒担体を含み、組成物は5重量%以下の固体百分率によって特徴づけられる。
【0120】
1つの態様において、固体内容物の量は約0.1重量%から100重量%であり、ここで100重量%は乾燥粉末などの乾燥材料を意味する。1つの態様において、固体含有量は約0.3重量%から約10重量%である。別の態様において、固体含有量は約0.5重量%から約5重量%である。
【0121】
1つの態様において、溶媒を除去することによって乾燥粉末を調製する。結果は粉末などの乾燥または実質的に乾燥材料でありうる。残存溶媒の量は、例えば、10重量%以下、または5重量%以下、または1重量%以下でありうる。乾燥または実質的に粉末を新しい溶媒系に再分散または再溶解することができる。
【0122】
任意のマトリックス材料の量を、混合した正孔輸送材料およびドーパントの量に対する重量百分率として制御し、測定することができる。例えば、量は0から99.5重量%、または約10重量から約98重量%、または約20重量%から約95重量%でありうる。0重量%の態様において、マトリックス材料は用いない。
【0123】
材料を精製して、例えば、ハロゲンおよび金属を除去することができる。ハロゲンには、例えば、臭素およびヨウ素が含まれる。金属には、例えば、ドーパントのカチオンの還元型を含むドーパントのカチオン、または触媒もしくは開始剤残渣から残った金属が含まれる。金属には、例えば、銀、ニッケル、およびマグネシウムが含まれる。量は、例えば、100ppm未満、または10ppm未満、または1ppm未満でありうる。
【0124】
金属を除去することができる。1つの態様において、金属(例えば、銀)内容物の量は、例えば、乾燥粉末中0〜10%、および/または溶液中0〜0.5%でありうる。別の態様において、金属(例えば、銀)内容物の量は、例えば、乾燥粉末中0〜1%、および/または溶液中0〜0.05%でありうる。別の態様において、金属(例えば、銀)内容物の量は、例えば、乾燥粉末中0〜0.5%、および/または溶液中0〜50ppmでありうる。
【0125】
銀含有量を含む、金属含有量は、特に50ppmよりも高い濃度については、ICP-MSによって測定することができる。
【0126】
未反応の銀イオンを含む、未反応のカチオンを含む、未反応のドーパントも存在し、除去することができる。
【0127】
作製段階の方法
本明細書に記載のデバイスを、例えば、溶液加工を含む、当技術分野において公知の方法によって作製することができる。当技術分野において公知の方法によってインクを適用し、溶媒を除去することができる。
【0128】
精製法を実施することができる。例えば、金属塩、特に銀塩、例えば、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸銀などのドーパントは、共役ポリマーから金属塩への自発的な電子移動を起こし、酸化型の共役ポリマー、例えば、p型共役ポリマーならびに結合したアニオンおよび遊離金属をあとに残しうる。金属は配合物から、例えば、セライト床または少なくとも1つのガラス繊維フィルター(積層または非積層;0.5ミクロン)を通過させることにより、捕捉してもよい。例えば、約50mLの溶液中のドーパントをガラスシリンジ内のセライト床(乾燥充填;直径26mm、厚さ15mm)を通過させてもよい。わずかな圧をかけて、溶液の流速を高めてもよい。
【0129】
同様に提供するのは、例えば、AgTPFBなどのテトラアリールホウ酸銀塩を含む金属塩の作製法の態様である。例えば、複分解反応を水溶性銀塩およびテトラアリールホウ酸塩により実施することができる。例えば、反応は下記によって表すことができる:
M
1X
1+M
2X
2 -→ M
1X
2(不溶性)+M
2X
1(可溶性)
M
1X
2の沈澱を、少なくともいくつかの場合には促進し、右への反応を駆動して相対的に高収率を得ることができる。M
1は、例えば、銀などの金属でありえ、M
2は、例えば、リチウムなどの金属でありうる。X
1は、例えば、硝酸塩などの水溶性を提供しうる。X
2はテトラアリールホウ酸塩などの非配位アニオンでありうる。M
1X
2は水に不溶性でありえ、M
2X
1は水溶性でありうる。
【0130】
例えば、
図2に示すとおり、AgTPFBは好ましくは、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸リチウム(LiTPFB)および硝酸銀をアセトニトリルに溶解し、続いて水中で沈澱させることによる、複分解によって調製することができる。例えば、アセトニトリル中の硝酸銀の溶液(例えば、3重量%から25重量%、または5重量%から15重量%、または10重量%)を、例えば、LiTPFB(例えば、3重量%から25重量%、または5重量%から15重量%、10重量%)と、約25℃の温度で混合することができる。望まれる反応生成物を溶液の混合物と共に沈澱させることができ、特に、大過剰の水(例えば、10倍過剰の脱イオン水)中に沈澱させることができ、例えば、ろ過(例えば、中等度の多孔度の焼結ガラスフィルター)により回収することができる。反応生成物は沈澱させることができるが、望まれない反応生成物(例えば、硝酸リチウム)は水溶性でありえ、したがって水溶液中に残る。反応生成物中のリチウムの量は、例えば、ICP-MSなどの方法によって検出不可能でありうる。例えば、リチウムなどの望まれない金属は1重量%未満、または0.1重量%未満、または0.01重量%未満、または0.001重量%未満でありうる。この方法において、手の込んだ抽出手順を避けることができる。例えば、ソックスレー抽出を避けることができる。銀塩生成物の収率は、例えば、少なくとも約70%、または少なくとも80%、または例えば80%から85%などの少なくとも85%でありうる。
【0131】
したがって、1つの態様は以下の段階を含む方法を含む:(i)少なくとも1つのテトラアリールホウ酸塩を、任意に溶液中で提供する段階、(ii)テトラアリールホウ酸塩とは異なる少なくとも1つの銀塩を、任意に溶液中で提供する段階であって、テトラアリールホウ酸塩、もしくは銀塩のいずれか、または両方が溶液中にある、段階、(iii)テトラアリールホウ酸塩と銀塩を混合して沈澱媒からテトラアリールホウ酸銀塩を沈殿させる段階、および(iv)テトラアリールホウ酸銀塩を回収して、これを沈澱媒から分離する段階。方法は複分解交換反応を含むことができ、ここで所望の生成物は沈澱媒中で不溶性(例えば、水不溶性)であり、かつ望まれない生成物は沈澱媒中で溶解性(例えば、水溶性である。
