特許第5770277号(P5770277)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5770277インターモード、スキップモード及びマージモードについて動きベクトル/動きベクトルの予測子の候補を導出する方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5770277
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】インターモード、スキップモード及びマージモードについて動きベクトル/動きベクトルの予測子の候補を導出する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 19/52 20140101AFI20150806BHJP
【FI】
   H04N19/52
【請求項の数】20
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-516991(P2013-516991)
(86)(22)【出願日】2011年10月13日
(65)【公表番号】特表2013-529878(P2013-529878A)
(43)【公表日】2013年7月22日
(86)【国際出願番号】CN2011080736
(87)【国際公開番号】WO2012071949
(87)【国際公開日】20120607
【審査請求日】2012年12月27日
(31)【優先権主張番号】61/417,798
(32)【優先日】2010年11月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/431,454
(32)【優先日】2011年1月11日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/452,541
(32)【優先日】2011年3月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/089,233
(32)【優先日】2011年4月18日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/206,891
(32)【優先日】2011年8月10日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504146800
【氏名又は名称】メディアテック インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】リン,ジァン−リァン
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ,ユ−パオ
(72)【発明者】
【氏名】チェン,イ−ウェン
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ユ−ウェン
(72)【発明者】
【氏名】レイ,シャウ−ミン
【審査官】 山▲崎▼ 雄介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−283490(JP,A)
【文献】 特開2010−016454(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/001045(WO,A1)
【文献】 特表2010−516158(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/115901(WO,A1)
【文献】 Jian-Liang Lin, et al.,Improved Advanced Motion Vector Prediction,Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC) of ITU-T SG16 WP3 and ISO/IEC JTC1/SC29/WG11 4th Meeting: Daegu, KR,2011年 1月23日,[JCTVC-D125],pp.1-8,URL,http://phenix.int-evry.fr/jct/
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 19/00−19/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターモード、マージモード又はスキップモードにおいて、現在のピクチャの現在のブロックの動きベクトルについて、ビデオ符号化/復号化装置がMVP(動きベクトルの予測子)を導出する方法であって、
前記動きベクトルは、前記現在のブロックと、所与の参照リストにおけるターゲット参照ピクチャの中で前記現在のブロックとマッチするブロックとに関連しており、
当該方法は、
時間的なMVPを導出するための同一場所に位置する参照ブロックが少なくとも一つ見つかるまで、1つ以上の同一場所に位置する参照ブロックを前記ビデオ符号化/復号化装置が探索する段階であり、前記1つ以上の同一場所に位置する参照ブロックのうち一つが同一場所に位置するブロックの右下の隣接ブロックからのものである、段階と、
前記1つ以上の同一場所に位置する参照ブロックに関する動き情報を抽出することにより、前記1つ以上の同一場所に位置する参照ブロックに関連する1以上の参照の動きベクトルを前記ビデオ符号化/復号化装置が取得する段階と、