【0132】
別の態様は以下の段階を含む方法を含む:(i)少なくとも1つのテトラアリールホウ酸塩の少なくとも1つの第一の溶液を提供する段階、(ii)テトラアリールホウ酸塩とは異なる少なくとも1つの銀塩の少なくとも1つの第二の溶液を提供する段階、(iii)第一および第二の溶液を混合して、沈澱媒からテトラアリールホウ酸銀塩を沈澱させる段階、および(iv)テトラアリールホウ酸銀塩を回収して、これを沈澱媒から分離する段階。
【0133】
方法は複分解交換反応を含むことができ、ここで所望の生成物は沈澱媒中で不溶性(例えば、水不溶性)であり、かつ望まれない生成物は沈澱媒中で溶解性(例えば、水溶性)である。
【0134】
複分解反応のために、例えば、アセトニトリルなどの少なくとも1つの極性有機溶媒を用いることができる。溶媒は水と混和性でありうる。極性有機溶媒は銀塩と複合し、複合体を形成するよう選択することもできる。例えば、いくつかの銀の複合体は他の複合体よりも安定でありうる。例えば、いくつかの複合体はより高い光分解安定性を提供し、時間が経過しても白いままの白色複合体を提供しうる。
【0135】
デバイス(および使用方法)
当技術分野において公知の方法を用いて、例えば、OLEDおよびOPVデバイスを含む有機電子デバイスを製造することができる。当技術分野において公知の方法を用いて、輝度、効率、および寿命を測定することができる。OLEDの特許には、例えば、米国特許第4,356,429号および第4,539,507号(Kodak)が含まれる。光を放出する導電性ポリマーは、例えば、米国特許第5,247,190号および第5,401,827号(Cambridge Display Technologies)において記載されている。同様に、デバイスの構成、物理的原理、溶液加工、多層形成、混和、ならびに材料の合成および配合を含む、Kraft et al., 「Electroluminescent Conjugated Polymers - Seeing Polymers in a New Light,」 Angew. Chem. Int. Ed., 1998, 37, 402-428を参照されたく、その内容は全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0136】
BEHP-PPVなどの、Sumation、Merck Yellow、Merck Blue、American Dye Sources(ADS)、Kodak(例えば、A1Q3など)、およびAldrichからも入手可能な材料などの、様々な導電性ポリマーならびに有機分子を含む、当技術分野において公知でありかつ市販されている発光体を用いることができる。そのような有機エレクトロルミネッセント材料の例には下記が含まれる:
(i)フェニレン部分上の様々な位置で置換されているポリ(p-フェニレンビニレン)およびその誘導体;
(ii)ビニレン部分上の様々な位置で置換されているポリ(p-フェニレンビニレン)およびその誘導体;
(iii)フェニレン部分上の様々な位置で置換されており、かつビニレン部分上の様々な位置でも置換されているポリ(p-フェニレンビニレン)およびその誘導体;
(iv)アリーレンがナフタレン、アントラセン、フリレン、チエニレン、オキサジアゾールなどの部分であってもよいポリ(アリーレンビニレン);
(v)アリーレンが上記(iv)のとおりであってもよく、加えてアリーレン上の様々な位置の置換基を有していてもよい、ポリ(アリーレンビニレン)の誘導体;
(vi)アリーレンが上記(iv)のとおりであってもよく、加えてビニレン上の様々な位置の置換基を有していてもよい、ポリ(アリーレンビニレン)の誘導体;
(vii)アリーレンが上記(iv)のとおりであってもよく、加えてアリーレン上の様々な位置の置換基およびビニレン上の様々な位置の置換基を有していてもよい、ポリ(アリーレンビニレン)の誘導体;
(viii)(iv)、(v)、(vi)、および(vii)のものなどのアリーレンビニレンオリゴマーと非共役オリゴマーとのコポリマー;および
(ix)ポリ(9,9-ジアルキルフルオレン)などのラダーポリマー誘導体を含む、フェニレン部分上の様々な位置で置換されているポリp-フェニレンおよびその誘導体;
(x)アリーレンがナフタレン、アントラセン、フリレン、チエニレン、オキサジアゾールなどの部分であってもよいポリ(アリーレン);およびアリーレン部分上の様々な位置で置換されているその誘導体;
(xi)(x)のものなどのオリゴアリーレンと非共役オリゴマーとのコポリマー;
(xii)ポリキノリンおよびその誘導体;
(xiii)ポリキノリンと、溶解性を提供するためにフェニレン上で、例えば、アルキルまたはアルコキシ基によって置換されているp-フェニレンとのコポリマー;および
(xiv)ポリ(p-フェニレン-2,6-ベンゾビスチアゾール)、ポリ(p-フェニレン-2,6-ベンゾビスオキサゾール)、ポリ(p-フェニレン-2,6-ベンズイミダゾール)などの剛性ロッドポリマー、およびその誘導体。
(xv)ポリフルオレンポリマーおよびポリフルオレン単位とのコポリマー。
【0137】
好ましい有機発光ポリマーには、緑色、赤色、青色、もしくは白色光を放射するSUMATION Light Emitting Polymer(「LEP」)、またはそのファミリー、そのコポリマー、誘導体、もしくは混合物が含まれ;SUMATION LEPはSumation KKから入手可能である。他のポリマーには、Covion Organic Semiconductors GmbH, Frankfurt, Germany(現在はMerck(登録商標)の所有)から入手可能なポリスピロフルオレン様ポリマーが含まれる。
【0138】
または、ポリマーよりむしろ、蛍光またはリン光により放射する有機小分子が、有機エレクトロルミネッセント層として役立ちうる。小分子有機エレクトロルミネッセント材料の例には下記が含まれる:(i)トリス(8-ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq);(ii)1,3-ビス(N,N-ジメチルアミノフェニル)-1,3,4-オキシダゾール(OXD-8);(iii)-オキソ-ビス(2-メチル-8-キノリナト)アルミニウム;(iv)ビス(2-メチル-8-ヒドロキシキノリナト)アルミニウム;(v)ビス(ヒドロキシベンゾキノリナト)ベリリウム(BeQ.sub.2);(vi)ビス(ジフェニルビニル)ビフェニレン(DPVBI);および(vii)アリールアミン置換ジスチリルアリーレン(DSAアミン)。
【0139】
そのようなポリマーおよび小分子材料は、当技術分野において周知であり、例えば、VanSlykeに交付された米国特許第5,047,687号;およびBredas, J.-L., Silbey, R., eds., Conjugated Polymers, Kluwer Academic Press, Dordrecht (1991)において記述されている。
【0140】
デバイスにおけるHILの例には、下記が含まれる:
1)PLEDおよびSMOLEDを含むOLEDにおける正孔注入;例えば、PLEDにおけるHILに関して、共役が炭素またはケイ素原子を伴う全てのクラスの共役ポリマーエミッターを用いることができる。SMOLEDにおけるHILに関しては、以下が例である:蛍光エミッターを含有するSMOLED;リン光エミッターを含有するSMOLED;HIL層に加えて1つまたは複数の有機層を含むSMOLED;および小分子層が溶液もしくはエアロゾルスプレーまたは任意の他の加工法から加工されるSMOLED。加えて、他の例には、デンドリマーまたはオリゴマー有機半導体に基づくOLEDにおけるHIL;HILが電荷注入を改変するためまたは電極として用いられる二極性発光FETにおけるHILが含まれる;
2)OPVにおける正孔抽出層:
3)トランジスタにおけるチャンネル材料;
4)ロジックゲートなどのトランジスタの組み合わせを含む回路におけるチャンネル材料
5)トランジスタにおける電極材料
6)キャパシタにおけるゲート層
7)導電性ポリマーによって感知される種の結合によりドーピングレベルの改変が達成される、化学センサー。
【0141】
様々な光活性層をOPVデバイスにおいて用いることができる。光起電デバイスは、例えば、米国特許第5,454,880号(Univ. Cal.);第6,812,399号;および第6,933,436号において記載されているとおり、例えば導電性ポリマーと混合されたフラーレン誘導体を含む光活性層によって調製することができる。例えば、Wienk et al., Applied Physics Letters, 88, 153511 (2006);Campos et al., Solar Energy Materials & Solar Cells, 90 (2006) 3531-3546も参照されたい。また、光活性層は、導電性ポリマーの混和物、導電性ポリマーおよび半導体ナノ粒子の混和物、ならびにフタロシアニン、フラーレン、およびポルフィリンなどの小分子の二重層を含んでいてもよい。
【0142】
一般的な電極材料および基板、ならびに封入材料を用いることができる。
【0143】
1つの態様において、陰極はAu、Ca、Al、Ag、またはその組み合わせを含む。1つの態様において、陽極はインジウムスズ酸化物を含む。1つの態様において、発光層は少なくとも1つの有機化合物を含む。
【0144】
界面改変層および光学スペーサー層を用いることができる。
【0146】
デバイスの作製法は典型的に、基板を提供する段階;基板上で透明な導体を積層する段階;本明細書に記載の溶媒中でドーパントによってドープされた共役ポリマーを含むHILまたはHTLインク組成物を提供する段階;正孔注入層または正孔輸送層を形成するために透明な導体上に組成物を積層する段階;正孔注入層または正孔輸送層の上に活性層を積層する段階;および活性層の上に陰極を積層する段階を含む。
【0147】
別の態様において、デバイスの作製法は、OLED、光起電デバイス、ESD、SMOLED、PLED、センサー、スーパーキャパシタ、カチオン変換器、薬物放出デバイス、エレクトロクロミックデバイス、トランジスタ、電界効果トランジスタ、電極修飾剤、有機電界トランジスタの電極修飾剤、アクチュエータ、または透明電極におけるHILまたはHTL層の一部として、本明細書に記載の溶媒中でドーパントによってドープされた共役ポリマーを含むHILまたはHTLインク組成物を適用する段階を含む。
【0148】
組成物およびデバイスの特性
重要な特性は熱安定性である。熱安定性は、例えば、熱重量分析(TGA)などの1つまたは複数の熱分析法によって測定することができる。
【0149】
さらなる態様
例えば、テトラヒドロピランなどの溶媒中の、例えば、ポリ(3,4-(ジブトキシエトキシエトキシ)チオフェン))などのポリマーの溶液に、例えば、銀粉末(例えば、5〜8ミクロン、0.5g120mL)などの金属を加えることができる。適切な量の、例えば、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸銀などのドーパントを、テトラヒドロピランなどの溶液に溶解し、次いで添加完了まで非常によく撹拌しながら加える(例えば、滴加する)ことができる。混合物を、例えば、室温で、例えば、30分などの追加の時間さらに撹拌することができる。これに続いて、第一の溶媒、例えば、テトラヒドロピランよりも高い沸点を有する第二の溶媒または溶媒混合物を混合物に加え、内容物を室温で終夜さらに撹拌することができる。次いで、例えば、ガラスフィルター(例えば、孔径0.45ミクロン)を用いて、配合物をろ過し、銀粉末を除去することができる。次いで、温度を、例えば、30℃未満に維持しながら、溶媒、例えば、テトラヒドロピランを減圧下でポンプにより除去することができる。
【0150】
以下の非限定的作業実施例は異なる態様をさらに例示する。
【実施例】
【0151】
作業実施例
作業実施例1:
例示的組成物、例えば、本態様のインク組成物を、以下の一般手順1A〜1Fに従って調製した:
一般手順1A