前記1以上の参照の動きベクトルに基づいて、前記現在のブロックについて前記MVPを前記ビデオ符号化/復号化装置が決定する段階であり、前記右下の隣接ブロックが候補のブロックとして選択された場合に、前記右下の隣接ブロックのうち一つの参照の動きベクトルが前記MVPとして使用される、段階と、
前記現在のブロックについて前記MVPを前記ビデオ符号化/復号化装置が提供する段階と、
を含む方法。
【請求項2】
前記同一場所に位置するブロックの右下の隣接ブロックからのものである前記1つ以上の同一場所に位置する参照ブロックのうち一つは、前記同一場所に位置するブロックの前記右下の隣接ブロックの左上の参照ブロックである、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記1以上の同一場所に位置する参照ブロックは、前記同一場所に位置するブロックの内側の参照ブロックを更に含む、
請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記内側の参照ブロックは、前記同一場所に位置するブロックの中央の参照ブロックである、
請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記1以上の同一場所に位置する参照ブロックは、前記同一場所に位置するブロックの右の隣接ブロックのうちの最も左にある参照ブロック、前記同一場所に位置するブロックの下の隣接ブロックのうちの上の参照ブロックを更に含む、
請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記内側の参照ブロックは、前記同一場所に位置するブロックの左上の参照ブロックであり、
前記1以上の同一場所に位置する参照ブロックは、前記同一場所に位置するブロックの右の隣接ブロックのうちの最も左にある参照ブロック、又は前記同一場所に位置するブロックの下の隣接ブロックのうちの上の参照ブロックを更に含む、
請求項3記載の方法。
【請求項7】
前記同一場所に位置するブロックの前記右下の隣接ブロックの第一の参照ブロックは、前記インターモード又は前記スキップモードにおいて前記MVPを決定するために使用され、
前記同一場所に位置するブロックの前記右下の隣接ブロックの前記第一の参照ブロックとは異なる前記1以上の同一場所に位置する参照ブロックのうちの1つは、前記マージモード又は前記スキップモードにおいて前記MVPを決定するために使用される、
請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記MVPを決定する段階は、前記同一場所に位置するブロックの前記右下の隣接ブロックの第一の参照ブロックに関連する前記1以上の参照の動きベクトルに基づいて前記MVPを決定する前記段階が前記MVPを発見しない場合、前記同一場所に位置するブロックの前記右下の隣接ブロックの前記第一の参照ブロックとは異なる前記1以上の同一場所に位置する参照ブロックに関連する前記1以上の参照の動きベクトルに基づく、
請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記導出された時間的なMVPが前記現在のブロックの隣接ブロックから導出された以前のMVPと同じである場合、前記時間的なMVPを導出するための同一場所に位置する参照ブロックを前記探索する段階は、前記時間的なMVPは無視され、前記MVPの探索が継続される、
請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記1以上の参照の動きベクトルに基づいて前記MVPを決定する前記段階は、サーチスキームに対応しており、前記サーチスキームは、前記インターモード、前記スキップモード及び前記マージモードからなるグループから選択された予測モードに依存して選択される、
請求項1記載の方法。
【請求項11】
インターモード、マージモード又はスキップモードにおいて、現在のピクチャの現在のブロックの動きベクトルについて、MVP(動きベクトルの予測子)を導出するビデオ符号化/復号化装置であって、
前記動きベクトルは、前記現在のブロックと、所与の参照リストにおけるターゲット参照ピクチャの中で前記現在のブロックとマッチするブロックとに関連しており、
当該装置は、
時間的なMVPを導出するための同一場所に位置する参照ブロックが少なくとも一つ見つかるまで、1つ以上の同一場所に位置する参照ブロックを前記ビデオ符号化/復号化装置が探索する手段であり、前記1つ以上の同一場所に位置する参照ブロックのうち一つが同一場所に位置するブロックの右下の隣接ブロックからのものである、手段と、
前記1つ以上の同一場所に位置する参照ブロックに関する動き情報を抽出することにより、前記1つ以上の同一場所に位置する参照ブロックに関連する1以上の参照の動きベクトルを前記ビデオ符号化/復号化装置が取得する手段と、
前記1以上の参照の動きベクトルに基づいて、前記現在のブロックについて前記MVPを前記ビデオ符号化/復号化装置が決定する手段であり、前記右下の隣接ブロックが候補のブロックとして選択された場合に、前記右下の隣接ブロックのうち一つの参照の動きベクトルが前記MVPとして使用される、手段と、
前記現在のブロックについて前記MVPを前記ビデオ符号化/復号化装置が提供する手段と、
を含む装置。
【請求項12】
前記同一場所に位置するブロックの右下の隣接ブロックからのものである前記1つ以上の同一場所に位置する参照ブロックのうち一つは、前記同一場所に位置するブロックの前記右下の隣接ブロックのうちの左上の参照ブロックである、
請求項11記載の装置。
【請求項13】
前記1以上の同一場所に位置するブロックは、前記同一場所に位置するブロックの内側の参照ブロックを更に含む、