ポリ(3,4-(ジブトキシエトキシエトキシ)チオフェン))の溶液を、選択した溶媒中、室温で30〜60分間撹拌することにより調製した。テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸銀を同じ溶媒に溶解し、次いで撹拌しながら溶液に滴加した。混合物を室温で30〜60分間撹拌し、次いでセライト床を通してろ過した。
【0152】
一般手順1B
ポリ(3,4-(ジブトキシエトキシエトキシ)チオフェン))の溶液を、テトラヒドロピラン中、室温で30〜60分間撹拌することにより、固体0.5%で調製した。テトラヒドロピラン中、固体0.5%で溶解したテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸銀を、撹拌しながら滴加した。前述のとおり、混合物を室温でさらに30分間撹拌し、次いでセライト床を通してろ過した。この時点の固体含有量は0.35から0.45%の間である。次いで、温度を25℃未満に維持しながら、溶液を所望の濃度(例えば、1.25%)まで低圧で濃縮した。
【0153】
一般手順1C
ポリ(3,4-(ジブトキシエトキシエトキシ)チオフェン))の溶液を、テトラヒドロピラン中、室温で30〜60分間撹拌することにより、固体0.5%で調製した。溶液20mLあたり約0.5gの銀粉末(5〜8ミクロン)を加えた。テトラヒドロピラン中、固体0.5%で溶解したテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸銀を、撹拌しながら溶液に滴加した。混合物を室温でさらに30分間撹拌し、セライト床を通してろ過した。この時点の固体含有量は0.35から0.45%の間であった。次いで、温度を25℃未満に維持しながら、溶液を所望の濃度(例えば、1.25%)まで低圧で濃縮した。
【0154】
一般手順1D
ポリ(3,4-(ジブトキシエトキシエトキシ)チオフェン))の溶液を、テトラヒドロピラン中、室温で30〜60分間撹拌することにより、固体0.5%で調製した。溶液20mLあたり約0.5gの銀粉末(5〜8ミクロン)を加えた。テトラヒドロピラン中、固体0.5%で溶解したテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸銀を、撹拌しながら溶液に滴加した。混合物を室温でさらに30分間撹拌し、2〜3つの積み重ねた0.5ミクロンガラス繊維フィルターを通してろ過した。この時点の固体含有量は0.35から0.45%の間であった。次いで、温度を25℃未満に維持しながら、溶液を所望の濃度(例えば、1.25%)まで低圧で濃縮した。
【0155】
一般手順1E
手順1B、1Cまたは1Dのテトラヒドロピランを、表1に示すより高沸点の溶媒で置き換え、最初の1%溶液から、温度を<25℃に維持しながら、低圧でさらに濃縮してもよい。より高沸点の溶媒中の溶液の最終濃度は、1、1.25、1.5、1.75または2.0%から選択してもよい。
【0156】
(表1)
または、テトラヒドロナフタレンをo-キシレン、メシチレン、または他のアルキルベンゼンで置き換えることもできる。
【0157】
一般手順IF:マトリックス材料の添加
マトリックス材料を組成物に加えてもよい。例えば、マトリックスポリマーまたは小分子添加剤の保存溶液を、方法1A〜1Eにより調製したドープされたインクと同じ溶媒中で調製してもよい。次いで、マトリックス材料を撹拌しながら、または撹拌せずにドープされたインクに加えてもよい。または、マトリックス材料を、ドープされたインクのものとは異なる溶媒、例えば、3-メトキシプロピオニトリルを含む溶媒中で調製してもよい。
【0158】
一般手順1G:乾燥ポリマーの再溶解
ドープされたインクを、溶媒蒸発、非溶媒中での沈澱、または噴霧乾燥によって、ドープされたポリマーを含む乾燥粉末へと形成してもよい。乾燥粉末は、その対応するインク溶液よりも輸送および保存が容易でありうる。次いで、乾燥粉末を、適用に応じて様々な溶媒に加えてもよい。例えば、乾燥粉末を、グラビア、インクジェット、およびスロットダイなどのコーティング適用に適した溶媒に加えてもよい。
【0159】
一例において、ドープされたポリマーを含む乾燥粉末を再溶解してもよい。例えば、手順1Dにより調製したドープされたポリマー9.755gを50mL一頚丸底フラスコに加えた。溶媒をロータリーエバポレーターにより減圧下、25℃で蒸発させた。乾燥固体を減圧(約1torr)に1分間曝露した。
【0160】
この段階でのフラスコの正味重量は0.047gであった。次いで、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレンおよび3-メトキシプロピオニトリルの重量比2:1の混合物約3.086gをフラスコに加え、内容物を撹拌子を用いて約10〜15分間撹拌した。次いで、暗色溶液を0.45μm PTFEシリンジフィルターを通してろ過した。ろ過中、フィルター内で抵抗または障害は観察されなかった。
【0161】
実施例1H
テトラヒドロピラン中のポリ(3,4-(ジブトキシエトキシエトキシ)チオフェン))の保存溶液(全固体1.75%)に、銀粉末(5〜8ミクロン)約0.5gを加えた。次いで、上記の溶液に、テトラヒドロピランに溶解したテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸銀9.886g(全固体1.75%)を、溶液を激しく撹拌しながら、添加完了まで滴加した。ドーパントの添加完了後、混合物を室温で追加の30分間さらに撹拌した。これに続いて、テトラリンおよび3-メトキシプロピオニトリルの混合物(重量比2:1)20gを加え、室温で終夜撹拌し続けた。次いで、配合物を2.7ミクロンのガラスファイバーフィルターを用いてろ過し、次いで再度2.7ミクロンのガラスフィルターおよびガラスシリンジフィルター(孔径0.45ミクロン)を用いてろ過した。次いで、温度を30℃未満に維持しながら、テトラヒドロピランを減圧下でポンプにより除去した。
【0162】
作業実施例2:ドーパントの作製