請求項11記載の装置。
【請求項14】
前記内側の参照ブロックは、前記同一場所に位置するブロックの中央の参照ブロックである、
請求項13記載の装置。
【請求項15】
前記1以上の同一場所に位置する参照ブロックは、前記同一場所に位置するブロックの右の隣接ブロックのうちの最も左にある参照ブロック、前記同一場所に位置する下の隣接ブロックのうちの上の参照ブロックを更に含む、
請求項14記載の装置。
【請求項16】
前記内側の参照ブロックは、前記同一場所に位置するブロックの左上の参照ブロックであり、
前記1以上の同一場所に位置する参照ブロックは、前記同一場所に位置するブロックの右の隣接ブロックのうちの最も左にある参照ブロック、又は前記同一場所に位置するブロックの下の隣接ブロックのうちの上の参照ブロックを更に含む、
請求項13記載の装置。
【請求項17】
前記同一場所に位置するブロックの前記右下の隣接ブロックのうちの第一の参照ブロックは、前記インターモード又は前記スキップモードにおいて前記MVPを決定する前記手段のために使用され、
前記同一場所に位置するブロックの前記右下の隣接ブロックのうちの前記第一の参照ブロックとは異なる前記1以上の同一場所に位置する参照ブロックのうちの1つは、前記マージモード又は前記スキップモードにおいて前記MVPを決定する前記手段のために使用される、
請求項11記載の装置。
【請求項18】
前記MVPを決定する前記手段は、前記同一場所に位置するブロックの前記右下の隣接ブロックの第一の参照ブロックに関連する前記1以上の参照の動きベクトルに基づいて前記MVPを決定する前記手段が前記MVPを発見しない場合、前記同一場所に位置するブロックの前記右下の隣接ブロックのうちの前記第一の参照ブロックとは異なる前記1以上の同一場所に位置する参照ブロックに関連する前記1以上の参照の動きベクトルに基づく、
請求項11記載の装置。
【請求項19】
前記導出された時間的なMVPが前記現在のブロックの隣接ブロックから導出された以前のMVPと同じである場合、前記時間的なMVPを導出するための同一場所に位置する参照ブロックを前記探索する動作は、前記時間的なMVPは無視され、前記MVPを探索する動作が継続される、
請求項11記載の装置。
【請求項20】
前記1以上の参照の動きベクトルに基づいて前記MVPを決定する前記手段は、サーチスキームに対応しており、前記サーチスキームは、前記インターモード、前記スキップモード及び前記マージモードからなるグループから選択された予測モードに依存して選択される、
請求項11記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像符号化に関するものであり、より詳細には、本発明は、インターモード、スキップモード及びマージモードについて、時間的な動きベクトルの候補及び動きベクトルの予測子の候補の導出に関連する符号化技術に関するものである。
本発明は、2010年11月9日に提出された“New Motion Vector Prediction Set”と題する米国特許仮出願第61/417,798号、2011年1月11日に提出された“Improved Advanced Motion Vector Prediction”と題する米国特許仮出願第61/431,454号、2011年3月14日に提出された“A Temporal MV/MVP Candidate for Inter, Skip and Merging Prediction Units in Video Compression”と題する米国特許仮出願第61/452,541号、2011年4月18日に提出された“Method and Apparatus of Extended Motion Vector Predictor”と題する米国特許出願、2011年8月10日に提出された“Method and Apparatus for Derivation of MV/MVP Candidate for Inter/Skip/Merge Modes”と題する米国特許出願に対する優先権を主張するものであり、これら米国特許仮出願及び米国特許出願は、これらの完全な形で引用により本明細書に盛り込まれる。
【背景技術】
【0002】
映像符号化システムにおいて、送信される情報を低減するため、空間及び時間予測を使用して空間及び時間の冗長度が利用される。空間及び時間予測は、符号化される現在の画素について予測を形成するため、同じピクチャ及び参照ピクチャからの復号化された画素をそれぞれ利用する。従来の符号化システムでは、空間及び時間予測に関連する副情報が送信される必要があり、この副情報は、圧縮された映像データの幾らかの帯域幅を取る。時間予測の動きベクトルの送信は、特に低ビットレートの用途において、圧縮されたビデオの顕著な部分を必要とする。動きベクトルに関連するビットレートを更に低減するため、最近において映像符号化の分野において、動きベクトル予測(MVP: Motion Vector Prediction)と呼ばれる技術が使用されている。MVP技術は、空間的及び時間的に隣接する動きベクトルの間の静的な冗長度を利用する。本明細書の残りにおいて、MVPは、「動きベクトル予測」を示すことがあり、文脈に応じて「動きベクトル予測子」を示すことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
高能率映像符号化(HEVC: High-Efficiency Video Coding)の開発において、高度動きベクトル予測(AMVP: Advanced Motion Vector Prediction)と呼ばれる技術は、標準化段階により現在検討されている。AMVP技術は、MVP候補のセットから選択されたMVPを示す明示的な予測子のシグナリングを使用する。HEVCテストモデルのバージョン2.0(HM-2.0)では、AMVPのMVの候補のセットは、空間MVP及び時間MVPを含み、空間MVPは、現在のブロックの2つのそれぞれの隣接するグループから選択された2つのMVPを含む。時間MVPは、現在のピクチャから参照ピクチャに現在のブロックをマッピングすることで、参照ピクチャのそれぞれの領域からの動きベクトルに基づいて導出される。それぞれの領域、すなわち参照ピクチャにおける同一場所に位置されるブロックは、現在のブロックと同じブロックサイズ(予測ユニット(PU)のサイズ)を有さない。それぞれの予測の領域が現在のブロックよりも小さいブロックサイズを使用するとき、同一場所に位置するブロックにおけるブロックのうちの1つは、同一場所に位置される参照ブロックとして選択される。HM−2.0では、時間予測子がそれぞれの領域の現在のブロックと関連される一方、HMの前のバージョンは、同一場所に位置されるブロックの左上の参照ブロックを使用する。同一場所に位置される参照ブロックのMVが存在しない場合、MVPは、利用可能ではない。時間的なMVPの可用性を改善することができるMVPの導出スキームを開発することが望まれる。改善されたMVPの導出スキームにより、小さな動きベクトルの残差が得られ、結果的に良好な符号化効率が得られる。さらに、MVPの導出スキームにより、更なる副情報が送信される必要がないように、MVPの候補が復号化された情報に基づいてデコーダで導出されることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
インターモード、スキップモード又はマージモードにおいて現在のピクチャの現在のブロックの動きベクトル(MV)の動きベクトルの予測子(MVP)を導出する方法が開示され、MVは、現在のブロックと、所与の参照リストにおけるターゲットの参照ピクチャの対応するブロックと関連付けされる。本発明の1実施の形態では、インターモード、スキップモード又はマージモードにおいて現在のブロックのMVの動きベクトルの予測子(MVP)を導出する方法は、同一場所に位置するブロックの右下の隣接するブロックの第一の参照ブロックを含む1以上の同一場所に位置する参照ブロックを決定する段階、前記1以上の同一場所に位置する参照ブロックに関連する1以上の参照のMV(動きベクトル)を受信する段階、前記1以上の参照のMVに基づいて現在のブロックについてMVPを決定する段階、及び現在のブロックについてMVPを提供する段階を含む。本発明の1態様は、同一場所に位置する参照ブロックのコンフィギュレーションに関連する。1実施の形態では、前記1以上の同一場所に位置する参照ブロックは、同一場所に位置するブロックの内側の参照ブロックを更に含む。例えば、内側の参照ブロックは、同一場所に位置されるブロックの中央の参照ブロックである場合がある。更に、別の実施の形態では、前記1以上の同一場所に位置される参照ブロックは、同一場所に位置されるブロックの中央の参照ブロック、同一場所に位置されるブロックの右の隣接ブロックの最も左の参照ブロック、及び同一場所に位置されるブロックの下の隣接ブロックの上の参照ブロックを更に含む。更に別の実施の形態では、前記1以上の同一場所に位置される参照ブロックは、同一場所に位置されるブロックの左上の参照ブロック、同一場所に位置されるブロックの右の隣接ブロックの最も左にある参照ブロック、及び同一場所に位置するブロックの下の隣接ブロックの上の参照ブロックを更に含む。本発明の別の実施の形態では、右下の隣接ブロックの第一の参照ブロックに関連する前記1以上の参照のMVに基づいたMVPの前記判定がMVPを発見しない場合、MVPの前記判定は、右下の隣接ブロックの第一の参照ブロックとは異なる同一場所に位置する参照ブロックに基づく。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】高能率映像符号化テストモデルのバージョン2.0(HM-2.0)に従うインターモード及びスキップモードについて空間的/時間的な動きベクトルの予測子の候補のセットを導出する隣接ブロックのコンフィギュレーションを示す図である。
図2】ブロックの中央をブロックの原点の代わりに同一の場所に位置されるブロックにマッピングすることによる時間予測子の例を示す図である。
図3】HM−2.0に従うマージモードの空間的/時間的動きベクトルの予測の候補のセットを導出する隣接ブロックのコンフィギュレーションを示す図である。
図4】HM−2.0に従う第一のN×2N PUのマージモードについて空間的/時間的動きベクトルの予測の候補のセットを導出する隣接ブロックのコンフィギュレーションを示す図である。
図5】HM−2.0に従う第一のN×2N PUのマージモードについて空間的/時間的な動きベクトルの予測の候補のセットを導出する隣接ブロックのコンフィギュレーションを示す図である。
図6】本発明の1実施の形態に係る、インターモードとスキップモードについて空間的及び時間的な動きベクトルの予測の候補のセットを導出する隣接ブロックのコンフィギュレーションを示す図である。
図7】本発明の1実施の形態に係る、マージモードについて空間的/時間的な動きベクトルの予測の候補を導出する隣接ブロックのコンフィギュレーションを示す図である。
図8】本発明の別の実施の形態に係る、インターモードとスキップモードについて、空間的/時間的な動きベクトルの予測の候補のセットを導出する隣接ブロックのコンフィギュレーションを示す図である。