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸リチウムジエチルエーテル複合体5.8gを、アルミホイルで覆った三角フラスコに加えた。アセトニトリル110.2gを加えて、5%溶液を作製した。内容物を、室温(RT)ですべての固体が溶解するまで約5分間撹拌した。この溶液に、AgNO
3 1.3619gを固体の形で加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌し、溶液をアルミホイルで覆った容器中の脱イオン(DI)水1300mLに激しく撹拌しながら滴加(非常にゆっくりの添加−シリンジおよび針。速度=200mL/2.5時間)した。水層をさらに30分間撹拌し、沈澱を降下させるために24〜36時間静置した。または、溶液を終夜放置後に遠心沈降することもできる。上清の水層をデカントし、白色沈澱をろ過し、15mL×2のDI水で洗浄した。沈澱した塩をDI水50mL中、室温で30分間さらに撹拌し、ろ過し、15mL×2のDI水で洗浄した。別の例において、洗浄は、固体が漏斗にある間にDI水約300mLを少しずつ数回に分けて行ってもよい。スラリーをろ過し、さらに2回洗浄した後、漏斗上で吸引乾燥し、続いて減圧下で終夜乾燥した。固体を微粉砕し、減圧乾燥をさらに24時間または試料が相対的に一定重量となるまで続けた。
【0163】
作業実施例3:単極デバイス製造
本明細書に記載の単極の単一電荷担体デバイスを、ガラス基板に蒸着したインジウムスズ酸化物(ITO)表面上で製造した。ITO表面をプレパターン形成してピクセル面積を0.05cm
2に規定した。デバイスの基板を、希釈した石けん溶液中、20分間の超音波処理によって洗浄した後、それぞれ蒸留水洗浄した。これに続いて、イソプロパノール中、20分間の超音波処理を行った。基板を窒素気流下で乾燥した後、それらを300Wで操作するUV-オゾンチャンバーにおいて20分間処理した。
【0164】
次いで、洗浄した基板をHILインクによってコーティングし、90〜170℃で5〜15分間乾燥して、HIL層を形成した。乾燥薄膜の厚さは約20nm〜60nmの範囲であった。コーティング工程をスピンコーター上で行ったが、噴霧コーティング、インクジェット、コンタクトプリントまたは所望の厚さのHIL薄膜を得ることができる任意の他の蒸着法によっても同様に達成することができる。次いで、基板を真空チャンバーに移し、ここでデバイス積層の残りの層を物理的蒸着によって蒸着させた。
【0165】
一例において、N,N'(ジナフタレン-1-イル)-N,N'-ジフェニル-ベンジジン(NPB)正孔輸送層(HTL)をHILの上面と、続いて金(Au)陰極に蒸着した。これは、HILのHTLへの正孔のみの注入効率を試験する、単極デバイスである。
【0166】
本実施例において、陰極層は、ベース圧力5×10-7Torr、約0.5nm/秒で、200nm金金属層の蒸着により調製した。
【0167】
このようにして得たデバイスを、4分間の80W/cm
2のUV曝露で硬化したUV光硬化エポキシ樹脂によって周囲条件への曝露を防止するために、カバーガラスによって封入した。
【0168】
作業実施例4:単極デバイス試験
単極デバイスは、ピクセルの発光部分を含有するデバイスの封入領域外に電極が伸長するガラス基板上のピクセルを含む。各ピクセルの典型的な面積は0.05cm
2である。電極を、Keithley 2400ソースメータなどの電流ソースメータに接触させて、インジウムスズ酸化物電極にバイアスを適用して金電極をアースした。これによって、陽性荷電担体(正孔)のみがデバイスに注入される(正孔のみのデバイス)。本実施例において、HILは正孔輸送層への電荷担体の注入を補助する。その結果、デバイスの動作電圧(ピクセルの中に所定の電流密度を流すために必要な電圧として定義される)が低くなる。
【0169】
図3は、HTLとしてNPBおよび金陰極を有する正孔のみのデバイスのIV曲線を示す。実線は、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸銀(AgTPFB)を用いて調製したHILを含む例示的デバイスの結果を示す。破線は、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸p-クメニル(p-トリル)ヨードニウムを用いて調製したHILを含む比較デバイスの結果を示す。
【0170】
明らかに、AgTPFB試料で観察された正孔電流は、その超原子価ヨードニウム対応物よりも、同じ電圧ではるかに高く、はるかに良好な正孔注入能力を示している。
【0171】
実施例5:実施例1で調製したHIL配合物を用いてのデバイス試験
実施例1Cに従ってのHIL層をOLEDにおいて用いた。OLEDを以下の手順を用いて調製した:本明細書に記載のOLEDデバイスを、ガラス基板に蒸着したインジウムスズ酸化物(「ITO」)表面上で製造した。ITO表面をプレパターン形成してピクセル面積を0.09cm
2に規定した。デバイスの基板を、希釈した石けん溶液中、20分間の超音波処理によって洗浄した後、それぞれ蒸留水洗浄した。これに続いて、イソプロパノール中、20分間の超音波処理を行った。基板を窒素気流下で乾燥した後、それらを300Wで操作するUV-オゾンチャンバーにおいて20分間処理した。
【0172】
次いで、洗浄した基板をHILインクによってコーティングし、90〜170℃で5〜15分間乾燥して、HIL層を形成した。乾燥薄膜の厚さは約20nm〜60nmの範囲であった。コーティング工程をスピンコーター上で行ったが、噴霧コーティング、インクジェット、コンタクトプリントまたは所望の厚さのHIL薄膜を得ることができる任意の他の蒸着法によっても同様に達成することができる。次いで、基板を真空チャンバーに移し、ここでデバイス積層の残りの層を物理的蒸着によって蒸着させた。
【0173】
本実施例において、HILの上面に蒸着した層には、正孔輸送層(HTL)、発光層(EML)、正孔遮断層(HBL)、電子輸送層(ETL)、および金属陰極が含まれる。本実施例において用いる材料は、それぞれHTL(30nm)としてのN,N'(ジナフタレン-1-イル)-N,N'-ジフェニル-ベンジジン(NPB)、EML(30nm)のためにトリス(2-フェニルキノリン)イリジウム(III)(Ir(2-phq)3)によってドープされた固有の宿主、HBL(10nm)としてのビス(2-メチル-8-キノリノラト-N1,O8)-(1,1'-ビフェニル-4-オラト)アルミニウム(BAlq)、およびETL(45nm)としての炭酸セシウム(CsCO3)でドープされた4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(BPhen)であった。
【0174】
本実施例においてまた、陰極層を熱蒸発によって調製した。層はベース圧力5×10
-7Torrで蒸発させた厚さ200nmのアルミニウム(0.5nm/秒)の単一層からなっていた。
【0175】
このようにして得たデバイスを、4分間の80W/cm
2のUV曝露で硬化したUV光硬化エポキシ樹脂によって周囲条件への曝露を防止するために、カバーガラスによって封入した。
【0176】
OLED試験
OLEDは、ピクセルの発光部分を含有するデバイスの封入領域外に電極が伸長するガラス基板上のピクセルを含む。各ピクセルの典型的な面積は0.09cm
2である。電極を、Keithley 2400ソースメータなどの電流ソースメータに接触させて、インジウムスズ酸化物電極にバイアスを適用してアルミニウム電極をアースした。これによって、陽性荷電担体(正孔)および陰性荷電担体がデバイスに注入され、励起子を形成して光を生成する。本実施例において、HILは発光層への電荷担体の注入を補助する。その結果、デバイスの動作電圧(ピクセルの中に所定の電流密度を流すために必要な電圧として定義される)が低くなる。
【0177】
同時に、別のKeithley 2400ソースメータを用いて、大きい面積のシリコンフォトダイオードを扱った。このフォトダイオードは、2400ソースメータによってゼロボルトのバイアスで維持した。これは、OLEDピクセルの光を照射した領域の真下のガラス基板領域に直ちに接するように置いた。フォトダイオードは、OLEDによって生成された光を収集して、それらを光電流に変換し、次にこれをソースメータによって読み取った。生成されたフォトダイオード電流は、Minolta CS-200色彩色差計の助けを借りてそれを較正することにより、光学単位(カンデラ/平方メートル)に定量した。
【0178】
デバイスの試験中に、OLEDピクセルを扱うKeithley 2400は、それに電圧掃引を適用した。ピクセルの中を通過する得られた電流を測定した。同時に、OLEDピクセルの中を通過する電流によって、光が生成され、それによってフォトダイオードに接続された他のKeithley 2400によって光電流を読み取る。したがって、ピクセルに関する電位-電流-光またはIVLデータが生成された。次にこれによって、ピクセルに対する入力電力1ワットあたりのルーメンおよびピクセル電流1アンペアあたりのカンデラなどの他のデバイス特性の測定が可能となった。
【0179】
異なる例のOLEDタイプにおける異なるHILの性能を記述する。典型的に性能は、動作電圧(低くなければならない)、ニトで表される輝度(明るくなければならない)、およびcd/A単位での視感度効率(デバイスから光を得るためにどれだけの電荷が必要であるかを示す)などの異なるパラメータの組み合わせによって定量されることに注意されたい。したがって、総合的な性能が、HIL性能の比較評価において非常に重要である。
【0180】
以下の実施例において、提供される電圧および効率を10mA/cm
2の固定電流密度で測定した。各デバイスについて収集したデータを以下の表2に示す。
【0181】
以下の表2において用いた比較例は下記から調製したインクである
*:
*例えば、2008年10月9日公開のSeshadriらへの米国特許公報第2008/0248313号(譲受人:Plextronics)を参照されたい。
【0182】
(表2)
*正孔注入層を、一般手順1Aおよび1Cを用い、テトラヒドロピラン中、全固体1.25%で調製した。
【0183】
その他の実施例
インク配合物のその他の実施例を以下の表3に開示する。
【0184】
(表3)
【0185】
最後に、態様1〜67は、2010年5月11日提出の米国特許仮出願第61/333,657号において提供された。これらのさらなる態様には下記が含まれる。
【0186】
態様1. 少なくとも1つの陰極、少なくとも1つの陽極、陰極と陽極との間に配置された少なくとも1つの発光層、発光層と陽極との間に配置された少なくとも1つの正孔注入層を含むデバイスであって、正孔注入層が:(i)3-置換アルコキシポリチオフェンまたは3,4-置換ジアルコキシポリチオフェンである、少なくとも1つの共役ポリマー;(ii)任意に、(i)とは異なる少なくとも1つのマトリックス材料;および(iii)ポリマー(i)のための少なくとも1つのドーパントであって、任意のマトリックス材料(ii)を実質的にドープせず、かつイオン化合物のカチオンが金、モリブデン、レニウム、鉄、銀、またはその組み合わせであり;かつイオン化合物のアニオンが、独立に、R
1からR
9のそれぞれがH、アルキル、ペルフルオロアルキル(C1〜C10)、ポリエーテル、F、Cl、Br、I、CN、置換されていてもよいフェニル、または置換されていてもよいナフチルであり;「A」がホウ素、ガリウム、リン、またはアンチモンであり;かつnが1から6である、以下の構造:
の少なくとも1つによって表されるイオン化合物を含むドーパントを含む組成物を含むデバイス。
【0187】
態様2. アニオンがテトラキス(ハロゲン化フェニル)ホウ酸塩である、態様1記載のデバイス。
【0188】
態様3. ドーパントがテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸銀を含む、態様1記載のデバイス。
【0189】
態様4. 共役ポリマーが3,4-置換ジアルコキシポリチオフェンである、態様1記載のデバイス。
【0190】
態様5. 共役ポリマーが3-置換アルコキシポリチオフェンであり、アルコキシ基が1、2、3、4、または5個の酸素原子を含む、態様1記載のデバイス。
【0191】
態様6. 共役ポリマーが位置規則性ポリチオフェンである、態様1記載のデバイス。
【0192】
態様7. 共役ポリマーが位置不規則性ポリチオフェンである、態様1記載のデバイス。
【0193】