図9】本発明の更に別の実施の形態に係る、インターモードとスキップモードについて、空間的/時間的な動きベクトルの予測の候補のセットを導出する隣接ブロックのコンフィギュレーションを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
映像符号化システムにおいて、送信又は記憶されるビットレートを低減するため、空間及び時間予測を使用して、空間的及び時間的な冗長度が利用される。空間予測は、同じピクチャからの復号化された画素を利用して、符号化される現在の画素の予測を形成する。空間予測は、H.264/AVCイントラ符号化において輝度信号について16×16又は4×4ブロックのようなブロック毎に動作することがある。ビデオ系列において、隣接ピクチャは、大きな類似性をもつことがあり、ピクチャの違いをシンプルに使用することは、静的な背景の領域に関連する送信された情報を効果的に低減する。それにもかかわらず、ビデオ系列における移動するオブジェクトにより、相当な残差が得られ、残差を符号化するために高いビットレートを必要とする。結果的に、ビデオ系列における時間的な相関を利用するため、MCP(Motion Compensated Prediction)が使用されることがある。
【0007】
動き補償予測は、前方予測の方式で使用され、現在のブロックは、表示順において現在のピクチャの前にある復号化されたピクチャを使用して予測される。前方予測に加えて、動き補償予測のパフォーマンスを改善するため、後方予測も使用される。後方予測は、表示順において現在のピクチャの後の復号化されたピクチャを利用する。H.264/AVCの第一のバージョンは2003年に最終合意されたので、前方予測及び後方予測は、list0の予測及びlist1の予測にそれぞれ拡張され、list0及びlist1の両者は、表示順において現在のピクチャよりも前、及び/又は現在のピクチャの後にある複数の参照ピクチャを含む。以下は、デフォルトの参照ピクチャのリストのコンフィギュレーションを記載する。list0について、現在のピクチャよりも前にある参照ピクチャは、現在のピクチャよりも後のピクチャよりも低い参照ピクチャのインデックスを有する。list1について、現在のピクチャよりも後の参照ピクチャは、現在のピクチャの前のピクチャよりも低い参照ピクチャのインデックスを有する。list0及びlist1の両者について、前のルールを適用した後、時間的な距離は、以下のように考えられる。現在のピクチャに近い参照ピクチャは、低い参照ピクチャのインデックスを有する。list0及びlist1の参照ピクチャのコンフィギュレーションを説明するため、以下の例が提供され、現在のピクチャは、ピクチャ5であり、ピクチャ0,2,4,6及び8は、参照ピクチャであり、符号は、表示の順序を示す。昇順の参照ピクチャのインデックスをもち、且つゼロに等しいインデックスで開始するlist0の参照ピクチャは、4,2,0,6及び8である。昇順の参照ピクチャのインデックスを持ち且つゼロに等しいインデックスで開始するlist1の参照ピクチャは、6,8,4,2及び0である。インデックス0を有する第一の参照ピクチャは、同一場所に位置するピクチャと呼ばれ、この例では現在のピクチャとしてピクチャ5をもち、ピクチャ6は、list1の同一場所に位置するピクチャであり、ピクチャ4は、list0の同一場所に位置するピクチャである。list0又はlist1の同一場所に位置するピクチャにおけるブロックが現在のピクチャにおける現在のブロックと同じブロックの位置を有するとき、list0又はlist1の同一場所に位置するブロックと呼ばれるか、或いは、list0又はlist1における同一場所に位置するブロックと呼ばれる。MPEG−1,MPEG−2及びMPEG−4のような初期の映像符号化規格における動き予測について使用された単位は、マクロブロックに主に基づいている。H.264/AVCについて16×16マクロブロックは、動き予測について、16×16、16×8、8×16及び8×8ブロックに分割される。さらに、8×8ブロックは、動き予測について、8×8、8×4、4×8及び4×4ブロックに分割される。開発中の高能率映像符号化(HEVC)は、動き予測/補償モードの単位は、予測単位(PU: Prediction Unit)と呼ばれ、PUは、最大のブロックサイズから階層的に分割される。MCPタイプは、H.264/AVC規格におけるそれぞれのスライスについて選択される。動き補償予測がlist0予測に制限されるスライスは、Pスライスと呼ばれる。Bスライスについて、動き補償予測は、list0の予測に加えて、list1の予測を含む。
【0008】
映像符号化システムにおいて、動きベクトル(MV)及び符号化された残差は、デコーダ側で映像を再構成するため、デコーダに送信される。さらに、柔軟な参照ピクチャの構造をもつシステムにおいて、選択された参照ピクチャと関連される情報も送信される必要がある。動きベクトルの送信は、特に低ビットレートの用途又は動きベクトルが小さなブロック又は高い動きの精度と関連されるシステムにおいて、全体の帯域幅のうちの顕著な部分を必要とする。動きベクトルに関連されるビットレートを更に低減するため、近年において映像符号化の分野において、動きベクトル予測(MVP)と呼ばれる技術が使用される。この開示では、MVPは、動きベクトルの予測子をも示し、曖昧さがないときに略記が使用される。MVP技術は、空間的及び時間的に隣接する動きベクトルの間の静的な冗長度を利用する。MVPが使用されるとき、現在の動きベクトルの予測子が選択され、動きベクトルの残差、すなわち動きベクトルと予測子との間の差が送信される。動きベクトルの残差は、動きベクトルの差(MVD: Motion Vector Difference)と通常呼ばれる。MVPスキームは、閉ループのアレンジメントで適用することができ、このアレンジメントにおいて、復号化された情報に基づいて予測子がデコーダで導出され、更なる副情報が送信される必要がない。代替的に、副情報は、選択された動きベクトルの予測子に関してデコーダに通知するため、ビットストリームにおいて明示的に送信される。
【0009】
H.264/AVC規格において、list0、list1、双方向予測、及びDIRECT予測を含む4つの異なるタイプのインター予測がBスライスについてサポートされており、list0及びlist1は、参照ピクチャグループ0及びグループ1を使用する予測をそれぞれ示す。1つの参照リスト(すなわちlist0又はlist1)からの参照ピクチャのみが使用されるとき、予測は、単予測(uni-direction)モードと呼ばれる。双予測(bi-predictive)モードについて、動き補償されたlist0及びlist1の予測信号の重み付け平均により、予測信号が形成される。DIRECT予測モードは、前に送信されたシンタックスエレメントから推定され、list0又はlist1予測、或いは双予測の何れかとすることができる。従って、DIRECTモードにおいて動きベクトルについて情報を送信する必要がない。量子化誤差信号が送信されない場合、DIRECTマクロブロックモードは、B SKIPモードと呼ばれ、ブロックは、効果的に符号化される。さらに、良好なMVPスキームにより、より多くのゼロの動きベクトル又はより小さい予測誤差が得られる。結果的に、良好なMVPスキームは、DIRECT符号化されたブロックの数を増加し、符号化効率を改善する。
【0010】
開発されているHEVCにおいて、H.264/AVCに対する動きベクトル予測の幾つかの改善が検討されている。HEVCテストモデルのバージョン2.0におけるインターモード及びスキップモードにおいて、複数の空間的なMVPは、現在のブロックについて最終的なMVPを選択するため、時間的なMVPと結合される。HM−2.0におけるマージモードについて、複数の空間的なMVPは、現在のブロックについて最終的なMVPを選択するために時間的なMVPと結合される。マージモード及びスキップモードについて、最終的なMVPは、それらのMVDが定義によりゼロであるため、最終的なMVである。HM−2.0において、インターモード及びスキップモードは、MVPの候補のセットにおいて、1つの最終的な動きベクトルの予測子(MVP)を選択するため、高度動きベクトル予測(AMVP)アルゴリズムを利用する。AMVPは、McCann等による“Samsung’s Response to the Call for Proposals On Video Compression Technology”, Document JCTVC-A124, Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC) of ITU-T SG16 WP3 and ISO/IEC JTC1/SC29/WG1, 1st Meeting: Deresden, Germany, 15-23 April, 2010により提案される。選択されたMVPのインデックスが送信される。HM−2.0のスキップモードにおいて、参照インデックスは、常に0に設定される。インターモードにおいて、参照インデックスは、デコーダに明示的に送信される。
【0011】
既存のHEVCにおいて、時間的なMVPは、現在のピクチャから参照ピクチャに現在のブロックをマッピングさせることで、参照ピクチャのそれぞれの領域から動きベクトルに基づいて導出される。参照ピクチャにおけるそれぞれの領域、すなわち同一場所に位置するブロックは、現在のブロックと同じブロックサイズ(すなわち予測単位(PU)サイズ)を有さない。それぞれの領域が現在のブロックよりも小さなブロックサイズを使用するとき、同一場所に位置するブロックにおけるブロックのうちの1つは、同一場所に位置する参照ブロックとして選択される。HM−2.0において、時間予測子は、それぞれの領域の中央のブロックと関連される。中央のブロックは、現在のブロックの中央にマッピングされるその右下のコーナの座標を有する。しかし、それぞれの領域の左上のコーナにあるブロックは、前のバージョンのHMにおけるAMVPの時間予測と関連される。図1は、2つの空間MVPと1つの時間MVPとを含む、HM−2.0で使用されるMVPの候補のセットを示す。
1.左の予測子(E,Am,...,A0から利用可能な第一のMV)。
2.上の予測子(C,Bn,...,B0,Dから利用可能な第一のMV)。
3.時間予測子Tctr(ブロックの中央をその同一場所に位置するブロックにマッピングすることで発見される時間MV)。
【0012】
1つのMVPインデックスは、候補のセットからどのMVPが使用されるかを示すために信号伝達される。左予測子について、MVPは、所与の参照ピクチャのインデックスと同じ参照ピクチャのインデックスを有し(HM−2.0におけるスキップモードについて0に設定され、インターモードについてデコーダに明示的に送信される)、所与の参照リストと同じ参照リストを有する。下のブロックから上のブロックまでの第一の利用可能なMVとして選択される。上の予測子について、所与の参照ピクチャのインデックスと同じ参照ピクチャのインデックスを有し、所与の参照リストと同じ参照ピクチャのリストを有する、HM−2.0において右のブロックから左のブロックまでの左の予測子に同一でない第一の利用可能なMVとして選択される。時間予測子は、ブロックの原点(すなわちそれぞれの領域の左上のブロック)の代わりに、ブックの中央を同一場所に位置するピクチャにマッピングすることで決定される。32×32 CUの3タイプの分割、すなわち2N×2N 210,2N×2N 220及びN×N 230の中央の位置は、図2に示される。ブロックの中央及び原点は、参照符号214,212,224,222,234及び232のそれぞれにより示される。