態様8. マトリックス材料が存在する、態様1記載のデバイス。
【0194】
態様9. マトリックス材料が存在し、かつ少なくとも1つの合成有機ポリマーを含む、態様1記載のデバイス。
【0195】
態様10. マトリックス材料が存在し、かつ絶縁または半導体平坦化剤を含む、態様1記載のデバイス。
【0196】
態様11. 組成物が約40重量%から75重量%の間の共役ポリマーおよび約25重量%から55重量%の間のドーパントを含む、態様1記載のデバイス。
【0197】
態様12. 組成物が約50%から65%の間の共役ポリマーおよび約35%から50%の間のドーパントを含む、態様1記載のデバイス。
【0198】
態様13. 陰極がAu、Ca、Al、またはその組み合わせを含む、態様1記載のデバイス。
【0199】
態様14. 陽極がインジウムスズ酸化物を含む、態様1記載のデバイス。
【0200】
態様15. 発光層が少なくとも1つの有機化合物を含む、態様1記載のデバイス。
【0201】
態様16. HIL層が約20nmから約60nmの厚さを有する、態様1記載のデバイス。
【0202】
態様17. HIL層を熱的にアニールさせる、態様1記載のデバイス。
【0203】
態様18. HIL層を約90℃から約170℃の温度で約5から約15分間熱的にアニールさせる、態様1記載のデバイス。
【0204】
態様19. HIL層がヨードニウム塩を含まない、態様1記載のデバイス。
【0205】
態様20. ドーパントがテトラキス(ペンタフルオロフェニルホウ酸)銀を含み、かつ共役ポリマーが3,4-置換ジアルコキシポリチオフェンポリマーのポリ(3,4-(ジブトキシエトキシエトキシ)チオフェン)またはポリ(3,4-メトキシエトキシエトキシ)チオフェン)である、態様1記載のデバイス。
【0206】
態様21. 少なくとも1つの陰極、少なくとも1つの陽極、陰極と陽極との間に配置された少なくとも1つの発光層、発光層と陽極との間に配置された少なくとも1つの正孔注入層を含むデバイスであって、正孔注入層が:(i)少なくとも1つの共役ポリマー、(ii)任意に、(i)とは異なる少なくとも1つのマトリックス材料;およびポリマー(i)のための少なくとも1つのドーパントであって、任意のマトリックス材料(ii)を実質的にドープせず、かつHIL層の熱安定性を増大させるドーパントを含む組成物を含むデバイス。
【0207】
態様22. 熱安定性が熱重量分析により測定して改善される、態様21記載のデバイス。
【0208】
態様23. 熱安定性が熱重量分析により測定して改善され、ドーパントが0℃から150℃の温度範囲の全域で約5%未満の重量変化を起こす、態様21記載のデバイス。
【0209】
態様24. ドーパントがイオン化合物を含み、ここでイオン化合物のカチオンが金、モリブデン、レニウム、鉄、または銀であり;かつイオン化合物のアニオンが、独立に、R
1からR
9のそれぞれがH、アルキル、ペルフルオロアルキル(C1〜C10)、ポリエーテル、F、Cl、Br、I、CN、置換されていてもよいフェニル、または置換されていてもよいナフチルであり;「A」がホウ素、ガリウム、リン、またはアンチモンであり;かつnが1から6である:
によって表される少なくとも1つの有機構造である、態様21記載のデバイス。
【0210】
態様25. ドーパントがイオン化合物を含み、ここでイオン化合物のカチオンが金、モリブデン、レニウム、鉄、および銀からなる群より選択される少なくとも1つであり;かつイオン化合物のアニオンが、置換されていてもよいテトラアリールホウ酸アニオン、ハロゲン化テトラアリールホウ酸アニオン、およびテトラキスペンタフルオロフェニルホウ酸アニオン(TPFB)を含む、全芳香族、ヘテロ芳香族アニオンからなる群より選択される、態様21記載のデバイス。
【0211】
態様26. ドーパントがテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸銀を含む、態様21記載のデバイス。
【0212】
態様27. 共役ポリマーが少なくとも1つのポリチオフェンを含む、態様21記載のデバイス。
【0213】
態様28. 共役ポリマーがアルコキシまたはアルキレンオキシ側基を含む少なくとも1つのポリチオフェンを含む、態様21記載のデバイス。
【0214】
態様29. マトリックス材料が絶縁または半導体平坦化剤を含む、態様21記載のデバイス。
【0215】
態様30. 組成物が約40重量%から75重量%の間の共役ポリマーおよび約25重量%から55重量%の間のドーパントを含む、態様21記載のデバイス。
【0216】
態様31. (i)3-置換アルコキシポリチオフェンまたは3,4-置換ジアルコキシポリチオフェンである、少なくとも1つの共役ポリマー;(ii)任意に、(i)とは異なる少なくとも1つのマトリックス材料;および(iii)ポリマー(i)のための少なくとも1つのドーパントであって、任意のマトリックス材料(ii)を実質的にドープせず、かつイオン化合物のカチオンが金、モリブデン、レニウム、鉄、または銀であり;かつイオン化合物のアニオンが、独立に、R
1からR
9のそれぞれがH、アルキル、ペルフルオロアルキル(C1〜C10)、ポリエーテル、F、Cl、Br、I、CN、置換されていてもよいフェニル、または置換されていてもよいナフチルであり;「A」がホウ素、ガリウム、リン、またはアンチモンであり;かつnが1から6である:
によって表される少なくとも1つの有機構造であるイオン化合物を含むドーパント;および(iv)少なくとも1つの溶媒を含む組成物。
【0217】
態様32. 溶媒(iv)がTHPを含む、態様31記載の組成物。
【0218】
態様33. 溶媒(iv)が1,2,3,4-テトラヒドロナフタレンおよび3-メトキシプロピオニトリルの混合物を含む、態様31記載の組成物。
【0219】
態様34. 約40重量%から75重量%の間の共役ポリマーおよび約25重量%から55重量%の間のドーパントを含む、態様31記載の組成物。
【0220】
態様35. 成分(i)および(ii)および(iii)が溶媒(iv)に溶解性または分散性である、態様31記載の組成物。
【0221】
態様36. 共役ポリマーがポリ(3,4-(ジブトキシエトキシエトキシ)チオフェン)を含む、態様31記載の組成物。