【0013】
HM−2.0において、ブロックがマージモードとして符号化される場合、このブロックについて候補のセットからどのMVPがマージされるかを示すため、1つのMVPのインデックスが信号伝達される。図3は、マージモードについてMVPを導出する隣接ブロックのコンフィギュレーションを示す。候補のセットは、4つの空間的なMVP及び1つの時間的なMVPを含む。
1.左の予測子(A0)、
2.上の予測子(B0)、
3.時間予測子Tctr(ブロックの中央を同一場所に位置されるピクチャへのマッピングにより発見される、時間動きベクトル)、
4.右上の予測子(C)、及び
5.左下の予測子(E)。
【0014】
マージモードにおける空間的なMVPについて、参照ピクチャのインデックスは、選択されたブロックからの参照ピクチャのインデックスと同じに設定される。例えば、ブロックCがMVPインデックスに従って選択される場合、ブロックCからのMV及び参照ピクチャのインデックスは、マージのために使用され、すなわちブロックCからのMV及び参照ピクチャのインデックスは、現在のPUについて使用される。ブロックが2つのMVを有する場合、2つのMV及びそれらの参照ピクチャのインデックスは、双予測のために使用される。特に、それぞれのCUは、全体としてマージされる(すなわち2N×2Nマージ)か、又は部分的にマージされる。分割タイプN×2N又は2N×Nがインター予測されたCUについて選択される場合、このCUの第一の分割(すなわちPU)は、HM−2.0においてマージモードに強制される。すなわち、N×2N又は2N×NのCUの第一のPUは、それ自身の動きベクトルを有さず、代わりに、その隣接ブロックの動きベクトルのうちの1つを共有する必要がある。その間、第二のN×2N又は2N×NのPUは、マージモード又はインターモードの何れかである。第一のN×2NのPUのMVPは、図4に示されており、空間的なMVPは、参照符号410により示され、時間的なMVPは、参照符号420により示される。第一の2N×NのPUの部分的なマージについてのMVPは、図5に示されており、空間的なMVPは、参照符号510により示されており、時間的なMVPは、参照符号520により示される。
【0015】
上述されたように、AMVPは、基本の動きベクトルの送信に関連する情報を低減する効果的な手段である。AMVPの効率は、MVPの可用性及びMVPの品質(すなわちMVPの精度)に依存する。MVPが利用可能でないとき、基本のMVは、予測なし、或いは予測値0又は他のデフォルト値で送信される。MVPの可用性及び品質を改善することが望まれる。従って、本発明の各種実施の形態に係る拡張された時間サーチスキームが開示される。本発明の1実施の形態によれば、現在のピクチャの現在のブロックの動きベクトル(MV)について時間的なMVPは、同一場所に位置するブロックの1以上の同一場所に位置する参照ブロックに基づいて導出され、前記1以上の同一場所に位置する参照ブロックは、同一場所に位置するブロックの右下の隣接ブロックからのブロックを含む。例えば、参照ピクチャの同一場所に位置するブロック630の右下の隣接ブロック620の左上の参照ブロック610は、図6に示されるように、インターモード又はスキップモードにおいて同一場所に位置する参照ブロックとして使用される。同様に、参照ピクチャの同一場所に位置するブロック630の右下の隣接ブロック620の左上の参照ブロック610は、図7に示されるように、マージモードにおいて、同一場所に位置する参照ブロックとして使用される。
【0016】
HM−2.0及びその前のバージョンは、1つの同一場所に位置する参照ブロックのみを使用する一方、本発明に係る実施の形態は、1を超える同一場所に位置する参照ブロックを使用することを可能にする。図8は、1を超える同一場所に位置する参照ブロックを使用する例を示し、同一場所に位置する参照ブロックは、インターモード及びスクップモードにおいて、左上の参照ブロック610、同一場所に位置するブロックの中央の参照ブロック810、同一場所に位置するブロック630の右の隣接ブロック830の最も左の参照ブロック820、及び同一場所に位置するブロック630の下の隣接ブロック850の上の参照ブロック840を含む。右の隣接ブロックの最も左にある参照ブロックは、この開示において、右の隣接ブロックの最も左側にある参照ブロックを示す。言い換えれば、右の隣接ブロックの最も左にある参照ブロックは、同一場所に位置するブロックに隣接する右の隣接ブロックにおけるブロックである。図8に示される最も左にある参照ブロック820は、最も左にある参照ブロックの上の参照ブロックである。下の隣接ブロックの上の参照ブロックは、この開示において、下の隣接ブロックの上側にある参照ブロックを示す。言い換えれば、下の隣接ブロックの上の参照ブロックは、同一場所に位置するブロックに隣接する下の隣接ブロックにおけるブロックである。図8において示される上の参照ブロック840は、上の参照ブロックの最も左にある参照ブロックである。同一場所に位置するブロック630内の中央の参照ブロック820は同一場所に位置する参照ブロックとして使用される一方、同一場所に位置するブロック630内の他の同一場所に位置する参照ブロックも使用される。同一場所に位置するブロック内の同一場所に位置する参照ブロックは、内部参照ブロックと呼ばれる。図9は、1を超える同一場所に位置する参照ブロックを使用する別の例を示し、同一場所に位置する参照ブロックは、インターモード又はスキップモードにおいて、左上の参照ブロック610、同一場所に位置するブロックの左上の参照ブロック910、同一場所に位置するブロックの右の隣接ブロック830の最も左にある参照ブロック820、及び同一場所に位置するブロックの下の隣接ブロック850の上の参照ブロック840を含む。必要とされるときに、2つの左上の参照ブロック610及び910を区別するため、同一場所に位置するブロック630の右下の隣接ブロック620の左上の参照ブロック610は、第一の左上の参照ブロックと呼ばれ、同一場所に位置するブロック630の左上のブロック910は、左上の参照ブロックと呼ばれる。図8及び図9に示される同一場所に位置する参照ブロックは、インターモード又はスキップモードにおいて時間的なMVPを導出するために使用され、図8及び図9に示される同一場所に位置する参照ブロックは、マージモードにおいて時間的なMVPを導出するために使用される。
【0017】
本発明に係る別の実施の形態では、2以上の同一場所に位置する参照ブロックが使用されるとき、MVPの導出は、同一場所に位置するブロック630の右下の隣接ブロック620の第一の左上の参照ブロック610に基づいてMVPのサーチを開始する。MVPを発見することができない場合、MVPの導出は、他の同一場所に位置する参照ブロックに基づいてMVPのサーチを継続する。MVPをなお発見することができないとき、MVPはゼロ又はデフォルト値に設定される。
【0018】
本発明に係る別の実施の形態では、MVPの導出により発見されるMVPが前に発見されたMVPと同じであるとき、MVPの導出は、前に発見されたMVPとは異なるMVPを発見するのを継続する。MVPをなお発見することができない場合、MVPはゼロ又はデフォルト値に設定される。前に発見されたMVPが空間的なMVPの候補に対するサーチの間に発見されたMVPであり、MVPのサーチは、MVPのサーチが同一場所に位置するブロックに基づいて実行される前に、現在のブロックの上であって、且つ現在のブロックの左にある空間的な隣接ブロックに基づいてはじめに実行される。
【0019】
この開示では、本発明に係る実施の形態を例示するため、同一場所に位置する参照ブロックの例示的なコンフィギュレーションが提供された。個別の例示的なコンフィギュレーションがインターモード/スキップモード及びマージモードについて提供されたが、インターモード/スキップモードの例示的なコンフィギュレーションは、マージモードに適用可能であり、逆に、マージモードの例示的なコンフィギュレーションは、インターモード/スキップモードに適用可能である。さらに、個別の例示的なサーチスキームは、インターモード/スキップモード及びマージモードについて提供される。しかし、インターモード/又はスキップモードのサーチスキームは、マージモードに適用可能であり、逆に、マージモードのサーチスキームは、インターモード/又はスキップモードに適用可能である。さらに、同一場所に位置する参照ブロックの幾つかのコンフィギュレーションが例として示されたが、当業者であれば、本発明の精神から逸脱する他のコンフィギュレーションを使用して本発明を実施する場合がある。
【0020】
上述された本発明に係るMVの導出の実施の形態は、様々なハードウェア、ソフトウェアコード、又は両者のコンフィギュレーションにおいて実現される場合がある。例えば、本発明の実施の形態は、本明細書で記載された処理を実行するため、ビデオ圧縮チップに集積される回路であるか、又はビデオ圧縮ソフトウェアに統合されるプログラムコードである。また、本発明の実施の形態は、本明細書で記載された処理を実行するため、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)で実行されるプログラムコードである場合がある。また、本発明は、コンピュータプロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ、マイクロプロセッサ、又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)により実行される多数の機能を含む。これらのプロセッサは、本発明により実施される特定の方法を定義するコンピュータ読み取り可能なソフトウェアコード又はファームウェアコードを実行することで、本発明に係る特定のタスクを実行するように構成される。ソフトウェアコード又はファームウェアコードは、異なるプログラミング言語及び異なるフォーマット又はスタイルまた、ソフトウェアは、異なるターゲットプラットフォームについてコンパイルされる場合がある。しかし、ソフトウェアコードの異なるコードフォーマット、スタイル及び言語、及び本発明に係るタスクを実行するためのコードを設定する他の手段は、本発明の精神及び範囲から逸脱しない。
【0021】
本発明は、本発明の精神又は本質的な特性から逸脱することなしに他の特定の形式で実施される場合がある。記載された例は、例示的であって限定的でないものとして全ての観点において考慮されるべきである。従って、本発明の範囲は、上述した説明によるものではなく、特許請求の範囲により示される。請求項の等価な意味及び範囲に含まれる全ての変形は、請求項の範囲に含まれるべきである。
図1
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図9