【0222】
態様37. マトリックス材料が絶縁または半導体平坦化剤を含む、態様31記載の組成物。
【0223】
態様38. ドーパントがテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸銀を含む、態様31記載の組成物。
【0224】
態様39. 少なくとも95重量%の溶媒を含み、かつ5重量%以下の固体百分率によって特徴づけられる、態様31記載の組成物。
【0225】
態様40. 発光デバイスのためのHIL層となるよう配合される、態様31記載の組成物。
【0226】
態様41. (i)3-置換アルコキシポリチオフェンまたは3,4-置換ジアルコキシポリチオフェンである、少なくとも1つの共役ポリマー;(ii)任意に、(i)とは異なる少なくとも1つのマトリックス材料;および(iii)ポリマー(i)のための少なくとも1つのドーパントであって、任意のマトリックス材料(ii)を実質的にドープせず、かつイオン化合物のカチオンが金、モリブデン、レニウム、鉄、または銀であり;かつイオン化合物のアニオンが、独立に、R
1からR
9のそれぞれがH、アルキル、ペルフルオロアルキル(C1〜C10)、ポリエーテル、F、Cl、Br、I、CN、置換されていてもよいフェニル、または置換されていてもよいナフチルであり;「A」がホウ素、ガリウム、リン、またはアンチモンであり;かつnが1から6である:
によって表される少なくとも1つの有機構造であるイオン化合物を含むドーパントを含む組成物。
【0227】
態様42. ドーパントがイオン化合物を含み;ここでイオン化合物のカチオンが金、モリブデン、レニウム、鉄、または銀であり;かつイオン化合物のアニオンが、置換されていてもよいテトラアリールホウ酸アニオン、ハロゲン化テトラアリールホウ酸アニオン、またはテトラキスペンタフルオロフェニルホウ酸アニオン(TPFB)を含む、全芳香族またはヘテロ芳香族アニオンである、態様41記載の組成物。
【0228】
態様43. ドーパントがテトラキス(ペンタフルオロフェニルホウ酸)銀を含む、態様41記載の組成物。
【0229】
態様44. 共役ポリマーが3-置換アルコキシポリチオフェンである、態様41記載の組成物。
【0230】
態様45. 共役ポリマーが3,4-置換ジアルコキシポリチオフェンである、態様41記載の組成物。
【0231】
態様46. 共役ポリマーが位置規則性ポリチオフェンである、態様41記載の組成物。
【0232】
態様47. 共役ポリマーが位置不規則性ポリチオフェンである、態様41記載の組成物。
【0233】
態様48. マトリックス材料が少なくとも1つの合成ポリマーを含む、態様41記載の組成物。
【0234】
態様49. マトリックス材料が絶縁または半導体平坦化剤を含む、態様41記載の組成物。
【0235】
態様50. マトリックス材料がポリ(スチレン)またはポリ(スチレン)誘導体、ポリ(酢酸ビニル)またはその誘導体、ポリ(エチレングリコール)またはその誘導体、ポリ(エチレン-コ-酢酸ビニル)、ポリ(ピロリドン)またはその誘導体、ポリ(1-ビニルピロリドン-コ-酢酸ビニル)、ポリ(ビニルピリジン)またはその誘導体、ポリ(メタクリル酸メチル)またはその誘導体、ポリ(アクリル酸ブチル)、ポリ(アリールエーテルケトン)、ポリ(アリールスルホン)、ポリ(アリールエーテルスルホン)、ポリ(エステル)またはその誘導体の少なくとも1つを含む、態様41記載の組成物。
【0236】
態様51. 約40重量%から75重量%の間の共役ポリマーおよび約25重量%から55重量%の間のドーパントを含む、態様41記載の組成物。
【0237】
態様52. 約50%から65%の間の共役ポリマーおよび約35%から50%の間のドーパントを含む、態様41記載の組成物。
【0238】
態様53. 熱的にアニールさせる、態様41記載の組成物。
【0239】
態様54. 90℃から170℃の温度で5分から15分間熱的にアニールさせる、態様41記載の組成物。
【0240】
態様55. ヨードニウム塩を含まない、態様41記載の組成物。
【0241】
態様56. ドーパントが約0.3から0.5m/ruの量で存在し、ここでmはドーパントのモル量であり、ruは共役ポリマー反復単位のモル量である、態様41記載の組成物。
【0242】
態様57. 組成物が粉末であり、かつポリマーがドープされている、態様41記載の組成物。
【0243】
態様58. 組成物がインクであり、かつポリマーがドープされている、態様41記載の組成物。
【0244】
態様59. 共役ポリマーが:
によって表される、態様41記載の組成物。
【0245】
態様60. ポリマーがポリ(3,4-(ジブトキシエトキシエトキシ)チオフェン)である、態様41記載の組成物。
【0246】
態様61. 態様41記載の組成物を含むデバイス。
【0247】
態様62. LED、OLED、OPV、エレクトロクロミックデバイス、スーパーキャパシタ、電池、アクチュエータ、またはトランジスタである、態様61記載のデバイス。
【0248】
態様63. 組成物が透明層である、態様61記載のデバイス。
【0249】
態様64. 組成物が400〜800nmの波長で少なくとも85%から約100%の透明度を有する透明層である、態様61記載のデバイス。
【0250】
態様65. 少なくとも1つの基板および基板上に配置された少なくとも1つのコーティングを含むコーティングした基板であって、コーティングが態様41記載の組成物を含む、基板。
【0251】
態様66. コーティングがパターン形成されている、またはパターン形成されていない、態様65記載のコーティングした基板。
【0252】
態様67. コーティングがパターン形成されている、態様65記載のコーティングした基板。
【0253】
これで、2010年5月11日提出の米国特許仮出願第61/333,657号に提供される態様1〜67は終わりである。
【0254】
2010年5月11日提出の先行米国特許仮出願第61/333,657号および2011年2月25日提出の第61/446,974号は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み入れられる。